344:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:03:54.70 ID:G53d7cWk
長くなる予定なんだけれど、切りのいいところなので投下するわ
内容は長門×陸奥前提の長門×島風のおねロリ
しかしまだエロくはならない
345:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:05:32.98 ID:G53d7cWk
暑い。
暑くて寝苦しい夜だ―長門は、何度目になるかも分からない寝返りを打ってから、とうとう寝床から身を起こした。
涼を少しでも得ようと、大きく開け放った窓辺による。
窓の向こうに広がる、闇に沈む鎮守府の港には、幾つもの雑多な艦艇が犇めき、投錨して佇む姿があった。
艦娘とは違う“普通”の艦艇達は、無言のまま波に揺られて鎮座している。
346:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:07:00.71 ID:G53d7cWk
月明かりに照らし出された彼らは、まるで海に浮かぶ鋼鉄の城のようであり、彼らと自分達艦娘が同種の存在―正確には違うが、戦闘艦の能力を行使できるという点では同じ―であるとは思えない。
そう、彼らは笑ったり泣いたり、怒ったりする事はない。
ましてや、人肌の温もりを感じる事もないだろう―長門は、寝付けない理由が、単に寝苦しいという訳ではない事を素直に認めた。
普段は二人で寝起きする部屋である筈なのに、起居を共にする相手がいない今は寂寥感ばかりが支配しており、胸を焦がす想いゆえに目が冴えていた。
347:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:08:23.43 ID:G53d7cWk
「陸奥…」
長門はその名を愛おしそうに呟く。
長門型戦艦二番艦である陸奥は、先の遠征での傷を癒やす為に現在入渠中であった。
幸い、遠征隊に犠牲となった艦艇はなく、陸奥が少しばかり手酷く傷を負った程度で済んだのだが、長門にとっては気が気ではなかった。
今は旗艦を大和に譲っているとはいえ、長らく連合艦隊の旗艦を務め上げ、世界に名だたるビッグセブンの一角にも数えられる立場ゆえに取り乱す事はなかったが、許されるのであれば直ぐにでもドックに飛び込んで陸奥の顔を一目見たかった。
348:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:09:56.61 ID:G53d7cWk
提督からも、大した事はない、じきに良くなるわ、と言われてはいたが、世界でたった二人きりの姉妹―艦娘は同型艦同士でも人間のように本当の肉親という訳ではないが―であり、血よりも濃く、確かな絆で結ばれているからこそ、会ってこの目で無事を確かめたいのだ。
陸奥への想いが長門の胸を締め付ける。
その痛みと傷を代わってやれるのならば是非ともこの身を捧げてもいい。
ほんの数日だけしか離れていないというのに、何年も会っていないように思えた。
早く、一秒でも早く会いたい。
会って、あの柔肌を抱き締めたい、抱き締められたい―陸奥への切ない思いが、胸を焦がし、身を震わせた。
349:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:11:22.02 ID:G53d7cWk
思わず、襦袢の上から自ら持て余している肉体に触れてみると、熱く火照っていた。
触れてもいないというのに、陸奥との秘め事を脳裏に思い描いただけで、長門の女は潤み、しとどに濡れそぼっていた。
太股を伝い落ちる雫の感触に、肌が粟立つ。
「…私とした事が、なんとはしたない」
己の堪え性のなさに、長門は端正な顔を羞恥に染めた。
これではただの淫乱ではないか―今のこのふしだらな姿を、他の艦娘に見られたら戦艦としての面目は丸潰れだ。
少し夜風に当たって頭を冷すべきだろう。
長門は桐箪笥から取り出した手拭いで潤みを帯びた秘所を拭くと、乱れた襦袢を整え、上靴(スリッパ)を突っかけて、音を立てないように扉を開いて宿舎の廊下に出た。
350:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:12:36.51 ID:G53d7cWk
年季の入った板張りの廊下を、編上靴を改造しただけの上靴で音を立てずに歩くのは至難の業で、しかも長門は艦娘の中でも体躯に優れた戦艦であり、やはり、みしり、みしりと床板が鳴った。
途中、駆逐艦の部屋の前を通る際には殊更慎重になった。
駆逐艦は艦数が多い為か、他の戦艦や空母の少人数部屋と違い、彼女らの起居する部屋は軍の内務班さながらの大部屋であり、部屋と廊下の間に扉はなく、素通しであった。
大型艦種の艦娘は、人間でいえば十代後半から成人女性程度の容姿を備えた者が多いが、駆逐艦達はおしなべて幼い容姿であり、子供といっても差し支えない者ばかりである。
351:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:13:56.26 ID:G53d7cWk
小さな体に大きな艤装を背負った姿はいたましいほどに愛らしく、同じ艦娘である長門も幾度となく胸を締め付けられた―それを戦場に送り出す提督は、常に辛そうな顔をしていた。
子供ほどの体躯とはいえ、戦場に於いては実際の駆逐艦並みの火力と装甲、速力を以て勇ましく戦う彼女らだが、戦艦からすればやはり可愛い妹分達であるのに変わりはない。
通り過ぎる際、何気なく部屋の中を覗き見る。
壁際に並べられた寝台の上、健やかな吐息を立てる駆逐艦娘達の愛らしい寝顔に、長門は胸中に暖かいものが溢れるのを感じた。
きっと陸奥も、この寝顔を守る為に身を挺したのだろう―そう考えると、彼女が傷ついた事を痛ましい反面、誇らしいとさえ思えた。
陸奥が復帰するまではこの子達を守ってみせよう、と長門は決意を改め、足音を立てぬようその場から立ち去った。
この時、寝台の一つが乱れた布団だけを残して空となっていたのだが、長門は気づかなかった。
364:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:09:45.37 ID:sJdWUTE8
長島の続きできたから投下するわ
まだエロはない
すまぬ
†
よく冷えたラムネの瓶を二つ手にした長門は、人の目がないかを確認してから、石敷・屋根付きの渡り廊下を渡って炊事場から出てきた。
夜風に当たるだけのつもりだったが、途中で気が変わり、炊事場に忍び込んで電気冷蔵機からラムネの員数をつけてきたのだ。
長門の好物である、間宮謹製のアイスクリームもあったのだが、こんな夜更けに食い意地を張るのも大人気ないし、何より涼を得ようと欲を出して腹を下してはみっともない。
まぁ、ラムネを二本も失敬している時点でどっこいだが―長門は苦笑しつつ、涼風の吹く物干場のベンチに腰掛けた。
潮と鉄の匂いを含んだ、鎮守府の夜風が頬を撫でる。
普段は自慢の長い黒髪を流しているが、今は馬尾のように後頭部で結い上げており、外気に晒されたうなじから熱が逃げていくようで涼しい。
こんな事なら団扇も持ってくるべきだったな―手で顔を扇ぎつつ、長門はそんな事をぼんやりと考えながら、木製の玉押しを手にラムネの栓を開けようとする。
365:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:12:56.07 ID:G53d7cWk
ふと、何かが視界の隅で蠢き、思わず手を止める。
すわ狐狸の類か、と人間よりも遥かに優れた視力でその方向を走査すると、見慣れた鈍色の物体がチョロチョロと動き回っていた。
それは五〇口径三年式一二.七センチ連装砲D型であり、駆逐艦の多くが搭載する標準的な艦載砲だった。
だが、艦娘の艤装の一部でありながら、まるで意志があるかのように自ら動くものは島風の連装砲のみであり、その他には潮の連装砲に顔のようなものがあるぐらいだ。
まさしく、あれは駆逐艦島風の連装砲だろう。三基の内の一基は、“しまかぜ”と銘の入った浮き輪を穿いている。
その三基は、長門の存在に気付く事なくガサガサと下草を揺らしながら植え込みの向こうに消えた。
長門は可愛らしくもある三基を不審に思った。
普段、彼ら連装砲もその他の艦娘の艤装と同様に、演習や出撃以外の場合は格納庫に保管されている。
島風の連装砲は、彼らの主人が演習や出撃に繰り出す事なく鎮守府にいる場合でも行動を共にする事が多いが、それは日中に限った話であり、日が暮れれば彼らの住まいである艤装格納庫へと帰る。
366:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:14:16.52 ID:G53d7cWk
その彼らが、こんな夜更けに格納庫を抜け出して何やらコソコソと動き回っている。
連装砲は艤装の一部でありながら明確な意志を宿している、艦娘以上に不思議な存在であり、表情や仕草でその感情を表す。
艦娘と共に大海原の戦場を駆け抜ける、誠に頼もしくも愛らしい存在であるのだが、そんな彼らの生態は未だに謎に包まれている。
ひょっとしたら、これはもしかして彼らの知られざる生態系の一部を垣間見る好機なのかもしれない―不意に長門の胸中に、連装砲という不思議生物?への好奇心が芽生え、これは確かめねばなるまいという決意に燃えた。
ラムネ瓶を手にしたまま、下草を避けて連装砲達が消えた植え込みへと近付く。
夜露に濡れた下草の感触が足にこそばゆいが、なるたけ音を立てぬように接近する。
何とか長門一人が通れそうな植え込みの切れ目に身体を滑り込ませ、夜戦のように気配を殺し、耳目を済ませてその向こうにいるであろう連装砲達の様子を探る。
そして長門は息を呑んだ。
367:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:15:30.89 ID:G53d7cWk
連装砲達が、鎮座している白色金(ホワイトゴールド)の毛塊に寄り添っているのだ。
まるでその毛塊を慰めるかのように、彼らは鈍色の身体を擦り寄せている。
連装砲達にとってあの毛塊は、大切なものなのだろうか?―邪心崇拝の儀式にも似た不条理なその光景に、何ともいえぬ感情が長門の胸中を支配した。
あっ、と漏れ出そうになる驚きの声を、長門は寸での所で口元を押さえて堪える。
新手の深海棲艦とも思えるようなその奇怪な物体から、にゅっと腕が伸びたかと思うと、連装砲の一基を抱きかかえたのだ。
果たしてそれは、一人の少女だった。
年の頃は十と幾つかを過ぎたぐらいだろうか。腹掛け姿がなんとも邪気なく愛らしい。
腰まで伸びる白色金の髪に、愁いを帯びた白い横顔は西洋人形のようで、長く繊細な睫毛が震えている―少女がしとやかに泣いていると気付いたのは、白磁の肌を滑り落ちる涙が月明かりを反射して宝石のように輝いたからだ。
その横顔には見覚えがあった。
368:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:16:54.36 ID:G53d7cWk
兎の耳のようなカチューシャや、海軍の水兵服のような艤装を身に付けていなくとも、その少女が丙型駆逐艦島風であると認識できた。
こんな夜更けに一人、連装砲をお供にして泣いている姿からして、今の島風は尋常ならざる状態にあると見なすべきだろう。
どういう理由で泣いているのかは分からないが、島風にも独りで涙を流したい時ぐらいあるのだろうか。
幾ら艦娘の一人一人が、実際の戦闘艦並みの戦力を備えた存在であっても、その身に宿る魂は容姿に違わぬ少女のそれである。
少女を象った、喜怒哀楽を備えた軍艦という不思議な存在であればこそだ。
子供に人気だった戦艦長門の魂が宿る為なのか、長門は子供の容姿である駆逐艦を放っておけない性分だが、武人然とした物腰と雰囲気とが相まっていまいち彼女らとの距離感を詰めれず悩んでいた。
有り体に言えば、峻険とした長門は子供っぽい駆逐艦達にとっては近寄り難い存在だった。
それ故に、同じ厳つい戦艦―容姿と物腰が長門よりも随分と朗らかであるのも一因だろう―であるにも関わらず、大和が幼い駆逐艦達の人気を独占している傍らでそれを羨ましく思っていた。
子供好きの長門としては、独りで泣く島風が気になって仕方がなく、どうにかしてやりたいと思ったが、普段の彼女の姿を思い出して辛うじて留まる。
369:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:18:48.53 ID:G53d7cWk
丙型駆逐艦は、謂わば次世代を担う新型駆逐艦だった。まさしく駆逐艦技術の粋を集めて建造された、駆逐艦版大和のような存在であり、全ての能力は高水準を満たし、速力に至っては比肩しうる艦艇がいないほどの快速を誇る。
一部では、駆逐艦でありながら軽巡洋艦に迫るとすら云われている。
それ故か、生来の天真爛漫さに加えて己の高い能力を鼻に掛けていて、若干傲岸不遜な気があり、無邪気な駆逐艦の中では少し浮いていた―その理由は、彼女の態度ばかりではないだろう。
諸事情により丙型駆逐艦は島風ただ一隻のみが建造されたに留まり、事実上、島風は同型艦の姉妹が一人もいない希有な艦娘だった。
駆逐艦は姉妹の多い艦種という印象があるが、そんな中にあっても孤独というのはどういう心境なのだろうか―自分にですら陸奥という妹がいるのに、と長門は思った。
月明かりの下、粛々と涙を零しながら連装砲達と戯れる島風の姿に、長門は胸が苦しくなった。
艦娘にとって姉妹は、人間に於ける肉親とは趣を異にする。
謂わば魂と魄を繋ぐ存在であり、血肉を分かち合うよりも強い結び付きなのだ。
だから、先の大戦の記憶を共有する艦娘は、姉妹の別離を人一倍恐れている節があった。
長門も、先の大戦に於ける陸奥との別れを思い出すだけで、胸が張り裂けんばかりの痛みに襲われる。
艦娘として現世に蘇り、再び戦渦に身を投じる運命でこそはあるが、やがては二人で平和な時代を一目見たいという望みを叶える為に日々を生き抜いているのだ。
370:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:19:57.42 ID:G53d7cWk
だが、島風には、そのような姉妹がいない。
考えれば考えるほど島風が不憫で仕方がなく、切ない気持ちになってしまう。
島風に対する切なさと愛おしさで、長門の心は狂わんばかりに千々と乱れた―それ故に、植え込みからはみ出す襦袢の裾を、連装砲の一基に見つかってしまった。
それをすかさず連装砲は、主である島風に身振り手振りで伝えた。
長らく連れ添っている連装砲の意志を具に感じ取った島風は、はっとした表情で長門が潜む茂みを振り返った。
「誰?」
一部始終を覗き見られていた為だろうか、島風は焦燥から上擦った声で誰何した。
その声に反射的に低く身を臥せた長門は、そもそも覗きなどするのは性分ではない、と自らを戒めつつ、ゆっくりと身を起こして姿を現した。
「長門さん…」
すらりとした長身を認め、島風は一瞬毒気を抜かれたような表情をしたが、直ぐに拗ねたようにそっぽを向いた。
「見てたんですね」
連装砲を胸に抱き、感情を隠そうともせずむすっと言った。
「いや、悪気はなかった。すまない。夜風に当たろうと思って物干場のベンチに座っていたら、連装砲を見つけてな…それで気になって後を付けたら」
「そして私の泣き顔を観察してたって訳ですね。しかもラムネを片手に…結構趣味が悪いんですね」
長門は正直に白状したが、島風は相手が戦艦だろうと構わず、歯に衣着せぬ強気な物言いだ。
長門はそのように言われても怒るどころか、小さな子が精一杯背伸びをしているような、そんな微笑ましさを感じて頬を緩めた。
371:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:21:51.48 ID:G53d7cWk
「隣、いいか?」
返事を待たず、長門は島風の隣に腰を下ろす。
島風は、相変わらずそっぽを向いたままである。
その腕に抱えた連装砲のみが、長門と島風の顔を交互に窺っていた。
「ラムネでもどうだ? 夜とはいえまだ暑い」
長門はラムネ瓶を僅かに傾け、木製の玉押しでビー玉を押し込むと、泡が吹き出ないように暫くそのまま保持した。
泡が吹き出ないのを確認してから、瓶を島風に差し出す。
頂きます、と小さく呟き、島風は瓶を受け取った。
そして、小さな喉を上下させてラムネを飲む島風は、小動物のように愛らしい。
つん、と未だにそっぽを向き続ける強情な島風に苦笑しつつ、長門も自分のを開け、喉を鳴らしてラムネを飲んだ。
喉を駆け下りる炭酸の刺激と爽やかな甘味に、一気に涼を得たりと身体から汗が引いていくようだった。
「聞いても、いいか?」
何を、と島風は言わなかった。
言葉にせずとも、先程の涙の訳を問うている事ぐらい察せられる。
「どうして泣いていたんだ?」
島風は、腕の中の連装砲に目を落とすばかりで、口を開こうとはしなかった。
そうして沈黙を貫き通す事数分―少し不躾すぎたか、と後悔したが、言いたくない事を無理に聞き出すのも気が引ける。
「すまん。言いたくなければ言わなくてもいい…ただ、独りで泣くお前の事が心配だったんでな」
それは長門の偽らざる本音であり、その事を伝えられただけでも良しとするべきか。
邪魔したな、と長門はラムネを飲み干すと、立ち上がろうと地面に手をついた。
だが、咄嗟に重ねられたら小さな手に、動きが止まった。
「待って下さい…ラムネのお礼代わりに、答えます」
だから、今は独りにしないで下さい―と、掻き消えてしまいそうなか細い声で、島風は言った。
投下終わり
372:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:33:07.65 ID:G53d7cWk
まだエロにはいかんのだ…むしろエロ書けるのか?
凄く犯罪的で悶死しそうなんだけどおねロリ書きたい
そしてキャラ崩壊してたらすまん
ぜかましちゃんは実は寂しがり屋だとベネ
437:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:31:58.00 ID:tzHwruAW
しかし長陸奥前提の長島を投下するぜ!
