一説によると、女が性的なオーガズムを迎えたときには、男が射精したときの、
何千倍も気持ちいいという。

どんなデータを取って、どんな計算でその数字が出されたのか、僕は知らない。
でも、その両方を経験した僕は・・・男だったときと比べて、
女のカラダがイった時の気持ちよさは・・・とにかく別次元のものだと断言できる。

といっても、僕がここまでに語ったことの中に「イった」経験はまだ含まれていない。
初めて女の子としてのエクスタシーを感じたそのときのこと・・・
語るだけでも体がとろけそうなあの感覚を知るのは、まだあとのこと。

それでも・・・初めてのセックスでも、二度目のときも、男だったときの何倍も気持ちよかった。

中野先輩によって、あゆことしての、女としての新しい生活を強制的に始めさせられた僕が、
たいした抵抗も出来ずに、淫乱女である自分を受け入れてしまったのは・・・その気持ちよさが、ほとんどすべてだ。

男としての自分の葬式の場で、自分との別れを済ませてしまった僕に、もう戻る道はなかった。
本当に・・・?

そんなことはない。実は気づいている。気づき始めていた。
あゆことしての・・・淫乱女としての・・・AV女優としての人生を受け入れたのは、
この体が僕に与えてくれる快楽がすべてだということを。

すべてをひっくり返して、男だったころの家族のもとに戻ることだって今からでも出来る。
それをしないのは・・・快楽におぼれる日々を取り上げられたくないからだと・・・今は知っている。

でも、女の子として生まれ変わって、先輩に処女を捧げて、自分にお別れを済ませた、
今は新しい一人の女の子として生きていたかった。

葬式から東京に帰ってくると、僕は先輩にマンションに連れ込まれた。
入り口を車がくぐる前に、こう言われた。
「一休みしたらたっぷりいろんなことを教えてやるからな。」
その瞬間から心臓が高鳴った。


いやらしいことをされて、気持ちよくなることが楽しみで仕方がなかった。
自分の葬式が終わったばかりの僕は、まだ、淫乱女である自分に、浮かれていた。
今までの自分と、悲しいお別れをしたばかりのはずなのに、
隣に先輩がいるだけで、その快楽が楽しみで仕方なかった。

恥ずかしくて、いやらしいことをされるのが楽しみで仕方がなかった。
ただ、それがどんな意味かもわからずに浮かれていた。

新しい自分が始まった事が、たのしかった。

東京に帰ってきた僕が連れてこられたこのマンションは、先輩が一人で住むにはかなり広めだ。
そして、生活感のあまりない場所だった。

広いリビングには大きなベッドのまわりにいくつかのソファが無造作においてあり、
これまた大きなテレビがベッドの反対側においてある。
とはいっても、相当の距離があり、南向きの窓で日当たりのいい部分はがらんとしている。

現実感のない、高級な感じの漂うつくりのこの部屋のフローリングの上には、
つい昨日、人生ではじめてのセックスを体験した少女には刺激的過ぎる物体がいくつも転がっていた。

男であったとはいえ、僕は今や少女だった。
床に転がる何本もの、男性器を模った道具や、
僕の股間にさっきまで埋め込まれたローターのようなものには目を背けるしかなかった。
心をどこかで高ぶらせて、ドキドキしながらも。

白いタンスが部屋の片隅にある。普通の服が入っているわけではないようだ。
二番目の棚が少し開いて、黒い皮の・・・ブラジャーのようなものが見えている。

その部屋に入った僕はほんの数秒だったが、かなり長い間、あっけにとられたような気がする。
このマンションに入って最初に入ったこの部屋・・・その他にも部屋がある。
あけていないドアがある。そこはいったいどうなっているのか・・・

自分の運命に思いが及ぶと・・・股間が熱くなってくる。膨らむはずの肉棒が今はない。
代わりに体全体に熱が広がって・・・じんわりとアソコが湿ってくることに気づいた。


「あゆこ、リラックスしろ。俺はシャワーを浴びてくるから、テレビでも見てろ。」
この部屋は、先輩が「生活」している部屋ではないようだった。

つまり、そういうことのために用意された部屋なのだ。
ここにくる車の中で聞いた話を思い出しながら、不安と一緒に期待が高まる。
真優を含めた・・・たくさんの男女の乱交が繰り広げられる、そのための部屋なのだ・・・

その部屋で僕は、今日これから先輩の「教育」を受ける。

車の中でドキドキしながら先輩の話をただ聞いていた。
寝る暇もないほど「教育」を施されると、先輩は僕に告げた。
僕はそのことについて何の感想も口にしなかったが、カラダが正直に反応して、
顔に「教育」への期待がにじみ出ているのが自分でもわかっていた。

口ではなにも言わなかったのは、「教育」への期待を口にするのが恥ずかしかったからだ。
恥じらい・・・生まれたばかりの少女にそんな気持ちがいつの間にか芽生えていることに
どこかで気がついていただろうか。

いや、芽生えていたというよりも、はじめから持っていた。
AV女優になるべくプロデュースされた女として、僕が与えられたのはきっと、体だけではなかった。
恥ずかしさ・・・少女としての恥じらい・・・
育ち始めただけだ。恥じらいが・・・淫乱さと一緒に。

透き通るような肌・・・黒く澄んだ瞳・・・抱きしめれば折れそうな腰・・・
微かに・・・それでも細いウェストに比べればしっかりと、きれいに膨らんだ形のよい胸・・・
桃色の小さな乳首・・・その体を支える細くしなやかな脚・・・
数えあがればきりがない、僕が与えられた「美少女」の要素

そのひとつに、「恥じらい」があっても、不思議ではない。
少女として生まれたその日にめちゃくちゃに壊されたとしても・・・
失くしたわけではないその恥じらい・・・
そればかりか成長しだした恥じらいが。

車の中で、これから僕が受ける「教育」について聞かされても、
顔を紅潮させて、笑いさえ押し殺そうとした・・・生まれたばかりの少女、それが僕だった。
処女を3Pで奪われ、その男の前で自らオナニーし、ローターをアソコに埋め込まれたまま人前に出ても、
消えなかった恥じらいが、僕をこれから押しつぶすことになるのに、気づいていなかった。



先輩がシャワーを浴びている間、僕はずっと、ただベッドの上に座ってドキドキしていた。
電源が入っていない大きなプラズマの画面には僕の姿が映る。
周りに何枚かの鏡もある。改めて、そこに座っている美少女が自分であることに不思議な感覚を覚える。

何個かのソファ、転がっている大人のおもちゃ、その中心にあるベッドの上、
これから「教育」を待つ美少女。それを受けるのが、鏡の中の他人でも、僕は興奮がとまらなかっただろう。

ところが、「教育」は僕自身に施される。これからなにをされるのか・・・
どんないやらしいことを・・・顔が赤くなってしまう。
股間に手を伸ばして・・・早く快楽をむさぼりたくなる。
でも、我慢をしていた。先輩にそういわれたから・・・

ベッドの上、喪服を花柄のワンピースに着替えた可憐な美少女が体育座りで、そのときを待っていた。

がたっ、とドアの開く音がした。
目が先輩の入ってくるほうに向く。男だった僕のはずなのに、
バスタオルを腰に巻いただけの先輩の姿にときめきを覚えてしまう。
目が、潤いを持ってたに輝いてしまうのがわかる。

腰に巻かれたバスタオルの下は・・・ついこの前まで自分も同じ体を持っていたはずなのに、
想像して顔を赤らめてしまう。
自分もシャワーを浴びにいかされるのかと思ったが、
先輩は腰にタオルを巻きつけたまま僕のほうに歩いてきて、こう言った。

「さぁ、はじめるぞ。」
やさしい、先輩の一言。包まれるような安心感。
僕は、体育すわりのままこくりとうなずくと足を崩して次の指示を待つ。

崩した脚の間からパンティが見えたかもしれない。
それが気になった。
やわらかくあたたかいはずの僕の太ももの間から、白いパンティが見えたとしたら、
先輩は、少しは興奮してくれるだろうか・・・
恥じらいと女としての計算の混ざり合った不思議な感情・・・
いつしか女としての僕、生まれたばかりの少女は成長し始めている。


先輩はベッドの前に仁王立ちで僕に命令した。
「こっちまで来い。」
「は・・・い・・・」
ひざでベッドの上を端まであるく。

「教育」が始まっている。そうはっきりと感じた。
先輩の目の前にたどり着き、先輩の顔を見上げると、何もものをいわずに黙っている。
僕はその瞳に吸い込まれそうだったが、そのうち一言つぶやいた。
「わかるな。」

「は、はい。」
僕の前に立っている先輩。見上げた目線を顔の高さに戻すと、
目の前には腰に巻かれたバスタオルがあった。
その位置になにがあるか・・・深く考えなくてもなにを求められているのかわかる。

僕は先輩のタオルに手をかけてもう一度先輩を見上げる。
先輩は軽く微笑んだ。「そう、それでいいんだ」と言うように。
バスタオルをゆっくりと取る。先輩のペニスとの一日ぶりの対面だった。

この前は、処女をささげて、その興奮のまま、
求められるままに口の中にそれを入れてなめただけだった。
今日は違う。心臓のドキドキはどんどん高まってはいるが、
先輩の、まだ大人しくしているペニスを大きくして・・・気持ちよくして・・・そういうことを求められている。

まだおとなしいおちんちんと先輩の顔を交互に見ながら、そこに手を伸ばす。
まずは、手でこすってみる。
不思議な感覚だった。他人のペニスを手でしごく日がやってくるとは思いもよらなかった。
それも、これほどドキドキしながら。

でも、自分が今使っている白く細くしなやかな指と先輩の黒いペニスのコントラストをこの目にすると、
今自分がしているこの行為がとても自然なことに思えてくる。
少しずつ、先輩のペニスは硬く、大きくなってくる。
僕は、先輩がそういう気持ちになってきていることを感じて、うれしい。

完全にペニスが起き上がって、上を向くまでに達したとき、僕はもう一度先輩の顔を見上げた。
先輩は少し気持ちよさそうな顔をして、それでも声を出したりはしなかった。
僕と目をあわすと、軽くうなずいた。
次のステップに進め、という意味だと思った僕は大きくなったペニスを見つめた。


これから、口にこれを含んで、しゃぶるのだ。そう思った。
亀頭に置かれていた左手を少し下に移動して、右手は、肩まで伸びた髪を耳の後ろにかきあげた。
目を閉じて、心臓の鼓動をもう一度確かめる。
視覚を失った僕に処女をささげた後に口に含んだ先輩のペニスの、
苦くて、それでも甘酸っぱい、なんとも表現のしようのないあの味がよみがえった。

そのまま左手で握ったペニスに向かって顔を近づけ・・・そして口にふくんだ。

僕のおまんこから流れ出た汁と、先輩の精液が混じった昨日の味とは少し違う味がした・・・でも、
口に入ってきたときの感覚は一緒だった。

自分が、女なのだと深く感じた。
自ら、男としての自分との決別を果たしてきた僕はそのことがうれしかった。
そして、亀頭の裏側に舌を這わせた。
ペニスのどこが気持ちいいのかを知っている僕は、
女であっても、先輩がどのように感じているのかを想像できる。
軽く口を前後に動かしてみる。

口の中で、ぴくぴくと先輩のペニスが動く。そのことに気をよくして目を閉じたまましゃぶっていると、
先輩が僕の頭を両手で抱えた。
僕はフェラチオをしたまま、先輩を見上げた。

先輩は笑っている。でも、舌を亀頭の裏側に這わせたまま口を前後に動かすと、その笑顔が軽くゆがんだ。
「あっ・・・そうだ・・・きもちいい・・・」
上目遣いのまま先輩と目が合う。

そのまま、上目遣いで続けろ、と先輩の目が訴えている。
僕は求められるままに続ける。
歯を立てないように、精一杯丁寧に、時々目を閉じたりしながら、ゆっくりと先輩のペニスをしゃぶる。

先輩の顔がゆがんで、僕の気持ちもどんどん高ぶる。
「あん・・・ぁ・・・」
僕の口からも艶を帯びたあえぎ声が漏れ始める。

先輩が感じてくれていることが、うれしかった。
僕が女であることを認めてくれるようで、うれしかった。戸惑いを感じる暇もないまま、
この「教育」を受けている僕は、きっと、まだ気持ちが男のまま・・・亮のままなのだ。
だからこそ、女として認められてうれしかった。


僕のフェラチオで、初めての、精一杯のフェラチオで、先輩が感じてくれることが。
体だけが女になった僕のフェラチオが、先輩を感じさせていることが。

「もういいぞ。あゆこ。」
先輩が、その行為をやめろといきなり命ずる。

「どうし・・・て?」
その肉棒を僕の口から抜いて僕の目を見下ろす先輩に、僕は見上げたまま聞く。
「ふふ、今日はフェラチオだけで終わりじゃないんだ・・・」

「えっ?」
「こっちにくるんだ。」

僕は先輩に呼ばれるまま、ソファに向かい、先輩の隣に座った。
先輩は傍らにあったリモコンを正面にあるプラズマテレビに向けた。

ピッ、と音がして、一瞬の暗い画面のあと、大きな画面に映し出されたのは、
AV女優『安藤しずか』のデビュー作のオープニングだった。

「・・・真優・・・」
真優のことなどどこかへ忘れていた。
「おまえ、結局真優のビデオでオナニーできなかったんだって?」
カーッ、と僕は顔を赤らめる。
「ふふ、恥ずかしがる姿もさすがにかわいいな。」
先輩が僕を見てそういって笑う。目を合わせられないぼくは、うつむくことしか出来ない。

「今日はゆっくりこれを見ながら気持ちよくしてやるよ。」
うつむいたままの僕の耳に「気持ちよくしてやるよ」という言葉が響く、
すぐに胸がきゅん、となる。
きゅん、という感覚・・・女の子になって初めて感じた、不思議な感覚だ。
目を合わせることも出来ないほど硬く凍りついた女心は、その感覚とともに融けはじめる。

「せんぱい・・・」
先輩のほうを見てしまう。顔を赤らめたまま、目が少し潤んでいるのが自分でもわかる。
気持ちよく・・・してほしい・・・言葉にこそしなくても、その思いが伝わってしまう。
その恥ずかしさ・・・でも先輩の目に吸い込まれそうになる。

これが、女の子の気持ちなんだ・・・どこかで冷静に見つめている僕がいる。
「あゆこ、見るんだ。真優の、安藤しずかの姿を。」

「・・・」
僕がまだ男だったとき・・・この目で見た真優の姿・・・
白いソファに座って、清楚な白いワンピースで、画面の外からの質問に答える、
幼いころからずっと隣にいた美少女。



男だったころに、亮が見たのと同じ光景・・・「よく眠れました。」「緊張してます。」
そんな言葉も同じだ。

でも、違う・・・
今は、わかった。真優は、本当に死ぬほど緊張して・・・体をこわばらせて・・・
そして、何かわからないけど大きな恐怖におびえている。

この後、真優がどうなるかは知っている。その緊張と恐怖を・・・
男優の手によって解きほぐされて・・・清楚な美少女から淫乱な女へと変わっていくのだ。
そのことを知っているからか・・・
同じ女として、今は、安藤しずかの、いや、真優の感じている恐怖と緊張が手に取るようにわかった。

「真優・・・」
おねがい、真優を、汚さないで・・・僕は、結末がわかりきっているのに、そう願わずにはいられなかった。
そして、先輩への嫌悪が突然沸いてきた。

僕のアイドルだった真優に、これほどの恐怖と緊張を与えて・・・そして、汚して、堕とした、先輩への嫌悪が・・・
歯を食いしばるようにして、僕は先輩を見た。
その目には悔しさと憎しみがこもっていたはずだ。
先輩はそんな僕に対して軽い微笑を浮かべて見つめているだけだった。

「どうした?初めて見るわけじゃないんだろ?」
はっ、とした。
そうだ・・・僕は前にも見た。そのときは、真優の感じた恐怖や緊張に思いをはせることなど出来なかった。

確かに、あの時僕は・・・これから始まる真優の痴態にどこか胸を昂ぶらせていた。
真優の痴態を目の当たりにして、オナニーすら出来なかったのは、抜けなかったのではない。
ただ・・・真優に対する、自分のアイドルだった真優に対する・・・操を勝手に立てていただけだ。


「真優・・・」
今は、画面の中の真優の気持ちが痛いほどにわかる。

「えっ・・・もうはじめるんですか・・・?」
画面の中の真優の隣にたくましいAV男優が座った。

同じだ・・・そう、男だったときに見たのと完全に同じだ。でも、全然見え方が違う。
複雑な気分で見つめている僕・・・
男優の手が真優の髪をなでる。いよいよそのときが始まる。

