だいたい、僕が上級者コースを滑れるはずがない。
 皆でリフトに乗って登って行く時から嫌な予感はしていた。それでもひとりだけ滑れな
い僕を置いて、僕以外の皆はさっさと滑り降りてしまうなんて事態までは予想していなかっ
た。もっと思いやりのある奴らだと思っていた。
 僕は今、冬の山を当てもなくさまよっている。
 遭難ですか? そうなんですってなもんだ。
 コースに沿って降りて行けば大丈夫だろうと考えていたのに、いきなりの吹雪のせいで
明らかにコース以外のどこかに迷い込んでいる。
 冬の雪山でスキーウェアだけを頼りに吹雪を凌ぐ事ができるだろうか。ボードも他の荷
物もどこかへ飛ばされた。何が何でも歩いて帰るしかない。
 死んだら僕を置いていった奴らを祟ってやる。なんて事を考えていた時だった。白い吹
雪の向こうにボンヤリと明かりが灯っているのを見つけた。
(助かった!)
 氷の棒になりそうだった足を奮い立たせて、ずぶりと沈み込んでしまう雪を蹴り立てな
がら全速力!
 明かりはログハウスから漏れていた。
 ノックもしないでドアが開いているのを確かめた僕は、とにかく大急ぎで室内に飛び込
んだ。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・ふう」
 ピリピリする外の冷気とは一変、むわっとするくらい暖かい空気で息を整える。
 そうしてから落ち着いた頃に、足元に大きな犬が擦り寄ってきていたのに気付いた。金
色の毛並みの大型犬。確か、ゴールデンレトリバーって奴だ。
「あら、お客さん?」
 犬の頭を撫でていた僕は綺麗な声にハッとした。
 顔を上げると二十何歳くらいの女の人が立っていた。
 美人だった。顔は少し掘りが深くて長髪、肌が物凄く白くて印象的。スタイルも、見た
途端ボン・キュッ・ボンって死語を思い出したくらいだ。暖かい室内に頼った白いノース
リーブのワンピースがお嬢様然とさせている。
 僕はしばらくポーッとなってからやっと頭を下げた。
「すみません、勝手に入って。あの、僕、道に迷ってしまって。外は吹雪だし。それでこ
の家を見つけちゃったもんだから、つい」
 見っとも無く必死になって弁解する。けど、女の人は落ち着いた様子で笑ってくれた。
「そう、大変だったね。冷えてるんじゃない? 気にしなくていいから、ゆっくりしていっ
て」
(ああ、良い人っているんだなあ)
 正に僕にとっては女神様だ。女の人は大きなタオルを持ってきて差し出してくれた。
「濡れた服を着たままだと風邪をひくよ。とりあえず脱いでこれを体に巻いておくといい
わ」
「え、でも」
 確かに外の吹雪はウェアの下の服にまで届いて全身が雪まみれになってしまっていたし、
渡されたタオルも厚くて充分暖かそうだったけど、女の人の目の前で着替えるわけにはい
かない。
 そう伝えたら、笑いながら別室に案内してくれた。



 着替えた、というかタオル姿になった僕はリビングに戻ってきた。脱いだ服は女の人に
渡すとどこかへ持っていってくれた。聞くと、乾燥機が置いてあるらしい。
 リビングには暖炉もあってひろびろとしている。犬も一匹だけじゃなくて全部で五匹も
いた。どれも大型犬だけど犬種は色々だ。
 沢山の犬に囲まれながら暖炉のある部屋で温かな紅茶を飲むという優雅な状況で、僕ら
は楽しく話をした。彼女の名前は白井雪香(しらいせっか)さん。似合い過ぎてる名前だ
けにもしかしたら偽名かもしれない。
 ちなみに僕の名前は妹沢(せさわ)なかば。名前は半と書いてなかばと読む。珍しいか
ら気に入ったのか名前で呼ぶ事にしてくれたそうなので、僕も雪香さんと呼ぶ事にした。
「なかば君は友達と旅行でここに?」
「じゃなくて、高校の修学旅行です。途中までは皆とも一緒だったんですけど。この家を
見つけなかったら、本当に危なかったです」
「私もびっくりした。ここに誰かが迷い込んでくるなんて、最近数十年はなかったから」
(数十年?)
 数十日の聞き間違いか、冗談だろう。雪香さんは話も巧くて、緊張してしまう僕をリー
ドしてくれるから話しやすい。
 そんな事を話していて時計を見たら一時間経っていた。
「雪香さん、あの、そろそろ僕の服、乾いてませんか? ずっとこの格好ってわけにもい
かないし・・・・・」
「え、別にいいじゃない? それとも寒かった?」
「寒くはないですけど、タオル一枚じゃ、その、失礼ですし・・・・・」
 一応、タオル一枚といってもトランクスは穿いたままにしてある。



 雪香さんは唇に指を当てて、ふーん、と唸ってからとんでもない事を口にした。
「でも、もうなかば君の服は燃やしちゃったよ? 代わりの服もここにはないしね」
「なっ!?」
 僕は信じられない思いで飛び上がった。
 ふふっと笑って「冗談よ」と継いでくれるのを期待したけど、雪香さんは挑戦的な、何
か酷く企みがあるような目をして笑っているだけだ。彼女の様子が今までの親切なお嬢さ
んという雰囲気から、明らかに妖しい雰囲気に変わった。
 雪香さんが暖炉を指差す。暖炉の炎の下に見覚えのある青いスキーウェアの切れ端が、
かろうじて残っていた。
「いつの間に!」
 炎の下から服を取り返そうとしたけど、五匹の犬が暖炉の前に立ちはだかった。
 犬達に気圧された僕の背に柔らかい物が圧し掛かる。柑橘系の爽やかな淡い香りと共に。
 今更だけど、何故この人はこんな山奥に独りで住んでいるんだ?
「黙って服を燃やしたのは悪かったけど、どうしてもここにいて欲しかったから」
 僕のタオルが後ろからはらりと落とされる。
 繰り返すけど、雪香さんは美人だ。そんな人にほとんど裸の体に抱きつかれたら、男で
ある僕はどうしても期待してしまう。するなっていうのが無理だ。
 僕のナニ・・・・・要するにペニスがトランクスにテントを張った。
「誰かが来るのをずっと待ってたの。私もこの子達もね。だから、ね?」
 耳元に息を吹きかけながら妖しく囁かれて、内容はほとんど頭に入らなかった。
(服燃やされたの、怒らないと・・・・・でも、それで機嫌を損ねさせたら・・・・・)
 緊張して体が動かない。ここはもう、成り行きに任せる事にする。
 犬達もじっとこちらを見ているだけで動く素振りを見せない。かなり巧く躾けられてい
るみたいだ。



 雪香さんの手が僕の前に伸びた。
「うあっ」
「凄い、敏感」
 白く細い指に先端を触られてペニスが痺れた。
 トランクスの上から撫でられるとジリジリと快感が沸き上がってくる。
「ううぅ・・・・・」
 偶然迷い込んだ山小屋でこんなに美人で妖しい人に迫られる。
 空想じみたシチュエーションがさらに僕を高めさせる。
「さあ、これも脱いじゃって」
 雪香さんがトランクスをつかんで引っ張った。
 僕は少しだけ抵抗をしてみたけど・・・・・力任せに引き千切られた! ボロ布になっ
たトランクスは暖炉に投げ入れられる。
(こんなに細いのにどこにそんな力が?)
 怖い様な気もした。
 とにかくこれでもう僕の服は全部燃えてしまった。もちろん今の僕は真っ裸だ。
「かわいい顔して、立派に堅くできるんだ」
「あ、ああっ、あ!」
 ペニス全体を握られて思わず体が仰け反った。
 雪香さんは前へ回って跪いたかと思うと、赤い妖艶な唇を割って、ゆっくり先端に近付
いてきた。
「雪香さん、そんな、汚いですよ」
 期待していた以上の奉仕に動揺する僕に、雪香さんはふふっと淫らな笑みを見せた。
 まず舌が鈴口に当たる。次いで、唇が傘を飲み込む。ぬるりと全体が口内粘膜に包み込
まれた。



 柔らかく暖かく湿っぽく、生き物の様に纏わりついてくるものに包まれている。今すぐ
にでも爆発してしまいそうで、僕は声を上げる余裕もない。
 ちゅばっ、と音を立てて鈴口を吸い出しながら唇が引かれる。
 じゅぷっ、と唾液と先走り液が混ざった粘液を泡立てながら唇に飲み込まれる。
 そうしながらも舌はまるで別の生物の様にペニスをぬらぬらと這い回る。
(これがフェラチオ・・・・・凄すぎる、これ!)
「雪香さん、もう僕、我慢が・・・・・。出るっ! もう、イきますっ!」
 ペニスを中心に全身の筋肉が引き攣る程の快感にわななきながら、無意識に腰を前へ突
き出してしまう。
 雪香さんの動きがさらに速くなった。
「んっ、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷっ・・・・・んうぅっ!?」
 快感と一緒に下腹部から熱いものがペニスを駆け抜けて、噴き出した。
 びくん、とペニスが跳ねる度に雪香さんの粘膜を擦って、それが先端へのさらなる刺激
になる。
 裸の僕はワンピースの美女を股間に押し付けて、その口に精液を思いっきりぶちまけた。
 射精が落ち着くと、いつもの脱力感と同時に罪悪感が僕を包む。
「す、すみません、雪香さ・・・・・んむ!?」
 謝ろうとした僕の口は、抱きついてきた雪香さんの唇に塞がれた。
 そのまま、凄い力で押し倒される。雪香さんを上に組み敷かれる形で床に転がった。
「む、んふぅ」
 どっちのものともつかない熱い吐息。



 雪香さんの舌がするりと口の中に潜り込んできた。青臭い大量の粘液と一緒に。
(ぼ、僕の!?)
 唇がぴったりくっついて隙間の無い中、舌で精液をぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。それも
僕の口の中で。
 苦くてネトネトしたそれを自分で口に含むのは嫌だけど、こっちの舌に絡み付いてくる
舌の巧みな動きのせいか、不思議と興奮させられた。
 そうしている間にも唾液と精液がさらに流し込まれてくる。
 もう僕の口の中は雪香さんから移された粘液で一杯だった。嫌でも生理現象で喉が動い
てしまう。
(自分の精子・・・・・飲んじゃった)
 酷い屈辱感だった。けど、掻き回されて絡まされる舌は無理矢理精液を味わわされて、
そのあとは追加される粘液に押されてどうしても喉へぬめり落ちてしまう。
(嫌だ、嫌だ!)
「むうう! んむう!」
 雪香さんを押し退けようとして気付いた。僕は物凄い力で押さえ付けられている。
「んんん! んんん!」
 喉にはどんどん粘液が入ってくる。違う。僕じゃない。いくらなんでも僕はこんなに出
していない。
 得体の知れない恐怖が湧き上がった。
(放せ! 離れろ! 放せぇ!)
 ごくっ、ごくっ、と喉を鳴らす度に、体が奇妙な感覚に捕らわれる。