まだエロはない
†
人気のない宿舎の廊下を、長門は島風の手を引いて静かに歩いた。
みしり、みしりと床板の軋む音に混じり、時折何処かの部屋から風鈴の涼やかな音色が聞こえてくる。
あの後、島風は泣いていた理由を話そうとしたが、長門はじっくり話を聞けるように場所を変える事にした。
途中まで連装砲達が後ろをついてきたが、やがて主を長門に任せても大丈夫だと判断したのか、小さな手を振って別れた。
連装砲とは謎の多い存在だが、悲しみに暮れている時、なにも言わずにそっと寄り添ってくれるなんて、実に主人思いの好漢?揃いだと感じた。
考え得る中ではやはり自室が最適だろう。
陸奥が入渠中である為、今は長門が一人で寝起きしている為に都合が良い。
それに、夜露を含んだ草の上に座ったが為に襦袢が濡れて不快であり、着替えたいというのもあった。
どれほどの間、あそこで人知れず涙を流していたのかは分からないが、島風の腹掛けも随分と露に濡れており、泥だらけである。
汚れた格好のままでは落ち着ける訳もなく、島風を自室に招いてまずは身綺麗にしてから、と考えていた。
「此処が私と陸奥の部屋だ」
ひそひそと囁き、扉を開け、島風を招き入れる。
お邪魔します、と控え目な声量で島風は長門と陸奥の部屋に入った。
438:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:35:02.21 ID:jtalMXD3
「此処が私と陸奥の部屋だ」
ひそひそと囁き、扉を開け、島風を招き入れる。
お邪魔します、と控え目な声量で島風は長門と陸奥の部屋に入った。
「少し、此処で待っていろ」
靴を脱ぐ僅かな空間しかない土間に島風を留め、長門は土間に備え付けのたらいと洗い干している手拭いを手に、近くの水場へと水を汲みに行った。
たらいに水を張り、部屋へと戻る。
「そこに腰を掛けろ」
島風は言われるがまま、上り框に腰を下ろした。
瞬間、夜露に濡れた股引きが肌に密着し、不快な気分となった。
長門は、上り框に座る島風の足元にたらいを置き、土間に両膝立ちとなった。
そして、手拭いをたらいに張った水で濡らし、適度に絞った。
「片足を出せ」
島風は、右足を長門の前に差し出した。
長門は絞った手拭いを手に、夜露と泥で汚れた島風の右足を拭ってやった。
島風は目を見張った。
まさか、あの長門が、かつては連合艦隊の旗艦を永らく務めたビックセブンが、下女のように自ら進んで自分の足を洗うなんて―島風の戸惑いを余所に、長門はてきぱきと慣れた手付きで、少女の肉付きの薄い足を丁寧に拭ってやった。
指の間、足の裏、踵、踝、脹ら脛、膝裏と下から順に拭ってやる。
当初は戸惑いこそすれ、だが、長門の無私の奉仕は心地良く、島風の心を解きほぐした。
まるで親鳥が自分の羽を繕ってくれるような、そんな小鳥の心境を覚えていた。
戦艦の中でも一際近寄り難い雰囲気を纏う長門に、こんな甲斐甲斐しい一面があったとは意外だった。
動きに淀みがなく、手慣れているという事は、普段から行っているのだろう。
その相手とはやはり、陸奥だろうか。
439:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:40:43.21 ID:tzHwruAW
「何時も、これを陸奥さんに?」
自分の足を拭う長門の手元を見ながら、島風は問うた。
「ああ。私にしてやれるのはこれぐらいだからな…陸奥にはいつも迷惑をかけている」
その所作はまさに長年連れ添った女房のそれである。
よし、次は反対だ、と長門は満足した様子でそう言い、島風は左足を差し出した。
そうして長門が手拭いを洗い、絞っている時だった。
微かに乱れた襦袢の襟元から、長門の白い谷間が覗いていた。
島風の位置からはそれが具に見て取れる。
どうしてだか、思わず胸が大きく跳ねた。まるで肌から匂い立つような色香に、思わず顔を赤らめてそっぽを向く。
おしなべて幼い駆逐艦の中にあっては一際子供っぽい島風だが、艦娘同士の睦み合いを知らぬ訳ではない。
艦娘は人間の少女とは違う存在であるが故に、自ずと心を繋いだ艦娘同士―それも姉妹―で慈しみ合う事が多い。
人間からすれば姉妹同士―厳密には微妙に異なるのだが―で秘め事に及ぶという、なんとも背徳めいた近親関係であるのだが、艦娘自体が人間とは異なる存在であり、そっくりそのまま人間の価値観や世間体が当てはまる訳ではない。
御神酒徳利だなんて―別に島風も異端だとは思わない。
むしろ、愛を囁き合う姉妹がいる艦娘をうらやましいと思っていた。
そう、目の前の長門も、陸奥との仲を特に隠しているという訳ではなく、鎮守府内でも関係を公言している事で有名だった。
このようにいつも足を洗っている、という発言は、長門は陸奥の妻だと自ら認めるにも等しいだろう―この二人に関しては、もはや夫婦も同然と見做しても良い。
姉妹同士で、まるで夫婦のようだとは人間からすれば奇妙かもしれないが、それこそが艦娘達の一つの愛の形なのだ。
440:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:44:28.62 ID:tzHwruAW
皆には愛を育み合える姉妹がいるのに、どうして私には、姉妹がいないのだろう―涙腺が再び弛むのを感じ、慌てて拭う。
ちらり、と長門を盗み見る。
今の涙を見られたのではないかと危ぶんだが、長門は足を熱心に拭ってくれている。
別に今更だが、なんとなく気恥ずかしかった。
「よし、いいぞ」
長門の声にふと我に返り、再び足下に顔を向けた。
またしてもはだけた襟元から覗く長門の谷間を見てしまい、島風は顔を俯かせた―風呂場でいつも見ているというのに、何故か今のこの時は直視できないでいた。
羞恥に俯かせたまま、ありがとうございます、と小声で礼を述べる。
長門は、自分の足の汚れは手早く拭い去り、島風と共に畳敷の部屋に上がった。
生活に最低限必要な家具しかない、質実剛健な戦艦らしい質素な住まいだった。
だが、やはり妙齢の艦娘である故なのか、簡素な化粧台が部屋の片隅に置かれている。
長門も陸奥も化粧をしなくとも十分な美人だが、そこは戦艦(大人の女)としての嗜みなのだろうか―まだ化粧とは程遠い島風には、自分が随分と子供であるのを思い知らされたような気分だった。
長門は部屋に上がるなり、年期の入った桐箪笥から襦袢を二枚取り出した。
441:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:46:01.28 ID:tzHwruAW
「寝間着が汚れているだろう? そのままでは落ち着けないだろうから、私のを貸してやる。丈が合わんとは思うが…許してくれ」
「でも…」
流石にそこまで気遣われると、島風といえども畏れを感じてしまう。
「遠慮はするな。ほら、こっちに来い」
だが、長門は構わず、島風を手招く。
そこまで言われては、断るのも失礼だろうか―島風は渋々と従い、襦袢を受け取る。
「ついでに身体も拭いてさっぱりするといい…少し待て」
長門はなにやら瓶を箪笥から取り出し、中の液体で僅かに湿らせた手拭いも襦袢と共に渡す。
その手拭いからは、薄荷の爽やかな香りがした。
「水で薄めた薄荷油だ。それで拭くと気持ちがいいぞ」
島風は言われた通り紺色の腹掛けと丈の短い股引きを脱ごうとしたが、長門の目の前で脱ぐのは何故か抵抗があった。
なので、背を向け、見られまいとしていそいそと服を脱ぐ。
同時に、背後から僅かに布の擦れる音が聞こえたので、長門も一緒に着替えているのだろう―少しだけ頬が熱くなった。
汗でべたつく身体を手拭いで拭くと、薄荷の涼やかな芳香と、心地良い冷感に汗が引いていくのが分かった。
そうして島風からすれば随分と大きい襦袢を羽織り、袖を通して帯を結ぶと、布地がだいぶ余ってしまった。
着ているというよりも、包まれているといった方が適しているだろうか―着替えて身体を身綺麗にしたからだろうか、先程よりも随分と心は平静を取り戻していた。
しかし、箪笥に入れてある匂い袋のものだろうか、襦袢から仄かに薫る白檀の芳香と、それに混じる長門の香りに頭がくらっとした。
442:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:48:46.30 ID:tzHwruAW
「着替えたな。では、まぁ…そこに座れ」
化粧台の前に置かれた籐のスツールを示され、島風は訝しみながらも座った。
目の前の化粧台の鏡には日除けの布を被せたままだったので、恐らく泣き腫らしているであろう自分の顔を見ないで済んだのが幸いだ。
長門も別のスツールを引き寄せ、島風の背後で腰掛ける。
「髪、触ってもいいか?」
唐突なその言葉に、島風は長門にその真意を問おうと、振り返った。
長門の手には、綺麗な飴色の柘植櫛が握られていた。
「いや、お前の髪がボサボサなんでな…梳かしてやろうと思ったんだが、余計な世話だろうか?」
湿った夜風に長い間当たっていた島風の白色金の髪は、確かに少しぼさぼさだった。
「あ、いえ…お願い、します」
島風も幼いながらも女の子である以上、髪は大切にしているつもりだったが、長門にそう指摘されてはお願いするしかない。
大海原を戦場とする艦娘であるのならば、塩辛い潮気と強い日差しは避けては通れないものであり、それらをいかにして退けるか、というのは艦娘達の間でも専ら取り沙汰されていた。
艦娘と謂えども娘である以上、結構美容については気にしている者が多い。
443:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:51:05.82 ID:tzHwruAW
「私は髪の事に関しては少々自信があるのだ。まぁ、任せて欲しい」
長門は胸を張りながら言った。
確かに、長門の黒髪はまさに艶やかな濡れ羽色であり、湿気の多い海辺の夏の夜だというのに癖もなくしゃらりとしている。
化粧台の上の小箱から、長門は黄色がかった液体の入った瓶を取り出し、さらりとしたそれを少量手に取り、掌によく馴染ませてから、島風の髪に丁寧に塗り込んでいった。
鼻腔を、微かな椿の匂いが擽った。
「大島産の椿油だ。陸奥とは縁深き土地のものでな…私も愛用している」
いたわるかのように優しい長門の手つきは心地良く、島風は目を閉じて感じ入った。
根本から毛先まで、細やかに椿油をうっすらと塗り込み終わると、今度は柘植櫛で梳いていく。
どんな櫛を使っているのか分からないが、櫛通りの良さ、梳かし心地の良さは自分が使っているものとは大違いだ。
「櫛はやはり柘植がいい。だが、暹羅(シャム)のものは駄目だ。きめ細かで滑らかで、粘りのある薩摩の柘植が一番だ…薩摩も、私とは縁が深いな」
薩長の事を言っているのだろう、と島風は髪を梳かれながら意味を解した―だが、意識は、もっと別の物に振り向けられていた。
椿油が馴染んだ柘植櫛。
そればかりが気になって仕方がなかった。
鏡を介して背後の長門を見る事は出来ないが、恐らく頬を綻ばせて櫛を滑らせているに違いない。
雰囲気と、微かに弾んだ声から察するのは簡単だ。
444:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:54:08.24 ID:tzHwruAW
「私も、同じ櫛が欲しい」
思わず、島風の口からそんな言葉が漏れた。
それは、ただの子供じみた物欲しさからではない。
「そうか。気に入ってくれたか。なら、今度、取り寄せてやろう」
同好の士を得たり、と長門は喜んだ。
だが、島風が求めているのは違った。
「違うの。その櫛が…欲しいの」
血を吐くように切実な声が、細い喉から絞り出された。
髪を梳かすという行為一つの中にも、長門と陸奥の深い関係が見え、それが人知れず孤独に震える彼女の心を狂おしいまでに揺さぶった。
長門と陸奥を結ぶ絆が、ただ純粋に羨ましかったのだ。
欲しいのは櫛ではない。
誰かとの繋がりが、ただそれだけが欲しい―耐え難い餓えと寒さにも似た孤独感に、島風は知らぬ間に自らの肩を掻き抱いて震えた。
もはや嗚咽を堪えようとも思わなかった。
座ったまま身体を折り、呻きにも等しい声で泣き、はらはらと大粒の涙が零れる。
「寂しい…寂しいよぅ……」
幼児のように小さくなって愚図る島風の姿に、長門は髪を梳く手を止めて困惑するしかなかった。
†
投下終わり
491:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:01:53.82 ID:x5eHBKdV
流れぶった切って長陸奥前提の長島
ちょっとエロくなった
本格的エロスは次回から
†
一体どうしたものか。
長門は、柳眉を潜め、島風を胸の前に抱きながら考えあぐねた。
まるで譫言のように寂しい、寂しいと悲痛な声で愚図る島風を、取り敢えずは畳に敷いた陸奥の布団に座らせると、幼子をあやすように胸に抱き、添い寝をしてやった。
だが、涙を零しながらも島風は強情で、長門の腕に抱かれながらも背を向けている。
そんなに泣き顔を見せたくはないのだろうか―駆逐艦中最高性能の丙型駆逐艦の化身故か、その矜持が邪魔をしているのかもしれない。
かといって、今のこの状況を拒んでいるという訳ではない。
拒むのであれば、こうして腕の中に収まる事も、身体に回した長門の腕に指を絡める事もないだろう。
今では堰を切ったかのような激情は収まったが、依然としてぐすぐすと鼻を啜り、しゃっくりを上げている。
腕の中、震える小さな躯の体温は子供のように高く、立ち上る体臭までもが仄かに乳臭い。
折角身綺麗にしたばかりだというのに、密着する身体はじっとりと汗ばんでいる。
しかし、長門もまんざらではなかった。
子供好きの性格だからか、泣いている少女というのは実に庇護欲をそそる対象であり、こうしているだけでも長門の貪欲な母性本能を充分に満たしてくれた。
その傍らで島風の涙の訳に、思いを馳せる。
人の感情の機微を細やかに察せられる方ではないが、寂しい、とか細く呟き、涙に暮れる姿を見れば一目瞭然だろう。
長門が想像した通り、島風は姉妹のいない孤独を嘆いているのだ。
何とかしてやりたいと思うが、こればかりは何と声を掛ければいいのか思い付かない。
お前は一人じゃない、艦隊の仲間がいるじゃないか―陸奥という妹がいる自分がどんなに耳触りの良い美辞麗句を並べ立てようとも、独り身の島風には嫌味にしか聞こえないだろう。
艦隊の僚艦とは違う、もっと特別な間柄の存在を島風は求めてやまないのだ。
492:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:03:55.27 ID:x4bC75FC
人間で言えば血肉と魂を分けた存在に近しい、姉妹艦を。
でなければここまで悲しみに暮れる事もないだろう―あの間宮にですら、少々細身で姉よりも上背のある妹がいるというのに。。
島風を胸に抱きながら、長門は完全に思考の袋小路に迷い込んでいた。
それ故だろうか。
腕の中の小さな躯が、むずがるように身動ぎしたのに反応できなかった。
一拍遅れて、腕の中の島風に目を落とす。
「どうした?」
柔らかく問い掛けたつもりだが、島風は、幼児のように唸りながら、身動ぎするばかりで答えない。
顔を覗き込もうとすると、長門の腕の中で精一杯小さな身体を背け、白色金の長い髪を簾のように垂らして表情を隠してしまう。
なんと強情な娘だ―長門は苦笑しつつ、包み込むように回していた腕を解き、身体を離した。
島風の身動ぎの理由が、籠もる熱気にあると判断した。
長門は満更でもないが、島風は珠のような汗を肌に浮かべており、髪が頬に張り付いていた―乳の匂いのような体臭が、より濃くなった気がした。
それを嫌がっての行動だと思ったのだが、島風は引っ込められる長門の手を握り、離れるその身に細い肢体をより密着させてきた。
島風が躯を反転させ、二人は向かい合う形となっていた―しかし、それでも顔を合わせたくはないのか、島風は長門のお腹に鼻先を埋めてしまう。
島風は、長門の腹に顔を潜り込ませ、その腰に手を回し、長い脚の間に自らの躯を滑り込ませ、ぎゅう、とより強く密着した。
おやおや―まるで母を求める子供のように、必死にしがみつく姿に、長門は胸中で愛おしさが迸るのを感じた。
ならば、と長門はその頭を撫でてやり、椿油に潤う髪を手櫛で梳いてやった。
ぐりぐりと腹を鼻先で擦られ、薄い襦袢越しに吹きかけられる湿った吐息がこそばゆく、漏れ出る笑いを堪えた。
そうやってしばらくの間、二人は言葉を交わす事なくじゃれ合った―やがて少しは満足したのか、島風は顔を埋めたまま言った。
「…理由を、聞かないんですか?」
長門の身体でくぐもった声は、これから叱られるのを恐れる子供が、親の表情を窺うような、所在なさげな響きを含んでいた。
493:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:05:22.15 ID:x5eHBKdV
「聞かなくとも分かる事ぐらいある。それを今更とやかく問い質されるのは、お前とて嫌なものだろう?」
姉妹のいない孤独を改めて言葉にさせるのは、今の島風には酷に思え、長門はそう慮った。
「うん…」
その深慮に、島風は小さく頷いた。
†
他の駆逐艦や重巡軽巡、空母、戦艦が羨ましかった。
そして嫉ましく、時には憎みもした。
特に長門と陸奥の戦艦姉妹の絆は、金剛型や扶桑型、大和型、その他の艦種が及ばぬほど強く思え、島風は意図せずして避けていた。
だが、悪感情を向ければ向けるほど、自身の孤独が浮き彫りになっていくだけであり、心の飢餓感は増すばかりだった。
普段の人を小馬鹿にしたような態度は羨望と嫉妬の現れであり、子供じみた自己顕示は愛情を求めた末の行動である。
独りぼっちだからこそ、誰かに構って欲しい、姉妹のいない寂しさを紛らわせて欲しい―血の止まらぬ心の傷を癒したくて、島風はいつも自慢の快速をひけらかしながら泣いていた。
いっそ、あの時のように南洋の海底に沈んでしまいたいと願う事すらあった―そうすれば苦しむ事もないだろうに。
だが、誰にも愛されずに孤独のまま轟沈したくはないという想いもあった。
それでは、折角艦娘として温かな生を受けた意味がないではないか。
愛を知らぬまま孤独に果てるなんて、怖くて堪らない。
私は、誰かに愛されたいんだ!―それが小さな島風を戦場に駆り立てる唯一の理由だった。
長門に包まれながら、島風は温もりと悦びを知った―それが一時のものに過ぎないとしても。
同時に、面倒見の良い長門は、自分が可哀想で仕方がないから、ここまで嫌な顔一つせずに我が儘に付き合ってくれていると感じていた。
それも愛である事に変わりはないが、島風が求めているのは、長門が陸奥に向けるような、誰か一人に対して注ぐ、強く特別なものだ。
494:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:06:48.85 ID:x4bC75FC
長門には陸奥がいる。
自分に向けられているこの愛は、親のいない子を憐れむようなものだ。
島風が欲しくてやまないものは、どうしたって手に入れられない。
この温もりに対して心地良さを感じつつ、こんなのじゃない、と否定の言葉を叫び出したい衝動に駆られるが、乾いた砂のような心は、まやかしでも構わないからとしがみつく。
それは擬似餌と知りつつ、貪欲に食いつく魚のようだ。
ただし、魚は釣り上げられてから身を捌かれる絶望を知るが、既に事の顛末を解りきっている島風は、これが終われば殊更に孤独を深めると知っていた。
今だけだなんて嫌だ。ずっとずっと注いで欲しい―涙を堪え、より強く深く、長門に身を寄せる。
温もりを知ったからこそ、再び訪れる孤独に身を捩らんばかりの恐怖を覚え、どうにかなってしまいたかった。
いっそ、一時の思い出というのなら、少しでも長くその余韻に浸れるようなものにしたい―島風の震える心は、密かにそう決意した。
だが、その為にはどうすればいいのだろうか。
愛を渇望するばかりで、島風はどのような行為が愛を強く感じられるのか解らなかった。
ただ、一つだけ今言えるのは、長門と抱き合っていると安らぐという事実だ。
しかし、抱き合っているだけでは、それ以上の実感を得られそうにない。
もっと、もっと欲しいよ―飢餓感に震えるまま、島風はぐりぐりと鼻先を長門の腹に埋めた。
「こら、擽ったいぞ」
くすくすと、長門が笑う声が降り注いできた。
だが、島風は、長門を擽っているつもりはなく、真剣に愛を感じられる行為を模索していた。
でもどうしていいか分からなくて、心だけが荒馬のように逸る。
長門に怒られるかもしれないが、今はそんな事はどうだっていい。荒ぶる心を少しでも鎮めたい、いっそこのまま一つの荒波と化してしまいたい。
495:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:08:06.80 ID:x5eHBKdV
いっその事、溶け合ってその温もりの中に埋もれてしまいたい―島風は、長門の肌にじかに触れたくて、帯を緩め、襦袢の衿の合間に顔を潜り込ませた。
「こらこら。止めないか」
素肌に感じる島風の鼻先と吐息に、長門は擽ったさを堪えきれなかった。
長門はまだ、島風がじゃれているものだと思っていたが、濃密な女の匂いを嗅いだ瞬間、腕の中の小さな艦娘には変化が起きていた。
長門の、精強な戦艦らしい細く引き締まった腹はすべすべとしていて、仄かに甘い匂いがした。
舐めたらどんな味がするんだろう―島風は長門の匂いの虜になり、試しにちろりと舌先を滑らせてみた。
「ひゃっ…」
刹那、長門の身体は電流が走ったかのようにびくりと震えた。
長門の、少し低音で硬質な声音とは違う、まるでなよやかな女人のように甘い声だった。
一見すると男性的な凛々しい魅力すら感じさせる長門が、女を強く感じさせる声を漏らした―その事実に、島風は言い知れぬ興奮を覚えた。
もっと、この声を聞いてみたい―舌先にほのかにしょっぱい汗の味を覚えつつ、島風は夢中で長門の腹にむしゃぶりついた。
しょっぱいのは、きっと長門の汗だろう―島風は、己の双眸から零れる温かな液体の存在を無視した。
†
「あっ…うっ……んん」
おかしい。
一体どうしたんだ。
長門は、堪えようとしても漏れ出る甘い声に、戸惑っていた。
島風が腹に顔を埋めてじゃれついていたかと思うと、帯を緩めて衿の合間に顔を潜り込ませてきた。
それもじゃれつきかと思ったら、今度は素肌を舐め始めたではないか。
少女の小さな舌が肌の上を滑る度に、長門はこそばゆさにも似た快感に身を震わせた。
これはただのじゃれ合いにしては行き過ぎている。
止めさせようと手を伸ばした刹那、島風は小さな躯をいっぱい使い、長門の体を仰向かせてその上に寝そべるように肌を密着させてきた。
496:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:09:50.15 ID:x4bC75FC
長門の体が仰向けになると、緩んでいた帯が完全に解け、襦袢の衿が大きく開いた。
あっ、と思う間もなく、襦袢に包まれていた乳房がはらりと現れる。
戦艦の名に恥じぬ、引き締まった格好の良い肢体ながらも、成熟した女らしく豊満な乳房だった。
つん、と形良く上を向く双丘が織りなす胸の谷間には、うっすらと汗の珠が浮かんでおり、嗅ぐ者を魅了する悩ましい女人の芳香を発している。
「いい加減にしないか…!」
微かに怒気を含んだ声で言い、長門は、悪さをする島風の華奢な肩を掴んだ。
だが、心は急に萎えてしまった。
島風は目に涙を浮かべながら、長門の肌を吸っていた。
まるで母の愛を得ようと必死になる、打ち捨てられた子供のように痛ましい表情に、怒る気力など湧く筈がなかった。
それを見る長門の胸中に去来する思いはいかほどのものだろうか。
「島風」
万感の思いを込めて慈しむように、長門は呼び掛ける。
島風はもはや肌を吸ってはいなかった。
自らの唾液をまぶした長門の肌に、顔を突っ伏して声もなく泣いていた。
長門はそっと島風の腋の下に腕を通すと、自分の躯の上を滑らせて引き上げた。
島風は抵抗することなく、されるがままである。
やがて長門は、島風を身体の上で抱えたまま、顔をつきあわせた。
「言葉は要らないな?」
こくり、と止め処なく涙を溢れさせながら島風は頷いた。
「おいで。抱いてあげよう」
長門は身体の上に乗っていた島風を優しく布団に横たえると、両者の身体の位置を変え、その小さな躯を包み込むように覆い被さった。
近付く二人の吐息が混じり合い、やがて零となる。
小さな桜貝のように慎ましやかな少女の唇に、自らの白桃色の唇を重ねる。
親鳥が小鳥に餌を与えるように、啄むような口付けを少女に与えながら、長門は罪悪感を覚えていた。
†
投下終わり
497:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:14:40.43 ID:x5eHBKdV
ぜかましちゃんが泣いてばかりですまん
でも泣かせたいんだ俺は
ちなみにながもんはイケメン旦那と思いきや貞淑な妻というイメージ
538:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2013/10/24(木) 12:51:42.51 ID:Erq1GSYk
エロパートだけどキスだけ
朝四時に目が覚めてから出勤まで書き続け、昼休みで仕上げた
ちょっと雑で短めかも
週末に修正加筆のtxt上げるかも
†
雨が降っていた。
なのに窓の外から聞こえるのは、凪いだ海の包み込むような波音だけ。
時折、何処かから風鈴の音色が混じる。
屋根や窓硝子に打ち付ける雨音は聞こえない。
それもその筈だ。
雨は雨でも、降っているのは口付けの雨だ。
「あむっ…はむ、んふぅ……」
あどけない少女が口付けをせがんでいる。
自分よりもずっと小さく、幼い少女は、蕾をつけたばかりのように辿々しい。
長門は胸に痛みを感じながら、親鳥に餌を強請る小鳥のように、邪気なく求める少女に唇を与えていた。
この胸の痛みはなんだろう―本当は考えなくても解っていた。
それは充分な性知識もない、肉体的にも未熟な娘と情事に耽る事に対してではなく、もっと別の事についてだった。
妹の、愛する人の、陸奥の布団の上で、少女と契りを結んでいるという事実に、深い罪の意識を感じていた。
これは愛する者を裏切る行為であり、自らに対する背信でもある。
しかし、それを承知していながらも、愛に餓え、孤独に震える少女を放っておける筈がなかった。
きっと自分でなくても、陸奥なら同じ事をしただろうか―これが原因で身を引かれるという事も十分にあり得るが、長門は心の何処かで陸奥を信じていた。
陸奥も、悲しみに暮れる少女を前にして、更に救う手立てが肌を重ねる事しかないと知れば、同じ事をするだろう。
いや、する筈だ。
陸奥の唐竹を割ったかのように清々しい性格ならば、自分のようにうじうじと悩みもせずに、目の前の少女の身も心もとろけさせようと熱心に奉仕するだろう。
そう、今は悩んでも仕方がない。
悩むのではなく、自分に課せられた使命は、この少女の悲しみを少しでも和らげてやる事だと知るべきだ―その後で陸奥には、いっぱい奉仕してやろう。
そうと決まれば脇目を振っている場合ではない。
世界に名だたるビッグセブンの一艦として、年端もいかぬ駆逐艦娘に艶事のイロハを教えてやらねばなるまい。
539:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:53:08.09 ID:q/tasyqp
「島風」
啄むような口付けを止め、島風の名を囁く。
「はい…」
島風は、普段の腕白さからは想像がつかないほど、従順な子犬のように返事をした。
長門を見上げるその瞳は、あどけないながらもとろんとしていて、妙に艶っぽく濡れている。
思わず、長門の胸が熱くなる。
艶事を知らぬ少女に性の悦びを教える事が、こんなにも背徳的な悦びに満ちているとは知らなかった―触れてもいないのに、長門の女もしとどに濡れそぼっていた。
「口を開きなさい」
言われた通り、島風はつぶらな唇をうっすらと開く。
長門は開かれた唇に自らのを再び重ね、そして、そっと舌を差し入れた。
「……!」
自身の口腔内に侵入しようとする長門の舌に、一瞬、島風はとろんとした瞳に驚愕を浮かべ、正気に戻る。
だが、不安に戸惑う幼い心を宥め賺すように、長門はその手に指を絡め、包み込むように優しく握ってやった。
そうして一旦、口付けたまま舌を引っ込め、島風の意志を確かめるように瞳を覗き込んだ。
島風は手を握られて安心したのか、再び目をとろけさせるように細め、やがて閉じた―了承の合図を認め、長門は改めて舌を差し入れた。
するりと島風の小さな口唇に舌を滑り込ませ、歯に触れ、舌に触れる。
「んん…」
舌先に触れる、他人の舌の未知の食感に僅かに身体を震わせ、島風が片方の空いた手の所在を切なそうに求めると、その手も長門が優しく握り込んだ。
540:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:54:29.58 ID:Erq1GSYk
長門は新鮮な感動を覚えていた。
陸奥とは何もかもが違う、島風の口腔内の感触に。
唇も、歯も、舌も、何もかもが小さくて愛らしい。
唇は瑞々しい果実であり、歯は真白き小貝であり、舌は綻んだ花弁である。
唾液に至っては蜜のように甘やかに感じられた―実際は、先程飲んだラムネの甘味が微かに残っているのだけれど。
また、覚束ない舌使いも胸を擽る。
陸奥の、気心の知れた舌使いも安心するのだが、島風の舌は、逃げようか、どうしようかと困っている感じが伝わってきて、その初々しさに切なくなる。
無論の事ながら、長門は逃がすつもりはなかった。
「……んん、っ、ふぅっ」
重ねた唇の隙間から、島風の切なそうな吐息が漏れる。
絡めた指に力をきゅっと込め、初めての感覚に戸惑いながらも島風は懸命に受け入れようとしていた。
島風の舌を追いかけ、擽るように絡め、表も裏も舐めてやり、その柔らかさを感じる。
甘い痺れに背筋がじんとなる。
余りの心地良さに頭が眩む―もっと少女の口腔を味わいたいと長門は逸ったが、じっくり時間をかけてやるべきだろうと、心の片隅に置いた冷静な思考が判断する。
自分の欲望を絵筆に込めて、無垢な少女という名の純白なキャンパスに自由自在に思い描くのは、確かに愉快だろうが、果たしてそれで良いのだろうか。
思いのまま描き散らかしては、少女の純潔と純情を踏みにじるだけだ。
情熱的に、だけど冷静に―そして少しばかりの罪悪を忘れてはならないと、長門は自らを戒めた。
「……ふ、…んふぅっ」
鼻にかかったような吐息が、鼓膜を擽る。
541:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:55:32.82 ID:q/tasyqp
「ん、………っぁ、なが……、んむぅ………」
恐らく口を離して長門の名を呼ぼうとしたのだろうが、長門は島風を離さずに塞ぎ続け、猫の鳴き真似みたいな声が漏れただけだった。
「ふぁ………っ、んんんっ、ゃっ?」
ツルツルとした歯と、しっとりと濡れた舌を一緒に味わい、何度もねぶる。
島風の舌を上の方に追い込んで、長門の都合の良い位置に誘導し、舌の表面で上顎の歯と纏めて舐め、なぞる。
島風の口には些か大きい長門の舌が、歯の一つ一つの感触を確かめるように口腔内を蹂躙すると、長門の手に絡めた島風の指先が小さく、ぴくん、と反応した。
息継ぎをするのも焦れったく、長門は口を大きめに開き、顔を傾けて触れる唇の角度を変えた。
「……??、ぁ、んむ……はぁ…、ふぅっ」
長門の意図に気付いた島風も、同じように口を開き、生じた隙間で息をする。
島風からも長門の舌に触れてきた。
だが、目を閉じたまま、不安げに探るような動きだ。長門はその緊張を解すように、舌の先と先とをつつき合わせて応えた。
力を緩めて、何度も舌の表面を摺り合わせる。唇の隙間から、ぴちゃ、と水の跳ねる湿った音が漏れた。
ふと、唇でも味わいたくなって、長門は逃げるように舌を引いた。
探るように朧気な島風の舌が、急に繋いでいた手を離されて不安がるように、長門の口腔内まで追いかけてきた。
まんまと罠にかかったそれを、唇で強めに挟んだ。
「んんぅっ、……ん?………んー…」
ぴくんと小さな体が、長門の下で跳ねる。
長門は少しだけ島風の舌に歯を立ててみた。ぷりっとした舌筋の弾力が歯を跳ね返す。
その感触もまた面白く、やわやわと食んだ。
「んんー、むぅー!」
だが、島風は唇を重ねたまま、その隙間から抗議の声を漏らしたので、長門は名残惜しげに解放した。
代わりに、島風のちっちゃな上唇と下唇を交互に挟んで、甘く噛んだ。そうすると、島風も応えるように食み返すので、病み付きになりそうだった。
長門は、唇の感触を楽しんだ後、再び島風の口に舌を入れた。
542:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:56:41.14 ID:Erq1GSYk
島風も、最初に比べれば大分肩の力を抜いて受け入れられるようになり、舌と舌が互いを喉奥へと飲み込もうと絡み合った。
大きく、丸ごと頬張り飲み込むように、一度にたくさん絡め合い、感じ合った。
絡めれば絡めるほど、島風は貪欲に求めてくる。
少女が小さな口で、大人の女の舌を懸命に頬張る様は、親鳥から口移しで餌を強請る小鳥のようで、愛おしく切ない。
島風は、愛という餌を少しでも得ようとする小鳥そのものだった。
舌を少しでも引こうとすると、島風は舌で長門のを手繰り寄せ、自身の口内に留め置こうとする。
もっと、ずっと、欲しい―触れた肌から、重ねた唇から、絡む舌から、島風の飢餓感が伝わってくる。
長門はひたすら与えてやりたくて、島風の口内に舌を差し込んだまま動きを止め、やりたいようにさせてやった。
「ん?……ふっ、はむ、あむ」
最初は動きを止めた長門の舌に戸惑ったが、閉じていた目を開き、すぐにその意図を察してやりたいように絡める。
飲み込みが早いのか、単にポテンシャルが高いのか、島風は今では余裕のある動きで長門の舌を擽り、その表面や裏面、構成する粘膜や舌筋を確かめるようにねぶり、絡め、自由自在に小さな口をいっぱいに使って遊ぶ。
お返しとばかりに、小さな歯が、長門の舌を解すように食んだ。
そして唾液を掬い取り、こくん、と小さく喉を鳴らせて嚥下する。
少女に唾液を飲まれた、それも喉を鳴らして―突然の不意打ちに、長門はなんだか顔が熱くなった。
「ぁふ……ぅんゅっ…」
思わず、みっともない声が漏れる。
だが、島風は手を緩めない。
とんとんと島風の舌が長門の舌をノックするので、それに反応するとするりと躱され、隙だらけになった所を優しく徹底的に吸われた。
543:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:57:34.02 ID:q/tasyqp
長門はペースを乱され、戸惑った。
何時の間にか絡んでいた指が解け、島風が長門の両頬を包み込むように手を添えていた。
手加減はなしだった。
玩具にされていた。
舌をくわえ込まれ、乳を吸うように舌を吸われ、こくこくと喉を上下させて唾液を飲まれている。
し、舌が!―自分の舌が、まるで島風の物になってしまったように、その思い通りに甘く翻弄され、動きについていけなかった。
長門の胸を満たすのは底無しの心地良さだった。
危うく腰が砕けて体が島風の上に落ちそうになったのが、少女を押し潰してはならないと僅かばかりに残った自制心が、両手をその頭の傍に着き、腕で少し突っ張るように体を支えた。
口内から零れる唾液が、顎を伝い落ちるのが解った。
「あっ…はふ、ふぅむ……」
それに目敏く気付き、島風は顔を離してぺろりと長門の顎を舐め上げた―長門の頬に添えていた手は何時の間に離され、腕が首に回されて引き寄せられた。
島風は、長門の首に抱きつき、少し上体を浮かせた体勢で、顎ばかりではなく、口の周りや鼻の頭まで、じゃれつく子犬のようにぺろぺろと舐める。
長門は目を閉じ、動物のように飾らない島風の愛情を受け入れた。
やがて満足したのか、島風は顔を離し、首に回していた腕を解き、身体を布団の上にくたりと横たえた。
「舌、疲れた……」
島風はちゃんと呂律が回らなくて、「舌」が「しひゃ」になっていた。
うっすらと汗ばませた顔は、あどけないながらも淫靡な笑みを浮かべている。
「服、脱がせて欲しい…」
島風はもっと肌の温もりを感じたくて、長門に囁いた。
†
投下終わり
544:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 13:08:06.33 ID:Erq1GSYk
キスだけ
まだキスだけなんや…!
きっとながもんの愛撫はねちっこい
幼女好きだからいつもより五割増しぐらいねちっこい
ちっちゃくて食べちゃいたいとか思っている筈
639:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:26:12.67 ID:HRSXsFB/
長陸奥前提の長島
ながもんがちょっと変態
まだまだエロパートは前戯です
†
脱がせて、とそう囁く陸奥は、数え切れぬほど肌を重ね、愛を育み合っても、未通女のように気恥ずかしそうに強請る―いざ行為が始まれば、女の悦びを心の底から楽しむのだが。
そうしてつい此方が受け身に回ると、今度は好奇心旺盛な犬のように盛りつき、弱味を発見すると玩具を見つけた猫のようにいたぶる。
生かさず、殺さず、外堀をじわじわと埋め立て、本丸をちくちくと痛めつけるような、その少し嗜虐的な攻め方も嫌いではない。
むしろ、普段は堅物な自分を色々な柵(しがらみ)から解放してくれるようで、陸奥の前ではありのままの姿でいられた―そう、この部屋で、この布団の上では、何も飾らない自分の姿があった。
陸奥と共に、煩雑な全てから解放されたくて、この布団の上で一つに溶け合おうと夢中で求め合った―それを今、長門は、陸奥ではない、別の少女と情事に耽っている。
身体の下に折り敷いた少女は、期待と不安が入り交じる表情で長門を見上げている。
陸奥の、内から溢れ出る女の悦びを恥じらいで包んだ淫靡な顔ではない。
もっとこの先を知りたくて、でも、やっぱり怖くて―踏ん切りがつかない、そんな表情をしていた。
ずきり、と胸に痛みが走る。
「島風…」
名前を囁き、唇に軽く触れるだけの口付けを交わす―たったそれだけの行為だったが、恐れる島風の心を解すには充分で、小さく頷き、身を任せた。
幼い少女が信頼してくれている。
だからこそ、身を任せてくれている。
島風に対する愛おしさと、陸奥に対する背信の間で揺れる心が、ここに来て長門を迷わせた。
640:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:27:42.74 ID:0Q7sneB3
引き返すなら今しかないだろう―だが、あんなにも情熱的で、あんなにも寂しい口付けを交わして引き返せる筈がなかった。
愛に餓えた少女の心を知って、何もせずに見なかった振りをする事が出来るだろうか。
同情や憐憫と言われればそれまでだが、かといってそれが手を差し伸べない理由と成りうるのだろうか。
もしも、今、此処で、温もりを分け与えねば、島風が何処か遠くへ行ってしまいそうな気がした。
それこそ艦隊の仲間を見捨てる行為であり、陸奥への一番の裏切りだろう。
陸奥は我が身を投げ打って仲間を救った―今度は長門の番だ。
震える少女の心を救えるのは今しかない。
長門は愛と使命感を胸に、陸奥への罪悪感を一時的に振り払うのに努め、目の前の少女の肉体へ集中した―今は恋人のように愛してやる事が必成事項と知るべきだ。
島風の腹の前で襦袢を留めている帯に手を伸ばし、そっと解く。
帯を解く最中、島風は羞恥から顔を両手で多い、身体を震わせた。
「服、脱がせるよ…」
「……っふぅ………!」
耳元に顔を寄せ、息を吹きかけるように囁く。
長門の湿った吐息、潤んだ声を耳朶に浴びただけで、島風はびくんと躯を反応させ、腰を少し浮かした。
少女の華奢な体躯を包み込めるように大きな、貸し与えた自分の襦袢に手を掛け、ゆるりと肌蹴る。
現れた、真白き肌に思わず息を呑む。
瞬間、薄布から解放された少女の体温が熱気となり、ふわり、と長門を包み込む―乳の匂いが一層濃くなったように感じた。
「とても綺麗だ、島風」
長門は恍惚とした表情で、無垢な躯を誉めそやした。
641:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:29:30.02 ID:HRSXsFB/
仄かに汗ばみ、上気した肌は盛春の桜のように色付き、砂糖を溶かした温乳のようにあまやかな芳香を発している―対照的に陸奥は、健康的な明るい肌色で、微かに柑橘類の匂いをしていた。
白い喉が上下し、緊張から唾を飲み込む様子が仔細に見て取れた。
「もっとよく見せて御覧」
島風の腕に手を添え、隠している顔をやんわりと露わにさせる。
「…っやぁ」
小さく声を漏らしたが、島風は長門に従い、なすがままだ―それでも顔は背け、ぎゅっと目を瞑っていたが。
筋肉の少ない頸から折れそうなほど細い鎖骨、柔らかく尖った肩が織り成す繊細なフォルムは、少女の印象を一層儚げにした。
仄かに膨らみ始めた薄い胸は少女の躯に女への覚醒を予感させるには程遠く、だが、白桃色の乳首は慎ましやかながらもいきり立ち、少女が確かな性感を覚えているのを教えてくれた。
うっすらと肋骨の浮き出る脇腹は悲壮的ですらあり、憐憫のような強い愛おしさを募らせる。
しかし肉付きが少ないながらも下腹部は柔らかそうな丘を緩やかに形成しており、ちょんと可愛らしいへそが覗いていた。
そうして、少女の無垢な躯に、上から下へと舐めるように視線を這わせ、とうとう誰も分け入らぬ未踏の箇所へと注ぐ。
少女の花園は清らかなままであり、産毛すら生え揃っていない聖域だった。
きっと愛の蜜壷はまだ蕾のままで、綻んですらいないだろう―長門は直ぐにでもその秘所を間近で愛で、慈しみたいと逸ったが、それは土足で踏み入る恥ずべき行為だと自らを戒めた。
「肩の力を抜きなさい」
口でそう言うが、長門自身が島風の腕を掴んで開かせたままである。
手を離せば島風は、きっと恥ずかしがって隠そうとするだろうから、そうさせない為に必要な措置だ。
長門は再び耳元に顔を寄せる。
白色金の髪の合間から覗く、形の良い耳に息を吹きかけた。
642:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:31:50.11 ID:0Q7sneB3
「ひゃっ…!?」
突然の不意打ちに、島風は小さく悲鳴を漏らして腰を浮かす。
真っ赤に染まった耳に息を当てる度に、少女はもじもじと身を捩らせ、こそばゆさに堪えようとする。
そこへ今度は、予告もなしに耳孔へ舌を差し入れた。
「や、やだぁ…!」
熱く湿った舌に、敏感な耳の穴は異物感を覚え、思わず躯を強ばらせる。
長門は構わず、舌先で少女の耳孔を犯した。
舌を微かに蠢かせると、大きく躯を震わせ、長門の支配から逃れようと身動ぎするが、躯で組み敷き、がっちりと絡み付いた腕がそれを許す筈がない。
耳孔内では、湿った舌粘膜が立てる水音ばかりか、長門の舌先に流れる血脈の音すら何倍にも増幅されており、当人にとっては激流のように荒々しい音に聞こえていた。
島風は、ごぅ、ごぅ、と頭の中で渦巻く奔流に聴覚をすっかり支配されていた。
溺れる!―咄嗟に思い浮かんだのは、海流に飲み込まれ、暗い水底へと為す術もなく沈む前世の記憶だった。
手も足もない、ただの駆逐艦だった前世の自分が、鉄の心臓(タービン)に機銃弾を浴び、船体を裂くほどの高圧の蒸気を吹き上げて波間に消えていく幻影に、一瞬、パニックを引き起こしそうになった。
肌を刺すように冷たい水底の海流は黄泉に屯する亡者のようで、もう二度と自分が温かな太陽の下で海原を走れないという現実を突きつける。
裂けた横腹から体内に入り込む深海の異形の生物達の蠢動に怖気が走った。
彼らからすれば食べられもしない鉄塊だというのに、まるで餓えと渇きに喘ぐ餓鬼共のように挙って押し寄せ、躯の至る所で這い回っている。
島風の鼓動は早まり、冷や汗が滲み出て、恐怖に瞼を固く閉じた―だが、何時の間にか水底へ引きずり込もうとする海流も、蠢く異形の気配も消え失せていた。
自分の物ではない、誰かの、とくん、とくんと緩やかに刻む鼓動が、耳を優しく打つ。
長門が、自分の頭を胸に抱いてくれていると気がつくのに、島風は少々の時間を要した。
目を開けば、眼前には豊満な乳房が織り成す谷間が広がっていた。
島風は心を落ち着けるように深々と呼吸し、汗と女の匂いが入り混じった空気を肺いっぱいに吸い込んでから息を止め、肺胞のが呼気を体内へ取り入れるのを待った。
血中に長門の体温が溶け込むような気がして、前世の死を疑似体験したのが束の間の思い違いである事を理解する。
細胞の一つ一つが長門の温もりを取り込み、恐怖を振り払って新たな活力へ変わっていく気がした。
そうして漸く、島風は安心したように息を吐いた。
643:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:33:58.35 ID:HRSXsFB/
「…怖かった」
長門の胸に顔を埋め、その衣服をぎゅっと掴みながら、島風はぽつりと抗議の声を漏らした。
「すまん。少し怖がらせてしまったか」
島風の頭頂部に鼻先を埋め、取りなすように指で髪を梳いてやりながら、長門は謝罪の言葉を口にした。
直接、頭蓋骨内に響く長門の声が、鎮静剤となって島風の心に染み込んでいく。
うー、うー、と小さな獣のように呻りながら、汗ばむのも構わず、島風は鼻先をぐりぐりと擦り付け、長門の体温と匂いを堪能していた。
一頻りそうやって胸に顔を埋め、抱き合っていると満足したのか、谷間から上目遣いで見上げた。
島風の顔は勿論、長門の胸の谷間も両者の混じり合った汗でしっとり蒸れている。
「続き、して」
言葉少なく、はにかみながら、島風は先を強請るように、長門の腕の中で背伸びして自ら軽く口付けてきた。
「ああ。今度は気をつける」
返すように長門も口付け、暫く触れ合う程度に啄んだ。
そうしてお互いに口付けを交わしながら情欲を高め合い、心身ともに次の高みを求め出したところで、長門は、ころん、と島風を仰向かせ、覆い被さった。
長門としてはどこもかしこも小さくて可愛い島風の躯を愛でたかっただけであり、まずは耳から愛撫を始めたのだが、睦み合いに慣れぬ少女には少々刺激が強すぎたようだ。
陸奥は耳を攻められるのが好みだが、それは島風には合わなかったのだろう。
島風が攻められるのを好む箇所を発見するのも、また趣があって愉しい。
首筋に唇を当て、軽く肌を吸い上げる。
ぴくん、と島風の躯が跳ねるが、居場所を求めるその手が何時の間にか自分の後頭部に添えられ、髪間に指を差し入れて、先を強請るように梳き始めたので、長門は了承の合図と認めて続けた。
ちゅ、と強めに肌を吸い、唇を離すと、ちゅぱ、と少々間抜けな音が響いた。
それの出来を確認し、長門は満足そうに頷く。
桜色の首筋に、紅唇の花が咲いていた。
まざまざと見せつけるような、今の島風は自分ものだという確かな印が、長門の征服欲を満たした。
もっと少女の無垢な躯に征服の印を刻みたくて、長門は夢中になって肌を吸った。
首筋から鎖骨へと至り、鎖骨上窩をぱっくりとくわえ、その僅かな窪みを真空にするべく、頬をすぼめて強く強く吸い上げる。
唇を離すと、ぽん、と栓を開けるような音が響き、ほんのりと朱色に染まる窪みが現れた。
それは、まるで神事に用いる盃のようで、思わず岡崎八幡宮の白酒を注いで飲み干したいという下品な考えが浮かんだが、それは陸奥にしてやろうと密かに企んだ。
644:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:35:30.34 ID:0Q7sneB3
「ふっ……くっ…!」
唇を離す際、一際大きく島風は躯を震わせ、弓なりにそらせる。
長門は島風の首筋、左右の鎖骨とそれらを取り巻く薄い筋肉群に唇で隙間なく愛の足跡を刻み込んだ。
満遍なく吸い上げ、甘い芳香を発する肌を舐め味わい、唾液をまぶし尽くし、一息つく。
ぴくん、ぴくんと与えられる快感に身を震わす島風からは、程良く緊張が抜けてきており、少女の躯が女の悦びを受け入れ始めていた。
もうそろそろ、頃合いだろうか―今まで使わなかった指先で、軽く引っ掻くように脇腹の上を滑らせた。
「あふっ…!」
微かに肋骨の浮き出る、敏感な脇腹を擽られ、島風は声を漏らした。
初々しくも感じている様子に、長門は溜め息が出そうになった。
小さくて可愛くて、いじらしい少女が性の悦びに目覚めていく様は、なんと清らかで美しく、また背徳的で退廃とした蠱惑を秘めているのだろうか。
すぐにでも、慎ましやかな胸の上で控え目に主張する、蕾のような乳首を弄ってしまいたいと思ったが、今まで意図的にそこへの刺激は避けてきた。
性交へ直結する部位ではなく、まずは躯の何気ない箇所に刺激を与え、性感を開発していくというのが長門の計画だった。
早く本物の快楽に打ち震える少女を見たいという欲求を抑え込みながら、長門は浮き出る肋骨のラインを一つ一つ指先でなぞるのに没頭した。
†
投下終わり
645:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:41:32.19 ID:HRSXsFB/
わかめ酒?いいえ、鎖骨上窩酒です
しまかぜちゃんの鎖骨の窪みでお酒を飲みたいと思うながもんでした
でも、それをやったら嫌われそうなので、嫁(陸奥)で試そうと考えるながもんでした
こんなながもんがまだまだ続きます
740:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2013/10/28(月) 16:53:56.34 ID:FjCbPWzK
今日は有給で暇だったが、ひょっとすると11月は暫く投下できないかもしれない
伊豆大島の件で上司から…ごにょごにょなんで
取り敢えず長陸奥前提の長島
今回もまた前戯程度か?
