ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。








────────それは、カルデアから来たサーヴァントたちが、虫取りに東奔西走している時に起きた。


「っはー。夏の南米まで来てやることが周回、周回、また周回か。
 特異点を解決するためだというのは分かってはいるが、どうしてこう何処まで行ってもやることが変わらぬのだろうな」
「そう言う台詞は十分に周回してから言ってくれるかなぁ!? 何優雅に河原にパラソル立てて夏っぽさを満喫してるんだよ!」
「仕方なかろう。水着に着替えた当職は単体宝具なのだから周回には声がかかることが少ないのだ。御身と違ってなアナンシ」
「畜生……アーツ全体宝具なんかにするんじゃなかった……」

河原で優雅に椅子に腰かけながら本を読むは、カルデアに属するサーヴァントの1人、"隠されし首領"である。
服装は水着に変わっているが、此度の特異点では海辺が存在せず、ひとまずはこうして河原で夏の気分を楽しんでいるという状況である。
そんな彼女に対して話しかける英霊の名は、アナンシ。全ての物語の王という2つ名を持つ、アフリカ・ガーナに伝わる民話に語られる英霊である。

「まっ、良いではないか。当職がこうしてのんびりできているという事は平和の証だ」
「僕としては周回手伝って欲しいんだけれどなぁ……」
「喧しい。当職が必要とされるような変則編成の周回クエストが解放されてから呼べ」
「ふむ…………。休息の所申し訳ないが、君が必要とされる事件が起きたようだよ首領殿?」

声が響いた。そちらの方向を振り向くと、そこには1人のサーヴァントが立っていた。
名は安倍晴明。平安時代を生きた希代の陰陽師だ。未だに生きていたり、キャスターとしての霊基を持つ晴明もいるが、彼の場合はセイバーのクラスを持った英霊となっている。
そんな彼が、パラソルの下で優雅に寛いでいる首領のもとに、何やら砕けたカードの破片のようなものを持ち込んできた。

「………見間違いであることを願いたいのだが、何処かで見た覚えのあるカードよな」
「残念だが、その直感は大正解だ。先ほどカルデアのサーヴァントが、正体不明の怪物と交戦。
 その怪物を討伐した所、倒れた野生動物とその砕け散ったカードが残されていたそうだ」
「…………なるほどな」

首領はその手渡された破片を、日光に透かしたりじっと見つめたりなどして細かく観察する。
そしてやがて、その破片1つ1つをパズルのように地面に置いて並べ、そのカードが指し示す図柄を読み解こうとする。
────────そのカードの指し示す図柄は、カンテラを持つ隠者の姿であった。そしてその下にはこう記されている。『IX The Hermit』と。

「その倒れていた動物は、今はどうなっている?」
「無事に保護された。その健康状態を解析したところ、何らかの魔力反応……正確には"サーヴァントの残滓のようなもの"が感知されたらしい」
「なるほどな。間違いない」


「これは、マスカレイド・クラスカードだ」





劇場版 Fate/Masquerade Mystery
「Universe 21〜運命のアポカリプス〜」





「よぉ! マイ・フェア・ヒロイン!! どうした随分とお急ぎだな?
 もしや俺に、その麗しい水着姿を見せに来たか? そのフリル、眩しいじゃねぇかお前の薄い身体によく似合あだだだだだあだだ!!?
 お、オイオイどうした? 随分と熱烈なアプローチじゃあねぇか……?」
「五月蠅い黙れ今すぐ白状すればカルデア強制退去で許してやる」

アロハシャツを纏う、こちらもまた夏を満喫する服装をしている英霊の首を"隠されし首領"が締め上げる。
彼の名は、ウィリス・オブライエン。かつてとある特異点を作り上げてカルデアに討伐された後に、カルデアに召喚され協力関係にあるサーヴァント。
"隠されし首領"と安倍晴明、ついでにその場に居合わせたアナンシは、今回起きた1つの異変の原因が彼にあると見当をつけ、彼に対して尋問を行った。

彼が起こした特異点。それは人間やサーヴァントが英霊の力で犯罪を起こし、それを"探偵"というロールに当て嵌められた者が解決する特異点。
通称"探偵特異点"という、映画のような特異点であった。その際に犯罪に使われる英霊の力を宿した物こそが、マスカレイド・クラスカードという22枚のカードであった。
タロットカードに照応されカード状にされた22柱の英霊の力を悪用させ、彼は壮大な1つの映画を作り出そうとした……という過去がある。
此度の南米特異点にて、そのマスカレイド・クラスカードと同様の物が発見されたとなれば、真っ先に疑われるのはやむなしと言えるだろう。

