メニュー
Wiki内検索
最近更新したページ
タグ

d-54

期待に副えなくて申し訳ないがエロじゃないんだ、ほのぼのなんだ
アイにょルスで腕相撲ネタです
なんかミスっててもスルーしてくれ



「ねぇアイク」
自分を呼ぶ声にふと顔をあげると、そこにはやけに楽しげなマルスが立っていた。
なんだ?と首をかしげると「腕相撲しよう!」などと言い出したではないか。
「なんでいきなり腕相撲なんか」少し呆れたように言うと、彼女は「暇だから」と答えた。
そんな彼女がマイペースというか、
人とは少し違った感性を持っているのは認識していたつもりだった、
でもこんなにも突拍子の無いことを言うやつだとは思っていなかったのだ。
しかもその場にいた皆が時間を持て余していたところでそんなことを言うものだから
アイクが頷くより先にスネークやらピットやら
最終的にはその場にいた皆で腕相撲大会をすることになってしまっていた。
なんでこうなるんだ、とやる気満々で目の前に座る彼女に言うと
「皆暇だから」とにこやかに答えるマルスに、アイクは小さく笑って、
彼女のやる気を無駄にしないよう、腕を差し出した。

ぎゅ、と握る彼女の手は剣を扱う手にしてはとても小さい。
指なんか、俺のと並ぶと小指ほどの細さしかないように見えた。
女だからという理由もあるかもしれないが、もしかしたらマルスはその中でも小柄な方だと思う。
お互いに準備万端、というときにアイクは少しした遊びを思いついた。
「せっかくだ、なにか賭けてみるか」
「…そうだね、面白そう。何がいいかな…」
乱闘ではない試合に、何か賭けることにしてみた。
どうせお遊び、楽しくやろうじゃないか。ということで二人は賭けをすることになった。
「…今日一日勝ったほうの言うことを聞く、ってのはどうだ?」
「いいね、それにしよう。負けないからね!」
「俺だって」
これで彼女に負けては男が廃る。
何より腕力でマルスに負ける気はしなかった。マルスには悪いが、ここは勝たせてもらう!
人知れず張り切って腕を構え直した。

「えーっと…サムスさん!始めの合図してくれませんか?」
「ええ、いいわよ」
丁度通りかかったサムスに審判を頼み、二人は真剣に向かい合う。
彼女の手が二人の手に乗せられる。
「レディ、」の数秒後に「ファイト!」の声がかかる。
それと同時に腕に少しだけ力をこめる。
最初から全力でいってもいいのだが、それではマルスがつまらないだろうと思ってのことだった。
「・・・本気でやってるのか?」
「もちろんだよ」
にこにこと答えるマルス。
そう答えたのはいいが、アイクにはマルスの腕に力がこめられているとは思えなかった。
お互いこのままでは勝負がつかない、とアイクはゆっくりとマルスの腕を倒していく。

マルス側の床まであと少し、というところで不意に「アイク」と呼ばれ顔をあげる。
顔を上げたアイクの目の前にあったのはマルスのきれいな顔。
テーブルから身を乗り出すようにしている彼女はアイクと目が合うとにこりと笑い
ちゅ、とその唇をアイクの頬に寄せた。
「っ!?」
柔らかな感触がマルスの唇だと気づくのに、そう時間はかからなかった。
マルスからのキスに驚いたアイクの体から、力が一瞬抜ける。
今までマルスの腕を押していた腕もふ、と軽くなる。
マルスはそれを狙っていたのだ。
「いただきっ」
「・・・あ」
くい、とアイクの腕を逆の方に押し付けた。
気を抜いていたアイクは少しの力にさえ咄嗟に抵抗できないまま
いとも簡単に勝負はついてしまった。
「僕の勝ち、だね?」
「・・・・卑怯だぞ」
未だ微笑んだままでいるマルスに不服を漏らす。
こっちはてっきりガチンコ勝負だと思っていたのに、と言うと審判をしていたサムスが口を挟んだ。
「作戦勝ちってやつね、認めなさいアイク」
「そうだよ、認めてよアイク・・・約束も、ね?」
マルスとサムスの二人に言われ、アイクはろくな反論ができないまま黙って頷くしかなかった。
「やった!今日は何でも言うこと聞いてくれるんだよね〜?何がいいかな・・・」
ワクワク、とマルスは目を輝かせていろいろと考え出した。
一方で頭を抱えたくなってきたアイクだが
それでも彼女が楽しそうだから別にいいかな、と諦めようと思った。
2008年05月19日(月) 12:23:18 Modified by smer




スマートフォン版で見る