その時だった。
「えっ・・・?」
先輩が、真優がされているのと同じように、僕の髪に手を伸ばしてきた。


「せん・・・ぱい・・・」
しばらく髪をなでていた先輩が、
画面の中の男優が真優にするのと同じように僕の髪をなでてきた。

画面の中の真優は服を着ていて、僕は裸だが、同じことをしているのはすぐにわかった。
「そん・・・な・・・はぁん・・・」
画面と同じタイミングで僕の唇を先輩の唇がふさいだ。
目を閉じてしまったし、それでなくても画面から目をそらす方向に顔が向いていたのだが、
その後どのような展開が待っているのか・・・僕はかなり正確に覚えていた。

「ふぅ・・・ん・・・」
先輩のキスにとろけそうになる僕・・・真優・・・真優もそうなのだろうか・・・
記憶の中の真優は・・・少しずつとろけだしているのがわかる。
聞こえてくる喘ぎ声からもわかる。

「あぁん・・・」
胸に手が伸びてきた。
真優と同じタイミングで僕も声を上げた。
ビデオをなぞるように、先輩が僕を犯し始めたことに、気づいていた。

「あぁん・・・いや・・・・」
ほとんど同じタイミングで、僕も真優も声をあげる。
画面の中のアイドルを・・・真優を自分が演じていることにも気づきだしていた。

緊張が解けて・・・恐怖が消えて・・・淫乱な自分を受け入れる・・・
その準備を真優が始めていることがはっきりとわかった。

そして、画面の中では真優のワンピースが剥がされるところだった。
「さすがにここは無理だな。」

「せんぱ・・・い・・・」
僕は手を止めた先輩のほうをただ見つめた。

「お前もすぐにあの舞台に立つんだ。」
「・・・」
ゆっくりと、脱がされる真優の姿を見る。少しずつ・・・覚悟が固まってきているのが分かる。
「同じように気持ちよくしてやるよ。もっとも、あっちの方が俺よりうまいだろうけどな。」
僕は、その言葉に首を振った。


どんな意味かは、もう思い出せない。でも、たぶん、
先輩の謙遜した「あっちのほうが俺より・・・」という言葉に対してだったと思う。

そんなことを覚えていないほど、そこからの展開は、刺激的だった。
下着まで脱がされた真優が、ソファに押し倒される・・・
同じタイミングで、先輩が僕を押し倒してきた。

「あぁん・・・」
胸をもまれながら、左手は背中を抱えている。
画面の真優は覚悟を決めたのだろう。唇をかみ締めている。
僕は・・・その覚悟の重さを感じながら、正面から先輩の顔を見る。

この人にこれから・・・
真優の感じた複雑な気持ちが理解できるような気がする。

「ん・・・ぅん・・・・あ・・・」
先輩の右手が僕の股間に伸びてきた。
同じように喘ぐ真優の声が聞こえる。

「いや・・・あぁん・・・だめぇ・・・」
画面に目をやると、真優は少しずつ襲ってくる快感と理性の間で戦っている。
僕も、同じだった。
真優の・・・真優がAV女優として、女として重大な道を歩き始めたその瞬間をしっかり・・・
見つめて・・・確かめたいのに、

「いや・・・あぁん・・・あぁん・・・」
先輩の容赦ない愛撫が僕の理性を襲う。

そして、今度は先輩の舌が僕の股間を埋める。

「あぁん・・・ふぅん・・・あぁ、ぁっ・・・」
同じように・・・少しずつ、本当に少しずつ、真優も感じ始めている。
「安藤しずか」がカメラ目線になると、僕は真優と目があったような気がする。

恥ずかしがっているのが分かる。そして、それでも声が出てしまうのも分かる。
「いや・・・あぁん・・・あぁん・・・」
長いことなめられていた後、真優のアソコには、男優の指が入ってくる。


「うわ・・・しずかちゃん、ここ、どうなってるの?」
「えっ・・・?」
「言わないと、続きしてあげないよ。」

画面の中の真優がはずかしい言葉を言わされそうになる。
「ほら、お前も言うんだ。ここはどうなってる?」
先輩も僕に聞いてくる。

「ア・・・アソコがぐしょぐしょなんです。」
「きもちいい・・・もっとしてください・・・」

そんな言葉を・・・真優と同じように言わされる。

先輩の指が、僕のアソコに出し入れされる。
ぷしゅ・・・ぬちょ・・・そんな音が響く。テレビから聞こえてくるのと同じように・・・

「何の音かな・・・?しずかちゃん・・・」
目を伏せる真優・・・
僕も、さすがにこれには応えられない。

先輩の責めに耐えながら、たまに画面を見ると、なぜか真優もカメラ目線になる。
僕は、そのたびに本当に真優と目があっているように感じる。
「あぁん・・・いやぁ・・・も、もっと・・・いゃぁ・・・・」
僕のアソコも、真優のアソコも、びしょびしょにぬれていった。

「ふふ・・・あゆこ、面白いことを教えてやろうか。」
「えっ・・・?」

ちょうど、画面の中では真優に対する指責めが終わって、
「おちんちんをしゃぶらせてください。」
といわされているところだった。

「ほら、お前も言うんだ。」
「おちんちん・・・せんぱいのおちんちん、しゃぶらせてください・・・」
ほとんど命令に従うだけになっていた僕・・・
その言葉自体はもう僕から何も奪わなかった。

しゃぶり始めた後、先輩が話したことのほうが、僕の心を刺激した。


さっきまでしゃぶっていた先輩の肉棒を、僕はゆっくりとほおばった。

「面白いことを教えてやるよ。」
「あん・・・ふぅん・・・」
真優も、僕も、もう一匹のメスになっていた。
何かを言われても、フェラチオをやめることはしない。
ただ、仁王立ちになった男の・・・僕は先輩の、真優は男優のほうを上目遣いに見上げ、
従順にその言葉を聴いているだけだ。

「あいつがこのビデオの撮影から帰ってきたときに、聞いたんだ。誰に一番見られたくないかって。」
「ふぅ・・・あん・・・」
たくましいチンポが口の中で暴れまわることの気持ちよさを、少しずつ感じてしまっている僕・・・きっと、真優もそうだ。
「そしたら、真っ先に梶原亮の名前を挙げたよ。お前にだけは、絶対に見られたくないって。」
その言葉を聴いても、僕はかまわずフェラチオに集中している。

「このカラミで、自分が少しずつ感じていくのを、その醜態を小さいときからずっと一緒だったお前だけには、
絶対見られたくないって、そう言ってたんだ。」
「ふぅん・・・あぁん・・・」

「真優にとっても、お前は特別な男だったらしいな。
でも、お前がビデオを見ても、ただオナニーすら出来なかった。情けない男だと思わないか?」
「いや・・・あぁん・・・」
ひときわ、口の中で暴れまわる肉棒が自分を蹂躙していることに・・・快感を覚えた。

「でも、今お前は女になったおかげで、あいつの気持ちがよく分かっただろう。」
「あぁん・・・あぁん・・・」
フェラチオしているだけでもこれほどに感じてしまうのか・・・僕のアソコはとろけそうなほど汁をあふれさせていた。
真優も同じように・・・そのあふれ出る汁をカメラにとらえられている。


「お前に見られるかも知れない。そう思って感じてしまったんだとよ。」
「あぁん・・・ふぅん・・・」
フェラチオを続けながら、少しずつ興奮で判断が鈍る。
でも、その時はっきりと思った。
男の僕に自分の痴態を見られたくなかった真優の気持ちと、
今、その痴態を見て、しっかりとその気持ちが分かってしまった女としての僕・・・

真優は、きっと、その気持ちを僕に分かってもらいたくて、僕を女の子にしようとしたのだ・・・
その気持ちと、先輩の思惑が・・・一致して、
そして、僕は今天国へと誘われようとしているのだ・・・と。


「いれてください・・・セックス・・・してください・・・」
恥ずかしさを・・・恥じらいを・・・欲望が完全に上回ったとき、真優がそう懇願する。
ベッドに移って、その瞬間を待ち焦がれている。

そして、カメラを見たときに見せる、それでも恥ずかしげな表情。
その視線の向こうには、僕がいる。
時間を越えて、僕に訴えている。お願い・・・見ないで・・・

僕に・・・僕に見られたくないから、そんな悲しそうな目をしているのだ。
そして、僕はその気持ちをしっかり受け止めて・・・同じように今、
目の前の男の肉棒を受け入れようとしている。
「先輩・・・真優と同じように・・・入れて・・・セックスして・・・ください・・・」

真優は受身で入れてもらえず
騎乗位を要求され・・・AVで最初のセックスで、自らそのオマンコに肉棒をぶち込むことを要求された。

僕も・・・同じように、先輩にまたがって・・・画面の真優を見ながら・・・先輩へと腰を沈める。
そのときの真優の目が訴えかける切なさは、僕にはとても言葉では説明できない。
「あぁん・・・あぁん・・・あん・・・」

「ははは、これでお前も完全に真優と同じだな。」
先輩が勝ち誇ったようにそうつぶやく。
真優と同じくらい、きっと切なそうな目をしている僕を、先輩は同情の目では見ない。
勝ち誇ったように笑うだけだ。

肉棒が入ってくるのが分かる。真優の、完全に後戻りできなくなった気持ちが僕の心に響く。


片隅・・・心の片隅に男として冷静な僕がひとつのことに気づく。
先輩は、真優が心の中で頼りにしていた一人の男、
つまり僕を・・・いま、葬り去ったと。
女として、真優と同じ淫乱女として作り変えることで、真優の心の片隅にいる男を消し去ったのだと。

[[はぁ・・・ぁん・・・ぁん・・・いやぁ」
だが、温かい肉棒の感触が僕の股間から全身に伝わり、
粘膜と粘膜がこすりあう感触が快感に変わるとき、そんな冷静な僕はどこかへいってしまう。
こころの奥底に封印され、先輩の望んだとおりに葬りさられそうだった。

僕自身も、確実に女としての次の一歩を踏み出した。


「おまえも、もうすぐ、あの舞台に立つんだ。」
先輩の言葉が・・・僕の快感を増幅する。
僕に見られたくなくて・・・恥ずかしい表情を作ったままの真優・・・

見られたくない人は・・・僕にもたくさんいる。
真優と目があったような気が・・・ずっとしている。

でも、肉棒が僕のアソコを埋めると、もう快感は止まらなかった。

「あぁん・・・いい・・・あぁん・・・」
「どこが、気持ちいいんだ?」

「お・・・おまんこ・・・あゆこの、おまんこが気持ちいいんです・・・いやぁ・・・」
顔を真っ赤にして、恥ずかしい言葉をそれでも、平気で言ってしまう僕。
真優と同じだった。

僕は、自分が真優に成れたような気がした。
幼いころからのアイドルに・・・ついに自分の手に入らなかったアイドルに・・・

「いやぁん・・・ぁん・・・あぁん・・・」
そして、その真優を思いっきり汚しているような気がして・・・
それがもっと興奮した。僕が見ている・・・そのことが真優が一番嫌がったことだから・・・

「あぁん・・・あぁん・・・」
そして、もちろん、セックスそのものも気持ちよかった。最高に。

体位を変えて、キスされ・・・胸をもまれ・・・
自分で腰を振るように要求され・・・体中から快感を絞り上げられる。

真優と同じように・・・官能の世界へと落ちていく。
この先輩にだまされたら・・・いくら真優でも、AV女優にまで落ちてしまう。



ぼくも、もう、どんどん落ちていく自分が気持ちよくてたまらない。
もっと、気持ちよくなって・・・もっとHになって・・・
もっと、欲望におぼれる一匹のメスに・・・

きっと自分が望んでも望まなくても落ちていくその世界に・・・
自ら望んで新しい世界に・・・
作られた淫乱な少女がかなうはずは無かった。

「あぁん・・・いや・・・あぁん・・・」
正常位で絶頂を迎えそうな先輩に僕は懇願する。
真優と同じせりふで・・・

「おねがい・・・だして・・・私に・・・かけてぇ・・・あぁぁぁぁ・・・」

次の瞬間、官能の宴は終わった。

先輩の白いものが僕の胸にかかって、そのにおいが僕の鼻にまでとどく。
自分を汚した・・・真優を汚したのと同じ・・・そのにおい。
またひとつ、すこし、真優と同じに、近い存在になった気がした。

とてもいいにおいのように思えた・・・不思議なことだった。

「まだまだこれからだぞ!もっと、深い、快楽の世界に落としてやる。」
「はぁん・・・せんぱい・・・」

僕はうつろな意識の中で、先輩の言葉を信じていた。
もっと、気持ちよい世界にいけると、信じていた。

次に、どんな地獄が待っているのかも、知らずに・・・
セックスは気持ちいいだけじゃない・・・地獄の苦しみも経験しなければならない。
そのことは、生まれたばかりの淫乱女でしかない僕には、まだ理解できることではなかったのだ。

そして、先輩の「教育」が、まだ始まったばかりだということも・・・考える余裕がないほどに、
興奮と疲れが、裸で白い肌をピンク色に紅潮させたままの、僕を支配していた・・・
僕は、まだ浮かれていた。
新しい生活に、無限の快楽を生み出すこのカラダに・・・

抜け出せない、決して抜け出すことの出来ない地獄はもうすぐそこまで迫っていた。
浮かれている僕はまだその怖さを知らなかっただけだった。



新しい生活が始まる。

4月になると、入学式に先立って、僕が「あゆこ」として通う女子大ではオリエンテーションが行われた。
その場でクラスが発表され、さまざまな学生生活の説明がされて、午後2時くらいまでそれが続いた。

真優の一年後輩となった僕は、ベッドの上では先輩の前で、女として振舞うことを覚えつつあった。
でも外の世界では、この日がはじめての「女」としての公の場だった。

さすがの名門女子大学だった。
優等生でありながら、それなりに洗練された女の子たちが、そろっていた。
みんな、かわいい。そして、きれいだ。
中には例外もいるけど、でも、自分がその中に溶け込めているかどうか、不安だった。

この学校に友達もいない僕は、隣に座った同じクラスの女の子と少し話しただけで、疲れてしまった。
だから、同じクラスの子達の誘いを断って、帰路に着くはずだった。

キャンパスは人であふれていた。
男の子たちがたくさんいる。女子大の中なのに。
この時期だけはこういうことが許される。彼らのサークルの勧誘活動が行われている。

僕が行くはずだった大学の、サッカーサークルに目が留まった。

「ねぇ、君、サッカー興味ありそうだね?どう?うちのサークルなんか?」

サッカーは僕にとって遊びじゃなかった。
それで女の子にもてようとか考えるようになる前からずっと、真剣にやってた。

この男の子は、どうやら僕とは違うようだ。
「い、いや、それなりには。で、でも」

強引な誘いには僕はまだ弱い。
理想のAV女優として生み出された僕が、男のあしらい方も知らないのだ。
強引に押し切られて勧誘に引っかかってしまうのは仕方のないことだったとおもう。


「まあ、時間はあるでしょ?ちょっと話だけでも聞いてよ。」
「は、はぁ。ちょっとなら・・・」

それで近くのカフェに連れて行かれた。
お茶を出してもらったり、ちやほやされるのが単純に楽しくて、
男の子に囲まれてるのも、なぜか楽しくて、

二人の同じ大学の女の子と一緒に、その場から、「練習」に連れて行かれた。

「うちは基本的に女の子は君たちの大学の子も多いんだよ。
結構すごいうまいやつもいるし、みてみてよ。女の子のチームもやってるし。」

いかにも軽い感じの男の運転する車で「練習場」につくと、
2チーム分くらいの男たちがボールをけっていた。

それはとても懐かしい光景だった。
浪人していた頃を含めれば、1年以上そんな場所に立っていなかったような気がする。
いや、遊び程度にはやっていたから、その懐かしさは正確ではない。
でも、この数日の間に僕に起こった大きな変化は、サッカーから離れていた時間を
何倍にも、何十倍にも感じさせた。

その瞬間、僕は、もとの亮という男に戻ったような気がした。
いや、今から思えば無意識のうちに視線が男のそれになっていた。

その瞳から涙が溢れ出した。
「あれっ?どうしたの?」
「あっ、そ、その・・・ごみが目にはいって。」

急に、冬の名残の風が僕の横を吹きぬけた。
「だいじょうぶ?みせてごらん?」
練習場についた少女たちに近寄ってきた、今までボールをけっていた男が、
涙を流して顔を伏せる僕に優しく声をかけた。
「はい。だいじょうぶです。」