†
寂しげな横顔だった。
海猫のさえずり、柔らかな陽光、打ち砕ける波音―爽やかな快晴だというのに、その駆逐艦の少女は、堤防の上、独りで膝を抱えていた。
その視線の先には、 他の駆逐艦達が滑るように海面を疾駆している。
鎮守府港湾内に設けられた、艦娘専用の演習上で模擬戦に打ち込んでいるのは、暁四姉妹だろうか。
仲の良い姉妹達であり、模擬戦というよりもじゃれ合っているだけのようにも見える。
それを眺める島風の胸中は、いかほどのものだろうか―微かに潤む瞳、噛み締めた下唇から察するに、悲しみの感情を抱いているのだろう。
元気いっぱいで、ちょろちょろと動き回り、ことあるごとに自慢の快速をひけらかす、落ち着きのない駆逐艦というのが島風に対する長門の印象だった。
その時の島風は、今にも泣き出しそうな顔をしているのを、長門は覚えている。
明るい、天真爛漫、太陽みたいだと思っていたばかりに、些か衝撃的だった―その時の島風は、帰り着く母港のない艦のようで、永遠に独りぼっちで海をさまよっているように。
だから長門は、視界の端に留め置くように、密かに島風の事を気にかけていた。
「ん、……ぁ、…くぅ……、っ」
島風は、何か悲しい事に耐えるような顔をして喘いだ。
「…ぅんっ……んっ、ふぅ……」
長門が薄い脇腹を丁寧に撫で上げると、眉を寄せ、きつく目を閉じ、敷き布団を掴んで、島風はふるふると身を震わせた。
与えられる快感に耐える口許から零れるのは、悲しげな色の切ない吐息だった。
途端に、長門の胸中に溢れるのは、情欲を伴った黒い欲望だった。
密やかな悲しみに暮れる少女を、いつかは笑顔にしてやりたいと思っていた反面、もっと泣いている顔を見たいという相反する感情があったのは事実だ。
何故なら、可憐な少女の涙は美しく、切なさに震える姿は堪らなく愛おしく、庇護欲をそそるから―そのような少女は、きっと自分の卑しい望みを満たしてくれるだろうという思いがあった。
741:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:55:25.36 ID:yDhPlGn2
かりかり、と爪を立てたり、指の背で羽毛のように軽く、微かに浮き出る肋骨の線を撫でる度に、華奢な躯が跳ね、震える。
時折、くびれた横腹をさすると、また違った反応を示すので、飽きが来ない。
少女が、撫でられているだけでこんなにも感じてくれている―確かな満足感を、長門は覚えていた。
長門は、島風の躯を仰向けにさせ、そのすぐ傍に身を寄せるように寝そべっていた―左腕は、島風の為に腕枕にしてやり、少し頭を抱え込んでやっている。
そうして今は、寝転がる子猫をあやすように、伸ばした右手で島風の脇や腹を撫でてやっていた。左手は、絶えず安心させるように、その髪や頭を撫でている。
「なが、と……さ…」
存在を確かめるような、不安げな声で呼ぶ。
島風は目は閉じたままだ―開けてしまえば、すべてが夢で、幻だったのではないかと恐れているように。
「此処だよ、島風」
愛撫する手を止め、よしよし、と長門は撫でてやる。
それで島風は満足したのか、再び身を委ねた―不安に怯える姿すら愛おしい。
ふと、長門は、知りたくなった。
今の島風は、一体どんな事を考えているのかと。
小鳥のように震える心の姿を、知ってみたくなった。
「島風」
「んっ……」
耳元で囁くと、それだけで感じてくれる。
愛撫を再開し、腰骨から下腹、臍、鳩尾、胸の中央―あくまでも乳首には刺激を与えないように気を付けて―を、指の背で撫で上げる。
「ひゃっ、んく……ふっ…」
ぞくぞくとした悪寒が、長門の指先の移動と共に、背筋を駆け上る。
まるで羽毛のように朧気な触感に、ちりちりと焦らされるようだった。
鎖骨をなぞり、細い頸を通り、唇に触れる―むにむにと、長門の指先が少女の唇を弄る。
「島風、島風」
「はっ……な、に? ながとさ…んっ」
一旦止まった愛撫により、余裕が生まれたのか、島風はうっすらと目を開き、濡れた瞳で長門を見上げた。
「今、何を考えている…言って御覧」
躯を愛撫され、どんな事を考えているのか、知りたくて仕方がない。
「早く、言って御覧」
「あっ、ふ……くっ」
急かすように愛撫を再開し、敏感な耳の周りを撫でる。
「わか…ん、ない……です」
こそばゆさと快感に身を捩りながら、島風は息も絶え絶えに口を開く。
742:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:56:55.81 ID:FjCbPWzK
「教えて。知りたい。島風の頭の中で、どうなっているのか」
再び手は、島風の躯の上を、上から下へと滑り落ちていく―そうして、薄い胸の中央で止まり、指先で円を描くように焦らす。
「あたま…、まっしろ…です……でも」
島風は大きな声が出ないように、手の甲を口に当て、押さえていた。
「もっと、触って……欲しい、です…」
「何処を触って欲しい?」
溢れる嗜虐心を抑えようともせず、長門は、薄い胸の周辺を撫でる―色素の薄い、咲いた花のような乳輪の形に沿わせるように、指先は円を描く。
「ああぅ、……そこ、もっと、触って…!」
今までよりも強い快感に、島風は腰を浮かせ、背を弓なりにそらせる。
「そこって何処? 言わなくては、分からないな」
少々、いじめ過ぎか?―だが、長門は、島風の口から聞きたかった。
少女が、女の悦びを認め、それを更に求める瞬間を。
それはまさに蛹から蝶へ、蕾から花へと至る変化であり、この一瞬だけは後にも先にも長門以外の何者も得る事の出来ない、神聖にして永遠に冒す事の出来ない時間だった。
閉じた瞳から涙を滲ませながら、島風は掻き消えそうな声で言った。
「胸を…おっぱいを、触って……!」
島風はそれだけ言うと、羞恥からか、両手で顔を覆ってしまった。
長門の胸中に溢れるのは、得も言えぬ至福と征服であり、止め処なく愛おしさがこみ上げてくる。
島風が望む物を全て与えてしまいたい―そう、長門は思った。
「よしよし…島風は素直でいい子だな」
頭を撫でてやり、体勢を入れ替える。
島風を仰向かせたまま、横向きではなく、彼女の頭頂部方向から顔を覗き込むような、足を崩した膝枕をしてやる。
743:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:59:23.77 ID:yDhPlGn2
そして、枕元にいつも置いてある、岩谷堂の小箪笥の引き出しから、軟膏の入った小缶を取り出す。
陸奥との、特別な夜にしか使わない軟膏である。
蓋を開け、長門はその香りを少量、胸に吸い込んだ―心を落ち着ける、仄かに甘く、しっとりとした香りである。
なのに、躯の芯が徐々に熱く、火照るようだ―それは白檀、乳頭、麝香、龍涎香、薔薇などの精油を調合し、溶かし込んだ軟膏であり、所謂媚薬と呼ばれるものだ。
先ずは少量を手に取り、よく馴染ませる。
「嗅いで御覧」
それを馴染ませた指先を、島風の鼻先に翳す。
すんすん、と小動物のように鼻をひくつかせ、島風はその芳香を嗅いだ。
「なんか…んんっ、……甘いけど…いやらしい、匂い」
気に入ったのか、島風は香りを肺に取り入れようと呼吸を荒げている―既に顔を隠してはいない。
そして効果の程は一目瞭然だ―島風の肌はいっそう朱に色付き、股の間をしきりにもじもじとさせている。
秘所から溢れる蜜が内股を濡らし、柔らかな月明かりを受けて銀色の光を発した。
長門は手を伸ばし、予告もなしに、とうとうその箇所に触れた。
「んんっ…!」
堪らず、島風は背を反らせ、爪先までぴんと伸ばした。
軟膏にぬるむ両の指先が、それぞれの蕾を軽く刺激する。
労るように、慈しむように、愛おしむように―少女の繊細な柔肌を傷つけてはならないと、細心を払って愛撫する。
既に痛いほどいきり立っていた乳首が、待ち望んでいた刺激を受け、より固くしこる。
「あ、ふぅっ、ん、……」
甘く、切なく、湿り気を帯びた声は、既に立派な女のそれである。
鼻にかかった声が、もっと欲しい、と暗に求めている。
島風の躯は全体的に肉付きが薄く、他と比べれば幾らか肉が載っている程度の、小さな胸をやわやわと揉み、時折、桜色の乳首を弄ぶ。
指先で軽く引っ掻き、指の腹でやんわりと潰し、微かな罪悪を覚えながら摘む―その都度、小さな躯を精一杯仰け反らせて、感じてくれる様は愛おしいばかりである。
744:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:01:23.15 ID:FjCbPWzK
「う、ふっ…なが、と、さん……」
与えられる快感に耐えながら、島風は白い喉を晒して呼ぶ。
「どうした? 島風」
応える長門は、愛撫する手を止めはしない。
「あの、私……んくっ」
股の間を脚で摺り合わせながら、言おうか言うまいか、迷った末に、島風は言った。
「強く…されるの…好き……みたい」
途切れ途切れの告白が、長門の情欲を決壊させかけた。
「そうか。島風はいやらしい子だな…」
だが、寸での所で思い留まり、その告白した勇気を讃えるように、上体を折って膝元の島風の額に口づける。
淫靡な愛撫の最中、それは一服の清涼剤のように、島風の心を落ち着けた。
「もっと気持ち良くしてやろう」
膝枕を解き、島風の頭を布団に横たえると、長門はそのまま四つん這いで少女の躯の上に這う―四十八手で云う所の二つ巴だが、異なるのは、お互いの上半身だけが互い違いに重なり合っている。
長門は自ら帯を解き、肌に纏い着くだけ煩わしい襦袢を脱ぎ去ると、重たげに揺れる乳房が、島風の眼前に現れた。
結っていた髪も解き、はらり、と御簾のように降りかかる。
「わっ…む、…ふぅ…すぅ…」
そのまま、あまり体重を掛けぬよう、島風に覆い被さる―手はどちらともなく、重ね合っていた。
長門の豊満な乳房に埋もれ、少し息苦しそうだが、島風は女の心地良い肌の匂いを吸い込むのに夢中になった。
胸元に感じる荒い息遣いにこそばゆさを覚えながら、長門は少女の薄い胸に口を寄せた。
745:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:02:22.51 ID:yDhPlGn2
「ふあっ!?」
大きな声が胸元から漏れ、自分の下で躯が跳ねるのが分かった。
長門は、少女の慎ましやかな花弁を口に含み、舌先でねぶりながら味わった。
媚薬の混ざる汗の味はとろりと甘く、刺激的だった―舌の粘膜で摂取したからだろうか、途端にかぁっと長門の女が潤む。
「あっ、ああっ、やだぁっ…!」
よく媚薬を刷り込まれた乳首は、熱く濡れた舌から与えられる刺激を何倍にも増幅して感じており、殆ど暴力的な快楽に島風は頭(かぶり)を振って抗った。
長門は構わず、少女の胸を吸った。
わざと音を立てて吸い、舌で弄び、歯で食んでやる。
自身がまぶした唾液と混ざり、より甘美な味わいに昇華した。
「ふふ…島風のおっぱい、小さくて可愛いな」
唇を離し、愛おしげに囁く。
長い黒髪を掻き揚げ、赤銅色の瞳に好色な輝きを浮かべ、長門は艶やかに微笑んだ。
再び、口による愛撫を再開する。
「やだ、やだぁ…そんな、んく、吸っちゃやらぁ!」
長門の胸に埋もれながら、島風はそれどころではなく、足をもじつかせたり、身を捩る事でしか快感に耐える術はなかった。
今までのフェザータッチの愛撫とは違う。
それは躯の表面上に漣(さざなみ)のような、ただ通り過ぎるだけのこそばゆいものだったが、熱く濡れた粘膜が齎す快感はそれ以上で、躯の奥底から熱を引き出すようだ。
薄い胸を吸われ、ねぶられ、島風の華奢な腰がガクガクと震えた。
触ってもいないのに、自らの秘所は止め処なく蜜を滴らせ、布団を湿らせている。
未成熟な少女の花園に、快楽が積み重なり膨張していく―それはまるでマグマ溜まりのようで、やがて来る臨界点を迎えれば、一気に弾けるというのが幼い島風にも分かった。
未だ一度も気をやった事がない少女は、自身の躯に現れた女の悦びに戸惑いと恐怖を覚えていた。
撫でられたりされるのは気持ちが良く、心が温かくなる。
でも、少し物足りなくて、もっとその先を知りたくて―これがその先なのだろうか。
このまま気持ちいいのが続けば、自分の下腹部の中あたりに生まれたこの感覚が、きっと爆発してしまう。
それはとても恐ろしい事に思え、島風の心は未知への恐怖と、微かな期待に彩られた。
「や、やめ、ふぅ、んん、っ〜〜…!!!」
長門の胸の下で、島風は涙と涎を垂らし、半狂乱になっていた。
快楽の波から逃れたいが、上体は長門の乳房に押さえ込まれ、両の手も指を絡ませ合っている。唯一自由な下半身は、自分の意志とは関係なくガクガクと震え、まるで言う事を聞かなかった。
だから島風に出来るのは、長門の胸の谷間で必死に哀願する事だけだった。
746:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:04:38.88 ID:FjCbPWzK
「そ、そんな…、吸っても…ふくっ、おっぱい、でない、よぉ…」
島風としては、幼い自分の胸から乳など出る筈がないのに、それに執心する長門の心が解らなかった。
それ故の発言だったが、無知な少女の一言が、長門をさらに燃え上がらせた。
「じゃあ、おっぱい出るまで、私が吸ってやろう」
「っ……!!!」
より一層長門の舌使いは激しさを増し、小さな花弁は何度も吸引や舌粘膜、歯噛みに曝され、痛ましいほどにいきり立っていた。
もはや快楽の臨界点はすぐそこだった。
「っ!?!」
長門が、一際強く、かり、と乳首を噛んだ。
そして痛みにも似た甘い電流が走り、蓄積していた下腹部の熱情がとうとう一気に爆発する。
恐い!―今まで経験した事のない感覚に、幼い少女は恐怖に身を竦めた。
だが、快楽の波は容赦なく無垢な躯を打ち震わせる。
恐怖も何もなく、あるのは底無しの快感だった。
「うーっ!!」
豊満な乳房の中で呻きを上げ、小さな躯が、長門の躯を突き上げるように仰け反る。
堪らず目を閉じると、発光信号のような光の残像が飛び交い、そのまま失神してしまいそうになる。
仰け反らせた躯がガクガクと震え、やがてぐったりと力無く布団の上に落ちる―もはや激しい快楽の嵐は過ぎ去り、凪いだ海のように心地良い陶酔感が全身に満ちてきた。
あれだけ緊張していた躯が、今はすっかり緩やかにほぐれている。
何時の間にか拘束は解かれ、長門は再び島風に身を寄せるように寝そべっていた。
島風は暫し、目を瞑り、初めてのオルガスムの余韻に浸っていた。
「長門…さん」
ゆっくりとした動作で、島風はころんと寝返りを打ち、子猫のように躯を丸めて長門に寄せる。
寝返った先は丁度、長門の胸があったので、先程のように顔を埋める。
甘い肌の匂いと、しっとりとした温もりに包まれると、何だか懐かしい気がした―艦娘である自分に赤ん坊の頃や、母などいる筈がないのに。
何となく、そのまま長門の乳房の片方を、試しに口に含んでみた。
「ふふ、甘えん坊だな」
長門はこそばゆい乳の感触に頬を緩め、島風の頭を撫でてやった。
ちうちう、と赤ん坊のように乳房を吸っていると、嬉しいやら恥ずかしいやら、心地良いやら懐かしいやら、色々な感情がこみ上げてきた。
出来れば、おっぱいを飲んでみたいと思ったが、こればかりはどうしようもない―島風は気の済むまで、童心に帰って長門の胸に甘えた。
†
投下終わり
747:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:08:50.20 ID:yDhPlGn2
取り敢えず今回分は終わり
完結まではあともうちょっとだけかかるんじゃ…
少女に媚薬を持ち出すながもんは少々やりすぎか?
