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ワリオ様の憂鬱

「キメ台詞が決まら〜んッ!」
ワリオは鼻くそをほじりながら悩んでいた。
「メンバーの多くが次々とキメ台詞やらキメポーズやらを考えてそれを世間に公開している。だからみんな次々と人気になっていく!」
「そ、そうか…」
相談を受けていたのはアイクだった。
アイクは後悔していた。
10分前、男子トイレに入ってみたら便器にむかって「どうすればいいんだ…」とぶつぶつ話していたワリオが気になって、うっかり気の迷いで「どうしたんだ?」なんて声をかけてしまったことに…。
おかげで、ワリオの相談役にされてしまったのだ。
「…それでだな、オレ様も女子高生のモテたいから台詞を決めたいのだ。」
アイクは合コンのお誘いを受けていたので、とっとと帰りたくて適当な返事を返す。
「キメ台詞をもっていたらモテるわけじゃないだろ。」
「いや、モテるやつが必ずキメ台詞を持っていることは、ワリオ式統計学的にも証明されているのだ。」
「そうか…」
なんだその秩序無き統計学はという台詞をどうにか喉のところで止めて、話を聞き続けるアイク。
「いいか、マリオなら『YAHOOOOOO』だろ。リンクなら『エアァァァァァァァァ』だろ。」
「それはキメ台詞というのか?」
「キメ台詞だろうが。連中は何かって言うとそうやってアピールしてやがる。それから、ファルコの『俺の獲物に手を出すな』だろ。スネークの『性欲を持て余す』だろ。ピカチュウの『ピ、ピカ?』だろ。それからでっていうの『でっていう』だろ!」
「なんか突っ込みどころ満載な統計学だな…」
ワリオは急にアイクの胸倉をつかんだ。
「お前! かく言うお前だって『天空!』とか持ってやがるじゃないか!」
「か、顔が近い、顔が近い…」
「え? それでモテてやがる。保管庫にだって20作以上お前の作品があるじゃないか!」
「き…キスはだめ…」
「え!? どうなんだ、オレサマはワッハッハとかだけしかないだろ! それだけのオレサマを使って勝ったプレイヤー達の気持ちを考えろ! 気分悪いだろ!! どうだ、口臭攻撃を食らっても否定できるか?」
「ひぃぃやめろ!!」
「ハァーッ。…どうだ? なにしろ生ニンニクとレバニラと納豆とクサヤと中国産ギョウザ食ってから歯を磨いてないからな。」
「よせ! 不潔がうつる!! っていうかワザと歯を磨いてないだろ!!」
ワリオはアイクを放した。アイクは目を白黒させて新鮮な空気を吸う。



ワリオは腕を組んで、アイクに言った。
「オレサマにキメ台詞がないからかっこ悪い。そこで、オレサマは考えた。最強のキメ台詞をな。」
「なんだそれは?」
最初からそこにこじつけろという台詞をどうにか喉のところで止めて、話を聞き続けるアイク。
ワリオは高らかに続ける。
「いいか、メンバーたちはみんなモテるようなキメ台詞を持っている! つまりだな! モテるような台詞を組み合わせればいいんだ! たとえば、モテる台詞を2つ組み合わせれば、2倍モテるってな。」
なるほど。さすがワリオ式統計学。メチャメチャだ。
という台詞をどうにか頬のところで止めて、話を聞き続けるアイク。
「で、どんな台詞なんだ?」
ワリオはニヤニヤしながら言った。
「よく聞け、いいか、本邦初公開だからな。パクるなよ。聞き逃すなよ。録音とかメモとかしておけよ。」


「俺の獲物のヤラレチャッタを持て余すには遅すぎだぜに決めたッチュ! YAHOOOOOO!」


「………………。………………。……………………………………。」
「どうだ? ファルコとピットとスネークとソニックとポケモントレーナーとピカチュウとマリオのキメ台詞を融合してみたのだ。7倍モテるぞ!」
「あぁ、いいよ。」
どうでも。
「ワッハッハッハ! 決めた! オレサマは明日から、この台詞でいくぜ!」
ワリオは意気揚々と駆けて行ってしまった。
「…………。」
アイクは呆然としていたが、再び、合コンの約束の会場へ歩き始めた。

次の日の試合。
「俺の獲物のヤラレチャッタを持て余すには遅すぎだぜに決めたッチュ! YAHOOOOOO!」
ワリオは戦いの舞台に登場早々、本当にその言葉を使った。技を使うたびに、
「俺の獲物のヤラレチャッタを持て余すには遅すぎだぜに決めたッチュ! YAHOOOOOO!」
などと叫んでいる。
「馬鹿だろあいつ…」
観客がみなそう思った。その席にいたアイクも、またそう思っていた。
だが不思議なことに、その日はワリオが圧勝だった。たぶん意味不明な奇声にみんなペースを崩されたのだろう。
ワリオは久々の大勝利に大歓喜しながら、優勝インタビューで
「俺の獲物のヤラレチャッタを持て余すには遅すぎだぜに決めたッチュ! YAHOOOOOO!」
と連呼していた。そして、会場中が耳を傾けていたインタビューでこうも言った。
「いやぁありがとう! このキメ台詞のおかげで勝てたぜ! 一緒に考えてくれたアイク、感謝するぞ〜!!」

会場がシーンとなった。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」


Fin
2008年03月30日(日) 11:01:16 Modified by smer




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