準備書面(5)

令和２年（ワ）第■■■■■号事件
原告　■■■■
被告　株式会社ラボ生産ほか３名
　　　　　　　　　　　　　　準備書面（５）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　令和３年５月１０日
東京地方裁判所民事第４８部　　御中

　　　　　　　　　　　　　　原告訴訟代理人
　　　　　　　　　　　　　　弁護士　　■■■■

第１　被告ら第３準備書面における被告らの主張に対する反論
　１　被告Ｘ　関係
（１）被告らは、雇用契約書の文言に、業務の都合により勤務時間の変更等するこ
とがあるとの記載があることで夜勤閉鎖や撤回を正当化する。
　しかしながら､原告はそれまで契約書の内容どおりの勤務条件で働いてきたのに､
今回の夜勤閉鎖通告により、これを事前の説明も打診もなく突如一方的に変更しよ
うとしたもので、すぐまたこれを撤回するなど合理的な理由があるとは思えない。
　夜勤閉鎖の理由については、被告らも認めるように原告の問合せに被告Ｙ　も同
被Ｚも回答せず、グループ長被告Ｘ　も「自分の胸に聞いてみろ｡」と言うだけで
説明しない。被告会社からも説明がなく、これまで何ら原告ら各夜間勤務従業員に
対する合理的な説明はなかった。しかし、被告Ｚ　は、原告がその原因でないこと
を明言している（甲23、24)。そして、夜間閉鎖時のパート社員らの会話から、短
期パート社員パＦ（女性）がいじめをうけていた件で被告Ｘ　が感情的になり、夜
勤閉鎖に及んだことが窺える（甲23、24)。
　いずれにしても、事前のシフト制による勤務と異なり、各従業員は夜間勤務を前

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提とした生活設計をして労働に従事しているのである。突然の勤務時間の変更によ
って、これによって被る労働者側の不利益と比較すると、仮に被告らのいうとおり
一方的な勤務時間の変更が認められる場合があるとしても、上記のとおり合理的な
理由が無く、かつ、手続上も何らの説明も協議ないし合意を求める努力も経ずに敢
行しようとした被告らの上記通告は、権利の濫用で違法であり無効と解するべきも
ので、その意味でパワハラ行為に該当するのである（なお、後記(3)参照)。
（２）被告らは、被告Ｘ　の夜勤閉鎖宣言により、パート社員パートＤが昼間勤務
をしたのは、検査業務に従事していた同人が昼間勤務のスタッフに助言指導するた
めで、夜勤閉鎖とは無関係という。
　しかしながら、当時パＤは、パート社員パートＥ　ほか計３名で「背固め工程」
「製本テープ工程」「テープ貼り工程」を担当しており、検査業務に従事していた
者ではない。したがって、他業務に関して指導助言する立場にない。これらの工程
は現在原告が一人で担当しているもので、格別専門性はない。これに対し、検査業
務とは「合わせ工程」「断裁後検査工程」「梱包前検査工程」をいい、パＤは、本
件後になる平成29年の部Ｈグループ長の下で、一時「合わせ工程」に従事したが､
これは新たに入社したパート社員パイ　が「テープ貼り工程」に着任したため配置
換えになったもので、当時パＤは「何で老眼で細かい物が見えない私が「合わせ工
程」なのかとぼやいていたほどで、パＤ自身ルーペバイザーを自費購入して対応し
ていたが、結局退職してしまった。「断裁後検査工程」は、品質確認をする最終段
階の知識と経験を有する者が担当する重要な工程であるが、平成27年12月当時ま
でにパＤが担当した事実はないと思われる。「梱包前検査工程」は、当時原告と対
面した席で被告Ｚ　が担当しており、パＤの担当事実はない。
　そもそも昼間勤務の従業員を指導するため、わざわざパＤに勤務時間を変更させ
てまで実施すること自体不自然である。パＤに事前の説明があったとの話もない。
（３）被告らは、被告Ｘ　の指示を受けた被告Ｚ　が、夜勤担当者にアンケート用
紙(甲14)を回覧して昼間勤務が可能か意思確認をする配慮をしたなどと主張する｡

