初夏の夜の空気には、草木の吐く青臭い匂いが入り交じっている。
 帰りがけにコンビニで買ったモナカアイスを囓りながら、譲(ゆずる)はすっかり
日が落ちて真っ暗になった夜の公園を、学生鞄を片手にぶらぶらと歩いていた。ア
ニメ研の友人の手伝いをしていて、こんなに遅くなってしまったのだ。
 時刻はもう、夜の七時をとっくに過ぎている。
 十年ほど前までは映画研究部(通称・エイケン。 マンガとは関係ないので念のた
め) だったということもあってか、アニメ研は文化祭用に様々なアニメを作るのが
伝統になっている。だが、アニメやマンガがみたいだけという部員が大半を占める
こともあって、人手が足りない。そこで、帰宅部で暇な譲に白羽の矢が立てられた
というわけだった。
 まだ、公園の出口は見えない。
 この市民体育公園はかなり広く、子供が遊ぶ遊具の他にも、小さいながらもバッ
クネットつきで、ちゃんとマウンドがある野球をするスペースはあるし、小学生が
サッカーをするくらいのスペースもあり、おまけにテニスコートが四面もある。更
衣室とシャワールームまであるのはやり過ぎという気がしないでもないが、通常は
鍵がかかっていて利用できない。
 この町には中小の工場が多いということもあってか、最近は東南アジアや中南米
から出稼ぎに来たと思われる人も増え、治安の悪化が懸念されている。もっとも、
彼らが好んで犯罪を犯すというわけでは決してなく、実際に話をしてみると気のい
い明るい人が多いということもわかるのだが。
 市民の声もあってか警察のパトロールや自警団が定期的に巡回していることもあ
り、今のところは事件らしい事件は起こっていない。譲も公園の入口で、町内会の
自警団と出会い、気をつけるようにと言われたばかりだった。
 夜道は危険だと言われているが、さすがに男を襲う変質者などいるとは思えない。
「おっと……」
 ちんたら食べているうちに、モナカの皮からアイスが溶けて指をべとべとに汚し
てしまっていた。譲は残りを一口で頬張り、一気に飲み込んだ。汚れた手はどうし
ようかと迷ったが、すぐ近くに水飲み場があったことを思い出した。


 手をぶらんと垂らしながら水飲み場へ足を向けた譲は、一瞬、ぎょっとして歩み
を止めた。
 道からちょっと茂みのある方に外れたところに、『それ』はいた。

 ――何だろう? あれは。

 理解はできたが、納得できるものではなかった。
 二人の全裸の女が、水飲み場で絡み合っていたのだ。しかも一人は、水を飲む蛇
口の上に腰を下ろしている。

(あそこに、蛇口が……っ!)

 ひそやかではあるが黒い陰りの中に、銀色の冷たい突起が潜り込んでいるのがわ
かった。それを背後から抑えこんでいる女がいる。
「あ、はぁっ……お腹の中に、水が……お水がいっぱいぃ、流れ込んでぇ……ますぅ」
「そろそろ一杯になったかしら。さあ、お退きなさい」
「はい」
 譲は身を隠すことも忘れて、魅入られたように彼女達の淫靡な行為を見つめてい
る。
 蛇口の上に座っていたのは譲と同じか、少し下くらいの少女だった。そしてもう
一人は、金色の髪をした白人と思われる少女だった。だが、言葉は自然な日本語だっ
たし、顔もまるきり外国人というわけでもない。もしかしたら、ハーフなのかもし
れない。
 しかも、こちらも全裸だ。
 水飲み場の台から下りた少女は、ふらふらになりながら腰を下ろしてしゃがみ、
足を大きく開いた。
「出しなさい」
「はい……」


 ちいさな水音が、静かに響く。
 譲は股間がはちきれそうに固く張り詰めているのを自覚しながら、呆然として突っ
立っていた。
「はぁぁ……」
 少女は体を震わせて、媚びを含んだ息を吐く。
 どれだけ多くの水を体内に含んでいたのだろう。長い長い放尿、いや、排泄だっ
た。
 目が放せなかった。
 譲の視線は、少女の股間と胸に集中していた。だから、金髪の少女がいつの間に
か姿を消していたことに気がつかなかった。
 排出を終えた少女は、譲が見ている目の前で股間に手をやってオナニーを始めた。
彼女から、目が離せない。まさに釘付けである。
「つ・か・ま・え・た♪」
 後から声がしたかと思うと、譲は背中からがっしりと抱きしめられた。何か柔ら
かいものが背中にあたっているのがはっきりとわかる。
 譲は振り返ろうとしたが、動くことができない。
 棒立ちになっている譲を、少女は背後から器用に服を剥き始めた。制服の上着と
ワイシャツをさっさと脱がせ、シャツもはぎ取り、足下にずり落ちたズボンとトラ
ンクスを片足ずつ引き抜いて、ついでに靴下と靴まで脱がしてしまったのだ。
 アスファルト舗装の上に、譲は完全な全裸で立ち尽くしていた。恥かしいと思う
間もない早業だ。
 譲を全裸に剥き終ると、金髪の少女は前にまわり、彼の目の前に立った。
 意外に大柄で、譲と同じくらいの背丈がある。白い肌が、夜景から浮き出ている
ようだった。
 彼女の背後には、自慰をする手を止めて立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かっ
てくる少女の姿が見えた。
「ちょうどよかった。探しに行く手間が省けたわ。この子にしましょ」
 金髪の少女は言った。


