6月24日
最近、正和の様子がおかしい。
ニートな兄貴である僕を疎んじていたはずの奴が妙に優しいのだ。
今日なんてホットケーキなんぞ焼いて食わせてくれた。
存外に美味いホットケーキだったのはいいが、何か画策しているのでないだろうか?
6月25日
ひどい寝汗で目が覚める。
体温は39度もあった。
風邪……か?
7月1日
やっとペンをとれるまでに回復した。
しかし妙だ、髪の伸びが早く乳首が痛む。
腹痛と軽い発熱で寝られない。
病院に行ってみたら医者も首を傾げていた。
珍しい病気の可能性もあるとのこと。
7月10日
「兄貴、縮んでないか?」
という正和の言葉にハッとする。
なんだか痩せてきている気はしていたものの、縮むとは……
だが実際パジャマの丈が長くなったような感じがする。
手が袖から半分出てないし。
余談だが、股間のものも小さくなってきたような気もする。
まさか僕、このまま縮んでいくんじゃないだろうな?
7月15日
勤め人だったらクビか左遷か、ニートなのは不幸中の幸いだったかも知れない。
とは言え、さすがにこんな異常事態では親も優しくなる。
母さんのお粥なんて何年ぶりに食べただろうか。
なんだか嬉しくて涙が出る。
不甲斐ない息子でごめん。
7月20日
女性化症候群、それが僕の病名らしい。
年齢も若返ってるらしく、鏡で見た感じ、12歳くらいの女の子に見えた。
髪も一ヶ月足らずで腰まで伸びたけど、そろそろ打ち止めみたいだ。
ははっ、僕が女の子に……ね……
7月28日
正和がひどく心配そうに「何かできることはないか」と言って来たから、
「またお前のホットケーキが食べたい」と言ったら泣き出した。
泣くほどのことかなぁ?
でも作ってくれた、優しい。

8月2日
身体もすっかり楽になったので、久しぶりに浴槽に浸かってしっかり身体を洗った。
と言っても肌が弱くなった感じがするので手でこするだけだけど。
いや、あれだね。
自分で自分の身体見ても欲情とかしないもんだね。
うん。
8月4日
戸籍の変更が完了した。
と言っても名前欄と性別欄が変わっただけだが。
翔子が新しい名前だそうだ。元の名前に子をつけただけなのが……
それで今日はお祝いだった。
ちょっと泣けた。
現在進行形で穀潰しな僕だけど。
お祝いされることもあるんだなぁ。



でもお母さん、戸籍謄本を放り出すのはマズいよ。
僕が養子だなんて今まで知らなかったんだから。
8月10日
今日は母さんと一緒にショッピングだった。
それこそ両手に余るほど服を買い込んで、午後には喫茶店で
ホットケーキを食べた。
でもやっぱり正和の作ってくれたののほうが好きだってのは内緒だ。
8月12日
正和の前でファッションショーをしたら、あいつ鼻血を吹き出した。
兄貴に欲情するとは修行が足らんぞ正和。
来年の大学受験に失敗して兄の二の舞にならんことを祈る。
あと水着のファッションショーは中止することにした。
8月20日
勉強しているあいつに麦茶を差し入れしたら、 とても喜んでくれた。
なんだかこっちまで嬉しくなるようで、幸せになった。
今度はお夜食でも差し入れしようかな。
まあお料理覚えるのが先か。
9月1日
………………。
だ……抱きしめられた。
恋ですか?
これが恋なんですか?
いや、相手は弟だし、あっ血がつながってないのか。
合法ですか?
おっさんですかシャアですか? おっほっほっほっほ
いや、おちゃらけている場合ではなく。
思わず逃げて来ちゃったけど、兄弟のスキンシップだったんかなぁ?
それとも一人の女性として?
いやいや、あり得ん。
なんてったって、推定12歳体型なわけだし。
骨張ってて抱き心地も悪いですよ?
…………まさかロリコン?
正和インテリ顔してロリコン?
9月2日
どっちなんだろなぁ。
いや、急に抱きついてきた意図も分からんし、
別にいやらしい抱き方でもなかったし、
うーん。
9月3日
そもそも奴が僕のことをどう思ってるのかなんて推測に過ぎんわけだし。
でもなぁ、女の子として見られてんのは間違いなさそうだし。
かと言って、兄貴として見られてないかというとそこは分からんし。
いっそ本人に直接聞ければいいんだけど。
……聞けばいいのか、直接。
9月10日
さすがに聞くには勇気が要った。
だけどそれは聞かなければいけないことだった。
意図していたのとは違うものだったけど。
僕が女の子になったのは正和のせいだった。
あの日のホットケーキに薬が仕込んであって、それで……
だけど僕は少しも恨む気にはなれなかった。
この数ヶ月、嬉しいのも幸せなのもきっと、正和がそうしたから
手に入れられたのだろうから。