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　しかしながら、甲14はその記載から明らかなように、アンケート用紙ではない｡
「アルバムＰ夜勤閉めます」「継続して日勤でも働ける方サインを御願いします」
とあるように、被告Ｘ　が一方的に夜勤閉鎖をして、その上で単に日勤に移動可能
な人数を把握するために、夜勤従業員に、日勤に異動が可能かどうか確認を求めた
もので、可能でなければ退職の選択肢しかないのである。被告らの言うように、何
ら夜勤パート社員各人の都合を聞いてから夜勤閉鎖を実施するかどうか判断しよう
とした配慮に基づくものではないことは明白である。
（４）原告は、パートＡの指導を受けて平成27年５～６月頃から「合わせ工程」
を学んで（後記のとおり復習の形で）この工程業務を兼任するようになったが、原
告は同７月に頚椎椎間板ヘルニアと診断されてリハビリ担当医から動作制限を指示
されたことから、パＡにその旨話をして上記「合わせ工程」を外れた旨主張したの
に対して、被告らは「合わせ工程」を短期間で外れたのは、「合わせ工程」に必要
な色調確認が原告には難しいことが分かったからで原告の体調不良等が原因ではな
いなどと、あたかも原告の能力不足であるかのごとく主張する。
　しかしながら、原告は、平成22年に入社して「メディア加工グループ」夜勤に
配属され､２年後の平成24年４月に「プロアルバムグループ」夜勤に異動となり、
そこで既に「合わせ工程」を担当している。連日約２時間の残業をして同業務に精
励し、当時の上司幹Ｓグループ長から「毎日遅くまで残業ありがとうござます｡」と
感謝激励され、成績は、検査冊数、枚数共に夜勤メンバー内のトップクラスだっ
たのである。社員Ｌ　からは､「休まないし、信頼できる｡」と信頼され、「指示書
仕訳工程｣補助を任されて｢合わせ工程」と交替したが、引き続き残業時間内で「合
わせ工程」を続けていた。以上のとおり原告に「合わせ工程」に必要な能力が欠け
ているとの被告らの主張は当たらない。
　その後原告は、「指示書仕訳工程」補助と「合体工程」「梱包工程」に専念して
いたが、平成30年（2018年）の無期雇用転換問題を控えて更にスキルアップのた
め「表紙作成工程｣｢背固め工程」「製本テープ工程」「テープ貼り工程」の学習を

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経て、平成27年５～６月頃再び上記「合わせ工程」復習のため同業務に従事する
ようになったが、着任早々被告Ｙ　から、「レーザー工程」と「ＳＨ製本工程」の
どちらを学びたいか」旨打診を受けた。原告の「合わせ工程」は短期間従事で被告
Ｙ　との間で認識を共有していたのである。したがって、原告が「合わせ工程」を
担当していたのは短期間であったとする被告らの主張は結果をいうだけのもので、
原告の能力と絡めた被告らの主張は誤りである。
　被告らは、原告の色調確認能力が欠如して「合わせ工程」に向かなかったかのよ
うな主張をするが、そもそも色調確認は「プロフォトグループ」の業務であり、原
告の所属する「プロアルバムグループ」では色調確認は担当しないし、要求されて
いない。この事実は、「合わせ工程」と担当するパート社員や正社員は、皆知って
いる。したがって、被告らの上記主張は事実に反する失当なものである。こうした
被告らの主張は、合わせ工程の詳細を知らなかった被告Ｘ　が原告の労災請求訴訟
の可能性を認識危惧し、原告の上記頚椎椎間板ヘルニアが労災に認定されて被告会
社の責任を問われることを避けるために（甲19参照）､当時原告が「合わせ工程」
を外れた理由を同被告が労災とは関係なく原告自身に問題があるかのように被告会
社に報告していたためと考えられる。
　事実は、部Ｈグループ長も原告の「合わせ工程」の能力を認めていたのである。
同グループ長が原告に検査ラインと称する「断裁後検査工程」担当を打診したくら
いだからである。同工程は、「合わせ工程」で検査した品質を再検査するより重要
な検査工程であり、原告が初回プロアルバムグループに配属されて「合わせ工程」
を担当した際、毎日残業して頑張っていたことを部Ｈグループ長は知っており、そ
の実績を買って「断裁後検査工程」担当に抜擢すべく打診したのである（甲26､27
の1:24:00部分)。
（５）被告Ｘ　の雇止予告発言パワハラ行為の補足説明
被告Ｘ　の、解雇発言のほか、雇止予告発言及び日勤異動発言といったパワハラ行
為があったことは、訴状請求原因３の(1)のウ及び原告準備書面(4)の第１の1(3頁

