概念礼装『百日の、その先も』
最終更新：
nekomisomezasi 2023年06月17日(土) 18:39:41履歴
何処にでもある、ありふれた花だった。
長い道の、始まりに咲く花。
でも、綺麗な花だと言ってくれた。ささやかな幸せを喜ぶ笑顔が美しかった。
ただ前へ、前へ。躓き、擦りむき、足がもつれそうになっても、鮮やかな道を走っていく。目眩がしそうなほど輝かしい道を、一歩一歩強く踏み込んで。
この道は、ずっとずっと暖かく、明るく、咲き誇り続けるのだと思っていた。
…
あるとき、暗い夜霧が辺りを包み、春は終わりを告げ、痛みは感情の奥へ突き刺さる。
あぁ、そうだった。その道は険しく、苦しく、痛ましく、恐ろしい。
歩み始めてしまった時点で、保証された未来などない。長い道は茨そのものだ。それは、誰にとっても。
止まない雨はないと誰かは言うけれど……霧が晴れる日は来るのだろうか。
それでもあの日見た青空は綺麗だったと、言ってくれるだろうか。
前も後ろも空も見えない濃霧の中で、茨の内側で、まだあの花を握っていてくれただろうか。
それを訊ねることなどできないけれど。
…それでも。
いくつもの夜が更けても、他の花が咲いては萎れても。
その花にだけは、ずっとずっと咲いていて欲しい。ずっとずっと、幸せであって欲しい。
今はもう、探すことすら能わぬ君へ。
概念礼装「百日の、その先も」
(絵はAIが描いたのをちょこっと加工しただけのやつです)
長い道の、始まりに咲く花。
でも、綺麗な花だと言ってくれた。ささやかな幸せを喜ぶ笑顔が美しかった。
ただ前へ、前へ。躓き、擦りむき、足がもつれそうになっても、鮮やかな道を走っていく。目眩がしそうなほど輝かしい道を、一歩一歩強く踏み込んで。
この道は、ずっとずっと暖かく、明るく、咲き誇り続けるのだと思っていた。
…
あるとき、暗い夜霧が辺りを包み、春は終わりを告げ、痛みは感情の奥へ突き刺さる。
あぁ、そうだった。その道は険しく、苦しく、痛ましく、恐ろしい。
歩み始めてしまった時点で、保証された未来などない。長い道は茨そのものだ。それは、誰にとっても。
止まない雨はないと誰かは言うけれど……霧が晴れる日は来るのだろうか。
それでもあの日見た青空は綺麗だったと、言ってくれるだろうか。
前も後ろも空も見えない濃霧の中で、茨の内側で、まだあの花を握っていてくれただろうか。
それを訊ねることなどできないけれど。
…それでも。
いくつもの夜が更けても、他の花が咲いては萎れても。
その花にだけは、ずっとずっと咲いていて欲しい。ずっとずっと、幸せであって欲しい。
今はもう、探すことすら能わぬ君へ。
概念礼装「百日の、その先も」
(絵はAIが描いたのをちょこっと加工しただけのやつです)
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