色々と詰め込みたいネタが多すぎるけど、それはむっちゃん編に取っておくつもり
長くなる予定なんだけれど、切りのいいところなので投下するわ
内容は長門×陸奥前提の長門×島風のおねロリ
しかしまだエロくはならない
345:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:05:32.98 ID:G53d7cWk
暑い。
暑くて寝苦しい夜だ―長門は、何度目になるかも分からない寝返りを打ってから、とうとう寝床から身を起こした。
涼を少しでも得ようと、大きく開け放った窓辺による。
窓の向こうに広がる、闇に沈む鎮守府の港には、幾つもの雑多な艦艇が犇めき、投錨して佇む姿があった。
艦娘とは違う“普通”の艦艇達は、無言のまま波に揺られて鎮座している。
346:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:07:00.71 ID:G53d7cWk
月明かりに照らし出された彼らは、まるで海に浮かぶ鋼鉄の城のようであり、彼らと自分達艦娘が同種の存在―正確には違うが、戦闘艦の能力を行使できるという点では同じ―であるとは思えない。
そう、彼らは笑ったり泣いたり、怒ったりする事はない。
ましてや、人肌の温もりを感じる事もないだろう―長門は、寝付けない理由が、単に寝苦しいという訳ではない事を素直に認めた。
普段は二人で寝起きする部屋である筈なのに、起居を共にする相手がいない今は寂寥感ばかりが支配しており、胸を焦がす想いゆえに目が冴えていた。
347:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:08:23.43 ID:G53d7cWk
「陸奥…」
長門はその名を愛おしそうに呟く。
長門型戦艦二番艦である陸奥は、先の遠征での傷を癒やす為に現在入渠中であった。
幸い、遠征隊に犠牲となった艦艇はなく、陸奥が少しばかり手酷く傷を負った程度で済んだのだが、長門にとっては気が気ではなかった。
今は旗艦を大和に譲っているとはいえ、長らく連合艦隊の旗艦を務め上げ、世界に名だたるビッグセブンの一角にも数えられる立場ゆえに取り乱す事はなかったが、許されるのであれば直ぐにでもドックに飛び込んで陸奥の顔を一目見たかった。
348:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:09:56.61 ID:G53d7cWk
提督からも、大した事はない、じきに良くなるわ、と言われてはいたが、世界でたった二人きりの姉妹―艦娘は同型艦同士でも人間のように本当の肉親という訳ではないが―であり、血よりも濃く、確かな絆で結ばれているからこそ、会ってこの目で無事を確かめたいのだ。
陸奥への想いが長門の胸を締め付ける。
その痛みと傷を代わってやれるのならば是非ともこの身を捧げてもいい。
ほんの数日だけしか離れていないというのに、何年も会っていないように思えた。
早く、一秒でも早く会いたい。
会って、あの柔肌を抱き締めたい、抱き締められたい―陸奥への切ない思いが、胸を焦がし、身を震わせた。
349:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:11:22.02 ID:G53d7cWk
思わず、襦袢の上から自ら持て余している肉体に触れてみると、熱く火照っていた。
触れてもいないというのに、陸奥との秘め事を脳裏に思い描いただけで、長門の女は潤み、しとどに濡れそぼっていた。
太股を伝い落ちる雫の感触に、肌が粟立つ。
「…私とした事が、なんとはしたない」
己の堪え性のなさに、長門は端正な顔を羞恥に染めた。
これではただの淫乱ではないか―今のこのふしだらな姿を、他の艦娘に見られたら戦艦としての面目は丸潰れだ。
少し夜風に当たって頭を冷すべきだろう。
長門は桐箪笥から取り出した手拭いで潤みを帯びた秘所を拭くと、乱れた襦袢を整え、上靴(スリッパ)を突っかけて、音を立てないように扉を開いて宿舎の廊下に出た。
350:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:12:36.51 ID:G53d7cWk
年季の入った板張りの廊下を、編上靴を改造しただけの上靴で音を立てずに歩くのは至難の業で、しかも長門は艦娘の中でも体躯に優れた戦艦であり、やはり、みしり、みしりと床板が鳴った。
途中、駆逐艦の部屋の前を通る際には殊更慎重になった。
駆逐艦は艦数が多い為か、他の戦艦や空母の少人数部屋と違い、彼女らの起居する部屋は軍の内務班さながらの大部屋であり、部屋と廊下の間に扉はなく、素通しであった。
大型艦種の艦娘は、人間でいえば十代後半から成人女性程度の容姿を備えた者が多いが、駆逐艦達はおしなべて幼い容姿であり、子供といっても差し支えない者ばかりである。
351:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 02:13:56.26 ID:G53d7cWk
小さな体に大きな艤装を背負った姿はいたましいほどに愛らしく、同じ艦娘である長門も幾度となく胸を締め付けられた―それを戦場に送り出す提督は、常に辛そうな顔をしていた。
子供ほどの体躯とはいえ、戦場に於いては実際の駆逐艦並みの火力と装甲、速力を以て勇ましく戦う彼女らだが、戦艦からすればやはり可愛い妹分達であるのに変わりはない。
通り過ぎる際、何気なく部屋の中を覗き見る。
壁際に並べられた寝台の上、健やかな吐息を立てる駆逐艦娘達の愛らしい寝顔に、長門は胸中に暖かいものが溢れるのを感じた。
きっと陸奥も、この寝顔を守る為に身を挺したのだろう―そう考えると、彼女が傷ついた事を痛ましい反面、誇らしいとさえ思えた。
陸奥が復帰するまではこの子達を守ってみせよう、と長門は決意を改め、足音を立てぬようその場から立ち去った。
この時、寝台の一つが乱れた布団だけを残して空となっていたのだが、長門は気づかなかった。
364:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:09:45.37 ID:sJdWUTE8
長島の続きできたから投下するわ
まだエロはない
すまぬ
†
よく冷えたラムネの瓶を二つ手にした長門は、人の目がないかを確認してから、石敷・屋根付きの渡り廊下を渡って炊事場から出てきた。
夜風に当たるだけのつもりだったが、途中で気が変わり、炊事場に忍び込んで電気冷蔵機からラムネの員数をつけてきたのだ。
長門の好物である、間宮謹製のアイスクリームもあったのだが、こんな夜更けに食い意地を張るのも大人気ないし、何より涼を得ようと欲を出して腹を下してはみっともない。
まぁ、ラムネを二本も失敬している時点でどっこいだが―長門は苦笑しつつ、涼風の吹く物干場のベンチに腰掛けた。
潮と鉄の匂いを含んだ、鎮守府の夜風が頬を撫でる。
普段は自慢の長い黒髪を流しているが、今は馬尾のように後頭部で結い上げており、外気に晒されたうなじから熱が逃げていくようで涼しい。
こんな事なら団扇も持ってくるべきだったな―手で顔を扇ぎつつ、長門はそんな事をぼんやりと考えながら、木製の玉押しを手にラムネの栓を開けようとする。
365:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:12:56.07 ID:G53d7cWk
ふと、何かが視界の隅で蠢き、思わず手を止める。
すわ狐狸の類か、と人間よりも遥かに優れた視力でその方向を走査すると、見慣れた鈍色の物体がチョロチョロと動き回っていた。
それは五〇口径三年式一二.七センチ連装砲D型であり、駆逐艦の多くが搭載する標準的な艦載砲だった。
だが、艦娘の艤装の一部でありながら、まるで意志があるかのように自ら動くものは島風の連装砲のみであり、その他には潮の連装砲に顔のようなものがあるぐらいだ。
まさしく、あれは駆逐艦島風の連装砲だろう。三基の内の一基は、“しまかぜ”と銘の入った浮き輪を穿いている。
その三基は、長門の存在に気付く事なくガサガサと下草を揺らしながら植え込みの向こうに消えた。
長門は可愛らしくもある三基を不審に思った。
普段、彼ら連装砲もその他の艦娘の艤装と同様に、演習や出撃以外の場合は格納庫に保管されている。
島風の連装砲は、彼らの主人が演習や出撃に繰り出す事なく鎮守府にいる場合でも行動を共にする事が多いが、それは日中に限った話であり、日が暮れれば彼らの住まいである艤装格納庫へと帰る。
366:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:14:16.52 ID:G53d7cWk
その彼らが、こんな夜更けに格納庫を抜け出して何やらコソコソと動き回っている。
連装砲は艤装の一部でありながら明確な意志を宿している、艦娘以上に不思議な存在であり、表情や仕草でその感情を表す。
艦娘と共に大海原の戦場を駆け抜ける、誠に頼もしくも愛らしい存在であるのだが、そんな彼らの生態は未だに謎に包まれている。
ひょっとしたら、これはもしかして彼らの知られざる生態系の一部を垣間見る好機なのかもしれない―不意に長門の胸中に、連装砲という不思議生物?への好奇心が芽生え、これは確かめねばなるまいという決意に燃えた。
ラムネ瓶を手にしたまま、下草を避けて連装砲達が消えた植え込みへと近付く。
夜露に濡れた下草の感触が足にこそばゆいが、なるたけ音を立てぬように接近する。
何とか長門一人が通れそうな植え込みの切れ目に身体を滑り込ませ、夜戦のように気配を殺し、耳目を済ませてその向こうにいるであろう連装砲達の様子を探る。
そして長門は息を呑んだ。
367:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:15:30.89 ID:G53d7cWk
連装砲達が、鎮座している白色金(ホワイトゴールド)の毛塊に寄り添っているのだ。
まるでその毛塊を慰めるかのように、彼らは鈍色の身体を擦り寄せている。
連装砲達にとってあの毛塊は、大切なものなのだろうか?―邪心崇拝の儀式にも似た不条理なその光景に、何ともいえぬ感情が長門の胸中を支配した。
あっ、と漏れ出そうになる驚きの声を、長門は寸での所で口元を押さえて堪える。
新手の深海棲艦とも思えるようなその奇怪な物体から、にゅっと腕が伸びたかと思うと、連装砲の一基を抱きかかえたのだ。
果たしてそれは、一人の少女だった。
年の頃は十と幾つかを過ぎたぐらいだろうか。腹掛け姿がなんとも邪気なく愛らしい。
腰まで伸びる白色金の髪に、愁いを帯びた白い横顔は西洋人形のようで、長く繊細な睫毛が震えている―少女がしとやかに泣いていると気付いたのは、白磁の肌を滑り落ちる涙が月明かりを反射して宝石のように輝いたからだ。
その横顔には見覚えがあった。
368:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:16:54.36 ID:G53d7cWk
兎の耳のようなカチューシャや、海軍の水兵服のような艤装を身に付けていなくとも、その少女が丙型駆逐艦島風であると認識できた。
こんな夜更けに一人、連装砲をお供にして泣いている姿からして、今の島風は尋常ならざる状態にあると見なすべきだろう。
どういう理由で泣いているのかは分からないが、島風にも独りで涙を流したい時ぐらいあるのだろうか。
幾ら艦娘の一人一人が、実際の戦闘艦並みの戦力を備えた存在であっても、その身に宿る魂は容姿に違わぬ少女のそれである。
少女を象った、喜怒哀楽を備えた軍艦という不思議な存在であればこそだ。
子供に人気だった戦艦長門の魂が宿る為なのか、長門は子供の容姿である駆逐艦を放っておけない性分だが、武人然とした物腰と雰囲気とが相まっていまいち彼女らとの距離感を詰めれず悩んでいた。
有り体に言えば、峻険とした長門は子供っぽい駆逐艦達にとっては近寄り難い存在だった。
それ故に、同じ厳つい戦艦―容姿と物腰が長門よりも随分と朗らかであるのも一因だろう―であるにも関わらず、大和が幼い駆逐艦達の人気を独占している傍らでそれを羨ましく思っていた。
子供好きの長門としては、独りで泣く島風が気になって仕方がなく、どうにかしてやりたいと思ったが、普段の彼女の姿を思い出して辛うじて留まる。
369:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:18:48.53 ID:G53d7cWk
丙型駆逐艦は、謂わば次世代を担う新型駆逐艦だった。まさしく駆逐艦技術の粋を集めて建造された、駆逐艦版大和のような存在であり、全ての能力は高水準を満たし、速力に至っては比肩しうる艦艇がいないほどの快速を誇る。
一部では、駆逐艦でありながら軽巡洋艦に迫るとすら云われている。
それ故か、生来の天真爛漫さに加えて己の高い能力を鼻に掛けていて、若干傲岸不遜な気があり、無邪気な駆逐艦の中では少し浮いていた―その理由は、彼女の態度ばかりではないだろう。
諸事情により丙型駆逐艦は島風ただ一隻のみが建造されたに留まり、事実上、島風は同型艦の姉妹が一人もいない希有な艦娘だった。
駆逐艦は姉妹の多い艦種という印象があるが、そんな中にあっても孤独というのはどういう心境なのだろうか―自分にですら陸奥という妹がいるのに、と長門は思った。
月明かりの下、粛々と涙を零しながら連装砲達と戯れる島風の姿に、長門は胸が苦しくなった。
艦娘にとって姉妹は、人間に於ける肉親とは趣を異にする。
謂わば魂と魄を繋ぐ存在であり、血肉を分かち合うよりも強い結び付きなのだ。
だから、先の大戦の記憶を共有する艦娘は、姉妹の別離を人一倍恐れている節があった。
長門も、先の大戦に於ける陸奥との別れを思い出すだけで、胸が張り裂けんばかりの痛みに襲われる。
艦娘として現世に蘇り、再び戦渦に身を投じる運命でこそはあるが、やがては二人で平和な時代を一目見たいという望みを叶える為に日々を生き抜いているのだ。
370:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:19:57.42 ID:G53d7cWk
だが、島風には、そのような姉妹がいない。
考えれば考えるほど島風が不憫で仕方がなく、切ない気持ちになってしまう。
島風に対する切なさと愛おしさで、長門の心は狂わんばかりに千々と乱れた―それ故に、植え込みからはみ出す襦袢の裾を、連装砲の一基に見つかってしまった。
それをすかさず連装砲は、主である島風に身振り手振りで伝えた。
長らく連れ添っている連装砲の意志を具に感じ取った島風は、はっとした表情で長門が潜む茂みを振り返った。
「誰?」
一部始終を覗き見られていた為だろうか、島風は焦燥から上擦った声で誰何した。
その声に反射的に低く身を臥せた長門は、そもそも覗きなどするのは性分ではない、と自らを戒めつつ、ゆっくりと身を起こして姿を現した。
「長門さん…」
すらりとした長身を認め、島風は一瞬毒気を抜かれたような表情をしたが、直ぐに拗ねたようにそっぽを向いた。
「見てたんですね」
連装砲を胸に抱き、感情を隠そうともせずむすっと言った。
「いや、悪気はなかった。すまない。夜風に当たろうと思って物干場のベンチに座っていたら、連装砲を見つけてな…それで気になって後を付けたら」
「そして私の泣き顔を観察してたって訳ですね。しかもラムネを片手に…結構趣味が悪いんですね」
長門は正直に白状したが、島風は相手が戦艦だろうと構わず、歯に衣着せぬ強気な物言いだ。
長門はそのように言われても怒るどころか、小さな子が精一杯背伸びをしているような、そんな微笑ましさを感じて頬を緩めた。
371:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:21:51.48 ID:G53d7cWk
「隣、いいか?」
返事を待たず、長門は島風の隣に腰を下ろす。
島風は、相変わらずそっぽを向いたままである。
その腕に抱えた連装砲のみが、長門と島風の顔を交互に窺っていた。
「ラムネでもどうだ? 夜とはいえまだ暑い」
長門はラムネ瓶を僅かに傾け、木製の玉押しでビー玉を押し込むと、泡が吹き出ないように暫くそのまま保持した。
泡が吹き出ないのを確認してから、瓶を島風に差し出す。
頂きます、と小さく呟き、島風は瓶を受け取った。
そして、小さな喉を上下させてラムネを飲む島風は、小動物のように愛らしい。
つん、と未だにそっぽを向き続ける強情な島風に苦笑しつつ、長門も自分のを開け、喉を鳴らしてラムネを飲んだ。
喉を駆け下りる炭酸の刺激と爽やかな甘味に、一気に涼を得たりと身体から汗が引いていくようだった。
「聞いても、いいか?」
何を、と島風は言わなかった。
言葉にせずとも、先程の涙の訳を問うている事ぐらい察せられる。
「どうして泣いていたんだ?」
島風は、腕の中の連装砲に目を落とすばかりで、口を開こうとはしなかった。
そうして沈黙を貫き通す事数分―少し不躾すぎたか、と後悔したが、言いたくない事を無理に聞き出すのも気が引ける。
「すまん。言いたくなければ言わなくてもいい…ただ、独りで泣くお前の事が心配だったんでな」
それは長門の偽らざる本音であり、その事を伝えられただけでも良しとするべきか。
邪魔したな、と長門はラムネを飲み干すと、立ち上がろうと地面に手をついた。
だが、咄嗟に重ねられたら小さな手に、動きが止まった。
「待って下さい…ラムネのお礼代わりに、答えます」
だから、今は独りにしないで下さい―と、掻き消えてしまいそうなか細い声で、島風は言った。
投下終わり
372:名無しさん@秘密の花園:2013/10/21(月) 18:33:07.65 ID:G53d7cWk
まだエロにはいかんのだ…むしろエロ書けるのか?
凄く犯罪的で悶死しそうなんだけどおねロリ書きたい
そしてキャラ崩壊してたらすまん
ぜかましちゃんは実は寂しがり屋だとベネ
437:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:31:58.00 ID:tzHwruAW
しかし長陸奥前提の長島を投下するぜ!