 彼女はしゃがんで、限界まで張り詰めて破裂しそうな譲のペニスを指でつつき、
「完全に剥けてもいないけど、ま、この歳ならこんなものかな。まだ童貞の匂いが
するわ。でも、病気を持ってないってのはポイント高いわよね。それに、ずいぶん
とたまっているみたいだし♪」
 と言って、おもむろにぱくりと口で咥えた。
「う、わ……」
 唇と舌で包皮を剥かれ、敏感な裏筋をしゃぶられる。びくん! とペニスが弾け、
射精したような感覚が伝わってくるが、精液が出たわけでもないようだ。
「んふー♪」
 袋を手で弄ばれ、太腿をさすられる。あまりの気持ち良さに連続して射精してし
まいそうだが、なぜかびくびくと震えるだけで精液は出ない。
「ああっ……ああ……」
 情けない声でうめく譲を、金髪の少女は妖艶な笑みを浮かべ、上目で見つめてい
る。

(どう? 気持ちいい?)

 声なき声が、譲に語りかけているようだ。譲は、もっと気持ち良くして欲しいと
ばかりにがくがくと頭を上下に振る。
 彼女がカリを唇で絞り上げた時、譲は弾けたように射精していた。今までに経験
したことがない勢いで精液が出ているのがわかる。それを嫌がる素振りも見せずに、
少女は受け入れている。そればかりか、ストローを吸い上げるようにして最後の一
滴まで絞りつくそうとすらしたのだ。
 やっと少女が離れた時、譲の下半身は痺れで麻痺してしまったように感覚がなく
なっていた。それなのに、ペニスだけは勢いを失うことなく、屹立したままだった。
「んふふぅ♪」
 嬉しそうに微笑みながら、譲の目の前で唇を開いて見せた。


 口の中は、精液でたっぷりと満たされていた。精巧な象牙細工のような歯が並ぶ
内側からは、次々と白い液体が堰を越え、薔薇色の唇からこぼれ出た。
 たっぷりと見せつけてから、彼女は口を閉じ、こくんと小さな音をさせて飲み込
んだ。。
 そして近寄ってきたもう一人の少女の顔を両手で捕まえて顔に近づけ、キスをし
た。
「む……んふ……」
 子猫がミルクを舐めるような音がする。まだ口の中に残っている精液を、もう一
人の少女に送り込んでいるのだろう。
 二人のもつれ合う様子を見ているだけで、射精できそうだった。股間は再びがち
がちに張り詰めて、痛みさえ感じている。
 たっぷりと一分以上は唇を重ねてから、ようやく二人は離れた。
「どう? この男の子の精液」
「体が熱くなります。こんなに美味しいものだなんて、おもっていませんでした」
 唇に残っていた精を、舌でぺろりと舐めあげた。
「美味しくって、舌が痺れてしまいます。とっても滑らかで濃くって……あ。少し
つぶつぶがありますね」
「それは、この子が精液をたっぷりと溜めていた証拠よ。まだ何度も出せるわね」
 そう言いながら金髪の少女は、譲のペニスを後ろ手に指でつついた。
「でも舐めるより先に、もう欲しくてたまらないでしょ?」
「はい」
 少女はすかさずうなずいた。
「おま○この中に、たっぷりと精子を注ぎこんで欲しいです」
「合格よ。もうあなたは、立派な淫魔だわ」
「ありがとうございます、おねぇさまぁ……」
 そう言って、金髪の少女にキスをねだる。


「あなたは本当に甘えん坊さんね。でも、これからは自分で精気を吸って独り立ち
しなければならないのよ。この子は私から贈る、最後で最初の特別な御馳走よ」

(淫魔……淫魔だって?)

 二人の会話を耳にして、譲は心の中でうめいた。
 ゲームマニアの殿山ほど詳しくはないが、ファンタジーRPGなら何本かやって
いるから、そういうモンスターがいて、それが悪魔の仲間とかそのくらいはわかる。
友達に貸してもらったエロ小説の中にもそんな話があった。
 だが、実在するとなれば話は別だ。そんな話なんか聞いたことがない。あったら、
とっくに大騒ぎになっているはずだ、などと考えてはいるが、目の前の全裸の少女
たちに意識の大部分を奪われているので、考えがまるでまとまらない。
 もしかすると、いや、間違いなくこの展開だと……。
 全裸で硬直したまま股間をみなぎらせているという間抜けな姿で、譲は、恐らく
は淫魔である金髪の少女が近づいてくるのを、黙って見つめることしかできなかっ
た。
 彼女は譲のほっぺたに両手を当て、譲を引き寄せるようにしてキスをした。少な
くともおぼえている限りでは、彼にとってファーストキスだった。
 はっきり言って美少女だし、初めての相手としては文句など言えない。ただし、
それが精液臭い口でなければの話しだが。
「わっ!」
 なめらかなアーモンドくらいの大きさの塊が、つるりと譲の口の中から食道、そ
して胃へと落ちていった。
「それは“淫魔の種”よ。運と素質があれば、あなたも淫魔になれるわ。じゃあ、
麻紀菜。たっぷりと、この童貞君をしゃぶり尽くしてあげなさいね」
「はい、おねぇさま……」
 麻紀菜と呼ばれた少女は胸と股間をいじりながら答える。


