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「あなたの体って、実は筋肉質だと思ってたのだけどやっぱりやわらかいのね。」
姫がそういって私の背中を撫でてきて、私はびくんと反応してしまった。背中は弱いのだ。
姫は今、「ベッドの上で」まがりなりにもオスである私を後ろから抱きかかえているのだから、誰かが部屋に入ってきてしまったらいっかんの終わりだ。
そんな緊張感のなか、ほんの少しの安らぎと、……どうしても意識してしまうほんの少しの欲望。
体を抱きかかえるそのか細い腕を、背中に当たっているその柔らかな胸を、そっと首筋に吐息を吹きかけているその唇を、我がものにしたい。
自分だって男なのだからそれくらいの感情はもって当然だ。……ましてやこんな状況などお膳立てされているようなもので、据え膳を食えないだなんて悔しいし恥ずかしすぎる。
こんな風貌だから女性と接する機会もないのだし。
だから、寝たままの状態でくるりと回るのは大変だったが、振り向いてやった。

そんなことを考えていたからなのか?すでに後ろの姫は眠ってしまっていたのだった。
帰ろうとするとまわされた腕がしっかり離すまいとして、まるで人形扱いだ。どうやら今日はここで眠るしかないらしい。
目の前に現れた姫の寝顔を、じっくり観察する羽目になってしまった。
吐息は顔面にかかり、すー、すーと音を立てている。こちらからもおそるおそる手を伸ばして抱いてやると、顔をこちらに伏せてきた。
自分の胸で眠る彼女に今すぐ抱きついてしまいたかったが、
「うぅん……マリオ………」
……そうだ。この人には相思相愛の相手がいるのだった。と思い出す。
恋仲を引き裂けるほど私は酷い性格をしていないつもりだから、今日のお礼はこれだけにしておこう。
髪をかき分け、そっと額にキスをした。


翌朝、私とピーチはマリオが起こしに来て同時に起こされた。当然、彼は尋常じゃないほど驚いた。
「ピーチ姫、おはようございm………っておい!何やってんだデデデ!!」
2008年03月30日(日) 10:22:26 Modified by smer




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