「な、何の話だ!? 俺は知らねぇ!! 周回に駆り出され続けて遊ぶ暇すらなかったんだぜ!?
 今だってそうだ!! やっとのことで休息時間を手に入れた所だって言うのにいきなりお前に首絞められるとは道理が通らねぇぞ!?」
「じゃあ何だぁ!? この砕け散ったマスカレイド・クラスカードはぁ!? こんなもの、御身以外の誰が作るというんだ言ってみろ!!」
「何だぁこりゃあ!!? 俺のアイディアが丸パクリされてるだと!? ふざけやがってぇ!! どこのどいつだぶっ殺してやる!!」
「うーん……。嘘を言っているようには見えないけどなぁ……」
「俺も同感だ首領殿。これはおそらく、何か別の犯人がいると考えられる」
「はぁー? 御身たちこいつの言う事を信じるのかぁ? こんな承認欲求の塊みたいな奴を────」
≪夢幻憑着(マスカレイジョン)、"女帝(ジ・エンプレス)"!!≫
≪夢幻憑着(マスカレイジョン)、"太陽(ザ・サン)"!!≫
≪夢幻憑着(マスカレイジョン)、"欲望(ラスト)"!!≫

突如として音声が響き渡った。探偵特異点、首領や晴明が何度も特異点で聞いた、マスカレイド・クラスカードが本領を発揮する合図だ。
振り返るとそこには、アマゾネス・クィーンやイフリート、ラミアなどと言った無数のエネミーがずらりと並んで首領たちを取り囲んでいた。
即座に応戦する首領たち。最初は追い詰められたオブライエンの手によるものかと思われていたが、その判断は誤りだと戦闘の中で首領が気付く。

「……。疑ってすまんかった。こやつら……。普通にオブライエンに対しても攻撃しているな」
「ったりめぇだろ!! それにこいつら、蛇だとかなんだとかにクラスカードを取り込ませ怪物にしていやがる!
 俺はこんなことはしねぇ!! 動物は言う事を聞かねぇからな! 映画になんざ出演させるか!!」
「なるほど確かに一理ある。つまりこれは────!!」
「あの特異点の召喚術式を再構築した……別の英霊の仕業か!!」
「来るぞ晴明。どうやらここは、一旦は切り抜けなければ先は見えてこなさそうだ。背中は預けるぞ」
「そちらこそ、背中は頼んだぞ首領殿」
「待って! 待って僕もいるから!!」


◆  ◆  ◆


BATTLE 1/1

●編成固定
アンナ・シュプレンゲル【水着】、安倍晴明(剣)、アナンシ【水着】

●フレンド固定
ウィリス・オブライエン(Lv65,スキルオール10,宝具5)

●エネミー情報(全6体)
ジ・エンプレス・マスカレイダー
・クラス:アーチャー
・アマゾネスクィーンエネミーのコンパチ

ザ・サン・マスカレイダー
・クラス:キャスター
・イフリートエネミーのコンパチ

ラスト・マスカレイダー
・クラス:キャスター
・ラミアエネミーのコンパチ

アジャストメント・マスカレイダー
・クラス:キャスター
・宝物庫の扉エネミーのコンパチ

ザ・メイガス・マスカレイダー
・クラス:キャスター
・ドルイドエネミーのコンパチ

ザ・タワー・マスカレイダー
・クラス:セイバー
・スプリガンエネミーのコンパチ


◆  ◆  ◆


「よし。これでラストォ!!」
「はひー。周回で疲れてる中にこんないっぱい攻めてこられたらたまったもんじゃないよぉ〜!!」
「全くだな。こちとら昆虫採集を続けねばならぬというのに、こんな怪物どもが定期的に襲ってくるようではキリがない」
「しかし首領殿よ。気付いていたか? あの探偵特異点とは決定的な違いがある事に」
「……。ああ。確かに、このマスカレイダーたちは妙だな」