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部分)記載のとおりである。
　被告らの第３準備書面の第２の１の(５)のエに､「当初､原告は予定されていたア
マアルバムグループへの異動を取り止めることを被告Ｘ　に要望すると述べてい
た」とあるが（同書面の３～４頁)、これは、上記訴状請求原因３の(1)のウに記載
した、被告Ｘ　の雇止予告発言を受けて原告が自分なりに労災による受傷の影響の
中で業務に精励していることを説明して理解を求めたことに対して､同被告から｢そ
れなら日勤に来い。俺が直接評価してやる｡」と言われ、プロアマ兼任の責任者で
アマグループを監督していた被告Ｘ　から、プログループに属する原告がアマグル
ープの日勤に異動を求められ、更なるパワハラ行為を受けたのである。被告らは、
この事実を前提とした原告の上記発言を引用しており、被告Ｘ　の雇止予告発言が
平成28年９月19日頃のことで(訴状５頁)、原告がパＡパートリーダーを通じて被
告Ｘ　に配慮方申し入れたのが同月20日(甲３の日付参照)であったことに照らし、
被告会社及び被告Ｘ　は、被告Ｘ　の上記「雇止め」予告及び「日勤異動」発言に
よるパワハラ行為を認めているものと考える。
　２　被告Ｙ　関係
（１）原告の作業の中断(訴状第２の３の(2)）について、被告Ｙ　の、「なぜ、作
業を中断したのか｡」との注意叱責と労災による症状についてした原告の説明に対
してその後の被告Ｙ　の「指示に従いなさい。労災が再発して症状が悪化しても構
いません｡｣｢指示に従うことがより重要だ。会社の責任になっても構わない｡｣｢訴訟
になっても構いませんよ｡」との被告Ｙ　の原告の身体症状を無視した作業の続行
を支持する作業強制命令について、このやりとりの直接の目撃者はいなかったが、
原告のクレームに基づいて実施した幹Ｓ統括部長・部Ｈグループ長による被告Ｙ　
に対する聴取内容からすれば、上記作業の続行強制、指示に従うことを命じた被告
Ｙ　のパワハラ行為は明らかというべきである。
　すなわち、平成29年８月18日第２回面談(甲26、28）の際、幹Ｓ統括部長らに
対し、原告が「(被告Ｙ　が原告の身体に）労災が再発しても構わないとはっきり

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発言した」旨指摘したのに対し、被告Ｙ　から聴取した幹Ｓ統括部長は､原告が｢何
をするか自分で決めます｡」と言ったことに対して、被告Ｙ　は「指示に従ってほ
しいと言っただけです｡」と弁解したというのである(甲26、28の31:25 部分)。
しかし、部長が被告Ｙ　の指示の内容を確認すれば、行き違いや誤解でないことは
明らかになったはずで、被告Ｙ　の指示は原告の担当していた梱包作業を中断した
ことに関することを意味し、かつ、その指示によってトラブルが生じていることが
明らかになるから、原告の労災後遺症に対する被告Ｙ　の配慮があったらありえな
い発言であることを幹Ｓ部長は確認でき、指摘指導できたはずである。いずれにし
ても、被告Ｙ　は「指示に従ってほしい｡」と発言したというのである、同被告が
原告に指示したこと、その指示に従ってほしいと要求した事実を被告Ｙ　は認めて
いるのであるから、自身のパワハラ行為を認めているのに等しいのである。
（２）原告の労災関係を整理しておく。
　原告は、平成27年７月24日頃、被告会社で作業中頚椎椎間板ヘルニアを発症し
た。同年12月に川口労働基準監督署に労災認定の請求をし、翌28年3月25日に
労災認定を受けた（甲21)。原告は、平成27年8月からリハビリを受け、平成28
年１月に症状固定となりリハビリを終了したが、その後も四肢（腕、肩、脚）の疼
痛、しびれ等の後遺症が残存し現在に至っている(訴状第２の３の(2)､４の(3)の
イ､原告準備書面(3)の第2の1､原告準備書面(4)の第1の2､第3の1)(甲32,33)｡
　３　被告Ｚ　関係
　被告Ｚ　による社Ｌを介した有給休暇取得の拒否問題に関して、同被告はすぐに
有給拒否の認識を改めて従業員に知らせた､原告から適法な有給休暇の請求はなく、
その取得を妨げた事実もないと主張する。
（１）被告Ｚ　は、違法な有給休暇取得拒否通知を直ちに是正しなかった。
　被告Ｚ　の意を受けて社員Ｌ　が令和２年７月８日の朝礼の際、有給休暇の取得
を認めないと説明したことに対し、パート社員からその違法性を指摘されて社Ｌ自
身も違法性を認識した。ところが、翌９日の朝礼において、社Ｌは、再び有給休暇

