10月のある日、女の子になって71日目のこと
昨日、僕は学校の帰り、立ち寄った校舎の、理科室とかある棟の一階の
トイレに入ろうとして、間違えて男子トイレの扉を開けてしまった。

そこには・・・小学校のときの親友だった山崎君を含めて数人の男がいて
山崎君に犯されて・・・そのほかの男のおちんちんをしゃぶらされた。
それが、僕の処女喪失だった。

その傷を、香澄さんが必死で癒してくれた。
その次の日。

「おはよう、みんな。」
美少女の僕は、いつもよりも元気に、元気なふりをして、朝、教室にはいった。
勇気を振り絞って。

返事は、なかった。
それどころか、冷たい空気が僕を包んだような気がした。

「・・・あれ・・・」
見ると、教室の一番後ろにあるはずの、僕の机の、椅子がない。

「どうしたんだろ・・・」
教室の片隅で、女子が何人か、くすくすと笑っているのが分かった。
みんな、僕と同じ小学校ではなかった女の子だった。

「あの・・・あたしの椅子・・・しらない?」
近くにいた、美咲ちゃんに、聞いた。美咲ちゃんは、僕と同じ小学校の出身だった。
「・・・ごめん・・・しらない・・・」

それだけ答えるのが美咲ちゃんには精一杯だったのだと思う。
「えっ?どこ、あれ?」
美咲ちゃんは、どこかに行ってしまった。

僕は・・・男ばかりいる男子校で中学校の2年半。もうちょっと正確には
2年と3ヶ月ちょっと・・・3年の一学期までを過ごしたから・・・
女の子に生まれ変わった今でも、女の子に対しての免疫が、あまりなかった。


女の子に生まれ変わった僕の、一番の問題は、
男との接し方じゃない。女の子との接し方だったんだと、
このときの僕は、まだ気づいていなかった。

「・・・どこにいったの?」
僕は、それが・・・いじめの始まりだと、考えもしなかった。
女の子の世界・・・それは、男だった僕には、考えもつかないほど
陰湿で、どうしようもないいじめが横行する世界・・・そんなことは知らなかった

「おい、下山!」
どきっ、とした。その声は昨日、僕の処女を犯した、山崎君だった。

「や・・・やまさきくん・・・」
「おい、これ、お前の椅子じゃないか?」

見覚えのある椅子を抱えていた。
「う・・・うん・・・そうだ・・・ありが・・・とう・・・」
山崎君は、女の子に生まれ変わった僕などよりも、
ずっと、女の子の世界についても詳しいのだった。

彼は、どこかに投げ捨ててあった僕の椅子を見つけて、もってきてくれたのだ。
「下山・・・昨日は、ごめんな。」
「えっ・・・だ・・・だいじょうぶだよ。」
「・・・またな。」

思いがけず、思い口調で、昨日のことを彼が詫びてきた。
また、何かされるのでは・・・それに、あの忌まわしい出来事を
思い出させられて、固まっていた僕は、その意外すぎる言葉に
答えられなかった。

許す。そんな言葉はココロの片隅にもなかった。
屈辱と怒りと、苦しみと悲しみと、彼の全てが
僕の感情をあらゆる方向に逆撫でするものでしかなかった。

「……」
とにかく、椅子は見つかって、僕はその一日を普通に迎えることができた。

でも、女の子としては、まだまだ鈍い僕でも、一日もたてば
事情が飲み込めてきた。


「・・・なんだって・・・いやらしいね。」
「はっきり言ってやれば?淫乱女って」

女の子たちが、僕に聞こえるように、何か話している。
「汚らしい女だね。死ねばいいのに。」
「しぃっ、聞こえるよ。ガキみたいな顔して、頭だけはいいんだから。」

何が起きているのか、よく分からなかった。
そんな状況がその日いっぱい続いた。

次の日。
女の子になって72日目。

登校してきた僕の椅子も机もやっぱりなかった。

そして黒板には、
思い出すのもいやなほどの汚い言葉で僕を罵るあらゆる文句が書き連ねられていた。

恐ろしいのは、そのなかのかなりがたぶん・・・エッチなことに関する言葉で
僕の乏しい性知識では、その6割くらいしか、
意味すら理解できなかったことだ。

黒板を消す僕に、一部の女の子たちは
僕のカバンの中から教科書やペンケースを投げつけてきた。

「きゃぁっ!」
よけた僕は、つまずいて地面に転がる。
スカートがめくれ上がって、太ももをあらわにする。
パンツまで見えなったかどうか・・・僕には分からない。

「きゃはは、コイツ、本当に下着まで女物だよ。」
女の子たちの笑いが耳に届いた。

後になった今だからこそわかる・・・彼女たちは、
僕の、華奢ながら美しく伸びる、透き通るような真っ白な脚に嫉妬していた。
そして、その足の延びる先を・・・想像力をかきたてられる男の子たち・・・



