イザナミ(獣)
最終更新：ID:aqftE1/n3g 2019年09月05日(木) 21:37:57履歴
事態は深刻だ。
桐壺と空蝉派、二勢力の無益な戦いが計画に致命的な影響を与えようとしている。
両陣営の出血は多く、喪われた才と技術は数知れない。そして残された力は奪われたものの復讐に浪費されていく。
かつて分家が総力を挙げて尚果たせなかった計画を、今や極僅かなリソースのみで実行せねばならなくなった。
空蝉瞳。
彼奴の行動は意味を伴っていない。引き出す譲歩や真っ当な企みは無く、無作為に独立や報復を名目とした破壊活動を指揮している。
空蝉派の多くは対立により利益を得る者か、空蝉を盲信する者、逆らえぬ者で構成される。それは主義主張を伴わない。ただ血を流すことを楽しむ異常者でしかない。
故に、抗争を止める余地は終ぞ見つからなかった。
次代に託したとて変わらない。いいや、次代にこの負債を押し付けるほどに、本質は薄れて消えてしまうだろう。
その前に、計画を完遂させねばなるまい。
最早正しい形での成就は不可能。避難する小世界を維持し、複数度に渡って全人類に世界を渡らせる力を同時に紡ぐことは、神業を以って尚成し遂げられまい。
あの代案を強行する他ないだろう。
理想郷へ至る英霊達の力を、一つの紡ぎ手に繋ぎ合わせて、
ここに召喚するのだ。
この世界を融かし、それを素材に因果を離れた新たな世界を作る。
国産みの神を。
夕顔茂森、晩年の手記より。
nevadakagemiya
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