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6-33

 床の冷たさに、マリオは薄っすら眼をあけた。
 ここはどこだ? 見覚えのない場所だ。一面灰色で、鉄格子が見える。
 体じゅうが痛い。特に手首が。
 右半身を下に横たわっているため、右半身が痛いほどに冷たい。
 彼は体を起こそうとした。が、うまく起き上がれない。
 それもそのはず、彼の腕は後ろ手に手錠がかけられ、その上に更に鎖が幾重にも巻かれていた。
 よく判らない状況に、彼は必死で記憶の糸をたぐった。
 ―――――確か、そうだ・・・
 亜空軍と闘っていたのだ。仲間はすでにやられ、孤軍奮闘していた。
 しかし大量のメタルプリムが襲ってきて・・・
 それで、やられたのだろう。ということは、ここは亜空軍の牢か。

「起きたか、マリオよ」

 ドシ、ドシと重たい何かが床を揺らす音。
 鉄格子の向こうに現れたのは、クッパであった。

「クッパ?!」
「ガハハハ、大量のメタルプリムにはさすがのマリオも太刀打ちできなかったか」

 やつらは、攻撃してもひるまないのだ。
 前後左右から襲われたらそれは苦戦を強いられる。
 それをわかってクッパは大量に送り込んできたのだろう。

「ワガハイの長年の願いが今ここに叶うのだな」

 クッパはぼそりと、ため息混じりに呟いた。
 そのため息はどこか達成感に満ち、嬉々とした感じを含んでいた。

「願い・・・? ボクを殺すことかい?」
「いいや、逆だ」

 逆、というと。生かす、ということか。
 しかし生かして何の得があるのだろうか。
 数え切れないほど何度も拳を交えた宿敵が、眼の前で転がっているというのに。

「よくわかっていないな」
「まったく」
「ワガハイがほしいのはピーチ姫ではないのだ」

 マリオの眉がぴくりと動く。

「本当にほしいのは、キサマだ、マリオ」

 マリオはぽかんとした。当然である。
 本当に欲しいのは自分? そんな馬鹿な。何度もコテンパンにのしてやったから、恨まれているかと思っていた。

「ピーチ姫は簡単にさらえるからな。キサマをおびき寄せるには最適の囮だったわ」

 ガハハ、と高らかに笑う。

「キサマを力で屈服させいつか・・・今のこのような状況にしたかったのだ。
 ・・・予想以上に強くて今まで何度も失敗したがな。
 今回もワガハイの力で屈服させたわけではないのが悔やまれる」
「・・・それで、ボクを捕らえてどうするつもりだい?」
「よくぞ聞いた」

 クッパの意思を読み取ったのか、ざわざわとクッパの背後から影虫が湧いてきた。
 流体のような影虫は、数時間前にマリオを襲ったのと同じメタルプリムに変わる。
 ぎらぎらと銀色にひかるその体に、マリオは身震いした。



「やれ」

 一体のプリムが牢の鍵を開けると、他の十数体がぞろぞろと牢の中へなだれ込む。
 ―――――相手は、あのマリオである。
 5体ほどで足りるとも思ったが、ここで取り逃がしてはならない。
 十分すぎるほどのプリムを調達した。現に牢の中ではプリムが余っている。
 きっとそれくらいがちょうどいいのだろう。

「・・・っ! こいつら・・・!」

 唯一動く足もすでに押さえ込まれ、もがくことすら敵わない。
 何故か彼らは大きなはさみを持っている。それで、どうするというのだ。
 マリオは息を呑んだ。固く眼を閉じた。
 しかし一向に痛みは感じられず、かわりに体のいたるところにひんやりとした感覚が襲う。