その男の子たちは助けてもくれない。見ているだけだった。
「・・・」

股間が盛り上がるのを隠そうと腰を引きながらも
僕に手を差し伸べることもしない男の子たち
そして、黄色い声で僕を笑いものにする女の子たち

自分が、かつてその男の子たちと同じ男であったこと
今、あの女の子たちと同じ女であることの両方が
とても嫌なことに思えた。

そして、そのとき、僕は・・・
この学校で、僕は一人っきり。
誰も味方がいないことを、初めて知った。

おとなしいタイプの女の子たちは、見てみぬ振り。
男の子たちは、昔の友達も含め、手を差し伸べようとしてくれない。

それは・・・この1ヶ月、下山和宏であった過去を否定もせず
だからといて、昔のなじみの友人たちに溶け込もうともせず
男とも、女ともつかない中途半端な状態を
自分自身で選択した報いといってもよかった。

「下山さん。男の子だったくせに、きゃっ、とかスカートはいたりとか
すげーキモいんですけど。」
「・・・・・・」

タブーのはずの一言が、僕に投げかけられる。

「男子トイレに入って、自分で便器になったんだって?
もう女の子に目覚めちゃったんだ。」
教室中が驚きと笑いとで騒々しくなる。
かぁっ、と顔が赤くなる。
そんなことはない。僕の心は屈辱にまみれていたし・・・

「そん・・・な・・・」
黄色い笑い声にかき消された僕の悲痛なつぶやきは、誰の耳にも届くことなく
女の子たちの罵倒はまだやむことがなさそうだった。

「おい、下山。」

そのときだった。
昨日と同じように、山崎くんが僕の机と椅子を持って現れた。

「山崎・・・くん・・・」
山崎くんが現れると、教室中が静まった。
この男が、この学校の中で一目置かれる存在であることは疑いようがなかった。

彼は、まだ汚れの残る黒板を一瞥すると、
僕には理解できない言葉から、だまって消しはじめた。


「山崎・・・くん・・・」
まるで、2日前とは違う人間がそこにいるようだった。
王子様・・・そう表現するのだろう。きっと。この感覚。
体の奥深くが、じゅん、と熱くなるのを感じた。

胸がきゅん、となって、目が潤むのが自分でもわかる。
僕の目の前で黒板を消す彼の姿・・・
女の子にも男の子にも助けてもらえなかった自分に
黙って手を差し延べてくれた。

「おい、山崎、自分の教室に戻れ。」
担任の先生が入ってきたときには、もう黒板は完全に近いほど綺麗になっていた。

その場はそれですんだ。
でも、居心地の悪い一日は続いた。

そして、その日の帰りのとき・・・
「あれ?」


僕は、自分の靴が下足箱から消えていることに気がついた。

「あれ・・・どうしてだろ?」
そのとき、初めて、ぴんときた。
俺・・・女の子たちにいじめられてるんだ・・・

昨日から、なんだかおかしなことが続いたのは・・・そうだったんだ。
「アハハハ」
昇降口の隣の列から・・・女の子たちの笑い声が聞こえた。

その隣の列をのぞくと、昨日の朝、椅子を探す僕をくすくすと冷たく笑っていた
女の子たちがいた。

「あの・・・あたしの、靴、みなかった?」
「さぁ、なんのこと?」
「しるわけねーじゃん」
そんな答えが返ってきた。

その傍らを、好奇の横目で通り帰る男の子たち
誰も味方のいない僕・・・
靴だけの問題じゃない。どうしたらいいのか分からなかった。


「そこらじゅう探せばあるんじゃない?がーんばってね。」

呆然とする僕を横目に、彼女たちは、どこかへ去っていった。
「靴・・・どこかな・・・」
ざわつく気持ちを抑えるために、僕は靴を探し始めた。

女の子・・・女の子の靴って・・・なんだか履きにくいんだよなぁ
もし、このままみつからなければ、はだしのまま帰っちゃおうかな・・・
・・・「だめよ、女の子に生まれ変わるんだから!」
そんなことを言う香澄さんの顔が僕の脳裏に浮かんだ。

「香澄さん・・・どうしたらいいの・・・?」
考えてみたら、移動教室のたびに、ちょっとずつ何かがなかったり、
提出したノートが帰ってきたとき、僕の分だけなぜか床に投げ捨ててあったり・・・
この1週間くらいいろいろとおかしなことがあった。

きっと・・・そのことがエスカレートしただけだ。
そう冷静に考えようとしたところで、悲しい気持ちは収まるはずもなく
頼る相手を持たない僕は、涙を一粒滴らせた。

「下山、これ、お前のじゃないか?」
外から・・・一昨日、僕の処女を犯した山崎君がやってきて
その手には、一足の靴が・・・女の子の靴があった。

「あっ・・・それ・・・」
「やっぱりか。下山・・・ごめん。俺のせいだな。」

「返して、それ。」
僕は、落ち着いてそういうと、強引に彼から靴を奪い取って
それを履くと、一目散に逃げ帰った。
涙を見られたことがいやだったのか、それとも・・・他に理由があるのか
逃げ出した理由が自分でもわからなかった。