 胸が熱い。ペニスの感覚がおかしい。体全体にも、何か違和感がある。
 ミニペットボトル一本分くらい飲まされた気がした頃、ようやく雪香さんの唇が離れた。
 彼女の舌と僕の舌が名残惜しげに白い糸で繋がっていたのが見えた。
「どう、おいしかった? ふふ、もっとかわいくなっちゃったね」
 小悪魔の様に微笑む。
(もっとかわいくなっちゃった?)
 何故かボーっとする頭で言葉の意味を探すけどわからない。
 起き上がれなくて寝たままでいると、背中から支えられて上半身を起こされた。
「どういうふうに生まれ変わったか、自分の目で見なさい」
 背中から回された手でピンッ、と乳首を弾かれた。
「ああっ! ・・・・・え!?」
 胸からの痛みと快感以上に、自分の喉から出た声に驚かされた。高くて頼り無い、まる
で女の子みたいな声・・・・・。
 そういえば、同じくらいの身長だったはずなのに、後ろにいる雪香さんの頭は僕のずっ
と上にある。床に座り込んでいる体勢は、大して変わらないのに・・・・・。
 自分の体が何か普通じゃない事態になっているのがわかる。見下ろしてみてはっきりし
た。
 胸が、男のはずの僕の胸が、なだらかなカーブを描いて二つの僅かな膨らみを築いてい
た。控えめだけど形の良い、白い丘。頂点の淡い桜色の円と突起も控えめで小さい。
 肌の色も違う。元々黒い方ではなかったけど、さらに白くなって、きめ細かい上に見る
だけでわかる様な柔らかさがあった。雪香さんより綺麗な肌かもしれない。
 腰も体も細くなってしまっているし、太股は触ってみるとぷにぷにした弾力を返してき
た。



 そして僕はそこを見た。
「あああ・・・・・嘘だ・・・・・」
 何にも無い。あるはずのペニスが無くなっていた。
 いや、何にも無くはない。両足の付け根の部分にぴったり閉じた割れ目の筋が走ってい
る。
 どう考えても男の体じゃない。
(女に・・・・・女になってる!?)
 窓を見るとガラスに薄く顔が映っていた。雪香さんの顔の前に映っているのはショート
カットのかわいい女の子で、大人しそうな印象を与える大きな目を、信じられないものを
見るかの様に見開いている。まだ幼さの残る顔や身長から、年齢は小学生か中学生かといっ
た辺り。
 その女の子を捜して僕がキョロキョロ首を振ると、ガラスの中の女の子も同じ様に首を
振る。
 この、腕や足どころか陰毛を含む無駄毛が全く無い体も、ガラスの中の美少女も、間違
いなく、今の、僕の姿だった。・・・・・いや、そんなはずがない!
「嘘だ! 嘘だあぁ!」
「嘘じゃないの」
「う? ふうぅ!」
 ガラスの中の美少女の口が塞がれた。その目には薄く涙が浮いている。
 僕の口も雪香さんの手に塞がれた。目の端から頬へ水が伝うのがわかる。
 美少女の後ろの美女がふっと笑った。
「女の子が来てくれればこんな手間もいらなかったんだけど。ううん、こんなにかわいい
子が来てくれたんだから、贅沢を言っちゃいけないね。喜んで楽しませて貰うよ、なかば
君・・・・・それともなかばちゃんかしら?」



(ふざけるな!)
「んぐうぅう!」
 叫んでも口の中で篭ってしまって意味不明の唸りになってしまう。
 こんなに簡単に男が女になってしまうなんて現実にあるだろうか?
(信じない! 嘘だ、嘘だ、嘘だ!)
 とにかく、ここは危ない!
 僕は腕を振り回して大暴れした。けど、背中から雪香の腕を回されて、逃げるどころか
立ち上がる事すらできない。片方は口を塞いでいるから片腕だけで僕を抑えている事にな
る。
「じっとしてなさい!」
 もちろん、言う事を聞く訳がない。
「そう、そんなに暴れるなら仕方ないわ。エク!」
 多分、犬の名前だろう。雪香に呼ばれたゴールデンレトリバーがどこかへ走っていった。
あとの四匹はそれまでと同じ様にじっとお座りしている。
 戻ってきた犬のエクは細いロープを咥えてきた。
 嫌な予感がして僕は一層強く暴れた。一瞬口を塞いでいた手が離れる。
「そんなの何にするんです! 放せ、変人! 変態! 化け物!」
 ありったけの罵倒を雪香に投げつける声は、何故か女の子の涙混じりの声だ。
「静かにしなさい!」
 乳首をぎゅっと捻られる。
「いっ、うああ!」
 敏感な突起が曲げられる激痛。
「いたっ、いいいぃ・・・・・」
(ち、千切れるぅぅ)
 容赦のない力が堪らなく怖い。



 やっと指が放れたかと思うと無理矢理うつ伏せにされた。両手を掴まれて背中へ回され
てしまう。
「これでよし、と」
 素早く両手首が縛られた。
 引っ張っても手首が痛くなるだけ。後ろ手に縛られた状態からもう動かせない。
(逃げられない・・・・・?)
 これから何をされるんだろう・・・・・。
 怖くて怖くて何とかして逃げ出したいのに、捻りから解放された乳首が、何故かジンジ
ンと心地良く疼いている気がした。
 雪香はしばらく僕の背中に乗って縛り具合を確かめていたけど、満足したのか、今度は
自分がどこかへ行ってしまう。
 チャンスだ。今なら逃げられるかもしれない。
 腕は縛られているし外は吹雪で僕は裸だけど、とにかく、とにかく逃げないと。
 けど、少し身じろぎしたところで、さっきの犬が僕を踏みつけた。
(犬なんかに・・・・・!)
 それでも大型犬は踏むだけで僕の自由をさらに奪ってしまう。
 犬の下で無様に、自分でも思うくらい無様にあがいていると、雪香が戻ってきた。
「あはは、まだ早いよ、エク」
 あいつが笑いながら言うと犬は簡単に僕から離れた。
 雪香はゴロゴロとローラーの音を立てて、廊下から大きな鏡を運び入れてきた。全身用
の大きな鏡だ。



「この部屋じゃないと寒いから、持ってきてあげたよ。御礼は言える、なかばちゃん?」
「ふざけるなよ! 今ならまだ許すから、縛ったの解いて代わりの服を出せよ!」
「ふーん、まあいいわ。これからきちんと躾けてあげるから」
 言いながら大きな鏡とソファーが向かい合う様に調節している。
「何するつもりだよ!」
「ふふふ、い・い・こ・と。うん、こんなものね」
 鏡とソファーの位置に納得したらしい。
 僕をひょいと持ち上げて、ソファーに座った自分の上に乗せた。僕が雪香の膝に座らさ
れた体勢だ。
 暴れさせていた僕の足にはあいつの足が絡んでくる。手に続いて足の動きまで封じられ
た。
 顔を上げたくない。見るのが怖い。
「ほら、見なさい」
 なのに、顎を掴まれて強引に顔を上げさせられた。
「あ、ああ・・・・・」
 鏡の中には、美女の上に乗って後ろ手に縛られ、両脚を広げさせられた裸の美少女がい
た。
 控えめな膨らみも桜色の突起も閉じた幼い性器も、隠すべきところがさらけだされてい
た。
「嘘だ・・・・・違う・・・・・嘘だ、僕じゃない!」
 僕が叫ぶと、それに合わせて鏡の美少女も口をパクパクさせる。
 僕が頭を振ると、鏡の美少女も頭を振って涙の雫を散らばらせる。



「認めなさい。これが生まれ変わったなかばちゃん。この胸も、ほら」
 美女の両手が美少女の胸へ伸びた。ゆっくり撫でる様に手の平を滑らせる。
 手の平が通り過ぎたところがほわっと暖かくなる。何度も何度も同じところを滑る度に、
暖かさが大きくなってくる。
 くすぐったさと奇妙な感覚に、僕は手から逃げるように身を捩らせた。鏡の美少女が頬
を赤くしてクネクネ動く。
「うああっ!?」
 突然、胸から送られてくる刺激が強くなった。鏡の中では、美女の手が美少女の左右の
乳首を擦り立て始めていた。
 雪香の親指以外の四本の指が、指の腹で擦るように僕の乳首の上を往復する。
 指の腹が乳首を弾く度にぴりっぴりっと疼きが沸いては消えて、すぐにまた沸くを繰り
返す。
(じんじんする・・・・・乳首がじんじんしてるぅぅ)
「気持ちいいんでしょう? 女の子の胸の感覚はどう?」
「違う・・・・・僕は女の子じゃない。女の子なわけないぃ・・・・・」
「強情ね。・・・・・これでも?」
 美少女の股間に手が覆い被さった。僕の股間も、雪香の手に包まれて、摘まれて・・・・・。
「あ、ああっ! そこ、触るなぁ!」
「触らないと説明できないよ。いい? まずこれが大陰唇。なかばちゃんのは大って言う
程大きくはないけどね」
「やめ、ろぉ」
 閉じたそこを撫でられてもくすぐったさと嫌悪感しかない。



 美少女の割れ目に指が二本添えられた次の瞬間。
 ニチャッ。
「御開帳〜。ねえ、今の聞こえた? なかばちゃんのオマンコがいやらしいよだれを粘着
かせた音。乳首を弄られたぐらいでこんなになるなんて。女の子になったばっかりなのに、
すっごい淫乱」
 片手で胸を嬲りながらさらに雪香の指が美少女の性器を綻ばせる。
 外側が広げられてもくっついたままだった左右の小陰唇が粘液を引いて広がるのが見え
た。小陰唇も、その奥も、綺麗なピンク色をしていた。うっすらと膜を張って光沢を放っ
ているのは美少女の分泌物だろうか。
「僕じゃない。他の女の子・・・・・他の・・・・・」
「まだそんな事を言ってるの? よく見なさいよ」
 雪香が手を伸ばして鏡を近付けた。僕達の足の間に鏡があって、首を伸ばせば美少女に
キスできそうな程の距離・・・・・。
「この小さな胸もこのかわいいオマンコも、なかばちゃんのモノなの」
 鏡の中の美少女。僕と同じ格好と表情をしているかわいい女の子。
「これが・・・・・僕?」
 ショートの髪の下で細い眉と大きくて素直そうな目を可哀想なくらい歪ませているこの
女の子が、僕?
 乳首を擦られる度にかわいく身じろぎするこの女の子が、僕?
 抱き締めたら折れそうなくらいか弱そうなこの女の子が、僕?
 幼い性器に雪香の指を挟んで粘液に光らせているこの女の子が、僕?
 僕の体が刺激されるとぴくぴく反応するこの女の子が、僕?
(僕なんだ。女の子に・・・・・なっちゃったんだ)
「わかった? これがなかばちゃん」
「やだ・・・・・やああぁぁああぁぁぁあああ!」



 僕は取り乱した。取り乱さない方がおかしい。
 でも、取り乱しても僕にできる事は、手も足も拘束されたか弱い女の子にできる事は、
俯いていやいやするくらいしかない。
「そうそう、説明が途中だったね。このピラピラが小陰唇」
 雪香の指が僕の、僕の小陰唇を摘み上げた。
「ひあっんぅ!」
 痛みの様なそうでないような鋭い感覚。
「そんな、とこ、さわ、るなぁ」
「この中が膣前庭で、ここが膣口ね。この奥はお預けにしときましょ」
 指が左右の小陰唇の間を往復する。ペニスを弄られるのとは違う、何かこう、気持ち良
さが表面から体の内側に染みていく様な。
 鏡の中の僕の口からはよだれが零れていた。頬は赤くなって、目はとろんとしてきてる。
(僕のヴァギナが雪香の指を挟んでるんだ・・・・・)
 無理矢理されて嫌なはずなのに、そう思えばそう思う程、鏡の中の美少女は嫌がるのを
強引に弄られているんだ、と他人事の様に興奮してしまう。
 トロッと体の奥底から何かが流れ出るのがわかった。お漏らしをしてしまったのかと思っ
たけど、そうじゃない。粘液の塊が膣内を這い出たんだ。
 くちゅっ・・・・・くちゅっ・・・・・くちゅっ・・・・・。
 股間を擦る指の感触がぬるぬる滑るようになった。
「ふあっ、んん、ふぁふ・・・・・やめ、てぇ・・・・・」
 言葉と裏腹に勝手に腰が指に押しつく。意識的にしてるつもりはないけど、指で擦られ
るのは気持ちがいいけど、女の子として感じたりしたくないけど、男の時には感じた事の
ない快感があるけど・・・・・。