「使われているタロットの暗示が、トート・タロットの物になっている」


地面に落ちている、砕け散ったマスカレイド・クラスカードの1部を拾い集めながら首領はそう呟いた。
破片には『Lust』……即ち欲望を指し示す単語が記されている。更に付近に散らばっている破片を集めると、7つの頭部を持つ獣に跨る女の図柄が浮かび上がった。
これは通常タロットとして用いられるマルセイユ版、およびウェイト版のどちらにも存在しないタロットの絵柄である。
もしもこれらがタロットをモチーフにしていると考える場合、この欲望を指すタロットが存在する物は1つしかない。
それこそトート・タロット。"20世紀最大の魔術師"と称された男が生み出した、最新のタロットの種類である。

「バビロンの大淫婦か……。"奴"の好きそうな象徴だ」
「ん? 何? もう犯人分かったの? まぁ十中八九アの魔術師だと思うけど」
「あぁ。"既存の召喚術式を改変して扱える奴"で、"トート・タロット"と来たら1つしかなかろう。
 ……まぁ、一応仮称として"容疑者A"と今は言っておくか。晴明、お前は見当がついているか? 容疑者Aに関して」
「愚問だな。子供向けのなぞなぞにもなりやしない。奴の霊基の反応はカルデアで既に採取済みだ。いつでも星を見れば居場所が分かる」
「オーケー。すぐに調べてくれ」

首領がそう言うと、晴明は符を取り出して"容疑者A"の居場所を探り始めた。
その後ろではオブライエンが自分のアイディアを横取りされた事に対して激しく怒りを燃やしていた。

「畜生が……俺のアイディアをパクるとはゆるせねぇ……!
 こんなに腸が煮えくり返るのはハリーハウゼンの野郎に売り上げで負けて以来だ……!!」
「御身……案外器ちっちゃいな」
「これがキレずにいられるか!? 俺オリジナルの召喚術式がどこの馬の骨とも知らねぇ輩に利用されてんだぞ!!」
「っていうか前々から疑問だったんだけど、キミ別に魔術師とかじゃないよね? どこで英霊召喚術式とタロットの照応とか思いついたの? 誰の入れ知恵?」
「ああ、そいつは────────」
「此処にいやがったかオブライエン!! おら周回行くぞ!! お前のスキル便利だからなぁ!!」
「ぐあぁ! 離せ糞が!! 俺には俺をパクった奴に鉄槌を下す義務がぁぁぁあ……!!」
「周回のほうが大事だ! オラ行くぞキリキリ歩け!!」

突如として現れたモードレッドの手により、オブライエンは首根っこを掴まれた猫のように運ばれて行ってしまった。
それと同時に晴明は符による"容疑者A"の居場所の特定を終了させたらしく、符を懐にしまって言葉を放った。

「よし分かった。おそらく居場所は、森の中だ」
「森、か。ひとまずアナンシ、晴明。悪い"容疑者A"を退治しに行くぞ」
「え…? 僕も?」
「当然だ。奴は腐っても魔術師としての腕は一級だ。伊達に20世紀の魔術師で座に刻まれておらぬからな」


「さぁ、ジャリガキへのお仕置きの時間だ」







「ふむ……。気付いたか首領殿?」
「ああ。いるな……、2人。お誂え向きに分かれ道だが、左右にそれぞれ1人ずついると来たか」

森に入ってから数分ほど経過し、安倍晴明が"隠されし首領"に対して小声で呟いた。
それに対して首領も同じように小声で返す。2人は時を同じくして、自身の歩む先に英霊がいる気配を感じていた。
彼らが感じる英霊の数は2基。どちらも通常の英霊よりも実力を持つと見える英霊というのが彼らの見立てであった。

「御身の"眼"にはどう映る?」
「どちらも強力な英霊と見た。まぁ神霊とまではいかないがな。片方はキャスター、もう片方は……少しブレるな。三騎士か?」
「そのどっちかが、今回の主犯Aって事?」
「丁寧に何度もぼかさんで良いぞアナンシ。正直こんな事する馬鹿なんざ数人しか知らん。
 しかもそれがトート・タロットを使った事件となれば、もう1人しかいないだろこんなバカ」
「まぁそうなんだけどさぁ。やっぱ雰囲気ってもんあるじゃん?」
「だが犯人が分かっている以上、そこから逆算して歩む道を決めるべきだ。かの英霊のクラスは何だったか」
「ライダー、フォーリナーといるが、こういう省みずの行動をするのは恐らくキャスターだな」
「じゃあキャスター側に行くので決まりだね」
「待て」

