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78 Happyeverafter-6PS- sage 2009/12/18(金) 19:46:17 ID:fHklp/e3





Happy ever after 第6回 追伸

高須竜児のノート、その質はかなり高かった。
リファレンスとして持ってきたノート。去年の文化祭の戦利品。通称アニキノートと
比べても、まったく劣っていない所からそのレベルの高さが伺いしれるというものである。
内容は対照的なのだが。

アニキノートは烈火苛烈。結論から始まり、枝葉は蹴り飛ばし、纏め上げてある。
無駄の無い情報量。かと思えば過去の出題傾向、各教諭の方向性、性格からのテスト予測等と
言った裏技的な内容も豊富。
そのポイントを限定した情報は、その全てが質が高く、頭に入りやすい。

竜児のノートは、よく整理されていた。
書かれている情報も、要点は基より、その補足、枝葉末節に至るまでけして捨てない。
きっちりと網羅されている。なので正直、効率はよくない。
アニキノートが1ページで済ませる内容を、3ページ以上に渡って消化している事などザラだ。
だが、構成が考えて作られており、重要な箇所、テスト対策としては飛ばしてもいい部分などが
見た目でわかり、読む方としてはアニキノートと比べてもそれほど手間は掛からない。

亜美は高須竜児のノートを眺めながら、終始にやけていた。
(馬鹿みたいな奴、自分の為のノートじゃないよね。誰か使っても大丈夫なように
 書かれている。私はこっちの方がいいかな)

そんな亜美に、教え魔の声が響く。
「ほら、川嶋。ノートばっかり見てないで問題解け。
 あと、お前がさっき間違えた箇所、解かったぞ。最初の所を取り違えてるんだ。
 応用力があるからって、それで何とかしてるから、いつのまにか絡まちまうんだ。」
問題集と睨めっこをしていた、テーブルの向かいの少年、高須竜児の声だ。
さっきから亜美が間違いた箇所をずっと見直していたのだ。

彼らは亜美の部屋にいる。竜児が亜美に勉強を教えるというシチュエーション。
以前の約束の通り、竜児は時間をこまめに作り、教えにやってくる。
時には学校から二人で直行という事もある。
亜美は一緒にいれる時間が増えると喜び、楽しむ。
で、勉強は二の次になっており、一生懸命なのは竜児のみという形。
亜美はそんな竜児をみて笑い、彼のノートを見てにやける。そんな風景が展開されていた。

「聞いてるのか?、川嶋」
亜美は自分の為に懸命に見直しをしていた姿を見て、居ても立ても居られなくなり
じゃれたくなった。

「そう?、大体なんとかなってるからよくない?」
「解けるからって、取りあえずそのままに進んでいくなんて子供だろ。
 基本的な所から確実に解いていく。正攻法の方が結局は早道だ。
 そういうのが大人のやり方なんだからな」
「ふ〜ん、だから女の子溶かすのが得意なのか。エロイね。高須くんえろい、えろい」
亜美は頬杖を立てて、ニコニコと竜児を見つめる。

「馬鹿言ってないで、続けるぞ」
「え〜、亜美ちゃん疲れちゃった。そうだお茶しようよ。お気に入りがあるんだ。
 ローズヒップ。蜂蜜金柑にも負けてないと思うよ」
彼になにかしてあげたくなった。可能ならキス一つ。その先だって届けたい。
が、そんなの受け取るはずも無く、だから、飲み物を飲ませてあげる程度で我慢する。
と言っても、これも前から思ってたし、したかった事。
亜美お気に入りの、英国直輸入のローズヒップを味合わせたい。
気疲れの多いであろう彼をこれで元気づかせたいと思っていた。
二人で飲んでみたらどんな気持ちになるのだろうと憧れていた。
だから、これはチャンスだ。亜美は答えを聞かず、軽い足取りで部屋を出て行った。

おのずがら、部屋には竜児一人となった。
前回来た時は、部屋を眺める余裕なんてなかったが、と改めて部屋を見回す。
ちゃんと整理されたクリーンな部屋。女の部屋といえば大河か泰子の部屋しか
入った事がない竜児は心底ホッとした。
全ての女の部屋が汚濁まみれだとしたら、俺は女という生き物に絶望する所だと。

