---------------------------------------------------------------------------- 近世３ １８世紀
理性の崇拝と懐疑
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時 代 背 景
ヨーロッパは絶対王政の全盛であった。しかしながら、各国の王家は複雑に親族関係をむすび、このため
に王位継承問題が、繰り返し、大規模な国際紛争に発展した。とくに、フランスのルイ�将犬蓮△海譴望茲�
て隣接国の侵略をしばしば企てたが、成功には至らなかった。また、はやくも新大陸やインドでは、英仏の
植民地百年戦争が起こり、ヨーロッパ本国の戦争と結びついて混迷を深めた。
一方、各国の貴族達は、大土地所有や官職、免税などの封建制におけるさまざまな特権を背景に、豪壮華
麗な宮殿を各所に建造し、日夜、社交に明け暮れた。もっとも、これによって、このような貴族に保護され
た美術、工芸、音楽は、宮廷文化として、洗練の度を増した。
このように、絶対王政が、戦争と贅沢とを繰り返して、財政を破綻させ、課税の強化を図ったため、フラ
ンスでは大革命が、イギリスでもアメリカの独立戦争が起こり、共和政政府が樹立された。しかし、イギリ
ス本国は、前世紀の内に早くも２つの市民革命を経て、「国王は君臨すれども統治せず」という責任内閣制
を成立させており、国家的植民地経営の成功を背景に、この間に〈産業革命〉を遂行し、大きな発展をとげ
た。また、後進国ドイツは、啓蒙思想の影響を受けた絶対君主のもとに、国政、産業、学芸の各分野におい
て国家主導の近代化のための改革をめざした。
哲 学 概 観
十八世紀の哲学的問題の中心は〈理性〉であった。これは、ひとつには、学問上の問題にすぎなかった前世紀の《合理主義》が、社会運動として具体化されたことによる。すなわち、その初期は、［思想のみならず、社会制度や習慣の不合理をも合理主義的立場から批判する］という程度のものであったが、しだいに過激化し、［実力行使によってでも、社会制度の矛盾を取除き、合理化しなければならない］という《革命主義》へと発展していった。
《合理主義》に基づく運動には、もうひとつの流れもあった。すなわち、デカルトの『方法序説』の冒頭には［理性こそすべての人に平等に与えられた能力であり、間違いはただそれを正しく働かせていないからにすぎない］という《万民理性所有論》が記されているが、これが、［それゆえ、すべての人を、正しく理性を働かせるようにしなければならない］という《啓蒙主義》となっていき、〈〈理性〉の万民平等〉という理念が市民や農民の自覚をうながした。そしてまた、このことによって、《啓蒙主義》は、前者の《革命主義》へと合流していく。
かくして、この時代は、「理性の世紀 ciecle de reﾟason」とも呼ばれる。しかしながら、フランス革命政府の恐怖政治下においては、政敵から商人までギロチンで次々と殺害し、また、キリスト教を禁止して〈理性崇拝〉の宗教的祭典を開催するなど、〈理性〉よりも革命の〈狂気〉が蔓延した時代でもあった。
一方また、専門の哲学者の間では、むしろ、〈理性〉をも問題にするようになった。前世紀のデカルトは、たしかに《方法的懐疑》によってすべての〈知識〉は疑ったが、〈知識〉から〈知識〉を導き出す理性に関しては、《論証主義》として全面的な信頼をおいていた。《経験主義》や《直観主義》に対して、このように、知性を第一の知の源泉とし、全面的な信頼をおく立場を《知性主義 intellectualism》という。だが、十八世紀の彼らは、次にはこの理性に対しても懐疑の目を向けはじめたのである。つまり、その理性の根拠とその限界が問題となった。というのは、《合理主義》と呼ばれるものが、実は、およそ実証性のない、単なる《独断的形而上学》にすぎなかったのではないか、という疑問が生じてきたからである。理性を信じるにしても、疑うにしても、この理性というものの仕組みと働きを考察し、その正当性なり、不当性なりを明らかにしなければならない。つまり、〈理性自身〉もまた《批判》の対象となったのである。
この時代のおもな思潮と哲学者たち
バークリー １８Ｃ前半
ヴォルテール １８Ｃ半ば
ヒューム 〃
ルソー 〃
カント １８Ｃ後半
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