まだエロはない
†
人気のない宿舎の廊下を、長門は島風の手を引いて静かに歩いた。
みしり、みしりと床板の軋む音に混じり、時折何処かの部屋から風鈴の涼やかな音色が聞こえてくる。
あの後、島風は泣いていた理由を話そうとしたが、長門はじっくり話を聞けるように場所を変える事にした。
途中まで連装砲達が後ろをついてきたが、やがて主を長門に任せても大丈夫だと判断したのか、小さな手を振って別れた。
連装砲とは謎の多い存在だが、悲しみに暮れている時、なにも言わずにそっと寄り添ってくれるなんて、実に主人思いの好漢?揃いだと感じた。
考え得る中ではやはり自室が最適だろう。
陸奥が入渠中である為、今は長門が一人で寝起きしている為に都合が良い。
それに、夜露を含んだ草の上に座ったが為に襦袢が濡れて不快であり、着替えたいというのもあった。
どれほどの間、あそこで人知れず涙を流していたのかは分からないが、島風の腹掛けも随分と露に濡れており、泥だらけである。
汚れた格好のままでは落ち着ける訳もなく、島風を自室に招いてまずは身綺麗にしてから、と考えていた。
「此処が私と陸奥の部屋だ」
ひそひそと囁き、扉を開け、島風を招き入れる。
お邪魔します、と控え目な声量で島風は長門と陸奥の部屋に入った。
438:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:35:02.21 ID:jtalMXD3
「此処が私と陸奥の部屋だ」
ひそひそと囁き、扉を開け、島風を招き入れる。
お邪魔します、と控え目な声量で島風は長門と陸奥の部屋に入った。
「少し、此処で待っていろ」
靴を脱ぐ僅かな空間しかない土間に島風を留め、長門は土間に備え付けのたらいと洗い干している手拭いを手に、近くの水場へと水を汲みに行った。
たらいに水を張り、部屋へと戻る。
「そこに腰を掛けろ」
島風は言われるがまま、上り框に腰を下ろした。
瞬間、夜露に濡れた股引きが肌に密着し、不快な気分となった。
長門は、上り框に座る島風の足元にたらいを置き、土間に両膝立ちとなった。
そして、手拭いをたらいに張った水で濡らし、適度に絞った。
「片足を出せ」
島風は、右足を長門の前に差し出した。
長門は絞った手拭いを手に、夜露と泥で汚れた島風の右足を拭ってやった。
島風は目を見張った。
まさか、あの長門が、かつては連合艦隊の旗艦を永らく務めたビックセブンが、下女のように自ら進んで自分の足を洗うなんて―島風の戸惑いを余所に、長門はてきぱきと慣れた手付きで、少女の肉付きの薄い足を丁寧に拭ってやった。
指の間、足の裏、踵、踝、脹ら脛、膝裏と下から順に拭ってやる。
当初は戸惑いこそすれ、だが、長門の無私の奉仕は心地良く、島風の心を解きほぐした。
まるで親鳥が自分の羽を繕ってくれるような、そんな小鳥の心境を覚えていた。
戦艦の中でも一際近寄り難い雰囲気を纏う長門に、こんな甲斐甲斐しい一面があったとは意外だった。
動きに淀みがなく、手慣れているという事は、普段から行っているのだろう。
その相手とはやはり、陸奥だろうか。
439:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:40:43.21 ID:tzHwruAW
「何時も、これを陸奥さんに?」
自分の足を拭う長門の手元を見ながら、島風は問うた。
「ああ。私にしてやれるのはこれぐらいだからな…陸奥にはいつも迷惑をかけている」
その所作はまさに長年連れ添った女房のそれである。
よし、次は反対だ、と長門は満足した様子でそう言い、島風は左足を差し出した。
そうして長門が手拭いを洗い、絞っている時だった。
微かに乱れた襦袢の襟元から、長門の白い谷間が覗いていた。
島風の位置からはそれが具に見て取れる。
どうしてだか、思わず胸が大きく跳ねた。まるで肌から匂い立つような色香に、思わず顔を赤らめてそっぽを向く。
おしなべて幼い駆逐艦の中にあっては一際子供っぽい島風だが、艦娘同士の睦み合いを知らぬ訳ではない。
艦娘は人間の少女とは違う存在であるが故に、自ずと心を繋いだ艦娘同士―それも姉妹―で慈しみ合う事が多い。
人間からすれば姉妹同士―厳密には微妙に異なるのだが―で秘め事に及ぶという、なんとも背徳めいた近親関係であるのだが、艦娘自体が人間とは異なる存在であり、そっくりそのまま人間の価値観や世間体が当てはまる訳ではない。
御神酒徳利だなんて―別に島風も異端だとは思わない。
むしろ、愛を囁き合う姉妹がいる艦娘をうらやましいと思っていた。
そう、目の前の長門も、陸奥との仲を特に隠しているという訳ではなく、鎮守府内でも関係を公言している事で有名だった。
このようにいつも足を洗っている、という発言は、長門は陸奥の妻だと自ら認めるにも等しいだろう―この二人に関しては、もはや夫婦も同然と見做しても良い。
姉妹同士で、まるで夫婦のようだとは人間からすれば奇妙かもしれないが、それこそが艦娘達の一つの愛の形なのだ。
440:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:44:28.62 ID:tzHwruAW
皆には愛を育み合える姉妹がいるのに、どうして私には、姉妹がいないのだろう―涙腺が再び弛むのを感じ、慌てて拭う。
ちらり、と長門を盗み見る。
今の涙を見られたのではないかと危ぶんだが、長門は足を熱心に拭ってくれている。
別に今更だが、なんとなく気恥ずかしかった。
「よし、いいぞ」
長門の声にふと我に返り、再び足下に顔を向けた。
またしてもはだけた襟元から覗く長門の谷間を見てしまい、島風は顔を俯かせた―風呂場でいつも見ているというのに、何故か今のこの時は直視できないでいた。
羞恥に俯かせたまま、ありがとうございます、と小声で礼を述べる。
長門は、自分の足の汚れは手早く拭い去り、島風と共に畳敷の部屋に上がった。
生活に最低限必要な家具しかない、質実剛健な戦艦らしい質素な住まいだった。
だが、やはり妙齢の艦娘である故なのか、簡素な化粧台が部屋の片隅に置かれている。
長門も陸奥も化粧をしなくとも十分な美人だが、そこは戦艦(大人の女)としての嗜みなのだろうか―まだ化粧とは程遠い島風には、自分が随分と子供であるのを思い知らされたような気分だった。
長門は部屋に上がるなり、年期の入った桐箪笥から襦袢を二枚取り出した。
441:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:46:01.28 ID:tzHwruAW
「寝間着が汚れているだろう? そのままでは落ち着けないだろうから、私のを貸してやる。丈が合わんとは思うが…許してくれ」
「でも…」
流石にそこまで気遣われると、島風といえども畏れを感じてしまう。
「遠慮はするな。ほら、こっちに来い」
だが、長門は構わず、島風を手招く。
そこまで言われては、断るのも失礼だろうか―島風は渋々と従い、襦袢を受け取る。
「ついでに身体も拭いてさっぱりするといい…少し待て」
長門はなにやら瓶を箪笥から取り出し、中の液体で僅かに湿らせた手拭いも襦袢と共に渡す。
その手拭いからは、薄荷の爽やかな香りがした。
「水で薄めた薄荷油だ。それで拭くと気持ちがいいぞ」
島風は言われた通り紺色の腹掛けと丈の短い股引きを脱ごうとしたが、長門の目の前で脱ぐのは何故か抵抗があった。
なので、背を向け、見られまいとしていそいそと服を脱ぐ。
同時に、背後から僅かに布の擦れる音が聞こえたので、長門も一緒に着替えているのだろう―少しだけ頬が熱くなった。
汗でべたつく身体を手拭いで拭くと、薄荷の涼やかな芳香と、心地良い冷感に汗が引いていくのが分かった。
そうして島風からすれば随分と大きい襦袢を羽織り、袖を通して帯を結ぶと、布地がだいぶ余ってしまった。
着ているというよりも、包まれているといった方が適しているだろうか―着替えて身体を身綺麗にしたからだろうか、先程よりも随分と心は平静を取り戻していた。
しかし、箪笥に入れてある匂い袋のものだろうか、襦袢から仄かに薫る白檀の芳香と、それに混じる長門の香りに頭がくらっとした。
442:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:48:46.30 ID:tzHwruAW
「着替えたな。では、まぁ…そこに座れ」
化粧台の前に置かれた籐のスツールを示され、島風は訝しみながらも座った。
目の前の化粧台の鏡には日除けの布を被せたままだったので、恐らく泣き腫らしているであろう自分の顔を見ないで済んだのが幸いだ。
長門も別のスツールを引き寄せ、島風の背後で腰掛ける。
「髪、触ってもいいか?」
唐突なその言葉に、島風は長門にその真意を問おうと、振り返った。
長門の手には、綺麗な飴色の柘植櫛が握られていた。
「いや、お前の髪がボサボサなんでな…梳かしてやろうと思ったんだが、余計な世話だろうか?」
湿った夜風に長い間当たっていた島風の白色金の髪は、確かに少しぼさぼさだった。
「あ、いえ…お願い、します」
島風も幼いながらも女の子である以上、髪は大切にしているつもりだったが、長門にそう指摘されてはお願いするしかない。
大海原を戦場とする艦娘であるのならば、塩辛い潮気と強い日差しは避けては通れないものであり、それらをいかにして退けるか、というのは艦娘達の間でも専ら取り沙汰されていた。
艦娘と謂えども娘である以上、結構美容については気にしている者が多い。
443:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:51:05.82 ID:tzHwruAW
「私は髪の事に関しては少々自信があるのだ。まぁ、任せて欲しい」
長門は胸を張りながら言った。
確かに、長門の黒髪はまさに艶やかな濡れ羽色であり、湿気の多い海辺の夏の夜だというのに癖もなくしゃらりとしている。
化粧台の上の小箱から、長門は黄色がかった液体の入った瓶を取り出し、さらりとしたそれを少量手に取り、掌によく馴染ませてから、島風の髪に丁寧に塗り込んでいった。
鼻腔を、微かな椿の匂いが擽った。
「大島産の椿油だ。陸奥とは縁深き土地のものでな…私も愛用している」
いたわるかのように優しい長門の手つきは心地良く、島風は目を閉じて感じ入った。
根本から毛先まで、細やかに椿油をうっすらと塗り込み終わると、今度は柘植櫛で梳いていく。
どんな櫛を使っているのか分からないが、櫛通りの良さ、梳かし心地の良さは自分が使っているものとは大違いだ。
「櫛はやはり柘植がいい。だが、暹羅(シャム)のものは駄目だ。きめ細かで滑らかで、粘りのある薩摩の柘植が一番だ…薩摩も、私とは縁が深いな」
薩長の事を言っているのだろう、と島風は髪を梳かれながら意味を解した―だが、意識は、もっと別の物に振り向けられていた。
椿油が馴染んだ柘植櫛。
そればかりが気になって仕方がなかった。
鏡を介して背後の長門を見る事は出来ないが、恐らく頬を綻ばせて櫛を滑らせているに違いない。
雰囲気と、微かに弾んだ声から察するのは簡単だ。
444:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 22:54:08.24 ID:tzHwruAW
「私も、同じ櫛が欲しい」
思わず、島風の口からそんな言葉が漏れた。
それは、ただの子供じみた物欲しさからではない。
「そうか。気に入ってくれたか。なら、今度、取り寄せてやろう」
同好の士を得たり、と長門は喜んだ。
だが、島風が求めているのは違った。
「違うの。その櫛が…欲しいの」
血を吐くように切実な声が、細い喉から絞り出された。
髪を梳かすという行為一つの中にも、長門と陸奥の深い関係が見え、それが人知れず孤独に震える彼女の心を狂おしいまでに揺さぶった。
長門と陸奥を結ぶ絆が、ただ純粋に羨ましかったのだ。
欲しいのは櫛ではない。
誰かとの繋がりが、ただそれだけが欲しい―耐え難い餓えと寒さにも似た孤独感に、島風は知らぬ間に自らの肩を掻き抱いて震えた。
もはや嗚咽を堪えようとも思わなかった。
座ったまま身体を折り、呻きにも等しい声で泣き、はらはらと大粒の涙が零れる。
「寂しい…寂しいよぅ……」
幼児のように小さくなって愚図る島風の姿に、長門は髪を梳く手を止めて困惑するしかなかった。
†
投下終わり
491:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:01:53.82 ID:x5eHBKdV
流れぶった切って長陸奥前提の長島
ちょっとエロくなった
本格的エロスは次回から
†
一体どうしたものか。
長門は、柳眉を潜め、島風を胸の前に抱きながら考えあぐねた。
まるで譫言のように寂しい、寂しいと悲痛な声で愚図る島風を、取り敢えずは畳に敷いた陸奥の布団に座らせると、幼子をあやすように胸に抱き、添い寝をしてやった。
だが、涙を零しながらも島風は強情で、長門の腕に抱かれながらも背を向けている。
そんなに泣き顔を見せたくはないのだろうか―駆逐艦中最高性能の丙型駆逐艦の化身故か、その矜持が邪魔をしているのかもしれない。
かといって、今のこの状況を拒んでいるという訳ではない。
拒むのであれば、こうして腕の中に収まる事も、身体に回した長門の腕に指を絡める事もないだろう。
今では堰を切ったかのような激情は収まったが、依然としてぐすぐすと鼻を啜り、しゃっくりを上げている。
腕の中、震える小さな躯の体温は子供のように高く、立ち上る体臭までもが仄かに乳臭い。
折角身綺麗にしたばかりだというのに、密着する身体はじっとりと汗ばんでいる。
しかし、長門もまんざらではなかった。
子供好きの性格だからか、泣いている少女というのは実に庇護欲をそそる対象であり、こうしているだけでも長門の貪欲な母性本能を充分に満たしてくれた。
その傍らで島風の涙の訳に、思いを馳せる。
人の感情の機微を細やかに察せられる方ではないが、寂しい、とか細く呟き、涙に暮れる姿を見れば一目瞭然だろう。
長門が想像した通り、島風は姉妹のいない孤独を嘆いているのだ。
何とかしてやりたいと思うが、こればかりは何と声を掛ければいいのか思い付かない。
お前は一人じゃない、艦隊の仲間がいるじゃないか―陸奥という妹がいる自分がどんなに耳触りの良い美辞麗句を並べ立てようとも、独り身の島風には嫌味にしか聞こえないだろう。
艦隊の僚艦とは違う、もっと特別な間柄の存在を島風は求めてやまないのだ。
492:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:03:55.27 ID:x4bC75FC
人間で言えば血肉と魂を分けた存在に近しい、姉妹艦を。
でなければここまで悲しみに暮れる事もないだろう―あの間宮にですら、少々細身で姉よりも上背のある妹がいるというのに。。
島風を胸に抱きながら、長門は完全に思考の袋小路に迷い込んでいた。
それ故だろうか。
腕の中の小さな躯が、むずがるように身動ぎしたのに反応できなかった。
一拍遅れて、腕の中の島風に目を落とす。
「どうした?」
柔らかく問い掛けたつもりだが、島風は、幼児のように唸りながら、身動ぎするばかりで答えない。
顔を覗き込もうとすると、長門の腕の中で精一杯小さな身体を背け、白色金の長い髪を簾のように垂らして表情を隠してしまう。
なんと強情な娘だ―長門は苦笑しつつ、包み込むように回していた腕を解き、身体を離した。
島風の身動ぎの理由が、籠もる熱気にあると判断した。
長門は満更でもないが、島風は珠のような汗を肌に浮かべており、髪が頬に張り付いていた―乳の匂いのような体臭が、より濃くなった気がした。
それを嫌がっての行動だと思ったのだが、島風は引っ込められる長門の手を握り、離れるその身に細い肢体をより密着させてきた。
島風が躯を反転させ、二人は向かい合う形となっていた―しかし、それでも顔を合わせたくはないのか、島風は長門のお腹に鼻先を埋めてしまう。
島風は、長門の腹に顔を潜り込ませ、その腰に手を回し、長い脚の間に自らの躯を滑り込ませ、ぎゅう、とより強く密着した。
おやおや―まるで母を求める子供のように、必死にしがみつく姿に、長門は胸中で愛おしさが迸るのを感じた。
ならば、と長門はその頭を撫でてやり、椿油に潤う髪を手櫛で梳いてやった。
ぐりぐりと腹を鼻先で擦られ、薄い襦袢越しに吹きかけられる湿った吐息がこそばゆく、漏れ出る笑いを堪えた。
そうやってしばらくの間、二人は言葉を交わす事なくじゃれ合った―やがて少しは満足したのか、島風は顔を埋めたまま言った。
「…理由を、聞かないんですか?」
長門の身体でくぐもった声は、これから叱られるのを恐れる子供が、親の表情を窺うような、所在なさげな響きを含んでいた。
493:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:05:22.15 ID:x5eHBKdV
「聞かなくとも分かる事ぐらいある。それを今更とやかく問い質されるのは、お前とて嫌なものだろう?」
姉妹のいない孤独を改めて言葉にさせるのは、今の島風には酷に思え、長門はそう慮った。
「うん…」
その深慮に、島風は小さく頷いた。
†
他の駆逐艦や重巡軽巡、空母、戦艦が羨ましかった。
そして嫉ましく、時には憎みもした。
特に長門と陸奥の戦艦姉妹の絆は、金剛型や扶桑型、大和型、その他の艦種が及ばぬほど強く思え、島風は意図せずして避けていた。
だが、悪感情を向ければ向けるほど、自身の孤独が浮き彫りになっていくだけであり、心の飢餓感は増すばかりだった。
普段の人を小馬鹿にしたような態度は羨望と嫉妬の現れであり、子供じみた自己顕示は愛情を求めた末の行動である。
独りぼっちだからこそ、誰かに構って欲しい、姉妹のいない寂しさを紛らわせて欲しい―血の止まらぬ心の傷を癒したくて、島風はいつも自慢の快速をひけらかしながら泣いていた。
いっそ、あの時のように南洋の海底に沈んでしまいたいと願う事すらあった―そうすれば苦しむ事もないだろうに。
だが、誰にも愛されずに孤独のまま轟沈したくはないという想いもあった。
それでは、折角艦娘として温かな生を受けた意味がないではないか。
愛を知らぬまま孤独に果てるなんて、怖くて堪らない。
私は、誰かに愛されたいんだ!―それが小さな島風を戦場に駆り立てる唯一の理由だった。
長門に包まれながら、島風は温もりと悦びを知った―それが一時のものに過ぎないとしても。
同時に、面倒見の良い長門は、自分が可哀想で仕方がないから、ここまで嫌な顔一つせずに我が儘に付き合ってくれていると感じていた。
それも愛である事に変わりはないが、島風が求めているのは、長門が陸奥に向けるような、誰か一人に対して注ぐ、強く特別なものだ。
494:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:06:48.85 ID:x4bC75FC
長門には陸奥がいる。
自分に向けられているこの愛は、親のいない子を憐れむようなものだ。
島風が欲しくてやまないものは、どうしたって手に入れられない。
この温もりに対して心地良さを感じつつ、こんなのじゃない、と否定の言葉を叫び出したい衝動に駆られるが、乾いた砂のような心は、まやかしでも構わないからとしがみつく。
それは擬似餌と知りつつ、貪欲に食いつく魚のようだ。
ただし、魚は釣り上げられてから身を捌かれる絶望を知るが、既に事の顛末を解りきっている島風は、これが終われば殊更に孤独を深めると知っていた。
今だけだなんて嫌だ。ずっとずっと注いで欲しい―涙を堪え、より強く深く、長門に身を寄せる。
温もりを知ったからこそ、再び訪れる孤独に身を捩らんばかりの恐怖を覚え、どうにかなってしまいたかった。
いっそ、一時の思い出というのなら、少しでも長くその余韻に浸れるようなものにしたい―島風の震える心は、密かにそう決意した。
だが、その為にはどうすればいいのだろうか。
愛を渇望するばかりで、島風はどのような行為が愛を強く感じられるのか解らなかった。
ただ、一つだけ今言えるのは、長門と抱き合っていると安らぐという事実だ。
しかし、抱き合っているだけでは、それ以上の実感を得られそうにない。
もっと、もっと欲しいよ―飢餓感に震えるまま、島風はぐりぐりと鼻先を長門の腹に埋めた。
「こら、擽ったいぞ」
くすくすと、長門が笑う声が降り注いできた。
だが、島風は、長門を擽っているつもりはなく、真剣に愛を感じられる行為を模索していた。
でもどうしていいか分からなくて、心だけが荒馬のように逸る。
長門に怒られるかもしれないが、今はそんな事はどうだっていい。荒ぶる心を少しでも鎮めたい、いっそこのまま一つの荒波と化してしまいたい。
495:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:08:06.80 ID:x5eHBKdV
いっその事、溶け合ってその温もりの中に埋もれてしまいたい―島風は、長門の肌にじかに触れたくて、帯を緩め、襦袢の衿の合間に顔を潜り込ませた。
「こらこら。止めないか」
素肌に感じる島風の鼻先と吐息に、長門は擽ったさを堪えきれなかった。
長門はまだ、島風がじゃれているものだと思っていたが、濃密な女の匂いを嗅いだ瞬間、腕の中の小さな艦娘には変化が起きていた。
長門の、精強な戦艦らしい細く引き締まった腹はすべすべとしていて、仄かに甘い匂いがした。
舐めたらどんな味がするんだろう―島風は長門の匂いの虜になり、試しにちろりと舌先を滑らせてみた。
「ひゃっ…」
刹那、長門の身体は電流が走ったかのようにびくりと震えた。
長門の、少し低音で硬質な声音とは違う、まるでなよやかな女人のように甘い声だった。
一見すると男性的な凛々しい魅力すら感じさせる長門が、女を強く感じさせる声を漏らした―その事実に、島風は言い知れぬ興奮を覚えた。
もっと、この声を聞いてみたい―舌先にほのかにしょっぱい汗の味を覚えつつ、島風は夢中で長門の腹にむしゃぶりついた。
しょっぱいのは、きっと長門の汗だろう―島風は、己の双眸から零れる温かな液体の存在を無視した。
†
「あっ…うっ……んん」
おかしい。
一体どうしたんだ。
長門は、堪えようとしても漏れ出る甘い声に、戸惑っていた。
島風が腹に顔を埋めてじゃれついていたかと思うと、帯を緩めて衿の合間に顔を潜り込ませてきた。
それもじゃれつきかと思ったら、今度は素肌を舐め始めたではないか。
少女の小さな舌が肌の上を滑る度に、長門はこそばゆさにも似た快感に身を震わせた。
これはただのじゃれ合いにしては行き過ぎている。
止めさせようと手を伸ばした刹那、島風は小さな躯をいっぱい使い、長門の体を仰向かせてその上に寝そべるように肌を密着させてきた。
496:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:09:50.15 ID:x4bC75FC
長門の体が仰向けになると、緩んでいた帯が完全に解け、襦袢の衿が大きく開いた。
あっ、と思う間もなく、襦袢に包まれていた乳房がはらりと現れる。
戦艦の名に恥じぬ、引き締まった格好の良い肢体ながらも、成熟した女らしく豊満な乳房だった。
つん、と形良く上を向く双丘が織りなす胸の谷間には、うっすらと汗の珠が浮かんでおり、嗅ぐ者を魅了する悩ましい女人の芳香を発している。
「いい加減にしないか…!」
微かに怒気を含んだ声で言い、長門は、悪さをする島風の華奢な肩を掴んだ。
だが、心は急に萎えてしまった。
島風は目に涙を浮かべながら、長門の肌を吸っていた。
まるで母の愛を得ようと必死になる、打ち捨てられた子供のように痛ましい表情に、怒る気力など湧く筈がなかった。
それを見る長門の胸中に去来する思いはいかほどのものだろうか。
「島風」
万感の思いを込めて慈しむように、長門は呼び掛ける。
島風はもはや肌を吸ってはいなかった。
自らの唾液をまぶした長門の肌に、顔を突っ伏して声もなく泣いていた。
長門はそっと島風の腋の下に腕を通すと、自分の躯の上を滑らせて引き上げた。
島風は抵抗することなく、されるがままである。
やがて長門は、島風を身体の上で抱えたまま、顔をつきあわせた。
「言葉は要らないな?」
こくり、と止め処なく涙を溢れさせながら島風は頷いた。
「おいで。抱いてあげよう」
長門は身体の上に乗っていた島風を優しく布団に横たえると、両者の身体の位置を変え、その小さな躯を包み込むように覆い被さった。
近付く二人の吐息が混じり合い、やがて零となる。
小さな桜貝のように慎ましやかな少女の唇に、自らの白桃色の唇を重ねる。
親鳥が小鳥に餌を与えるように、啄むような口付けを少女に与えながら、長門は罪悪感を覚えていた。
†
投下終わり
497:名無しさん@秘密の花園:2013/10/23(水) 19:14:40.43 ID:x5eHBKdV
ぜかましちゃんが泣いてばかりですまん
でも泣かせたいんだ俺は
ちなみにながもんはイケメン旦那と思いきや貞淑な妻というイメージ
538:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2013/10/24(木) 12:51:42.51 ID:Erq1GSYk
エロパートだけどキスだけ
朝四時に目が覚めてから出勤まで書き続け、昼休みで仕上げた
ちょっと雑で短めかも
週末に修正加筆のtxt上げるかも
†
雨が降っていた。
なのに窓の外から聞こえるのは、凪いだ海の包み込むような波音だけ。
時折、何処かから風鈴の音色が混じる。
屋根や窓硝子に打ち付ける雨音は聞こえない。
それもその筈だ。
雨は雨でも、降っているのは口付けの雨だ。
「あむっ…はむ、んふぅ……」
あどけない少女が口付けをせがんでいる。
自分よりもずっと小さく、幼い少女は、蕾をつけたばかりのように辿々しい。
長門は胸に痛みを感じながら、親鳥に餌を強請る小鳥のように、邪気なく求める少女に唇を与えていた。
この胸の痛みはなんだろう―本当は考えなくても解っていた。
それは充分な性知識もない、肉体的にも未熟な娘と情事に耽る事に対してではなく、もっと別の事についてだった。
妹の、愛する人の、陸奥の布団の上で、少女と契りを結んでいるという事実に、深い罪の意識を感じていた。
これは愛する者を裏切る行為であり、自らに対する背信でもある。
しかし、それを承知していながらも、愛に餓え、孤独に震える少女を放っておける筈がなかった。
きっと自分でなくても、陸奥なら同じ事をしただろうか―これが原因で身を引かれるという事も十分にあり得るが、長門は心の何処かで陸奥を信じていた。
陸奥も、悲しみに暮れる少女を前にして、更に救う手立てが肌を重ねる事しかないと知れば、同じ事をするだろう。
いや、する筈だ。
陸奥の唐竹を割ったかのように清々しい性格ならば、自分のようにうじうじと悩みもせずに、目の前の少女の身も心もとろけさせようと熱心に奉仕するだろう。
そう、今は悩んでも仕方がない。
悩むのではなく、自分に課せられた使命は、この少女の悲しみを少しでも和らげてやる事だと知るべきだ―その後で陸奥には、いっぱい奉仕してやろう。
そうと決まれば脇目を振っている場合ではない。
世界に名だたるビッグセブンの一艦として、年端もいかぬ駆逐艦娘に艶事のイロハを教えてやらねばなるまい。
539:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:53:08.09 ID:q/tasyqp
「島風」
啄むような口付けを止め、島風の名を囁く。
「はい…」
島風は、普段の腕白さからは想像がつかないほど、従順な子犬のように返事をした。
長門を見上げるその瞳は、あどけないながらもとろんとしていて、妙に艶っぽく濡れている。
思わず、長門の胸が熱くなる。
艶事を知らぬ少女に性の悦びを教える事が、こんなにも背徳的な悦びに満ちているとは知らなかった―触れてもいないのに、長門の女もしとどに濡れそぼっていた。
「口を開きなさい」
言われた通り、島風はつぶらな唇をうっすらと開く。
長門は開かれた唇に自らのを再び重ね、そして、そっと舌を差し入れた。
「……!」
自身の口腔内に侵入しようとする長門の舌に、一瞬、島風はとろんとした瞳に驚愕を浮かべ、正気に戻る。
だが、不安に戸惑う幼い心を宥め賺すように、長門はその手に指を絡め、包み込むように優しく握ってやった。
そうして一旦、口付けたまま舌を引っ込め、島風の意志を確かめるように瞳を覗き込んだ。
島風は手を握られて安心したのか、再び目をとろけさせるように細め、やがて閉じた―了承の合図を認め、長門は改めて舌を差し入れた。
するりと島風の小さな口唇に舌を滑り込ませ、歯に触れ、舌に触れる。
「んん…」
舌先に触れる、他人の舌の未知の食感に僅かに身体を震わせ、島風が片方の空いた手の所在を切なそうに求めると、その手も長門が優しく握り込んだ。
540:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:54:29.58 ID:Erq1GSYk
長門は新鮮な感動を覚えていた。
陸奥とは何もかもが違う、島風の口腔内の感触に。
唇も、歯も、舌も、何もかもが小さくて愛らしい。
唇は瑞々しい果実であり、歯は真白き小貝であり、舌は綻んだ花弁である。
唾液に至っては蜜のように甘やかに感じられた―実際は、先程飲んだラムネの甘味が微かに残っているのだけれど。
また、覚束ない舌使いも胸を擽る。
陸奥の、気心の知れた舌使いも安心するのだが、島風の舌は、逃げようか、どうしようかと困っている感じが伝わってきて、その初々しさに切なくなる。
無論の事ながら、長門は逃がすつもりはなかった。
「……んん、っ、ふぅっ」
重ねた唇の隙間から、島風の切なそうな吐息が漏れる。
絡めた指に力をきゅっと込め、初めての感覚に戸惑いながらも島風は懸命に受け入れようとしていた。
島風の舌を追いかけ、擽るように絡め、表も裏も舐めてやり、その柔らかさを感じる。
甘い痺れに背筋がじんとなる。
余りの心地良さに頭が眩む―もっと少女の口腔を味わいたいと長門は逸ったが、じっくり時間をかけてやるべきだろうと、心の片隅に置いた冷静な思考が判断する。
自分の欲望を絵筆に込めて、無垢な少女という名の純白なキャンパスに自由自在に思い描くのは、確かに愉快だろうが、果たしてそれで良いのだろうか。
思いのまま描き散らかしては、少女の純潔と純情を踏みにじるだけだ。
情熱的に、だけど冷静に―そして少しばかりの罪悪を忘れてはならないと、長門は自らを戒めた。
「……ふ、…んふぅっ」
鼻にかかったような吐息が、鼓膜を擽る。
541:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:55:32.82 ID:q/tasyqp
「ん、………っぁ、なが……、んむぅ………」
恐らく口を離して長門の名を呼ぼうとしたのだろうが、長門は島風を離さずに塞ぎ続け、猫の鳴き真似みたいな声が漏れただけだった。
「ふぁ………っ、んんんっ、ゃっ?」
ツルツルとした歯と、しっとりと濡れた舌を一緒に味わい、何度もねぶる。
島風の舌を上の方に追い込んで、長門の都合の良い位置に誘導し、舌の表面で上顎の歯と纏めて舐め、なぞる。
島風の口には些か大きい長門の舌が、歯の一つ一つの感触を確かめるように口腔内を蹂躙すると、長門の手に絡めた島風の指先が小さく、ぴくん、と反応した。
息継ぎをするのも焦れったく、長門は口を大きめに開き、顔を傾けて触れる唇の角度を変えた。
「……??、ぁ、んむ……はぁ…、ふぅっ」
長門の意図に気付いた島風も、同じように口を開き、生じた隙間で息をする。
島風からも長門の舌に触れてきた。
だが、目を閉じたまま、不安げに探るような動きだ。長門はその緊張を解すように、舌の先と先とをつつき合わせて応えた。
力を緩めて、何度も舌の表面を摺り合わせる。唇の隙間から、ぴちゃ、と水の跳ねる湿った音が漏れた。
ふと、唇でも味わいたくなって、長門は逃げるように舌を引いた。
探るように朧気な島風の舌が、急に繋いでいた手を離されて不安がるように、長門の口腔内まで追いかけてきた。
まんまと罠にかかったそれを、唇で強めに挟んだ。
「んんぅっ、……ん?………んー…」
ぴくんと小さな体が、長門の下で跳ねる。
長門は少しだけ島風の舌に歯を立ててみた。ぷりっとした舌筋の弾力が歯を跳ね返す。
その感触もまた面白く、やわやわと食んだ。
「んんー、むぅー!」
だが、島風は唇を重ねたまま、その隙間から抗議の声を漏らしたので、長門は名残惜しげに解放した。
代わりに、島風のちっちゃな上唇と下唇を交互に挟んで、甘く噛んだ。そうすると、島風も応えるように食み返すので、病み付きになりそうだった。
長門は、唇の感触を楽しんだ後、再び島風の口に舌を入れた。
542:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:56:41.14 ID:Erq1GSYk
島風も、最初に比べれば大分肩の力を抜いて受け入れられるようになり、舌と舌が互いを喉奥へと飲み込もうと絡み合った。
大きく、丸ごと頬張り飲み込むように、一度にたくさん絡め合い、感じ合った。
絡めれば絡めるほど、島風は貪欲に求めてくる。
少女が小さな口で、大人の女の舌を懸命に頬張る様は、親鳥から口移しで餌を強請る小鳥のようで、愛おしく切ない。
島風は、愛という餌を少しでも得ようとする小鳥そのものだった。
舌を少しでも引こうとすると、島風は舌で長門のを手繰り寄せ、自身の口内に留め置こうとする。
もっと、ずっと、欲しい―触れた肌から、重ねた唇から、絡む舌から、島風の飢餓感が伝わってくる。
長門はひたすら与えてやりたくて、島風の口内に舌を差し込んだまま動きを止め、やりたいようにさせてやった。
「ん?……ふっ、はむ、あむ」
最初は動きを止めた長門の舌に戸惑ったが、閉じていた目を開き、すぐにその意図を察してやりたいように絡める。
飲み込みが早いのか、単にポテンシャルが高いのか、島風は今では余裕のある動きで長門の舌を擽り、その表面や裏面、構成する粘膜や舌筋を確かめるようにねぶり、絡め、自由自在に小さな口をいっぱいに使って遊ぶ。
お返しとばかりに、小さな歯が、長門の舌を解すように食んだ。
そして唾液を掬い取り、こくん、と小さく喉を鳴らせて嚥下する。
少女に唾液を飲まれた、それも喉を鳴らして―突然の不意打ちに、長門はなんだか顔が熱くなった。
「ぁふ……ぅんゅっ…」
思わず、みっともない声が漏れる。
だが、島風は手を緩めない。
とんとんと島風の舌が長門の舌をノックするので、それに反応するとするりと躱され、隙だらけになった所を優しく徹底的に吸われた。
543:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 12:57:34.02 ID:q/tasyqp
長門はペースを乱され、戸惑った。
何時の間にか絡んでいた指が解け、島風が長門の両頬を包み込むように手を添えていた。
手加減はなしだった。
玩具にされていた。
舌をくわえ込まれ、乳を吸うように舌を吸われ、こくこくと喉を上下させて唾液を飲まれている。
し、舌が!―自分の舌が、まるで島風の物になってしまったように、その思い通りに甘く翻弄され、動きについていけなかった。
長門の胸を満たすのは底無しの心地良さだった。
危うく腰が砕けて体が島風の上に落ちそうになったのが、少女を押し潰してはならないと僅かばかりに残った自制心が、両手をその頭の傍に着き、腕で少し突っ張るように体を支えた。
口内から零れる唾液が、顎を伝い落ちるのが解った。
「あっ…はふ、ふぅむ……」
それに目敏く気付き、島風は顔を離してぺろりと長門の顎を舐め上げた―長門の頬に添えていた手は何時の間に離され、腕が首に回されて引き寄せられた。
島風は、長門の首に抱きつき、少し上体を浮かせた体勢で、顎ばかりではなく、口の周りや鼻の頭まで、じゃれつく子犬のようにぺろぺろと舐める。
長門は目を閉じ、動物のように飾らない島風の愛情を受け入れた。
やがて満足したのか、島風は顔を離し、首に回していた腕を解き、身体を布団の上にくたりと横たえた。
「舌、疲れた……」
島風はちゃんと呂律が回らなくて、「舌」が「しひゃ」になっていた。
うっすらと汗ばませた顔は、あどけないながらも淫靡な笑みを浮かべている。
「服、脱がせて欲しい…」
島風はもっと肌の温もりを感じたくて、長門に囁いた。
†
投下終わり
544:名無しさん@秘密の花園:2013/10/24(木) 13:08:06.33 ID:Erq1GSYk
キスだけ
まだキスだけなんや…!
きっとながもんの愛撫はねちっこい
幼女好きだからいつもより五割増しぐらいねちっこい
ちっちゃくて食べちゃいたいとか思っている筈
639:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:26:12.67 ID:HRSXsFB/
長陸奥前提の長島
ながもんがちょっと変態
まだまだエロパートは前戯です
†
脱がせて、とそう囁く陸奥は、数え切れぬほど肌を重ね、愛を育み合っても、未通女のように気恥ずかしそうに強請る―いざ行為が始まれば、女の悦びを心の底から楽しむのだが。
そうしてつい此方が受け身に回ると、今度は好奇心旺盛な犬のように盛りつき、弱味を発見すると玩具を見つけた猫のようにいたぶる。
生かさず、殺さず、外堀をじわじわと埋め立て、本丸をちくちくと痛めつけるような、その少し嗜虐的な攻め方も嫌いではない。
むしろ、普段は堅物な自分を色々な柵(しがらみ)から解放してくれるようで、陸奥の前ではありのままの姿でいられた―そう、この部屋で、この布団の上では、何も飾らない自分の姿があった。
陸奥と共に、煩雑な全てから解放されたくて、この布団の上で一つに溶け合おうと夢中で求め合った―それを今、長門は、陸奥ではない、別の少女と情事に耽っている。
身体の下に折り敷いた少女は、期待と不安が入り交じる表情で長門を見上げている。
陸奥の、内から溢れ出る女の悦びを恥じらいで包んだ淫靡な顔ではない。
もっとこの先を知りたくて、でも、やっぱり怖くて―踏ん切りがつかない、そんな表情をしていた。
ずきり、と胸に痛みが走る。
「島風…」
名前を囁き、唇に軽く触れるだけの口付けを交わす―たったそれだけの行為だったが、恐れる島風の心を解すには充分で、小さく頷き、身を任せた。
幼い少女が信頼してくれている。
だからこそ、身を任せてくれている。
島風に対する愛おしさと、陸奥に対する背信の間で揺れる心が、ここに来て長門を迷わせた。
640:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:27:42.74 ID:0Q7sneB3
引き返すなら今しかないだろう―だが、あんなにも情熱的で、あんなにも寂しい口付けを交わして引き返せる筈がなかった。
愛に餓えた少女の心を知って、何もせずに見なかった振りをする事が出来るだろうか。
同情や憐憫と言われればそれまでだが、かといってそれが手を差し伸べない理由と成りうるのだろうか。
もしも、今、此処で、温もりを分け与えねば、島風が何処か遠くへ行ってしまいそうな気がした。
それこそ艦隊の仲間を見捨てる行為であり、陸奥への一番の裏切りだろう。
陸奥は我が身を投げ打って仲間を救った―今度は長門の番だ。
震える少女の心を救えるのは今しかない。
長門は愛と使命感を胸に、陸奥への罪悪感を一時的に振り払うのに努め、目の前の少女の肉体へ集中した―今は恋人のように愛してやる事が必成事項と知るべきだ。
島風の腹の前で襦袢を留めている帯に手を伸ばし、そっと解く。
帯を解く最中、島風は羞恥から顔を両手で多い、身体を震わせた。
「服、脱がせるよ…」
「……っふぅ………!」
耳元に顔を寄せ、息を吹きかけるように囁く。
長門の湿った吐息、潤んだ声を耳朶に浴びただけで、島風はびくんと躯を反応させ、腰を少し浮かした。
少女の華奢な体躯を包み込めるように大きな、貸し与えた自分の襦袢に手を掛け、ゆるりと肌蹴る。
現れた、真白き肌に思わず息を呑む。
瞬間、薄布から解放された少女の体温が熱気となり、ふわり、と長門を包み込む―乳の匂いが一層濃くなったように感じた。
「とても綺麗だ、島風」
長門は恍惚とした表情で、無垢な躯を誉めそやした。
641:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:29:30.02 ID:HRSXsFB/
仄かに汗ばみ、上気した肌は盛春の桜のように色付き、砂糖を溶かした温乳のようにあまやかな芳香を発している―対照的に陸奥は、健康的な明るい肌色で、微かに柑橘類の匂いをしていた。
白い喉が上下し、緊張から唾を飲み込む様子が仔細に見て取れた。
「もっとよく見せて御覧」
島風の腕に手を添え、隠している顔をやんわりと露わにさせる。
「…っやぁ」
小さく声を漏らしたが、島風は長門に従い、なすがままだ―それでも顔は背け、ぎゅっと目を瞑っていたが。
筋肉の少ない頸から折れそうなほど細い鎖骨、柔らかく尖った肩が織り成す繊細なフォルムは、少女の印象を一層儚げにした。
仄かに膨らみ始めた薄い胸は少女の躯に女への覚醒を予感させるには程遠く、だが、白桃色の乳首は慎ましやかながらもいきり立ち、少女が確かな性感を覚えているのを教えてくれた。
うっすらと肋骨の浮き出る脇腹は悲壮的ですらあり、憐憫のような強い愛おしさを募らせる。
しかし肉付きが少ないながらも下腹部は柔らかそうな丘を緩やかに形成しており、ちょんと可愛らしいへそが覗いていた。
そうして、少女の無垢な躯に、上から下へと舐めるように視線を這わせ、とうとう誰も分け入らぬ未踏の箇所へと注ぐ。
少女の花園は清らかなままであり、産毛すら生え揃っていない聖域だった。
きっと愛の蜜壷はまだ蕾のままで、綻んですらいないだろう―長門は直ぐにでもその秘所を間近で愛で、慈しみたいと逸ったが、それは土足で踏み入る恥ずべき行為だと自らを戒めた。
「肩の力を抜きなさい」
口でそう言うが、長門自身が島風の腕を掴んで開かせたままである。
手を離せば島風は、きっと恥ずかしがって隠そうとするだろうから、そうさせない為に必要な措置だ。
長門は再び耳元に顔を寄せる。
白色金の髪の合間から覗く、形の良い耳に息を吹きかけた。
642:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:31:50.11 ID:0Q7sneB3
「ひゃっ…!?」
突然の不意打ちに、島風は小さく悲鳴を漏らして腰を浮かす。
真っ赤に染まった耳に息を当てる度に、少女はもじもじと身を捩らせ、こそばゆさに堪えようとする。
そこへ今度は、予告もなしに耳孔へ舌を差し入れた。
「や、やだぁ…!」
熱く湿った舌に、敏感な耳の穴は異物感を覚え、思わず躯を強ばらせる。
長門は構わず、舌先で少女の耳孔を犯した。
舌を微かに蠢かせると、大きく躯を震わせ、長門の支配から逃れようと身動ぎするが、躯で組み敷き、がっちりと絡み付いた腕がそれを許す筈がない。
耳孔内では、湿った舌粘膜が立てる水音ばかりか、長門の舌先に流れる血脈の音すら何倍にも増幅されており、当人にとっては激流のように荒々しい音に聞こえていた。
島風は、ごぅ、ごぅ、と頭の中で渦巻く奔流に聴覚をすっかり支配されていた。
溺れる!―咄嗟に思い浮かんだのは、海流に飲み込まれ、暗い水底へと為す術もなく沈む前世の記憶だった。
手も足もない、ただの駆逐艦だった前世の自分が、鉄の心臓(タービン)に機銃弾を浴び、船体を裂くほどの高圧の蒸気を吹き上げて波間に消えていく幻影に、一瞬、パニックを引き起こしそうになった。
肌を刺すように冷たい水底の海流は黄泉に屯する亡者のようで、もう二度と自分が温かな太陽の下で海原を走れないという現実を突きつける。
裂けた横腹から体内に入り込む深海の異形の生物達の蠢動に怖気が走った。
彼らからすれば食べられもしない鉄塊だというのに、まるで餓えと渇きに喘ぐ餓鬼共のように挙って押し寄せ、躯の至る所で這い回っている。
島風の鼓動は早まり、冷や汗が滲み出て、恐怖に瞼を固く閉じた―だが、何時の間にか水底へ引きずり込もうとする海流も、蠢く異形の気配も消え失せていた。
自分の物ではない、誰かの、とくん、とくんと緩やかに刻む鼓動が、耳を優しく打つ。
長門が、自分の頭を胸に抱いてくれていると気がつくのに、島風は少々の時間を要した。
目を開けば、眼前には豊満な乳房が織り成す谷間が広がっていた。
島風は心を落ち着けるように深々と呼吸し、汗と女の匂いが入り混じった空気を肺いっぱいに吸い込んでから息を止め、肺胞のが呼気を体内へ取り入れるのを待った。
血中に長門の体温が溶け込むような気がして、前世の死を疑似体験したのが束の間の思い違いである事を理解する。
細胞の一つ一つが長門の温もりを取り込み、恐怖を振り払って新たな活力へ変わっていく気がした。
そうして漸く、島風は安心したように息を吐いた。
643:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:33:58.35 ID:HRSXsFB/
「…怖かった」
長門の胸に顔を埋め、その衣服をぎゅっと掴みながら、島風はぽつりと抗議の声を漏らした。
「すまん。少し怖がらせてしまったか」
島風の頭頂部に鼻先を埋め、取りなすように指で髪を梳いてやりながら、長門は謝罪の言葉を口にした。
直接、頭蓋骨内に響く長門の声が、鎮静剤となって島風の心に染み込んでいく。
うー、うー、と小さな獣のように呻りながら、汗ばむのも構わず、島風は鼻先をぐりぐりと擦り付け、長門の体温と匂いを堪能していた。
一頻りそうやって胸に顔を埋め、抱き合っていると満足したのか、谷間から上目遣いで見上げた。
島風の顔は勿論、長門の胸の谷間も両者の混じり合った汗でしっとり蒸れている。
「続き、して」
言葉少なく、はにかみながら、島風は先を強請るように、長門の腕の中で背伸びして自ら軽く口付けてきた。
「ああ。今度は気をつける」
返すように長門も口付け、暫く触れ合う程度に啄んだ。
そうしてお互いに口付けを交わしながら情欲を高め合い、心身ともに次の高みを求め出したところで、長門は、ころん、と島風を仰向かせ、覆い被さった。
長門としてはどこもかしこも小さくて可愛い島風の躯を愛でたかっただけであり、まずは耳から愛撫を始めたのだが、睦み合いに慣れぬ少女には少々刺激が強すぎたようだ。
陸奥は耳を攻められるのが好みだが、それは島風には合わなかったのだろう。
島風が攻められるのを好む箇所を発見するのも、また趣があって愉しい。
首筋に唇を当て、軽く肌を吸い上げる。
ぴくん、と島風の躯が跳ねるが、居場所を求めるその手が何時の間にか自分の後頭部に添えられ、髪間に指を差し入れて、先を強請るように梳き始めたので、長門は了承の合図と認めて続けた。
ちゅ、と強めに肌を吸い、唇を離すと、ちゅぱ、と少々間抜けな音が響いた。
それの出来を確認し、長門は満足そうに頷く。
桜色の首筋に、紅唇の花が咲いていた。
まざまざと見せつけるような、今の島風は自分ものだという確かな印が、長門の征服欲を満たした。
もっと少女の無垢な躯に征服の印を刻みたくて、長門は夢中になって肌を吸った。
首筋から鎖骨へと至り、鎖骨上窩をぱっくりとくわえ、その僅かな窪みを真空にするべく、頬をすぼめて強く強く吸い上げる。
唇を離すと、ぽん、と栓を開けるような音が響き、ほんのりと朱色に染まる窪みが現れた。
それは、まるで神事に用いる盃のようで、思わず岡崎八幡宮の白酒を注いで飲み干したいという下品な考えが浮かんだが、それは陸奥にしてやろうと密かに企んだ。
644:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:35:30.34 ID:0Q7sneB3
「ふっ……くっ…!」
唇を離す際、一際大きく島風は躯を震わせ、弓なりにそらせる。
長門は島風の首筋、左右の鎖骨とそれらを取り巻く薄い筋肉群に唇で隙間なく愛の足跡を刻み込んだ。
満遍なく吸い上げ、甘い芳香を発する肌を舐め味わい、唾液をまぶし尽くし、一息つく。
ぴくん、ぴくんと与えられる快感に身を震わす島風からは、程良く緊張が抜けてきており、少女の躯が女の悦びを受け入れ始めていた。
もうそろそろ、頃合いだろうか―今まで使わなかった指先で、軽く引っ掻くように脇腹の上を滑らせた。
「あふっ…!」
微かに肋骨の浮き出る、敏感な脇腹を擽られ、島風は声を漏らした。
初々しくも感じている様子に、長門は溜め息が出そうになった。
小さくて可愛くて、いじらしい少女が性の悦びに目覚めていく様は、なんと清らかで美しく、また背徳的で退廃とした蠱惑を秘めているのだろうか。
すぐにでも、慎ましやかな胸の上で控え目に主張する、蕾のような乳首を弄ってしまいたいと思ったが、今まで意図的にそこへの刺激は避けてきた。
性交へ直結する部位ではなく、まずは躯の何気ない箇所に刺激を与え、性感を開発していくというのが長門の計画だった。
早く本物の快楽に打ち震える少女を見たいという欲求を抑え込みながら、長門は浮き出る肋骨のラインを一つ一つ指先でなぞるのに没頭した。
†
投下終わり
645:名無しさん@秘密の花園:2013/10/26(土) 09:41:32.19 ID:HRSXsFB/
わかめ酒?いいえ、鎖骨上窩酒です
しまかぜちゃんの鎖骨の窪みでお酒を飲みたいと思うながもんでした
でも、それをやったら嫌われそうなので、嫁(陸奥)で試そうと考えるながもんでした
こんなながもんがまだまだ続きます
740:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2013/10/28(月) 16:53:56.34 ID:FjCbPWzK
今日は有給で暇だったが、ひょっとすると11月は暫く投下できないかもしれない
伊豆大島の件で上司から…ごにょごにょなんで
取り敢えず長陸奥前提の長島
今回もまた前戯程度か?