その瞬間、はっとした。


顔を上げた僕の目の前にその男の顔があった。
どきっとした。

瞬間、冬の風とは違う風が僕の心を吹き抜けた。
「だ、だいじょうぶです・・・」
涙は一瞬にして止まり、顔は一瞬にしてピンク色に染まった。

言葉では説明できない、感情が動いた。

うちは、結構真剣にやってるやつ多いんだ。見ていってよ。
「は、はい・・・」
その男は、軽快にグラウンドへと駆け戻っていった。

ちょうど練習の切れ目になったらしい。さっきの男は戻っていったが、
代わりに何人かの男たちが僕と少女たちの周りに集まった。

男の子たち・・・金髪でだらしのない格好をしてサッカーをしていた人もいれば、
気合の入った人もいる。息を切らせながら、水分を取りながら、僕たち女の子を見ている。
僕はその、男の子たち一人ひとりの品定めをいつの間にかしている。

生まれて何日もたっていない「あゆこ」は、もう、「抱かれるなら」という視点で男を見ていた。
あれは、好みかも、あれはなんかだめ。なぜかは説明は出来ない。
ほとんど瞬間の感覚で、そう思っている。

不思議な感覚だった。
それでも、グラウンド全体に目をやると・・・春の芝生に、ふたつのゴール。
脱ぎ捨てられたビブス。転がるいくつものボール。
僕は、懐かしさとともに、これもまた瞬間的に「男」に戻る。

その中に、さっき僕の顔を覗き込んだ、彼を見つける。
僕は多くの男の子たちの視線をそらすように、一歩、二歩、歩く。彼に近づくように。
そして、ピッチにあたる部分にはいる、ラインをまたぐ瞬間。

足元を見てそのことを確認する。これからグラウンドに入る。
その足元は、いつの間にかなれてしまった、女の靴だった。



それほど長くはないブーツのヒールは少しだけ上がっていて、
それでも男だった僕には最初ははきなれなかった。
一時間もはいていたらいつの間にか歩き方を覚えた。
ボールだって、思うように扱えるかもしれない。

「貸してください。」
春もののクリーム色のコートの下は緑のセーターとデニムのミニスカート。
リフティングでもすれば、きっとパンティは見えてしまう。
女の子として、そんなことが許されるのか。
そんなことまで僕は考えなかった。

「あ、あぁ。ほらっ。」
ボールのことだと分かった先輩の一人が、僕にボールを投げる。
僕はそのボールを足で受け取ると、軽く蹴り上げてリフティングを始める。
「おぉっ。すげえ。」

男の子たちの目線が徐々に僕に集まる。
その視線を意識することもなく、僕は久しぶりに触ったボールの感触を楽しむ。
頭で、ももで、そのたびに自分の変わり果てた体と、
変わっていないボールの感覚の両方があった。

「うあっ!」
僕は、昔だったら伸びるはずの、男だった頃なら伸びるはずのところに足を伸ばそうとして、
届かず、そして転んだ。

「いたっ!」
わぁっっと、男たちがよってきた。
きっと、いいや、間違いなく僕の真っ白なパンティまでみんなに見えてしまっただろう。
急に恥ずかしくなって顔を真っ赤にした。

「大丈夫?」
「は、はい。」
差し出された手を握って立ち上がる。
結構かっこいい男の子だった。
少し、草の、緑と茶色の混ざった跡が、コートに付いた。
「きみ、うまいねぇ。経験者?」



「は、はい、すこしだけ・・・」

顔から火が出そうだった。
このくらいのことでこのグラウンドにいる全ての人が僕を注目していた。

一瞬、男の気分に戻った僕は、自分が女であることを思い出した。
しまった。女の子は普通、こんなことをしない。
「す、すみません、今日は失礼します!」

恥ずかしくて駆け出して、帰った。
帰り際に近くの駅を聞いて、そのまま家まで帰った。電車で一本だった。

僕の、女子大生としての第一歩だった。
捨てたはずの、さよならを告げたはずの男としての自分。
サッカーに未練があること自体、許されないことかもしれない。
いや、許されないと勝手に思い込んで、自分を責めた。

帰り道、僕の頭をずっと支配したのは、転んだ跡、僕の元に駆け寄ってきて
手を差し伸べた男たちの視線だった。
ただ、女の子がリフティングをミスって転んだだけだ。

それだけなのに、わぁ、っとよってきた男たちが、周りを何重にも取り囲んで
ぼくに手を差し伸べた。
僕はそのことがきっと、すごく恥ずかしくて、気後れして、
その場から逃げ出した。
でも、本当は、注目されて、やさしくされることに慣れていなくて、
どうしていいかわからなかっただけだった。

そんな時、どうすればいいか知っていれば、と、今は思う。
あの視線・・・みんなが僕を見ていた。

胸元の軽く開いたブラウスの上にジャケット、タイトなスカートのスーツ。その上に春物のコート。
自分が、外見から見て完全に女だということを突然思い出す。
ラインをまたいだ瞬間。自分が今までの自分とは違う存在であることを強く意識してしまう。


そして、あの視線・・・
認めたくはないけど、心は乱れていた。
転んだとき差し出された手、そしてそれを握る瞬間。

女として、異性の手を握ったその温かさが僕の手に残っている。
先輩に抱かれるのとは、違う感覚・・・
なんとも言いようのないどきどきが僕の心に残っていた。

男の子に触れた瞬間、先輩以外の男の子に触れた初めての瞬間、
そこで僕の時間が止まっていた。
あの手のぬくもり・・・きっと、あの男の子のことを、異性として意識している。

不安で不安で揺れる心。女としての自分をまたひとつ意識した。
あの、自分とのお別れのときに、弟に目で犯されたときと似ている。
僕の手を握った男の子も、あれと同じ目をしていた。

だから?その誘う目に僕は吸い込まれたのだろうか?
認めたくない自分の淫乱さをどこかで分かり始めている。
ベッドの上で先輩に、快楽欲しさに言わされる「私は淫乱な女の子です」
という言葉とは違う。心のそこが、そういう風に出来ていることを、
僕はどこかで分かり始めていたのだろう。

僕の新しいすみかは、真優の部屋だ。
うつろな僕がどうにか家に着くと、真優がリビングで寝ていた。
当然、真優は親の手元から完全に離れていて、でも、AV女優になってから
さすがに高額の収入を得て、かなり広い部屋に住んでいた。

「あぁ、あゆこ、おかえり。」
寝起きのとぼけた顔がまたかわいい。天使のようなこの女のどこに、あんな淫乱さが
隠れているのか分からない。

「学校、どうだった?あれ、コートが・・・」
「あっ、これね、ちょっと、転んじゃって、ま、まだ慣れないから・・・」
少し不自然な言葉でコートの汚れを隠す。

「そうだ、撮影・・・だったんだよね。真優は。どうだった?」



コートの汚れを指摘されただけで、
なぜか僕は自分の心の揺れを全部見透かされたような気がして、話をそらした。
「う・・・うん。まぁ、慣れてきたかな。」
「ふ、ふぅん。」

まだ、手にはあのときのぬくもりが残っていた。
「や、やっぱり、男優さんって、うまいの?そ・・・その・・・」
僕は、差し出された手のぬくもりにどきどきするような
純真な少女のくせに、とんでもないことを口走っている。

「えっ?」
寝ぼけていた真優の口元が緩んだ。
「もぉ・・・最高だよ。あたし、気持ちよくて何回もいっちゃうし。もう、だめ・・・」
そう言うと真優の天使のような整った顔が少しずつとろけるように
だらしなくなっていく。

「はじめてね、昨日、はじめて・・・」
「う、うん。もう、わかった。それより、夕ご飯どうする?」
僕は、真優の話を遮った。
撮影でのセックスを反芻するように艶を帯びていく真優の顔を見ていられなかった。

「そうだね、何か食べに行こうか。」
僕は黙ってうなずいた。
女の子になって、まだ4日目。
2日目から撮影に行って、帰ってきた真優と会うのはひどく久しぶりのような気がした。

その間に僕に起こったいくつもの出来事を思い出すと、
真優に付き添われて、女として初めて目覚めて、エッチをして、排泄をしたあの日が
遠い日の思い出のようだった。

真優と二人で焼肉を食べに行ったその日は、
女の子として目覚めて4日目で、初めて先輩にも会わなかったし
セックスもなしだった。

他愛もない話に花を咲かせたが、まだ緊張が解けていない。
真優にも全てを打ち明けることが出来るほど、打ち解けていなかった。


ただずっと、差し出された手のぬくもりと、その時の視線を思い出して
心を揺らしていた。
そして、昨日までの3日間、先輩にこの体をささげ続けて
調教を受け続けたその記憶を心に蘇らせながら、一人のベッドについた。

自分が男だったことを思い返せない。
頭に浮かぶのは、この4日間の衝撃的な体験ばかりだった。
疲れきったこの体が自然と眠りに落ちるまで、そう時間はかからなかったけれど、
また、一歩、女として歩き出した一日だった。

次の日は、真優とショッピングに出かけた。
女として生きていくいろんなものを買わなければいけなかった。

自分の服だってほとんど持っていなかったし、化粧品とか、
バッグとか、「女」として、女子大生として生きていくのに基本的に必要なものを、一日かけてそろえた。

その次の日は入学式だった。
履修の登録、数々の行事、女子大生としての最初の数日はめまぐるしく過ぎていった。

とりあえず、大学で話せる友達も出来たし、女の子たちの中にもどうやらとけこめているような気がする。
真優の、数々のアドバイスも役に立った。忙しい毎日。
僕は、まず「女の子」としての日常に慣れることで精一杯だった。
セックスなどしている暇もなかった。

そんな毎日、僕は真優と毎日、一緒に朝ごはんを食べて、一緒に学校に行って、
仲のいい姉妹のようにべったりくっついていた。
セックスのことなんか忘れていた。
それはそれで悪くない毎日だった。

一週間もたったある日、授業が始まった金曜日、先に授業の終わった真優が僕のことをまってくれていた。
そして、いつものように家に帰る途中、電車の中で真優が言った。
「今日は、パーティなの。」
「えっ?なにそれ?」
「なに、って。あゆこ、あなたも来るんだよ。」


その瞬間、仲のよい姉妹のように過ごしていた短い日常は終わりを告げた。
数日間、女子大に通って、家では真優と一緒に過ごして、
買い物に一緒に行って、幸せな、恋人のような姉妹のような・・・
そう、僕はどこかで女の子でありながらも男を取り戻しつつあったのだ。

真優のそばにいることで、男としての僕の気持ちが少しずつ蘇ってきていたのに・・・
「パーティ」の意味が分からないほどバカじゃなかった。

「そうなんだ・・・」
うつろな声で答える僕。自分の中で何かが終わったのが分かった。
夢のように過ぎていったこの数日間。もう僕は男ではなかったけれど、
ずっと憧れだった真優とずっと一緒にすごした一週間。

セックスなんか一度もなしで、真優の妹のように、
毎日一緒にご飯を食べて同じ時間までテレビを見たりして、そして寝て、起きて・・・

幸せな日常は、一瞬だった。そして、運命がまた始まる。

家の前には、迎えの車が来ていた。
ある男の子が待つ車を見つけると、真優は駆け出して窓越しにかたりかけた。
「ごめん。今帰ってきた。すぐ準備するから、待ってて。」

知っている人ではなかった。
中野先輩ではない男が、車の中で待っていた。
真優の顔つきが、変わったのが分かった。

今まで僕の、あゆこのお姉さんといった顔でずっと僕に対して優しくて親しげな表情をしていた真優が、
車の中の男の子と話すとき、顔つきが変わった。

「さぁ、あゆこ、急いで。荷物置いたらすぐ出るから。」
「ど、どこにいくの?」
不安げな表情の僕が聞く。
「えっ?」
あっ、そうか、あゆこは全然知らないのか、という感じで、部屋の中に入ると、
真優は優しい、お姉さんの顔に戻った。



(そうなんだ・・・)
僕は気がついた。あの時車の中の男の子と話した真優の顔は・・・
ビデオの中でエッチをする前に男優と話しているときの顔と同じ顔だった。

僕の、親友として、お姉さんのように振舞う真優とは違う顔だった。
そう、まるで・・・発情したエロ女という表現がふさわしい・・・
「あゆこちゃん。これからパーティに行くけど、大丈夫。あなたの正体は秘密だから注意してね。

大丈夫。みんなにかわいがってもらえるから。」
一瞬お姉さんにもどった真優の表情が、エロ女のそれにまた変わった。

みだらな天使・・・真優の「安藤しずか」としてのビデオにつけられていたキャッチフレーズを思い出した。
そんな表現がぴったりの表情だった。

目は潤んで、急に色っぽくなったような気がして、そして、
その場に少しでも早く行きたいという風に急いでいた。

「みんなに優しくしてもらえるよ。大丈夫。」
その言葉を聴いた瞬間、
僕も、きっと、真優と同じ種類の女に変貌していただろう。

認めたくない。今でも認めたくない。でも、心は躍りだしていた。
「さぁ、いこう。」
「うん・・・」
戸惑ったような答えをしても、心は躍りだしていた。

いろんなことが頭をめぐった。
どんな人が来るんだろう。
パーティって、どんなことをするんだろう。
僕の正体は秘密って・・・僕の正体を知ってる人が他にも来るんだろうか・・・

「真優・・・」
どうしてもひとつだけ確かめたかったことがある。
「なに?」
「それ・・・パーティって、その・・・中野先輩のマンションでやるの?」



「・・・そうだよ。あの部屋は別に駿がいつも住んでるわけじゃないの。
ちょっと、ある事情で、そういうことのためにキープしてあるんだ。」

真優は、迎えの車に乗り込む直前、歩きながらそう答えた。
車に乗ったとき、「ごめん、待たせて。」と助手席で
わらうその顔はもう、「みだらな天使」そのものだった。

一週間、女子大に通うようになって女の子としての自分を創り始めた僕は、
ひとり、後部座席にちょこんと座って
一週間ぶりに、中野先輩と会えることの楽しみと、
そして、純真な少女としての日々が早くも終わりを告げることのつらさ・・・

そして、まだ見ぬ「パーティ」の参加者たちに思いをはせていた。
さまざまな不安がまたも、頭の中を駆け抜けていく。
どんな人たちが来るのか・・・怖くて聞けなかった。

「それじゃあ、あとでね。」
「あぁ、楽しみにしてるよ。」
みだらな天使は、「パーティ」の会場である、
一週間前に僕が訪れたことのあるマンションの前で降りるときに運転手の男の子とそんな会話を交わした。

男の子の目も、真優に、欲情している目つきだった。
そして・・・後部座席にいる僕に対しても・・・
「彼女が、しずかちゃんの親戚?」
どうやら、真優はこのパーティでは「しずかちゃん」でも通じるようだ。
「そう。かわいいでしょ。楽しみにしててよ。」

もう、僕がこの男にささげられることは決まっているかのようだった。
「よ・・・よろしくおねがいします・・・」
心の中は不安でいっぱいでも、そのもっと奥には・・・僕の奥底では淫乱な少女が一週間ぶりに息を吹き返していた。
焦点の合わない目でそうこたえると、僕は顔を真っ赤にした。

「さ、いくよ。あゆこ。」
そういわれて、僕は車を降りた。

どきどきがとまらない。期待と不安が、両方、最高潮に達している。


エッチな女の子の自分と、女の子としての恥じらいを覚え始めた僕が
恐怖と、期待と・・・いろんな感情を持っていた。

「真優・・・」
「なに?どうしたの?」
ゆっくりとしか歩けない僕にすこし真優はいらついているようでもあった。
「手・・・つないで・・・」
不安な気持ちを少しでも静めてほしかった。

「あゆこ・・・」
マンションの入り口・・・暗証番号を入力して自動ドアが開く。
「行こう。みんなにかわいがってもらえるよ。」
そういって微笑むと、僕の手をとって真優は歩き出した。
その顔は、お姉さんのそれに戻っていた。
そして、みだらな天使も同居していた。

みだらな天使と、お姉さん・・・二人の真優がそこにいた。
はじめて、「パーティ」に向かう僕にとっては、淫乱な真優と、お姉さんの真優・・・
その両方に手を引かれていることでとても、気持ちが静まった。

そして、あの部屋の扉が開く。
「ごめん。ぎりぎりだったね。」
「あぁ、待ってたよ。それじゃ、とりあえずゆっくりしてよ。」
迎えに出てきたのは、さっきとは違う男。これも違う人だけど、
かっこいい・・・

「へぇ、これが、あゆこちゃん、だっけ?」
「そう、あたしの親戚。初めてだから、緊張してるけどね。」

手を引かれて部屋に入ると、そこには男の子が・・・3人と女の子が7人、
もうすでに待っていた。
薄暗い部屋の中では何種類かのお酒とおつまみがテーブルの上に置かれて、
この前と同じ・・・バイブレーターやエッチな下着が・・・
部屋の中心にある大きなベッドに用意されていた。

隣の部屋から二人の男が入ってきた。
「中野・・・せんぱい・・・!」
もうひとりは、知っている顔だった。



「真優・・・」
「なに?どうしたの?」
ゆっくりとしか歩けない僕にすこし真優はいらついているようでもあった。
「手・・・つないで・・・」
不安な気持ちを少しでも静めてほしかった。