「な・・・?!」
「お前たち、間違っても傷をつけるなよ」

 彼らはばさばさと服を切り取ってゆく。
 青いつなぎの肩を切る。左脇から真っ直ぐ下へ足元まで切る。
 つなぎを剥ぎ取られ、赤いシャツにもはさみが入る。

「いい眺めだぞ、マリオよ」
「・・・・・・っ」

 程なくして、マリオの体にまとわりつく“不必要なモノ”はすべて取り払われた。

「下がれ」

 クッパの一言で、メタルプリムたちは一斉に牢から出た。
 かわりにクッパが牢の中へ入る。
 扉を閉めると、プリムに鍵をかけさせた。念のため、鍵を預かる。
 一連のやりとりが終わると、プリムたちはぞろぞろとどこかへ消えていった。

「無様だな」
「・・・何をするつもりだ・・・クッパ・・・」
「おや、わからないのか」

 しん、と静まり返っている。床の冷たさが肌を刺す。
 きつい手錠で、手首から先の感覚が麻痺している。
 ドシ、ドシ、とクッパが地面をならした。その合間に、鍵を放り投げる音が聞こえた。

「それともワガハイに言わせるつもりか?
 ・・・紳士的ではないな」

 大きなクッパの手がマリオの体をひっくり返す。マリオはうつ伏せにされた。
 まるで人形と人間のようだ。クッパは手を下腹部に差し入れ、腰を持ち上げる。
 肩がひどく痛む。後ろ手に縛られていては、体重を支えるのは肩だ。冷たさの痛みと押し付けられる痛み。
 痛みに顔をしかめていると、腰に熱い何かが押し当てられた。
 すぐに直感した。それは、クッパの雄だと。

「・・・・・・やめろ・・・」
「いじわるなことを言うな。そしたらこれはどうおさめればいいと言うのだ?」

 すりすりと擦りつける。
 クク、と笑って、半透明な液体の入った瓶を取り出した。蓋の開く音。
 その液体を手のひらに出し、クッパは自分の雄とマリオの秘部に塗りたくった。



「ああ・・・マリオよ、ついにひとつになれるのだな」
「やめてくれ! 絶対無理だから! やめ、やめ・・・!」

 マリオの抵抗もむなしく。

「い゙・・・ッ」

 クッパはそれを突き立てた。

「痛い! 痛い痛い痛いいたいいたい・・・」
「そのうち慣れるだろう」

 無責任に吐き出された言葉。その言葉を否定するように秘孔が裂けた。
 クッパは上半身をマリオに覆いかぶせ、床に手をついた。
 ゆっくりと腰を動かす。

「マリオ・・・キサマはワガハイのものだ・・・」
「・・・・・・っ、・・・!」
 
 眼も開けられないほどの激痛。たまらず涙がこぼれる。
 それを知って知らずか、クッパの動きが激しくなる。

「痛い・・・本当に・・・!
 もうやめてくれ・・・っ」
「痛い?気のせいだ、まだまだこれからだぞ」

 いやらしい水音と荒い息づかいが牢に響く。

「は・・・あッ、・・・っく・・・」
「どうだ? よくなってきたか?」
「痛い・・・や、め・・・」

 逃げる腰を掴んでさらに引き寄せる。

 クッパは思い出した。
 何度この風景を夢見ただろうか。
 何度この情景に恋焦がれただろうか。
 何度この光景で自慰しただろうか。
 クッパはありありと思い出した。
 “今まで”と“今”が重なった、それがさらに彼を加速させる。

 触れ合う体が熱い。
 マリオは、だんだんとぼやけていく頭で考えた。これがあとどれくらい続くのだろう。
 もはや抵抗の言葉すら出ない。痛みを訴える言葉すら。ついに痛覚はほとんど何も感じなくなった。
 ただ、不意にくる鈍痛にうめく声だけが響く。

「イク・・・っ、中に出すぞ、マリオ・・・!」
「・・・っ、あ・・・ッ」

 白濁が、結合部からじゅくじゅくとあふれる。
 クッパはしばらくの後に雄を引き抜いた。
 マリオはそこで意識を手放した。


 その晩、マリオは何度クッパに愛されただろう。
 それはクッパにすらわからない。
2008年03月03日(月) 19:00:56 Modified by smer




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