「もう良くなったの? なかばちゃんは体がエッチにできてるのね」
(女の子の体が、いやらし過ぎるんだぁ)
 鏡を見てると本当にそう思うけど、それは僕自身の姿。女の子にされたのに喜んで嬲ら
れたりなんてしたくない。
「エッチなんかじゃ・・・・・ない。良くなんか、なってない、のぉ」
 いやいやする自分が鏡に映って、また僕の股間から愛液が漏れた。
「ふふふ、そう? じゃあ安心して最後の説明ができるね。この小さいのが尿道口。そし
てこれが・・・・・」
 股間から電撃が走った!
「うやああぁぁぁああ! 痛い! 痛いぃ! 触らないでぇ、擦らないでぇぇ」
「痛い? ならどうしてこんなに溢れてるの?」
 親指と人差し指でそこを摘みながら中指でぐちゅっぐちゅっ、と音を立てられる。
「知らないっ、知らないよぉ。ふあぁ!」
「気持ちいいんでしょ? クリトリス弄られて感じてるんでしょ?」
 包皮ごとペニスの様にしごかれる。
「やあああぁぁぁ・・・・・違うぅ、違ううぅ」
 叫びながら、僕は鏡から目が離せなかった。肌を紅潮させて乱れる美少女は僕だ。僕だ
けど、淫らで、やらしくて、僕を興奮させる。
(クリトリス、気持ちいいよぉ。なかば、弄られて感じてるよぉ)
 この美少女が、こんなことを考えてたら・・・・・。



「素直になった方が気持ち良くなれるわよ? クリちゃんがいいんでしょ?」
「ちが、うぅ。違うぅ、ふあっ、ちがああぁぁぁふうぅぅ」
 エッチな女の子だったらどう答えた? 鏡の美少女が淫乱で快感の虜だったら?
(クリちゃんいいの・・・・・もっと弄って。なかばのクリちゃん、滅茶苦茶にしてぇ!)
 口では否定を繰り返しながら、僕は鏡の中の美少女になりきっていた。
 今すぐ僕を犯したい。でも犯せないから、代わりに、もっと、もっと、もっと!
(乳首もいっぱい触って! オマンコもぐちゃぐちゃに掻き混ぜて! もっと感じたい・・・・・
なかばをもっといやらしい女の子にしてぇぇぇええ!)
「いい顔になってきたね・・・・・感度もいいし。凄くかわいいわよ、なかばちゃん」
 ふうっと耳に息をかけられたのを合図に、僕は、淫乱な美少女なかばは、波があった快
感が引かずに強く溜まっていくだけになったのを感じた。
「そろそろイっちゃう?」
 クリトリスを擦る指が早く強くなる。包皮の中でそれはさっきよりも大きく、敏感になっ
ているみたいだ。
 激しい擦り立ては最初にされてたら本当に痛いだけだったと思う。けど今は強い快感に
なって、底無しに体に溜まっていく。
 腰が震える。お腹からつま先までお湯に浸かったみたいに熱くなる。
 気持ちいいから、もっともっと気持ち良く。それしか考えられない。
 快感が溜まっていく。怖くなるくらいに、どこまでも、どこまでも。
「イク! イク! イクのぉ! なかば、女の子にされて、オマンコ弄られて、イっちゃ
うのぉぉおぉっ!」



 頭が真っ白になった瞬間。
 ジャッ! シャアアアァァァァァ・・・・・。
 イクのと同時に僕の股間から黄色い液体が噴き出した。ぷん、と尿の臭いが立ち昇る。
「あぁ・・・・・おしっこ、出てるぅ。なかば、イきながらお漏らししちゃってるよぅ・・・・・」
(こんな・・・・・女になった上にイかされて、お漏らしまでするなんて・・・・・)
 いつの間にか、頭と口が逆になってしまっていたけど。
 恥ずかしいし、確かに嫌だったけど、それでも絶頂の余韻と、膀胱がしぼむ解放感と尿
道への刺激は快感だった。
 思いの他溜まっていたみたいで、わりと勢い良く出たおしっこは鏡の美少女にまで届い
ていた。
 自分という美少女を陵辱している様な、不思議な倒錯感。
「良かったわよ、なかばちゃん。本当にいい子を見つけたわ」
 上に座った状態でお漏らししてしまったのに、雪香さんは微笑んでなかばの頭を撫で撫
でしてくれた。
 僕は余韻に浸りながら、鏡を滑り落ちていく液体をボーっと眺めた。




 二重窓の向こうで吹雪がゴウゴウと唸っている。
 いつの間にか僕は床に仰向けで寝かされていた。雪香は鏡を直しに行ったみたいで、い
ない。
 余韻が引くに連れて、段々猛烈な羞恥と後悔が溢れてくる。
(ちょっと触られたくらいで女の子になりきるなんて・・・・・)
 鏡の所為だ。鏡があったから、美少女になった僕が目の前にいて僕の好きな様に動かせ
たり喋らせたりできたから、状況を忘れてアダルトビデオの女優を操っている気にでもな
ってしまった。
(あれは僕じゃない。僕が作り上げた淫らな女の子を見たかっただけで、僕自身があんな
事されたいわけじゃない!)
 そう思う事にした。間違ってはいない。鏡さえ、鏡さえなければ。
「なかばちゃん、目は覚めた?」
 雪香が戻ってきた。僕の液体で汚れた服を着替えて、今度は同じデザインの黒いワンピ
ースを着ている。
 僕の隣にしゃがむと、ティッシュを持った手を伸ばしてくる。
(また、そこを触る気なのか!)
 ぬるぬるの股間や太腿もおしっこの臭いも、さっきまでの僕の痴態も、忘れたいくらい
恥ずかしい。
 その恥ずかしさはそんな事をさせた雪香への怒りでもある。
「触るな!」
「きゃあっ!」
 不自由な体を回転させて脇腹を思いっきり蹴ってやった。
 雪香の悲鳴が心地良い。
(ざまあみろ!)
 あいつは咳き込みながら脇腹を抑えた。



 いくらかすっとしたら、羞恥もその分減る気がした。恥ずかしければ恥ずかしい程、僕
は反抗する事で淫らななかばは僕ではないと証明しなければならない。僕が僕である為に。
 けど、いきなり蹴るのは間違いだったのかもしれない。
 無言で起き上がった雪香が近くにきて片足を上げる。逃げようとしたけど間に合わなかっ
た。
「うっ、ああああ!」
 勢いをつけて性器を踏まれた。
 睾丸を打った時にも似たお腹の底に淀む激痛!
「人が折角拭いてあげようとしたのに。この恩知らず!」
 足の親指で粘液を掻き混ぜながら体重をかけてくる。快感なんてない。痛みが屈辱と怒
りを呼ぶだけだ。
 中心を踏まれたまま雪香の足を何度も蹴ってみるけど、今度はびくともしない。
 暴れるごとに股間を踏む力が強くなる。でも、大人しくなんてするわけにはいかない。
「何が恩知らずだよ! 人を勝手に女にして喜んで! この気違いレズ女! ・・・・・
ぐうっ!」
 股間が一層強く圧迫された。痛みにまた新しい涙が滲んでしまう。
「さっきまでのかわいさはどうしたの? なかば、イっちゃうぅ、なんて喜んで言ってた
のは、どこの誰!?」
「うるさい! んぐ!?」
 足が僕の口に移動してきた。微かなアンモニア臭と甘酸っぱい匂いが口に広がる。
 二種類の体液が混ざった苦くて酸っぱい味のする蜜が、ぬるぬると舌の上を滑った。
(う、汚い!)
 あっていいはずの吐き気はなかったけど。



「自分で腰を振って湧き出させた汁の味はどう? つまんない意地なんか忘れて、さっき
みたいに素直になりなさい」
 ぐっと足が喉に押し入ってきた。
 僕はその足を、力一杯噛んでやった!
「あつっ! この!」
 慌てた雪香が足を大きく振った。
 しつこく噛み付いていた僕は、振り解かれた拍子に後頭部を壁へぶつけるハメになって
しまった。
 口の中で血の味がする。雪香の足にははっきりと僕の歯型がついていた。
「少し言う事を聞いてやったからって、調子に乗るなよ!」
 じっとしていた犬達が吠え立てているけど、怯まずに背を壁につけた座り方から雪香を
睨んでやる。
 雪香は初めて余裕の表情を崩した。
 その分だけ僕の気分は良くなって、つい口の端が持ち上がった。あいつからは挑戦的な
笑みに見えているだろう。
「確かに・・・・・甘かったみたいね。これからは手加減無しで躾けてあげるから!」
「やれるもんならやってみろ!」
 売り言葉に買い言葉。僕らは睨み合った。こうなったら引く訳にはいかない。
 雪香はふんっと鼻を鳴らして足音を立てながら部屋を出て行った。また何かを持ってく
る気だ。



 犬達は主人の敵だとわかるのか、威嚇の声を発し続けているけど、その場は一歩も動か
ない。その躾けの良さにはホッとする。
 もし一匹でも襲い掛かってくれば、成長し切っていない女の子になってしまった僕は、
力強い大型犬にきっと抵抗もできないだろう。後ろ手に縛られていなくても。
 そう、僕はもうか弱い女の子そのものになってしまった。でも諦めなければ逃げるチャ
ンスはあるかもしれない。
 今はまだ、背中を壁で支えながら立ち上がろうとしても、腰から下にいまいち力が入ら
ないから無理だ。けど、絶対に逃げてみせる。
(う・・・・・)
 下手に動いた所為で太腿が擦れた。
 ぬるっ。
 体毛の無い肌が粘液をなすり付け合う感触が、弱い刺激を呼ぶ。それだけでも熱を取り
戻す陰裂の内側が憎らしい。
(これくらいがなんだ!)
 僕は両膝を立てて揃えた姿勢で、熱が薄れるのを待った。
 足音が近付いてくる。雪香が戻ってきたみたいだ。
「あれ? 逃げ出してると思ってたのに、意外と大人しくしてたのね」
 ふっ、と笑って見下してきた。
 僕の足に巧く力が入らないのをわかっていて嫌味を言ってるんだ。
 僕は歯軋りして睨み上げた。雪香が持っている何かに目が行く。同時にお腹の奥がきゅ
んっと収縮した。
(なんだ? 今の・・・・・)



「この中が気になるの? そうね、まずは」
 雪香の手には大きな紙袋がぶら下がっていた。
 あいつがごそごそ探って中からひとつ取り出す。
 ジャラッ。
 鎖の音がした。
「最初の躾け。君がこれから何として生きていけばいいのか、教えてあげないとね」
 首輪だった。太い鎖の付いた、大型犬用のシンプルな赤い首輪。
「それを・・・・・?」
 予想は付いていたけど、僕はわざと怒りを込めて尋ねた。
「もちろん、これは」
「あぐっ!」
 雪香がしゃがんで、突然僕の首を掴んだ。後頭部がまたすぐ後ろの壁にぶつかって、衝
撃に頭が揺れる。
 首を掴んだ左手の力は強くはなかったけど。
「何す・・・・・うっ、かはぁっ」
 少しでも喋ろうとすると絞める力が強くなって、空気が喉を通らなくなってしまう。
「大人しくしてれば乱暴な事はしないの。なかばちゃんは大事な雌犬だからね」
(くそっ、なんで僕が雌犬なもんか。男に戻せっ!)
 言い返そうとしても声が出せない。口がぱくぱくして細い空気がひゅーひゅーと抜ける
だけ。
 肺が空気を求めて喉奥が痙攣する。息が吸えない。手が放れない。頭が重くなってくる。



