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146 勇者の代わりに竜児が(ry ◆NHANLpZdug sage 2009/12/23(水) 13:04:55 ID:qT+n2nbc



−73日目ー

今俺たちはインコちゃんの背に乗り空からネグロゴンド一帯を探している。
ちなみにインコちゃんとは、神鳥ラーミアに俺が付けた愛称である。
ラーミアのニックネームが何故、インコちゃんなのかは、それぞれが各自で考えれば良いと思う。
とにかく、ラーミアはインコちゃんであり、その他のモノではありえない。反論は認めない。
「多分この辺りにバラモス城があると思うんだよな。」
そう言われても、眼下に広がるのは辺り一面毒の沼地。何故、こんな場所を遊覧飛行しているかと言えば……
それは、フロンティアがバラモス城はネグロゴンド付近にある様な気がする。とか、言い出したからである。
そして、その根拠がまたヒドイ。フロンティアの事だから、勘。とか男らしい事を言うかと思えば、占い。ときた。
意外と占いとか運命とか信じている様で、普段の男らしさとは裏腹に変な部分で乙女なのである。
まあ、俺たちもフロンティアの寝言同然の提案にのってる時点で、かなりアレではあるが…
だって仕方無いのだ。フロンティアのせいで街に立ち寄れないから情報収集が出来ない。従って、バラモス城の位置がわからない。
ぶっちゃけ、俺たちは詰んでいた。まさに八方塞がり。どん詰まり。
「わッ!!」
突如、インコちゃんが急旋回。ど、どうしたインコちゃん!?
ゴウッ!!
次の瞬間、ギリギリ当たるか当たらないかの位置を下から巨大な5本の火柱が突き抜けて行った。一体なにごと!?
「よ〜し。掛かった。インコちゃん。目指すは炎が飛んで来た方角だ。」
フロンティアがインコちゃんに指示を出す。インコちゃんは健気に指示通りに羽ばたく。
なるほどね。フロンティアは敵の領空を飛び回り、相手の出方を窺っていた訳か。
良い策だとは思うが、大切なインコちゃんを囮に使うんじゃねぇよ……とも思う、まあ結果良ければ全て良し。なのか?
相変わらず、フロンティアに対して強く出れない自分が情けない。
…そして、俺たちは岩山に囲まれた城を発見した。


「うわ……。こりゃひでぇな。」
同意。城に入るとそこは惨劇と化していた。所々に置かれた魔物の死骸。城には既に火が放たれている。
「やっぱ魔王っていう位だからこ〜いうセンスなんじゃない?」
あのな大河。いくら魔王でも自宅は綺麗にすると思うぞ?少なくとも、俺ならそうする。
どう見たって、誰かが襲撃かました様にしか見えない。でも誰が?先代勇者亡き今、俺たち以外に誰が?
「多分、さっきの奴だろ。そこらじゅう燃えてるし。」
フロンティアが言うさっきの奴とは上空に居る俺たちにメラゾーマをぶっ放してきたアホの事だろう。しかし、さっきの奴?奴ら…じゃ無くて、単数なのか?確か、火球は5発同時に飛んできた様に見えたけど。
「ああ。そうだよ。5発同時に飛んできた。私には1人の姿しか確認出来なかったが……。
てめぇは他に見たのか?ちなみに私が見たのは長い髪の魔道士だ。」
いや、見てないけど……ってアンタ、あの高度から、そんな詳細に見えてたの!?どういう視力だよ……
「私の視力は108式まであるぞ。
………。冗談だよ。笑えよ。面白くない奴だな。ホントは2.0だよ。
で、多分、女だと思うが人間かどうかはわからん。魔族かもしれん。
外見は人間にしか見えなかったが、人間にメラゾーマ5発同時発射なんて芸が出来る訳ないしな。
それこそ、魔王並の魔力があって初めて可能な技だ。
試してみる気にもなれんが、仮に私がそんな事やったら、反動でショック死するだろうよ。」
俺から見れば、アンタも十分、超人なんだが……色々な意味で。
先日も100匹位の魔物の群れをウォーミングアップとか言って、数分で壊滅させた奴がそんな事を言っても説得力がない事甚だしい。
大体、そんなアホみたいに膨大な魔力を持った奴が、何でバラモス城を襲撃してんだよ。
「さぁな。わからん。魔物の世界にも色々あんじゃねぇの?まあ、行ってみりゃ解るって。見ろよ。バラモスのトコまで楽に行けそうだぞ?」