改めて部屋を見直す。
カーテンは薄い青が入ったレースもの、床下ぎりぎりの長さ。
窓が開いてたら差し込む自然光で映えるのにとMOTTAINAI。
いくつかの木製の家具たち、iPot専用ラックとスピーカー、小さなTV棚、
無数のブランドバックをつるす為のツリー。すべて、切り出しの木が使われている。
エトセトラ、エトセトラ。高級そうなもの、可愛いものが満載。
それでいてバランスの取れた配置だからか、雑然さを感じさせない構成。
亜美ぽい感じもするが、こんな部屋になったのは最近だと言っていたから、
ちょっとした驚きだ。そう言えば、

「さすが、川嶋だな。部屋もお洒落だな。勉強机がねぇーが」
「机はこれ、このテーブル。そんなに広くないからね。
 それに部屋いじりだしたのは最近、昔は本当、何も無い部屋」
「そうなのか?、なんかお前らしくないな。そんなシンプルな部屋、今一ピンとこないが」
「そう?。まぁ、いつでも実家にもどれるようにね。居候の身みたいなものだったし。
 でも、改めて長居する事お願いしたんだ。そう思い直したんだ」
なんて、今日最初の会話を思い返していた。

ただ、均衡のとれた部屋だけにちょっとしたものに違和感を感じる。
部屋の上層にある棚にむりやり置かれている紙袋。それがどうしても気になる。
百五十センチもあろうかと思われるもっさりとした、長細い物体が不安定に置かれている。
あれが置かていい場所は違う。正しい場所に置かれていない。
それは雑然の始まりである。汚れの始まり。清潔の敵だ。
竜児が手を伸ばそうとした瞬間、ドアが開いた。

ドアが開いたかと思うと、旋風一閃、白い閃光?、いや今日は赤かった。
逢坂 大河に鍛えられた危機感知が役に立つ。髪一本の間でスゥエーで交わす。
目をつぶっては危険なので、しっかりと見据えて避ける。それがコツ。
なので今回ははっきり見えた。

「超信じらんない。高須くんがそんな変態だと思わなかった。すげーがっかり。
 そんなに亜美ちゃんの下着が欲しかった?」
お盆を片手に一睨み。竜児をたじろかせる。
さっきの蹴りでも、カップを乗せたお盆の中身もこぼしていない。さすがの元モデルだった。
そんなモデルは、たじろいて一歩さがった竜児の間をうめるように、流れるような動きで
竜児と壁の間に割ってはいる。体がぴったりと引っ付く位の至近距離まで詰める。

「そんな事してた訳じゃない。ってか棚の上に下着なんておかねーだろ」
「なに言い訳する気?、素直に言えばいいじゃない。下着が欲しいって、男らしくない」
「なんで俺が下着欲しがってる事になってるんだ。大体、男らしさの基準間違ってるぞ」

亜美は静かにじわじわと前進。体がくっつく事を恐れて、竜児をじりじりと後退。
「だってしっかり見てた」
またじわりと前進。
「興味あるでしょ。今だって、目はなさず見てたよね」
妖艶に、誘うように口を動かす。さすがに見てないとも言えず竜児は
「あれは…、不可抗力だ」と弁解するが、そんな言葉も耳に入らないのか、
目の前の女は続ける。
「どうだった。今日は見せていいやつ選んで付けてるんだから。お気に入りなんだ。
 ほら、高須くんならい・い・よ♪」
なにがいいんだよと言いたいところだが、さすがに竜児でも亜美が持っていこうとする
方向は解かる。解かるだけに降参だ。勉強教えに来たのに、さすがにそれは…。
未練はあるが覚悟がない。高須竜児は正真正銘のヘタレだ!。
「川嶋、もういいだろ。俺が悪かったって。
 中途半端に紙袋が出っ張ってたから、整理したくなちまって」
亜美は竜児に座ることを促し、棚から離れさせる事に成功した事である程度満足を
すると、テーブルにお盆を置き自分も座る。

「本当、高須くんっておばさん体質。超うぜー。
 子供出来たら、絶対、部屋勝手に掃除するタイプだよね。まちがいなく」

竜児は自分でもありそうなシチュエーションだと思う。なんとなく想像出来るのだ。
子供たちにガミガミ言っちまうだろな。嫌われてないといいなと。
嫌われない為にも旦那をフォローしてくれる奥さんとか居てくれるとありがたいんだが。
果たして、持てるとして一体どんな家庭なんだろうと。