(殺される!)
 恐怖で顔が歪んだ。
 すると呼応したかの様に首を絞める手が緩んだ。かと思うと素早く赤い首輪が巻かれて
止められてしまった。抵抗しようとする僕が弱気になる瞬間を待っていたんだ。
「ふぁっ、すはあっ」
 急激に酸素を満たした胸が膨らんで、喉の痛みに僕は咳き込む。喉に当てようとした手
は手首のロープに阻まれた。
「けほっ、けほっ、けほっ」
 咳きをする声も、自分のものとは思えない可愛らしい少女の声だ。巻かれた首輪もぴっ
たり首に吸い付いているのに、引っ掛かりもなく大して苦しくもない。喉仏がもう無いか
らだ。
(裸に首輪だけの女の子なのが、僕だなんて・・・・・)
 そう自覚すると視界がじわっと霞む。涙を溜めるのも子供っぽい気がして、女の子っぽ
い気がして、そのどちらも今の僕にぴったりかもしれないけど、だからなおさら、嫌だっ
た。
 俯いていた僕の首が引っ張られた。首輪に付いた鎖が雪香の方へぴんっと張っている。
(嫌だ・・・・・これ以上されたら、またさっきのなかばになっちゃう!)
 僕は力を入れて首輪の鎖に対抗した。
「こんなの、取れよ! このっ!」
「まったくもう。しかたないなぁ」
「うわっ!」
 鎖を引く力が一瞬物凄く強くなった。体ごと首から引っ張り寄せられてしまったくらい
に。
「うえっ、けほっけほっ」
 喉が痛い。
 壁から剥がされた僕はうつ伏せになっていた。仰向けと違って床が目の前に見える分、
屈辱的な気がした。
 ぺったりと胸やお腹、股間を床につけて、頭の上からの視線を感じていると、人間扱い
されていないのが、犬扱いされているのが、わかってしまう様な気が。



「あのね、なかばちゃん。これからは私の言う事を聞かなかったら」
 そこで言葉が切れて、ガサガサと紙袋を漁る音に変わった。
(今度は何するつもりなんだ)
 うつ伏せの僕の姿勢からは雪香の足の先しか見えない。頭の上からの音が異様に恐ろし
いものに聞こえる。
 きゅんっ。
(あっ、また)
 またお腹の奥のどこかが収縮した感覚がした。
 紙袋が床に置かれたのが見えた。目的の物を見つけたらしい。
「さて、と。エク、ドウイ、テイン!」
 雪香が声を上げると犬が動き出した。今度来たのはさっきのゴールデンレトリバーと、
同じくらいの大きさの多分シェパードという犬種の奴、その二匹よりも一回り大きなセン
トバーナードの三匹だった。
 どれがエクでドウイでテインだかは知らないけど、セントバーナードが頭の方から僕の
背中に圧し掛かった。後の二匹はどこに行ったんだろう、と考えていると、両足に噛まれ
た感触!
「な、何する気だよ!」
 噛むといっても甘噛みだ。けど、恐怖を感じて僕は叫んだ。
「こうしないと暴れるでしょ?」
「暴れられたくなかったら、僕にもう何もするな!」
「駄ー目。何をされても暴れないように、躾けてあげるんだから」
 すっと僕の目の前に何かが差し出された。雪香の手に持たれたそれは、無色透明の液体
が入った1.5リットルペットボトルと注射器の様な物だった。ガラスの注射器の先は、
針という程細くなくて、少し中心が膨らんだだけの管といった感じ。
 本で見た事がある。わかってしまった。



「わかった? 薄めのグリセリン溶液と、100ccの浣腸器よ」
「やだ、やだ! やめろ!」
 暴れようとしても、押さえつけられたり噛まれたりで動けない。
 視界から二つの道具が消えた。
 甘噛みされてる足がゆっくり、強制的に開かされる。抵抗したくても噛む力を強くされ
そうで怖い。
 僕は床にうつ伏せで、人の字型にされた。
 お尻を触られた。双房の間にある穴の両端に置かれた指が、じりじり広がる感触。
「いやだ、やだ、やだ、やだ、やだやだやだやだぁぁぁあああぁぁああ!」
 広げられた穴に息をかけられてぴくっと反応してしまう。
 女の子にされる前からある器官。だけどそこを触られて、女の子の部分が潤いを取り戻
すのが床で擦れている所為でわかる。嫌なはずなのに。
 犬を刺激しない様にちょっとだけお尻を振ってみても、あそこと愛液を床に擦り付けて
しまうだけで、後ろの穴にかかった指はそこを広げたままだ。
「ここも綺麗ね、桜の花みたい。いくよ、なかばちゃん、力を抜いて」
 冷たい無機質なガラスがぴとっと肛門に触れた。ぐりっと動いて中心に位置が揃えられ
る。
(やだ、よぉ。そんなところ・・・・・)
 僕は息を呑んで待つしかなかった。
 するり。
 意外な程あっさりと、けど内臓を中から持ち上げられる様な違和感と共に、僕のお尻に
管が入ってきた。
「ひっ、ぐぅ」
 管はぬめりを持っていた。何かを塗られていたみたいだ。もしかして、僕の体液を潤滑
液にしたのかもしれない・・・・・。



 そして液体が注入され始めた。
「ああ、ああぁぁぁ・・・・・」
 内側の入り口に水流を感じる。
 閉じられない肛門の筋肉が引き攣る痛み。異物感。内側の水流。
 昔からあった器官は、弄られている自分を一層鮮烈に感じさせる。
 管はすぐに、またするりと滑ってお尻から抜かれた。
「いい? これから一回逆らうごとに100cc浣腸するからね。それが嫌だったら、ちゃ
んと私の言う事を聞きなさい」
「だ、誰が変態の言う事なんて」
「口答えも、カウントね」
(しまった!)
 後悔しても遅かった。
 少しの間の後、またお尻に管が挿される。
(気持ち、悪いぃ)
 僕は同じ間違いをしない様に唇を噛み締めて、注ぎ足される液体の感触に耐えた。
「んっ」
 少し膨らんだ形の管が抜け出る時に入り口をくすぐられて、鼻にかかった声が出てしまっ
た。
「あれ、もうお尻で感じてるの?」
 目敏く雪香が聞いてくる。でも、言い返せないなら、僕はだんまりを決め込む事にした。
「黙ってちゃわからないよ。・・・・・それとも、もう一本欲しいの?」
 またお尻にガラスが触れた。僕は慌てて叫ぶ。
「感じてない!」
「ふーん? まあ、許してあげる」
 浣腸器の気配がなくなって安心と悔しさが胸からこみ上げる。段々僕は雪香の思い通り
に動かされている。



 犬達が離れると、また鎖が引っ張られた。でも僕はされるがままになるしかない。
「ほら、ぼーっとしてないでちゃんと来なさい、なかば」
 鎖がどんどん引っ張られる。首輪を引かれて、逆らう訳にもいかず、僕はなんとか立ち
上がって雪香の後についた。
 濡れた下半身を暖かい空気が撫でるのはすっとして気持ちいい。股間を刺激してしまわ
ないよう注意しながら、意味もなく部屋を一周させられた。
 窓ガラスに映っていた僕はまだ子供っぽい美少女で、裸で後ろ手に縛られたあげく首輪
を着けられた姿は、まるで奴隷が散歩しているみたいだった。いや、ペット、なのかもし
れない。
(くそぉ!)
 前を歩く雪香を衝動的に蹴り飛ばしたくなる。けどそんな事をすれば、また恥ずかしい
浣腸をされてしまう。でもこのまま言いなりになるのも我慢できない。
「ん?」
 雪香が振り返った。気付いたら、無意識に鎖を引っ張り返してしまっていた。
 雪香がふふっと笑う。カウントされてしまったみたいだ。
「そんなに浣腸が気に入った?」
 液体を満たした浣腸器を拾って近付いてくる。
 恐怖に反応したのか、肛門が勝手にきゅっと締まった。続いてごろごろとお腹が鳴る。
(さっきのが・・・・・効いてきたんだ)
 まだ弱い段階なのか刺激は小さい。けど、もしここで我慢できない状態になったら。
(こんなところで、雪香に見られながら?)
 絶対に嫌だ。裸を見られるとか弄られるとかよりももっと。
 そんな事になったら僕は本当に人間以下になってしまう気がする。犬だ。犬の雌にされ
てしまう!



「嫌だ! もうそんなのするな! 来るなぁ!」
 僕は鎖を引っ張って、唯一自由になる足を振り回して、滅茶苦茶に暴れた。
 近くにいた雪香のお腹を蹴るとその手から鎖が放れたから、僕は急いで部屋を飛び出た。
 廊下へ出たけどどっちへ行けばいいかなんて考えている暇はない。後ろから犬の怒号が
追いかけてくる。とにかく走って、走って、走り続けた。外からは小さいログハウスだっ
たのに、角を曲がっても曲がっても廊下が続いている。もう自分がどこを走っているかも
わからなくなってしまった。
 ぎゅるぎゅる。
「あ、つっ。ううぅ」
 お腹に刺すような痛みが襲ったせいで、僕は足を滑らせた。
「あうっ! ぐ・・・・・く・・・・・」
 床でお腹を打ってしまって、一瞬、漏らしてしまいそうになった。もちろん我慢できた
けど、後ろ手の状態で寝転がってしまったら、もう自分の力じゃ起き上がれない。時間の
問題だ。
 廊下で限界が来て一人で痴態を晒す自分を想像したら、涙が出た。
 犬の鳴き声が近付いてきても、僕にはもうどうしようもなかった。
 さっきと同じ犬が同じ様に、僕を人の字型に拘束する。今度は廊下だからうつ伏せた胸
や股間がひんやりしている。
「な・か・ば」
 雪香だ。凄みのある声は怒っている証拠。当然だろう、お腹を強く蹴っ飛ばしてやった
んだから。
 僕が何かするたびに状況がどんどん悪くなっていく。
(逆らったら、もっとひどくなる・・・・・)
 怒っている雪香は100ccの浣腸の追加だけで済ませてくれるだろうか。体が震えて
しまうのを止められない。



 どん、と僕の目の前に、これみよがしにペットボトルが置かれた。グリセリン溶液の入っ
ているあのペットボトルだ。僕の中に注がれた200cc分減っている。
 そのボトルの中にゴムか何かでできたパイプが入った。雪香は無言だ。
(何をする気・・・・・僕に何をするつもりなんだ)
 怖い。怖くて大声を上げたい。でも怖くて声を出せない。誰の声もしなくて、何か作業
をしている音だけが聞こえるのが、堪らなく怖い。
 お尻の間に何かが触れた。谷間を上下して穴を探っている。
「や・・・・・め・・・・・」
 か細い声しか出せなかった。
 穴に引っ掛かったそれがぐりぐりと潜り込んでくる。頭が通ってからも管が肛門を擦り
ながら奥へと侵入してきてる。ガラスの浣腸器じゃない。もっと細長くて柔らかい物が、
僕のお尻の奥に・・・・・。
 しゅこっ。
 空気が抜けた様な音。
 頭の上からそんな音が聞こえたかと思うと、目の前のペットボトルの水がほんの少しだ
け減った。お尻で銜えた物が膨らんで腸に注がれる液体の気配。
 またしゅこっと音がして、水が減って、銜えた物の中を何かが通って振動するのが括約
筋に伝わる。繰り返されるごとにお尻の裏に冷たい物が満ちていく。
(ポンプ!?)
 多分、ポンプで直接僕の中に注ぎ込んでる。



「抜いて・・・・・止め、て・・・・・」
 叫び出したいのに恐怖がそうさせてくれなくて、女の子の声で喘ぐ様に息を漏らしてし
まう。
 少しずつ下腹が内側から苦しくなってくる。もうポンプの水は半分以下だ。その分だけ
僕の中に入っていっているのだと思うと気が狂いそうだった。
 ぎゅるるるる。
 お腹がもう限界だった。もうやめてくれ、と鳴っているのに、足される液体が直腸を逆
流していく。
 今すぐお尻の穴を開いて排泄したい欲求にかられる。
(駄目・・・・・こんなところで)
 必死で閉じるけど、括約筋が痙攣して悲鳴を上げていた。
 ようやくボトルの水が無くなったけど、僕を体の中からハンマーで叩かれる様な腹痛が
襲い始めていて、安心なんてできない。1.5リットルのジュースを普通に飲み干すだけ
でもお腹はいっぱいになるだろう。それを僕は、小さな女の子になった僕が、お尻の穴か
ら体内へ直接一気飲みさせられた。苦しくない訳がない。
「ひ、あっ。やぁっ!」
 力一杯締めている肛門から管が無理矢理、ずるずる引き抜かれた。
 強制的に細い物を排泄させられている。そう思ったら・・・・・抜け出た瞬間、お尻の
力が抜けてしまった。
 一杯に水を入れた風船から水流が飛び出る様に、僕は無様な姿を晒す。