 譲は公園の茂みの中へと軽々と引きずっていかれ、金髪の少女のなすがままに、
芝生の上に転がされた。背中がチクチクするはずなのに、なぜか柔らかいベッドの
上で寝ているようだった。それは彼には見えないが、譲がわずかに空中に浮いてい
るからだった。
「じゃあ、あとは若い人にお任せってことで。おふたりさん。ごゆっくり〜♪」
 金髪の淫魔は、見掛けに似合わず年寄り臭い台詞をはいて木陰へと姿を消した。
 譲は寝転がりながら、自分のおかれた異常な状況をまだ整理しきれずにいた。
「あなたが着ていたその制服、私と同じ学校ですね」
 少女は、譲を見下ろしながら言った。
「私は、二年二組の篠崎麻紀菜(しのざき・まきな)です」
「に、二年三組の辰熊譲(たくま・ゆずる)……」
 なんとか声が出た。助けを呼ぼうかと思ったが、素裸の上にペニスまで勃起した
この状況で人を呼ぶには、あまりにもリスクが大きいような気がする。だがそれ以
上に彼は、白色灯を照らしかえす濡れた股間と、くびれたウエスト、かわいらしく
へこんだへそ、そしてその上のパーツに思考を奪われていた。

(しかし、でかい……)

 下から見上げると、彼女の胸の大きさが際立つ。
 篠崎という名前を聞いて思い出したが、彼女は隣の組のクラス委員長だ。勉強も
学年トップだし、全国模試でも優秀な成績を修めていた。それくらいは彼でも知っ
ていたが、まさかこんなに胸が大きいとは知らなかった。巨乳グラビアアイドル並
のボリュームだ。
「あら。くまさんって、あなたのことだったんですね」
「うっ……」
 辰(龍)と熊というワイルドな名字とは裏腹に、譲は母親似で、どちらかというと
華奢で細い体をしている。アマチュアレスリング選手の姉の方が肩幅も体重もある
くらいだ。それゆえに彼は密かに自分の体に対してコンプレックスを持っていた。


 しかし、まさか彼女にまで「くまさん」のあだ名を知られていたとは思わなかっ
た。全裸でいる方がよっぽど恥かしいのだが、それはあちらも同じだ。
 考えがそこに及んだ瞬間、猛烈な羞恥心が込み上げてきた。
 いつ誰がくるともわからない公園の木陰で、全裸の男女が向かい合ってすること
と言えばセックスしかない。もちろん野外ですることが普通のはずもないが、誰が
見てもこれからことにおよぼうとする男女以外と見間違えるはずも無い。

(ヤバイ、どうしようどうしようどうしよう……)

 思考が再びぐるぐると無限ループに突入する。
 別に男性の方が好きだとか、青少年保護条令に引っ掛かるどころか問題外の年齢
のロリっ子が好きとか、二次元の絵でしか勃起しないとかいうのではなく、それな
りにセックスに対して興味はあった譲だが、この状況は完全に想像外、想定外だっ
た。
 まさか全裸に剥かれ、強姦同然に同級生の女の子に犯されるだなんて誰が思うだ
ろう? しかも淫魔がどうだとかまでくっついてくるのだから、余計わけがわから
ない。
 混乱している譲をよそに麻紀菜は大きな胸をゆらしながら彼の左横に膝を揃えて
座ると、彼の体に対して十字になるように体をくっつけて、大きな胸をぴったりと
譲の胸に押しつけた。

(うわ、柔らかいっ! すごく柔らかい……ちゃんと二つあるのがわかる、って俺、
何を考えているんだよ! でも、乳首が……)

 なおも混乱している譲の体はまだまったく動かない。麻紀菜はそんな彼の右腕を
そっと持ち上げ、力無く垂れている指を口に含んだ。


 じゅるるるるっ……。
 温かい粘膜に包まれたと同時に、ざらりとした触感が譲の脳髄を震え上がらせる。
彼女が指を舐めているのだ。それも、ねっとりと丹念に、唾液をすする音やちゃぷ
ちゃうという水音まで交えての熱演だ。

(まるでフェラチオをしているみたいだな)

 譲が股間をさらに熱くさせると、麻紀菜は彼の心を読んだかのように指をしゃぶ
るのをやめて、ちゅぷっと濡れた紅色をした唇から譲の指を吐き出し、彼の顔の方
を向いて言った。
「あまぁい……」
 そういえば、アイスで手が汚れていたのを忘れていた。彼女は再び譲の指をしゃ
ぶり始めただけではなく、手の平や甲までしゃぶりつくしてゆく。
 涎で汚れたという感じはまったくなかった。それどころか、アルコールで拭いた
ようにさっぱりとして涼しくすら感じる。
 麻紀菜の口唇愛撫はとどまるところを知らず、そのまま手首、腕、肘へと舌を進
めてゆく。
「あ、はうっ!」
 くすぐったさのあまり、譲は少し精液を漏らしてしまった。胸のあたりを舐めて
いた麻紀菜は彼のへそのあたりに飛んでいる精液の方に目をやり、困ったように首
を傾げた。
「まあ、もったいない……。ん、もう、我慢できません!」
 いい終わるが早いか、彼女は体を移動させて譲の股間近くに顔を持ってゆく。
「うふぅ……おチンチン……本物のおチンチンです。とってもいい臭い……」
 まだ身動きがとれない譲の股間に顔を近づけ、息を吹き掛ける。
「ふああっ!」
 尾てい骨のあたりから急速に射精感が込み上げるが、麻紀菜が尿道を指で押さえ
ただけで、快感が抑えられてしまった。


「まだ出してはだめです。もっと……もっとがまんして、濃い精液を下さい」
 そのまま足を持ち上げて、譲の体をまたぐ格好になる。
 股間が譲の目の前で揺れている。

(う、わぁ……)