「いったい・・・どうしてなのかな・・・」
犯された相手だから・・・そういう普通の答えはなぜか浮かばなかった。
そして、僕が、歩いて家の前の路地にたどり着くと、そこには
山崎君が立っていた。



「なんで・・・山崎君・・・」
中学校からの道に、意外に詳しくない僕の、先回りなんて、ずっと地元の中学校に通っていた彼には簡単なことなのだった。
僕は、走りなれないこの体で、くるりと振り返って、また、走って逃げ出そうとした。

「下山・・・待ってくれ!ごめん。謝りたいんだ。何もしないから!」
「えっ?」
その言葉に、僕は足を止めた。

「悪かった。下山。俺が全部悪かった。」
振り返ると、山崎君は、道の真ん中で、土下座をしていた。

「・・・山崎くん・・・はずかしいよ、やめてよ。」

道の上で、彼を立ち上がらせて、話を聞いた。
僕は、恥ずかしい、といいながらも
内心では・・・今日一日男の子にも、女の子にもひどい仕打ちを受けて
ココロが冷え切っていたからか、
目の前の男が、どんな男だろうと、僕にこんな態度を示してくれるだけで
本当はうれしいと思っていた。

「昨日から、お前がいじめられたのは、あのことが原因なんだ。」
「山崎くん・・・あやまらないでよ・・・」

山崎君の説明では、彼と一緒にいて、僕を犯した男の子たちが
僕がうれしそうにエッチなことをして帰っていった、ということを
周りの女の子に言いふらしたらしい。

「ごめん・・・俺、お前のことを傷つけるつもりはなかったんだ。」
あんなことをしておいて・・・どういうつもりなのだろう?
「俺・・・あいつらに対してどうしても、弱いところを見せられなくて
本当は、お前のことかわいそうだと思いながらも・・・
でも、他の男にお前の処女を渡すくらいなら・・・と思って・・・」
「それじゃ・・・あたし・・・俺のこと・・・今でも・・・」
「うん、大切な親友だと思ってる。だから・・・ごめん。」



その言葉がどこまで本当だったかはわからない。
でも、トイレで僕を犯したときと比べて、あまりにまっすぐな目に
僕は吸い込まれそうだった。

そして、他の男の子たちと違って、このときの彼は
僕の目にはもう、王子様にしか見えないのも事実だった。

学校で、頼る人がいない・・・もう、
彼の手で処女を強引に奪われたことは、過去の出来事でしかなかった。
あの悔しさよりも、だれか、頼れる人がほしかった。

「山崎くん・・・じゃあ・・・あの女の子たちは、僕のことを・・・」
「きっと、何人もの男を相手にしてると思い込んで・・・全部、俺のせいだ・・・」

「・・・」
「だから、明日から・・・いや、今日から・・・俺が守ってやる。だから、
一昨日のことは全部あやまる。和宏・・・いや、下山紗希ちゃん・・・
お前のことをいじめさせたりしない。もう、だれにも・・・」

信じられない告白だった。
「あの・・・山崎君って・・・」
「なんだ?」
「彼女とか・・・いるんじゃないの?」
「そ・・・そんなことを言ってるんじゃない。お前は・・・親友だから・・・
だから、あんな女たちにいじめさせたりしない。守ってやるから。」
「彼女はいないの?」
「い・・・今はいない・・・でも、そういうことじゃ・・・」

あっさりと、僕は彼の言うことを信じようとしていた。
それは、あまりにもまっすぐな彼の目の力だった・・・
僕は・・・女の子に生まれ変わってまだ72日・・・
彼の・・・男の子のまっすぐな目に・・・勝てなかった。

「いいよ・・・僕・・・じゃない、あたしのこと・・・守って。」
「下山・・・」
ぼくは、そう言ってしゃがむと、
深々と頭を下げ続けている山崎くんの手を握った。



「学校は・・・怖いの・・・だれも、味方が・・・いないような気がして・・・」

それが、この一ヶ月間、あまりにも淋しい時間を学校で過ごしていた
僕の出した答えだった。そして、一昨日、僕の処女を犯した男と同じ男には見えなかった。
2年ちょっと前に、無二の親友だった男に間違いないように見えた。

本心を・・・女の子の本心をか細い声で吐露した。
守ってくれる、彼の存在が温かくて、逃げられなかった。

「下山・・・ありがとう、ゆるしてくれるのか。」
「許すも何も・・・これから、あたしのこと、まもってくれるんでしょ?」
「あ、ありがとう。」

初めから、山崎くんが僕をだますつもりだったのか、
それとも本当に本気で謝っていたのに、いつの間にか
あんな関係になってしまったのは、僕も、そう望んだからなのか
僕には、いまでもわからない。

そして、僕の心も、
本当に純粋に彼の助けを求めていたのか
それとも・・・もっと・・・エッチなことをして欲しいと
心の底では求めていたのかもしれない・・・今ではもうわからない。

