222 :筑利根:2013/10/18(金) 10:15:43.63 ID:fPEmCgc9
利根姉さんはいつも甘い匂い。香水とか、下品な甘さじゃなくて……優しい柔らかい甘さの匂い。
オイル臭さがないわけではないけど、それらがあいまって私の鼻腔を掠めていけばくらくらするほどに、甘い。
「筑摩もどうじゃ?」
開発室で後片付けをしていると、開けっ放しにしていたドアからひょっこりと利根姉さんが顔を出した。そして脇に抱えていた包みから大福をひとつ出してくれる。
急なことで、少し戸惑いながらも大福を受け取って、なにか催促するような視線でじっと見てくるものだから、糖のかたまりを一口頬張った。……甘い。
「……姉さんって、実は甘いもの好きだったりします?」
立ったまま食べるのは行儀悪いけれど、礼儀作法に厳しい姉さんがそこまで気が回ってないのも珍しい。姉さんが注意してこないから何してもいいというわけではなくて、なんだか今日の姉さんは楽しそうにしているから話の腰を折るのは憚られるだけ。
「嫌いではないぞ」
「なんだか意外ですね」
「そうか?間宮の作る菓子は美味いからな」
私だって間宮さんに教えてもらえればお菓子くらい作れるわ、とは言えない。そちらのことはまったくの専門外なのだから確信なんて持てない。
「でも、なんだか、姉さんっていつも甘いもの食べてない?」
羊羹も、お饅頭も、この前の冬にはぜんざいだってもらってたもの。私の記憶の中の姉さんは八割ほど甘味を口にしている気がするわ……。間宮さんに甘味をもらっては私のところまで来ておすそ分けしてくれるのを思い出してちょっと笑ってしまう。
「筑摩は嫌いか?」
「う、ううん、私も、好きよ?」
そう答えれば、姉さんは満足そうに大きく頷いた。
「吾輩は筑摩の喜ぶ顔が大好きじゃ」
「え?」
「しかし、吾輩の方が少しお姉さんと言えど、筑摩はあんまり我を出さぬからな。そこで提督が、女子はみんな甘いものが好きと言ってたのを参考にしたのじゃ」
……姉さんには私がお菓子で喜ぶような子に見えてるのかしら。それはちょっと恥ずかしいんだけれども。
「わ、私は、姉さんがいてくれるだけで嬉しいけど」
勇気を振り絞ってクサイ台詞を口にしてみても、姉さんは一瞬だけキョトンとしただけで、すぐに笑うだけだった。
「吾輩も筑摩といるだけで嬉しいぞ!」
でも、そう言ってくれた頬は少し染まっていたのを私は見逃さなかった。
223 :名無しさん@秘密の花園:2013/10/18(金) 10:16:47.21 ID:fPEmCgc9
流れぶった切って申し訳ないです。また筑利根置きにきました
筑利根が大好きです
利根姉さんはいつも甘い匂い。香水とか、下品な甘さじゃなくて……優しい柔らかい甘さの匂い。
オイル臭さがないわけではないけど、それらがあいまって私の鼻腔を掠めていけばくらくらするほどに、甘い。
「筑摩もどうじゃ?」
開発室で後片付けをしていると、開けっ放しにしていたドアからひょっこりと利根姉さんが顔を出した。そして脇に抱えていた包みから大福をひとつ出してくれる。
急なことで、少し戸惑いながらも大福を受け取って、なにか催促するような視線でじっと見てくるものだから、糖のかたまりを一口頬張った。……甘い。
「……姉さんって、実は甘いもの好きだったりします?」
立ったまま食べるのは行儀悪いけれど、礼儀作法に厳しい姉さんがそこまで気が回ってないのも珍しい。姉さんが注意してこないから何してもいいというわけではなくて、なんだか今日の姉さんは楽しそうにしているから話の腰を折るのは憚られるだけ。
「嫌いではないぞ」
「なんだか意外ですね」
「そうか?間宮の作る菓子は美味いからな」
私だって間宮さんに教えてもらえればお菓子くらい作れるわ、とは言えない。そちらのことはまったくの専門外なのだから確信なんて持てない。
「でも、なんだか、姉さんっていつも甘いもの食べてない?」
羊羹も、お饅頭も、この前の冬にはぜんざいだってもらってたもの。私の記憶の中の姉さんは八割ほど甘味を口にしている気がするわ……。間宮さんに甘味をもらっては私のところまで来ておすそ分けしてくれるのを思い出してちょっと笑ってしまう。
「筑摩は嫌いか?」
「う、ううん、私も、好きよ?」
そう答えれば、姉さんは満足そうに大きく頷いた。
「吾輩は筑摩の喜ぶ顔が大好きじゃ」
「え?」
「しかし、吾輩の方が少しお姉さんと言えど、筑摩はあんまり我を出さぬからな。そこで提督が、女子はみんな甘いものが好きと言ってたのを参考にしたのじゃ」
……姉さんには私がお菓子で喜ぶような子に見えてるのかしら。それはちょっと恥ずかしいんだけれども。
「わ、私は、姉さんがいてくれるだけで嬉しいけど」
勇気を振り絞ってクサイ台詞を口にしてみても、姉さんは一瞬だけキョトンとしただけで、すぐに笑うだけだった。
「吾輩も筑摩といるだけで嬉しいぞ!」
でも、そう言ってくれた頬は少し染まっていたのを私は見逃さなかった。
223 :名無しさん@秘密の花園:2013/10/18(金) 10:16:47.21 ID:fPEmCgc9
流れぶった切って申し訳ないです。また筑利根置きにきました
筑利根が大好きです
タグ
コメントをかく