非合法な人体実験を行い、現在の科学力では不可能とされていた薬を数々作り出した研究機関があった。かすかに薬品の臭いのする長く薄暗い廊下を男が六人、女が二人だろうか。奥の部屋に歩いて行くのが見える。彼等が今回作り出した薬の名称は「イブ」て呼ばれていた。



完全な性転換。現在の科学力は外見は同じに出来ても機能的な部分では不完全だった。今回彼等が作り出した「イブ」は完全な性転換が出来る薬。これからその薬の最終試験が始まろうとしていた。



奥の部屋。彼等が「イブ」を作るために思春期の人体に薬を投与してきた部屋。三週間前からここ部屋には、13歳から14歳の男女三十人程が閉じこめられている。目的は一つ。最終実験のための人体だった。



三週間前になる。修学旅行のバスが一台、忽然と姿を消した事件があった。警察は必死に探している。彼等は自分達のトコにいる人体が「例の組織」に誘拐された修学旅行だと知っていた。



でも、彼等はそんなことは興味がなかった。彼等にとって今、扉の奥にいるのは誘拐されて可愛そうな子供ではなく、「イブ」を投与する実験体。彼等にとっての興味とは不可能とされてれている薬の研究であり、事件や「例の組織」には関心がなかった。
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