ナレーション :上手く敵陣を突破できずに模擬戦で連敗続きで現在会議が行われている。
作戦会議室で皆と一緒に大きな机の上に紙を広げ、どうやったら上手く敵陣を突破できるかを話し合っている。
ライネ :『ふーむ・・・最近は入り口脇に槍がいる事が多いからな・・・』
『突撃しても入る前にやられてしまう。』
シルヴィ:『そうですね・・・しかし、砲撃や矢も当たらない位置ですから正面突破は難しいでしょう。』
ルル :『むむー・・・こうなったらシルヴィちゃんに【奇襲】して貰うのが一番だと思うにゃ』
ライネ :『なるほど一理あるな・・・』
『では、私とヒルデが相手に【強襲】を行い【拘束攻撃】をしてみよう』
ルル :『ならルルは銃を持ってライネちゃまとヒルデちゃまの支援火力で行くにゃ!』
シルヴィ:『・・・かしこまりました。』
『全力を持ってその任務、遂行させてみせましょう。』
ナレーション :その会議中にも関わらず、一人だけ会話についていけてない者がいた。
ヒルデ :『・・・あの姉上?』
ライネ :『どうしたヒルデ』
『何かわからない事でもあったか?』
ヒルデ :『・・・今更なんですけどね?』
『【強襲】と【奇襲】ってどう違うんですか?』
ライネ :『・・・ふむ』
『まぁ、仕方あるまいヒルデは戦闘経験が浅い』
『良く聞いてくれたな、助かるぞ。』
『・・・シルヴィ、説明してやってはくれぬか?』
シルヴィ:『僭越ながらご説明いたします。』
『まず、【奇襲と強襲の違い】は簡単にご説明しますと【バレた上で攻撃するかどうか】でございます。』
『見られている場合や、そこにいる事がわかっている場合は【攻撃してくるかも】と相手は思うことでしょう。』
『その上で攻撃する素振りや遠距離から攻撃を行い、相手に【自分たちだけ】しか見させなくさせる事が【拘束攻撃】と言います。』
『これは対面している時に限らず、バレている前提で攻撃を仕掛ける事も【強襲】となります。』
『逆に、そうやって【拘束攻撃】を行っている間に【相手の視界外】や【意識外】の地点や場所に対して攻撃を行う事が【奇襲】となります。』
『【拘束攻撃】が行われていない場合でも可能ですが、成功率は格段に跳ね上がる事は間違いありません。』
ヒルデ :『うん・・・シルヴィの言う事は理解できるんだけどさ』
『【相手の視界外】や【意識外】なんて難しいと思うんだよ。』
『だって、【相手とこっちは同等の人数で戦っている】んだからさ、その分警戒してる人もいるんじゃない?』
『【強襲】だって、その分の人達がこっちに来るんだから、それって成功するモノなの?』
シルヴィ:『まさにその通りでございます。』
『ヒルデ様の言う通り、【戦闘に参加していない人数が多い程、穴が無いので奇襲がしにくい】という事は間違いありません。』
『だからこそ、【相手がどう動いているのか】を予想しなくてはなりません。』
『それの地点を強制させられるのが【強襲】でございます。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヒルデ :『どうして【強襲】が、その地点を強制する事ができるの?』
シルヴィ:『はい、ヒルデ様想像していただきたいのですが、例えば』
『AとBという場所があり、【補給拠点】があったとして、ヒルデ様は今【B】にいます。』
『その時、【相手がAに集中】してきて、それと同時に【少数で補給拠点】を取りに来ました。』
『他の皆は【Aが取られるとまずい】と思い、【A】に集中してヒルデ様以外に【3人】しかBに居なかったら・・・』
『ヒルデ様はどう動きますか?』
ヒルデ ;『うーん・・・人数によるけど、補給に来ているのが同数で【B】に誰もいないなら【補給拠点の奪還】に行っちゃうなぁ・・・』
シルヴィ:『はい。その通りでございます。』
『つまりは』
『【Aが仮に守れたとしても、Bに来るとは誰も思っておらず、今まさにBが手薄】という状態です。』
ヒルデ :『そっか!』
『強襲は【その地点に強制させる】という働きがあって、奇襲は【そこから更に危険と思わせて戦力を分散させる】のか!』
シルヴィ:『はい。まさしくその通りでございます。』
『同等の戦力であれば、【数の多さが勝敗の有無】に関わってきます。』
『【守るためには同等以上の戦力をそこに置かないといけない】という事となり、結果【別の場所が手薄になる】という事になります。』
『その上で、【強襲している間に奇襲】を行ったり、【強襲している間に別の地点に強襲】を行うには【機動力】が必要です。』
『その為、【長槍や大盾】は足が遅いので強襲や奇襲ができない反面、【ある程度の人数差でも守れる大盾と長槍】が【拘束攻撃】に向いています。』
ヒルデ :『・・・でもさー、正直そんなに上手くいくか心配なんだよね・・・』
『だって【自分たちはこういう行動をしているから、こう動いてほしい】なんて意思疎通できるわけないじゃん・・・』
ライネ :『その通りだ。』
『私達も人間で、相手も人間だ。』
『同じ頭の作りの人間なぞ一人とておらぬ。』
『だからこそ【攻城模擬戦闘】を行って、【相手や味方がどういう考えて動いているのか】の勉強になる。』
『とはいえ、ゲームである以上そういった面倒な事を考えずにやっている者もいる。』
『それはその人の【プレイスタイル】であって、私達のこの考えも【プレイスタイル】でしかない。』
『だからこそ【強制させる意味も理由もどこにも存在しない】のだ。』
『だが、結局は【勝利する為に努力をする】事は共通認識である以上、私達にできる事は【勝利の為に今何ができるかを考え続ける】事だけなのだよ。』
ヒルデ :『姉上の言う事はわかりますけど・・・やっぱ連携したいのにしてくれないのはガッカリしますよ。』
ライネ :『それは個人の考えでしかないよ。』
『そんな事を言いだしたら【自分たちの意見が絶対に正しい】と同調圧力になってしまう。』
『このゲームが世界規模で展開しておるのだから、狭い日本の価値観で物事を判断してはいかんぞ。』
ヒルデ :『はーい』
コメントをかく