420:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 17:01:09.28 ID:VTNobYYL 駆逐艦でありながら、大いなる闇の力に目覚めてしまった四隻の艦娘。 彼女たちは戦艦をも遥かに凌ぐその力を僚艦から隠しつつも、不思議な運命の導きによって引かれ合い、 秘密同盟『†漆黒の水雷†』を結成、深海棲艦を裏で操る影の組織『C.A.T』と日々熾烈な戦いを繰り広げていた。 他の駆逐艦たちが寝静まり、軽巡洋艦が騒ぎ出す深夜10時。 鎮守府のある一室で今夜もまた彼女たちによる秘密の会合が開かれようとしていた。 ??「同志諸君、アーク・デル・フィナーリエ!」 ??「アーク・デル・フィナーリエ」 ??「あーく・でる・ふぃなーりえ」 ? 「プリヴィエート」 ??「同志エコー、我らの会合の場で敵性語は慎みたまえ」 ? 「イズヴェニーチェ(ごめん)」 ??「また……!」 ??「まあいいじゃん、りーだー。 それより今回の作戦を」 421:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 17:07:13.65 ID:VTNobYYL ??「うむ……それだ。 前回は空母のオーラを我らのパワーと同化すべく、 ボーキサイトを直接身に取り込む『作戦(オペラツィオン):A』を行ったわけだが……」 ? 「あれは失敗だったね…… 不死鳥と謳われたこのボクの能力(ちから)をもってしても無理だった」 ??「ああ、同志ファーストスノーに至っては『慣れれば案外いけるのかも』とか言いながら 無理して食べ続けた結果、次の日お腹が痛くなって、遠征を休んで怒られたそうだ」 ??「白雪にひざまくらしてもらった……」 ? 「あと隠してたおやつがいつのまにかなくなってて、赤城さんがものすごい顔してたよ」 ??「フッ、所詮我々の持つ闇のエーテルが、空母の光のアストラルと相容れなかったというだけのこと…… それでリーダー・クリサンセマムムーン、今回は?」 ??「そう急くな、同志ヤングリーフ。 今回はいよいよ戦艦との同化を行おうと思う」 ??「おおっ」 ? 「ついに……」 ??「空母と違い、砲撃戦を中心とする戦艦なら我等の闇のエーテルにも拒否反応は少ないはず…… だが、この作戦もまた前回以上の危険を伴うだろう。 それでも、行うか?」 ? 「カニェーシナ(もちろんさ)」 ??「フ……その痛みもまた悪くない……」 ??「いいだろう…… 同志たちの勇気に敬意を表する。 同志ファーストスノー、例のものを」 ??「らじゃー」 422:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 17:12:54.79 ID:VTNobYYL ??「これは……服、か……?」 ??「そう……まぎれもなく戦艦扶桑の衣装上下一式だ」 ??「演習さぼって、誰もいないあいだにこっそり洗濯場から持ってきた」 ??「お前またサボったのか…… それで、この服がいったい……?」 ??「この前、工廠の裏で山城さんがこれに顔うずめてた」 ? 「!?」 ??「それで『姉様、姉様のぱわーが染み渡ってくるぅ……姉様ぁ』ってずっとつぶやいてた」 ??「なん……だと……」 ??「これでわかっただろう、戦艦同士は衣装を通じてお互いのパワーをチャネリングしているのだ。 それが戦艦のあの恐るべき攻撃力の秘密であることにもはや疑いの余地は無い…… 私の独自調査でも、金剛型戦艦の間において、同種の儀式が執り行われているのが確認されている」 ? 「じゃあ、もしかしてこないだ、陸奥さんが島風のと同じ服を着て、長門さんの周りを 妙にそわそわしながらうろついてたのも、ただの奇行ではなくて……?」 ??「うむ……おそらくはそれも島風のスピードを得るため、 そして同型艦の長門と自らのスピードを比較するために違いない」 ??「ならば、この服には戦艦扶桑のパワーが……」 ??「そう、並の駆逐艦では力の欠片も感じることすら出来まい……だが、暗黒のチャクラを開いた我々なら 戦艦扶桑のパワーにチャネリングすることも可能だ。 しかし、それには果てしない危険が伴うだろう。 何しろ相手は超弩級戦艦、駆逐艦の身にその莫大なパワーが収まりきるかどうか……」 ??「わたしがやる」 ? 「!!」 423:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 17:18:41.25 ID:VTNobYYL ??「待て、同志ファーストスノー、早まるな。 ここはまず慎重に……」 ??「ううん、わたしが持ってきたから。 まずわたしがやる」 ??「……そうか……いいだろう。 我らが同志に大いなる闇の祝福を。 イル・カンパナーリオ・アデッラ」 ??