確かに。それがバラモスのトコへ通じてるかどうかはさておいて、先客を追うのは簡単そうだ。
目印のパン切れよろしく、炭化した魔物の死骸が、先客の足取りを物語っている。
しかし、どういう火力だよ……石像が溶けてる。
「もし、これが罠だったらそん時はそん時だ。とりあえず、行くか。」
出た…フロンティアの悪い癖。馬に乗ってみよ病。
この目印がどうにも罠っぽい事はフロンティアも気付いてるんだろう。誘ってる感バリバリだし。
にもかかわらず、フロンティアは大して悩みもせずに、とりあえず行ってみよう。とか楽観的にものを言う。
全く。決断力がある事は良い事かも知れないが……
そして、困った事に俺はそんなフロンティアにホイホイと着いて行ってしまう。
まあ、コイツが言うなら多分大丈夫だろう。とか、安易に考えてしまうのである。
そして、俺たちは城の中庭にある池にたどり着いた。池の中央には階段があり、ここで目印は途絶えている。
先客はこの階段を降りて行ったのだろう。
ちなみに、城の入り口からここまでは真っ直ぐの道だった。
本来、この城は客人を迷わせる様な複雑な造りになっていたんだろう。
しかし、先客は壁をぶち抜き、強引に一本道を作ってここまで来たらしい。全く、横着な事である。
「さて、私の勘ではここを降りたら、戦闘ってパターンだな。てめぇら準備は良いか?」
誰の勘でもそうだっての。ここまでの冒険で養った勘を舐めないで貰いたいもんだ。
「うん。私はいつでもOKだよ。」
櫛枝はガチャリと音を立て、黄金の爪を利き手に装置する。その表情は歴戦の兵といった風情で非常に頼もしい。
大河はコクリと無言で頷いた。………。コイツは緊張しているらしい。まあ、ムリもないか。
そして、俺は荷物袋からやくそうを6枚取り出した。準備は万端である。


我が目を疑った。階段を降りた先には玉座があり…その傍らにはカバの丸焼きが一丁。
もし、あのローストカバが魔王バラモスだったら面白いのに。
「面白くねぇよ。参ったな。どうやら先を越されたみたいだ。あ〜あ。バラモスはこの手で八つ裂きにしてやりたかったのに……」
また、あの手を使うつもりだったのだろう。懐から取り出した命の木の実を弄びながら、フロンティアが言う。
俺としては、後味がよくないヤリ方は勘弁して欲しいところだ。まあ、ベリーウェルダンもどうかと思うが……
ゴウッ!!
突然、火球が飛んできた。玉座の方から。しかし、玉座には誰もいない。!?怪奇現象か?
とか、呑気な事を言ってる場合じゃない。どうすんだ……避けれないぞコレ。オワタ\(^O^)/
………。生きてた。直撃かと思われた火球が2つに裂け、俺たちを避ける様に流れていった。
俺の前に立つのはフロンティア。またこいつに救われたのか。しかし、今のどうやったんだ?
いつの間にか剣を抜いているが、まさか火球を斬った訳でもないだろう。
そんな事しても、剣が火球を素通りするだけで、フロンティアが丸コゲになるだけだろうし……
「ちょっと、やめてよねぇ。今のじゃ、まるであんたが高須君を庇ったみたいじゃん。
始めからあんたを狙って撃ってんだから。あたしが高須君を狙った風に見せかけて……何ソレ?嫌がらせ?」
誰も居ない玉座から懐かしい声が聞こえた。
「さあ?何の事かな?」
ビッ!!
フロンティアが手にした命の木の実を飛礫の様に玉座へと飛ばす。
ボッ!!
が、目標にたどり着く前に命の木の実は燃え、炭となって儚く消えた。ああ、勿体無い。
そして、誰もいなかった筈の玉座に座っている奴が居た。懐かしい姿。ずっと、会いたかった。川嶋がそこに居た。
「ありゃりゃ、もう切れちゃったか。結構、効果時間短いんだよね〜
やっほー高須君。元気してた?」
………。バカッ!!元気してた?じゃねぇよ。お前こそ、今まで、何してたんだよ!?てか、何でこんなトコに居んだよ!?
頭に浮かんだ言葉を口にする事は出来なかった。口が…舌が動かない。いや、それだけじゃない。身体のどの箇所も動かせない。



