最終更新: nevadakagemiya 2016年10月29日(土) 00:00:44履歴
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目的は2組のサーヴァントとマスターが聖杯に向かって走っていた
その目的は汚染され、歪んだ聖杯の破壊
「マスター、あのクマにやられた傷の具合は大丈夫かい?」
「ああ、ランサーに手当してもらったおかげで派手に動かなきゃ問題ない」
一組は着物を纏った女性とスーツ姿の男、女性…アヴェンジャー村正は背に刀を背負い、男…黒須威鞘は腰に刀を帯びていた
「はぁ…はぁ…」
「無理はするな、マスター。 疲れたなら私が背負おう」
「大丈夫……大丈夫だから……」
もう一組は儚い雪の欠片を思わせる碧い瞳を持った小柄の少女羽間ユキ、少女を気に掛けるのはランサー、ティベリウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス。 ローマ帝国二代皇帝。
既に2組以外の参加者は脱落しており、その行く手を阻むものはいない……“筈だった”
「ユキちゃん、ランサーの言う通り無理はしなくて良い。 疲れたならアヴェンジャーとランサーに先行してもらって少し休もう」
息を切らすユキを気遣ったのか、黒須が足を止める。
「大丈夫、です…それに二人を先に行かせてなにかあったら取り返しがつかないから…」
「分かった、なら行こう」
その幼い碧の瞳から意志の強さを感じ取った黒須は再び足を動かした。
「聖杯が見えたら間髪入れずに残った令呪全部使って宝具を叩き込む。 それでいいね?」
足を止めずに目線だけ向けた黒須は確認を取った
「マスターが良いなら、私に異論はない」
「はい、構いません。 お願いします、ティベリウスさん、村正さん」
ユキの方を見るティベリウスにユキが大きく頷く。
「やれやれ、責任重大だね!」
村正は少しおどけながら答えた。
「見えた、あそこだ!」
洞窟の中にある大きな空洞、そこに安置された黄金色に輝く大聖杯を見つけた黒須は叫んだ。
「さて、行く……誰だ!」
予定通りに宝具の展開を行おうとしていた村正は黄金色に輝く聖杯の前に人影がいることに気付き、思わずその手を止めた。
黒須は臨戦態勢を取り、村正とティベリウスはユキを守るように前に出る。
「ああ……やっと来たのね。 遅いわよ」
聖杯の前にいた人影、全身黒の小柄な少女の姿をしたそれは大きくため息をつく。
「少女だと…?」
「女の子?」
「違う……あれは……」
驚きの声を上げるティベリウスとユキに黒須はチリチリとした頭痛から否定の声を上げる。
黒須の退魔の一族としての本能は目の前の『それ』が人外の者、それもサーヴァント以上に危険な存在である事を告げていた。
「そう、私はサーヴァントよ。 クラスはゲートキーパー。 真名は……冥府の番犬、ケルベロス」
「ゲートキーパー?」
「聖杯を守るためのエクストラクラス。 あなた達が聖杯を破壊しようとしたからかしらね、それにしても、もう少し早く来てくれれば良かったのに…」
聞き慣れないエクストラクラスに疑問の声を上げた村正にゲートキーパーが答える。
「どういう意味だ?」
相変わらず臨戦態勢を取りながらティベリウスは問う。
「サーヴァントが残り2騎になって聖杯はより私を縛り付けるようになったわ。 3騎までなら契約を上書きしてなんとか出来たけど……今はもう、どうにも出来ない」
後ろにある大聖杯を見上げると再び大きくため息をつくゲートキーパー。
「どうにも出来ない?」
「今の私には聖杯を破壊するのを阻止するように絶対命令が与えられてるの。 もちろん手加減はできないわ」
不思議そうな声を上げるユキにゲートキーパーは優しく答える。
「なら君を倒せば良いんだろう? 所謂ラスボスってわけだ、ゲートキーパー?」
「ええ、出来るものならね…!」
村正の挑発にゲートキーパーの表情が変わり、空気が淀む。