「フッ、それがお前の選択ならば…… イル・カンパナーリオ・アデッラ」 ? 「ジェラーユウダーチ(がんばれ)」 ??「みんな、ありがと……じゃ、いくよ…… ……(まふっ)」 ??「……」 ??「……」 ? 「……」 ??「…… ……あっ……」 ??「何!?」 ??「どうなんだ、同志ファーストスノー!?」 ??「これ……すっごいいいにおい……」 ??「待て……待て、わかった。 じゃあ、次はリーダーの私だ、貸せ。 ……(まふっ)」 ??「……」 ? 「り、リーダー、どうなのさ」 ??「…… ……ふあぁ……」 ? 「つ、次はボクが!」 ??「いや、待て。 階位序列から言えば順番は私のはずだ!」 ??「わたしも…… もう一回……」 424:名無しさん@秘密の花園:2013/10/22(火) 17:24:23.57 ID:VTNobYYL ? 「スパシーバ……」 ??「……これ、やばいわ…… ぱわーみなぎるわ……」 ??「フッ…… 戦艦を贄に、更なる闇の力を得てしまったか……」 ??「チャクラが数倍に進化したのを感じる…… 我が真の能力、解放の時もいよいよ間近のようだ……」 ? 「ねえ、これさ……」 ??「発言を許可しよう、同志エコー」 ? 「衣装でこれなら、本人から直接パワーを得ることができればきっと……」 ??「!?」 ??「!?」 ??「それだ……! よし、明日、我々『†漆黒の水雷†』は戦艦扶桑との直接接触による パワーチャネリングを決行する。 名づけて、そう、『作戦(オペラツィオン):F』!」 ??「!!」 ??「し、しかし! リーダー・クリサンセマムムーン、それは……」 ??「ああ、わかっている……同型の戦艦たちの間ですらあえてそれを避けるという直接接触は、 衣装を通じて行う間接接触の数倍の危険を伴う…… 下手すれば轟沈の危険性すらあるだろう。 だが私は…… 私は、深海棲艦を滅ぼし『C.A.T』の野望を打ち砕くためならば、そしてこの鎮守府を、 かけがえのない戦友(とも)を守るための力を得るためならば、例えこの身が朽ち果てようとも構わない……!」 ??「りーだー、わたしも」 ? 「ボクもさ」 ??「…… フッ、お前ら…… やれやれ、どいつもこいつもイカれた奴らばかりだぜ」 ??「同志ヤングリーフ……」 ??「そんなイカれたお前らを……三隻だけで轟沈(しず)めるわけにはいかないな。 どうやら私もイカれちまってるらしい…… ついていくさ、地獄の果てまで」 ??「やんぐりーふ……!」 ? 「ヤングリーフ!」 ??「よし、決行は明朝マルロクマルマルとする。 諸君、靖国で会おう! ドミナ・エラット・コングレータ」 ??「ドミナ・エラット・コングレータ……」 ??「どみな・えらっと・こんぐれーた」 ? 「ダスヴィダーニャ」 425:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2013/10/22(火) 17:30:11.10 ID:VTNobYYL 〜翌日〜 菊月「扶桑さーん(ぎゅーっ)」 若葉「扶桑さーん(ぎゅーっ)」 初雪「扶桑おねえちゃーん(ぎゅーっ)」 響 「ハラショー(ぎゅーっ)」 扶桑「あらあら……どうしたの、みんな?」 山城「ぐぬぬ…… 駆逐艦だからって、姉様に、姉様にあんな…… なんてうらやましい……!」 長門「み、みんな、扶桑もびっくりしているじゃないか。 それくらいにしてやれ。 ……その……甘えたいなら 私の胸も空いているんだがな……? 駆逐艦の三、四隻飛び込んでこられても私は平気なんだがな……?」 響 「…… 長門か……」 若葉「長門は……まだ早い」 菊月「ああ、長門のパワーを得るには……いささか早い、な」 長門「な!? わ、私は早くなどないぞ! むしろ長持ちっていうか装甲も厚いし、あっでもこう抱きついたとき やたら固いってわけでもないと思う、わからないけど! いやそれはまず置いとくとしても、ほらあれ、 速度のとこも『低速』ってくらいだし、かと言って意外とそんなに遅いわけでもなくて、むしろこの 駆逐艦と遊んでやるにはちょうどいいくらいの……そう、ちょうどいい感じだぞ! なあ、陸奥!?」 陸奥「しらない」 山城「ああっ、姉様の、姉様のそんなところにまで……! ぐぬぬ……!」 === 扶桑さんは暖かくて柔らかくて、やさしくて、服よりもずっといいにおいがしました。 「これからもこうやっていいですか」って聞いたら、にっこり笑って「いつでもどうぞ」って言ってくれました。 それと山城さんがすごい目でわたしたちを見ていたので、せめてものお詫びに、あとでこっそり 山城さんの部屋の寝台の上にきのうの服を置いておきました。 よろこんでくれるといいです。 初雪
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