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10-48-3

「成程、これは見事だ」
スマブラ寮の庭中の桜が満開を迎えた。ひらりひらり、花びらの舞散る中、庭には
ブルーシートが敷かれ、コンロが設置され、カラオケセットも設置され…
そう、今日はスマブラ寮お花見大会の日。寮のメンバーは朝からご馳走の準備に取り掛かったり、
会場を設営したり。メタナイトも他のメンバーに混じって炭を起こそうと躍起になっている。
フゥーッ、フゥーッ、
「む…なかなかうまくいかないものだな…」
「なーに、俺様にまかせろ!」
フゥーッ、フゥーッ…ボゥッ!
「うわあちいいいいいいいいいいいいいいい」
ワリオご自慢の髭…もとい鼻毛が焼け焦げる。途端、周囲から笑いが起きる。
何はともあれ、準備は整った。スマブラ寮お花見大会は幕を開けたのだった。

「やっぱりここの桜は最高だなー」
「今年は特に綺麗ね〜!」
お花見という名の通り、桜の美しさを褒め称えるものもいれば、
「おい、それはワシの肉ぞい」
「いや俺のだ」
「我輩の、肉がぁ〜」
肉の取り合いをする者もおり、
「おーい!ビールもってこーい!」
「あの、ガノンさんさすがに飲みすぎでは…」
酒ばかり飲んでいるものもいる。
メタナイトはというと、マルスやポケモントレーナーらと一緒にカービィや子供たちの世話をしつつ、
適度に飲み食いしながら談笑していた。少し離れたところにいるゼルダを時折チラ見しながら。

時刻は午後1時過ぎ、大人たちはいい感じに酒が回り(泥酔者数名)、子供たちもおなかが膨れて
のんびりしているところであるのだが、そこに実行委員長のフォックスが立ち上がり、
「それではこれよりメインイベント・カラオケ大会を行う!順番とペアは先ほど引いてもらった
くじに基づき勝手に決めた!さっそくトップバッターを発表する」
周りがざわつく。そして
「一番!マリオ&ロイ!」
「うわ、マジかよ…」
「マリオさん、いい曲ありますって、まあ見ててください」
ロイが手早く曲を入力する。流れてきたのは…
「ちょっと速すぎるかもよ」「び、B−DASH!」「穴に落っこちるかもよ」「B−DASH!」
「亀に激突かもよ」「B−DASH!」「土管地下室かもよ」「B−DASH!」
何とトンガリキッズの「B−DASH!」だった。
ちなみに「ルイジすねてるかもよ」の所で大爆笑がおきたとか。



一番手が好評のうちに歌い終わり(マリオは「B−DASH!」言ってるだけだったが)
次のペアは何とメタナイトとゼルダ。もちろんこれは単なる偶然です本当に(ry
「まいったな…カラオケなど初めてなのだが」
もちろん戸惑ってるのはいきなりゼルダとデュエットすることになったから、というのもある。
「曲はあなたに任せますよ、メタナイト」
想い人にそう言われ、ますます緊張が高まってしまう。
「む…しかし知ってる曲もあまりないのだが…」
「何でもいいんですよ。私、あなたについていきますから」
「ゼルダ姫…すまない」
その言葉で吹っ切れたのか、メタナイトはある曲を入力した。
♪だんっ、だんっ、だんっ、だんっ、だん、だだだだっだっ
「いつでもぐーすーかーぴー、ほーしーのかーびぃー」
「でも本当はつーよーいーよー ほーんとーかなー」
カービィ大喜び。メタナイトは恥を覚悟で「カービィ★マーチ」を歌うことにしたのだ。
だが以外にもノリノリなのがゼルダ。仕舞にはメタナイトの手を握ったりしていたため、
メタナイトは後半緊張で全く歌えなくなってしまった。もちろんいささか興奮もしていただろう。
「ゼルダ姫…すまなかった」
「いえ、こちらこそ一人舞台にしてごめんなさい…でも一緒に楽しめて、本当にうれしかったです」
ゼルダはメタナイトの手を握り締め、笑顔で答える。その手は春の陽だまりのように暖かい。
「ゼルダ姫…」