†
寂しげな横顔だった。
海猫のさえずり、柔らかな陽光、打ち砕ける波音―爽やかな快晴だというのに、その駆逐艦の少女は、堤防の上、独りで膝を抱えていた。
その視線の先には、 他の駆逐艦達が滑るように海面を疾駆している。
鎮守府港湾内に設けられた、艦娘専用の演習上で模擬戦に打ち込んでいるのは、暁四姉妹だろうか。
仲の良い姉妹達であり、模擬戦というよりもじゃれ合っているだけのようにも見える。
それを眺める島風の胸中は、いかほどのものだろうか―微かに潤む瞳、噛み締めた下唇から察するに、悲しみの感情を抱いているのだろう。
元気いっぱいで、ちょろちょろと動き回り、ことあるごとに自慢の快速をひけらかす、落ち着きのない駆逐艦というのが島風に対する長門の印象だった。
その時の島風は、今にも泣き出しそうな顔をしているのを、長門は覚えている。
明るい、天真爛漫、太陽みたいだと思っていたばかりに、些か衝撃的だった―その時の島風は、帰り着く母港のない艦のようで、永遠に独りぼっちで海をさまよっているように。
だから長門は、視界の端に留め置くように、密かに島風の事を気にかけていた。
「ん、……ぁ、…くぅ……、っ」
島風は、何か悲しい事に耐えるような顔をして喘いだ。
「…ぅんっ……んっ、ふぅ……」
長門が薄い脇腹を丁寧に撫で上げると、眉を寄せ、きつく目を閉じ、敷き布団を掴んで、島風はふるふると身を震わせた。
与えられる快感に耐える口許から零れるのは、悲しげな色の切ない吐息だった。
途端に、長門の胸中に溢れるのは、情欲を伴った黒い欲望だった。
密やかな悲しみに暮れる少女を、いつかは笑顔にしてやりたいと思っていた反面、もっと泣いている顔を見たいという相反する感情があったのは事実だ。
何故なら、可憐な少女の涙は美しく、切なさに震える姿は堪らなく愛おしく、庇護欲をそそるから―そのような少女は、きっと自分の卑しい望みを満たしてくれるだろうという思いがあった。
741:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:55:25.36 ID:yDhPlGn2
かりかり、と爪を立てたり、指の背で羽毛のように軽く、微かに浮き出る肋骨の線を撫でる度に、華奢な躯が跳ね、震える。
時折、くびれた横腹をさすると、また違った反応を示すので、飽きが来ない。
少女が、撫でられているだけでこんなにも感じてくれている―確かな満足感を、長門は覚えていた。
長門は、島風の躯を仰向けにさせ、そのすぐ傍に身を寄せるように寝そべっていた―左腕は、島風の為に腕枕にしてやり、少し頭を抱え込んでやっている。
そうして今は、寝転がる子猫をあやすように、伸ばした右手で島風の脇や腹を撫でてやっていた。左手は、絶えず安心させるように、その髪や頭を撫でている。
「なが、と……さ…」
存在を確かめるような、不安げな声で呼ぶ。
島風は目は閉じたままだ―開けてしまえば、すべてが夢で、幻だったのではないかと恐れているように。
「此処だよ、島風」
愛撫する手を止め、よしよし、と長門は撫でてやる。
それで島風は満足したのか、再び身を委ねた―不安に怯える姿すら愛おしい。
ふと、長門は、知りたくなった。
今の島風は、一体どんな事を考えているのかと。
小鳥のように震える心の姿を、知ってみたくなった。
「島風」
「んっ……」
耳元で囁くと、それだけで感じてくれる。
愛撫を再開し、腰骨から下腹、臍、鳩尾、胸の中央―あくまでも乳首には刺激を与えないように気を付けて―を、指の背で撫で上げる。
「ひゃっ、んく……ふっ…」
ぞくぞくとした悪寒が、長門の指先の移動と共に、背筋を駆け上る。
まるで羽毛のように朧気な触感に、ちりちりと焦らされるようだった。
鎖骨をなぞり、細い頸を通り、唇に触れる―むにむにと、長門の指先が少女の唇を弄る。
「島風、島風」
「はっ……な、に? ながとさ…んっ」
一旦止まった愛撫により、余裕が生まれたのか、島風はうっすらと目を開き、濡れた瞳で長門を見上げた。
「今、何を考えている…言って御覧」
躯を愛撫され、どんな事を考えているのか、知りたくて仕方がない。
「早く、言って御覧」
「あっ、ふ……くっ」
急かすように愛撫を再開し、敏感な耳の周りを撫でる。
「わか…ん、ない……です」
こそばゆさと快感に身を捩りながら、島風は息も絶え絶えに口を開く。
742:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:56:55.81 ID:FjCbPWzK
「教えて。知りたい。島風の頭の中で、どうなっているのか」
再び手は、島風の躯の上を、上から下へと滑り落ちていく―そうして、薄い胸の中央で止まり、指先で円を描くように焦らす。
「あたま…、まっしろ…です……でも」
島風は大きな声が出ないように、手の甲を口に当て、押さえていた。
「もっと、触って……欲しい、です…」
「何処を触って欲しい?」
溢れる嗜虐心を抑えようともせず、長門は、薄い胸の周辺を撫でる―色素の薄い、咲いた花のような乳輪の形に沿わせるように、指先は円を描く。
「ああぅ、……そこ、もっと、触って…!」
今までよりも強い快感に、島風は腰を浮かせ、背を弓なりにそらせる。
「そこって何処? 言わなくては、分からないな」
少々、いじめ過ぎか?―だが、長門は、島風の口から聞きたかった。
少女が、女の悦びを認め、それを更に求める瞬間を。
それはまさに蛹から蝶へ、蕾から花へと至る変化であり、この一瞬だけは後にも先にも長門以外の何者も得る事の出来ない、神聖にして永遠に冒す事の出来ない時間だった。
閉じた瞳から涙を滲ませながら、島風は掻き消えそうな声で言った。
「胸を…おっぱいを、触って……!」
島風はそれだけ言うと、羞恥からか、両手で顔を覆ってしまった。
長門の胸中に溢れるのは、得も言えぬ至福と征服であり、止め処なく愛おしさがこみ上げてくる。
島風が望む物を全て与えてしまいたい―そう、長門は思った。
「よしよし…島風は素直でいい子だな」
頭を撫でてやり、体勢を入れ替える。
島風を仰向かせたまま、横向きではなく、彼女の頭頂部方向から顔を覗き込むような、足を崩した膝枕をしてやる。
743:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 16:59:23.77 ID:yDhPlGn2
そして、枕元にいつも置いてある、岩谷堂の小箪笥の引き出しから、軟膏の入った小缶を取り出す。
陸奥との、特別な夜にしか使わない軟膏である。
蓋を開け、長門はその香りを少量、胸に吸い込んだ―心を落ち着ける、仄かに甘く、しっとりとした香りである。
なのに、躯の芯が徐々に熱く、火照るようだ―それは白檀、乳頭、麝香、龍涎香、薔薇などの精油を調合し、溶かし込んだ軟膏であり、所謂媚薬と呼ばれるものだ。
先ずは少量を手に取り、よく馴染ませる。
「嗅いで御覧」
それを馴染ませた指先を、島風の鼻先に翳す。
すんすん、と小動物のように鼻をひくつかせ、島風はその芳香を嗅いだ。
「なんか…んんっ、……甘いけど…いやらしい、匂い」
気に入ったのか、島風は香りを肺に取り入れようと呼吸を荒げている―既に顔を隠してはいない。
そして効果の程は一目瞭然だ―島風の肌はいっそう朱に色付き、股の間をしきりにもじもじとさせている。
秘所から溢れる蜜が内股を濡らし、柔らかな月明かりを受けて銀色の光を発した。
長門は手を伸ばし、予告もなしに、とうとうその箇所に触れた。
「んんっ…!」
堪らず、島風は背を反らせ、爪先までぴんと伸ばした。
軟膏にぬるむ両の指先が、それぞれの蕾を軽く刺激する。
労るように、慈しむように、愛おしむように―少女の繊細な柔肌を傷つけてはならないと、細心を払って愛撫する。
既に痛いほどいきり立っていた乳首が、待ち望んでいた刺激を受け、より固くしこる。
「あ、ふぅっ、ん、……」
甘く、切なく、湿り気を帯びた声は、既に立派な女のそれである。
鼻にかかった声が、もっと欲しい、と暗に求めている。
島風の躯は全体的に肉付きが薄く、他と比べれば幾らか肉が載っている程度の、小さな胸をやわやわと揉み、時折、桜色の乳首を弄ぶ。
指先で軽く引っ掻き、指の腹でやんわりと潰し、微かな罪悪を覚えながら摘む―その都度、小さな躯を精一杯仰け反らせて、感じてくれる様は愛おしいばかりである。
744:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:01:23.15 ID:FjCbPWzK
「う、ふっ…なが、と、さん……」
与えられる快感に耐えながら、島風は白い喉を晒して呼ぶ。
「どうした? 島風」
応える長門は、愛撫する手を止めはしない。
「あの、私……んくっ」
股の間を脚で摺り合わせながら、言おうか言うまいか、迷った末に、島風は言った。
「強く…されるの…好き……みたい」
途切れ途切れの告白が、長門の情欲を決壊させかけた。
「そうか。島風はいやらしい子だな…」
だが、寸での所で思い留まり、その告白した勇気を讃えるように、上体を折って膝元の島風の額に口づける。
淫靡な愛撫の最中、それは一服の清涼剤のように、島風の心を落ち着けた。
「もっと気持ち良くしてやろう」
膝枕を解き、島風の頭を布団に横たえると、長門はそのまま四つん這いで少女の躯の上に這う―四十八手で云う所の二つ巴だが、異なるのは、お互いの上半身だけが互い違いに重なり合っている。
長門は自ら帯を解き、肌に纏い着くだけ煩わしい襦袢を脱ぎ去ると、重たげに揺れる乳房が、島風の眼前に現れた。
結っていた髪も解き、はらり、と御簾のように降りかかる。
「わっ…む、…ふぅ…すぅ…」
そのまま、あまり体重を掛けぬよう、島風に覆い被さる―手はどちらともなく、重ね合っていた。
長門の豊満な乳房に埋もれ、少し息苦しそうだが、島風は女の心地良い肌の匂いを吸い込むのに夢中になった。
胸元に感じる荒い息遣いにこそばゆさを覚えながら、長門は少女の薄い胸に口を寄せた。
745:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:02:22.51 ID:yDhPlGn2
「ふあっ!?」
大きな声が胸元から漏れ、自分の下で躯が跳ねるのが分かった。
長門は、少女の慎ましやかな花弁を口に含み、舌先でねぶりながら味わった。
媚薬の混ざる汗の味はとろりと甘く、刺激的だった―舌の粘膜で摂取したからだろうか、途端にかぁっと長門の女が潤む。
「あっ、ああっ、やだぁっ…!」
よく媚薬を刷り込まれた乳首は、熱く濡れた舌から与えられる刺激を何倍にも増幅して感じており、殆ど暴力的な快楽に島風は頭(かぶり)を振って抗った。
長門は構わず、少女の胸を吸った。
わざと音を立てて吸い、舌で弄び、歯で食んでやる。
自身がまぶした唾液と混ざり、より甘美な味わいに昇華した。
「ふふ…島風のおっぱい、小さくて可愛いな」
唇を離し、愛おしげに囁く。
長い黒髪を掻き揚げ、赤銅色の瞳に好色な輝きを浮かべ、長門は艶やかに微笑んだ。
再び、口による愛撫を再開する。
「やだ、やだぁ…そんな、んく、吸っちゃやらぁ!」
長門の胸に埋もれながら、島風はそれどころではなく、足をもじつかせたり、身を捩る事でしか快感に耐える術はなかった。
今までのフェザータッチの愛撫とは違う。
それは躯の表面上に漣(さざなみ)のような、ただ通り過ぎるだけのこそばゆいものだったが、熱く濡れた粘膜が齎す快感はそれ以上で、躯の奥底から熱を引き出すようだ。
薄い胸を吸われ、ねぶられ、島風の華奢な腰がガクガクと震えた。
触ってもいないのに、自らの秘所は止め処なく蜜を滴らせ、布団を湿らせている。
未成熟な少女の花園に、快楽が積み重なり膨張していく―それはまるでマグマ溜まりのようで、やがて来る臨界点を迎えれば、一気に弾けるというのが幼い島風にも分かった。
未だ一度も気をやった事がない少女は、自身の躯に現れた女の悦びに戸惑いと恐怖を覚えていた。
撫でられたりされるのは気持ちが良く、心が温かくなる。
でも、少し物足りなくて、もっとその先を知りたくて―これがその先なのだろうか。
このまま気持ちいいのが続けば、自分の下腹部の中あたりに生まれたこの感覚が、きっと爆発してしまう。
それはとても恐ろしい事に思え、島風の心は未知への恐怖と、微かな期待に彩られた。
「や、やめ、ふぅ、んん、っ〜〜…!!!」
長門の胸の下で、島風は涙と涎を垂らし、半狂乱になっていた。
快楽の波から逃れたいが、上体は長門の乳房に押さえ込まれ、両の手も指を絡ませ合っている。唯一自由な下半身は、自分の意志とは関係なくガクガクと震え、まるで言う事を聞かなかった。
だから島風に出来るのは、長門の胸の谷間で必死に哀願する事だけだった。
746:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:04:38.88 ID:FjCbPWzK
「そ、そんな…、吸っても…ふくっ、おっぱい、でない、よぉ…」
島風としては、幼い自分の胸から乳など出る筈がないのに、それに執心する長門の心が解らなかった。
それ故の発言だったが、無知な少女の一言が、長門をさらに燃え上がらせた。
「じゃあ、おっぱい出るまで、私が吸ってやろう」
「っ……!!!」
より一層長門の舌使いは激しさを増し、小さな花弁は何度も吸引や舌粘膜、歯噛みに曝され、痛ましいほどにいきり立っていた。
もはや快楽の臨界点はすぐそこだった。
「っ!?!」
長門が、一際強く、かり、と乳首を噛んだ。
そして痛みにも似た甘い電流が走り、蓄積していた下腹部の熱情がとうとう一気に爆発する。
恐い!―今まで経験した事のない感覚に、幼い少女は恐怖に身を竦めた。
だが、快楽の波は容赦なく無垢な躯を打ち震わせる。
恐怖も何もなく、あるのは底無しの快感だった。
「うーっ!!」
豊満な乳房の中で呻きを上げ、小さな躯が、長門の躯を突き上げるように仰け反る。
堪らず目を閉じると、発光信号のような光の残像が飛び交い、そのまま失神してしまいそうになる。
仰け反らせた躯がガクガクと震え、やがてぐったりと力無く布団の上に落ちる―もはや激しい快楽の嵐は過ぎ去り、凪いだ海のように心地良い陶酔感が全身に満ちてきた。
あれだけ緊張していた躯が、今はすっかり緩やかにほぐれている。
何時の間にか拘束は解かれ、長門は再び島風に身を寄せるように寝そべっていた。
島風は暫し、目を瞑り、初めてのオルガスムの余韻に浸っていた。
「長門…さん」
ゆっくりとした動作で、島風はころんと寝返りを打ち、子猫のように躯を丸めて長門に寄せる。
寝返った先は丁度、長門の胸があったので、先程のように顔を埋める。
甘い肌の匂いと、しっとりとした温もりに包まれると、何だか懐かしい気がした―艦娘である自分に赤ん坊の頃や、母などいる筈がないのに。
何となく、そのまま長門の乳房の片方を、試しに口に含んでみた。
「ふふ、甘えん坊だな」
長門はこそばゆい乳の感触に頬を緩め、島風の頭を撫でてやった。
ちうちう、と赤ん坊のように乳房を吸っていると、嬉しいやら恥ずかしいやら、心地良いやら懐かしいやら、色々な感情がこみ上げてきた。
出来れば、おっぱいを飲んでみたいと思ったが、こればかりはどうしようもない―島風は気の済むまで、童心に帰って長門の胸に甘えた。
†
投下終わり
747:名無しさん@秘密の花園:2013/10/28(月) 17:08:50.20 ID:yDhPlGn2
取り敢えず今回分は終わり
完結まではあともうちょっとだけかかるんじゃ…
少女に媚薬を持ち出すながもんは少々やりすぎか?
色々と詰め込みたいネタが多すぎるけど、それはむっちゃん編に取っておくつもり
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