OW/オーバーウォッチの基本的な情報を中心とした個人Wikiです。以前はSPYGEAwikiの一部だったものを移転しました。

【注意】このページは2022年10月4日にサービスを終了した"Overwatch(無印)"を基に執筆されました。現行の"Overwatch 2"のものとは異なる情報が多く含まれる点にご注意ください。

OW2版のwikiはこちら。
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【はじめに】

この記事ではOWにおいて諸々の行動選択に関わる「知識」の話をします。抽象的な話であるのに加えて多くの経験者の方にとっては今更な内容も多いですが、とても重要な意識について書いているのでぜひ最後まで読んでいただきたいです。


【導入】

皆さんの中にはこういった経験がある方も多いのではないでしょうか。
場面1:相手のウィンストンダイブがきついから味方タンクがハルトからホッグに、味方dpsはゲンジからリーパーに変えてくれたけど全然状況が良くならない。あ、チャットでなんか言ってたホッグが抜けていった…。
場面2:Havana第一防衛でタンクduoの相方とオリーサシグマを組んだけど相手のハルザリに普通にボコボコにされた。オリーサシグマは開けた直線的なマップとかハルザリ相手は強いんじゃなかったっけ?

場面1を見てみるとホッグがダイブに使われるようなヒーローに強いのは確かで、リーパーがウィンストンに強いのも本当ですね。ハルトとゲンジをやっていた味方はそういった知識に基づいてピックを変更したと思われます。しかしOWの経験が深い人ほど、このチームの状況が良くならなかった理由をたくさん想像することができるでしょう。例えば、ホッグが相手のアナの阻害を貰って先落ちする場面が多かったり、リーパーが裏取りしに行って全くウィンストンに絡んでいなかったり、盾持ちタンクとフランカーがいなくなったので相手のアッシュがフリーでこちらを攻撃していたり。あるいはもっと特定の一場面を想像すると、阻害を貰ってホッグがキルされた場面でザリアがバリアを貼ることができなかったということがあったかもしれないし、リーパーに変えてくれたゲンジが実は90%まで溜まっていた竜剣を捨てるというちょっともったいない決断をしていたかもしれません。

場面2でも同様のことが言えます。オリーサシグマが開けた直線的なマップで強いのは確かで、ハルザリに対して有利と言われているのも確かです。それでも負ける理由は書ききれないくらい想像できますね。例えば、狭い場所で固まって戦闘していつも相手のハルトに複数人が殴られていたり、逆に距離を取ることを徹底しすぎて相手チームに広いエリアを明け渡してしまっていたり、dpsに気を取られてハルトに十分な圧をかけられていなかったり、オリーサのストップを使うのを忘れていたり…。


【理論知と実践知】

ここで「理論知」と「実践知」という二つの概念を導入します。もとはギリシャ哲学の用語でありここで使うのとは異なる原義があるのですが、転用して一般的にも使われているようなので私もOW研究という限定的な文脈において転用させていただくことにします。

理論知:OWにおいて、ゲーム内の具体的な状況を省いた、定式化された知識。

実践知:OWにおいて、ゲーム内の具体的な一つ一つの状況での判断、もしくはその判断を適切に行うことができる能力。多くの場合定式化されていない。

理論知は例を挙げるならば先ほど挙げた二つの場面で言うと「ホッグはダイブに使われるようなヒーローに強い」「リーパーはウィンストンに強い」「オリーサシグマは開けた直線的なマップで強い」「オリーサシグマはハルザリに強い」といった命題のことです。「今の環境では○○が強い」という命題もよい例です。理論知は「一般知」と言い換えることもでき、それほどOWの経験が豊富でないプレイヤーでも知っていることが多く、初心者向けの解説サイトやwikiなんかは理論知の集合体とみなすことができますね。

対して、「個別知」とも言い換えることができる実践知は理論知のような単純な命題の形にすることが困難です。というのも実際のゲーム内の状況というのは一つとして全く同じものがないため、命題にしようとすれば膨大な量の条件付けが発生するだけでなく、その命題の真偽を確かめるのが容易でないからです。攻略サイトやwikiに載せる情報というのはある程度の一般性を持っていなければ役に立たないので、実践知を座学で得ることは難しいと言えます。