 生の女性器を見るのは、もちろん初めてだ。
 今時、無修正画像なんてインターネットで飽きるほど見られるが(学校のパソコ
ンはフィルタリングソフトが入っているので見られないはずなのだが、なぜか先生
が使うパソコンにはそれが入っていないので、悪友達はこっそりそれを使って学校
でエロ画像を満喫していたりする)、手を伸ばせば届く距離に、しかも顔の真ん前
にある。
 鼻をくすぐる匂いは、どこか花の香りに似ていた。だがそれは甘いがきつく、脳
髄を突き刺す強烈な刺激が譲の思考を揺さぶる。
 体が跳ねた。
 まるで思考がまとまらない。体が浮いているからなのか、前後左右がまるでわか
らずパニック状態におちいってしまう。
 ただ感じるのは、股間からの刺激だけ。
 麻紀菜が自分のペニスをしゃぶって……フェラチオをしているのだ。尻の穴がきゅ
きゅっと締って、今にも出そうな精液を堪えようとする。だが、彼女の大胆な愛撫
は譲の肉体的限界をあっさりと崩壊させていた。
「くうぅぅっ!」
 体が何十秒も硬直した後に来た、痛いほどの解放感が譲を襲う。今までに体験し
たことがない大量の射精を、麻紀菜は咳き込んだり吐き出したりすることなく、全
て飲み込んでいるようだ。

(あっ……垂れてる!)

 膣口がひくひくと蠢いて、内側から白濁した粘液が溢れだし、彼の喉元に落ちた。


 熱かった。
 汚いという感じはしなかった。
「あら、辰熊さん、まだ元気なんですね」
 その様子を見ているだけで、射精を終えて萎えたはずのペニスが再び力を取り戻
したのだ。
「辰熊さん、私のおっぱいが見たいですか?」
「あ、う、うん」
 声が出た。
「見たい」
「これでおチンチンをはさんだりすると、男の人って気持ちいいんですってね」
 大きいのに張りがあってまったく型崩れがしていない胸は、おっぱいマニアでは
ない譲でも目が離せない見事なものだった。
「65のIカップなんですよ。つい二か月前まではBカップだったんですけど、おねぇ
さまに淫魔にしていただいてから、こんなに大きくなってしまったんです」
 ちなみに、アンダー65のIカップのトップバストは95センチである。160 センチ
にも足りない小柄な麻紀菜だけに、その爆乳ぶりは視覚的なTNT爆弾と言っても
過言ではない。
 ところが見たいと言っているのに、麻紀菜は一向に譲の目の前に胸を持ってきて
くれない。それどころか、彼の目の前にある淫裂からは、白く濁ったねっとりとし
た液体がぽたぽたと陰毛を伝って喉元に垂れ落ち、蠱惑的な香りを放って譲の精神
を狂わせている。
 もう我慢も限界に達していた。だがそれは麻紀菜も同じだったようだ。
「でも、私もう、がまんできません。早くおチンチンをここで……」
 サーモンピンクの肉襞が麻紀菜自身の指で広がってゆく。
「私のおま○こで味わいたいです。辰熊さんのが欲しくて、ここをほじって、突い
て、奥まで貫いて、濃い精液を注ぎこんで欲しくてたまらないんです」
 胸のことなんか、一瞬で吹き飛んでいた。


 麻紀菜はするっと体を反転させ、譲の腰の上に一気に腰を下ろした。
「んーっ、ふっ!」
 童貞を失ったという感慨に耽る間もなく、麻紀菜は腰を上下ではなく前後にゆっ
くりと揺すり始めた。強烈だが決して不快ではない肉の摩擦で、譲はあっけなく彼
女の中に精を出してしまった。
 しかし、萎える余裕も恥かしいと考える余裕も譲には許されていなかった。
「辰熊さん……私のおま○こ、気持ちいいですか?」
「あ、う、うん……気持ち、いい」
 麻紀菜はコツを覚えたのか、絞ったりねじったり擦りあげたりと様々な刺激を譲
に与えている。譲は自分で動くことはできなかったが、それでも十分だった。
「うふっ。私も、辰熊さんのおチンチンがすごく固くて、奥まで届いてて気持ちが
いいです。子宮が……あはっ! 子宮口が押されて、すごく……すごくいいです」
 おとなしそうな優等生が、泣き笑いのような表情を浮かべて喘いでいる。
「おっぱい、触ってください」
 揺れている大きなふくらみを両手でつかんだ。
 柔らかいが、内側からしっかりと指を押し返す感触がある。片手におさまりきら
ないボリュームの中心が、手の平に感じられる。固くなった乳首だ。
「すごく、大きい……」
 気持ちがいいのだが、あまりにも血液が流れ込んでいるためか、内側からかなり
の痛みも感じる。大きいと言ってくれるのは嬉しいが、いつまで射精しないでいら
れるかわからない。
「あー、ああぁぁっ!」
 射精してしまった。だが麻紀菜の動きは止まらない。気持ちがいいのも止まらな
い。情けない声を上げつつ、譲は彼女の中に精液を注ぎ続ける。
「辰熊さん、もっと……もっと私の中に、あなたの精液を注ぎこんでください」
 痛みはいつのまにか痒さに変わっていた。ただひたすら痒かった。痒いのに気持
ちがいい。麻紀菜が腰を動かしているからだ。


