誰もが「オモシロいドラマ」を第1回から観たい。後で「見逃したのを後悔したくない」。だが、新作ドラマの情報を調べても、絶賛ばかり。本当のことは、分からない。ならば、どうする?その答えを出すのが、このWikiです。

●ドラマの評価項目:

1.主人公の主体的意志の強さ/明確な哲学・行動指針。
2.max.〈ドラマ〉
3.mini.〈設定〉〈説明〉
4.過去の傑作の〈伝承〉−−−mimesis.
5.〈全体と部分の有機的構成〉−−−捨てエピソード・捨てキャラがないこと。

△亜ドラマ:壁・檻・枷(ドラマは、人間関係によって発生する。葛藤は、亜ドラマである)

×非ドラマ成分:設定、説明、謎/謎解き、伏線/伏線の回収、出来事、回想シーン(説明)。アクション。スペクタクル。名勝地ロケ。豪華セット。

※「刑事コロンボ」の頭叙法は、謎解きはドラマではないから考案された。
※土曜ワイド劇場は、事件の真相解明・伏線の回収が感動を呼ばないから、東尋坊ロケを必要とする。

●表層・中層深層のドラマ(多層構造)。

テーマは、中層深層でないと、プロバガンダに堕する。
※「クレヨンしんちゃん」。表層(しんちゃんが起こす大騒動)、中層(家族/友達の愛情)、深層の訴求内容(自分を隠さずに、自由に生きろ。)

●ドラマ:

対決、対立、摩擦、葛藤、恋情。

●〈内因的物語展開〉

次のシーンにつなぐのは、主人公の意志・情熱。

●〈外因的設定追加〉

次のシーンにつなぐきは、出来事の連鎖。

●シナリオは〈心のケミストリー〉。ストーリーは〈出来事の集合体〉

★「これはストーリーです。シナリオではありません」溝口健二。
★「映画はドラマだ。アクシデントではない」小津安二郎。
★「演劇は対立。稽古場で、対立を最大にするのが演出」つかこうへい。・・・宇野重吉の演劇(左翼演劇)の否定。
★「構成に捉われないシナリオ作法」木下恵介・松山善三。伴一彦。
★「設定ばっかり作ってんじゃねぇ」首藤剛志。

×履歴書・経歴と時代の対照表づくり(黒沢明・倉本聰)
×シナリオは三部形式(新藤兼人)
×民族・時代を描く(池端俊策)

★「あらすじではなく、人物ベクトル表を作れ」スポンタ中村。・・・山田洋次の「ローマの休日」解釈を批判する。ローマ観光と恋愛ではなく、「王女をやめたい」ヒロインの意志。

★「あらすじの否定、粗あらすじを作れ」スポンタ中村。

★フランス演劇理論:本当らしさ、外的適合性、内的整合性、驚異的なキャラクター、筋・時間・場所の辻褄。

驚異的キャラクターは、英国式庭園を想わせる。英国式庭園では、フランス式庭園と異なり、自然と見まごう設計をした。だが、それでは自然との区別がつかないので、中国式多宝塔や東屋を配置した。ドラマでも、現実と同じでは味気ないので、驚異的キャラクターを登場させる。

※「相棒」は杉下右京。「美味しんぼ」は海原雄山が、驚異的キャラクターである。
※「義母と私のブルース」の義母の哲学は、子育て最優先、ビジネススキル。

★韓国映画アカデミー:情報、感情、見せ場、挑戦。


---- ※「グリーンブック」を精査すると、以下。

・情報。
主人公たちの時代。アメリカ南部では黒人差別が根強く、黒人たちの行動は制限された。そのためのホテル、飲食店を紹介した小冊子が、グリーンブックである。
・感情。
ナイトクラブの元従業員は、黒人差別者だったが、主人公の音楽に触れリスペクト。差別者を返上する。主人公の音楽家は、黒人差別を耐え、人間としての尊厳を貫く。

・見せ場。
つねに人間としての尊厳を保つ主人公。ナイトクラブの元従業員の主人公への尊敬と友情。だが、白人的な生活は、非黒人的であり、同性愛者は社会的な異分子。彼の懊悩が表出する。元ナイトクラブ従業員の妻は、夫からの手紙を指南したのが主人公と悟り、抱擁する。

・挑戦。
黒人差別を扱う映画は、差別された黒人の懊悩や、差別と闘う白人の苦闘がほとんどだった。だが、この作品では、「黒人差別と闘う黒人」それも、キング牧師やマルコム・エックスのような社会運動としてではなく、「日々の音楽活動の中で、社会啓発を行う」のが、新機軸。

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★日本演劇・演芸の伝統:歌舞伎の一幕見物・落語の中断終了(お後がよろしいようで)−−−いつでも中断終了できる戯曲が理想。(縦型構成)

★日本文芸の伝統:もののあわれ(無常)−−−源氏物語は源平戦ではなく、平家の滅亡の物語。−−−昭和は、ペーソスがドラマ要素だった。



●ドラマ1.0:昭和なドラマ。ペーソス。倉本聰。

●ドラマ2,0:角川映画に象徴される大規模予算作品の台頭。

●ドラマ3,0:韓流ドラマに象徴される1時間ノーCMの連続ドラマ(シナリオの集中度が高い)と、謎解きのサスペンスミステリー(設定が多牌)の、2極化。

●ドラマ4,0:人気キャストに頼らない、ドラマ理論に基づいたシナリオの品質で、視聴者を満足させる作品の時代。



●オープニング・トリガー・イベント:作品冒頭の〈設定〉を説明にしないための本筋とは不即不離の小さなドラマ。最近は、これを活用する作品が少ない。
溝口映画「近松物語」では、店主が女中を手籠めしようとするエピソードで、江戸時代の商家の人間関係を表現するとともに、商店主、嫁、番頭の〈設定〉を行った。


●コメディー・リリーフ:シークエンスの間のクッションとして機能する短いコメディー・コント。「踊る大走査線」のスリー・アミーゴース等。

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