「…! アヴェンジャーのマスター、ユキを連れて下がれ!」
周囲の空気が、いや空間が一変した事に気付いたティベリウスが叫ぶ。
「深淵冥府降誕(ゲートオブタルタロス)───恨むなら聖杯を恨んで」
そう言ったゲートキーパーの体が痙攣するように大きく動いた瞬間、黒須の体は無意識の内に腰の刀、村正から渡されていた会心の出来の妖刀に手をかけていた。
「うぉああああああああああ!」
声にならない声と共に黒須の体はゲートキーパーとの距離を一瞬で詰めていた───妖刀と退魔の血が成す擬似的な瞬歩の再現。
退魔の血は告げていた。 眼の前の『それ』を、魔性の中の魔性を“真の姿”に戻すな、と。
「ああ、どうもおかしいと思ったらそういう家系の人か……。 でもね、遅いよ」
黒須の一撃で袈裟斬りに切り裂かれたはずのゲートキーパーの体、その切断面から黒い淀んだ何か……泥としか形容できないものが溢れ出す。
「なに……あれ…?」
深淵冥府降誕(ゲートオブタルタロス)にして変質した空間で視力を得たユキは目の前のそれに慄く。
「ユキ、君は下がるんだ。 アヴェンジャー、少し頼む!」
ユキを担ぐようにして空洞から通路に戻るティベリウス。
それが危険なものであると、そこにいた全員が感じていた。
「やりたくないけど……冥界の門を守護する真の姿を見せよう────」
泥はゲートキーパーの体を覆い尽くし、その姿を変えて行く。
「頼むって…! ああ、もうっ仕方ない! 呪え我が妖刀(オーバーロード・ムラマサ)!」
時間を稼ぐ為に投擲された村正の妖刀はその効果を発揮することなく泥に飲み込まれる、やがてその姿は……
「────冥府番犬(チェンジケルベロス)」
三頭を持つ巨大な魔犬、ケルベロスの真の姿へと形を成していた
「さぁ、全力で来なさい、そして私を打倒しなさい……そうでなければ全員死ぬだけよ」
あるべき姿を取り戻した冥府の番犬は天に向かい咆哮を上げた。
ヒロインが守りがいのある儚げな少女っていいよね……
ユキちゃんkawaii!
目的は2組のサーヴァントとマスターが聖杯に向かって走っていた
その目的は汚染され、歪んだ聖杯の破壊
「マスター、あのクマにやられた傷の具合は大丈夫かい?」
「ああ、ランサーに手当してもらったおかげで派手に動かなきゃ問題ない」
一組は着物を纏った女性とスーツ姿の男、女性…アヴェンジャー村正は背に刀を背負い、男…黒須威鞘は腰に刀を帯びていた
「はぁ…はぁ…」
「無理はするな、マスター。 疲れたなら私が背負おう」
「大丈夫……大丈夫だから……」
もう一組は儚い雪の欠片を思わせる碧い瞳を持った小柄の少女羽間ユキ、少女を気に掛けるのはランサー、ティベリウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス。 ローマ帝国二代皇帝。
既に2組以外の参加者は脱落しており、その行く手を阻むものはいない……“筈だった”
「ユキちゃん、ランサーの言う通り無理はしなくて良い。 疲れたならアヴェンジャーとランサーに先行してもらって少し休もう」
息を切らすユキを気遣ったのか、黒須が足を止める。
「大丈夫、です…それに二人を先に行かせてなにかあったら取り返しがつかないから…」
「分かった、なら行こう」
その幼い碧の瞳から意志の強さを感じ取った黒須は再び足を動かした。
「聖杯が見えたら間髪入れずに残った令呪全部使って宝具を叩き込む。 それでいいね?」
足を止めずに目線だけ向けた黒須は確認を取った
「マスターが良いなら、私に異論はない」
「はい、構いません。 お願いします、ティベリウスさん、村正さん」
ユキの方を見るティベリウスにユキが大きく頷く。
「やれやれ、責任重大だね!」
村正は少しおどけながら答えた。
「見えた、あそこだ!」
洞窟の中にある大きな空洞、そこに安置された黄金色に輝く大聖杯を見つけた黒須は叫んだ。
「さて、行く……誰だ!」