何だこりゃ?まるで身体が鉄の塊にでもなったかの様に重い。
自分の身体がどうなってしまったのか……確認したいのはやまやまだが、眼球さえ動せないのだから、どうしようもない。
俺の目に映るのは笑顔で呪文を唱える川島の姿とフロンティアの背中のみ。そして……
BOMB!!!
大音響に少し遅れ、部屋全体が炎に包まれた。荒れ狂う炎の波。ホントに身体が鉄化してしまった様で熱くもなんともない。
けど、フロンティアと、俺の後ろに居る櫛枝と大河は無事では済まない筈。
俺は気付いた。(気付くのが遅い様な気もするが)この城に襲撃を仕掛けた先客は川嶋だったのだ。
呪文でバラモスを屠り、消え去り草か何かで姿を消して俺たちを待ち伏せしていたんだろう。
川嶋の声が聞こえる。
「あはははは。燃えろ。皆、燃えちゃえ。この世から消えてなくなれッ!!」
何故?何故こんな事をするんだ?川嶋…やっと会えたのに…何故…
炎の波が収まり、もうそこには何も残ってはいなかった。皆、俺を残して消えてしまった。
と、普通ならそうなるのだろうが、そこは超人フロンティア。普通に生きていた。髪さえ焦がす事なく平然と。
別に最初から心配なんかしちゃいない。コイツならむしろ当然の事。だが、櫛枝と大河は無事なんだろうか……
「安心しろ。あいつら2人は、私がバシルーラで外へ飛ばした。」
ふう。胸をなで下ろす。流石はフロンティア。抜け目がない。
「しかし、あの玉座の奴はてめぇらの元仲間なんだよな?
お前だけはアストロンで守られてるが……あとの2人はお構いなし、か。よっぽど嫌われてたんだな、あいつら。」
そんな事はない。と、思う。多分。確かに大河と川嶋は普段からいがみ合っていたし喧嘩別れした。
櫛枝と川嶋だって仲良さ……いや、イシスで確執が生まれたりしたっけ……
だんだん、自信が無くなってきた。川嶋は俺たちが思ってる程には、仲間じゃなかったのかも知れない……
「残念☆やっぱ今ので殺れる程甘くはないか。1人も消せなかったなんて…亜美ちゃんショック。
でも、良いのかなぁ〜〜♪あの2人を別行動させちゃてさ。ここは魔王城なんだよ?」
どういう意味だ?
「どういう意味だ?」
喋れない俺の代わりにフロンティアが聞いてくれた。


「こ〜いう意味☆」
パチンと川嶋が指を鳴らす。すると、虚空から緑色のダサイ服装の奴が現れた。
「我がしもべエビルマージ。あの2人の首をあたしの前に持って来なさい。」
御意に。とか、なんとか言って、今現れたばかりのエビルマージは虚空へと消えていった。
………。川嶋め。やはり俺たちを殺すつもりなのか?ふつふつと、やるせない怒りが……沸いて来ない。
川嶋は櫛枝と大河を舐めてるんだろうか?いくらなんでもあんなヘボそうな奴に、2人がやられる訳はない。
「あの2人に何か恨みでもあるのか?それに私とお前は初対面だろう?
せめて、理由を聞かせて貰いたいもんだな。でなきゃ死んでも死にきれん。」
フロンティアの至極真っ当な抗議に川嶋は答えた。
「高須君はあたしのもんだ。誰にも渡すものか。」
ここへ来て、まさかのラブコール。これは告白と受け取って良いんだよな?
だったら、なおの事、俺に掛けた呪文を解除して欲しい。俺も川嶋が好きだと言って、川嶋を抱きしめたい。
それでハッピーエンドじゃないか。俺は、もうとっくにお前のものなのに……
「ふぅ〜ん。なるほどねぇ〜〜。渡せんな。私もコイツが気に入ってるからな。コイツも私と共に居たいそうだ。てめぇじゃなくてな。」
おいこら。フロンティア。いい加減な事言うんじゃねぇ!!
「大方、自分の代わりに私がパーティーに入ってる事が気に入らなくてスネてるだけなんだろう?幼稚だな。」
フロンティアは川嶋を挑発する。残念だが、俺の知ってる川嶋はそんな安い挑発に−
ボカンッ!!
火の玉が飛んできた。(鉄だから平気だけど。)
………。どうやら川嶋がキレたらしい。余程、心にゆとりが無いんだろう。まさか図星だったのか?もしかして、それで怒ってんのか?
おいおい。フロンティアは川嶋が復帰するまでの代打だろ?ちゃんと自分で説明しろよ。俺は今、喋れないんだから。マジお願いします。
しかし、フロンティアは俺の期待を裏切ってエライ事をのたまってくれた。
「いいさ。私も獲物を横取りされてイライラしてたトコだ。
その曲がった性根を私が直々に叩き直してやる。躾てやる。」
−かくて、誰も得をしない超絶バトルの幕が開けた。

