前置きのみ。エロシーン無し。スマン。
脱線を繰り返しながら延々バカっぽいノリが続くので、そういうの嫌いな人はスルーよろしく。

4バカ
 里見純(さとみ じゅん) 主人公
 司(つかさ)        クール
 雄太(ゆうた)       眼鏡
 健介(けんすけ)     エロ魔人

―――――――――――――――――――――――――
「里見。もう少し足、開いてくれないかな……」
「て、て、て、手をどかせって。みみみみ見えねえじゃん!」

三人の悪ガキ仲間に囲まれて、俺は下半身裸で局所を隠したまま座り込んでいた。
女になった身体がどうなっているのか、自分でも見てみたいという好奇心は
確かにある。だけど、仲間達が俺を見る目つきがすっかり変わった気がして、
なぜだかそこから手をどけるのが怖いような気がした。

ここは俺たちの秘密基地。
廃ビルの奥まった一室は、持ち寄った調度品できちんと内装されていた。
机、椅子はもちろん、粗大ゴミで拾ってきた絨毯やソファーもある。
メカ好きの雄太の奮闘でガソリン発電機まで手に入れ、
電気が使えるので電灯に小さいながらテレビもあった。
部屋を見渡せば、缶ジュースにポテトチップス、ゲーム機、
健介が持ち込んだ海外モノのエロ本などが、雑多に散らかっている。
どれだけ騒いても構わない、俺たちだけの秘密の遊び場だった。

「お前ら興奮しすぎ。俺までビビるっつーの」

一歩下がって見ていた司が、健介にチョップしながら間に入った。

「別にムリに見せなくてもいいと思うぞ。そりゃ見たくないと言えば
 嘘になるけどさ。とりあえず、里見だけ先に見てきたら?」
「お、おう。まあ、見たい気持ちはお前らと一緒だ。少し離れりゃあ、
 それでいいよ。つーか、健介はがっつきすぎなんだよ」

司の言葉に少しほっとして、そう釘をさした。
健介は腰をくねらせながら一歩後ずさりすると、背筋を伸ばして正座し直す。
こいつはエロ本を読む時、なぜかいつも正座だ。

「んじゃ、……ご開帳ぉ〜」

言っている途中で気恥ずかしくなって声が尻すぼみになりつつも、ゆっくりと手をどける。
太ももの奥をひやりとした空気が撫で上げるのを感じた。


俺がそのリサイクルショップを見つけたのは、秘密基地への近道のつもりで
いつもは通らない小さな路地裏に入った所でのことだ。
色とりどりの石を散りばめた短刀や不気味なお面、動物の角で作られた
煙草のパイプ。狭い店内には怪しげな古道具が並んでいた。

「へえ、こんな店があったとはなあ。
 お、この妙な形のお香入れ、いいな」

秘密基地の内装は主に俺の担当なので(他のヤツはセンスが無いのだ)、
ついつい見入って物色していると、恰幅のいい店主らしき男が声をかけてきた。

「学生さん、……おや? 男の子だよね?」
「これが女の制服に見えるのかよ、オッサン……!」

思わず語気が荒くなっていた。俺は背丈が低いせいか、たまに女と見間違うヤツがいる。
一応の念押しと言った口調だったが、最近言われていなかっただけに余計にムカついた。

「ごめんごめんっ、気を悪くしないで。近くの中学の子かい?
 最近の子は分かりづらいというか、いや綺麗な顔立ちをしてるもんだから……。
 こりゃ女の子がほっとかないねえ」

オッサンはヨイショしているつもりかも知れないが、はっきり言って苛立たしいだけだ。
聞こえるように大きく溜息をついて、俺は店から出ていこうとした。

「ああ、待って待って! せっかく来てくれたんだし、その香合(こうごう)、
 三千円って値札付いてるとこ五百円でどうかなあ」

チョッキに包まれた腹を窮屈そうに揺らしながら、オッサンは、
わざとらしすぎて一層清々しいほどの愛想笑いを浮かべる。

「へ? ……マジっすか? いやでも、なんかわりぃなぁ」
「久々のお客さんだからね。ほら、この練り香もサービスだ」

形だけ恐縮しながらも包んでもらった香合を遠慮なく受け取ると、
俺は五百円玉を店主の手の平にポンと置いた。
すると店主はその金を素早く尻ポケットに入れ、急に小声になって言う。

