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マルコは唯一、部外者ながら九龍衆の一員となった人物である。螭吻ちふん衆の首領・白圭ハッケイが環大西洋経済共同体から高待遇でヘッドハンティングしたようだ。九龍に加入後は主に空輸や海上運輸に関するプロジェクト立案など、国際物流を担当した。国際物流において九龍が北極航路連合に匹敵するほどの地位を築いたのもマルコの貢献があればこそだろう。そんな彼女が螭吻衆に加入した真の理由はビジネス目的ではなく、東洋の神秘的な雰囲気を持つ九龍に惹かれたからだとか。本職以外に彼女は九龍に関する旅行見聞を執筆し、ノンフィクションの文学界にも高い影響力を持つ。

国際貿易に従事する大力神級巨大貨物輸送船の出港記録が、マルコからの最後の報告となった。その報告のデジタル信号を追跡したところ、ドレーク海峡の近辺で座礁した巨船と瀕死のマルコが発見された。
航海記録によると、輸送船に使用されていた機械類がパニシングの侵蝕を受け暴動が起こったとあり、船員はマルコの指揮で懸命な抵抗を試みたが、最後はドレーク海峡で異常な海流に遭遇して座礁したようだ。命の炎が消える瀬戸際で、マルコは自らの意識が戦術チップとして活用されることを望んだ。世界が再び航路で繋がり、偉大な商人たちが価値ある商品で各地に笑顔を届ける光景を、いつか再びその目で見届けることを願っているのかもしれない。