でも自分の部屋に戻って泣いてしまった。
抱きしめたのが申し訳なさからだって分かったから。
9月11日
部屋で一人で沈んでいると、お母さんがやって来た。
どうしたの? って聞くから、素直に言ってしまった。
正和が好きだって。男女として好きだって。
そしたらお母さん抱きしめてきた。頭撫でて来た。
もう涙が止まらなかった。
お母さんズルいよ、そんなに優しくするなんて。
「あの子でいいの? 言っちゃなんだけど、不肖の息子よ?」
なんて言われたけど「それでも正和がいい」って返した。
でもこれってよく考えたら、不肖を否定してなかったね。
ごめんね正和。
9月15日
言ってしまった。
志望校合格したら、ご褒美に僕をあげるって。
ちょっと押しつけがましいかとも思ったけど、
鼻血出してたってことは喜んでたってことかな?
可愛い奴め。
それはそうと料理の勉強しなきゃね。
夢は可愛いお嫁さんっと。
9月25日
模試の結果が急に上がったらしい。
総合点で50点くらい上がったらしいけど、正和……恐ろしい子!
10月7日
正和の志望校を聞いて驚いた。
なんと東大法学部。
うーん、こりゃ合格したら専業主婦に収まるのも夢ではないかも。
ただしまだC判定くらいなものらしいから、そうそう甘くないみたい。
こりゃしっかり応援しなきゃね。
10月20日
秋、だんだん涼しくなる季節だけど、そろそろ発破をかける
頃合いかなと思って、一つのご褒美を用意した。
"11月の模試でB判定以上をとること"
それを達成できたら僕のファーストキスをあげるって。
それを聞いた正和は勢いこんで勉強を始めた。
可愛い奴め。
11月14日
いやー、あれだね。
あっさりB判定とるなんて正和は優秀だね。
あう、まだ余韻が残ってる。
すっごい激しいキスだった。
唾液って甘いんだね、舌をからめるキスってのも
漫画や小説の中だけだと思ってた。
どうしよ、まだ顔が赤いや。
にしても正和の奴め、こんなロリを捕まえてネットリネップリキスをするなんて
場合によっては犯罪じゃないか。
将来が心配になる奴だ。



12月1日
正和、正和、もう何ヶ月も正和のことしか書いてない。
魔法にでもかけられたみたいな凄まじさ。
思えば僕の初恋は弟ってことになるのか。
ちょっと悔しい。
でも頑張ってるあいつを見てると、こう、下着を濡らさざるを得ない。
違うって。
いや違わないか。
12月24日
今日は頑張ってるあいつのためにご馳走を作った。
鶏の唐揚げにポテトサラダにホットケーキのデコレーションケーキ風。
その他色々もついたけどそれは置いといて。
美味しそうに食べてたなぁ。
えへへ。
1月17日
今月の模試の結果はなんとA判定。
思わず飛びついてキスしちゃったけど、場所が悪かった。
思いっきりお父さんに見られてたものだから、
これまた思いっきり叱られた。
合格した時の約束を教えたら脳の血管がぶち切れて死んじゃうかも。
ごめんなさいお父さん、翔子はいけない娘なの。
2月26日
緊張する。すっごい緊張する。
受験してる本人ではないのに……
正和は大丈夫だったろうか。
今、あいつは後期試験の勉強にとりかかってるけど、
それが徒労に終わるといいな。
できれば前期試験で合格していてほしい。
3月10日
合格発表日。
朝から緊張しっぱなしだった。
わざわざ正和についていったくらいだもの。
途中で正和の同級生に出会ったけど、みんな賢そうだったなぁ。
さすがに恋人ですとは言わなかったけど、それでも
「大切な家族です」って紹介されたのは嬉しかったな。
さてさて、肝心の発表の結果はなんと合格!
あれですな、愛のパゥワーというやつですな。
あるいは色欲のパゥワーかもしれないが。
でもそれってつまり、さよなら清らかな私、という……
待てよ、このロリ体型。
果たして本当に奴は欲情できるのか?
いや逆に欲情しても問題な気はするが。
うーむ。
3月11日
今日、僕と正和は結ばれた。
両親のいない昼間に、二人でシャワーを浴びた。
恥ずかしかったけれど、正和は僕を後ろから抱きしめて、
「綺麗だよ」と言ってくれた。
嬉しかった。好きな人に誉められるのがこんなに嬉しいなんて思わなかった。
お風呂場から出た僕らは、ベッドの上で抱きしめあってキスをした。


身長差のある二人だから、トロトロと流し込まれる唾液を飲まされて
頭がぼうっとするまでキスをした。
正和の舌は僕の首筋を、鎖骨を、乳房を舐め下ろして、
そのたびに僕は敏感に反応した。
正和はそのままお腹に舌を這わせて、ゆっくりと、ゆっくりと秘所へ
舌を滑り込ませた。
ビクンっと反応した僕のそこはとっくにトロットロに濡れてて、
おツユを正和に舐めとられるたびに首を振って快感に耐えた。
悔しくなった僕は反撃をしようと、正和を無理やり押し倒して
正和のオチンチンを握りしめた。
大きくてずっしりとしていて熱いそれは、僕の中に入りたがって
いるのだと思うと、それだけでまた濡れてきてしまった。
僕は正和のオチンチンに舌を這わせて悦ばせようとした。
太い幹の部分もツルツルの亀頭の部分も丹念に舐め、
顎が外れそうなサイズを口の中に収めた。
途端に正和のはビクリビクリと震えて、僕の口内に苦い精液を
吐き出した。でもそれも正和のだと思うと愛おしくて、
全部飲み干してしまった。
でもそれがいけなかったのかな。
正和のは今出したばかりなのにすぐ大きくなって、
今度は僕が押し倒された。
揺れるオチンチンが僕のあそこにあてがわれると、僕は思わず喘いでしまった。
それはゆっくりゆっくりと僕の中に入ってきて、凄く痛みを感じた。
正和のが入ってくる実感、いたわるようなセックス。
だけどピストンはだんだんと早まって、激しさを増していった。
僕は思わずキスをねだった。
上下の口をつなげながらのセックスをねだったのだ。
二人とも段々と上り詰めて、最後には正和は
僕の中にたっぷりと射精した。
まあその後も二回戦三回戦とあったのだけど、
意識が朦朧としていて覚えていない。
ただその晩になぜか炊かれたお赤飯と
お父さんの憮然とした顔は覚えてる。
お恥ずかしい限りです。
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