「その香合だがね。ちょっと"いわく付き"なんだ。
 なんでも、お香を焚くと中に閉じ込められた女の子が出てくるとか……」

店主の口ぶりが"いかにも"といった感じだったので、
最初の腹立ちも忘れてつい笑ってしまった。

「ははっ、そりゃイイっすね。おいしいじゃないっすか!」
「いや、面白がってくれるならいいんだけどねえ。
 捨てると何かありそうだし困ってたんだよ……。
 お香が消える前に閉じないと、戻ってくれなくなるって話だからね」

俺はすっかり笑い流して、上機嫌で基地へと向かった。
店主の妙なリップサービスを本気にしたわけではなかったが、
あいつらと悪ふざけするのにちょうどいいイベントだと思ったのだ。


魔法使いに閉じ込められていたアラブの美女が、素ッ裸で飛び出して
くるんだぜ? と、少しばかり脚色をほどこした俺の話を聞き終えるや、

「フッ……。ねえよ」

司はそう鼻で笑った。
いつだって冷めた顔で一歩引いている、ノリの悪いヤツなのだ。

「いや、いやいやいや、あるあるある! あってくれ!
 こいつはすげえ妖気だ……。見ろ、俺の妖怪アンテナがビンビンに!」
「お前、なんでいつも勃起してんの?」

俺の素朴な疑問をスルーして、健介が腰をくねらせながら騒ぐ。
ノリはいいのだが、コイツはコイツで鬱陶しい。

「まあ本当にあったら面白いし、火をつけてみようよ。はい、ライター」

雄太が手渡したライターで、香合に入れた練り香を炙っていく。
ねっとりと纏わりつくような、頭の後ろがぼーっとなるような、
なんとも言えない奇妙な香りが漂い始めた。

「これは……、なんつうか、甘ったるい匂いだな……」
「そうか? 線香くさいだけだと思うけど」

早くも興味をなくして雑誌を読んでいた司が、ページをめくりながら答えた。

「何も出ないねえ」

眼鏡を直してそう苦笑いする雄太を、正座した健介は「しっ」と制して、
再びじーっとお香の煙を見つめ続ける。
どうやらこのイベントを楽しんでくれているのは、健介だけのようだった。

「まあ、五百円にしては楽しめたか。そのうち女がボーンって飛び出すかも
 知れないし、しばらく放っておこうぜ」

さすがにお香を眺めているのにも飽きて俺が立ち上がると、
いつの間にかこちらを見ていた司と目が合った。

「……あっ、いつの間に立ったんだ里見。小さくて見えなかった」
「うっせ。背のことを言ったら殺すぞ」
「ん、里見さ、お前……、なんかさっきより髪伸びてねえ?」
「あ……?」

言われて前髪を手で梳き上げると、途端に重みを増した髪の毛が束になって
バサリと舞った。後頭部を引っ張られるような感覚に振り返ってみれば、
漆塗りのような光沢を纏ったストレートの黒髪が背中まで伸びている。

「お、おいおい……。なんだよこれ?」
「胸も少し出てるような……」
「それよりも、声、変だぞ!?」

俺は慌ててYシャツ越しに胸を押さえ、スラックスの上から股間をぎゅっと握り締めた。
そこには無いはずの膨らみがあり、そしてあるはずのモノが――無かった。


「マジ……か……?」

予想もしていなかった事態が、うまく受け止められない。
走馬灯のように目まぐるしく頭をよぎっていくのは、初めて買ってもらったグローブ、
初恋の思い出、入学式でやらかした喧嘩、両親の顔、そして――

「女の子出たああああぁぁぁぁぁぁ!!」

殴ってくれと言わんばかりのタイミングで心底イラつく声をあげた健介の腹に、
俺は思わず本気で重心を乗せた拳を叩き込んでいた。

「おふ……ッ! み、みぞおち……入っ……た……」

バカを殴ったお陰で、混乱した頭がようやくまともに回転し始める。

「ッたく。……ふう、少し落ち着いた。
 なんだよこれ? 女が出るんじゃなくて、取り憑かれてんじゃねえか……」
「里見、本当に女になっちゃってるの? これってやっぱり、
 アラブの美女の呪いなのかな?」

心配半分、興味半分といった様子で雄太が訊く。

「いや、アラブとか美女とか裸っつー部分は俺の創作なんだけどな……。
 ああ、くそっ、シャレになんねーぞコレ! どうすりゃいいんだ!?」
「面白半分に火をつけるからだろ。つーか肝心の部分が創作だな、お前の話。
 蓋を閉じると帰るっていうのも創作なのか?」
「あっ、そうか。司、ナイス。ソレだ!」