【実践知について、さらに深掘り】

こう見てみると、理論知は単純明快でしかも誰もが容易に獲得することができるのに対して、実践知はそうでないですね。ただし実践知という言葉で表される内容は我々にとって新しいものではなく、実践知の大部分は「立ち回り」という非常にポピュラーな言葉で言い換えることができます。それでも私がなじみの薄い用語をここで提示した理由は、一つは理論知という言葉で表されるものとの対照が必要と感じたこと(これは必ずしも理論知と実践知が対義語であることを意味しません)、もう一つは立ち回りという言葉は特定のヒーローを実際の試合でどうプレイするかという意味合いが強く、ピックの仕方やチームプレーの仕方(特にVCをする場合)、あるいはチーム単位でのプレイなどの重要な要素が抜け落ちてしまうと判断したことです。

一つ一つの実践知は特定の試合の特定のタイミングに結び付いたものであって定式化ができないことは先に述べました。しかしよく似た実践知が積み重なってくるとそこから帰納的に理論知といってもいいような命題が導かれることがあります。具体的な例を挙げると、1-1交換のキルを取りまくって最終的に勝ったという複数の経験と、その多くが2CPのB防衛だったという共通項があれば、「2CPのB防衛では1-1交換は取りに行った方がいい」という命題が浮かんでくるでしょう。こういった命題は定式化されているので理論知とも言えますが、具体的な行動判断を助けてくれるので実践知とも取ることができます。このように、理論知と実践知は決して互いに排他的ではなく、両方の中間と言えるような存在があるということは覚えておくに値します。


【大事なのはどっち?】

ここまで読んでくださった皆さんならこの記事で私が言わんとしていることはなんとなく察していただけるかと思います。導入で挙げた二つの場面は理論知から導き出される判断「だけ」では試合が上手くいかないことが往々にしてあるよ、ということを示すために設定しました。当該の場面で理論知による判断そのものが間違っていたということを言いたいわけではありません。重要なのは、試合のほとんどの部分を占める、描写されていない行動選択の数々は実践知の領域にあるということです。

×「ウィンストンに対してリーパーが強い」という理論知が間違っている
「ウィンストンに対してリーパーが強い」という理論知に従った行動(リーパーをピックすること)だけでは失敗しやすい。リーパーを出した上でちゃんとウィンストンに絡む必要があったかもしれないし、そもそもリーパーを出さないほうがよかった可能性もある。

また、逆の話をするならば、OTPの存在は好例となります。OTPは実践知のうち一つのヒーローに関する領域を極めたプレイヤーとみなすことができますが、彼らの中にはtop500帯で活躍できるだけの実力者もいますから、ヒーロー相性という理論知を無視して特定ヒーローの立ち回りという実践知をひたすら磨くことがその逆と違ってある程度の成功につながりうる、ということが分かります。


【では理論知は獲得する必要がないのか】

前の項では実践知の重要さを述べ、理論知を重視しない例としてOTPを挙げましたが、彼らだってある程度のレートのプレイヤーならルールやマップ構造といった重要な理論知は頭に入っているでしょうし、先に述べたように実践知を積み重ねる中で理論知と呼べる命題に到達するということは実際にあり得ます。そして、そもそもな話になりますがOWにおいて理論知と呼べるような定石はあまり多くありません。「攻略サイトやwikiに書ききれる程度」の量しかないのです。というわけで、OWの理論知は中には絶対覚えておいた方がよいものもあるしそもそも量が多くないので座学をしておくに越したことは無いよ、というのが私の意見となります。

また、理論知に触れた際には「なぜか」を考えることが重要です。「リーパーがウィンストンに強い」理由には「ショットガンを持っている」「HPが多い」ことなどがあり、それに気付くことができれば同様の特徴を持っているヒーロー(あえて名前を挙げません、考えてみてください)がウィンストンに強いということにも気付けるわけです。さらに、「ショットガンがウィンストンに効果的」なのはなぜかと考えてみると、「ショットガンは拡散が激しいため近距離の相手や大きな対象にしかコアヒットしない」こと、「ウィンストンは体が大きい上に相手に近づかなければ攻撃できない」ことが浮かんできて、それはそのままリーパーでウィンストンを対策するにはどう立ち回ればいいのかという実践知につながっていきます。