「さて次は…リンク!」
「勘弁してくれよ…オレ歌苦手なんだってば」
渋々リンクがカラオケセットの方に向かう。
「そしてもう一人、カービィ…え…しまった…」
フォックスの顔が青ざめる。元々カービィにはくじを引かせないつもりだったのだが…
「す、すまん、ペアを変更s」
「ぽよーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
カービィがマイクを握り締めて歌いだした。楽しい宴の場は一瞬にして地獄絵図と化してしまった…

「みんな、大丈夫か?」
唯一カービィの歌に微妙な耐性を持つメタナイトがふらふらしながら皆に呼びかける。
だが全員気絶してしまっており、全く反応がない。やっとフォックスが目を覚ましたぐらいである。
「どうする?よもやこのまま続行は無理だろう」
「そうだな…予定より早いがここでお開きにするか…」
というわけで目を覚ましたものから順次片付けに取り掛かる。そして皆早々と引き上げて行った。
「みんな帰ったようだな…ん?」
フォックスの視線の先には、今尚気を失っているゼルダ姫。皆体調最悪でさっさと引き上げたため、
それどころじゃなかった模様だ。
「これは担いでかえるしk…うっ!」
「大丈夫か?」
「すまん、俺には無理かもしれん…メタナイト、お願いできるか?」
「…わかった」
というわけでメタナイトはゼルダを部屋へ担いでいったのだった。



「う、ん…ううっ…」
「気が付いたか」
「ん…あれ、私…」
「あまり話さないほうがいい」
メタナイトがゼルダを運んで10分後、ようやくゼルダが目を覚ました。今までの経緯を簡単に説明する。
「そうだったのですか…」
「そういうことなのでな、ゆっくり休むんだ。他の皆もかなりやられているみたいだから
そううるさくもないだろう」
「そうですね…でもメタナイトは大丈夫なのですか?」
「私は多少彼の歌には慣れてるのでな、まあ大丈夫だ。ではそろそろ失礼する」
「あ、待ってください」
ゼルダの呼びかけに足を止める。
「あの、さっきはありがとうございました。ここまで運んでくれて…」
「何、当然のことをしたまでだ。それとこれ…」
メタナイトはマントの中から小さな包みを出し、ゼルダに手渡す。
「え…これ…」
「きっと貴方に合うと思う。では」
そう言い残し、足早にゼルダの部屋を後にする。

(まさかこんな物を貰うとは…。いったい何かしら…)
桜色の包装紙をゆっくり、丁寧に取っていく。
「まあ、これは…」
その中身に、目を細めながら呟く。
「メタナイト…」
窓の外に目をやる。そこにはあの大きな桜の木が、メタナイトと一緒に見た桜の木が、
枝いっぱいに美しい花を付けていた。

「ゼルダ姫…気に入ってくれただろうか…それとも…」
メタナイトもまた、自室で同じ桜の木を眺めていた。枝が風に揺られ、時折花びらを舞わせている。
(こんなに美しい桜の花も、数日立てば散ってしまう…機会は今晩か、明日の晩か…)
桜吹雪を横目に、大きくため息をついた。胸の鼓動は当分収まりそうにない。



いつの間にか日は落ち、東の空に満月が浮かんできた。メタナイトは夕食を済ませ
(もっともほぼ全員体調最悪だったため、食堂はカービィ以外いなかったとか)
はやる気持ちを抑えつつあの桜の木のもとへ向かう。今日も来てくれるだろうか…
というか来てくれなければ困る。そう、メタナイトはゼルダに告げたいことがあるのだ…。

「遅かったですね…」
そこで目にしたのは意外な光景だった。ゼルダの方が早く来ていたのだ。
「今日は早かったな」
「ええ、いつ貴方が来てもいいように、日没のころからお待ちしてました」
「もう体は大丈夫なのか?」
「幾分よくなったみたい。ところで…これ…似合ってますか?」
ゼルダが指したもの…それは桜の花びらをモチーフにしたネックレスだった。