言いながら、さっそく香合の蓋を取り上げようとした俺の腕に、
瀕死の態をなした健介がすがりついた。

「待て! 一生に一度の男の頼みだ。待ってくれ!」
「……なんだよ?」
「まんこ見たい」
「死ね」

言下に切り捨てて蹴り飛ばしつつも、なるほど、
言われてみれば生身の無修正エロを間近で楽しめる得がたい機会ではある。

「……確かに、見ないまま元に戻るのは惜しいな。
 しかし、とりあえずお前は死ね」

俺は健介のズボンをパンツごと引っ張ると、
食べかけの暴君ハバネロを一掴み、その中へと投げ込んだ。
(注:危険ですので絶対に真似しないでください)

「ま、待ってくれッ! それだけはッ! アッーーーーー!」
「健介、はい。水」
「だんだん股間が熱くなって……、あ、痛い!? イタ熱いッ!」

雄太からペットボトルを受け取ると、健介は泣きながら外へ出ていった。


「ね? 顔も少し柔らかい感じで、女っぽくなってるでしょ?」
「うーむ」

雄太が差し出した鏡を覗き込みながら首をひねった。
言われてみればそんな感じもするが、正直よく分からない。
髪の毛が伸びたからそう思えるだけじゃないだろうか。

「化粧したらハッキリ分かると思うんだけどなあ」
「しねえよ」

そもそも、俺らぐらいの年代が化粧したら男も女も関係ない気がする。

「里見よぉ、どうせ女になるんなら、唇の厚ぼったいエロカワイイ系だろ?
 全然変わってないってどういうことよ。まんま里見の顔じゃ萎えるじゃん!」
「女になっても目つき悪いしな」
「お前ら、言いたい放題言いやがって……」
「まあまあ。僕は客観的に見て、かなりイイ線いってると思うよ?
 知らない人が見たら清楚系って感じかも。性格は悪いけどね」
「里見は顔だけはいいからな。性格悪いのに」
「くそっ、俺にはどう見ても性格が悪い里見にしか見えない……!」

3人が口を揃えて、性格悪い、性格悪いと繰り返しやがる。

「しつこいよ、お前ら。ちょっと『ジャッカス・ザ・ムービー』ごっこで
 後頭部にバリカン入れて回ったくらいで、いつまでも根に持ちやがって。
 ネチっこいんだよ。それでも男か」
「仕返ししようとしたら本気で殴る蹴るして逃げたヤツが言うか!?」

綺麗にハモって言い返された。
よくそんな長いセリフをハモれるな。素直に感心。

「里見の傍若無人っぷりは昔からだからなあ……。
 ゲームで負けそうになったら躊躇なくリセットボタン押すし、
 勝ったら勝ったで鬼の首取ったみたいにしつこいんだよ……」
「司は小学生の頃からの付き合いなんだっけ?
 よく続いてるよね……」
「はあ……」

溜息までハモるなよ。失礼なヤツラだ。


そのまま、なんとなく雑談モードであぐらをかいてポテトチップスを
頬張っていると、健介が焦れたように口を開いた。

「なあ、そろそろ脱いでくれよ」
「んあ? マジで脱ぐのかよ」
「当たり前だろ! 俺はオッパイが見たいんだよ、オッパイ!」
「そこのエロ本開けば、いくらでも見れるだろ……」
「バカ、全然違うよ! 生オッパイだぞ、生オッパイ!
 オッパイ! オッパイ! オッパイ! オッパイ!」
「あー、うるせえー。分かった分かった」

何かしら言い合うのも面倒になり制服のブレザーを脱ごうとすると、
健介が「待て!」と嫌に真剣な顔で止めた。

「今度はなんだよ」
「違うだろ、お前バカか!? ブレザーを脱ぐなよッ!!
 ネクタイも絶対に外すな。むしろちゃんと締めろ。だらしねえよ、それ。
 上着はそのままでシャツだけ、こう! 胸までまくるのがロマンだろ!」
「……」

バカは絶対お前だよ。いや、確かに少し分かるんだけどさ……。
俺はげんなりとしながらもネクタイを軽く締めなおすと、
Yシャツの裾を両手で掴んでリクエスト通りにガバッとまくり上げ、

