BBSPINKレズ・百合萌え板の【艦これ】艦隊これくしょんで百合スレのSSまとめサイトです

266:名無しさん@秘密の花園:2013/10/20(日) 00:10:30.31 ID:bRB798cB
流れぶった切って加賀さん建造祈願に赤加賀投下します

ここしばらくは互いに忙しい日々に追われるばかりで、共にゆっくりと食事を取ることも儘ならない状況だった。
先日、予てよりの目標である海域にて破壊活動を行う深海凄艦を撃退し、
これに伴い空母機動部隊の主力を担う私達が出撃する機会も以前と比べると大幅に減っていた。
まだまだ油断ならない状況下であるとはいえ、こうしてまた加賀と二人で食卓を囲みながら何気ない会話を交わす。
ただそれだけで私の中で言い知れぬ喜びが滾々と込み上がり、こんなにも幸せに満ち足りた時間が永く続けばいいのにと、そう願わずにはいられない。

「加賀さんと食事をするのも随分と昔のことのようね」
「……そうね。けれど、また赤城さんと共に過ごせる機会に恵まれて私も嬉しく思うわ」

柔らかく微笑むその表情に私の心はこうも簡単に奪われてしまう。
何よりそれが他ならぬ私に向けられたものだと思えば途端に顔が火照ってしまい、平然さを装えるはずもなかった。
変に会話の間が空くことを避けるため、私は何処かぎこちない動作ながらも目の前に差し出された料理を黙々と食べ進めていく。

267:名無しさん@秘密の花園:2013/10/20(日) 00:13:05.83 ID:bRB798cB
「そんなに急いで食べては消化に悪いわ」

私の心境など露ほども知らぬ加賀はというと、年端もいかない子供を窘めるような口調で全く見当違いなことを言うのだから困り者だ。
これでは私ばかりが変に意識をしているようではないかと内心引っ掛かる部分を感じつつも、
熱に浮かされ今にも遠退いてしまいそうな思考に喝を入れる。
まるで焼き尽くされたかのように喉がひどく渇いてしょうがない。
それなりに時間が経過していることもあって、手にしたグラスの表面には水滴が付着しており、湿った感触が掌全体を包み込む。
例え温くなってしまった水でも口に含んでしまえば幾許か喉の渇きは潤せたようには思えた。

268:名無しさん@秘密の花園:2013/10/20(日) 00:15:28.85 ID:bRB798cB
ただそれも束の間の出来事でしかなかったけれど。
グラスから唇を離す頃合いを見計らっていたのだろうか。その瞬間、艶っぽく濡れた瞳が私を射抜いた。

正規空母『加賀』は笑わない。
鎮守府に着任してから間もない頃、そういった類の噂を耳にしたことがある。
私自らが噂の出所を詮索することもなかったが、
恐らくは一部のろくでもない士官が言い出したことだろうとは想像に難くない。
何せ、その噂の内容というのが「愛想が無くて可愛げない」やら
「お高く留まっている」
など聞くに堪えない話ばかりで、嫌でも耳にする度に私はいたく気分を害した。

269:名無しさん@秘密の花園:2013/10/20(日) 00:17:47.84 ID:bRB798cB
「言いたい人には言わせておけばいいわ。だから、赤城さんがそのことで心を痛めることもないのよ」
「でも、それでは加賀さんがあまりに不憫だわ……」
「例え、他の誰かに理解して貰えなくても赤城さん、
貴女が理解してくれたなら私は一向に構わないわ」

さも気にしてないといった様子で加賀は言うが、私はただ悲しかった。
表情が読み取りにくいからといって、感情が欠落している訳でもない。
五航戦である翔鶴と瑞鶴の二人に対して何かと厳しく接するのも、
偏に先の敗戦によってミッドウェーの海に沈んだ私達のような二の舞を踏まないでほしいという願いから。
今さら口に出せないだけで、加賀も僚艦として彼女達の実力を素直に認めているのだ。
その一方で、加賀のことをよく知りもしない人間が半ば憶測だけで好き勝手なことを言う事実に我慢ならなかった。

270:名無しさん@秘密の花園:2013/10/20(日) 00:20:13.60 ID:bRB798cB
今もその思いに何ら遜色はないのだけれど、
こうした表情を向けられると途端に子供じみた独占力に苛まれてしまう。
その表情を他の誰にも向けないで。
ずっと私にだけ向けてほしい、と。
一瞬たりとも加賀から視線を逸らせない。
甘くも切ない。それでいて儚いとさえ感じてしまうような、幸せな時間が空間を満たしていく。
酔いしれるようにその幸せに浸っていれば、また加賀が柔らかく微笑んだ。

以上です。長々と失礼しました。

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