でも、その日から・・・僕と山崎君は、小学校のときのように
仲良く話す、親友同士に、戻った・・・はずだった。

「下山、一緒に帰ろう。」
隣のクラスの山崎君は、次の日から、早速僕のことを守ってくれるようになった。
彼が、僕の近くにいる限り、女の子たちも僕に手出しができない。
彼は、この学校の中で大きな力を持っていた。

「うん。いいよ。」
僕は笑顔で答える。今日一日、いじめっぽいことが何もなかった。
山崎君のおかげだった。しずかな一日が送れた。



「今日は、何も起きなかっただろ?」
「うふふ、ありがと。」
帰り道、僕も山崎君も満面の笑顔で語り合う。
「今日、ちょっと俺の家によっていかないか?久しぶりに。」
「えっ?そ・・・それは・・・」
いくらなんでも、あんなことがあってすぐの今・・・それは・・・
「大丈夫、ぜったい何もしないから。」
僕は、いったい、どんな熱に浮かされていたのだろう。
こんな男のこんな言葉の何を信じたのだろう。
「それなら・・・久しぶりだし・・・」

小学校のころは何度も行ったことのある、山崎君の家に
遊びに行くことにした。

「さ、入れよ。」
「うん、わぁ、久しぶりだね。」
玄関から彼の部屋に向かう階段を上る。
彼の家はちょっと古くて、階段を上るときに、板のきしむ音が聞こえる。
「この音・・・なつかしい。」

男の子だったころの思い出・・・そんなものにだまされて
僕は彼の部屋にやすやすと連れ込まれてしまう。

といっても・・・今でも、信じている。
初めから、彼は僕にエッチなことをしようとしていたわけではない、と。

他愛もない昔話に花が咲く。 
「ね、覚えてる?あのときさぁ・・・」
「あぁ、そうだったな。豪、そういえば、げんきかな?」
「うん・・・夏までは、元気だったよ。」

「ふうん。そうか、よくこの部屋で遊んだよな。おまえらも。」
「そうそう、それで、このあたりにエッチな本が隠してあって・・・
いまでもあるの?」
「あっ、やめろ、下山」
「なんで、いいじゃん。べつに。」
僕は、自分が女の子であることも、その自分の処女を目の前にいる男が犯したことも
すっかり忘れて、はしゃいでいた。



「あれ・・・」
小学生のころ、エッチな本が隠してあったその場所に手を突っ込んで
僕はそこにあったモノを取り出した。
本ではない・・・いったいなんだろう・・・

「あっ・・・こ、これ・・・」
「だから・・・お、おい、よこせよ。」
僕が手に取ったものは、大きな・・・男の肉棒を模った・・・
「これって、バイブって言うやつ?」
いきなり、部屋の空気が凍りついた。

「そ、そうだよ。ほら、よこせって。」
「よこせって・・・えっ・・・?」
僕はどうしていいか分からなかった。

「お前には関係ないものだからさ。」
山崎君は、強引に僕の手からそのバイブを奪った。
「関係ない・・・そうだよね。」
あー、びっくりした。そんな、安心した表情を作った僕は
話を元に戻そうとする・・・

「そ、それで、6年生のときの、夏休みにさぁ・・・」
ごそごそと、あわててそのバイブを隠す彼・・・
一瞬前に、凍りついた空気は、すぐには元に戻らない。

「ご、ごめん、俺、トイレ借りるよ。」
「お、おぅ。」
「大丈夫、場所は分かるから。」

僕は、部屋を出ると深呼吸をして、気持ちを落ち着けようとする。
大丈夫。彼は・・・僕にひどいことしたことはちゃんと謝ってくれた。
そして、もとの友達に戻った。そういえばさっきから僕は、
自分のこと、俺って・・・呼んでる・・・

「あれ・・・どうしたんだろ・・・」
洗面所で、僕は頭の中を整理しようとした。
でも、いろんなことがぐるぐる回って、整理がつかない。
女の子になる前、小学校のころこの家で遊んだこと
エッチな本を3人でみたこと・・・
女の子になって、山崎君に乱暴されたこと・・・いじめから
助けてもらったこと・・・そして、さっきのバイブ・・・



「おい、下山・・・大丈夫か?」
結構、長く僕は洗面所で立ち尽くしていたらしい。
「大丈夫・・・あの、お茶とかある?」
「う・・・うん、あるよ。」

僕は、彼がお茶を入れている間・・・彼の部屋に戻って待った。
でも・・・なぜか・・・さっき彼が僕から奪い取ったモノを
あわてて隠したあの場所が気にかかる・・・

「お待たせ。さぁ、どうぞ。」
彼も、まだもとの空気に戻っていなかった。
「ありがとう・・・」
僕はそのお茶を持って、口に持っていって、ゆっくり、ゆっくりと一口飲む。
気まずい、沈黙がまだ流れていた。