想像した一家団欒は狭いながらも暖かい家庭、そこには泰子もいる。
もったく容姿が変わってないイメージなのが、息子としてもどうかと思うが。
そして、少し大人になった大河が遊びに来ている。
居間では、元気な男の子と女の子が駆け回る。犬の子ではない。ちゃんとした人間の子供。
青みがかった髪をして。悪戯盛りといった感じだ。
そして、台所からその子供たちに声を掛けるのは俺とそして……
目の前の川嶋を再びみると、何故か照れていた。自分と同じくらいに。

やばい、この雰囲気だと渡すことなんか出来ない。ただでさえ気後れしちまってるんだから、
なんで俺は川嶋にこれが似合うと思ったんだ。と少し反省。しかし最初の確信を信じ。
もうとにかく早めに渡すしか無え と自分を勢い付けて竜児は家から持ってきた紙袋を手に取り、
「そうだ、川嶋。これ。一応、この前のサングラスのお返しって感じなんだが」
「シャネル?、グッチ?、それともプラダ?、亜美ちゃん楽しみ!」
「えーと……、高須製」
「解かってて言ってるけどね。でも手作りていいかなって…、これ本気?」
「お前の部屋見て渡すのやめようかと思ったが、替えもねえし…」

それは犬の縫いぐるみだった、鼻はやや詰まりぎみに小さく、瞳、耳は大きい。
全体に丸みを帯びた、デフォルメされたチワワの縫いぐるみ。

「なに、これって皮肉?。チワワなんてタイガーの奴が勝手に呼んでやがる蔑称じゃない。
 て言うか、よく考えるとなんで美の化身の私がそんなあだ名つけられなきゃいけないのよ」
亜美は縫いぐるみを両手でもち、その子と睨めっこという感じで、じっと目をこらす。
だんだんと細くなる目が抗議を示していた。が竜児は、
「いや、あれはすげー当たりだと思うぞ。大河、名前付けの才能あるんじゃねえか」
「なに、高須くんまで、はいはい、そうでしょうよ。
 得になる相手には愛想振りまいて、嫌いな相手はキャンキャン吠え立てる。
 危なくなったら飼い主の所に逃げ込む。そんな女ですよ。私は」
亜美は拗ねたように竜児に顔を向け、言い捨てる。
けれど、チワワのぬいぐるみを置く仕草は丁寧だ。
そんな顔にやさしげな声と言葉が響く。

「川嶋、チワワっていう犬種は、
 頭が良くって、好奇心が旺盛で献身的。誰にでも懐く様に見えるが、そうじゃない。
 愛情を1人の人間に集中させる傾向があって、ヤキモチ焼きだそうだ。
 それでいて自立心が強いから外敵には吠え付く。
 あんな体が小さくって、怖がりで、いつも震えているのにな。
 まぁ、幼少時に甘やかしすぎると、
 すぐに唸って噛み付くような小さな暴君になるらしいのだが」
なんて笑いながら語りかける奴を目の前にしては、
「な、なにそれ、全然、亜美ちゃんと似てないじゃない。高須くん見る目がないんじゃないの」
拗ねた顔を継続しながら、憎まれ口を叩くのが精一杯だった。

亜美は動揺を抑え、なんか負けて気がするんですけどと、逆襲に入る。
数日前から用意していたからかいの言葉を口にする。
「ねぇ、高須くん。ところでさ、占いって信じる?。ほら大橋の母って」
「おう。駅前の占い師な。すげー当たるって有名なんだろ」
「そう。で、この前も占ってもらったんだ。
 お願いした内容は亜美ちゃんに相応しい彼氏についてなんだけど」
亜美はそう言って、高須の様子を、ちょっとした仕草する見逃さないといった風で
じっと見つめてきた。

竜児は身を硬くする。別に自惚れてるつもりは無い。ないつもりなのだが…、
彼女の言葉を予測している自分がいる。
いやそれは期待なのかもしれないし、端に意地悪っ子の言葉に備えているだけなのかもしれない。
自分でもよく解かっていなかった。
ただ、その彼氏に相応しい男の事が告げられるのを待った。