 はずだった。
「あああ、ああっ! 何!?」
 開いたお尻の穴は出すんじゃなくて、何かを入れられる為に使われた。固いゴムみたい
な素材の楔型の物が僕のお尻を広げながら堰き止めている。
 ぐいぐいと押されるそれは段々太くなっていて、括約筋の輪を強引に突破しようとして
くる。大きく広がった肛門に裂けそうな程の痛みが走った、と思ったら急に抵抗が無くなっ
て、ぬるん、と滑り込んだ。まるで僕の穴が進んで飲み込んだみたいにすんなりと。
 三角形のそれは根元が急に細くなっているようだった。内側の入り口にある存在感が気
持ち悪くて、僕はお尻を振った。
 そして出せない。肛門を思いっきり開いても、異物を入り口に押し付けてしまうだけで。
「ふあっ、出ないぃ! 出ないよ! 出させ、ろぉ!」
「騒がない!」
 ばしっ! とお尻を叩かれた。
 叩かれるなんて予想外だった。思わずびくっと反応して声を飲み込む。
「まずはトイレの躾から。自分で我慢もできなそうだったから、栓をしてあげたの。アナ
ルストッパーでね。まあ、ここでしたらしたで、おまえの口で掃除させるけどね」
 雪香の足が、僕を踏んだ。僕を拘束していた犬達はいつの間にかいなくなっていた。
 横向けた顔の頬っぺたを足で嬲られる。腹痛と恐怖で全身が激しく震えていた。
 最初は優しい美人だった。でも段々と本性を表していく雪香に、僕は改めて得体の知れ
ない恐ろしさを見た。現に僕を踏みつけながら、顔は怒っている様でも口の端は笑ってい
る。背筋がぞくっとする笑みだった。
「さあ、立ちなさい。トイレへ連れて行ってあげる」
 鎖が引っ張られて体が仰け反る。その所為でお腹が圧迫された。
「無理・・・・・立て、な・・・・・」
 肛門は出したくてヒクヒクしてるのに、栓が塞いでるせいでその細い部分を噛み締める
だけ。
「それじゃあこのまま放って置いてあげようか? 栓はそのままで、手も縛ったままで」
「そ、んなの、死んじゃ・・・・・」
「じゃあ、立ちなさい!」
 言う通りにするしかなかった。



 震える足で立ち上がると、熱くもないのに汗が体をぬめり落ちた。見下ろしてみれば、
下腹が少し膨らんでいる気がする。
 蠕動する腸は行き場の無い水をぎゅるぎゅる掻き混ぜ続ける。お腹が引き裂かれている
みたいに痛い。
 ゆっくりと、僕は歩かされる。足を動かしていたら、太股を撫でられた感触がした。
 愛液だ。滑り落ちる愛液が肌を撫でている。
 気付かなかった。酷い状況なのに、僕の新しい器官は何故かこんこんと泉を沸かせてい
た。
(なんで? こんなに苦しいのに、なんでこんなにぬるぬるするんだよぉ)
 ぷちゅっ。
 太股が擦れ合うと粘着性の泡が弾けた。僕の愛液は既にかかと近くまで垂れ落ちている。
 試しに太股を意識してぴったり閉じて歩いてみる。
 ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ。
(あ、これ、気持ちいい・・・・・)
 内股で大陰唇を擦る弱い刺激は、分泌物のお陰で淫靡な快感を与えてくれた。それを意
識すると腹痛が和らぐ。肛門のひくつきさえも女の子の部分からの感触に飲まれて、気持
ち良くなったみたいに。
(雪香に聞こえちゃうかもしれないけど、仕方ないよね・・・・・)
 ぬちゃっぬちゃっぬちゃっぬちゃっ・・・・・。
 僕は痛みを忘れる為に、粘着く蜜液の音を響かせながら、一生懸命太股を擦り合わせて
歩いた。




 廊下は寒かった。
 暖炉のあった部屋とは違って、外程ではなくても冷たい空気が剥き出しの肌を刺す。
 当然お腹も冷やされて、僕の中に満ちた1.5リットルのグリセリン溶液の威力はさら
に強くなっている。体がバラバラにされそうな苦痛が引かない。
(出したい・・・・・ウンチ・・・・・トイレぇ・・・・・)
 頭の中は排泄する事で一杯だった。寒気がして体が震えるのに汗が止まらない。
 僕はただひたすら太股を擦り合わせてほんの少しの快感で誤魔化しながら、ほとんど鎖
で引き摺られて雪香の後をついて歩いた。
 どれくらい歩いたんだろう。
 気がついたら僕は湯気の立ち籠める場所に居た。暖かい湯気が冷えた体にしみる。
 ぎゅるるるる・・・・・。
 限界を通り過ぎているお腹の方は楽にはならなかったけど。
 猛烈な鈍痛と、時々腸のあちこちを針で刺された様な痛みが閃く。
 雪香は僕の鎖を持ったまま、銀のベンチみたいな所に腰掛けている。
 ここが目的地ならもう着いたんだから、僕のお尻を塞いでいるものを抜いて欲しい。お
腹を楽にさせて欲しい。
「早く、抜け、え・・・・・」
「抜いてもいいの? ここはトイレじゃないし、私もいるけど」
 言われて僕は周りをよく見てみた。
 どこをどう通って来たのかはわからなかったけど、濃い湯気の籠もった広いお風呂場み
たいだ。木のログハウスには不似合いなタイル張りの床と壁で、雪香が座っているベンチ
みたいな所は浴槽の縁だった。部屋の隅にはゴールデンレトリバーとシェパードの二匹の
姿もあった。
 廊下よりはましだけどお風呂場というのも嫌だ。それも、雪香の前でなんて・・・・・。



「いいの? 私に見られながらでも」
「い、嫌だ!」
 叫びながら足から力が抜けて、お尻をついてしまう。
「あ、くぅ、あぅ・・・・・」
 尻餅をついた時にアナルストッパーが床に当たって、僕の肛門が内側へ押されてしまっ
た。その動きが中の水へ、水から腸壁へ、腸壁から内臓へ伝わるのがわかった。
 元々最初に弄られた所為で調子が悪かったのに無茶して走ってしまって、その上浣腸を
耐えてここまで歩いてきた。
 体全体が限界だった。
(もう立てない・・・・・)
 無意識に膝を胸につけてお尻を浮かせる排泄の姿勢をとって、後ろの穴が大きく広がる。
けど何も出ない。出なくてホッとするけど出したい。出したいけど出したくない。
「栓、抜いて・・・・・出させてよぉ」
「抜いてもいいのね?」
 雪香が立ち上がって僕の横にしゃがんだ。
 丁度今まで足を支えていた気力も尽きて、僕は前に倒れてうつ伏せになってしまう。い
や、もしかしたら雪香にお尻を差し出そうとしたのかもしれない。自分でもよくわからな
い。
 とにかく掲げられた僕のお尻に雪香の手がかかった。アナルストッパーが動く感触。
(抜かれたら?)
 一瞬だって、我慢は無理だ。
「やだぁ! 抜くな、抜くなぁああぁぁ!」



「そう、抜かなくてもいいのね」
 お尻を振って抵抗するとあっさり手は放れた。
「あっ・・・・・」
 雪香なら無理矢理抜いてくれると、抜いてしまうと思っていたのに。
 ぎゅるぎゅるぎゅる!
 一際大きくお腹が鳴った。痛みもどんどん強くなってる。
(お腹が破裂しちゃうぅ。抜かれなかったら、僕、どうなるの?)
 タイルにうつ伏せてしまった今、もう起き上がれる気がしない。立ち上がれたとしても
すぐ足が震えて倒れてしまうだろうし、歩くなんて絶対無理だ。ここを出て、どこにある
かもわからないトイレまで行くなんて、絶対に。
 このままだと本当に腸が破裂してしまうのかもしれない。
「お腹、痛いっ、のにぃっ! 抜いっ、て、取ってぇ」
 どうすればいいかなんてわからない。子供みたいに泣いて、泣き過ぎて、しゃっくりみ
たいに喉が引き攣る。
「困った子。抜いて欲しいの? 欲しくないの?」
 雪香が蔑む様な薄笑いの表情で見てる。
 出したいけど出したくないけど出さないとお腹が痛いけど見られながらなんて嫌だけど
お尻が壊れちゃいそうだけど人に見られながらお風呂場で裸で用を足すなんて恥ずかしい
けど。
 僕は腹痛の上でぐるぐる考えながら、横に立つ雪香をただ見上げた。
「私に決めて欲しい? 自分の事なのに、どうしたらいいか私に任せたいのね? 仔犬み
たいにすがって、飼い主が助けてくれるのを待ってるんでしょう?」
(そうなのか・・・・・な)
 何も言えなかった。



 雪香の手が伸びてきて、僕は掲げたお尻を振る。それが抵抗する為なのか催促する為な
のかは、自分でもわからない。
 でも雪香はお尻には触らなかった。
「ここまで我慢した御褒美、ううん、逃げようとしたお仕置きの続きかな? 自分でどう
するか、決めなさい。それならひとりでトイレにも行けるしね」
「えっ」
 ずっと手首を縛っていたロープがタイルの上に投げ捨てられた。解放された手が背中か
ら力無く両脇に落ちる。
 長い間拘束されていた手はジンジン痺れていた。
(ひとりでトイレにも、行ける?)
 痺れで震える手に鞭打って上半身を持ち上げてみる。四つん這いの姿勢から立ち上がろ
うとするけど、足に全然力が入らない。
(無理、だ。行ける訳ないよ!)
 足だけじゃない。手も体も弱ってしまって四つん這いで這い歩く事もできそうにない。
 ぎゅるん!
 お腹が悲鳴を上げている。
 トイレには行けない。でも、スッキリしたいと思えば簡単だ。ここで栓を自分で抜けば
いいんだから。
「もうっ、駄っ、目ぇ・・・・・」
 僕は肩をついてお尻だけを掲げた姿勢に戻った。両手をお腹側から回して肛門から顔を
出している栓を掴む。
「ええっ! なかば、こんなところでするつもり!?」
 雪香がわざとらしく素っ頓狂な声を上げた。ロープを解いた後、あいつは浴槽の縁に座
り直していて、真正面から僕を眺めている。
(こんなところに連れて来たのはお前の癖に!)



