PVを撮影するため、一同はロケ地へ向かっていた。
ロケバスの中で、文香は曲のテーマを物語調に語る。
美波と夕美は、その美しい語り口に聞き入っていた。
やがて、ロケ地の草原に到着し、降り立つ一同。
文香も風に包まれて、つい空を見上げるのだった。
ロケバスの中で、文香は曲のテーマを物語調に語る。
美波と夕美は、その美しい語り口に聞き入っていた。
やがて、ロケ地の草原に到着し、降り立つ一同。
文香も風に包まれて、つい空を見上げるのだった。
……撮影の目的地は遠いのですか?
[美波]
もうそろそろつくと思うよ。
広大な草原に、自然の花々が広がっているんですって。
[夕美]
草原かぁ……この季節はきっといろんなお花が咲いてるね。
今回は、どうして草原へ撮影に行くんでしたっけ?
[美波]
歌のテーマを表現するためにPVを撮影するんです。
もう台本は読んだ?
[夕美]
読んだけど、よく分からなくって。
歌のテーマって、どういうことなんですっけ?
[美波]
それについては、物語を説明するのに最適な文香さんから
語ってもらいましょうか?
[文香]
……はい。まず、無垢な少女達が平和に過ごしています。
これから向かう草原のシーンは、それを意図したものですね。
[夕美]
無垢な少女、ね。
[美波]
そう、私たちです。あは……自分たちで無垢だなんて、
やっぱりちょっとだけ気が引けるけどね。ふふっ。
[文香]
それで、平和な少女達を悲劇が襲います。
争いが起こり、戦うことを余儀なくされます。
[夕美]
戦いって……どんなものかぜんぜん想像できないなぁ。
[美波]
まぁ、ここでの戦いっていうのは比喩的なものだから、
本当に私たちが戦うわけじゃないけどね。
[文香]
その結果、生きのこるために少女達は立ち上がります。
結果、少女達はヴァルキュリアのように、戦士達の象徴となります。
[夕美]
なるほど……。
[美波]
夕美ちゃん、ストーリーはだいたい分かったかな?
[夕美]
あんまり、ですね。ふふっ。
でも、この後の草原でのカットは何をしたらいいか分かりました。
少女らしく、無垢にですよね。
[文香]
……その、草原に着いたようですよ。
(場面転換)
んーっ……風がさわやかで気持ちいい……っ。
[文香]
……これは、何のお花ですか。
[夕美]
これは、春咲きのコスモスだね。
それに、シロツメクサや、他にもたくさん!
うーん、みんな元気に咲いてるっ♪
[文香]
……美しい場所ですね。
このような気分の良い場所で読書をするのも、捗りそうです。
[夕美]
文香さん、草原に来ても読書なんだ?!
[文香]
……寝るとき以外、どこででも読書をしますね。
[夕美]
へぇ……本当に本が好きなんだね。
でも、私も同じくらいお花が大好きだから、
その気持ちは分かるかもっ。
[美波]
ふふ。さて、着替えたらPV撮影が始まりますよっ。
ほら、文香さん。支度しに行きましょう?
[文香]
えぇ……花は詳しくありませんが、美しいですね。
[美波]
気に入った?
こういうところに来るのが珍しいなら、余計にそう感じるのかも。
[文香]
……そうかもしれませんね。
せめて、この風景に似合っていたら、いいのですが。
[夕美]
文香さん、お花が似合わない女の子はいないんだよっ。
[文香]
……そうなのですか。
[美波]
気に入ったなら、撮影のとき、髪に挿してあげますよっ。
[文香]
……ありがとうございます。
では、せめて……。
顔を上げて……花のように、空を見上げましょうか。
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