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いつも思うの。私もこんな風になりたいなぁって…。
現在、ナナの居る場所は…女湯。

一緒に来たゼルダとピーチは先に広い湯槽につかっている。

適度に出た鎖骨。大きく膨らんだ張りのある乳房。引き締まったウエスト。すらりと伸びた長い脚。
二人に共通したスタイルは、いつ見てもうらやましい限りだった。

ナナは自分の発展途上の身体とを見比べ、大きくため息をついた。


―ため息はくと、幸せが逃げちゃうんだって。

大好きなパートナー、ポポの言っていた事を急に思い出した。
さっきはいた息を吸い戻すように、深く息をする。
だが、ここは風呂場。
湯気のせいで、コホコホとむせてしまった。
「ナナ?」
海のように深く、透き通った色の青い瞳が心配そうにみつめている。
ゼルダだった。
「お風呂に来たときから様子がおかしいと思ってたの…。具合悪いの?」

違う、そうじゃない。
けど、言いたくても言えない。
私の気持ちなんかわかるはずないんだから。

「…ゼルダに私の気持ちなんかわかんないよ!」

言いたくて言ったわけじゃない。
だけど吐き捨てるように言ってしまった言葉は、確実にゼルダを傷つけてしまっただろう。

いつのまにか頬をつたっていた涙。
ナナは風呂場から走り去っていった…。


「今の声、ナナ?あんなに風に言うの初めてみた…」

一人、外の露天風呂に入っていたサムスは状況がよくわからない。
ただわかるのは…さっきまでいたはずのナナが居ない事だった。

嫌な予感がする…!
足早に風呂場を出ると、一目散にナナの部屋に向かった。
――――――――――――ナナは泣いていた。
心配してくれたゼルダに対して、あんな事を言ってしまった、自分への怒りに。「私、最低…。」

「ナナ?入るわよ」
突然の訪問者に動揺を隠せなかった。
鼻孔をくすぐる、派手だけど優しい、甘い香。
その香の持ち主は今、自分の目の前にいる。
「来ちゃ…まずかった?」

…どのくらい時間が経ったのだろうか?
サムスはそれ以上何も聞いてこなかった。
ただ、まっすぐナナをみつめているだけ。

なんとなく、恥ずかしい気がした。いつものスーツ姿とは違うサムス。
全てを見抜いているような視線は今、目の前にある。
ナナは意を決する事にした。

「サムス…。あの…ね?聞きたいことが…あるの…。」


「ん?なに?」
サムスの性格が表されている、さっぱりとした返事。

(あっさり言われると、逆に言いづらいんだけど…)

内心そう思っていたが、自分を心配してきてくれたサムスにそんな事を言えるはずもない。

一呼吸おいて声を発する。
「引いたり…しないよね?」
「さぁね。質問にもよるけど?」
―絶対からかってる…。
言うべきか言わないべきか…。
ぶつぶつと考えるナナ。

…また沈黙の時間…。
「ごめんなさい、ナナ。」
―え…!?
「タイムオーバー。
これから用事があるの。
帰ってきてからゆっくり聞くわ。それじゃだめ?」
「え?あ、うん…!」



「結局言えなかった〜!!」そう叫ぶとナナはベッドに飛び込んだ。

「なんで、私って素直じゃないんだろ…」
新たな後悔の気持ちで、また枕を濡らした…。
2007年05月08日(火) 17:11:59 Modified by smer




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