「あゆこ・・・」
マンションの入り口・・・暗証番号を入力して自動ドアが開く。
「行こう。みんなにかわいがってもらえるよ。」
そういって微笑むと、僕の手をとって真優は歩き出した。
その顔は、お姉さんのそれに戻っていた。
そして、みだらな天使も同居していた。

みだらな天使と、お姉さん・・・二人の真優がそこにいた。
はじめて、「パーティ」に向かう僕にとっては、淫乱な真優と、お姉さんの真優・・・
その両方に手を引かれていることでとても、気持ちが静まった。

そして、あの部屋の扉が開く。
「ごめん。ぎりぎりだったね。」
「あぁ、待ってたよ。それじゃ、とりあえずゆっくりしてよ。」
迎えに出てきたのは、さっきとは違う男。これも違う人だけど、
かっこいい・・・

「へぇ、これが、あゆこちゃん、だっけ?」
「そう、あたしの親戚。初めてだから、緊張してるけどね。」

手を引かれて部屋に入ると、そこには男の子が・・・3人と女の子が7人、
もうすでに待っていた。
薄暗い部屋の中では何種類かのお酒とおつまみがテーブルの上に置かれて、
この前と同じ・・・バイブレーターやエッチな下着が・・・
部屋の中心にある大きなベッドに用意されていた。

隣の部屋から二人の男が入ってきた。
「中野・・・せんぱい・・・!」
もうひとりは、知っている顔だった。


「あゆこちゃん、このパーティにようこそ。それじゃ、はじめるとするか。」
そして、さっきの運転手の男の子も、この部屋に入ってきた。

「今日は新しいゲストがいる。あゆこだ。さ、こっちにきて。」
「はい・・・」
黒いトランクスだけの中野先輩が僕を呼ぶ。
その声に逆らうことなく僕は先輩が呼ぶベッドの方へと近づく。

「この一週間で、またかわいくなったな。」
「あ・・・ありがとうございます。」
先輩の目の前で、そんな言葉を交わした。

「はじめよう。こいつは俺の高校の同級生の市川。」
「よろしく、あゆこちゃん。」
知ってる・・・僕が亮だった頃サッカー部の先輩だった。
僕が、右サイドに転向したあおりを受けて、補欠に追いやられた男だ。
そんな僕に対して、さまざまな嫌がらせをしてきた陰険な男でもあった。

思い出すだけでも腹が立つ・・・そんな男が、
中野先輩の隣で、同じように黒いトランクスだけでたっていた。

「あっちが中川、それと・・・」
これからこの場で何がはじまるのか分からない。ただ、名前の紹介を聞いていた。
「それと、女の子は、あれが、笹峰明日香、それから・・・」
えっ?

僕の時間がまた止まった。
笹峰明日香・・・飛び切りの美少女だった真優と双璧をなす高校のアイドルだった。
美しい真優と比べると、どこにでもいそうな・・・しかし限りなくかわいいタイプで・・・

薄暗くて見えなかったけれど、確かに明日香ちゃんだ・・・
真優だけじゃなく、明日香ちゃんまで・・・

「よろしく。何で私だけフルネームなのぉ?」
真優以上に・・・真優以上に清純で、彼氏もいなかったはずの明日香ちゃん・・・
近づく男たちに興味を示さず、高嶺の花という感じの真優と、
手の届きそうな・・・しかし届かない、明日香ちゃん・・・

「あゆこちゃんも、AVにでるの?」
明日香ちゃんは、僕の正体を知らずに、そんなことを聞いてきた。
「えっ・・・?」


「あたしも、それからみんな、もう撮影はすんでるんだけど、もうすぐデビューなんだ。」
よく見ると、かなりかわいい女の子が居並ぶ。

「まぁ、しずかちゃんとあたし以外はみんな企画女優だけどね。」
目も大きく、あごもきゅっと引き締まった、美人の真優に比べると、
明日香ちゃんはどこにでもいる感じの女の子だった。

今見ても、胸もやっぱり大きくないし、地味な感じがまだ残っている。
そんな彼女までいつの間にか・・・

「あ、あたしは・・・」
「ま、それはまたいつかね。」
真優がその話題を遮った。

いつの間にか全員の自己紹介が終わった。
「さぁ、やろう。」
「えっ?」

その一言と同時に3人の男たちが僕に近づいてきた。
「な・・・なんですか・・・?」
「さ、楽にして・・・」
さっきの運転手の・・・奥田くんが僕の耳元でささやく。

「ここのルールを教えてあげよう。ベッドの上で誰かがセックスするのをみんなで鑑賞するんだ。
そして、それを繰り返す。今日は、あゆこをみんなで一回ずつ味わうことから始めるんだ。」

「そ・・・そんな・・・」
次の瞬間、後ろから誰かが僕を抱きしめた。
まだ服を着ていた僕の胸にその手が伸びた。
「女の子たちはごめんな。」
中野先輩がそう言って、他の女の子たちに謝る。
「なぁに?しゅん。あたしたちもいいでしょ?」
明日香ちゃんが、そう言って部屋を笑いで包む。

「あぁ・・・ん・・・」
その、「ルール」を聞いて、その話が終わらないうちにこの部屋に来てはじめてのあえぎ声が、
僕の口から漏れた。

スカートの上から股間に手が伸びてくるのを感じた。
「あっ・・・いやぁ・・・ん、んっ」
瞬間、足から力が抜けた。



「ひゃっ!」
すると両足が宙に浮かんだ。
両足が、市川先輩と、それから・・・高井さんという・・・かっこいい、
と最初に思った男の子によって、持ち上げられた。

宙を浮かんだまま、僕はベッドに運ばれた。
「いや・・・いやぁ」
ベッドに投げ出されたことで、僕はそう叫んだ。

いやだったのは、宙からベッドに放り投げられることだった。
「あぁ、うぅん・・・」
薄暗い部屋の、ふかふかのベッドの上、僕の目の前には二人の男が寄ってきた。
急に目の前が明るくなった。

薄暗い部屋の中、ベッドの上だけが蛍光灯の白い光で照らされた。
花柄の、桜色のスカートの中に、奥田くんの手が入ってくるのが見えた。

「んぅ・・・はぁん・・・」
僕は唇を軽くかんで、これから押し寄せてくる快感の波に備えた。
「あぁ・・・あん・・・」

軽くかんだ唇は、奥田くんの手が僕の体の中心、
花園の茂みを覆う純白のパンティに触れた瞬間、もうほどかれた。

「いや・・・あぁん・・・」
パンティの上からの愛撫でも・・・いや、パンティの上だからこそ、
もうアソコが湿っているのが自分でも分かった。

「楽にして、あゆこちゃん。」
「は・・・はい・・・あぁ・・・ん」
高井くんが後ろから僕を抱えて、そう耳元でささやく。
同時に再び胸をもまれる。

下と、上と・・・一度に胸をもまれて、アソコをいじられて・・・
まだ服も着たままなのに、天国のような快感がもう始まっている。

「さぁ、腰をうかせて。」
奥田くんの一言に、僕は従う。両足で踏ん張って、カットソーにまきつけてあるベルトを自分の手ではずす。
奥田くんは、スカートを脱がせていた。
足を片足ずつ上げてそれに僕は協力する。
そして、上半身はバンザイの状態にされて、カットソーと、下に着ていたキャミソールを脱がされた。

白い下着だけになって、僕は薄暗い部屋の片隅にいる、真優と明日香ちゃんに目を移す。
二人の美少女は、自分たちの世界に今足を踏み入れる、僕を見守っている。
学園のアイドルを独走していた二人と、同じ世界へ・・・
自分が、美少女であることを・・・男から見ても美少女であることを
僕はそういう風に確認する。


「あぁん・・・」
パンティまで脱がされた僕のアソコがあらわになる。ブラジャーもはずされ、
一糸纏わぬ姿になった僕、あゆこに部屋中の目が注がれる。

「さぁ、あゆこちゃんのおまんこ、見てみようか。」

奥田くんが僕の足を開く。
「いやぁん・・・」
言葉とは裏腹に、気持ちは高ぶっていく。
後ろから、僕を抱きかかえている高井くんが、僕の顔を少し回して、キスをしてきた。

「う、ぅん」
とろけるような唇の感覚。
すぐに舌が僕の中に入ってくる。そして、敏感な口の中が刺激される。

「きゃあ、かわいい。」
「けっこう、びらびらだけど、きれい。」
そんな声がキスを楽しんでいた僕に聞こえた。

!!!
正面にある大きなプラズマに、僕の・・・アソコが大写しになっていた。
奥田くんがカメラをかかえて、僕の開いた足の真ん中に焦点を当てていた。

「あぁん・・・あぁ・・・」
刺激的な・・・しかし、甘美な出来事の連続に、アソコからの分泌物も盛んになる。
とろとろの蜜があふれ出るのを、カメラはしっかりととらえ、それが画面に大写しになる。

僕の大事な花びらに、奥田くんの手が近づくのが画面に見える。
「あぁん・・・あん・・・」
画面の中の手が花びらに触れるのと同時に、新しい官能が始まる。

「きもちいい?」
奥田くんがキスしたままの僕に聞いてくる。
「ふぅん・・・あぁん・・・」
上の口と・・・アソコと・・・押し寄せる快感に耐えながら僕は首を縦にふる。

「素直だね。かわいいよ。あゆこちゃん。」
女の子の扱いがうまい・・・二人の手で僕は高みに押し上げられていく。
「あぁん・・・あぁん・・・」
アソコに新しい感触が走った。
「ふぅん・・・はぁん・・・はぁぁぁん」
唇が解放された。意外に苦しかったのか、僕はもう、呼吸が乱れていた。
見ると、僕の股間は奥田くんの舌が舐めていた。



「あぁん、あぁん・・・」
そして、自由になった口からあえぎ声が自由に漏れ始めた。

「さぁ、口が遊んでるぞ。」
市川・・・くんが、そういうと、僕の前に立った。
トランクスのまま、僕の手を自分の股間に運んだ。

誰が・・・こんな男の・・・
亮としての記憶が、一瞬、この「先輩」にまで陵辱されることを拒んだ。
しかし、触った瞬間、少し硬くなる「先輩」のアソコ・・・
その硬さが僕の心をまた一つ壊した。

「あむっ・・・あん・・・」
トランクスの上から、硬くなりかけの肉棒を舐めようとする。
市川・・・くんが、あゆこにフェラチオしてもらうために、自分からトランクスを脱ぐ。
目の前に硬くなった肉棒が現れた。

「ほら、しゃぶってよ。」
「はいっ。あぁん・・・」
生涯で、二本目の肉棒が僕の口に入ってくる。
技術のまだない僕は、夢中でしゃぶる。
「おぉ・・・きもちいい」
市川くんが・・・そう言って、ぼくの頭をなでる。
「あぁん・・・ぅん」

ほめられて、頭をなでられると、なぜか安心感が襲う。
僕はなおもアソコを攻められながら、市川くんをしゃぶる。
胸は高井くんがもんでいる。乳首をつまんで、柔らかい乳房をゆっくりともんで。

市川くんが自分で腰を使い出す。
フェラチオが気持ちいい。口の中が気持ちいい。

「あぁん・・・あぁん・・・」
アソコと、胸と、口の中。
三つの違うリズムで快感が襲ってくる。どうにも処理できない僕は狂ったように、
口と肉棒の狭い間からあえぎ声を何とか漏らし続ける。

「さぁ、そろそろいいだろう。」
奥田くんがそういうと、3人の男はそれぞれの手を止める。

「僕が最初にいただくよ。いいよね。」
奥田くんが二人に確かめるようにそう聞く。
「さぁ、あゆこちゃん。楽にして。」
奥田くんはそういうと、裸になって、僕の足を再び開いた。


「はい・・・」
もう、期待に胸がはじけそうな僕がそうこたえる。

その時、中野先輩と目があった。
「奥田、まだ二人目だからな、ちょっとは手加減してやれよ。」

「はいはい。さぁ、ちょっと痛いかもしれないけど、最初は。」
この淫乱女!
そう、先輩の目があざ笑っているような気がした。

「さぁ、これ、どうするの?」
奥田くんが僕の目の前に肉棒を見せ付けて、聞く。
「い・・・いれて・・・ください・・・」
反射的に僕はそう答えた。
恥ずかしさが言葉をにごらせたけど、でも、最後まで言えた。

「さぁ、行くよ。」
理想のAV女優・・・セックスするための女のカラダ・・・
僕は先輩の望みどおりの女なのかもしれない。
でも、一週間前、嬉々として処女を捧げた先輩の目の前で
二本目の肉棒を受け入れることは、少しだけ女として恥ずかしいことのような気がした。

「あぁん・・・いたぁ・・・いたい・・・」
その羞恥心も、結局は僕の心を高ぶらせてしまう。
マゾヒストの嗜好が、僕に植え付けられているのかもしれない。
それが、「理想のAV女優」の要素のひとつなのかも・・・

「あん・・・ふぅん・・・」

そして、新しい世界が始まる。
「さぁ、最後まで入ったよ。」
奥田くんは手にカメラを持って、結合部を映し出している。
寝ている僕には見えなかったが、モニターに僕の恥ずかしい部分が大写しになっている。
きっと、嬉しそうに男をくわえ込んでいるのだろう。

「あぁん・・・あぁん・・・いたぁい・・・あぁん」
不思議な・・・気持ちだった。
痛みはあるが、気持ちいい。でも、痛い、といってしまう。でも、気持ちいい。
「あゆこちゃん。どうなってるの?ここ。」



「はいってるの・・・」
「なにが?」
「おち・・・おちんちんが・・・奥田くんの・・・おちんちん・・・」

「きもちいい?」
奥田くんはそういうと、体位を変えた。

すごく、自然な行為だった。
こうやって、先輩はたくさんの女の子を、
AV女優へと落としてきたのだろう・・・そんな考えは一瞬だけ浮かんでは消える。

バックの体勢で、カメラは僕のお尻から背中を映し出す。
そして、僕の顔はモニターを向く。

その弓なりのカラダがはっきりと僕にも見えた。
「きもちいい・・・あぁん・・・おおきい・・・」
女のカラダ・・・確かに・・・画面の中で同時に動く僕の体は
小さな、女の体・・・少女の体だった。
スレンダーで、弓なりになる、背中からでも気持ちよさそうな・・・淫靡な光景だった。

「それ、あぁ、きもちいい。」

そして、モニターには違う光景が映し出された。カラダ中に官能が走っていた。
僕の正面からの画像だった。

「あぁん、あぁん・・・」
普段、鏡で見る、整った美少女の顔が、しまりなくゆがんでいた。
「あぁん、いやぁん・・・きもちいい・・・」
その顔は、それでも、確かに幸せそうで、体を支配する快楽を何とかしようと
頑張っている。
「ああん、あん、ぅうぅん」

みだらな天使と同じように、ビデオの中の真優と同じように、淫乱な自分をカメラの前にさらけ出している。
それが、僕自身だった。

「さぁ、俺もお願いしようかな。」
その画面を映し出すカメラを持った、市川くんが、再び僕の口にその肉棒を差し出した。
「あぁん・・・あぁん・・・」
バックの体勢のままフェラチオが始まった。

騎乗位に体勢を変えても、同じように市川くんと、そして、隣に高井くんもあらわれて、生涯で3本目の肉棒を、市川くんのそれと交互にしゃぶることになった。

「あぁん・・・きもちいい」
言葉がない・・・他に言葉が見つからない。
目をまわりに向けると、それぞれにみだらな行為が始まっている。
中野先輩は、別の女の子と股間を愛撫しあっている。
真優は自分の股間をまさぐっていた。



そして、モニターには、3本の肉棒に陵辱される僕が映し出されている。

「さぁ、でるぞ。あ、あ」
そういうと、市川くんが僕の胸に白く濁った液を発射した。
「あぁん・・・あぁん・・・」
先に退場した市川くんに続いて、僕は奥田くんとのセックスと、
高井くんへのフェラチオに集中する。

3本の肉棒が2本になっただけでも、楽になった気がする。
鼻には、市川くんの放った液体のにおいが・・・僕の性欲を誘う。

「あぁん・・あぁん・・・」
「そろそろ、もう・・・」
奥田くんの要求で、再び、バックに変わる。
「あぁん・・・うぅん・・・」

何度も突かれ、僕も・・・気持ちよさがピークになってきた。
「あぁん・・・きもちいい・・・」
まだ、エクスタシーを知ることはなかったけれど、でも、きっとそれに近いところまでは
到達しているような気がする。