「おら、出したぞ」

内科検診のように上半身を晒した格好で胸を張ってみせた。
途端、健介が俺の二つの膨らみに目を見開いて叫ぶ。

「うわ、ちっちぇえ〜〜〜ッ!? これは詐欺だろ! 金返せ!」
「……はぁ。本当に腹立つヤツだな、お前……。
 怒りを通り越して呆れるわ」
「確かに小さい方だけど、クラスの女子にもこんくらいのヤツ結構いるよ?
 健介が読んでる外人の巨乳モノと比べるのはフェアじゃないよ」

雄太がそう言って、客観的な分析を試みる。
何をもってすればフェアなんだよ。フォローのつもりかよ。

「お前ら、容赦ねえな。まあいいけどよ。
 別に気に入られても嬉しくねえし――」
「俺はかなり好きかも……」

ぞぞーーーっ!
ふいに漏らされた司の一言が空気を凍りつかせ、
俺たちはじりじりと後退しながら離れていく。

「あ、バカ、違うって。そんくらいの胸の方が手に納まって、
 その、なに、ちょうどいいっていうかさ……?
 お、おい、お前ら! たかが乳の好みで露骨に引くなよ!」
「冗談だよ、分かってるって。つまり司の好みは里見ってことで」
「雄太コラ! ちげーよ!」

あはは、と眼鏡を抑えながら雄太が司の手を逃れる。なんというか
あの眼鏡の似合いっぷりには、女になったら巨乳に違いないと思わせる何かがある。
どうせなら雄太が女になれば、結構似合いそうだし俺も楽しめたんだが。

「司ぁ、こんな貧乳、乳のうちに入らねえって――はぐッ!」
「てめえは喋んな、健介!」
「里見さん……、肝臓に、入り……ま、した……」


「んじゃ、……ご開帳ぉ〜」

上は制服のまま下はズボンもトランクスも脱ぎ、だが靴下は履いたままという、
いざ自分がやってみると心底バカバカしい格好で俺は股を開いた。
足の間に置いた鏡に目をやると、申し訳程度に陰毛を乗せ、
ピンク色の造りを薄く覗かせた肉の切れ目が映る。
俺は片方の手で鏡の角度を調節しながら、もう片手の親指で割れ目をぐっと開いた。

「……まじでまんこだ」

分かってはいたが、この目で確認してしまうと複雑な心境だった。
まあ、ちんこがないのは仕方がない。今は目の前のまんこに集中しよう。
片手でそこを開いたまま、割れ目の内側の粘膜をおそるおそる指で突付いてみる。
ピンク色の粘膜は一見痛々しそうに見えて、しかし実際に触ってみるとそれほどでもない。
爪なんかが当たったらピリッと来そうな気もするが、雑に触らなければ平気だろう。
俺は両手を使って、花弁の内側の構造を大胆に調べはじめた。

「へえ……。ほお……。ふーん……」

ビラビラを引っ張って裏返したり、膣口らしき穴を軽く指で押し込んでみたりする。
ぐいっと強めに広げると、膣口の上に尿道口が僅かに覗くのがなんとか確認できた。

「なるほど、こうなってんのな。
 写真じゃ分からんかった部分が理解できるなあ」
「お、お、俺にもちょっと触らせてくださいよおぉ!
 里見さん、お願いします! お願いしますうぅぅ!」
「……気持ちは分かんだけどさ、健介に触らせると痛そうなんだよな。
 大体、なんつーかコレ、意外にあんま面白いもんじゃねーぞ?」

そう言って顔をあげると、健介はフル勃起状態を隠しもせずに目を血走らせ、
雄太はいつの間にか体育座りになって真剣なまなざしで俺のソコを凝視していた。
あの司まで片膝を立てたまま股間を不自然に腕で覆って、少し前かがみになっている。
っていうか、うわ。司の顔、真っ赤じゃねえか……。

「お、おいおい。お前ら……、実は勃起してねえ?」
「えっ、僕は……、えと、だって、ねえ?」
「し、仕方ねえだろ? 間近で見たら普通勃つって!」

例えば司が女になったとして、性器を広げているのを見て勃つかというと、
うーん、微妙だ。雄太なら勃つかも知れない。健介は想像したくない。
とはいえ所詮ちんこなどと言うものは、まんこを見れば
勃起するモノだったような気もしないでもない。
いかん。股間に現物が無いってだけで、微妙に分からなくなるな……。

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