 どれだけお尻の穴を開いても駄目だっただけあって、ちょっとやそっと引いたくらいじゃ
栓は抜けなかった。恥ずかしいけど、本当はしたくないけど、トイレに行った時みたいに
お尻に力を入れて肛門も一杯に広げ続ける。
 断続的にストッパーを引っ張っていると自分でお尻を弄っているみたいで、括約筋と僕
のヴァギナの中が競う様にひくひくしてしまう。
「涎垂らしてエッチな顔して、お尻でオナニーしてるの?」
「ちがっ、うぅ」
「それならいいけど、ここはお風呂なんだからウンチなんてしないでよ」
「うるさっ、いぃ」
「エク達だってちゃんと決まった所でするんだから。なかばも自分のトイレでしないと、
ね?」
「犬とっ、一緒、するっ、なぁっ。ふあんっ!」
 抜けた。
 後ろの穴が一杯に口を開けて栓を出す瞬間、狭い入り口に擦れて背筋が痺れた。後ろか
らの快感が前に回って女の子の部分の奥から溜まったものが纏まって溢れ出る。
「ああっ、あああああぁ・・・・・・」
 意識できたのはそこまでで、それから僕の思考は真っ白になった。
「ふあぁぁぁあああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁっふうぅーっ! んんーっ!」
「あーっ、やっちゃった! 恥ずかしくないの、人前でそんなとこ晒しちゃって」
「やああぁぁあっ! 見るなっ、んっ、見る、なぁ・・・・・見ない、でよぉおぉっ!」
「見られたくなかったらトイレに行けば良かったのに。さっきも私の上でおしっこしたし、
なかばは誰かに見られてないとトイレもできない、変態犬ね」
「やあぁあんっ! 違うよぉ、違うよぉぉおぉぉぉお!」



 鎖が鳴ってる。
 ジャラジャラ。
 僕が頭を振っているから。
 首輪がついてるし服も着てない僕は犬なんだろうか。
 人間らしくはないけど。
 人前でお尻を振って恥ずかしい事をしてる。
 恥ずかしい?
 犬は恥ずかしがらない。
 なら、僕はいっそ犬になってしまいたい。
 誰かの前でお腹の中のものを出してしまうなんて、人間には恥ずかし過ぎるから。
 ぱしん。
 頭を叩かれた。
「トイレでしなさいって言ったでしょう」
 怒られた。
 駄目な所でトイレをしたから。
 仔犬みたいに頭を叩かれて。
 見上げたら怒った顔。
 なんて言ったらいいかわからない。
 浮かんでくるのは犬とか人間とか。
「くうぅん」
 自然と僕の喉は犬みたいに鳴いた。
 頭の中がぐるぐるする。
 何も考えたくなくて僕は頭から爪先までうつ伏せて脱力した。
 僕が鳴いた時、あいつは微笑んだみたいだった。
 女の子の部分の奥がきゅんとした。
 それは心地良くて、なぜか幸せな感じのする刺激だった。



 雪香が僕の出したものを全部洗い流して体も綺麗にされると、やっと真っ白になってい
た思考が戻ってくる。
 自分のやった事をはっきりした頭で理解してしまうのは辛かった。
 さっきまで僕は苦痛で錯乱していた。でも雪香の前で自分で栓を抜いて排泄する事を選
んだのは僕自身だ。お腹が空っぽになった今考えれば、もう少しくらいは我慢できたんじゃ
ないかと思えてくる。
(なのに、僕は・・・・・)
 顔が情けなく歪んで涙が溢れてくる。喉が痙攣する。
「うっ、く・・・・・ひっく・・・・・」
「ほらぁ、自分が悪いのに泣かないの」
 言葉は厳しいけど穏やかな声が聞こえて、仰向けに引っ繰り返された。
 横に来ていた雪香と目が合って、酷く優しい瞳から視線を逸らす。
 雪香の黒いワンピースは湯気の所為で体に張り付いていて、胸やお尻の曲線を強調して
淫靡な姿態を見せている。その姿に目が吸い寄せられるという事は、僕の中にもまだ男が
残っているという事だ。
 鎖付きの首輪だけを着けた白い肌を無防備にタイルの上に投げ出して、小さな胸も桜色
の乳首も愛液の滲み出るシンプルな縦筋も隠せずに、幼さの残る顔を涙で濡らしたショー
トカットの美少女は、そうなってしまった僕は、雪香以上に淫靡なんだろうけど・・・・・。
 せめて泣き顔を見られたくない。僕は自由になった両腕で顔を隠した。
 お腹の上をすーっと撫でられた。
「あっ、くあぁっ」
 お臍の上を通っただけで触られた所がぴりぴりする。



 降りてくる手は下腹部をなぞって股間へ来た。熱い。背中とあそこが引き攣る。
 淫らしい声が出そうになって、僕は唇を噛んだ。
「うっ、んんぅ」
「わ、すっごい、溢れてる。ウンチしてる所見られて興奮した証拠ね」
「んんっ、んんっ、んんっ」
 くちゅ、くちゅ、くちゅ。
 嫌でも僕のヴァギナから粘液質の音と掻き混ぜられる感触が届いてくる。僕の割れ目が
指を挟んでる。僕のラビアは蜜と一緒に指に絡み付いてる。僕の入り口と尿道の間が突付
かれて痺れてる。敏感になったそこは細かい事まで感じさせた。
(男なのに、男だったのに・・・・・そんなとこ弄られて、気持ちいいなんてぇ)
 全身が水に浮かべられたみたいにふわふわしてきて、性器の感覚だけがはっきりしてく
る。このままじゃいけないのに、手にも足にも力が入らない。
「んぅ・・・・・んうぅん・・・・・」
 指が円を描き始めた。動きに合わせて陰唇が横に縦に引っ張られて、僕は完全に快感に
呑まれた。
 こんなに早く昂ぶってしまうなんて、僕は本当に排泄する所を見られて興奮していたん
だろうか。割れ目の奥の反応に合わせて排泄の穴も開閉するのが、妖しい快感を教えてく
れる。
「んぅ、あぅっ、ひううぅぅぅぅっ!」
 全部の感覚が股間に集中していく。
(またイっちゃうぅ!)
 そう思った瞬間、唐突に指が放れた。



 止められる訳ないと思っていたのに。思わず間の抜けた声が漏れる。
「え・・・・・」
「どうしたの? まだして欲しかった?」
 顔を覆っていた両腕をどかされた。
 雪香が呆けてしまう僕を見下ろす。
「して欲しいのなら、ちゃんとお願いしてみなさい。犬みたいに礼儀正しく、ね」
 くっと軽く鎖が引かれた。首輪が少し持ち上がって、僕にその存在を思い出させる。
 雪香の足が僕の口元に差し出された。唇と5ミリもないくらい近くだ。
 途中で見捨てられたあそこはじんじんしてる。体の奥から熱が出て異様にむず痒い。自
分の両手がそこへ向かうのを理性でなんとか押し留める。
 反抗しても酷い事をされるだけなら、諦めて従順な犬になってしまえばきっと可愛がっ
て貰える。どうせ、ペットにされる運命は変わらないだろうから。
 女の子にされても、恥ずかしい姿を見せても、僕はまだ人間だ。犬の真似なんてできる
わけがない。それに、いつかきっと逃げるチャンスはある。
 二つの選択が脳裏でせめぎ合った。
 僕は、選んだ。
 頭をちょっとだけ起こして雪香の爪先に唇を近付ける。
 そっと、唇が触れそうになったら、口を開けて中に足を迎え入れる。



 そして僕は大きく開いた口を・・・・・一気に閉じた!
 上の歯と下の歯が噛み合わさる。雪香の足は噛み付く直前に逃げてしまった。
「ふう、やっぱりね。でもそれがどういう事か、わかってるよね?」
 雪香の奴がお腹をぐりぐり踏んでくる。
 お腹より下に誘導したくて腰が動きそうになるのを堪えながら、僕は睨み返してやった。
 楽にはなりたいけど、男として、人間としてのプライドを捨てたくはない。例えどんな
に羞恥と屈辱を味わわされる事になっても。
 あいつの目から僅かにあった優しさが消えた。
「そう。なら次はどうやって壊してあげようかな」
 天井へ向けられた僕の視界から雪香がいなくなった。
 ホッと息を吐くけど、まだ治まらない股間の熱につい太股を擦り合わせてしまいそうに
なる。
 我慢していればきっと熱も引く。でも虫に刺されて物凄く痒くなった所を掻くのを堪え
るのよりも、もっと辛い。僕は自分の体を抱き締める様にして歯を食い縛った。抱いた体
は細くて頼りがない。
「じゃあ、エク、ドウイ、私が戻るまでなかばの相手をしてあげて。・・・・・まだ舐め
てあげるだけよ」
 去り際の雪香の言葉に、大人しくしていた二匹の犬が僕の方へ走り寄ってくる。
 まずい、と思っても体は全力疾走でもした後みたいに疲れていて、逃げる気力も残って
なかった。
 ぬっ、と僕の目の前にゴールデンレトリバーの顔が現れた。大きな舌を出して荒い息を
吐く金色の獣は、優しい顔をしている様に見える。



 ぺろっ。
「あんっ」
 頬の涙を舌で軽く拭われると、なぜか僕の口から素直に女の子らしい声が出た。今更だ
けど、自分の声の可愛らしさに顔が熱くなってしまう。
 もう一匹、シェパードの方の鼻先が脇に潜り込んでくる。普段ならくすぐったいのに、
昂ぶりっ放しの僕の体は身悶えしてしまうくらいの快感を受けた。
「ひゃぁあっ、あっ、やめっ」
 股間が疼く。奥がじんじんするのが強くなって、内側から次から次に溢れ出てるのが触
らなくてもわかるくらいだ。
 シェパードは脇から上って首輪の中に舌を差し入れてきた。
(我慢、できない。ああっ、駄目、駄目、駄目! 駄目なのにぃ!)
 理性とは裏腹に手が下腹部へ伸びてしまう。自分でそこを弄りたい、と僕のどこかが言っ
ている。ぐちゃぐちゃにして、嬲り尽くしてイってしまいたい!
 その時、ゴールデンレトリバーが体勢を変えて、僕の体を跨いで伏せをした。僕の頭の
方に犬のお尻がある。という事は、犬の頭は僕の股間の真上辺りにあるはずだ。
 股間へ伸ばそうとしていた手は犬と僕のお腹に挟まれて動かせない状態にされた。
 改めて見てみるとやっぱりこの犬は大きい。体長は60センチはありそうだ。
 そんな犬に圧し掛かられて身動きできない状態で、僕は待っていた。もう犬の舌でもい
い。動かせなくした手の代わりを。
 ぴちゃっ。
 酷く水っぽい音がして、生暖かいものが僕の縦筋をなぞった。
「ふぁぁぁあああっ!」
 舌にいきなりクリトリスを弾かれて、僕は肺の空気を搾り出した。犬にイかされる屈辱
も今は心地良い。



 なのに、後一回舐められたら昇天するという所で舌が止まった。
「な、なんでぇ・・・・・」
 気持ち良かったのに。
 次の刺激を待ち受けてそこはひくついてるのに。
 腰を振って催促しようとした時、あいつが戻ってきた。慌てて僕は言葉を呑み込む。あ
いつにまた淫らな姿を見せるのは、嫌だ。
「お待たせー。エク、ドウイ、なかばはおいしい?」
 犬が吠えて答えた。股間を舐められてそんな事を聞かれて、僕は恥ずかしさで顔が真っ
赤になっていたと思う。
「そう、良かったね。もうちょっと待っててね。私が済んだら、あんた達の番だから」
(どういう意味だ?)
 雪香の言葉が一瞬気になったけど、すぐに新しく持って来られた物に意識が逸れた。
 犬に腕と体を組み敷かれたままなんとか首を捻って見てみると、タイルの上にいくつも
妖しい物が転がっている。
 先にキャップとポンプが付いた長いホース。5リットルくらい容量がありそうなポリタ
ンク。そして根元の膨らんだ赤黒い杭に犬の尻尾みたいな房が付いている物。
 どれも嫌な予感のするものばかりだった。なのに見た途端、ヴァギナと肛門が収縮した
感覚に体が震えた。胸が高鳴るのは怖いからのはずなのに、妖しい道具から目が放せない
のはなぜだろう。
 雪香はまずホースを手にした。キャップから分岐していたポンプを取り外して床に放る
と、一回僕の視界から消える。ポリタンクはそのままだから、ホースは多分蛇口に繋ぐ気
だ。