「さぁ、でるぞ、」
「お、おれもいくぞ!」
「あぁん・・・あぁん・・・」

次の瞬間、顔に高井くんの精液が発射され、同時に、
アソコから肉棒が抜けたと思うと、
背中に温かいものが発射された。

「あぁん・・・はぁん・・・」
宴の第一幕は終わった。

顔にかかった高井くんの白濁液・・・温かい感覚だけをのこす奥田くんのもの・・・
カメラはそんな僕の全身を映し出す。

そして、高井くんが、ティッシュを持って僕の顔と、体を拭きに着てくれた。
「はぁん・・・あぁん・・・」
快感が終わって、ベッドにへたり込んだままの僕の体をやさしく抱き起こして、
快楽の跡をぬぐう。

「きもち・・・よかった・・・」
その顔が・・・柔らかな笑顔が、モニターに大写しになる。
「ほら、まだひくついてる。きもちよかったんだね。」
「は・・・ふぅん・・・いじめないでぇ・・・」


再びアソコを大写しにされる。
画面の中では、みだらな行為を楽しんだ花びらが、蜜を滴らせながら悦びを思い出している。
僕の心とは、理性とはかかわり無く、勝手に。

その主である僕は、顔を赤くする。
「はずかしい・・・」
そういって足を閉じて、アソコを隠す。
羞恥心・・・女の子として、性器を人の前にさらすことに、恥ずかしさを感じた。

女の子らしい、恥じらいの気持ちが、生まれつつあるのを感じた。
三人の男の子と同時に交わった・・・そのときに、僕は女の子として
成長を始めている自分に気づいた。

でも、確かに、大写しになっているいやらしい花びらは、僕のものだ。
そのありさまは、僕が、何者であるかを、雄弁に語っていた。
そして、自分が、真優と同じ淫乱な天使であることを・・・思い知らされたのだ。

そして、高まった気分とはいえ、市川・・・先輩のモノをしゃぶって、
射精まで体で受けたことが少しずつ悔しくなってきたのだった。

ぼう、っとした快感のあとの感覚と、軽い屈辱・・・
まだ、全てを感情の中で処理できないまま、宴は続いていく。

僕の顔の前に、今まで僕の中に入っていた
奥田くんの肉棒が現れた。
「はぁん・・・」
僕の蜜壷からあふれ出た汁が、彼の肉棒から出た白濁液と混ざり合って、
不思議な匂いが僕の小さな鼻まで届く。

目を閉じて、その肉棒にしゃぶりつく。
目の前に差し出されたことの意味を知らない僕ではなかった。
両手が閉じた足を離れると、新しい手が、その足を開く。

恥ずかしさと、奥田くんの・・・今まで僕の中で暴れていたものをしゃぶる
にがくてしょっぱい、ぬめっていて、口の中でしつこい、
そんな液体が口の中を駆け巡る。

口の中を犯される・・・恥ずかしくて、それでも気持ちいい。
不思議な感覚・・・恥ずかしさと快楽の両方を同時に感じてしまう僕の心は、
その恥ずかしさを犯される感覚も、快感として処理しようとしている。



「あぁん・・・」
新しい手が、アソコにふれる。テレビに大写しになっているであろう、その部分から
目をそらして、目を閉じていた僕の口からあえぎ声が再びもれる。

恥じらいを覚えたばかりの少女とは思えないほどのセクシーな声が・・・

僕は、このパーティでのデビューを果たした。
でも、宴はまだ始まったばかりだった。

さっき、紹介されたけど、名前も忘れてしまった別の男が僕の股間をまさぐっている。
「ふぅ・・・ん・・・」
口をふさぐ奥田くんのあそこから解放された僕に、もう一人、中野先輩が近づいてきた。

「せん・・・ぱい・・・みないで・・・」
今から一週間前に、僕の処女を悦びを持って捧げた先輩と
目を合わせることが出来ない。

恥ずかしい・・・先輩が見ていることは知っていたとはいえ、
目の前で・・・他の男と・・・しかも3人もの男の子と
同時にエッチなことをして、そして、感じてしまった。
乱れてしまった。

先輩に対して・・・わずか一週間前に捧げた処女・・・
そのあと、わずか一週間とはいえ、乙女の気持ちで先輩を思っていたことを
見透かされ、そして、ぼろぼろに陵辱された。
先輩以外の男によって、しかし紛れも無く先輩の意思で。

芽生え始めた女の子としての気持ちごと。
その陵辱に応えて、だらしなく感じてしまった自分は、先輩と目を合わせられない。
バックで突かれているときに画面に映った自分の、
快感によがりくるった、美少女のあへ顔が・・・先輩の整ったマスクと対比して思い出される。

「あゆこ、気持ちよかったか?」
「は・・・はい・・・」
新しい官能を女芯に受けながら、目を背けたまま、僕は正直に答えた。

「お前はルックスも最高だし、体も最高級だ。淫乱女の才能もある。
これからお前をゆっくり育ててやるからな。今日は思いっきり感じて、たのしめ。」
「・・・はぁん・・・はい・・・」
相変わらず、先輩の優しい目を直視できない。


そう、ちらっと見ただけでも僕に陵辱の限りの先輩の目はやさしく映った。

「いや・・・あぁん・・・」
先輩が僕の目の前に仁王立ちになって、フェラチオを要求してくる。
素直に従う僕の、このパーティでの第二幕が上がった。

朝まで解放されることの無い、僕のカラダ。
その中心では新しい男の指が尽きることなく分泌される液体を搾り出し、
僕は一週間前に処女を捧げた先輩の肉棒を一心不乱にしゃぶる。
「はぁん・・・あぁん・・・」

「もっともっと淫乱になるんだ。分かったな。」
「は・・・はひ・・・あぁ・・・ぅん・・・」
言葉にならない答えをして、僕は行為を続ける。

もっと、もっと淫乱になる・・・意味も分からず頭の中で先輩の命令を
繰り返していた。
淫乱な女でいいんだ。そう認めることで恥ずかしさから解放されて、
もっと気持ちよくなれるような気がした。

何人もの人たちに見守られながら、陵辱は限りなく続いた。
この「パーティ」の一員になったことに悦びを感じてしまっていた。




あの「パーティ」がうそのような、普通の少女としての日常が始まっていた。

合わせて10人以上の男女が参加して、みんなに見守られながら一日で6人の男の子とセックスした、パーティの一夜から、1週間がたっていた。

明日香ちゃん・・・真優だけではなく、それ以上に清純な同級生の少女を中野先輩は同じように淫乱女に変えて、AV女優にまでしてしまった。

われを忘れてよがり狂う明日香ちゃんの姿は、真優や自分の姿と同じくらい、いやひょっとするとそれ以上にショックで、頭の中から消えなかった。
明日香ちゃんは、きっと真優に負けず劣らずの人気が出るだろう。
同級生としては、ちょっと切ないことだった。

それでも、パーティが終わると、普通の女の子としての日常が戻ってきた。
大学の授業が二週目に入り、僕はアルバイトを探し始めた。
普通の女子大生の生活をたのしみ始めていた。

パーティは、一ヶ月に一度、開かれている。
つまり、それ以外のときは、僕は、普通の女の子だった。

AV女優としての活動が始まるまで・・・それがいつになるのかは分からないが
「すくなくとも真優と明日香の人気が少し衰えてからだな」
という先輩の言葉からすると、普通の女の子として青春を楽しむ時間は
まだ結構残されているはずだった。

今年に入ってからデビューして、空前の人気を誇る真優と、
デビューの前に出たグラビアからすでに前評判に火がついた明日香ちゃんの二人は、
男子高校生だった僕の同級生でもあった。

真優は僕の正体も知っている。親戚ということにして、一緒に住んでいる。
朝起きて、真優と朝ごはんを食べて、女性専用車両の電車に乗って学校に行く。
大学では女の子ばかりだから、男の視線を意識することも無い。

自分が男であったことはここでは問題になどならない。
女の子として、楽に振舞うことが出来る。そして、友達との会話を楽しむ。

「男」は外の世界の生き物だった。
男のことなど忘れて生活が出来た。


たまに、行き帰りや、街で遊んでいると男の視線を意識したり、
ナンパをかけられたりすることもあるが、
基本的には断るし、男と無縁の生活を送っていた。

その生活に、少しだけ変化があったのは、大学に来た初日に参加した
サッカーサークルに呼ばれて、また参加したときのことだった。
最初に少し見学してから10日間、連絡先を教えたことすら忘れていたのに、
電話がかかってきたとき、もう一度行ってみようと思ったのは、
単なる「気分」に過ぎなかった。

4月も下旬にさしかかろうというある日、僕は女の子になって初めて、
ジャージを着て、グラウンドに立った。

「うわ・・・うまいな、あの子。」
「かわいいだけじゃないな。すげえ、負けるかも。」

男の子たちと混じってプレーするわけではなかったが、
どっちみちほとんどの男子は相手にならなかっただろう。

僕の感覚は完全にはなくなってはいなかったし、女の子の体に少しずつ慣れてきて、
身のこなしも軽やかだった。
筋肉は少なくても、その分身も軽い。
体力もないけれど、久しぶりのサッカーが楽しかった。

そんな僕にひときわ熱い視線を送っていたのが、前田くんだった。
前に来たときに、転んだ僕の手を握って起こしてくれたあの男の子だった。

本来男だった頃の僕と同い年の前田くんは、
このサークルの中心となっている大学の2年生で、このチームの中ではたぶん一番うまい。
この日、遅れてきた彼は、控えめ動きしかしなかったが、レベルの違う基礎力は
僕の目には一目で分かった。

それはそのはずで、彼は高校時代、全国大会にまで出てきたチームのレギュラーだった。

俺、○○高校で全国大会まで行ったんだ。あと一息で国立までいけたんだけどね。
「えっ?・・・すごいですね・・・」
覚えていた。その高校は僕や中野先輩がベスト16で下した相手だ。


2年生のときだ。3年生のときも、インターハイまでは出ていたはずだ。
「いや、僕は途中からだったけどね。何もできないまま終わっちゃった。」

僕も、ちょっとこの人と話してみたいと思ったから、
練習の後の飲み会までついていった。
互いに、僕の隣に座ろうと牽制しあっているのが分かった中で、
斜め前にちょこっと座っていた。

「そんな、それでも十分すごいですよ。」
記憶がよみがえる。あぁ、あの試合で15番をつけて同点の後半20分から出てきた選手だ。
何度も彼を基点にしてピンチを迎えた。

それで・・・最終的には勝ったけど、あの試合に確かに彼はいた。
「今は、ここでしかやらないんですか?」
「うん。俺みたいな小さいのは体育会じゃ通用しないよ。」

確かに、彼は体はあまり大きくない。
大学まで行って体育会のサッカー部にまで入って続けなかったのは、懸命だとも思う。
「もっとすごいやつもたくさんいるのが、あの正月でよく分かったよ。」

同じだ・・・僕もそう感じていた。
特に、○○高校との試合の時には、それぞれの県で一番の進学校どうしだったこともあって、
試合が始まった後、そのショックが大きかった。

勝ちはしたものの、要するに中野先輩の才能が最後に光って勝っただけのことだ。
彼らのチームワークには恐れ入った。
むしろ、負けたと感じたのは僕の方だった。

すっかり意気投合した僕と前田くん。
正体は明かせないけれど、話していて楽しかった。

僕の方から彼のメアドと携帯の番号を聞いた。
僕の携帯は、「件名が少なすぎるのも不自然だ」という理由で
ほとんど意味の無い人間のデータがたくさん入れられていた。
中には実在しないものすらある。

そんな中、彼の名前を入力して、、
彼からの電話とメールにそれぞれの着信を割り当てる作業が、とても楽しかった。



家に帰って、何往復もメールのやり取りをした。

一言で言えば、ときめきを感じていた。

先輩に処女を捧げたあの日とは、一味違う感覚だった。

毎日のように、メールで、電話で他愛も無い話を重ねるようになった。
その一方で、戸惑いも感じていた。

当然、僕自身の正体と、決められた未来のことだった。
女の子に変えられた、元は男であり、
女の子として目覚めたその日に処女を奪われ、
女の子として、男だった自分の葬式でそれまでの自分に別れを告げ
女の子として10日目には、パーティに参加し何人もの男とセックスした。

間もない未来には、AV女優としてデビューすることが、決められている僕。
セックスのための道具、オナニーのためのみせものとして生まれた僕。

そんな僕が、何も知らない女子大の1年生を演じていることが、
許されることではないことくらいは分かっているはずだった。

それでも、女の子としての僕は、急成長していた。
ときめきをとめられなかった。

ゴールデンウィークの前半に初めて二人で会った。
何のことは無い。練習のときの忘れ物を届けてもらって、
カフェで二時間コーヒーを前に
いつもと同じおしゃべりをしただけだ。

後半の4連休、彼は実家に帰り、僕は東京で過ごした。
そのうち一日、突然パーティに連れて行かれた。

月一回開かれていたパーティがその日にあっただけだ。
この前と同じように、何人もの男とセックスしたし、
何本もの肉棒をしゃぶったし、何度も何度も陵辱を受け、
あゆこはエッチ大好きです。と言ったし
「淫乱なあゆこのおまんこ見てください」と言って自分から足を開き、アソコの穴を広げさせられたりもした。

先輩への思いも変わっていないことも分かった。
でも、それとは別に、新しいときめきが、すごく高まっているのも、分かった。



「どうしたの、あゆこ?」
パーティの終わった朝、自分の携帯に入っているメールを見て、涙を流す僕に
真優が優しく語りかけた。
「なんでもない・・・なんでもないの。」

僕は泣いていた。
夜の間に、田舎での出来事に「おやすみなさい」の一言が添えられていた前田くんからのメールを見たら、
自然と涙があふれ出てきた。

その切なさを言葉で表現しきることはとても出来ない。

あたしみたいに、どうしようもない女に、そうとは知らずこんな純粋なメールを送ってくる彼と、
その彼にときめいている自分自身、その両方が切なすぎて、涙が止まらなくなった。

こんな女でも、守りたいものが出来てしまった。
そのことが、いくら後悔しても足りないような結末を迎える、つらいつらい道の始まりだと、
そのときの僕が気づくはずが無かった。

ただ、彼との関係を守りたい、
そして、前田くんに・・・彼に、守ってほしい、といつしか思うようになっていた。

女の子としての僕は、まだ成長途上だった。

中野先輩と会うのは、パーティが一ヶ月ぶりだった。
そして、次の日からまた放置される。
アルバイトも始めた。忙しさの中で、真優とも朝、
あわただしい中で挨拶を交わすくらいしかコミュニケーションが無くなっていった。

真優は、二日、三日と家を空けた。
メールでそのことを伝えてはくれるが、それを了解したこと以上の会話は、
いつの間にか少なくなっていった。

その一方で、普通の女の子としての僕の生活は軌道に乗り始めた。
アルバイトは、女の子の多そうな職場を選んだ。
それでも、男の人はいる。何人もの男の人から声をかけられて、その度に断っていた。

サッカーのサークルでもそうだった。断り方も板について来た。
最初は大変だったが、5人目くらいからなんとも思わなくなった。


それは、断る理由があったから・・・前田くんがいたからだった。

その前田くんとは、相変わらず一日に何往復もメールが往復していた。
サークルの練習には週二回、欠かさず参加した。
前田くんに会えるからだった。彼も、いつもあたしに笑いかけてくれた。

肝心の、大事な一言は何も無いまま、楽しい時間だけが過ぎていった。
そんな風に僕の5月は過ぎていった。

そして、5月も下旬のある日、
僕にとって忘れることの出来ない物語が本当に幕を開ける日がやってくる。

「明日、僕と**ランドに行きませんか?」
妙にあらたまった調子で、前田くんから電話がかかってきたのはその前日のこと。
「う・・・うん。いいよ。じゃ・・・じゃあ、え・・・と、何時にどこに行けばいい?」

一日かけてのデートは、女の子として生まれ変わってから初めての出来事だった。

僕にとっても、わずかではあるけれども、バイトの給料が始めて出た直後のことで、
一日遊園地で遊ぶくらいのお金はあった。

「ど・・・どうしよう。何をきていこうかな・・・」
僕は、前田くんがなかなかデートにも誘ってこない、告白もしてこないことに、
実は少し安心していた。

僕みたいなとんでもない女と付き合うようなことになったら、
前田くんにとって、どんなことになるか・・・考えないわけにはいかなかった。
でも、いざ、デートに誘われると、断ることなど出来なかった。考えもつかなかった。

うきうきした心がとまらない。
急速に成長する「女の子」は理性では止められない。
明日、何が起きても、後悔しない。走り出した18歳の恋心は、
普通に、僕でなくても、誰もとめることができないだろう。