勝手に2人で話を進めていくのが気に食わないのか、アナンシが自分の考えを提案した。
しかし、そのアナンシの提案に対して晴明が待ったをかけた。確かに片方に戦力を集中させるのが最も効率的だが、それは大きな危険性もあるという。

「もし片方のみがこの事件に関係する者なら、キャスター側に戦力を集中させるのが正解だろう。
 だがもし、もう片方の英霊もその容疑者Aの仲間だったら? 戦闘をしている最中に背中から撃たれ援護されたら勝ち目は薄くなる」
「ああそっか。両方が敵って言う可能性もあるわけか」
「そこで、戦力を分散させる手法で行こうと思う。主犯と思われるキャスター側に首領殿とアナンシが、三騎士側には俺が偵察に向かう。良いか?」
「問題はない。あのジャリガキ相手なら、この当職1人で十分だが、念のためアナンシも連れておこう」
「僕って保険程度の存在意義でわざわざ連れてこられたのかい?」
「まぁ彼奴は腐っても20世紀最大の魔術師だしな。欲を言えばもう1人は肉壁…仲間が欲しいが」
「今肉壁って言った!! こいつ僕たちを盾にしようとしてますぜ晴明さん!! いねぇし!! 行動が早い男だな!!」
「まぁ半分冗談だ。当職はか弱い乙女だから耐久力は低いのだ。ほれ当職らも行くぞ」

そう言って首領とアナンシは左側の道に向かって歩を進めた。
首領としては、この先に待っているのは十中八九自分の知っている英霊であろうと高を括っており、出会い頭に叫んでやろうかと内心ほくそ笑んでいた。
しかし、彼女の目論見は待ち受ける英霊と対面する事で呆気なく砕かれることになる。

何故か? それは簡単な話だ。
この先に待ち受けている英霊が、首領の想像と違う英霊であった。ただそれだけの話である。


「────。これは…………」


しばし歩いて、目の前に広がる光景に首領は息をのんだ。
目に映ったのは、微笑みながら鼻歌を奏で、水浴びをする女性の英霊の姿だった。
笑顔が似合う見目麗しい少女であったが、しかし同時に何処か人間離れしたような、無機質な「空虚」を感じさせる風貌だった。
きめ細かく美しい銀の髪を肩ほどまで伸ばし、丸く大きな透き通る青玉色の瞳が印象的だったと、後に首領は語っていた。

「アテが外れたか……。こちらにいるのはアの馬鹿ではなかったか」
「なになにー? どうしたのー? 誰がいたnぷぎゅア」
「御身は見るな馬鹿者。男が目にしていい美しさではない。目が潰れるぞ」
「今まさに君の眼潰しで僕の可愛い両目が潰れたんだけど!!」
「いやそれにしても……凄い……抜群の……。くっ、何故当職にはあれがないのだ」

水着姿────もっと言えば体型がモロに衆目に晒される服装の首領が、自分の薄い胸をぺたぺたと撫でながら悔しがる。
基本的にそう言った薄い胸や貧相な肉体に劣等感を感じない首領であったが、そんな首領ですらコンプレックスを刺激される程に、その女性は抜群のプロポーションを誇っていた。
スラリと長い手足に彫刻の如き美しい肌。何よりも、濡れて透けた下着越しにはっきりと分かる、凶悪なまでに突き出た胸部。それらに首領は目を奪われていた。

「………? ぁ……。はわ、はわわわわわわわ……!!」
「オイ待て。勘違いするな当職らは不審者ではない。出歯亀をしたのは謝罪するがこれは不可抗力で待て逃げるな!!!」

嫉妬が声に出ていたのか、あるいはアナンシへの眼潰しの悲鳴が響いた故か。
水浴びをしていた女性のサーヴァントが首領とアナンシに気付き、そして頬を真っ赤に染めてすぐさま衣服に手を伸ばした。
ひとまず首領は着替えが終わるまでアナンシの眼を潰しつつ待機し、着替えが終わり次第こちらの事情を説明する事にした。





「なるほど、御身は気が付いたらここにいた……と言う事か」
「はい。何故ここにいるのか……。そもそも自分がどういった英霊なのかもわからない状態でして……。
 ただ一応、自分がサーヴァントだという事だけは分かるんです」
「まぁ、こういう特異点ではよくある事だ。おいアナンシよく見てくれ。なんか服装などから真名などの推測が出来ぬものか?」
「さっきまで目を潰してたくせに"良く見ろ"とか自由過ぎない……? うーんそうだねぇ……。この服装だと1〜2世記のローマっぽく感じるかなぁ?」

