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それは正義の心だった。
目の前で行われている悪を許せないと感じる熱い心だった。
この事態を招いた責任もある。
倒さねばならない。
この悪逆非道なクレイジーを倒さねばならないのだ。
でも、どうやって?
今の体は振動することしかできない、ただのバイブレーター付きの人形でしかない。
スコープは煩悶する。
その度に体のバイブ部分は震え、蠢いた。

クレイジーを「倒さねばならない」という声をサムスは聞いたような気がした。
いいや、聞いたような気がしたのではない。確かに『聞いた』のだ。
でも、この声はどこから?
サムスは目だけを動かして辺りの様子を観察する。
クレイジーは相変わらずサムスの体を弄びながら汚い言葉を吐きつづけている。
まるで先ほどの声など聞こえていないかのように。
そして、口内のスコープ。
他の者の気配はない。
ということは――?
サムスは口内のスコープの動きが変化していることに気づいた。
くわえされられた唇が痺れてしまいそうなほどに、振動が激しくなっている。

不意にサムスの脳裏に1つの単語が閃いた。
――振動。
――クレイジーには聞こえていない声。
――『骨伝導』
思わずサムスはスコープの名を叫んだ。
しかし、その声は口内の異物に阻まれて明瞭な言葉にはならなかった。
「なんだぁ?サムスちゃん、言い返せねーのが苦痛になったか?」
サムスの異変に気づいたクレイジーの小指が、痛いぐらいに乳房をすり潰す。
「けど、それは俺の事を『ゲス』っつ呼んだ報いなんだぜ?」
薬指と中指が細い首を挟み、ぐいぐいと締め付ける。
「苦しいか?でもこんなのは序の口だ。ゲスらしくもっともっとぶっ壊してやる!
歩いてても子宮口まで丸見えのガバマンにしてやるってのはどうだぁ?
それともマンコぶち破って、チンチン入れる穴からウンコひりださせてやる方がサムスちゃんは好きかな?
ひゃはは、ひゃははははは!」
親指と人差し指がスコープの体をつまみ上げて、喉奥を激しく突く。
吐き気が湧き上がる。
手足は未だ麻痺している。武器もない。
酸素も足りない。
視野がだんだんと狭窄していく。



しかし、サムスの脳裏には光明が見えていた。
これよりも絶望的な状況は何度もあった。
スーツの使えない中での潜入行。
脱出途中に立ちふさがる闇の分身。
それらを全て切り抜けてきたのだから、今回も切り抜けられないはずはないのだ。
それになによりも、同じ敵を持つ仲間がすぐ側にいる。
スーパースコープ。
例えアイテムであっても、人形に変えられていても、意思の疎通が可能というだけで随分と心強い。
サムスは口の中で暴れまわる灰色の物体をいたわるように舐めあげた。
まるでそれは人間の性器のように膨れ上がった。



急に意志を持って蠢き始めたサムスの舌に、スコープは敏感に反応した。
苦痛の声を上げるたびに触れていた舌とは違う柔らかな舌使い。
それは、スコープを酷く戸惑わせた。
なぜサムスの口内を犯している自分に、こんなにも優しく触れるのか。
クレイジーの責めで意識が朦朧としているのか、それとも――


物思いにふけるスコープの体をサムスのざらざらとした舌が包み込むように舐め上げ、
つぶれてしまいそうなぐらいに押し付けられた舌が、唾液のぬめりでスコープの体の上を滑る。
くすぐったさの混じる、なんとも形容しがたい気持ちよさが、スコープの思考を奪っていく。
つるつるとした舌先。
往復する感覚。
あまりにも柔軟に姿を変える舌の平。
軟口蓋の柔らかさ。
喉の奥からは、体の表面をくすぐる暖かな呼気が通り過ぎる。
どくどくという鼓動を感じる。
スコープの性欲が加速する。
(あ、あ、このままだと……ぶっ放してしまう――!)
スコープのボディが心臓のように脈打ち、意識が、白く飛んだ。
莫大なエネルギーが体の底から湧き上がり、性器状の部位の中の細い管を通り抜け、上っていく。
ぶっ放せるように作ってあるというのはこういうことだったのかと、スコープは得心する。
性器状の部位の先端から、まるで精液のような白いエネルギーが放出される。
それはの喉奥をしたたかに打ち――サムスを激しく咳込ませた。

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2008年03月30日(日) 15:01:53 Modified by smer




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