「あ・・・あの・・・」
沈黙を破ったのは、意外にも・・・僕のほうだった。
「なに?」
「あ・・・あれ・・・どうやって・・・誰に使った・・・の?」
「えっ・・・?あれ・・・あれってなに?」
僕はかぁっと、顔を真っ赤にした。何言ってるんだろう。俺・・・
「あれは・・・あれよ・・・さっきの・・・その・・・」
「バ・・・バイブのこと?」
再び顔が真っ赤になるのを感じて、僕は顔を伏せた。

「い・・・いやその・・・すごいなぁ、って思って」
「下山も、使ってみる?」
かぁ、っと僕はみたび顔が真っ赤になり、今度は顔をあげた。

「えっ?あ、あたし?」
「冗談だよ、冗談・・・ははは。」
「そ・・・そうだよね・・・ははは・・・」

僕は、気づいた・・・
いつの間にか、僕自身の話し方が
この2ヵ月半の間、香澄さんに教え込まれた、女の子の話し方に戻っていることを。
そして、もうひとつ・・・
いつの間にか・・・彼に処女を犯されたことを・・・心のどこかで許していることを・・・

「何人くらいと・・・エッチしたの?」
気まずい沈黙がそのときの僕には耐えられなかった。
きっと・・・そんなことで頭がいっぱいになってたのだと思う。



「えっ・・・?あの・・・」
「い・・・いいよ、答えなくても。」
とんでもないことを聞いてしまった僕は、すぐに質問を撤回して
この空気から逃げようとする。

「えっと、あっ、そういえば懐かしいな。あの・・・あれ」
「あ、あぁ。だれも触らないから埃かぶってるけどね。」
僕は、とっさに棚の上にあるスポーツカーの模型の数々に目を向けた。
彼のお父さんが集めていたものを、よく使って遊んだ。
さすがに6年生のころはそんなことをしなかったけれど
3年生くらいまでは良く遊んだ。

「ちょっと、みせてね。」
床から立ち上がって、その「埃をかぶった」車を手に取ろうと
一歩に、二歩と歩いた瞬間・・・
「きゃっ!」
僕は・・・床にあった延長コードに脚をとられてころんだ。
ぼた、と鈍い音がした。
「あぁん・・・ぬれちゃったぁ・・・」
僕はつまずいて、彼が持ってきたお茶のポットを転がしてしまい
スカートがずぶぬれになってしまった。

「下山・・・大丈夫か?」
「だめ!みないで!」
僕は、彼が近寄ってきたのを、突き飛ばした。

セーラー服のスカートが濡れて・・・僕の脚にぴったりとくっついた。
「ど・・・どうしよう・・・」
僕は・・・その先のことを良く覚えていない。
かろうじて思い出せることをつなげていけば・・・次の瞬間、

一度突き飛ばされて、僕に背中を向けていた彼に振り向くことを許して
制服を乾かさなきゃ、という話をしていたのだけれど
さっき、転んだときに・・・彼が急いで隠したバイブが隠し場所から
延長コードに引っ張られて・・・飛び出してしまい・・・
それが僕の目の前に転がってきた。
そのとき、



「おおきい・・・」
そう、くちばしってしまったことがひとつ・・・

そして、そんなことを僕が口走った次の瞬間
彼の股間につい目が向いてしまったこと・・・そして、
その股間が、彼の制服の上からでも分かるくらい・・・テントを作っていたこと・・・

「あーあ、お前、女になってもこういうところは変わってないなぁ。」
「うん・・・」
「ほら、俺の服貸してやるからとりあえず着替えろよ。部屋の外に出てるから。」
「うん・・・」

そんな会話をしたこと・・・それに
「じゃあ、鍵はこれな。」
といって部屋の外に出ようとした彼の手を・・・握り締めたこと・・・

「行かないで・・・」
僕は・・・なにが不安だったのかは思い出せない。
ただ、今、この部屋から彼が出て行ってしまったら
なぜか、もう・・・もとの友達に戻れないような気がしたのだ。
そしたら・・・だれも僕を守ってくれなくなる・・・
「えっ・・・?どういうこと?」
「出て行かないで・・・あたしのこと・・・守って・・・」

ぎゅっ、と握り締めた手に力を入れた
きっと・・・僕は・・・
さっきまでものすごく柔らかい空気が流れていた二人の間に
バイブの件から、おかしな空気が漂いだしたことが
不安で不安で仕方がなかったのだ。

おかしくなってしまった空気を・・・元に戻せないなら
彼が僕をもう一度温かく包み込んでくれるように、
守ってくれるならば・・・もう、どうでもよかった。

「下山・・・」

そして・・・もうひとつ。そんな言い訳だけじゃなくて・・・
きっと、あの大きな、黒光りするバイブと・・・
それと同じくらいの大きさのテントを張った彼の股間が
頭から離れなかったのだ。

「下山・・・その・・・」
「いいの、あたし・・・まだ初潮も来てないし・・・
心配ないのは、たぶん今だけだから・・・」
何を口走っているのだろう・・・
でも、あれは、本心。僕の・・・本心・・・