シャワーを浴びたあと、全身を鏡に映して、思う。
この美少女の真実を知っても、彼を止めることも出来ないだろうと。
あたしを、彼は奪ってくれるはずと。

卑怯な僕は、もう自分への言い訳を始めていたのかもしれない。

夢のような日々は、幕を開けた。

おはよう!
待ち合わせの駅の改札、朝7時に五分前に着いた僕よりも早く、彼は来ていた。
「おはよう。あゆこちゃん。」


外で遊ぶのに、動きやすい格好を、
と思ってエメラルド色のTシャツの上から夏用の白いジャケットを羽織った。
真優から無断で借りた、ベルトというより紐で、腰をしばって、首には何もつけなかった。
靴はスニーカーで、
どちらかというとお嬢様系のファッションで通して、
サッカーするときだけ着替えていたあたしにしては、珍しい格好だった。

少し伸びてきた髪の毛をアップでまとめて、水色のリボンで止めた。
膝までのスカートは、白地に水色のグラデーションで斜めにストライプが入っていた。
そこから伸びるのは、少しでも動きやすいように、ヒールの無いサンダルへと伸びる
白い足。

どこかで、自然にして、どこかで彼に見せることを意識して・・・
お化粧もいつもよりうまく出来た。でも不自然かもしれなかった。
時間がかかって、遅れるかと思った。でも、5時に起きて準備したおかげで、間に合った。

「あゆこちゃん・・・かわいいよ。」
きゅん、と胸がはじける一言で一日が始まる。

待ち合わせの駅までは二駅あった。朝から結構人が乗っていた。
いつもより肌の露出が多いからか、男の人の視線も熱かったような気がする。
でも、彼と会ったときから、そんな男の人たちからの視線からも
守られているような気がする。

朝ごはん食べた?
「かるくね。まえだくんは?」
僕はまだ。むこうに突いたらどこかでちょっとだけお茶でも飲みながらなにかたべてもいい?
そんな、し合わせない会話がつづく。

一日中、遊んだ。
行き着く暇も無いほど楽しかった。
待ち時間の会話も、ジェットコースターでの彼の怖がりようも、
お昼に食べたサンドイッチのソースが彼のほっぺにしばらくついていたことをなかなか指摘できなかったことも、

楽しくて楽しくて、仕方なかった。
帰り道、彼の家よりも遠くにあるあたしの駅まで、彼は送ってくれて、
少し遠回りして送ってもらおうと、あたしは考えた。

だから、いつもと反対側の北口に下りた。
その日何回目の休息だろう。
その北口にある深夜営業のファミレスに誘われた。


禁煙席で、夕ご飯を食べることも無く、
閉園まで遊びまくったあたしたちは、スパゲッティを注文して、それを食べた。

あたしが食べ終わる頃、前田くんは意を決したように、姿勢を正して、
「大切な話があるんだ。」
と、言う。

ついに来るべきものがきた。
「あゆこちゃん。僕と、正式につきあって、くれませんか。」
その真剣な目つきとストレートな言葉に、不安が割り込む余地は無かった。

「は、はい!よろこんで!」
嬉しかった。幸せだった。彼の終電ギリギリまでそこで語り合って、
次の日から始まる、彼氏と彼女の日々へと備えるように、
それぞれの家に戻った。

告白を即答で受け入れたあたしたちが、
次の日から、時間をひねり出して毎日のようにどこかで会い始めたのは、
むしろ当然のことで、わずか二駅の道のりは障害には短すぎた。
運がよかったともいえる近さだった。

今考えれば、毎日会うことで、カフェやら、ファミレスやらの会計がかさんでいった。
そのことが次のステップにつながるのだと思う。

バイトで遅くなり、前田くんと会ってから帰った僕に、真優の書置きがあったのは
6月の中旬のことだった。
『今日は、パーティなので帰りません。いつもみんなが来るわけじゃないから、
あゆこは気にしなくていいよ。あさってまでげんきでね。 真優』

はっ、とした。パーティのことなど、どこかにすっ飛んでいた。
いや、忘れたかっただけかもしれないけれど。とにかく
6月はまだ「パーティ」が無かったことを気にすることも無く、時間が過ぎていった。

でも、『気にしなくていいよ』という言葉を僕は鵜呑みにした。
それどころか、女の子として生まれ変わった時からの宿命から、
逃れられたような気すらしていた。

見てみぬふりをしていた。
僕の、淫乱な運命を。

ひょっとして、先輩にかまってもらえない寂しさを紛らわすためだったかもしれない。
ひょっとしたら、あてつけだったのかもしれない。
でも、本当の、恋心が、いつのまにか芽生えていた、とおもう。
今でもそう思う。ひとりの、普通の女の子として、成長を続けていた僕だからこそ。


そして、次の日、彼の住む駅で待ち合わせたときに、前田くんは突然こういった。
「ねぇ、僕の部屋に来ない?」
どきっ、と胸がなって、ばくばくと音を立てるようにあたしは動揺した。

「あ、あたし・・・まだ、心の準備が・・・ごめん。」
全てを凝縮した答えを、彼に返した。

その日はコーヒーを飲んだだけで帰った。
帰り道、駅の近くで、
「ねぇ・・・ごめん。でも・・・」
その日、あたしの答えのせいで少し彼は機嫌も悪かったし、
どうしていいか分からないような気まずさが二人の間を流れていた。

考えてみれば、あたしが勝手に誤解して、彼の気を悪くしただけなのかもしれない。
その失敗を挽回するのには、何か、別のものを差し出すしかない、と、あたしは思った。

「前田くんのこと、大好き。だから・・・」
そういって、手を前に組んで、目を閉じた。

彼の優しい手が僕の髪にふれ次の瞬間、抱きしめられ、くちづけを受けた。

あまずっぱい、というのは本当だった。
マシュマロのような、柔らかい感触・・・そしてとろけるようなショック。
一歩、先に進んだ二人がいた。

何日か後、サークルもバイトも無かった日、待ち合わせの場所であたしは自分から切り出す。
「ねぇ・・・前田くん。この前はごめん・・・それで・・・」
「な、なに?僕はもう気にしてないよ。」
「い、いや、そうじゃなくて、あの・・・もう、心の準備が出来たから・・・」

考えてみれば、彼の部屋に行ったからといって、
セックスすることが決まっているわけではなく、
キスを許したのは、その日の気まずい空気を振り払うためだった。
彼にしてみれば、部屋に誘ったことを、勝手に誤解されて、いい迷惑だったかもしれない。

それを完全に払拭するには、自分から次のステップを踏み出すしかないような気がした。
でも、本当は・・・1か月半も男に抱かれていない、
みだらな心を、みだらな女の子を、彼に満たしてもらいたかったのかもしれない。


とにかく、新しい緊張をかかえたまま、彼の部屋へはいった。
「どうぞ、散らかってるけど。」

軽く二人で掃除をした。隠したにもかかわらず、
エッチな本やビデオも発見したけれど、むしろ緊張を溶かす笑いをつくった。

「ねぇ。ごはん、つくろうよ。お買い物いこう。あたし、料理はそんなに出来ないけど、二人で何か作ろう。」

二人でトマトソースのスパゲッティを作って、食べた。以外においしく出来て、さらに笑顔が増した。

緊張の中、彼がついに迫ってくる。
「あゆこちゃん、キスしていい?」
彼とのキスは何度かかわしていたが、この日は意味が違った。
こくんとうなずくあたし。

キスの後は、決まっている。
「ねぇ、聞いてほしいの。」
あたしは、正体を明かすことの出来ない自分の真実のかけらだけでも彼に伝えようとする。

「なに?」
「あ、あの、あ・・・あたしは、実は、初めてじゃないの。
だ、だから・・・気にしないで。っていうか・・・それでもいい?」

かれは一瞬目を丸くしたけれど、
「そ、そんなの全然関係ないよ。僕も・・・ぼくもだし。そ、そうだ、シャワー浴びてきてもいいかな・・・」
「う、うん。あたしも浴びたい。」

初めてのデートのときと同じスカートに、梅雨の中休みで暑かった今日は
キャミソールと七分袖のジャケットのあたしは、先にシャワーを浴びさせてもらった。

おちつけ・・・あゆこ・・・そうシャワーの中で言い聞かせても、緊張はやまなかった。
あたしはちゃんと、服を全部来てもどり、続いて、彼がシャワーを浴びる。

そして、彼がシャワーを浴びる間も、ずっと、どきどきしていた。
逃げ出したくなるくらい。でも、逃げ出さなかった。

ユニットバスのドアをノックして、彼と話そうと思った。
逃げ出そうと思えば逃げ出せるこの時間。そうではないことを証明したかった。

「ねぇ、前田くん・・・」
シャワーの音が止まる。
「な、なに?」
「あの・・・なんでもない・・・ただ・・・はやくお話したくて・・・」



どこまでもいじらしいあたしがいた。
ユニットバスの目の前で待っていたあたしに、
「ねぇ、あゆこちゃん。もう、でるから・・・」
「あ、あの・・・いいの。そのまま出てきて。もう、気持ちは決まってるから。」

あたしは、服をしっかり着て自分が出てきたことに軽い罪悪感を感じていた。
新しい不安が生まれていた。
彼は、あたしが逃げてしまうんじゃないかと心配していないかと。

その結果、体を拭いて出てきた彼はもちろん素っ裸で、
アソコはすでに大きくなっていた。

「あゆこちゃん・・・ごめん、でも。」
「わぁ・・・すごい・・・」
どうしても、股間に目がいってしまう。
「ご、ごめんなさい。まってるから、いいよ。はやくきてね。」

あたしは、ただ、罪滅ぼしの気持ちだったのに、
どうしても次の展開を早めるような言葉を発してしまう。

逃げ出すようにその場を立ち去るあたし。
でも、狭い彼の部屋で逃げ出す先はベッドのある部屋しかない。
その片隅でちょこんと座って、そのときを待つ。

「あゆこちゃん・・・かわいいよ。」
そういって、彼が近づくと、僕は立ち上がる。
抱き合ってくちづけをかわす。

「うぅん・・・はぁ・・・」
もう、気持ちよさをムリに我慢しなくてもいい。
甘美な時間を思い切り楽しもうと決めた。

「やさしくしてね」
潤んだ目で彼に話しかける。背中を抱きとめた彼が、あたしを、
小さなパイプベッドに押し倒す。

あたしの上に乗っかって、胸に手をかける。
キャミソールの上から、ゆっくりと胸をもむ。
「ぁ・・・あん」
僕が今まで経験してきたものと比べると、つたない、と感じた。
他の男との比較は、彼に対する最大級の罪だ、と思う。
でも、だから、彼の感覚を最大限に感じようと感覚をとぎ澄ませた。

淫乱な自分をさらすことに、淫乱な自分がばれることにまだ恐怖を感じていた。
顔をだらしなくゆがめるあたし・・・
技術はともかく、恋愛のステップを経てきた彼とのエッチは、
今までのものとは全然違うように感じた。



「あっ・・・いや・・・そこは・・・」
スカートの中に彼の左手が入ってきた。

かるく、その中心に触れる彼の手を感じて、あたしの興奮は高まる。
「あ・・・はぁん・・・」
くね、くねと体をのけぞらせてその感覚から身をそらそうとするあたし・・・

彼は、その度に一瞬躊躇する。
「いいの、だいじょうぶ」
あたしはその度に彼の心を引き止める。

スカートの中から、パンティの上から懸命にアソコをまさぐる彼に、あたしは、思い切って
「ねぇ、いいんだよ。スカート脱がせて・・・」
と潤んだ目でお願いする。

少しのじれったさと、初々しいせつなさ。
いわれるままに、スカートを脱がせる彼。そして、
「直接触ってもいいの。前田くんの女になるつもりで、今日は来たの・・・」
あたしは、あたしなりの覚悟を伝える。
「あゆこちゃん・・・」

彼の手がパンティにかかる。
あたしは自分で上半身のキャミソールとブラジャーを脱ぎ、二人とも素っ裸になる。

直接、彼のぎこちない手があたしのアソコにふれる。
あたしは、彼の手を気持ちいい場所に導く。
「ねぇ。あせらなくてもいいの。ゆっくりきもちよくして・・・」
「うん・・・がんばるから・・・」
「あ、あぁん・・・ふ、ん・・・」
テクニックではない。彼に触られているという事実があたしを高める。
女の子として、また少し成長する。

「はあ・・・あぁん・・・」
乳房が、さっきよりもすこしぷくっと膨らむのがわかる。
彼は精一杯、アソコをまさぐりながら、胸にも手を伸ばす。
「あぁん・・・・いぃ・・・」
気持ちいい。そう、心のそこから感じる。
目を閉じたりあけたりしてその感覚を楽しんでいた。

僕の中に流れる淫乱な血は、大切な彼氏の前でも、次々と新しい刺激を求めてしまう。
切ない恋心と恥じらいの心が、その欲求を押さえ込んでいる。
少なくとも、彼に抱かれていることは、それ自体天にも昇るような心地だった。

「あ、あたし、口でしてあげる・・・」
口を突いて出た、淫乱なあたしの本能。


胸をもまれて、アソコをまさぐられて、自分から彼に奉仕する気持ちが芽生えてきた。

「あ、あゆこちゃん・・・そんな・・・」
「いいの。あたしは、前田くんのものなの・・・」
その一言が彼の心に刺さらないはずは無い。

次の瞬間、あたしは起き上がって、彼の股間に手を伸ばす。
「あゆこちゃん・・・きたないよ・・・」
「はじめてなの?」

「う・・・うん。」
「じゃあ、あたしに任せて。お願い。」
自分からおちんちんをしゃぶるような女は嫌われてしまうかもしれない。
そんな不安も、衝動には勝てなかった。

彼の肉棒をこの口でしゃぶって、気持ちよくしてあげたいという衝動。
淫乱な血がそうさせるのか・・・止められなかった。

ちゅる、ちゅる・・・と音がする。
あたしは唾液をいっぱい分泌して彼のアソコにしゃぶりつく。

「あ、あぁ・・・きもちいい。」
すぐに声を上げる彼がとてつもなくかわいく思えた。
「だ、だいじょうぶ?」
その唐突な反応に僕は少したじろぐ。

「あ、とっても、きもちいい。もっと、して・・・」
あたしは、女の子として生まれ変わって、
初めて男の子をリードしていた。

ちゅる、じゅる・・・おしゃぶりを続ける僕。
裏すじをなめて・・・舌の上で亀頭を転がす。
淫乱女にしかなしえない技だ。
もう、これで終わってしまってもいい。彼を気持ちよくさせてあげた。

一ヶ月以上、溜め込んでいた淫乱な僕が一気に彼のために解放された。

「あ、ぼ、ぼくも、あゆこちゃんの、アソコをなめたい・・・」
「えっ?」
「いや?・・・おかえしに・・・だめ?」

嬉しかった。
「ううん。うれしい。」
満面の笑みをたたえたあたしは、自分から足を開いて、彼の舌を導いた。
「そう・・・そこ・・・あっ・・・そう・・・」


軽く顔がゆがむ。きもちいい。
「ああぁん・・・ねぇ、初めてなの?前田くん・・・」
「・・・うん。」
「エッチするのが?それとも・・・なめるのが?」
「・・・両方・・・」

あぁ、さっきのはこの人なりの虚勢だったんだ。あたしはそう感じた。
きっと、あたしが初めてじゃないなんて打ち明けたから
どうしていいかわからなくなってしまったんだ。

あたしは気を取り直して、笑顔で、
開いたアソコに彼の手を導いて、説明を始める
「あのね・・・女の子はね・・・女の子のここはね・・・」
少し湿っている、女裂を開いて、中を刺激させる。
「こう?これでいいの?」

好きな人に愛撫されているだけで、気持ちよかった。
「はぁ・・・あぁ・・・ん・・・そう。そうだよ・・・」
あたしのアソコから、エッチな汁があふれ出し始めている。
「そこの上・・・そう、もうちょっと・・・」
クリトリスを舌でむかせようとあたしは試みる。
「そう、あぁん・・・うまい・・・きもちいい!」

彼の舌は初めてとは思えないほど、あっさりとクリトリスの包皮をむいて、
一番敏感なところを柔らかい粘膜で愛撫し始めた。

「あぁん、あぁん・・・もう、だめぇ・・・」
あしをばたばたさせて、つい声も大きくなってしまう。
艶を帯びたその声が隣の部屋に聞こえているかもしれないことなど、
考える余裕がなかった。

「ねぇ、ここは、なんていうの?」
突然、意地悪い質問を彼がぶつけてくる。
「あぁん・・・く・・・クリトリス・・・・はぁん!」
「これが、クリトリス・・・」
気持ちよさそうにカラダを反り返らせてあえぐあたしを見て、
彼は調子に乗って、弱い部分を、一番感じる部分を、丁寧に、舐め続ける。