「やめ、やめて!」
「あはぁっ……辰熊さんの、どんどん大きくなって……奥が、押されてっ、いやぁ、
だめですっ!」
 また射精してしまった。だが、止まらない。今まで体験したことがない勢いで、
麻紀菜の子宮口に文字通り浴びせかけ、叩きつけるような勢いで射精している。
「すごいのっ! 辰熊さんの精液、どんどん注がれてますッ!」
 わずかな時間しか続かないはずの絶頂と射精が、止まらない。それどころか、快
感は強まるばかりだ。
 大きな塊が腹の奥から吹き出したと思った瞬間、そこで譲の記憶は、ぷつっと途
切れた。

 ***

 ぐちゅぷっ……と泥の中に突っ込んだ脚を引き抜いたような音がした。
 譲が目を開けると、麻紀菜が立ち上がって譲を見つめていた。いつの間にか、場
所はどこかの室内に移っていた。どうやら更衣室のベンチマットに転がされている
ようだが、どうやって彼女が気絶している自分を運んだか、まったくわからない。
「辰熊さん、気がつきました? 淫魔の種が芽吹きましたよ。ふふっ……」
「いんまの、め?」
「ええ。ほら」
 股間からだらだらとこぼれ出る精液を隠そうともせずに、麻紀菜は譲の股間の方
を指差した。
「え……ええっ!?」
 驚いた。
 そこにあったのは、驚くほど長い……今までの自分のそれの倍はあるんじゃない
かという、とんでもないものがそこにあった。
「淫魔の種って、どうやって増えるか知ってますか?」
「いや、知らない」
 そもそも、そんなものがあるなんてことすら、さっき知ったばかりだ。


「人間の体を栄養にして育つんですって。淫魔になれなかった人は……淫魔の樹の
苗床になってしまうんですよ。樹って言うけれど、キノコに似た形で、まるでおチ
ンチンみたいなんですけれど、元がこれならば納得ですね」
「ひぇぇ……っ!」
 何がなんだかよくはわからないが、かなり危険な状態にあるらしい。
「だから、辰熊さん。今のうちにたっぷりエッチをしましょうね」
 麻紀菜はなおも大きくなり続けているペニスを両胸の谷間ではさむと、ゆっくり
と幹をしごきだした。
「これが人生最後のエッチかもしれませんから。うふふ……」
「あ、うっ!」
 麻紀菜は豊満な胸でシャフトをマッサージしつつ、谷間から顔をのぞかせている
亀頭によだれを垂らし、先端にキスをした。
「辰熊さんのお汁、とっても美味しいです。はぁ……まだ、出せますよね」
 にっこりと微笑んで麻紀菜はまたしゃぶり始めた。
 目の前の少女は人間の形をしているが、まぎれもなく化け物だった。そうでもな
ければ、こんなに楽しそうな表情をするはずがない。
「あうぅぅっ!」
 譲がたまらず射精をすると、半分は顔で受け、滴り落ちる精液を見せつけながら
美味しそうにすすり、残りの精液を吸い出すためにペニスをくわえる。もうそれだ
けで譲は射精してしまうのだが、麻紀菜は嫌がるどころか嬉々として精液を飲みこ
むのだ。
「ねえ、辰熊さん。まだ、し足りないでしょう?」
 そう言って譲を見つめた彼女は、まぎれもない“悪魔の微笑み”を浮かべていた。


 後編につづく(でも短い)




 外から差す街灯だけが頼りの暗い部屋の中、濃厚な性の匂いがロッカールームに
たちこめている。
 どうせ死ぬのなら、とあらゆる体位で麻紀菜とセックス――いや、「交わる」と
言った方がふさわしいような激しさで、二人は互いを求めあった。
 もう、何度麻紀菜の中に出したか覚えていない。
 決して萎えず底無しとも思える精液を吐出し続けたため、マットどころか床まで
どろどろになるほどだった。
 麻紀菜の精液臭い口にキスをし、舐め、口に膣にアヌスにペニスをねじこみ、射
精し、しゃぶられ、挿入し、すすられ、また射精と、体がどろどろになって溶け合
うような激しいセックスだった。互いの体臭さえもが入り交じり、一体化していた。
最初は触るのにも抵抗があった自分の精液さえも、いつの間にか譲は平気になって
いた。
 「辰熊さん」という呼び名はいつの間にか「譲くん」になり、譲も麻紀菜を「篠
崎」と呼ぶようになっていた。
「はぁ……」
 憑かれたように麻紀菜の体を貪っていた譲もついに体力が切れ、疲れ果ててマッ
トに横たわった。麻紀菜の方もまた同じようだった。だがペニスは一向に柔らかく
なる様子はない。麻紀菜は譲の上に乗っかる格好でペニスを挿入されたまま、いつ
でも続きを再開できる体勢でまどろんでいる。
 時計がどこかにいってしまっているので時間はわからないが、間違いなく夜中の
十二時は越えているはずだ。しかし、家に帰ろうという気はまるでおきなかった。
それよりも一秒でも長く、麻紀菜とセックスをしていたかった。
「ねえ、譲くん」
「ん?」