「あたしのこと・・・守って・・・」
「うん・・・」
彼は、そういうと、僕に閉めろといって教えた鍵を
自分でがちゃりと閉めて
僕の両頬に手を当てた。

「下山・・・」
「山崎くん・・・」
昔は僕のほうが大きかったこともある二人の背丈は、今は30センチ近くも違う。
見下ろす彼・・・見上げる僕・・・
潤む僕の目を見て、山崎君は何を思っただろう。
「おまえ、処女だったんだよな。」
「・・・うん・・・」
答えにくい質問だった。僕は、戸惑いながらゆっくりとうなずいた。

「じゃあ、まだ、キスは・・・」
「・・・初めてだよ。」

僕はそういうと、彼が両手で抱えたままの顔を彼の顔に近づけるように
つま先で立って・・・そして、目を閉じた。
今考えると、自分から求めているのと同じだった。
カラダが、勝手に・・・カラダが勝手に彼を求めているみたいだった。

唇に・・・温かいものが触れたのが分かった。
「ん・・・」
そのまま、唇だけを触れ合っていた。僕の体からは力が抜けて
背伸びしていた脚が、この小さな体すら支えきれないと思って
彼の腰に手を回した。

「ん・・・ふ・・・」
彼の鼻から・・・息が聞こえる。そして、温かい唇がとても心地よかった。
「ふ・・・ぅ」
僕は甘い甘いその温かさにとろけて、とろけきって、倒れてしまいそうになるけれど
たおれてしまったら、この時間が終わってしまう・・・それがイヤで
彼にぎゅっ、としがみついた。

つよく、つよく、彼を抱きしめた。
そして、そのことで、彼は僕がもっと、次の段階を求めていると、思ったのだろう
「ん・・・ぁ・・・」
温かい唇の間から・・・もっと温かい・・・濡れた舌が、僕の唇を割って入ってきた。
「ぁ・・・ぅ・・・」
きもちいい・・・僕の小さな口の中に入ってきた彼の舌を・・・
僕の舌は・・・喜んで出迎えた。



うそ・・・こんなに・・・いや・・・
気持ちよすぎて・・・今にもとろけてしまいそう・・・
だから、必死で彼にしがみつきながら
彼の舌をもっと、味わいたくて、必死に僕の小さな舌を絡ませた。

「おぷはぁっ!」
彼が、一方的に僕の口から舌を抜いて、唇を離した瞬間
僕は一気に溜めていた息を噴出した。

「はぁ・・・はぁ・・・」
「下山・・・おまえ・・・すごい鼻息だったぞ。」
「えっ・・・?ご・・・ごめん・・・」
僕は・・・すごくはずかしかった。あまりにも夢中になりすぎて・・・それで・・・
「いや、そうじゃなくて・・・」
「えっ?」
彼が照れたように言った。

「必死でキスしてる姿って、かわいいな、って思ってさ。」
「も・・・もう・・・知らない!」
彼はフォローしたつもりでも、僕の恥ずかしさはむしろ倍増した。

「息、落ち着いた?」
彼がそう聞いて、そして、今度は右手で左の頬だけを抱えて僕の瞳を覗き込む。
僕は、もともと潤んでいる瞳を、もっと潤ませて
「うん・・・」
と、うなずく。

「ん・・・」
僕は再び目を閉じて、体を一瞬こわばらせて・・・二度目の口づけを受けた。

「あっ・・・」
今度は、キスだけじゃなかった。
彼の右手は相変わらず僕の頬をなでるように抱えていたが
左手が、僕の細い腰の、かすかなくびれに回った。

「う・・・ぅん・・・」
体のあちこちを、制服の上から愛撫されて・・・


キスしてる唇の狭い隙間から・・・
見た目ほど幼くはない少女の、精一杯艶っぽいため息が漏れる。

きっと、さっきよりも鼻息が荒くなってるんだろうな・・・
口の中では、彼の舌が暴れ周り、体中を愛撫されて
とろけてしまいそうな僕は、
さっきよりも、ぎゅっと、彼にしがみつく。

「楽にしてよ。」
キスを中断した彼が、僕にそういう。
「う・・・うん。」
僕はうなずいて、また荒れた息をもどそうとする。
彼は、僕のスカートに手をかけた。

スカートって・・・ズボンと同じように前にファスナーがついてるものもあれば
そうじゃないのもあるって、僕は最近知った。
彼は・・・それなのに、馴れた手つきで、もともと脱いで乾かすはずだった僕のスカートをあっというまに脱がせた。

緊張で、体が動かなかった。
僕は、思っていた。子どものころ、ずっと一緒に遊んでいた僕たちが
中学校で私立の名門校と公立にわかれて
その2年ちょっとの間に経験したことのあまりの違いを・・・

いったい・・・どうやって、こんなに女の子を上手く扱えるようになったの?
親友である、彼に・・・つい何日か前に僕の処女を強引に犯した彼の
わずか2年ちょっとのあいだの「歴史」に
そんな嫉妬すらおぼえるようになっていた。