予定通りに宝具の展開を行おうとしていた村正は黄金色に輝く聖杯の前に人影がいることに気付き、思わずその手を止めた。
黒須は臨戦態勢を取り、村正とティベリウスはユキを守るように前に出る。
「ああ……やっと来たのね。 遅いわよ」
聖杯の前にいた人影、全身黒の小柄な少女の姿をしたそれは大きくため息をつく。
「少女だと…?」
「女の子?」
「違う……あれは……」
驚きの声を上げるティベリウスとユキに黒須はチリチリとした頭痛から否定の声を上げる。
黒須の退魔の一族としての本能は目の前の『それ』が人外の者、それもサーヴァント以上に危険な存在である事を告げていた。
「そう、私はサーヴァントよ。 クラスはゲートキーパー。 真名は……冥府の番犬、ケルベロス」
「ゲートキーパー?」
「聖杯を守るためのエクストラクラス。 あなた達が聖杯を破壊しようとしたからかしらね、それにしても、もう少し早く来てくれれば良かったのに…」
聞き慣れないエクストラクラスに疑問の声を上げた村正にゲートキーパーが答える。
「どういう意味だ?」
相変わらず臨戦態勢を取りながらティベリウスは問う。
「サーヴァントが残り2騎になって聖杯はより私を縛り付けるようになったわ。 3騎までなら契約を上書きしてなんとか出来たけど……今はもう、どうにも出来ない」
後ろにある大聖杯を見上げると再び大きくため息をつくゲートキーパー。
「どうにも出来ない?」
「今の私には聖杯を破壊するのを阻止するように絶対命令が与えられてるの。 もちろん手加減はできないわ」
不思議そうな声を上げるユキにゲートキーパーは優しく答える。
「なら君を倒せば良いんだろう? 所謂ラスボスってわけだ、ゲートキーパー?」
「ええ、出来るものならね…!」
村正の挑発にゲートキーパーの表情が変わり、空気が淀む。
「…! アヴェンジャーのマスター、ユキを連れて下がれ!」
周囲の空気が、いや空間が一変した事に気付いたティベリウスが叫ぶ。
「深淵冥府降誕(ゲートオブタルタロス)───恨むなら聖杯を恨んで」
そう言ったゲートキーパーの体が痙攣するように大きく動いた瞬間、黒須の体は無意識の内に腰の刀、村正から渡されていた会心の出来の妖刀に手をかけていた。
「うぉああああああああああ!」
声にならない声と共に黒須の体はゲートキーパーとの距離を一瞬で詰めていた───妖刀と退魔の血が成す擬似的な瞬歩の再現。
退魔の血は告げていた。 眼の前の『それ』を、魔性の中の魔性を“真の姿”に戻すな、と。
「ああ、どうもおかしいと思ったらそういう家系の人か……。 でもね、遅いよ」
黒須の一撃で袈裟斬りに切り裂かれたはずのゲートキーパーの体、その切断面から黒い淀んだ何か……泥としか形容できないものが溢れ出す。
「なに……あれ…?」
深淵冥府降誕(ゲートオブタルタロス)にして変質した空間で視力を得たユキは目の前のそれに慄く。
「ユキ、君は下がるんだ。 アヴェンジャー、少し頼む!」
ユキを担ぐようにして空洞から通路に戻るティベリウス。
それが危険なものであると、そこにいた全員が感じていた。
「やりたくないけど……冥界の門を守護する真の姿を見せよう────」
泥はゲートキーパーの体を覆い尽くし、その姿を変えて行く。
「頼むって…! ああ、もうっ仕方ない! 呪え我が妖刀(オーバーロード・ムラマサ)!」
時間を稼ぐ為に投擲された村正の妖刀はその効果を発揮することなく泥に飲み込まれる、やがてその姿は……
「────冥府番犬(チェンジケルベロス)」
三頭を持つ巨大な魔犬、ケルベロスの真の姿へと形を成していた
「さぁ、全力で来なさい、そして私を打倒しなさい……そうでなければ全員死ぬだけよ」
あるべき姿を取り戻した冥府の番犬は天に向かい咆哮を上げた。
ヒロインが守りがいのある儚げな少女っていいよね……
ユキちゃんkawaii!
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