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「ん……」

何度目かの深い口付けを交わし、大きな手の温もりを頬に感じながら
サムスはとろんとした目で相手の男、ファルコンを見つめた。

いつも試合中はメットやパワードスーツを外さず、互いの瞳を直に見る事もない二人。
実際、以前の二人はお互いに干渉しあおうとはしなかった。
素顔を隠している者には それなりの事情がある。そう 自らがわかっている分
他人への必要以上の干渉はしないのが この二人の共通のスタンスだった。

…いや。本当のところは、お互いに怖れていたのだ。深く他人に干渉する事を。
二人の職業は賞金稼ぎ。
多くの死線を潜り抜け、多くの栄誉を得、また多くの失意を味わっていた。
もう 誰かを愛し、失う悲しみを深くしたくはなかった。
そういう想いを お互い心のどこかに抱きつづけていた二人だった。


前回、二人がマスターハンドに「招待」された この無差別格闘戦を目的とする世界は、
時間の流れという概念の無い世界であった。マスターハンドに指示されたままに
戦いに明け暮れる日々が続き、二人を含む戦士達は 次々にこの世界に疑問を抱き始めた。
そして、自分たちの「現実」を取り戻す為 マスターハンドを倒し、
終点を越えて行ったのである。

二人は 同時にマスターハンドのところへたどりついた。
考え方も 賞金稼ぎとしての判断や行動も似たようなところのある二人であるから
当然といえば当然だが、前々から 戦いの合間に見せる お互いの何気ない心遣いや優しさに
惹かれあっていた二人は この最後の時を、協力してマスターハンドと対峙したのだが、
それが 二人の別れとなる事に後ろ髪をひかれる想いを抱いていたのだった。
マスターハンドを倒し、最後の瞬間… 現実世界への回帰を促す眩い光に二人が包まれた時、
ファルコンは その世界にきて初めて彼女の前でバイザーつきのメットを外した。
左眉の上に過去を思わせる古傷があるのを見て取れたが、それよりも…サムスを見つめる瞳に
暖かい微笑みがたたえられていた事が サムスの心を動かしたのだった。
本当に 最後の最後の瞬間、刹那の出来事だった…。鳥人族の技術を集結したといわれる
サムスのパワードスーツは、サムスの意思一つで 彼女のDNAへと還っていく。
彼女を覆うものが取り払われ、長い 黄金色の髪がファルコン目の前を流れた。
わずかに…だが 確かに彼女は その最後の、別れの瞬間… 彼に微笑んだのだ…。


「一目惚れだった… あの瞬間にな」
今、彼の目の前に 再び微笑を浮かべていたサムスの頬が 紅く染まる。
ファルコンよりも 更にサムスは無口な方で、それは 戦士としてではなく
一人の女性として自分に接してくれているファルコンへどう反応していいか
戸惑っている部分が大きいからだった。
サムスは外見こそ 成熟した大人の体を持った魅惑的な女性だったが、
仕事柄 そのパワードスーツの中の真の姿をほとんど他人にみせた事はなく、
見せる相手といえば あくまで自分を戦士として接してくれる仕事仲間。
誰かに愛を囁かれるような生半可な暇の与えられる仕事など 今まで扱ってはいなかったのだ。

「会いたかった。自分の世界に帰っても、お前と
 どこかで会えるのではないかと、心の中でいつも 思っていた…」
サムスの 生糸のように繊細な髪を指ですくい上げながら、彼女を抱きしめる。
サムスは無言のままであったが、返事の変わりにか 戸惑いながらもファルコンの背中に腕を回した。
彼女もまた、ファルコンの腕の中にいる心地よさに 半分陶酔しているような状態だった。
異性に感じる愛というものに実感をもってよいものかどうか、サムス自身ためらいがある。
しかし彼女の心も体も ファルコンを求めているという事に気づくのは 時間の問題であった。

「不謹慎な話だが…マスターハンドに感謝したいくらいだ。
 お前に会う事ができたんだから…また 再び…」

「……私も… …お前にまた会えて…嬉しい…」
言葉をとぎらせつつも、サムスは はっきりと声に出して言った。
いつも スーツ越しにきくのは、男性を装ったような押し殺した声なのだが
今のサムスは 純粋な心のうちも、素顔もさらけ出した無防備な女性だ。

その事を自覚した途端 ファルコンの理性が瞬時に飛ぶ。
たった二人きりの ファルコンの部屋。せまいソファの上…
ベッドに誘う事という考えも飛ばして、次の瞬間には
ソファの上に横たわるサムスの上にファルコンがのしかかる形になっていた。