 しばらくしてホースのキャップ側を持って僕の足元の方へ来た。
「今度はただのぬるま湯だから安心していいわよ。その代わり、さっきより多く入れるけ
どね」
 足元から両足が持ち上げられた。お腹に乗った犬が邪魔で見えないけど、無様なM字開
脚をさせられた。お尻の穴が空気に触れてすっとする。
 抵抗したくても体が動かなくてどうしようもない。そう考えていたけど、閉じた後ろの
蕾に異物を感じて、言い様のない恐怖が湧き上がった。
「もうそこやめろぉ! 浣腸もうやだぁっ。お腹痛くなるの、もうしないでよぉお!」
 足の間に雪香の体があるみたいで閉じられない。結局抵抗は無駄だった。どうしても僕
がこんな目に会わなくちゃいけないんだ。悔しくて、悔しくて、悔しいけど、僕は無力だ。
 意思に反して、僕の窄まりは押し入ってくるキャップを喜んで受け入れてしまった。排
泄の激流に擦られておかしくなったのかもしれない。先が抜けて長いホースに入り口を撫
でられると、放って置かれてる前の割れ目が痙攣して抗議する。丸く開いた括約筋を撫で
られながら奥へ奥へと受け入れるのは、認めたくないけど、背徳的な快感があった。
「んっ、ふううぅぅぅぅぅ」
 止まらない侵入に押し出されたみたいに息が漏れる。
 ずん、と内臓を突付かれた。ホースが僕の行き止まりに達した合図だ。僕は直腸全体で
真っ直ぐホースを銜え込まされた。力を入れたり抜いたりすると、括約筋がホースの弾力
を噛み締める。
(僕、変態になっちゃったのかな・・・・・)
 お尻の穴からの快感に戸惑っていると、ぴちゃっと水音がして割れ目を生暖かいものが
這った。
「ひっ、うっ」
 熱が引き始めていたそこは大陰唇を這う緩い感触に再び燃え上がる。



 割れ目を開いて入ってきた犬の舌に尿道を突付かれて腰が引ける程感じてしまう。クリ
トリスを避けて小陰唇の襞をなぞられる。
 ぴちゃ、ぴちゃ、と犬が水を飲むみたいに僕を舐めてる。
(おいしいのかな、僕のあそこ)
 舐められて味を確かめられてると思うと妙に昂奮した。変だけど、そんな事で昂奮する
なんて、まるで変態だけど。快感が引いた時は強気になれるのに、やっぱりこの感覚には
逆らえない。
「さあ、行くわよ。その小さなお腹にどれくらい入るかしら」
 遠くから雪香の声が聞こえて、お尻で銜えたホースが堅くなった。ホースに満ちた水流
が入り口を通過して奥深い腸壁にぶつかってくる。
 入ってくるぬるま湯の勢いは強くはなかったけど弱いという程でもなくて、しかも浣腸
とは違って奥深い所に直接注がれてる。何かの本で馬に浣腸をする時は今の僕と同じ方法
でする事があると書いてあった。
 自分が動物かバケツか何かの物になってしまったみたいに思えて、情けなくて悔しかっ
た。なのに、乱暴に浣腸されてると自覚したら僕の中を満たしていく水流とお尻に刺さっ
たホースの存在感が、犬なんて動物に出来たての女性器を嬲られていると自覚したらラビ
アを這う舌の存在感が、全身の感覚の中で強く浮かび上がる。
「あ、ああぁううぅぅ」
 太股にも新しい舌の感触。休んでいたシェパードが僕の足の方に移動したのが見えた気
がした。



 徐々に生まれてくる腹痛の気配に、僕は舌からの快感へ気を逸らした。犬が僕の愛液を
おいしそうに飲む音と合わせて尿道から膣口へ生暖かく弾力のあるものが往復する。クリ
トリスを触ってくれたら一遍にイけそうなのに、決してそこには触れてこないのがもどか
しい。
(こんなこと考える自体、僕、もうおかしいよ・・・・・)
 太股を滑る舌も弱い刺激をくれる。
 二つの舌の効果で、僕はゆっくりゆっくり、一回は無情に下ろされた高みに戻っていく。
「ひ、あ、あっ、あぁっ・・・・・あ」
 体が痙攣して腰が浮き上がる瞬間、舌達はまた突然愛撫を止めてしまった。
「なんで、酷いよ、続けてよぉ・・・・・」
 僕は犬達だけに聞こえる様に小声で頼んでみたけど、通じる訳がない。通じたとしても
結果は同じだったかもしれないけど。
 性器の刺激が途絶えて熱が籠もるだけになってしまうと、不意にお尻の感覚が戻ってき
た。内側から膨らむあの苦痛だ。グリセリン溶液と普通のぬるま湯との違いがあるからはっ
きりはわからないけど、さっきの1.5リットルの浣腸と同じ量はもう入っていそうだっ
た。
 水流が止まらない。食べ過ぎてお腹がいっぱいになったみたいに、いや、その時よりも
少し下の部分が張ってきてる。溜まった水は肛門を内側から圧迫するまでになっていた。
 止まらない。
 腸の膨張感が増していく。
 お腹が膨らんでいくのがわかる。
 止まらない。



「やめてぇ! 止めて、お腹痛い、苦しいよ! 死んじゃう、死んじゃう、死んじゃう!
 壊れちゃうぅぅぅぅう!」
 恐怖に急かされてお尻を持ち上げて力を入れた。中からの水圧の手助けもあって太いホ
ースがじりじりと外に向けて動き出す。太くて長いホースを時間を掛けて排泄すると、ヴァ
ギナで高められた体が火照ってくるみたいだった。
 イク直前で放っておかれた女性器の代わりに、肛門からホースの先が抜け出る瞬間を、
僕は意識してはっきり感じ取った。ヴァギナの奥が疼いた。
「あっ、駄目、止めて、止まって、出ないで、出ないでぇぇえええ!」
 口ではそう言ってしまうけど、僕はわざと強くぬるま湯を排泄していた。
 水流が入り口を擦って出て行くのが気持ち良いから、そうしたら昂ぶったままの女性器
を刺激してイかせてくれそうで。なくなったペニスを思い出しながら、僕はお尻で射精し
た。
「もう一回中を洗ってあげるからね、なかば」
 非情な雪香の宣言を聞きながら、頭にまで快感の熱に侵入された僕は、天井のタイルを
見ながら断続的にお尻に力を入れた。ギリギリの所で昇天できずに、中途半端な刺激だけ
が僕の中に満ちていく様だった。



  • Attention! This situation is 浣腸 ふたなり-

 もうもうと辺りを覆う湯気の所為か、それとも僕自身の疲労の所為か、天井のタイルが
霞んで見える。
 お風呂場の中には不思議と嫌な臭いは全く無くて、ハーブ系の淡い香りだけが漂ってい
る。微かな香水の香りは僕のお腹に伏せている犬からのものらしい。獣臭さや嫌な臭いが
隠されているのは、僕にとっては救いだった。
「は、あぁ・・・・・くっ、う」
 お尻に力を入れてお腹を膨らませていたぬるま湯を追い出す。抜け出たばかりのホース
が足元で水を吐き出しながら踊っている。ようやく僕は二度目のぬるま湯浣腸から解放さ
れた。
 お尻の穴がひりひりする。新しく水を入れられる間、何度も高められてはおあずけされ
たヴァギナも火照りっ放しで、僕の意思とは関係なく涎を溢れさせながら襞を蠢かせるそ
こは、まるで別の生き物みたいだった。
 犬達が僕から離れて、視界に雪香の姿が現れた。
 今、僕は昂奮しきっていて酷い姿だと思う。目を合わせるのが嫌で、裾からうっすらと
覗ける雪香のワンピースの中へ目を逸らしておいた。
「さすがのなかばも大人しくなったみたいね」
 足で首輪を嬲られる。その刺激にまで心地良いものを感じる自分が嫌だ。
 何か言おうとすれば体に満ちた熱の催促をしてしまいそうで、口を半開きにしたまま細
い息をするだけしかできない。



「さて、洗うのもやっと終わったし。最後の下ごしらえをしてあげる」
 どん、と重い物が置かれてタイルに響いた。
 下ごしらえがどういう事なのかはわからないけど、僕は首を左右に振った。ゆっくりと、
弱々しい振り方になってしまったけど。
 見てみたら、近くに置かれたのはポリタンクだった。さっき雪香が持ってきていた奴で、
5リットルかそこらの容量の奴だ。
 何が入っているんだろう。何に使うんだろう。
 雪香はタイルに投げ捨てていたポンプを拾って、手にしたホースのキャップに取り付け
た。ポンプが接続されたホースにさっきまでよりも獰猛なものを感じて、足元の方へ移動
された時、僕は身悶えして叫ぶ。
「そんな、挿れる、な・・・・・」
 叫んだつもりだったのに、囁く様な声しか出なかった。雪香には届かなかったみたいで、
体を動かしての抵抗も気にされた様子がない。浣腸と女性器への責めに、自覚している以
上に弱らされてしまったみたいだ。
 お尻をキャップが突付いたと感じた途端、すぐに潜り込んできた。入り口を開かれて引っ
掛かれるのが段々気持ち悪くなくなってきてる。
 不意に、お尻の中には有り余る程の刺激を与える癖にヴァギナには制限させる雪香が、
異様に憎らしくなった。熱を我慢できずにそんな事を考えてしまう、自分自身も。
 ホースが奥深くに這い進むのを覚悟していたけど、今度は潜ってすぐの入り口近くで止
まった。その代わり、シュコッと音が鳴る度に僕の中で何かが丸く膨らんでいく。
「はぅ、何・・・・・」
「途中で出て来ないようにね。バルーンで止めておいてあげてるの。ホースには逆流防止
弁も付いてるから、このポンプを使って空気を抜かないと、なかばは絶対に・・・・・ふ
ふっ」
 歪んだ微笑みはまともじゃないものを感じさせた。



 お尻の内側からの圧迫が最大になると、取り外されたポンプがタイルに跳ねて乾いた音
をたてた。僕を塞いだ風船は、最初のアナルストッパーより遥かに大きい存在感がある。
(また、出せなくされた?)
 治まったはずの腹痛がフラッシュバックする。
 最初の浣腸の3倍以上の液体が入っていそうなポリタンク。手を使っても抜けない程膨
らまされたバルーン栓。体がガタガタ震え出す。
「そんなに怖がらなくて大丈夫。なかばが私の言う事をきちんと聞いてくれれば、そうま
で苦しくはならないわ」
 言う事を聞かなければ、想像以上に苦しくしてやる。
 僕にはそう聞こえた。
 お尻から伸びているホースが蓋を開けられたポリタンクの中へ入れられる。僕を陵辱す
る作業が淡々と進む。そこには雪香の意思だけで、僕の意思は、ない。
 雪香がホースの真ん中辺りを持ち上げると、そこだけ太くなってスイッチみたいな物が
ついていた。一瞬の迷いもなくスイッチが押し込まれる。
 ヴゥゥゥゥゥゥゥ。
 低いモーター音が響いてホースの中を目に見えて何かが通り始めた。じれったくなるく
らいの速度でゆっくり・・・・・僕に近付いてくる。
 声も出せなくて僕は首を振った。
「なかば、いい? このタンクの中には6リットル入ってるの。全部無理に入れたらどう
なるか、わかるでしょ? すぐに気が付くと思うけど、ただの水じゃないしね」
 ただの水じゃない。曲がりくねったホースの中を通るものは勢いが全くなくて、普通の
液体じゃなくてゼリー状なのが直接見なくても、薄々わかっていた。水より入る速度が遅
そうだからそれはいい。でも、6リットルという量は僕の頭に重く響いた。