「感性豊か、芸術性に富み、ヴァイオリンの名手。それでいて大企業の息子で凄い
 お金持ち。当然美形。少し人見知りするけど、恋愛対象には一途。
 なにより繊細で相手が何も言わなくても気持ちをわ・か・っ・て・くれる人
 なんだって、どうする?、高須くん」
「どうするって意味がわからん。というか、なんだその完璧超人」
「亜美ちゃんが完璧女神様だからじゃないない?。それぐらいのレベルじゃないと似合わないとか」
「自分の事をそこまで言い切るな。お前のどこが完璧なんだよ」
「む、そんな事言う男、高須くんくらいだっての。私の社会的評価全然わかってないんだから」
「だいたいそんな奴いてたまるか」
「いないと思うの?。甘いよ。うかうかしちゃ駄目だよ。
 その彼氏に相応しい人、具体的な名前まで教えてもらったんだもの」
と竜児を笑いながら意味あり下に流し目。その男の名前を宣言。

「花沢類って人。高須くん知ってる?」
「お、おい、そんな奴本当にいるのか、芸能人か?、財界人ってやつなのか?
 お前と既に知り合いだったりするのか?」
と竜児は思わず声を大きくする。話だけ聞くと、そんな人間なんてそうそういるはずがない
と思った。が、亜美は女優なのだ。普通の人間が手のとどかない世界にいる。
普段の亜美と接しているとそういった実感がないのだが、煌びやかな世界にいるのだ。

「う〜ん、私は知ってるけど、彼の方はどうだろう?」
竜児が緊張した趣で唾を野も込む姿を見て、満足した亜美は続けて
「知りたい?。みたいだね。ふふ。教えてあ・げ・る♪
 少女漫画の登場人物。あは。嫉妬してくれた」
「知らねぇよ」
「まぁ、亜美ちゃんには、それぐらいの出来た人間じゃないつり合わないって事だよね。
 少女漫画まではいかないまでも、ちょっとした小説の主人公クラスじゃないとね。
 がんばってね。竜児♪」

竜児はホッとした自分を隠す為に、亜美の軽口に合わせる。
「本当、女って占いとか好きだよな」
「遊びみたいなもんだけどね。悩み相談くらいで使う時とかもあるよ。
 踏ん切りつけたい時とか」

亜美は少し躊躇して
「たとえばね。私、本当は大橋高校に戻って来ようか迷ってたんだ」
「おい、川嶋!」
「実際、戻ってきてるんだから心配しないで。ただ、あの時は最後に高須くんに
 会えたから、それだけでさ、なんか報われた気がして、それも有りかなって。でも、
 それと同じくらい、ならもう少しだけって気持ちもあって。私、結局自分に甘いから。
 だから、偶然でもう一度度会えたなら、我侭してもいいかなとか思って…
 で、未練がましくOFFの時、この街に来たりもした。
 感傷ついてに散歩しようとか理由つけて」
と少し目を伏せて、その頃の気持ちを思い出すように語る。
 
「俺、お前と会った事なんか…」
「そう。いくら大きな街じゃないって言ってもそんな事なかった。
 もしかして、何年も、何十年もの間だったらそんな偶然一回くらいあるかもしれないけど、
 数ヶ月やそこらでそんな事起こるはずも無い。そんなの解かっていた事」 
 
亜美は顔をあげる。そこには難しい、難解な感情や仮面ははない。
少しの覚悟、そして明るさ。

「で、その帰りに占い師さんの所に寄ったんだ。そこで、
 『神様がもう一歩踏み込んでみろ、幸せになってもいいって言ってる』でお告げみたいな
 占いがあって。都合よく解釈した亜美ちゃんは大橋高校に戻ってきたのでした。
 めでたし、めでたし。
 ま、言い訳が欲しかっただけだから、どっちにしろ帰ってきたと思うけどね」

まったく思わせぶりなという感じで、竜児は息を吐くと、
「みんなお前が帰って来て、喜んでるからな。その占い師には感謝だな」
「みんな?、なんでそこで俺って言えないかな。私はみんなじゃなくて良いんだけどな」
そんな竜児に亜美は顔を近づけ、大きな目で見つめて来る。甘えた顔で。
「そりゃ、俺だってお前が帰って来てくれて嬉しかったよ」
「ありがとう♪」
と亜美は弾けるような笑顔をする。キスしてくるんじゃないかと思うような。
したくなるようなそんな笑顔。