「ファル…コン…っ?!」
流石に急な事で、サムスが驚きの声をあげる。
一度火のついたファルコンには届かないくらいの小さな声であったが…。
夢中になってサムスの首筋に所有物である印をつけてゆくファルコンの行為は
普段冷静沈着なはずのサムスの心を激しく揺らした。
「な なにをする気なんだ…!?」
今度は先ほどより大きな声でファルコンに抗議する。
ほとんど表情を見せたことの無いサムスが 顔を紅く染めて戸惑いの色を浮かべている。
…それが余計にファルコンの欲情に火をつけることになるのだが、当のサムスは
それどころではない。問いには答えず 愛撫を続けるファルコンに翻弄されつつ
自らで必至にその答えを出そうと 昔の記憶を引っ張り出す。
オールドバードに 種の保存についての知識を教わった事がある…。
種の男女、雌雄が性的な交わりを持つ…それこそが 愛の確認という説もあるくらいだと…

今度はサムスの思考がはじけとぶ。
いつの間にかはだけさせられた胸の突起を ファルコンの歯が弄んだのだ。
「は… あぁっ…!?」
自分の口から洩れた甘い声に サムス自身驚き、目を見開く。
誰にも触れられた事の無いサムスの体は 彼女自身が自覚しているほど清楚なものではなく
むしろ 誰かに触れられる事を待ちわびていたかのように たわわに熟していた。
鳥人族のDNAをとりこんだ自分は 他の人間とは少々作りが違う、という自覚の元
彼女は戦士として煩悩というものを 心の奥底に封じていたのだが、それが ジリジリと
ファルコンの手によって引きずり出されてゆく…。明らかにサムスはその快感に
酔いしれていた。人を愛するとは こんなにも相手を求めたくなるものかと…


サムスの反応が気に入ったのか、ファルコンは胸の突起を執拗に刺激し
荒くなってゆくサムスの吐息に耳を澄ます。よほど気持ちよいのか抗議の言葉はなく、
ただ 短く途切れ途切れの叫びが 切ない旋律となってファルコンを誘っている。
「気持ち良いか?」
余裕を取り戻したファルコンは絹のような肌から唇を離し、サムスに
イタズラげな視線を送る。
自分がされている事がどういう事なのか理解しているのかいないのか
サムスは恍惚とした表情を浮かべていたが、ファルコンと視線が合うと
我に返ったように更に赤面する。
「わ 私は…こんなつもりでは…」
もがき、ファルコンの腕の中から逃れようと体をよじる。
パワードスーツを装着している時のサムスは ファルコンと大差ない体積を持つが
生身の彼女は豊かな胸の他はどちらかというと か細く、どうして戦いであのような力が
出せるのかというくらい華奢に見える。
その、ファルコンが強く握れば折れそうな腕、を押さえつける。
「相手が私では不満か…?」
問い掛けるファルコンの瞳は真剣そのものだ。
何もかも見透かしたようなファルコンの視線にサムスは口篭もる。
それを この行為を“受け入れた”と判断したファルコンはそのまま再び胸元に口付ける。
仮に、拒否されていたとしても 今のファルコンは止まったかどうか定かではない…。

ファルコンは、胸の周りにも そして腕や腰も、
全て サムスを余すことなく舌や指先で味わってゆく。
筋肉質で太い指先が サムスの感じる部分、を探ってゆく。
出来る限り声を殺すように…表情にも出さないようにと 瞳を硬く閉じ、口もキュと
引き締めて耐えているサムスだが、戦闘で受ける痛みの刺激と違い、
この 細かく、敏感な刺激は なにぶん慣れていないぶん 耐久性が無い。
時折 細かく震える肢体や、眉間にこめられる力を察知し、ファルコンはサムスを追い詰めていく。


「んー…んっ!!んぅ…」
どんどん体を下にずらしていったファルコンが とうとうサムスの下腹部に手をかける。
ズボンの上から触れるだけでも サムスは十分な反応をしめしてくる。
有無を言わさず ファルコンはサムスを覆う最後の一片を剥ぎ取った。
「ま…まって…」
真っ赤な顔をそむけ、珍しく頼りない声をだすサムスに ファルコンが意地悪く微笑む。
「…っ… …恥ずかしい…」
ファルコンの顔もまともにみられないらしく 眉をひそめ、地面を見つめたまま呟く。
「いつもは平気で大股開いて座るくせに…?」
言いつつ、ファルコンはサムスの足をゆっくりと開かせる。
「そ… それはパワードスーツを着ている時で…あ…っっ!!!」

抗議の言葉も、最後のほうは声にならなかった。
ファルコンの舌がサムスの内部へと 浅く進入した為だ…。
「いやぁ… あぁ…んぅっ!!」
体をそらし、逃れようにも両足ともファルコンのがっしりとした手に押さえつけられ、阻まれる。
下手に動いても加わる刺激が自分に返ってくるだけなのだが、乱れているサムスはそれすら判断できない。
ファルコンの舌遣いに翻弄され 淫らな声をあげることしかままならなくなる。
「あ…はぁ……う ダメ…」
搾り出した言葉は 一応ファルコンの耳に届いたらしく、内を探っていた舌が引き抜かれる。