ぶっちゃけた話、川嶋には申し訳ないんだがフロンティアの鬼神の如き強さを目の当たりにしてきた俺としては、
川嶋がフロンティアにボコボコにされるんじゃないか?などと思っていた。
どうやら懸念だったらしい。信じられない事にフロンティアの方が劣勢である。
「おい。あいつはホントに人間なのか?」
フロンティアが毒づくのもムリは無い。俺が聞きたいくらいだよ。川嶋は元々、遊び人で最近、賢者になったばかりの筈なんだが……
一体、どうやったらそんな事が出来るのかはわからないが、フロンティアが一の動作をする間に川嶋はニの動作をしている。
左右の手から別々の呪文を放ち、そのインターバルがやたらと短い。もしかして、詠唱無しで呪文撃ってんじゃねぇの?とさえ思う。
と、言うのも川嶋の放つ火球はさっきのメラゾーマより一回りコンパクトになっている。
考えられるとすれば、あれはメラミじゃないだろうか?川嶋は呪文のランクを落として、数で勝負しているんだろう。
俺は呪文が使えないので、よくわからないが、多分そうなんだろう。多分。
そして、こちらもどうやってるのかはわからないが、フロンティアは川嶋の放つ火球を斬って回避している。
もしかしたら、フロンティアが異常なんじゃなくて、剣の方に秘密があるのかも知れない。実は伝説の剣でした。とか。
しかし、剣の方はそれで説明がついたとしても、まだ納得いかない点がある。
川嶋が放つ火球(たまに氷球)は2発。フロンティアが斬れるのは1発。つまり、毎回、毎回、フロンティアはその身に火球か氷球のどちらかを直撃させている。
にも関わらず、ダメージを受けている様子が無い。あいつはベホマが使えるが、唱えてる様子もない。と、言うかあいつが自分にベホマを唱えてるのを見た事がない。
これは一体どういう事なんだろう……あいつは不死身なのか?
川嶋もフロンティアの異常性に気付いたらしく、今は呪文の嵐は止んでいる。そして何やら思案顔。
「もう打ち止めか?なら私の勝ちだな。」
確かに、フロンティアが単なるやせ我慢じゃなくてマジで不死身なんだとしたら川嶋が危うい。
今まで、川嶋の張る弾幕の凄まじさに、フロンティアは川嶋に近づく事が出来ずに居た。俺はそれをフロンティアの劣勢だと思っていたが、こいつが不死身なんだとしたら話は違ってくる。

決して相手の攻撃を寄せ付けない川嶋と喰らっても効果の無いフロンティア。
一見互角か、攻めてる分川嶋が有利に見えがちだが、このまま長引けばMPが尽き疲労した川嶋はフロンティアの一撃を貰うハメになる。
加えて、フロンティアには例の即死技がある。そうなれば川嶋は……
「仕方ないなぁ〜。また髪が痛んじゃうからホントはヤダけど、あたしのとっておきを見せてあげよう。」
どうやら川嶋は小技は捨て、一撃必殺の大技に賭ける事にしたらしい。川嶋の綺麗な指。その一本一本に炎が灯る。
「メラゾーマ×5か。普通なら塵も残らねぇな。良いぜ。やってみろ。その呪文が私に通じなかった時がてめぇの最期だ。」
あくまで、強気なフロンティア。身体が鉄化している俺でさえ内心不安だと言うのに、その余裕はどこから来るんだ?
そして、川嶋の指先から5本の炎の矢が放たれた。
ちゅど〜ん☆
大炎上。放たれた火はこれでもかと言わんばかりに勢い良く燃え盛り、天を焦がさんとばかりに巨大な火柱が上がった。
辺りの床が抉れ、剥き出しの地面がオレンジ色に染まっている。あまりの火力に熔岩化したのだろうか……
普通に考えて、火柱の中に居るフロンティアは骨さえ残らず消滅したんじゃないか?
「ワハハハハハ。やはりムダだったな。こんなもの何て事はない。てめぇの負けだ。」
響くおっさん臭い高笑い。
シュボッ!!
燃え盛る炎から脱出したフロンティアは一足飛びに川嶋に斬りかかる。ピンチ。

つづく。




ぼうけんのしょ1(仮) りゅうじ

今回、俺は解説役兼ギャラリーにされて、すっかり蚊帳の外に置かれてしまった感がある。
かと言って、2人の戦闘に巻き込まれたら5秒で死んじゃうだろうから、それも嫌だ。
しかし、この戦闘って意味あるのか?どっちが勝っても何も生まない。何回も言うが俺は川嶋が好きなんだ。
ぶっちゃけ、現在の仲間はフロンティアだが、内心は川嶋を応援したい。
でも、先に必殺技出すのって負けフラグだよな……頑張れ、川嶋。

PS.
俺以上に大河と櫛枝が完全空気だよな……まあ、仕方ないか。まる


154 勇者の代わりに竜児が(ry ◆NHANLpZdug sage 2009/12/23(水) 13:11:21 ID:qT+n2nbc
今回はここまでです。
次回も良かったらミテネー

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