いや、犯されたことなんて・・・どうでもいいや。
どっちみち彼に捧げる処女だったんだ・・・幸せだったじゃん・・・
そう思っている間に、僕はバンザイの体勢になって、上の服もいつの間にか脱がされている。

「これ、乾かすよ。」
「あっ・・・うん。」
彼は夏の名残の扇風機を回して、スカートを干した方に向けた。



夏のころは・・・夏休みのころはこんな自分を想像すらしなかった。
いや、一昨日まで、昨日まで・・・少なくともこんな自分を知らなかった。
僕が女の子になった夏・・・彼はいったいどんな女の子と遊んでいたんだろう・・・

頭の中がまた嫉妬でいっぱいになる。
下着だけになった僕は、扇風機をいじる彼の姿をずっと見ていた。
スカートの濡れたところの内ももとひざの辺りが、まだ少し冷たい。

「下山・・・突っ立ってると、さむいだろ?」
そう言って山崎くんが僕を抱きしめる。
彼はまだ服を着たままで、正直、それが残念だった。
「ねぇ・・・山崎くん・・・服・・・」
でも、僕はまだ彼の服を脱がせるような度胸も、技術もなくて
恥ずかしさを捨ててそんな言葉をかけることしかできない。

「ちょっと、待ってて。」
彼は服を脱いで、僕の制服の隣のハンガーにかける。
まだパンツははいているけれど・・・
女の子になって、ハダカの男の人と向き合うのは、初めてだ。

胸が、どきどきする。
きっと、この家に入るときから、どこかで覚悟を決めていた。
きっかけは、いくつも重なったアクシデントだし
男の子同士の親友だったころに戻って話しているのも、楽しかったけれど

たった一日でも、僕を守ってくれたこの人になら・・・
そう期待していたことも、たぶん否定できない。

女の子になって・・・幼い体つきながら、女の子になって
まだいろんな経験が少なすぎる僕は、
男を目の前に・・・ついこの前まで僕も同じだったはずの
男を目の前に、浮き足立っていた。

「力を抜いて」
「うん・・・」
彼が、再び、僕を抱きしめる。



経験が少なすぎるというのは、ある意味で幸せなことで
僕は、このとき、だまされてるとか、性欲の餌食になってるとか
考えもしなかった。考えられなかった。

「あぁっ・・・」
純白のパンティのうえから・・・彼が、
今まで男では彼しか割って入ったことのない、割れ目をなぞった。

「んふっ。ぅん」
そして、ブラジャーの上から、左の胸に、彼の口が、ぱく、と、柔らかくかぶさった。
力を抜けといわれても抜けなかったのに、
がく、と脚から力が抜けて、僕はベッドに倒れこんだ。

「下山・・・腰うかせて。」
「う・・・うん」
仰向けになった僕は自分の胸の谷間とその両側に小さな胸を支えるブラジャーの向こうの
彼に向かって下目使いのままうなずいて、腰を浮かす。
何が起きるのかは、もう分かっていた。
パンティを脱がせて、ベッドの下に投げ捨てると、

「力抜いて。」
また、そう言った。

ぴちゃ。

僕の・・・まだ一度しかエッチをしていないアソコは、期待のあまり
ぬるぬるとした液体を充分に分泌していて、
彼がちょっと触っただけで、そんな音がかすかに聞こえた。
扇風機の音にかき消されることもなく、僕の耳にも届いたその音・・・

「まだ、痛い?」
「あははは・・・ちょっと・・・だけね。」
この前彼が犯したその部分は、つい、昨日までは痛む「傷」でしかなかった。
でも、今は・・・痛みを残すけれども、そのことなんて、忘れても良かった。

むしろ・・・彼が残したその痛みを・・・傷を・・・癒せるのは、彼だった。



「山崎くん・・・優しくして・・・」
「うん・・・ところで・・・」
「・・・なぁに?」
「あれ、使う?」
彼の視線の先には黒光りしたバイブレーターがあった。

「あははは・・・んーと・・・余裕があったら・・・」
どう答えていいか、分からない僕は、きっとものすごく恥ずかしいことを
ナチュラルに言い放つ。

「ねぇ・・・それより・・・」
「なに?」
「山崎くんの、おちんちんみせて。」
「えっ?」

この前は、恐怖しか感じなかった彼のおちんちんを
今日は、平気に・・・むしろ期待を持って
見ることができると思った。

「うん・・・いいけど・・・」
彼は、自分でトランクスを脱いだ。
「すごい・・・大きい・・・」
改めて見ると、こんなのが、僕の、小さな体に入ってくるんだ、って
すごく不思議な気分だった。

「まだ、痛いと思うけど・・・」
「うん・・・でも、山崎くんが気持ちよくなってくれれば・・・」
「下山・・・」

僕は、いつの間にか自分でブラを外して、二人ともハダカになっていた。
この前、彼に犯されたとはいえ、
ほとんど初めてに近い僕に、フェラチオを要求したり、執拗な前戯を
求めてきたりは、しなかった。