【実践知を獲得するには】

実践知を獲得することが理論知と比べて容易でないことは先に書きました。単刀直入に言って、私が考える実践知の獲得方法は以下の三つです。

,箸砲くOWをプレイして経験を積む。
⊂綣蠅ぅ廛譽ぅ筺爾筌繊璽爐離廛譽い鮓る。
Cかに自分のプレイをチェックしてもらう。

,亡悗靴討呂修里泙泙任后H獣任鯏確に実行するにはキャラコンやエイムが必要で、視野が広くなければ判断のための情報収集がおぼつかないですから、そういう観点でもとにかく場数を踏むことは重要と言えます。

しかし、特に初・中級者の場合はただプレイしているだけだと色々な障壁にぶち当たってしまうことが多いと思います。初心者だとそのヒーローで何をしていいのかもわからなかったり、中級者だと自分の癖に気付けなかったり決定的な知識が欠けていたりします。その場合に頼りたいのが△筬です。△楼貎佑任盒き時間にできるのがメリットで、チームプレーを学びたい場合は競技シーンの公式配信・動画を、特定のヒーローやロールを学びたい場合は個人のランクマ配信・動画を見るのがおすすめです。(そのうちおすすめ配信者紹介記事でも作ろうと思います)

はちょっとハードルが高いですよね。ただコーチングまでいかなくてもOWの経験が豊富なプレイヤーと一緒にプレイし先方の視点からのアドバイスをもらうだけでもすごく効果があります(上手なプレイヤーが教え上手とは限らないのが難しい点ですが)。もしその人といろいろ頼める仲になったらリプレイで自分の視点を見てもらうのもいいと思います。さらなる高みを目指したい方やチームで活動していて上達を目指したい方は専門のコーチングを受けるのが最も良い選択肢となります。私の知っている限りではAkiba Encountコーチで解説配信と記事投稿を行ってらっしゃるClankさん https://twitter.com/ClankOwl と、個人コーチ業とブログ運営をしてらしゃるwospさん https://twitter.com/wospii が日本語でのコーチング依頼を受け付けています。ただしClankさんに関しては9/19現在は依頼殺到につき一時的に新規受付を停止しています。


【おわりに】

この記事を書くにあたってまずきっかけとなったのは以下のツイートです。

すごく的を射た指摘だと思います。チームプレーに関する知識は野良ではチームのほぼ全員が知っていないと意味が無いです。構成だけラッシュでルシオがスピブを一切かけない、ポーク構成なのにみんなあり得ないくらい前に出てファイトしている、ということもあるあるですね。というわけでまず「構成の知識だけあって動き方知らないんじゃ意味ないよ」という内容の記事を書こうと思い立ちました。

しかし、例のツイートの内容が「構成の知識だけじゃなくて動き方を知るのが重要」ということではなく「チームの中で自分だけが知識を持っていても意味ない場合が多い」ということを強調していることからも分かる通り、このまま論を進めていくと、「OWの知識ってあんまり意味ないのでは?」という結論が出かねません(ツイート主さんはそういった極論を意図していたわけではないと思います)。そこで、OWの知の枠組みを机上の知識から実際の試合中の一つ一つの判断まで拡幅することで知へのニヒリズムを回避し、かつその二つを対照させることでピックと動き方の不一致という当初の問題への射程も確保しようと試みたのが本記事となります。「ラッシュ構成だけどルシオがスピブをかけない」という問題に即して言えば、実践知に基づいて、仮にあなたがマクリーをやっているならハンゾーに変えて正面でのお見合いに強く出れるようにしてみたり、マクリーのままでもロームして敵の足を止める、あわよくばワンピックを狙うといったような試みもできるよ、といういろいろな可能性に気付いていただくためのページです。

また、理論知だけではOWうまくいかないという話はwikiを書いている私自身への箴言でもあります。wikiは基本的に理論知を得るための場であることには変わりはないのですが、当wikiには実際の試合の中での「反例」や理論知を支えているデータなど、読んでいる方を理論知から一歩先へ促すような記述がそこかしこに盛り込まれていることに気付いていただけたら私としても幸いです。


【参考】
「カウンターピック」(だらだらオーバーウォッチさん)
https://overwatch.hatenadiary.jp/entry/2021/06/25/...
「チームプレーとヒーロー理解度」(Clankさん)
https://note.com/clank_p/n/n1068ad4833f0


文責:ゆとり

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