アナンシが、着替え終わり通常の衣服に戻った女性の英霊を観察して所感を述べる。
女性の服装は、一枚布で作られた質素ながらも装飾のなされている、厳かな雰囲気の衣服といった具合であった。
アナンシは『全ての物語の王』として、様々な時代の衣装や文化に目聡い。そこからこの女性の英霊が、今から2000年ほど前のローマの文化圏の英霊であると予想していた。

「ローマか……。ならば将軍や皇帝などがまず考えられるが、だとしたら鎧などで顕現しそうなものだ」
「まぁあの暴君ネロがあんなスケスケ衣装だし? そうとも限らないんじゃない? でもこの子の服装だとそういう偉そうな立場じゃなくて一般市民っぽそうなんだよなぁー」
「ふぅーむ……。当職がルーラーのままならば真名看破を使えたのだが……。────────む、どうやら、あまり悠長に話している時間はなさそうだ」

首領が何かに気付いたかのように顔を上げた。
それと同時に魔力の波が発生し、そして2つの人影が首領たちの近くに着地した。
1人は首領が先程まで一緒にいたサーヴァント、安倍晴明である。そして、その晴明と対峙する1人のサーヴァントは────────。

「キキ!! キケカクカケキクケキキィ!!! これは良い……。
 実験ネズミが向こうから湧いて出てきたかァ!! かの特異点で編み出された術式の改良……その完成形を貴様に見せつけてやる!!」
「……すまん晴明。どうやらそっちが当たりだったようだ。我ながら、手品じみたやり方で目を欺かれて聊か恥を覚えるよ」
「気にするな首領殿。そちらはどうだった? この容疑者に関係がありそうな英霊だったか?」
「無関係だった。即ち、当職らの敵は彼奴1人のみという事だ」

ハァ、とため息をついて首領は告げる。その嘆息にはどこか、"やはりこうなるか"と言いたげな感情が混ざっているように聞こえた。
仕切り直すように首領はその視線に力を籠め、そして人差し指を天高く伸ばし、そしてそれを眼前に立つ1人のサーヴァントに対して向け、一言告げる。
かつて彼女が、彼女たちが探偵として特異点で活躍したあの日々を想起しながら、かつてと同じように事実を突きつける。


「犯人はお前だ。アレイスター・クロウリー」

「マスカレイド・クラスカードを再製造し、マスカレイダーをこの南米特異点に蘇らせた容疑で、成敗させてもらう」





「成敗、か。ロートル風情が一端の口を聞くではないか。
 キ! キキ!! クカケキククケカカカキィ!!」
「ではロートルなりに問わせてもらうが、何故このような事をした? こんなことをしても、カルデアに補足されてしょっぴかれるのが関の山であろうに」
「何故? 何故と魔術師に問うかシュプレンゲル! 耄碌でもしたか!? 魔術師がこんなことをする理由など1つしかなかろう!! それは────」
「理論の実証、そして構築による弊害の確認。特異点で実行に移した理由は、さしずめ"カルデアを撃ち破れる力を今度こそ得れた"という確信からか?」
「……………………ああ、そうだ。その通りだ」
「分かってて聞いたんだ……いやーな奴だなぁ首領は」

アレイスターと言葉を交わしながら、首領は鼻で笑う。対するアレイスターは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
曰くアレイスターは、かつてあった探偵の特異点であった『マスカレイド・クラスカード』……即ち英霊の要素をタロットに分化させ納め、人間や英霊に付属する召喚式に目を付けたのだという。
トート・タロットというタロットの新しい形を生み出した彼ならば、その召喚式を新たな領域へと生まれ変わらせると確信したというのだ。

「それで私は生み出した! 私にある21の可能性の極致────即ち座に刻まれた他の"私"のスキルを、22枚のタロットの形で召喚する術式を!
 他人に使えば意のままに操れる怪物へと変貌させ、私に使えば私自身の強化となる!! これぞ新たなるマスカレイダーの姿である!!!」
「はぁ。まぁそんな事だろうと思ったわ。御身の事だ。すぐに対抗意識を燃やしてトンチキな術式を編み上げると信頼していたよ」
「それで、どうする? 私を成敗するか? 成敗した程度で私が行動を辞めるなどと、思っているお前ではあるまい」
「勿論だ。晴明と当職の2人がかりで御身に呪を刻む。お前のそのトートタロットの術式に、二度と使えぬ縛りを課してやる」
「やってみろぉ!!!」
≪夢幻憑着(マスカレイジョン)、"宇宙(ジ・ユニヴァース)"!!≫