完全に彼にリードされて、僕は彼の枕に頭を置いて、
正常位での挿入を待つ体勢になっていた。



「力、抜いて。」
「うん・・・」
何度言われても、緊張で体をこわばらせる僕・・・
でも、力を抜かないと・・・
「ん・・・」
目を閉じていた僕の・・・アソコで、粘膜が触れ合うのが分かった。
「ぁ・・・」
痛い・・・でも、温かいものが、ゆっくりと、入ってくる。

「んぅ・・・」
僕は、シーツを掴んで、痛みに耐える。
いたい、けれど幸せな痛みでもあった。

「ん・・・ぁ・・・」
「いい、ゆっくり動くよ?」
「えっ、もう、入ったの?」

「うん・・・」
彼はそういうと、ゆっくりとおちんちんを抜いたりさしたりし始めた。

「ん・・・あぁ・・・ん」
ああ、意外に楽勝じゃん・・・この前は、すごく痛くて
それだけだったけど、でも・・・今日は・・・まだ痛いけど
「あぁ・・・ん・・・・んぅ」
僕の体の中で・・・何か温かいものが動いている
それが・・・幸せなことだ・・・彼とひとつになっているのだと思うと
体中が熱くなってくる。

「いい・・・すごく・・・」
それほど気持ちいい、というわけではなかったけれど、
きっと、自分に言い聞かせようとした。

「あぁ・・・ん・・・はぁ・・・」
彼は、スムーズに抜き差しできるようになってきたのが分かると、
少しずつ、腰を振るスピードを上げだした。



完全に受身の僕は、僕の体の中で暴れまくる衝動に耐えるだけで
せいいっぱいだったけど、
声は・・・あえぎ声は不思議に漏れ続けた。
「ぁ・・・ん・・・ふぅ・・・」
気持ちいい、というより、ただ、幸せだった。

「ねえ、中で出して本当にいいの?」
「いいよ・・・大丈夫。」
どのくらい時間が経ったのか分からない、でも、
彼の限界はいつしかやってきて
中に出しても大丈夫だとおもっていたのに、
彼は、結局、最後にはあたしの体の中からおちんちんをぬいた。

「あぁん・・・」
抜かれたときに、すごくいやらしい嗚咽が漏れたのが分かった。

「いくよ・・・」
おなかの上に、温かいものがかかってくるのが分かった・・・

「終わった・・・?」
「うん。終わったよ。」
「ねぇ、あたし・・・どうだった?」
「どう、って・・・」
「気持ちよかった?」
「えっ・・・うん。もちろん。すごく良かったよ。」
「良かったぁ。次は、もっと上手くなるから・・・その・・・」
「なに?」
「あの・・・いろいろ教えてね。」

僕たちは、満面の笑みでお互いを見つめあった。
彼の・・・精液のかかったあと、あの匂いが僕の鼻をつく・・・
「不思議だなぁ・・・」
全然、いやじゃないのだ。この匂いが。
「なにが?」
「な、なんでもないよ。あっ、もうこんな時間だ。あたし・・・ごめん、かえるね。」
「あっ、それじゃ、送っていくよ。」



「ふふ、ありがと」
僕は、まだちょっとつめたい制服のスカートをはいたまま、
彼に送られて帰った。

僕の家の前まで驚くほどすぐにたどりついた。
「じゃあ、また明日ね。」
「うん・・・なぁ、下山。」
「なに?」
「俺たち、付き合わないか?ちゃんと。」
「えっ?」
私立の中学校に入って以来、公立の中学校に行った人たちとは
別世界の住人になってしまった。
でも、いま、こうして小学校のときからの親友と向き合っている、
それは、僕にとって、とても幸せなことに思えた。

「もちろん・・・OKだよ。」
そういって、僕は、顔を軽く突き出して、目を閉じた。

ちゅっ、と軽いキスをかわして、
「また、あしたね。」
ともう一回言って別れた。
僕は、彼が見えなくなるまで、手を振っていた。

今日の一日・・・すごくいろんなことがあったけど
でも、とても幸せな気分だった。

その後・・・すぐに僕と山崎君のエッチは
どんどんエスカレートしていくことになるのだが、
それは、女の子に生まれ変わった僕が生まれつき淫乱だったからなのか・・・
それとも、彼にいつの間にかだまされたのか、今になってしまってはわからない。

どっちにしても、僕は・・・幸せで、ルンルン気分のまま
勉強もものすごくはかどった。
顔のにやけを抑えるのが、大変だったことを良く覚えてる。

この一日が・・・きっと、女の子に生まれ変わってから
一番幸せな一日だったと思う。

今まで、そして、これからの一生を全部、ふくめても。

彼とこういう関係になることは、僕自身望んだことだった。
でも、あんあふうに・・・調教されて、あんなことになるなんて・・・
再び狂いだした運命の歯車・・・もう、このとき手遅れだったことを
まだ知らなかった。

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