―昨日立ち寄った雑貨屋のアクセサリーコーナー。そこで一つのネックレスが目に留まった。
 (このデザイン…ゼルダ姫が身につけたらさぞかし似合うことだろう…)
 そう、それこそがそのネックレスだったのである。
 (ちなみにその時はマルスもカービィもいたため、いったん寮に戻った後再び雑貨屋へ行き、
 そのネックレスをプレゼント用に包んでもらったのだった。)

「ああ、よく似合っている」
「ありがとうございます…何だか春らしくていいですね。これ、メタナイトが選んだんですか?」
「ああ…そなたになら絶対似合うと思ってな」
二人は桜の木の根元に腰を下ろす。頭上から花びらが舞う。
「噂に違わぬ美しさだな…」
「ええ、本当に綺麗でしょう?また昼とはちがった趣がありますよね…」
しばらく、二人とも無言で桜を眺める。なかなかきっかけが掴めない。だがこんないい雰囲気の中、
思いを告げずにはいられない…勇気を振り絞り、おもむろにメタナイトが口を開く。
「ゼルダ姫…よく、聞いてくれ…私は、その、貴方に…貴方に会ったときから…」
ゼルダは何も言わずにメタナイトの顔を見る。見つめる。
「貴方の…ことが…好きになってしまった…」
そういい切り、顔(体?)を伏せる。



また沈黙が続く。今度はゼルダがその沈黙を破る。
「私も…貴方のことが気になってはいました…ですが」
「!?」
「その…私なんかが貴方とお付き合いしていいものかずっと迷ってて…なかなか言えずにいました。
もし貴方がよろしければ…私と付き合ってくれませんか?」
「わ、私でよければ…!」
「ありがとう…メタナイト」
ゼルダはメタナイトを抱き上げる。そしてそのまま離さない。
「ゼルダ姫…好きだ…」

「メタナイト…お願いがあるのですが」
「どうした?」
「あの、仮面…取っていただけますか?」
「そ、それは…」
メタナイトにとって仮面を取ることは、真の顔を見せること。だからこそそれには迷いがあった。
こんな顔見せたら、引かれるのではないだろうか…
「わかった。だが期待はしないほうがいい。というかしてはならぬ」
おもむろに仮面を外す。その下にあったのは…まあかわいらしいお顔。
「意外…ですわ。こんなお顔だったなんて。でもなかなか素敵ですよ」
「………」
「実は貴方に仮面を外させたのは素顔を確かめるだけではないのです」
「え…」
次の瞬間、メタナイトの唇が今までにない、柔らかい感覚に包まれる。
(まさか…これが俗に言う接吻というやつ…)
確かに今、二人の唇は密接に重なり合っている。当然そんな経験など初めてなメタナイトは
一瞬頭が真っ白になってしまった。だがそれもほんの数秒間だけ。その後はメタナイトも
ゼルダも、ただひたすらお互いを唇で確かめ合っている。

そして二人は体を寄せ合い、桜の木に身を預ける。
「何だか幸せ、ですね。こうして一緒に夜桜を楽しめるなんて」
「うむ…まさか夢叶うとは」
「あら、私と一緒に桜を見るのがそんなに楽しみだったんですか?」
「ああ、まあそういうことだ」
満月の夜に、二人の笑い声が響く。頭上の桜の木も、そこから舞い散る花びらも月明かりに
照らされて美しく輝く。まるで初々しい二人を祝福するかのように…

−完−



416 名前:想いは桜前線とともに おまけ 投稿日:2008/03/29(土) 12:08:04 ID:Uncfu071
マスターハンド「あの、JASRACの者ですが」
一同「(∩゚д゚)アーアーきこえなーい」「(#・∀・)カエレ!」
マスターハンド「orz」



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2008年03月30日(日) 12:31:13 Modified by smer




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