 麻紀菜は譲の首筋に、紅い吸い痕をつけて言った(ちなみに、譲の下半身に集中
して同じような印がついている)。譲も麻紀菜を抱く手に力を込める。押しつけら
れた柔らかな胸の感触が、なんとも気持ちがいい。また、股間に力がみなぎるのが
わかった。
「譲くんは、サキュバスとインキュバスの関係って知っていますか?」
「さ、さあ……」
「どちらも淫魔なんですけどね」
 麻紀菜は譲の手をそっと振りほどき、上半身を起こした。汗と精液にまみれたバ
ストが、外の明かりを照らしかえしている。
 ぬるり、と何かが譲の中から引き抜かれた。
 譲が抜いた、ではない。
「あ、なん……だ?」
 虚脱と喪失感に襲われて、譲は額に手を当てた。
 奇妙に、冷たかった。
「実はサキュバスは、インキュバスでもある、表裏一体の関係なんですよ」
 腰を深く引いた麻紀菜の股間には、赤黒いグロテスクな陽物がそびえたっていた。
完全に引き抜くと、それはぴたん! と音を立てて彼女の白い肌に張りついた。
「ありがとうね、譲くん。あなたのおチンチン、貰っちゃいました……」
 何が起きたか理解できないまま視線を移して自分の股間を見ると、薄暗がりの中
でも、見慣れていたものが無くなっているのが、はっきりとわかった。
 恐る恐る、股間を触ってみた。
 つるつるで、何のでっぱりもへこみも無かった。
「う、うわぁぁぁっ!」
 自分では大声をあげたつもりだったが、かすれるような声しか出てこない。
「サキュバスは、サキュバスとして精を注いでもらって、インキュバスとして女の
人にその精を注ぐんです。昔の女性は、言い訳として浮気相手の子の妊娠をインキュ
バスのせいにしたそうですけどね」


 麻紀菜は腰を前後に揺すって、生まれて初めて味わうペニスの感覚を楽しんでい
るようだった。
「はぁっ……おチンチンって、すごいですね。こうして揺すっているだけでも気持
ちいいです」
 つぅ……と先端から透明な汁が幹に沿って袋まで垂れ落ちる。
 彼女の股間は、陰嚢まで存在する完全な男の性器になっていた。袋の中に納って
いる睾丸はずっしりと重そうだし、彼女が上下に揺すっているそれは、幼児の腕く
らいもあるんじゃないかと思えるほどの凶悪さだ。
 麻紀菜はたまりかねて、幹を自分の手で扱き始めた。
「気持ちいい、気持ちいいですっ! おチンチンが、こんなに気持ちいいなんてっ!」
 たちまち、鈴口から精液が勢いよくほとばしり、寝転がったままの譲の腹部にぼ
たぼたと滴り落ちた。
「うう……はぁ……すごいです。射精って、とっても気持ちがいいんですね。おチ
ンチンがきゅうって気持ちよくなって……」
 こってりとした粘液の放出はとどまるところを知らない。麻紀菜はしごく手を止
めず、恍惚とした表情で射精し続けている。
「やめっ! 篠崎、やめてくれ!」
 だが言葉とは裏腹に、顔にまでかかった精液に嫌悪感を持っていないことに譲は
気づき、背筋を寒くした。すっかり体液に対する認識が変わってしまっている。譲
は唇についた精液を無意識に舐め、体の奥底からわきあがってくる不思議な衝動を
感じていた。
 全身がまんべんなく白濁液におおわれたところで、麻紀菜の手はようやく止まっ
た。もう、譲は精液でどろどろ。1リットルくらいはありそうな恐ろしい量だ。辛
うじて顔にはほとんどかかってはいないが、髪の毛にまでべったりと白濁液がこび
りついてしまっている。
「あ、は……男の子のオナニーって、女の子とは別の感じで、気持ちいいです。で
も、セックスって……もっと気持ちがいいんですよね……きっと」


 麻紀菜は恍惚とした表情を浮かべながら、ゆっくりと亀頭をいじり続ける。
 譲と麻紀菜の視線が合った。
「ねえ、譲くん?」
 ぞくっと背筋に寒気が走った。
「それとも、譲ちゃんでしょうか」
 麻紀菜が上にのしかかってきた。
「しっ篠崎っ! やめ、やめろっ!」
「だめ、ですっ♪」
「……っ!!」
 信じ難いほど力強い手が譲の両手を組ませてがっしりとつかみ、頭の上でマット
に押さえつけた。つるりとした丘に先端を押しつける。麻紀菜がペニスに片手を添
えて腰を進めると、入る場所などなかったはずなのに、ずぶずぶと肉根が譲の中へ
とのみ込まれていった。
「あ、うぁぁぁっ!」
 挿入された瞬間、譲の下半身が内側から蠢いた。
 内臓が暴れているようだった。
 異様な感覚は下痢をした時の感覚が一番近いのだが、それは今まで存在しなかっ
た器官が急速に作られてゆく過程で生じるものだった。だが決定的に違うのは、彼
にとってそれは他に例えようも無い未経験の、それも強烈極まった恐ろしいほどの
快感だった。
「んんんんんんんんんんーっ!」
 悶える譲の声は、いつの間にか甲高い少女のものへと変化していた。
「すごい。気持ちいい……です。譲くんに入れられた時も良かったけど、これも―
―んっ! 違った感じで、とっても……はあ……すごく、いい……」
 一気に突きこむことなく、押したり引いたりしながら、麻紀菜はじっくりと「初
体験」を味わっている。