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を認めない旨宣言した(甲29から31)。これは当然に前日のやりとりを被告Ｚ　に
報告して、その意を受けての再確認の発言と思われる。
　このように被告Ｚ　がすぐに認識を改めたとする被告らの上記主張は誤りであ
り、原告が有給休暇を請求し、事実上拒否されたのもこの直前の時期であるから、
被告らの対応は現場に相当の混乱を招いたものと思われる。
（２）原告が請求した有給休暇を取得できなかったことは厳然とした事実である。
これに対し被告らは、原告の休暇請求を受け付けていないとか、受け付けた記憶が
ないなどと弁明するだけで、部Ｊグループ長代理が、原告から令和２年６月19日
に､「６月25日「出勤」とされている出勤表(シフト表）に誤りがある」旨指摘し、
「６月25日の有給休暇を請求済み」との電子メールを受信したことを認めている
のに(被告ら第２準備書面第２の(2))、当時の有給休暇を取得させないとする被告
会社の方針からか、当時原告に対し、請求書提出の確認ないし再提出を求めること
を含めて何らの対応もしなかったのであって、原告の請求書を放置あるいは無視し
た可能性が濃厚である。そのまま有給休暇を認めないで「出勤」扱いとするシフト
表を作成したり、指摘されても「有給」扱いしないで、結局給与明細表にあるとお
り「休業」処理して、有給休暇拒否の措置を敢行したのであるから、そこには原告
に対するパワハラ行為そのものの嫌がらせが窺えるだけで、原告に対して何らの配
慮も認められない。

第２　訴状の訂正
　「・・・症状が再燃したために、作業を同僚に引き継いで他の作業に従事してい
たところ､・・・」（訴状５頁末尾）とあるのを､「・・・症状が再燃したために、
被告Ｙ　に作業の中断を報告して他の作業に従事していたところ､・・・」と訂正
する。
　原告の後遺症を理解していた同僚パート社員パートロは、専任担当の「指示書仕
分け工程｣を完了して手が空くと原告の梱包作業を交代していた｡交代後原告は｢合

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体工程」を行っていたが、当時原告が梱包作業を中断してパロが引き継いで作業す
ることはさほど珍しいことではなく、被告Ｙ　も知っていた。この日パロは欠席し
ていた。被告Ｙ　が「指示書仕分け工程」を担当していた。そのため同僚パロに引
き継いだとするのは原告の勘違いであった。その日原告の労災症状が限界に達した
ため被告Ｙ　に報告して梱包作業を中断し、「合体工程」に従事した（その日の終
業時に被告Ｙ　が声を掛けてきて訴状記載のパワハラトラブルが発生した)。
　なお、原告が中断した作業は梱包作業であり、その後「合体工程」に従事したも
のだが、梱包作業はそれまで５，６時間行った後の中断で一定のノルマは完了して
おり、納期遅れや業務上の混乱等の不都合が生じたことはなかった。