「……怖いか?」
目と目が合った。
どちらかと言えばいかついガタイをしたファルコン。
しかしサムスを見つめる視線は いつも優しい眼差しだった。
「初めてなんだろう…お前…」
ふ…と また悪戯げな笑みを浮かべ優しく、まだ息の荒いサムスの足を撫でる。
「………………」
どういう顔をしていいかわからず、恥ずかしそうに無言のまま 素直に頷くサムス。
それを見て また、ファルコンは笑う。

「可愛い奴だよ、お前は…」言って、覆い被さる。


「安心しろ、ならしておいたから…。よくしてやる」
すでにサムスに誘われたようにそそり立っているファルコン自身をあらわし、
わずかに震えるサムスの中へと ゆっくり入れていった。

「あ… はっ…!あぁっ!!」
ファルコンは ならした、と言うものの ファルコン自身の大きさが並ではなく
初めてのサムスにとっては、最初の進入は 少々苦しさを伴った。
「…少しきついか…」
それを見計らいながら ファルコンも少しずつ抜き差しを繰り返しつつ奥へと突き進む。
何とかサムスのそれがファルコンのものを全て飲み込んだあたりで
ファルコンは サムスの体を軽々と持ち上げる。

「あ…んっ…はぁっ あ…あ…」
ファルコンがソファに腰掛ける形で足を開かれたサムスがファルコンのものを飲み込んだまま
上になった。重力にしたがって 二人の密着度は更に深まる。
その勢いのままファルコンが腰を突き上げた。

「あぁっ い…あぅ…はぁん…!!」
押し殺し気味だったサムスの陰声が 高らかにあがり始める。
ファルコンが激しい律動を与えるたびに 金色の髪が並を描く。また揺れる胸が艶かしい…。

「ファ…ル…コン…もう……あ…あっ!」
「いいぞ…私も一緒にいこう、サムス…」
「んっ は…はぁ…あ… あぁぁっ…!!」

二人の絶頂は共におとずれ、同時に 心地良い脱力とお互いの温もりを感じつつ
暫し放心した時を過ごした。


…数分後。ファルコンがそっとサムスに毛布をかける。
表情はというと 少しばつが悪そうに、サムスを心配げに見下ろす形になっている。
「…その、すまなかったな…少々強引で…」
移動したベッドに横たわるサムスに 改めて我に返ったファルコンが謝罪する。
ベッドは一人用なのでファルコンは横たわるわけにもいかず、
サムスの邪魔にならないようにベッドのすみに腰掛ける。

「……悪かった、と思っているのか?」
答えたサムスはというと いつもの戦士である時のように無表情を決め込んでいる。
怒っているのか…?と ファルコンに不安がよぎる。

「…なんでも、埋め合わせはする。と言っても 許しては…」
「私は拒まなかったぞ?」
ファルコンの言葉をさえぎって、サムスは言い放った。

?マークがファルコンの顔にいくつも浮かぶ。
「お前も鈍い奴だな… …私も満足したという事だ…」
語尾の方は照れて赤面しながら 小声になっていったものの、
確かに彼女は きっぱりとファルコンを肯定した。
サムスがその気になればパワードスーツを装着して力ずくで逃げるという芸当も
やってのけられたのだ。それを、しなかったという事…
それだけでも十分肯定の証であったというのにファルコンは気づかなかったのだ。

…数秒おいて ファルコンに照れくさそうな笑みが戻る。
「…そうか…サンキュ」
いい大人がどういう会話だ…と思われなくも無い会話だが、
当の本人たちは 互いに満たされた感情を共有していた。それは確かな事…

「…なぁ、くだらない事で悪いが 頼みがあるんだが…」
ファルコンが少し真剣な顔で切り出すので サムスも何事かと少し気構えながら
「なんだ?」 と答える。


「…私のフルネームは ダグラス=ジェイ=ファルコン。
 長く名乗った事はなかったが…二人でいるときは
 ファーストネームを呼んでくれないか…?」

…真剣な顔にしては えらく拍子抜けした話に、思わずサムスに笑みがこぼれた。
それにつられて、ファルコンも笑う。
ベッドから体を起こしたサムスは 改めてファルコンを見つめた…。

「ダグラス…ありがとう…本当に素敵だった…」
そう ポツリと呟き、ファルコンの手を口元に引き寄せ 静かに口づけた。


…そのあと ファルコンの理性がもったかどうかは 二人しか知らない話…。
2007年05月08日(火) 16:20:21 Modified by smer




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