「男の子が、セックスしたがる、の、わかる、気が……します。だって、痛くない
し、妊娠もしないし、気持ちいいだけだもの。こんなに気持ちいいなら、一日中だっ
てセックスしていたい。はあっ……おチンチンが溶けちゃいそう。譲くんの中が、
私のおチンチンをきゅっきゅっと締めつけて、精子を頂戴って言っているみたいで
す……」
 白濁し、泡立つ股間から、完全に女性の物になった譲の器官が見え隠れしている。
「見てください、譲くん。もう、すっかり女の子になってますよ」
 わずかな時間で、譲の体は驚くほど変化を起こしていた。先程までは男としては
きゃしゃとは言え譲の方が大きかった体も、麻紀菜よりも小さくなってしまってい
る。
「体も小さくなっちゃって、本当に女の子になっちゃいましたね。おっぱいもかわ
いいです」
 麻紀菜は精液でどろどろになっている譲の胸にしゃぶりつく。
「ああっ! 自分で出した精液なのに美味しいです。甘くて、舌が蕩けちゃいそう」
 淡い色の乳首に精液まみれの唇を押しつけ、くりゅくりゅとこねまわす。
「譲くんのおっぱい、かわいい……小さいけどすごく敏感で、乳輪がこんなに膨ら
んじゃってます」
 譲の胸に、まぎれもない女性の標(しるし)が現われていた。控え目だが、ふっく
らと柔らかで形のいい乳房だ。
「やめ、やめっ! らめれっ!」
「うふぅ……♪」
 麻紀菜は笑いながら譲の抗議をさらっと受け流し、すっかり固くなって陥没状態
から抜け出した敏感な突起を執拗に舐め回す。
「んんっ! んぅ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 譲の体が、海老のように跳ねた。麻紀菜も譲が絶頂に達するのに合わせて、今ま
でで最大の量の精を譲の中に放った。
 逃げる間も無かった。
 体の中に、熱い精液が大量に注がれているのを、譲は確かに感じていた。


「これはね、あなたの精液なんですよ。譲くんは、自分の精液に犯されちゃったの」
「え?」
 麻紀菜は彼の顔を正面から見つめて言った。
「おめでとう、譲くん。あなたもこれで立派な淫魔ですよ」
「うれしくない……」
 無理矢理女にされた上に、女性に強姦されてバージンを失うなんて考えてもいな
かった。しかも思いっきり中出しだ。溢れ出した精液がとろとろと会陰にかけて流
れているのがわかる。おまけに、まだ麻紀菜のペニスは萎えておらず、奥の奥まで
ずっぷりと突き刺されている状態だ。
「って、なんで俺が淫魔に!?」
「だって、淫魔の種を飲んだでしょう? 私もおねぇさまに飲ませていただいたの。
退屈な毎日から抜け出せるって」
「俺は……」
 と言いかけて、譲は口ごもった。
 自分は退屈していなかっただろうか? 将来に不安を抱いていなかっただろうか?
 どちらも、NOだ。
「私は兄さんみたいに頭が良くないし、勉強だって……」
 そういえば麻紀菜の兄は超名門高校を出て国立大学に進学し、エリート街道一直
線だという話を聞いたことがある。彼女もてっきり同じ道を進むものだと思ってい
た。だが、譲達の学校は進学校とは言え、一流校とはいい難い。しょせん、自分と
は頭のできが違うのだと比べることすらしなかったが、彼女にも彼女なりの悩みが
あったのだ。
「私は普通のお嫁さんになりたかった……でも、お父さんもお母さんも、高級官僚
になればいくらでも相手なんかいるって。そんなの嫌。私だって普通の女の子だも
の」
 麻紀菜の顔は悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「えっちなことだって興味ありますから」


「それにしては、エロすぎる」
 譲はきっぱりと言った。
「あいつと……裸で何してたんだよ」
「おねぇさまとですか? もちろん、えっちなことですよ。野外露出って気持ちが
いいですね。譲くんも、今度しましょうね」
「きっぱり断る」
 しかし、体の奥が疼く。麻紀菜の呼吸に合わせて、自分の中に入っている麻紀菜
のペニスが、ひくひくと蠢く。それだけで頭が真っ白になりそうなほど気持ちが良
かった。そんな譲の感情を読み取ったかのように、麻紀菜が言った。
「セックスって気持ちがいいですね」
「……まあな」
 男と女の両方のセックスを味わうなど、普通はないだろう。
「じゃあ、もう一度……いいえ、譲くんが疲れ果てるまで、私が抱いてあげます」
「いや、いいっ! もう、しなくていいから!」
「遠慮なんかしなくてもいいんですよ」
「してないっ!」
「もう……素直じゃないんですね」
 麻紀菜が腰を動かし始めた。
「譲くんのおま○こ、こんなに……きゅうきゅうと私のおチンチンをしめつけて…
…とってもいやらしく動いてます」
「あひ……篠崎、だめ……だめだって」
「お尻の穴もほら。こんなに広がってます♪ 次はここのバージンをいただきます
ね」
「だめだって! だめ、だめぇぇぇ……」
 後の言葉は、本格的に腰を使い出した麻紀菜によってどこかへと消え去ってしまっ
た。
「譲くん……譲くん、大好き……♪」