第３　被告会社の安全配慮義務の不履行
　１　被告らは、被告Ｘ　による夜間勤務の中止や継続は、従業員の意見を傾聴し
配慮したというが（被告第１準備書面第２の１、第３準備書面の第２の１の(4))､
決してそうでなかったことは､既に反論したとおりである(原告準備書面(3)の第１、
本書面第１の１の(3))。
　２　本訴訟係属中の本年１月、原告は被告会社から「仕事がない」として退職を
求められた。
　この面談を担当した幹部Ｓ　は、かつて、被告Ｙ　のパワハラ問題に関して被告
のクレームで行われた面談（訴状請求原因４の(3)のウ）で、原告の「2018年問題
対策宣言｣（原告準備書面(4)の第１の１記載の平成30年（2018年）の無期契約転
換問題に関して原告がした不利益措置を受けない事を求めた宣言を指す。）に関
して原告の要望を被告Ｙ　が幹Ｓグループ長に伝える旨原告に確約したのに対し、
被告Ｙ　から聞いていないと発言していたのである。幹Ｓ自身は、原告の上記宣言
を踏まえて､「例えば会社の状態が悪くなったときに100人中20人を切らなくては
いけなくなったときに、下から切るとして上位に行きたいから頑張っているのです
ね｡」「了解しました｡」旨原告が宣言で言及した努力の実績を認めて、被告会社が

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経営不振になった際に原告の雇用について配慮する姿勢を示していたのである（甲
26、28の1:31:20部分)。
　原告が本年１月の人員整理に関する上記の面談の際にこの点を指摘すると、「あ
のときとは状況が違う。ごめんなさい｡」といとも簡単に上記の発言を撤回した。
　閑散期はともかく､通常期､繁忙期は相当の物量であり仕事がない状況ではない。
夜勤を閉鎖して昼間だけで賄おうとするなら尚更である。
　被告会社による今後の従業員の雇用確保及び労働者の安全等労働環境の確保につ
いて被告会社に十分な配慮を求めたい。
　３　原告は、同時期に希望退職とともに担当業種の異動をしばしば打診されてい
る。
　しかし、その説明に際して、被告会社や所属長から配属予定先の作業工程内容や
原告の身体状況を勘案した発言や原告の労災後遺症に対する配慮は窺えない。
　現在の原告の担当作業は「背固め工程｣｢製本テープ工程｣｢テープ貼り工程」で､
後遺症に影響を及ぼさない実績があり、安心して作業に従事している。原告の作業
内容を変更する特段の必要性がある場合はともかく、原告が後遺症に対する配慮を
さほど要しない現在の工程作業を変更して殊更後遺症と作業内容・作業量を調整し
なければならない他の工程に従事するメリットはない。症状の悪化等により新たな
紛争が生ずる火種になりかねない。しかし、被告会社から、原告の身体状態で可能
な異動先での作業があるのか打診その他具体的な提示はない。本訴で提起した被告
Ｙ　の問題は未だ解決されていない。改めて、被告会社に労働環境の安全確保につ
いて配慮を求めたい。
　４　被告Ｙ　によるパワハラ行為に対する原告のクレームにより開催された幹Ｓ
・部Ｈ面談(訴状第２の3(2)、4(3))からうかがわれる被告会社の不十分な対応(訴
状第２の４関係）
（１）平成29年8月18日の第１回面談(甲26、27）の状況から、以下の事実が認
められる。