「はぁ、はぁはぁ・・・ん!」
体の力が、とつぜん、がく、っとぬけた。

「あぁん・・・あぁん・・・」
目の前の視界がせまくなって、 顔を上げた彼の顔もぼやけて見える。
「い・・・イっちゃった。は、はじめてかも・・・」

つたない彼の舌使いでも、切なさと興奮が、僕を絶頂へと押し上げた。
「えっ?いっちゃった、って、それって、」
「い、いいの。いいんだよ。続けよう。」



あたしは、もう、彼の唾液と自分で出した汁の混ざり合うアソコを開いて、
彼を誘っていた。
あぁ、やっぱり、僕は、エッチ大好きな淫乱な女の子だ。
そう、改めて感じてしまう。でも、止められない。

ごくん、と、彼が息を呑んだのが分かった。

「い、いくよ・・・」
あたしは、こくんとうなずいた。

彼は、きっと、この前あたしを誘ったときに用意していたコンドームをつけて、
次の行動に出た。

「いいよ。きて・・・入れて・・・」
その瞬間を、僕は目を閉じて迎えた。

にゅる・・・にゅる・・・と潤滑液が十分に出ている私のアソコは
喜んで彼の肉棒を受け入れる。

「いた・・・い・・・あぁん・・・」
「ご、ごめん・・・」
そういうと彼は少しアソコを抜こうとする。

「いいの!いたいけど・・・きもちいいいの・・・」
あたしの興奮は止まらない。
前田くんも、一度途中まで入れたものを、完全に抜くことはしなかった。
「あぁん・・・ぁん・・・」
軽い痛みに唇をかんで耐える。それでも、声は漏れる。

少しずつ、入ってきたかれのアソコが、奥にまで届く。
あたしの・・・小さな体のアソコは底が浅い。

そして、肉ひだは敏感に男をとらえるように出来ている。
そして、その名器を、恋しい人にこそ、味わってほしかった。

「あぁん・・・うごいて・・いいよ」
ゆさ、ゆさ、と、ぎこちなく彼が動き始める。
「はぁん・・・あぁん・・・」
そのいじらしさがたまらない。
僕がこれまで・・・いや、そんなことはこの場では考えたくない。

「そ、そう・・・じょうずだよ・・・」
「そそう・・・ううん・・・」
彼もあたしの体で感じているのが分かる。
「ふぅん・・・あぁん・・・いいの。好きなだけやって。」

「あぁ、気持ちいい。さいこうだよ。あゆこ。」
あたしの腰に、胸に、手を伸ばして、必死で腰を振る彼。
とにかく、テクニックの問題じゃない。あたしは最高のセックスをしている。


「あぁああ、いく、もう・・・」
「いいの。出して。思いっきり・・・あぁん・・・あぁ!」

彼は、おちんちんを抜くタイミングも分からないまま、コンドームの中で発射した。

「とてもよかったよ。前田くん。」

あたしの心からの本心で、最高の笑顔を作った。

「ほ、ほんとうに?でも・・・」
「ねぇ、今日は、一休みしたらまたできる?」
「う、うん。もちろん・・・」

あたしは自分が隠していた淫乱さをほとんどさらけ出してしまっていた。
それでも、彼はこの最高の美少女と、最高のカラダ、そして最高の名器から
逃れることは出来なかったのだろう。

そして、あたしは、朝まで何度でも抱きあっていたい、
なんどもセックスしたい。彼の体力が続く限り・・・
そう心から願っていた。

女の子として、成長し続ける僕の、初めての純愛。
それが、初めての彼氏・・・そして、初めての恋人としてのセックス。
まだ、幸せな日々は始まったばかり。

「ねぇ・・・あゆこちゃん・・・そろそろ。」
30分もすると、彼は回復して、2度目のセックスを求めてきた。
「それじゃ、今度は・・・なんというか・・・バックからも入れてみて・・・」

あたしは、少年のような彼にも、もう、欲望をぶつけるようになってしまった。
彼は、喜んでそれを受け入れてくれる。

裸のまま、ずっと抱き合っていたあたしと前田くんは
2度目のセックスを開始する。
「あぁん・・・そう・・・きもちいい。」
バックから誘ったあたしのアソコに、ゆっくりと彼の肉棒が挿入される。

わずか二回目なのに、彼は急成長していた。
「さぁ、いくよ。」


「あ、あぁん・・・だめぇ・・・あぁん・・・」
もう、あたしの「だめ」とか「いや」を、
感じているしるしと分かってしまったらしい。

「あぁん・・・ふぅん・・・きもちいい・・・よぉ・・・」
一回目よりも、慣れたからか、自由自在に腰を振る彼。
あたしは、バックという体勢で、
かれに支配されている感覚をひときわ強く感じる。

そう、あたしはバックから突かれるのが結構好きだった。
それが、大好きな彼ならなおさらだ。
「あぁん・・・ふぅん・・・・いやぁ・・・」

そして、しばらくすると、彼は自分からおちんちんを抜いて。
「ねぇ、あゆこちゃんが今度は上になってよ。」

あたしたちは、互いに肉欲をさらけ出して、求め合うようになっていた。
「う・・・ん・・・いいよ。」
笑顔で答えるあたし。

かれの上にまたがって、自分で彼を自分の中に導く。
「あぁん・・・あぁん・・・」
自分から腰を振った。
「あぁ・・・きもちいいよ、あゆこ・・・」

「ああぁん・・・いやぁ・・・」
彼がしたから胸に手を伸ばす。
乳首を両手でいじくられて、快感はさらに増す。

「きもちいい・・・あぁん・・・」
一心不乱に、二人は腰を振る。
いつしかそのリズムがひとつになり、
ますます気持ちよくなる。

彼はつぎに、あたしの細い腰を両手でかかえて、
いつの間にか、あたしは主導権を奪われる。

「あぁん・・・はぁ・・・きゃっ。」
そのままの体勢で、正常位に倒されるあたし。

「あぁん・・・いい・・・いって・・・いって!」
ほとんどあたしもイきそうだった。うつろな目でそう求め続けるあたし。



「ああ・・・あゆこ・・・いくよ・・・!」
「ああぁぁぁぁぁん!」
二度目のセックスが終わった。

あたしたちは、終わった瞬間。きつく、きつく抱き合った。
まだ、次がほしい。

あたしはそう思っていた。
男の人が、なえてしまうのを何とか避けるために、自分から、
二度目のセックスを終えたばかりのおちんちんにしゃぶりついた。

「あ、あゆこちゃん・・・そんなことまで・・・」

あたしは、いくら淫乱な自分をさらしても、彼を気持ちよくしてあげたかった。
何か計算したわけではない。肉欲・・・いや、純粋な彼への奉仕の気持ちが
ほとんどを占めていた。

運よくその行動が裏目に出ることは無かった。
朝まではまだ長い。彼の体力が続く限り・・・


そして、朝がやってきた。


笑顔のまま、彼と別れた。駅から二駅、始発の次くらいの電車で帰った。

僕の家に着くと、真優は寝ていた。
僕も、着替えて寝ようとする。
といっても、今日も授業がある。
もう6時・・・二時間しか寝られない。
しかも、興奮が収まらなかった。

物音がして、真優がおきてきた。
「あ、あゆこ、おはよう。」
「ま、真優おはよう。」

「あれぇ?」
「な、なに?」
僕は目をそらす。
「昨日と同じ格好だね。朝帰りなんだ!」

「え、い、いや・・・あの・・・」


「ああ、なんか幸せそうだもんね。特にこの辺が。」
そういってあたしの越しまわりに手を回す。

「ね、どんな男?」
「そ、そんなべつに・・・」

「・・・別にいいんだよ。男と遊んだって。
もう一ヵ月半もセックスしてなかったんでしょ?エッチなあゆこにはつらいよねぇ。」

顔がかぁっと赤くなる。
「もしかして、あれ?普通の男とははじめて?」
目を丸くした真優が、興味津々に聞いてくる。
「ま、真優には関係ないでしょ!」
僕はそういって自分の部屋に入って、ドアを閉めた。

「きもち・・・よかった・・・」
ベッドにへたり込むと、少し怒った顔をほころばせて
さっきまでの行為を反芻する。
「あゆこ、少しでもいいからねなよ。8時になったら起こしてあげる。」
「あ、ありがとう、真優。」

そして、真優の優しい声も、僕を包む。
女の子としての僕の初めての彼・・・初めてのセックス。
姉のような真優が守ってくれれば、この幸せがいつまでも続いてくれる。
そうねがって幸せな眠りについた。

僕は、自分が地獄への道の入り口に立っていたことを気づかずにいた。
新しい悲劇の入り口の、大きな扉を開いてしまったことにも気づかずいた。




ふつうの、女の子としての生活が、彼氏が出来てからも続いていた。

あの日・・・彼と初めてセックスしてからというものの、
彼はあたしのカラダを飽きることなく求めてくるようになった。

「今、バイトが終わったからこれから行くね。」
夜の11時、いつもと同じように彼に電話して伝える。

彼の住む駅に着くと、改札のすぐ外で彼が待っている。
あたしはその彼を見つけると、駆け足になる。
「あいたかった。」

昨日もエッチしたのに、笑顔でそんなことを言う彼に
「あたしも。」
とろけそうな笑顔でそう答える。

手をつないで彼の部屋に帰ると、すぐにセックスの時間になる。
「はぁ・・・うぅん・・・」
部屋に入って、もう来るかな?とひそかに期待しているあたしの
後ろから抱きついた彼が、服の上から胸をもむだけで
はずんだあえぎ声が出てしまう。

「ねぇ・・・ベッドにいこう・・・あん。」
ベッドにつくまでの時間も待ち遠しく感じる。
あたしのカラダに夢中の前田くんと、初めての彼氏に夢中のあたしは
毎日、動物のように抱き合って、お互いを愛し合った。

「ねぇ、きもちいい?」
自分でもフェラチオも、うまくなってきたような気がする。
「うん・・・とっても、いいよ。」
彼のおちんちんをしゃぶっていると、満たされた気持ちになる。
自分ではなく、彼が気持ちよくなっていることがとても嬉しいし、
彼に心も体も支配されている、不思議な安心感をいつも覚える。

「あ、あゆこちゃん、も、もう・・・」
たいていは、彼の方から次のステップを要求する。



あたしはいつまでもしゃぶっていたい方だった。

「ねぇ、早く入れてぇ。」
そのくせ、正常位で挿入を待っていると、ついそんなことを口走る。
準備万端になると、あたしも早く入れてほしくなる。
気持ちよくしてほしくなる。

「いくよ。」
その一言でいつも彼はアソコをあたしの花園に近づけ、押し当て、少し強引に挿入する。
「あぁん・・・はぁ・・・」

入り口の小さいあたしのアソコは、挿入を繰り返しても、
まだその瞬間、軽い痛みがある。
それでも、入ってしまえば、あたしは天国へと一直線に向かう。

「あぁん・・・あぁん・・・きもちいい、よぉ」
いろんな体位で愛し合うようになっても、最初は必ず正常位だった。
それが、あたしたちの、ルールになっていた。

「あぁ・・・いく・・・イくぅ!」
エクスタシーが近づくと、つい、そう口走ってしまう。
あたしは、本当に気持ちよくて、何度もイってしまう。
その気持ちよさも、セックスを繰り返すごとに、どんどん増していった。

彼がうまくなって、あたしもうまくなって、
そうして、何度も何度もイくようになった。

7月になっても、大学のテストの期間も、ほとんど毎日セックスは欠かさなかった。
甘い、甘い日々。夏のエアコンの効いた彼の部屋で、裸になって、それでも二人の汗が混ざり合う。

体液の交換を何度もかわして、二人で絶頂へと近づく。

「きもちいい・・・」
この先の運命をわざと見ないようにしていたのかもしれない。
実際に、7月の「パーティ」も気づかないうちに終わっていた。

AV女優になるはずの僕の未来・・・そんなのなくなってしまえばいいと、
いつまでも、彼にだけ抱かれていたい、と夢を見ていた。



「ねぇ、たまには違うところでえっちしない?」
前田くんがそういってきたのは、二人のテストが同じ日に終わった、その日だった。
「えっ?い、いいよ。べつに。」

夏休みがやってきたお祝いをしながら、近所のラブホテルでエッチすることになった。
「ねぇ・・・愛してる・・・」
切なくなるような表情で、前田くんに語りかける。
半分裸のあたしは、ベッドの上では彼のいうとおりにするのが大好き。

「ここは、もうぬれちゃってるの?」
「あぁ・・・いわないでぇ・・・」
何日も、ずっと繰り返した行為。彼もあたしをどうすれば、
あたしのカラダがどう反応するか分かってきた。

「それにしても・・・すごいね。」
あたしはまわりにある何枚もの鏡に自分と彼が映っていることに驚く。
まるで、パーティを二人だけでしているようだ。

「ぁん、きもちいいよぉ・・・」
乾杯をした後、お酒のせいで少しだけ感覚が高まっている。
「ねぇ、シャワー浴びにいかない?」
前田くんがそんな提案をする。

ガラス張りのシャワー室の中で、普段なら出来ないようなことがしてみたい。
そんな気持ちはよく分かる。

「あはぁ・・・いい・・・」
結局、あたしのカラダをシャワーを使って感じさせたりする。
いつもと、本当は変わらないことをやっているだけ。

「このまま、しようよ。」
シャワーを浴びたまま、エッチをする。
シャワーを浴びたまま、フェラチオする。

いつもとちょっとだけ気分の違う一日、でも、結局はセックスのためにやってきたんだから、
いつもと同じように時間が過ぎていく。
「ねぇ、なにみてんの?」
AVを見ている前田くんに意地悪そうにあたしは問いかける。



「うーーん、べつにいいじゃん。」
「ああ、あのこ、かわいいね。」
画面の中には明日香ちゃんのデビュー作が流れていた。

「あんなこより、あゆこの方が100倍もかわいいよ。」
「ほんと?うれしい。」
どうでもいいような会話から新しいセックスが始まる。

朝まで、いろんな場所で、いろんなセックスをして、楽しんだ。
「それじゃ、かえろっか。」
「うん。また、こような。」

外に出ると、一組のカップルとすれ違った。

はっ・・・とした。
中野先輩と、知らない女の人・・・
先輩と目が合った。

ほんの一瞬・・・でも、何か冷たくて、鋭くて、刺すような視線が僕を刺した。

「今日は何時になるの?あゆこ。」
「う、うーん・・・なに?」

「聞いてなかったのかよ。今日は終わるの何時?」
「あ、あの、たぶん9時半ぐらいには・・・」
「じゃ、メールするよ」

先輩とすれ違ったときのショックがまだ胸に突き刺さっていた。

先輩が他の女の人と歩いていたことじゃない。ホテルの前で、先輩に見られた。
彼との関係を、その目で見られてしまった。

いや、考えてみればこの二ヶ月間、僕を「パーティ」にも呼ばず自由にしていたのだから、
その間に恋愛をしても、別に何も問題ないではないか・・・

頭ではそう思っても、すれ違った瞬間の、先輩の刺すような視線が僕の脳裏に
何度もよみがえる。

なんともいえない不安があたしの体をいっぱいに包む。
「じゃ、今日も必ず会おうね。」
「う、うん・・・それじゃあとで。」

要するに、僕は何かが起きるのを怖がっていた。
予感・・・いやな予感だった。
平穏で、甘い日々が壊されてしまうような予感だった。

ちょっとした事情があって、その日は、バイトが少し早くあがれた。
約束した時間に、まだ1時間半あった。
一度家に帰って、それから前田くんに会うことにした。

いやな予感はどこかにあったのだけれど、どういうわけか、引き寄せられるように
家に帰ってしまったのだ。

鍵をあけ、部屋に入ると、男物の靴があった。
胸がどきっとした。
あたしは帰ってくる必要のなかったことに気がついて、気づかれないうちに逃げ出して、
前田くんに会いに行こうと思った。


「おかえり、あゆこ。」
後ろを向いて、ドアを開けた瞬間、聞き覚えのある声が・・・
「どこへ行くんだ?せっかく帰ってきたのに。」

僕は、体中の力が抜けるような思いだった。
おそるおそる振り返ると、そこに中野先輩が立っていた。

「せんぱ・・・い・・・こんばんは・・・」
「あゆこ、今日はこれからパーティだ。今回はお前も来るんだ。」
「えっ?で、でも・・・」
あたしは前田くんに会いに行くはずだった。だから・・・そういいたかった。
「でも、なんだ?」

朝、すれ違ったときよりも冷たく、鋭い視線が、僕を刺す。

「い、いいえ。なんでもありません。」
「じゃ、来てくれるんだな。」
ここで、逃げ出すとか、拒否するとか、そういう反応が出来なかったのは、
どうしてか・・・僕は今でも分からない。
「はい・・・行きます・・・」
でも、あたしの胸はその瞬間、どきどき鳴り始めていた。