 怖くて、とにかく恐ろしくて、僕は横向けになって丸くなった。緊張して体に力が入っ
て、肛門に入っているものがより生々しく感じられてしまう。
 そうしていると雪香が、僕に見える様にか、少し離れた所に立った。
 見るとなしに見ていると、あいつが自分でワンピースの裾を持ち上げる。一瞬、自分が
女の子になって酷い仕打ちを受けているのも忘れて、心臓が期待に跳ねた。そして次の瞬
間、僕はさらに目を見開いた。そうさせたのは男として裏切られたという気持ちと、自分
の体が女だと自覚した心が感じる恐怖の所為だったと思う。
 雪香は下着を着けていなかった。でも、驚くべきはそこじゃない。
 あいつの股間には、ペニスがあった。赤黒い、血管の浮いた、男だった時の僕のモノよ
りも大きい立派なペニスが。
 既に勃起して臍まで反り上がったその根元は黒い恥毛に覆われていて、奥にあるものは
わからない。ただ、睾丸がないのは明らかなのでヴァギナはあるのかもしれない。
 アンドロギュノス、なんて言葉を思い出す。
 熱の残る僕のヴァギナがひくっと蠢いた。ペニスを見て反応したなんて、考えたくはな
いけど。雪香があれをどうするつもりなのか、今の僕は女の子で、受け入れる為の器官が
あるんだと思うと感じた事のない恐怖が大きくなる。
(あんなの、入る訳ないよ)
 雪香の巨根に対して、僕に出来てしまっている割れ目は幼過ぎる。なんとかしてこの場
を逃れたい。けど、僕に残されている逃げ道は見っとも無く哀願するくらいしかない。悔
しさに奥歯を噛み締めると、とっくに出尽くしたと思っていた涙が一筋、目から溢れた。
 その時、僕のお尻の中にとろっとしたものが流れ込んできた。



「今までは私がしてあげてたけど、今度はなかばがする番よ。お尻に入れるのを止めて欲
しかったら、私のこれに奉仕しなさい。手を使わずに、そのかわいいお口だけでね」
 すぐ横まで雪香が近付いてきて、僕の顔の上に凶悪なペニスが突き出される。
(フェラチオをしろって言うのか? 僕に・・・・・)
 いくら雪香が美人だといっても、男性器が生えていても女なんだとしても、体はともか
く男である僕がペニスを口に銜えて奉仕するなんて真似、出来る訳が無い。
「ほら、早く起きて。四つん這いになっておしゃぶりしなさい」
 出来る訳がない、けど、しなかったら?
 お尻に入ってくるものは止まらなくて、ヴァギナの疼きも放っておかれたままで、お腹
が限界まで膨らんだら我慢も出来なくなって、結局僕は雪香の言いなりになるしかなくな
るだろう。
 意地を張ってもっと無様な姿を晒すくらいなら、初めから言う事を聞いた振りをしてお
けば。
 そうだ。
 今だけ。今だけでいい。
 言いなりになった振りをして油断させれば、逃げるチャンスだってきっと広がるから。
 あからさまな反抗は自分を追い詰めるだけだから。少しでも酷い事をされずにやり過ご
す為には仕方ないから。
 そう、逃げる為には、仕方ないから。
 僕は震えながら力を振り絞って、四つん這いに身を起こした。
 気付けば口先にペニスがあった。雪香から動く気はないみたいでじっと待っている。
 青臭い臭気が鼻に届く。心臓が警鐘の様に鳴る。露出した亀頭は真っ赤なえらを大きく
張り出している。頭のどこかでやめろという声がする。ペニスの先からは透明な液体が滴っ
ている。お尻の中に少しずつゼリー状のものが溜まっている。代わりにヴァギナの奥から
時々湧き出る蜜が、陰唇を撫でて床へ落ちてるのがわかる。



 口を開いて臭気を受け入れる。これ以上は引き返せなくなる気がする。
 でも、仕方ないから。
 僕は目を瞑って頭を前へ進めた。
 硬い弾力のある熱いものが舌に触れる。小さく割れた部分を感じると、しょっぱい雫に
味覚を刺激された。びくん、とそれが震える。
「そう、そう。いい子ね、なかば」
 男の時よりも繊細になった髪を撫でられて、首筋がぴりぴり痺れた。なんだか妙に心が
湧き立つのは、狙い通りに雪香を油断させられたからなんだろうか・・・・・。
 僕は思い切ってペニスを銜えた。
 口の中一杯に太くて青臭いものを迎え入れる。舌で幹をなぞると浮き出た血管のゴツゴ
ツした凹凸を感じられた。
「巧く出来たらオマンコもイかせてあげる。イきたいんでしょう?」
 雪香の言葉に僕は目を開けた。四つん這いの姿勢から口の中のものを出さないように目
だけで見上げてみると、愛しいものを見る様な目で僕を撫でていた。
 ちゅぷ。
 蠢いた襞が愛液を掻き混ぜた音が僕の股間から小さく伝わった。
 雪香の顔を見て反応を確かめながら舌を動かす。ヴァギナが火照ったままじゃ冷静にな
れないし、落ち着いて逃げる方法を考える為には、今は雪香に一生懸命奉仕しないと、仕
方ないから。
「ん、んふ、んぅ」
 喉の近くまで使ってペニスの3分の2くらいを口に入れた状態で、つるつるした亀頭か
らえらを舐め回す。生臭さを感じながら幹にも唾液を塗っていく。そうしていると雪香は
僕の口の中をより大きく広げて膨らむ。顎が痛い。口の端からも唾液が零れてしまう。



 ちくっとした感触が閃いた。
「んっ、ん!」
 お腹の方、お尻の中からだ。入り口だけじゃなくて直腸全体がなんだかむずむずする。
 お尻を振って中のホースで刺激してみようとするけど足しにならない。それでも少しは
と思って尻尾みたいにホースを振ってみる。
(何これぇ、お尻が変・・・・・あそこと同じみたいに、変な感じがする)
「あ、効いてきた? 今なかばのお尻に入れてるのはね、媚薬の効果があるの。早く止め
ないと、お尻もオマンコになっちゃうかもね」
 楽しそうに雪香が笑う。
 気が付いてみればお腹もまた張ってきていた。どれくらい入っているのかはわからない
けど、むずむずする感触はかなり奥まで来ていた。
(媚、薬?)
 ヴァギナに残る熱とお尻の中の痒みが下半身を包み込む。お尻が震えてあそこをどうし
ようもなく何かに擦り付けたくなる。触っても無いのにクリトリスが急にじんじん疼き始
めた。
「私をイかせたら、なかばもイかせてあげる」
「うんんぅ、んんん、あむぅぅ」
 早く、早く巧くしないと。巧くペニスを舐めてイかせて貰わないと、おかしくなる!
(最初にされた時みたいにすれば)
 僕はフェラチオされた時の事を思い出して、同じ様に頭を動かした。
 ちゅばっ、と音を立てて鈴口を吸い出しながら唇を引く。
 じゅぷっ、と唾液と先走り液が混ざった粘液を泡立てながら唇に飲み込む。
 そうしながらも舌で飴を味わう様にペニスをぬらぬらと舐め回す。



「ちゅぷ、ちゅぷ、んっ、ちゅぷ・・・・・」
 雪香のペニスが僕の口の中でわななき始めた。放出が近いみたいだ。
 淫靡な水音を立てて奉仕しながら僕は、はっとした。
(飲まされる!?)
 僕の時に雪香がした様に。
「さすが元男の子、いい所がどこかわかってるね。さあ、なかば、全部飲まないとお尻の
も抜いてあげないよ」
 頭を両手で捕まえられて逃げられなくされた。
 どっちにしろお腹はもうぱんぱんに張って苦しくなってきてる。お尻の中だって割れ目
の奥だって疼いて疼いて、弄って貰いたくてしょうがない。躊躇してる暇なんてなかった。
「んうっ、んんふ、んぅ、んんふっ」
 僕は喉まで使って激しい注挿を繰り返す。自分の口が女性器になった錯覚を覚えた。
 ふっと冷静な感情が湧いて、今の自分を冷たく見据える。
 美女の股間からそそり立つ男性器を四つん這いになって銜えて、幼さの残る顔に似合わ
ない淫らな奉仕をする、お尻からホースを生やした裸の美少女。
(でも、仕方ないんだ)
 ペニスが跳ねた。
「飲んでっ! 飲みなさいよ、なかば!」
「んふうぅぅぅうっ!」
 裸の僕はワンピースの美女に股間に押し付けられて、口に精液を思いっきりぶちまけら
れた。
 びゅくびゅくびゅく!
 音が聞こえそうなくらい強く、喉に粘液を叩きつけられる。



 ペニスに占められた口内の僅かな隙間を粘液が満たしていく。唇の隙間からどろどろ零
れ出てしまう。
「零したら駄目よ! 全部飲まないと6リットル全部お腹に入れてあげるから」
 脅迫にお腹の張りが一層強くなった気がした。
 僕は慌てて口の中に溜まった精液を喉を鳴らして飲み込む。
「ん、く、んく、んく」
 栗の花の強烈な臭いが鼻に抜けていく。ねばねばしたものが喉に絡みながら食堂を滑り
落ちていくのがわかる。苦くて塩辛いそれを吐き気も感じずにスムーズに飲み込めている
自分が不思議だったけど、それ以上考える間もなく、次から次へと腐液が銜えた幹を脈動
させて飛び出てくる。
 僕は何度も喉を動かした。なのに、止まらない。
「んくん、くん・・・・・ん、んくぅ」
「ほらほら、どんどん飲まないと、んっ! まだまだ出るよ」
 苦しい。お尻がチリチリして一杯で、下からもどんどん入れられてるのに、もう喉を動
かすのも嫌なのに、どっちも止まってくれない。
 腸には粘着性の媚薬を、胃には青臭い精液を詰め込まれて、息をするのも辛くなった僕
はついにペニスを口から放してしまった。
「ぷあ、あっ!」
 びちゃびちゃ、と白濁液が頭から振ってきた。外に出たペニスが噴火みたいに射精しな
がら跳ね続けている。
 僕は呆然としてその光景を眺めた。物凄い勢い。口の中で受け止められていたのが信じ
られないくらいだった。
 頭に、顔に、唇に、背中に、お尻に、精液を浴びて、ようやく長い放出は終わってくれ
た。
 お尻の奥のむず痒さに腰を振りながら、雪香の表情を確かめる。言われた通りに全部飲
めなかったから、怒ってホースを外してくれないかもしれない。怖くて、表情の消えた雪
香の顔から逆に目を逸らせなくなる。



 固まっていると、横座りした雪香に正面から抱き寄せられた。
「いいの、一生懸命だったからね。いい子だったよ、なかば」
 片手を頭の後ろに回されて、胸に抱かれて髪を撫でられる。
 怒られると覚悟していたのに。戸惑っているとタイルの上を探った気配がして、ホース
のキャップがお尻で動いた。
 シューっと音がして入り口のバルーンの圧迫感がなくなっていく。
「ふ、あああぁぁぁ・・・・・」
 勢い良くキャップが抜けて、僕は躊躇う事なく解放した。
「苦しかった? でもずっと我慢したあとだと、気持ちいいでしょう?」
「んっ」
 顎を持ち上げられて、唇を塞がれる。挿入された雪香の舌を、舌で迎える。
 水と違ってゆっくりとしか出せない粘液の流れが、疼く直腸を撫でていくのが気持ちい
い。
(でも、このまま気持ち良くなってもいいのかな。雪香に気持ち良くなんてされてて・・・・・
いいのかな)
 そんな疑問も浮かんでくるけど。
 気持ちが中途半端なままじゃいい逃げ方も考えられないから。ヴァギナの、お尻の、心
の疼きを止める為には今はあいつにされるままになるしか、そういう振りをするしか仕方
がないから。
 僕は雪香の上に座って少しずつお腹を解放しながら、舌に舌を絡めて唾液を交換する。
「ん、ちゅっ、んんぅ、ちゅく」
 優しく口内を愛撫されながら髪を撫でられると、胸の奥が苦しくなって、自分より大き
な体に強く包まれたくなってしまう。それをわかって強く抱き締めて貰えるのがたまらな
く嬉しい自分を、信じたくはないけど、僕は確かに見つけていた。
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