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目の前で小さな命が消えた。
一人目の子より明らかに大きなその嬰児は、肌の色がもはや人間のそれではなかった。
顔だけは端正で少し頼りなく、自分の血の存在を厭が応でも感じさせた。
喉笛を握りつぶすと、赤子は声もなく短すぎる生涯を閉じた。
「あのひとに…なんていおう…」
あんなに楽しみにしてたのに。
そう呟いて、マルスはそっと自分が殺した我が子の元を離れた。
涙なんか、流す資格はない。そう思ってそっと目を閉じたのに、一粒の滴が、頬を伝ってぬ胸に落ちた。
2008年03月03日(月) 16:57:36 Modified by smer




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