大学水準の西洋哲学として知っておくべきことのすべて

哲学とはどういう学問か、などということは、大学生にいきなり一言で説明できるわけがありません。しかし、ここでこれから哲学を論じるに当たって、どういうものとして論じているか、は、自分自身のために、そして同業者のために、明確にしておくべきでしょう。

 哲学は、一言でいって、プラトニズムとの戦いです。ターレスから、いや、ターレス以前から、哲学は、プラトニズムの化け物と言っていい。キリスト教神学も、ソクラテスのエピソードをパウロが繰り返した一種のプラトニズムです。ディオニソス・オルフェウス・ピュタゴラスから、プラトンとパウロを経て、経験論や合理論、そして観念論、さらには現代の社会学や経済学、心理学や記号論まで、すべてが一種のプラトニズム、プラトン教です。それは、物事を概念で捉えようとするだけでなく、その概念を理念に昇華させ、その理念から逆に物事を批判する。

 もっと簡単に言えば、プラトニズムは、屁理屈です。ところが、人は自分の屁理屈に自縄自縛になる。これは、専門的に言えば、疎外、です。便宜のために作り出した方便が、逆に物事を支配して厄介になる。思想の自己中毒。だから、困ったことに、哲学の敵は、まさに哲学から生まれてくる。うっとおしいプラトニズムを倒そうとして、もっと強大なプラトニズムを作ってしまう。

 哲学は、漢字で書けば、口を折る、と書く。ごちゃごちゃと頭が空回りしないように、思想を留める。さまざまな思想は、毒をもって毒を制する、つまり、暴走する他の思想を鎮めるための劇薬のワクチンのようなもの。小賢しい屁理屈をへし折って黙らせてこそ、ソクラテス以来の本来の哲学。しかし、それを受け継いだはずのプラトンが、まさに哲学からもっとも遠い哲学教を作ってしまったように、覚悟や用心も無しに半端に哲学に手を出せば、空理空論で人生までも棒に振る。しかし、それを元に戻すのも、哲学。

 世の中は、死んだ哲学者を盲信するだけの、頭のおかしくなってしまったバカな哲学学者だらけ。そんなのが世界中の大学で学生たちを教えている。そうでなくても、世の中には、ちょっと気のきいたことを思いついた、と目をしばたかせて人々に高説を垂れるアホ哲学者がいっぱい。自分がそんなバカな哲学学者、アホな哲学者になったりしないために、しっかり哲学を学んで、心穏やかに一生を送りたいものです。

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