2chエロパロ板の「井上堅二 バカとテストと召喚獣でエロパロ」の作品をまとめたサイトです。

6巻の肝試しのif

「アキ・・・待って・・・」
ぎゅ、と美波に腕を掴まれた。雄二から戻ってくるように指示を受けていたし、早く戻らないといけないんだけど・・・どうしたんだろう?
「ん、どうしたの美波?」
「・・・さっきの話の続き、ここではっきりさせたいの」
続き・・・続きっていうと、螺旋双髪の悪魔に追われる前にしていた話だろうか。
「アキがウチがいないと寂しいって思うのは、友達だから?それとも・・・その、ウチのこと・・・」
暗いし美波が俯いていることもあって、美波の表情が読み取れない。
っていうか何だこれ、まるで僕が美波に告白されてるみたいじゃないか!こんなのは嬉し、いや気まずすぎる!
「ちょ、ちょっと待って美波、どうしたのさ急に。少し落ち着いて・・・」
落ち着いて、まずは僕の腕を掴む力を抜いてくれないと肘から先が大変なことになってしまう。
それを伝えようとすると、急に美波に襟元を掴まれ引き寄せられた。
「アキはウチが本当に好きなのは誰なのか誤解してる。言ったでしょ、絶対に今日中に誤解を解いてみせるって」
「み、美波、ちょ、近・・・!!」
さっきはよくわからなかったけど、心なしか美波の顔は赤く染まっていた。
にしてもこういう、ちょっとしおらしい感じの美波ってやっぱり異常に可愛・・・いや待て、今この思考はまずい、落ち着け僕!
「ウチが好きなのはオランウータンでもチンパンジーでもない。ウチが本当に好きなのは・・・」
「す、好き・・・なのは・・・?」
美波が頬を染めたまま、潤んだ瞳で僕を見つめている。
「・・・・・・・・・・・」
え、まさか、これって・・・
「まさか・・・僕、なの・・・?」
「・・・っ!・・・そう、よ!ウチが本当に好きなのはアキなの!キスしても恋人みたいに振る舞っても気付いてくれないし、自分でも素直になれなくて誤魔化してきたけど・・・でも・・・」
言われて改めて今までのことを思い返してみる。
窮地に立たされた時、お互いに名前で呼び合うように脅されたこと。
映画のチケットを掛けて姫路さんと猛烈な戦いをしていたこと。
誤解だったとはいえ、恋人になったと思い込み、それらしい行動をしていたこと。
気付かなかったとはいえ、今さらながら自分のバカすぎる自分に腹が立ってしまう。
「でも、アキが美春に言ったことを聞いて、すごく嬉しかった。ウチのこと女の子として見てくれてるってわかって、すごく嬉しかった。」
ちょっと待って、何で美波がそのことを知ってるの!?まさかあの時の張本人って美波だったのか!?
「アキ・・・ウチはアキが好き・・・大好き・・・!!」
美波は体を震わせ、今にも泣き出しそうな目で、それでも僕を見つめていた。

でも僕は、美波ことをどう思っているんだろう・・・?
僕が今まで見てきた美波を思い出す。
勝気で壊滅的な破壊力を持て余す元気な美波、美波の家で勉強した時に見せたの優しい笑顔、たまに見せる仕草がとても可愛い美波。
そして・・・僕が清水さんに言った言葉。
気付かないうちに、僕はこんなにも美波のことが好きになっていたんだ───

「美波・・・」
「・・・アキ、目、瞑って?」
「え?あ、うん」
僕の呼び掛けをどう受け取ったのか、僕に目を瞑るように言ってきた。
何だろう・・・しばらく待つと、僕の唇に何か柔らかいものが触れた。こ、これって・・・!
目を開けた頃には美波は唇を離していて、美波と目が合った。
「・・・これで信じてくれた?」
ちょっと恥ずかしそうに上目遣いで僕を見つめる美波。そんな顔されたらもう・・・!
「美波っ!」
無意識のうちに、僕は美波を思い切り抱きしめていた。
「ちょ、ア、アキ・・・!?」
僕の急な行動に美波は驚きを隠せないでいるみたいだ。でも、もう止まれない!
「僕も・・・好きだよ」
「え・・・?」
信じられない、と言ったような顔で僕を見ている。そんなに意外だろうか?
「僕も美波のこと、好きだよ」
「・・・」
沈黙が続き、しばらくすると蚊の鳴くような声で美波が口を開いた。
「・・・いいの?」
「え?」
「ウチで、いいの・・・?ウチ、瑞希みたいに女の子らしくないし、スタイルも良くないし・・・」
確かに姫路さんのことは好きだ。でも僕はそれ以上に・・・
「うん、僕は美波がいい、美波じゃなきゃダメなんだ」
「・・・っ!アキ・・・!!」
美波が涙声混じりに僕の胸に顔を埋め、僕はそれを出来る限り優しく抱きしめた。

このとき僕は、愛しい美波を抱きしめながら、考えていた。
『だからこそ、これだけはハッキリさせないといけない───』
どれだけ時間が経っただろうか。
正直ずっとこのまま美波を抱きしめていたい。
でも、今、美波に聞かなきゃいけないことが、ある。
「・・・美波」
抱きついていた美波を引き離し、美波を見つめ、僕は告げる。
「美波は、僕なんかでいいの?」
美波は僕が何を言っているのか、わかっていないのだろう。
僕は一呼吸置き、落ち着いた口調で静かに問いかけた。

美波は僕に、誤解を解くと言った。
そして僕は、美波が本当に好きなのは僕だと知った。
でも、もうひとつ・・・解かなきゃいけない大事な誤解が、ひとつだけ、ある。

僕は誤解していた。
美波は僕のことが好き。
そして、補習の時の、あの言葉。
このふたつから導き出される答えは、ただひとつ。
・・・美波は、僕をチンパンジーだと思っている。
そう、僕は美波が、『僕を人間と認識している』という、とんでもない勘違いをしていたんだ───


「僕は・・・人間だよ?チンパンジーじゃ、ないんだよ・・・?」

時が、止まった。
そんな錯覚さえ覚えるほど、冷たい空気が流れている気がしてくる。
一体何なのだろう、この空気は・・・?
そんなことを考えていると、僕の背に腕を回したまま、美波は額を僕の胸に押しつけた。
するとどうしたことだろう、美波が僕を締め付ける力がどんどん強くなって行く気がする。
あれ、何だろう、僕はまた何かとんでもない大間違いを犯したのか・・・?
いやそんなはずはない!いくら僕だってこれ以上バカな誤解をするわけがない!
だとしたら何だろう、この締め付けられる感覚は、正直ちょっと苦しくなってきた!
「・・・の・・・」
美波が呟いた。
「え・・・美波、何・・・ッ」
ちょ、まずいよこれ、苦しいよ?美波はどうしたんだろう、どうして急にこんなに強く僕を抱きしめ
「アキの・・・ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?っだあぁぁこれ無理、ホント無理っ折れるギブ、ギ・・・!!」

コキュッ。

僕の背骨が、小気味のいい軽やかな音を立てた。
その瞬間、僕の意識はあっという間に遠のいて行き、最後には何もわからなくなった。

・・・ごめん雄二、僕は戻れそうにないや───

こうして、僕、吉井明久の人生は、幕を閉じた───

今になって思う。
───どうしてこうなった \(^ω^)/
  • Fin-

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