 ***


 東の空がわずかに明るくなり始めていた。
 譲は、麻紀菜が用意した、服とも言えない際どいコスチュームを着せられて、も
じもじとしていた。紐とわずかな布切れで構成された、ボンデージというかブラジ
リアン水着とでもいうか、とにかく露出度は半端じゃなく高いものだ。
 極薄の紅いエナメル質のコスチュームは、ぴったりと体に張りついている。下着
と水着の中間といったところだろうか。Bカップほどの控え目なバストの頂きにあ
る乳首と股間のスリットがくっきりと浮き出ているのが、なんとも淫らだ。うっす
らとした柔毛も完全にはかくしきれず、極小の布地の端からちょっと顔をのぞかせ
ている。そして脚はガーターベルトで留められた黒のシースルーのストッキング。
 これなら、全裸の方がまだいやらしくないくらいだ。
「篠崎さぁ……これ、なんとかなんないかな」
「もう私たちは人間じゃないんだから、その呼び方はよしましょう」
 彼女もまた露出度が高いボンデージ風のコスチュームだ。譲が赤なのに合わせて、
こちらの色も真っ赤っか。ただでさえ胸が大きいところにさらに胸を強調するよう
なデザインになっていて、見ているだけで鼻血がでそうだ。
「じゃあ、なんて言えばいいんだよ」
 麻紀菜は人差し指を頬に当てて少し考えて、答えた。
「麻紀菜だから、私はマナ。譲くんはユズ。そうしましょ」
「げっ! ユズってなんだよ」
「嫌ですか?」
 麻紀菜……マナは、譲……ユズをぎゅっと抱きしめた。
「もう、人間だった時のことなんか忘れましょう」
「篠崎」
「マナです」
 胸が押しつけられて気持ちがいい。極薄のコスチュームを通して、マナの勃起し
た乳首をはっきりと感じることができる。
「ユズが感じているのがわかりますよ。私の乳首も、こりこりって、固くなってま
す」


「うん……わかる」
 下半身が疼いて、力んだ体から緊張が抜けてゆく。
「これからは、ずっと一緒です」
「うん」
「もう、独りぼっちじゃないんですね。私とユズは、一心同体です」
「うん」
 マナの舌がユズの首筋をちろちろとくすぐる。
「ユズの味、大好きです。ユズのだったら、おしっこだって飲めます。もう、大き
な方は出ないですけどね」
「そうなのか?」
「うしろは、アナルセックス用の性器なんですよ。人間の時の何十倍も気持ちがい
いんですから。ユズだってさっき、あんなに感じていたでしょう?」
「はうっ」
 マナにアヌスホールを掘られてよがり狂ったことを思い出し、ユズは顔を真っ赤
に染めた。
「男の人だって、マナのアヌスに夢中になりますよ。私が保証します」
「いや。男とするくらいなら、このままでもいい」
「あら。じゃあ、私とセックスしたくないんですか? おちんちんが無いと、私の
中に入れられないでしょう?」
「いい。それでもいいっ!」
「本当に、本当?」
 マナはユズの顔を覗きこんで言った。
「私のおま○こ、気持ち良くなかったですか?」
 ユズはしばらく口ごもってから、そっと言った。
「……気持ち良かった」
「また、したいですか?」
「ま……まあ、な」


 触りもしていないのに股間が熱くなり、とろとろと愛蜜があふれ始める。食い込
んだ衣装がクリトリスを刺激しているようだった。もしかするとこの衣装は、意思
を持っているのかもしれない。
 男でいる時よりも、ずっと気持ちがいい。もうオナニーなんかする気になれない。
 こんなにも変わってしまった。
 もう、人間には戻れない。
 ユズ……いや、譲は寂しさを感じていたが、そんなつまらない感傷を怒涛のごと
く埋め立ててゆく圧倒的な快感の前には何もかもが無力だ。もう、頭の中はセック
スのことで一杯だった。
「私もまだ完全なインキュバスにはなれないし、ユズもまだ、なりたてのサキュバ
スですから、もっともっと精気が必要ですね」
「でも……」
「男の人とは、まだセックスしたくないんでしょう?」
「うん……」
 マナの手が、ユズの股間をまさぐる。くちゅくちゅという水音がして、腿に熱い
汁がたれるのがわかる。マナはそっと耳元で囁いた。
「とりあえず、今晩はどこかの学校の寮に行きましょう。女の子からでも精気は吸
えるし、私もユズの精液をいっぱい作れるから、あなたの可愛い赤ちゃんをいっぱ
い産んでもらえますよ。それとも……」
 マナが言葉を区切り、ユズの目を正面から見つめて言う。
「ユズは、女の子を孕(はら)ませる方が好き?」
「孕ませるって……」
 と言いながら、ユズは顔を赤く染める。
「オレはマナがいいんだ」
「おねぇさまに聞いたんですけど、サキュバスは上級淫魔にならないと子供を産め
ないんですって。でも、女の子同士だって気持ちいいんですよ。ユズにも教えてあ
げます。それに、見ているうちにユズもきっと、混ざりたくなるはずですから」


 マナはユズを、今度は背後から軽く抱きしめ、控え目な胸のふくらみと、愛液を
あふれさせている股間を刺激する。
「もうびちょびちょです。ユズってエッチなんですね」
「マ……マナがいけないんだからな」
 コスチュームを簡単に横にずらされてあらわになったユズの股間を、マナが手で
まさぐる。白い蜜をあふれさせている股間をマナの指に合わせてくねらせ、続きを
ねだる。
「でも、もうすぐ朝ですよ。どこかで休みませんか?」
「ホテル……とか?」
「魔界って行ったことないでしょう? 私はおねぇさまに連れられて何度も行って
ますから、一緒に来ませんか? すごいエッチなこともできますよ」
「でも……」
 だが、ぐずるユズの耳元でマナが二言、三言囁いただけで、ユズはふにゃりと蕩
け崩れてしまう。
「ね? 行きましょう」
「ちょ……ちょっとだけ、だからな。マナが行こうっていうからだぞ」
「はい」
 マナはユズをもう一度抱きしめて、にこりと笑った。
 そしてユズとマナの二人の淫魔は手を取り合い、静かに夜と朝の狭間へと消えて
いった。

END

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