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　①原告がパＡを通じて被告会社に送付した被告Ｙ　のパワハラに関する配慮方求
める文書(甲４)は、次のやりとりから、被告会社に送付されてアルバムグループ統
括部長幹部Ｓ　の手元に届いていたことが認められる(甲26、27)。甲４にある｢あ
る程度だましだまし行ったのですが」の文言が一致している(原告準備書面(3)の第
２の２)。
9:30(録音開始後経過時間「以下同じ｣)
幹部Ｓ｢一応読ませてもらったんですけど、ニュアンスとかがあるかと思いまして｣
部長Ｈ｢そんなあれで渡したんですか？パＡさんに｣
幹部Ｓ｢原告さんが打ったの？」
11:20幹部S｢今、お体何ですけど、途中で、だましだましと言うことだったんです
けど、以前からこういう作業は身体がきついんですっていう話は被Ｙさんとやりと
りをしていたかどうか教えてください｡」
　以上のとおり、甲４の作成事実やその記載内容の信憑性を疑うとか(被告第１準
備書面の第３の１の(2))､甲４なるものは見当たらない（被告第３準備書面の第３
の１の(2)）とする被告らの主張は、明らかに事実に反する誤った主張というほか
ない(原告準備書面(3)の第２の２)。
　②被告会社が従業員の労災管理をしていない実態がうかがえる（訴状第２の４
(3))。
　21:00幹Ｓ「労災で処理されているんですか？」
　被告会社も原告の労災請求事実の認識は争っていない。被告Ｘ　には原告が解雇
発言や雇止め発言時に労災による身体の不調を説明しており、甲３（電子メール）
を同被告に送付しているが（訴状第２の3(1)ウ)、グループ長部Ｈは前任の被告Ｘ
　から原告の動作制限による配慮を求める同メールの内容を引き継いでいなかっ
た。そのため部下である被告Ｙ　に指導監督できなかった。
　43:10部Ｈ「確認したい。身体に制限があることは分かった。被Ｙさんとは話は
しっかりされているか｡」

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原告「していません。被Ｘさんに伝えたので後は会社間の問題」
部Ｈ「でも、原告さんは今私ににしっかり話をしてくれたのでよく理解できた。前
任者被Ｘさんから引き継いでなかったので申し訳ないが、被Ｙさんには説明してい
なかったのですね｡」
原告「ずっと一緒に働いているのでヘルニア及び労災について被Ｙさんは知ってい
る。治らないこともリハビリ終了も知っている。被Ｘさんにも話している｡」
　③原告は、被告Ｙ　に、2018年無期雇用契約転換問題に関して原告の要望と心
構えを明らかにした宣言を伝え、同被告から「幹Ｓさんに伝えます｡」旨確約を得
ていたが（原告準備書面(4)の第１の1)、被告Ｙ　は当時の幹Ｓグループ長に伝え
ていなかったようである。
55:25原告「この宣言を幹Ｓさんはご存知でしたか？」
幹Ｓ「私は知らないです｡」
（２）平成29年９月４日の第２回面談の状況(甲28､29)から、以下の事実が認め
られる
　①被告らは、面談自体を原告の休日を理由に否定し、抜歯直後の印象的なはずの
原告の様子さえ覚えていないと主張する(老弁書第２の４の(3)のウ)。
　しかしながら、面談は幹Ｓ・部Ｈの両名で担当した上、２回行われてその２回目
のことであり、面談時の状況(甲28、29の26：40部分）に照らし、面談の事実さ
え否定して両名の記憶が全くないとすること自体不自然である。
　②被告Ｙ　のパワハラ行為に関する被告会社の調査(同被告に対する幹Ｓ･部Ｈの
聴取り調査)が杜撰であり、十分な義務を尽くしたとは言えない（原告準備書面(2)
の第１の１(2))。
　幹Ｓによれば、聞き取り結果について、被告Ｙは　、「指示に従ってほしいと言
っただけです｡」と言っていたというのであり、原告が再三「労災が再発しても構
わない」「怪我より指示に従うことが重要だ」などと言われた旨訴えたが、幹Ｓか
らは「行き違いがあると思う」と片付けられている(甲26、28の31:25部分）。

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被告Ｙがいう「指示」がどんな指示だったのか確認していないようで、幹Ｓから指
示の内容について説明はなかった。聴取りしていなかったと思われる。
　被告会社の調査は、被告Ｙ　のいい分を聞いただけで、同被告に対する処分も指
導もなく、調査の継続や再発防止策の話は無かった。結局被告Ｙ　と一緒に仕事が
できないのであれば、パＡと同じシフト（原告の勤務日数より少ない週４日）で作
業を組むか日勤に変更するか２者択一を迫られた。これらはいずれも賃金減額の結
果を伴う原告には受け入れ難い選択だった（甲26、28の1:04:00部分)。嫌なら被
告Ｙ　の下で指示命令に従えという事実上パワハラ行為の甘受を強いるものだっ
た。その後幹Ｓから第３案、第４案を提示されたが、いずれも一時的な案で今後の
相談はなかった(1:26:30、1:35:20)。

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