今まで、2ヶ月近く忘れていた、「パーティ」での様々な体験が頭の中を
駆け巡っていた。

初めて二本の肉棒を同時に・・・左手でしごいて口でしゃぶったこと。
バックで突かれる自分の顔を大画面で同時に見せられたこと。
明日香ちゃんと真優のレズ行為のあまりの美しさと淫靡さに、
つい自然と自分のアソコに指が伸びたこと。

足から崩れ落ちるようにその場にへたり込んだ。
「あゆこ、だいじょうぶ?」
遅れてその場にやってきた真優が、玄関に座り込む僕にそんな声をかけた。

「だいじょうぶ。だいじょうぶだから・・・ひっく。」
僕の目からは涙が溢れ出していた。

ごめんなさい。ちょっと寝れなくて疲れたから今日は帰ります。また明日ね。

あたしはそんな文面のメールを前田くんに送って、
先輩の運転する車に乗り込んだ。


とんでもないウソをついてしまった。
あたしを心配するメールが返ってきて、それを見た瞬間、
自分の罪の大きさに心がつぶれそうだった。

車に乗ると、不思議と涙は止まった。
自分の運命に気づいていたのか。それとも、泣いてもどうにもならないことを知っていたのか、
今となっては思い出せないけれど、とにかく、前田くんのことは
考えないようにしていた。
真優と中野先輩は何か話していたけれど、僕は放心状態だった。

僕は、きっと心の前面では悲しみながらも、
奥底で・・・平穏で甘い、前田くんとの日々を、恐ろしく淫猥な方法で
壊されることを望んでいたのだと思う。

先輩によって女の子の体を与えられ、セックスするために生まれ変わった僕が
普通に恋人を作って、普通の女子大生として生きていた。
そのこと自体が罪だったのだろうか・・・

吸い込まれるように、あの日、一度家に帰った僕の運命は、
最初から決まっていたものだし、変えようとも望んでいなかった。

「パーティ」の会場には、見たことの無い人も、見たことのある人もいた。
明日香ちゃんも、奥田くんもいた。ぱっと見たところ、市川くんはいなかった。

「ねえ、しゅん、まだ始めないの?」
着いてすぐに明日香ちゃんが先輩に聞いた。
「いや、もうすぐ後二人来る。それで全員だからもう少し待とう。」
「急なのによくこれだけ集めたねぇ。みんな好きねぇ。」

急・・・急にみんなが呼び出されたのか・・・
やっぱり、今朝のことが何か関係あるんだ・・・
「こんにちは、はじめまして、あたしはみゆき。あなたは?」
「あっ・・・あたしは、あゆこです。はじめまして・・・」
そばにいたギャル系の女の子が声をかけてきた。

はっ、とした。今朝、先輩と一緒にいた女の子だ・・・
「あたしは、4月に初めてAVでたんだけど、あゆこちゃんはまだなんだって?」
「は、はい。あたしはまだ・・・」

おっかなびっくりの会話をしていると、誰かがやってきた。
「お、来たな。それじゃ、はじめるぞ。」
部屋に入ってきたのは市川くん・・・サッカー部の先輩で、僕の正体は知らない
市川くんだった。


「さぁ、はじめよう。今日は、一人初めて参加するやつがいる。」
あぁ、そうなんだ・・・初めての人がいるんだ。
だれだろう・・・あの人かな?それとも・・・

「まだ、ドアの向こうにいるんだ。ちなみに、まだ童貞だそうだ。
 お姉さんたちが優しく筆おろししてあげてくれ。」
えっ?
いやな予感がしたのはこのときだった。

もし、今日の「パーティ」が今朝、僕とすれ違ったことで
なにか、お仕置きのような意味を持っているのなら・・・
僕にとっていやな相手が・・・ドアの向こうにいるの?

直感が警告したよりも、展開はずっと残酷だった。
「彼には、今日、女の子全員とセックスしてもらう。でも、最初は・・・」
先輩が僕の方をみた。
「あゆこ。お前が相手をしろ。」
どきっとした。

「あ、あたしが?ど、どうしてですか?」
「AV女優相手じゃいきなり刺激が強すぎるかもしれないからな。」
「・・・」
「いいか?」
「は・・・はい。分かりました。」
僕は覚悟を決めて部屋の中心にあるベッドへと向かった。

たいていのことでは驚かない。そうタカをくくっていた。
一番、最悪の展開は、ドアの向こうにいるのが前田くんということだったから、
童貞だというだけで、そうではないと分かっただけでも
それ以外のことなど、もう、どうでもいいように思えた。

「さぁ、孝、入るんだ。」

!うそ!僕は一度落ち着いた心臓が一瞬にして破裂するほど驚いた。
そして、次の瞬間、ドアを開けて入ってくるのが、僕の想像と違う人間であることを
心から願った。

しかし、その望みは1秒もたなかった・・・
「そん・・・な・・・」
目の前に立っていたのは、亮の2つ年下の弟、孝だった。
高校の制服のまま、このパーティに現れた。

「えっ?高校生なの?」
みゆきさんが驚いたように大きな声でたずねた。
「あぁ。俺たちの後輩でな。」
「でも、何年生?」
「えっと、3年生です。」
僕が信じられないという目つきで見守る中、孝がはじめて口を開いた。


「まあ、そこらへんはいろいろあってね。こいつは進学先が決まったらしいから、東京に遊びに来てるんだ。それで・・・」
僕の頭の中では、最後に孝を目にしたときのことが思い出されていた。
そう、亮の・・・僕自身の葬式で、僕を「視線で犯して」いたのが最後だった・・・

ずっと、弟だった男を、理性ではいけないと分かっていても、
僕の本能は、そういう、いやらしい目で見ていた。

「あゆこ!」
その時、葬式で、視線で犯されていたときのことを思い出していた僕を先輩の呼ぶ声が
現実に引き戻した。

「ぼうっとするな。お前がこれからこいつの童貞を奪うんだ。」
先輩は僕の顔を見ると、にやりと笑った。
「わかってるな。優しくしてやれ。」

従わないわけにはいかない。
僕は、運命を呪うしかなかった。他にどうしようもなかった。
拒否しなかったのは、セックスしたくないわけじゃなかったからでもあった。
前田くんという、ラブラブな彼氏がいながら、
あのとき、いやらしい視線の交換だけで、感じてしまった・・・僕を感じさせた
この男と・・・しかも自分の弟だったこの男との、
セックスに興味が無いわけじゃなかった・・・

女というものが、そういう生き物なのか、それとも僕自身が作られたメスだからなのか
そんなことは誰にも分からない。
とにかく、ベッドの真ん中で、服を着たまま待つ孝のところへ
ひざで歩いて向かう一歩一歩は、屈辱だけじゃなくて、
童貞を「奪う」ことへの、彼氏じゃない男とセックスすることへの
そして、禁断の一歩を踏み出してしまうことへの・・・
いろんな、淫猥などきどきを感じながらのものだった。

「孝・・・くん。あたしは、あゆこ・・・よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
くすっ、と笑ってしまった。妙に緊張している姿がかわいかった。

必死に足を閉じて隠そうとしても、もう肉棒はぎんぎんに反り返っているのが
黒い制服のパンツの上からでも分かった。
「ねぇ、あたしなんかでいい?他のお姉さんの方が・・・」
「そ、そんなことないです。」
「でも、あそこにいるのなんか、ほら・・・」
真優のいるほうをちらっとみる。

「あ、あゆこさんがとってもかわいいと思います。」
僕のささやかな抵抗は、その一言で幕を閉じた。
孝が、この期に及んで、僕に恥をかかせようが、なんだろうが、
大人気AV女優の「安藤しずか」である真優や「立花みどり」である明日香ちゃんを
選んでくれないかとかすかな期待をした。


「そう。それじゃ、楽にしてね。」
観念した僕は、四つんばいのまま、仰向けに寝転がって両肘を突いて上半身だけ起きている孝の股間に左手を伸ばす。
「あぁぁ。」
かるく孝の固くなった肉棒に手がふれると、かすかな、低いあえぎ声が僕の耳に届く。

「もう、かたくなってる・・・あけていい?」
チャックに手をかけて、首をかしげてそうたずねる。
孝は首を軽く縦に振る。
緊張しっぱなしの硬い表情が、なんともかわいい。

「無理しないでね。出そうだったら言って。」
僕はそういって、トランクスの上から肉棒を触る。
・・・見覚えのあるトランクスだった。よく似た柄のを、僕も持っていたから、
何度か間違えてはいた記憶がある。

「う・・・」
孝は、硬い表情のまま感じている。
僕は、パンツのままではうまく手こきも、しゃぶることも出来ないと思って、
孝のベルトをはずして、トランクスごと脱がせた。
徐々に現れてくる、孝の・・・弟のおちんちんを目の前に、
心の大部分を覆っていた、「いけないこと」をしているという罪の意識が
どんどん片隅に追いやられていくのを感じていた。

「いやっ・・・なに?」
その作業に夢中になっていた僕の下半身にも、誰かが手を伸ばした。
見ると、奥田くんが、僕のスカートとパンティを器用に脱がせていた。
「気にしないで。続けて。」
そういわれて、僕は弟の肉棒に再び集中する。

「しゃぶっていい?」
ふたたびうなずく孝。固く、大きくなったものをみて、僕の目は自然と潤む。

「うぅん・・・」
僕の下半身からは、パンティも両足から抜けて、奥田くんにされるがままに、
お尻を突き出すように高くしていた。気にせずに孝の肉棒を口に含む。
・・・これからこのおちんちんを入れるんだ・・・

不思議な気持ちだった。自分が亮だったことは、もう、遠い過去のようであり、
わずか4ヶ月しかたっていないことでもあった。
18年間、兄弟として生きてきた孝の肉棒をしゃぶっていることが、
自分が、いまや亮ではなく、あゆこであること・・・
亮とは全然違う女の子になってしまったことの証明であるように思えた。


このフェラチオで、僕は完全に、ひとりの「あゆこ」になるんだ・・・
高鳴る心臓が頭を沸騰させて、思考を鈍くする。
まるで、淫乱な自分の存在を自分自身に説得するように、舌を裏すじに這わせて、
口を上下に動かした。

「うぅん・・・」
低いあえぎ声に反応するように、僕は上目遣いで孝を見る。
感じてくれている顔がうれしかった。単純にうれしかった。

その孝の目が僕の遥かむこうに焦点を移したことに気がついた。
「孝、どうだ、これがこれからお前が初めてセックスする、おまんこだ。」
みんながざわつく。
僕は、とっさに口を肉棒からはなして、後ろを向いた。
僕の、アソコが・・・モニターに大写しになっていた。

そこには、たしかに・・・僕のアソコの花びらが大写しになっている。
毎日、前田くんに愛され、舐められ、そして前田君の肉棒を飽きることなく受け入れていた、秘唇があった・・・
・・・
初めて、この部屋に来て、孝との行為を始めてから、初めて前田くんのことを思い出して
激しく心のどこかが痛んだ。

「あゆこちゃん、どうしたの。」
明日香ちゃんがそういって、行為を中断した僕に再開をせかす。
「は、はい・・・」
僕はすべてを・・・前田くんのことを、吹っ切るように首を横に一振り半してから、
再び、孝のアソコに目をやって、彼の目を見ながら口に含む。

何を考えているのか、自分でも分からない。
こんないけないことをしてるのは、僕じゃない、あゆこだ・・・
あゆこは、あたしのことだ・・・
あゆこは・・・前田くんの彼女なのに・・・浮気している。
他の男をこうやってしゃぶっている。
いや、あゆこは僕じゃない・・・僕は・・・
ループしていく頭の中。
「あぁっ、きもちいい!」
目を合わせていた孝が首から上をのけぞらせる。
そのしぐさがかわいくて、セクシーで、僕は別の次元でどきっとする。

体は敏感に反応する。
男をしゃぶっているだけでも、いやらしいことをカラダが勝手に考えているようだった。
下向きになっている乳首はそれでも、ぴんとたち、乳房がぷくっとふくれていくのがわかるし、

そこからは熱いジュースがふとももをつたっていく。
「わぁ、もうぐちょぐちょだね。」
明日香ちゃんがそう言って、僕をいじめる。

おとなしい、優等生だったいわゆる「委員長タイプ」の明日香ちゃんは東京に来て、
この部屋に出入りするようになって、
AV女優としてデビューして、
切ないくらいにすっかり変わってしまった。


いや、本当の明日香ちゃんをいったい僕がどれだけ知っていたというのか・・・
真優だって、AV女優になれるような女なんてかけらもおもっていなかった。

自分自身のことだって・・・
どこまでいやらしくて、どこまで淫乱なのか自分でも計り知れない。

「あふぅ・・・ん」
僕は口の中で自分が気持ちよくなるように肉棒を転がして、手は袋の部分で遊びだす。
淫乱な自分を誰かのせいにするように、目を閉じる。
「ああぁ!すごい!」
のけぞっていた孝の上半身が完全に崩れて、半身になって耐えている。

激しすぎる官能から逃げるように少し上に体を動かす。
淫乱な僕はそんな孝を逃がさない。
「すごい!ぁゆこ・・・さん!」

「もう、だめ?」
孝から、叫ぶように「あゆこさん」と呼ばれて、僕は、はっとわれに戻る。
この、弟だった男の目には、僕は一人の、綺麗でエッチなお姉さんに過ぎない。
だったら、僕も迷うことなんて無いのだ。

どうしてそんな結論になったのか分からないけれど、楽しもうと決めた。

「どうする?一回出しちゃう?それとも・・・」
「あぁ・・・入れたい・・・あゆこさん、入れたいよ。」

素直な孝の瞳に、吸い込まれそうだった。
「そ、それじゃ、このままおとなしくしててね。」

僕は、誰かが差し出したコンドームを受け取ると、孝の肉棒にそれを着せた。
先走った汁があふれ出ている。下手に刺激するともういってしまいそうだった。
刺激しないように、ゆっくりと。

二つ年下の弟・・・小さい頃、うまく幼稚園の制服が着れない孝に
スモッグを着せてあげたことを
不意に思い出した。

そして、孝の兄だった「亮」が頭の中に戻ってくる。
一瞬、動きが止まる。
「おい、手が止まってるぞ。」
本当に一瞬だったのに、中野先輩はそれを見逃してくれない。

「う・・・うん。じゃあ・・・このまましずかにしててね。」
僕は、孝にまたがって、ゴムのかぶった肉棒を握ると、
しゃがむようにして、それを自分の中に入れる。

「あん・・・」
孝の肉棒が・・・ゴム越しとはいえ、僕の中に入ってくるのを感じる。
「すごい・・・あったかい・・・」


孝はそう、嘆息の声をあげながら見つめている。
「ふぅ・・・ん」
僕は、腰を深く沈めて、孝の肉棒をほとんど全て自分の中に収めると
首を横に一振りして、右手で、顔にかかった髪をかきあげた。
「はいった・・・動くよ・・・いい?」
僕の中で、孝のアソコが少し大きくなったのが分かる。
入れ始めたときから・・・いや、しゃぶっているときから気づいていたことがある。

このおちんちんは、きっと、気持ちいい。
具体的には、ともかくとして、形がよくて、そして、大きくなった状態でも、
呼吸するように、膨らんだり、戻ったりするようだった。

「は・・・い」
孝の返事を待ちかねた僕は、すぐ腰を上下に動かし始めた。
「あぁん・・・うぅん、あん」
自分が、自分でなくなっていくような感覚だった。

「きもちいい、あぁん、あん」
僕は、すっかり陶酔していた。

「あぁん・・・ふぅ・・・ん」
腰を上下に、リズミカルに動かす。
僕はもう、兄でもなんでもない自分を感じていた。
セックスが始まると、一匹のメスになってしまう自分がいた。

「あぁ・・・きもちいい」
低い声でうなるような声をあげているだけの孝の上で
僕は、どこかにある兄の面目をかなぐり捨てるように
高く、上ずった声を上げ、よがり狂う。

「あは・・・あぁん、ぁん!」
すそして、彼氏の・・・前田くんのこともかなぐり捨てるように

「あぁん・・・いい、よぉ!」
でも、そんなこと関係なしに、気持ちよかった。
孝が腰を自分から使い始めた

「ちょ・・・そんな、あぁん」
僕は、増幅される快感を頭の中で処理しきれなくなっていく。
「あぁん・・・あぁん!」
前のめりに倒れて、孝と抱き合う。
「たかしぃ・・・きもちいい」
背の高い孝の胸に頭をつけて・・・本能をあらわにする。

「あぁん!」
次の瞬間、僕は後ろに反り返って、自然に正常位の形になった。

「たかし・・・くん、すごい、きもちいい。」
初めてとは思えない。
孝の圧倒的なパワーと、それと・・・相性の良さが、僕の淫乱に火をつけた。

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