そして、また一転、こんどは機嫌が悪そうな顔をして、
「でも、占いって言っても怪しいよ。この前も占ってもらったんだけどさ。
 あのさ、亜美ちゃんの一番のチャームポイントって何だと思う?」
「顔か?スタイルか?」
「竜児は、私のつらとか、体つきとか大好きなんだ。うれしいな♪」
「ちがう!、占い師がどう言ったか考えただけだ。俺の意見じゃ無ぇえ」
「………なら高須くんの意見を教えて」
「………黒い性格」
「はぁ?、何でそれがチャームポイントなのよ。人が真剣に聞いてるのに。
 どうせ高須くんにとって私は魅力のない女なんでしょうよ」
「解からん。占い師は何て言ったんだ」
「高須くんの意見と同じくらい突拍子もないこと、なんでもさ、不幸なところ…なんだって!」
「すごいなそれ」
竜児にしては珍しく大きく笑う。そんな彼に不満を感じ、

「何よ、高須くんまで、私は不幸が似合う女だって言いたいの」
「そんな事はない。でも、わかった気がする。やっぱりチャームポイントって性格て事だろ。
 お前のその周りを心配して、自分は後回しにして、悲観的に考えて、
 苦労をいつも高い金払って買ってるところなんか幸せな性格じゃないからな
 だけど、そんな奴を周りは不幸にしたくないと思うし、不幸にしないだろ」

ちょっとした、不意打ちに、素直に喜ぶ事もできず、亜美は視線をあさっての方向に向けた。
「それ、なんて高須くん?。その性格判断、そのまま返すよ」
「おまえがどう意地を張ろうと、お前の魅力はその性格だと思うぞ。
 少なくとも俺は…」
竜児は最後の言葉は力なく、ぼそぼそとした言葉となり聞き取る事が出来なかった。
またもや、逆襲のチャンスと亜美は視線を戻し、ここぞとばかり意地の悪い言葉を
放とうとした。高須くんなんぞに言葉で押し切られるようでは、腹黒、川嶋亜美が
すたるってもんであると。

「やっと落ちてくれた?。竜児は好きなんだ、私の事♪。観念した?」
そして、慌てた後、一生懸命、反論するんでしょ。かわいい高須くんは。
等と竜児のリアクションを想像し、顔を覗き見る。
言い訳したら、それをネタにまた遊んであげると、だがそこには、

意外だった。
驚きの顔があった。何か意識しなかった、気づかなかった怪物にでも出会ったような顔。
その後、亜美の視線に気づき、狼狽した表情をしたが、その表情も亜美の思ったものと違う。
そして抗弁も無く目を逸らす。

だから、予想だにしなかった竜児の態度に慌てた亜美も俯いた。
視線を合わせないようにする。どんな顔をしていいか女優でも解からなかった。

その後、会話という会話もせず。淡々と勉強を続け。竜児は夕刻になると
大河の夕飯の支度があるからと、逃げるように帰って行った。

亜美は部屋の窓から、高須竜児の姿が見えるまで見終えると、
部屋にミスマッチな縫いぐるみを手に取った。
「チワワか。本当、私ってチワワみたいな奴なのかな。君はどう思う?」
そしてじっと大きな目で縫いぐるみを見つめる。
「丁寧に作ってもらてってるね。どう思って作ってくれたのかな?
 ふふ、君は今日からここの住人。
 友達も1匹で寂しがってたから丁度いいかな。2匹の方が良いに決まってるもの」

そうして、そっと部屋の隅にチワワを置くと、つま先を立て、精一杯の背伸びをして、
棚の紙袋を下ろす。紙袋から中身を出すと、チワワの横に置いた。
それは長い枕のような、ドラゴンをデフォルメしたクッションだった。

END




76 Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E sage 2009/12/18(金) 19:44:51 ID:fHklp/e3
以上でメインのお話終わりです。
連投ですが、口なおし程度の話を投下させて頂きます。

題名: Happy ever after 第6回 追伸
方向性:主にインタビューネタでちわドラ
長さ :6レス

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