アレイスターが懐から1枚のマスカレイド・クラスカードを取り出し、自らと一体化させる。
その瞬間に彼の霊基がキャスターから三騎士のそれへと変質し、筋力や俊敏性が飛躍的に上昇した。
タロットカードを次々と投擲しながらアレイスターは首領と晴明、アナンシを攻撃する。それを軽々と躱す彼らであったが、変化は徐々に表れた。

「なるほど。タロットを投擲するから、さしずめクラスはアーチャーと言ったところか」
「だがクラスの優位性だけで言えばこちらもセイバーだ。同じ三騎士クラスならば、こちらの方が有利になれるだろうよ」
「っていうかそもそも数の時点でこっちが優位なんだけどね。クラスを変えられるようになった程度でこんな調子乗るかなアイツ?」
「まぁ奴はその程度────────なんだ? 身体が、やけに重く感じるが…………」
「甘い! 甘いわロートルども!! 教えてやる……。トート・タロットという我が最新の魔導書が、いかなる意味を持つかという事をォ!!!」
≪夢幻憑技(マギカレイド)、"宇宙(ジ・ユニヴァース)"!!≫

アレイスターが自らの肉体に手を入れ、そして"宇宙"のトート・タロットのマスカレイド・クラスカードを再び取り出す。
そして通常の人間ではできない、サーヴァントだからこそ可能な程の多量の魔力を注ぎ込み、そのタロットに封印されている力を開放する。
するとどうだろうか。徐々に首領たちの動きが鈍り、そしてステータスが凄まじい速度でダウンしていくという状態に陥った。

「これは……!? アレイスターにデバフ系統の魔術が特異な逸話ってあったっけ!?」
「いや…これはおそらく……。奴が生み出したトート・タロットという最新のタロット自体に意味が込められていると見た。
 タロットとはそもそも、22枚のカードという象徴を用いて極小の世界体系を構築するという照応魔術の一種。奴は生前、新たにタロットを生み出す事で"世界"を一新したというわけか!」
「イシスの時代(アイオーン)、オシリスの時代(アイオーン)、そしてホルスの時代(アイオーン)……か。確かに、奴が望んだ理論だったな。
 神話の時代から十字教一強の時代、やがては人々1人1人のセレマが重視される時代が幕を開ける────と。常々奴はほざいていた」
「そうだァ!! これこそが旧時代の遺物を駆逐し、新時代の幕開けを告げる新たなる世界体系!! 即ち"私以前の時代の英霊の弱体化"を可能とする世界法則!!
 これぞ! マスカレイド・クラスカードという発端と、我が天才の頭脳を以てして創り出された究極の宝具だァ!! クカケキククケカクカケキククケカカカキィ!!!!!」

アレイスターが高笑いを響かせる。首領、アナンシ、そして晴明は徐々に力が抜けていく為に苦戦を強いられた。
晴明やアナンシはまだまだ余裕があったが、元が幻霊である首領は目に見えて疲労が積み重なっている状態にあった。
どうにか打開策を見出そうと晴明は頭を回転させるが、そのためには手札が足りな過ぎるというのが現状であった。

「ダメだな。一旦退くしか道はなさそうだ。今いる人数では、明らかに少なすぎる。決定打もない」
「だが絶対ここで逃げたらアイツ調子に乗るぞ。調子に乗ったアイツほど恐ろしいものはないぞ本当に」
「とは言ってもぉ……。僕や晴明はまだいけるけど、正直君は虫の息だろ? 首領」
「ぐぅ……。せめてあと1人ぐらい英霊がいれば────!!」


「あの……。人手が要るんですか? でしたら、その……私が力をお貸ししましょうか……?」


声が凛と響いた。振り返ると、先ほど首領とアナンシが出会っていた女性の英霊が立っていた。
一歩、また一歩とアレイスターへと向かい歩んでいく。その歩みの動作の1つ1つが、精密な自動人形の動作の如く美しかった。
だが、彼女は本来無関係な英霊。故に首領は、彼女に対して逃げるように告げた。

「オイ御身! 此処は危険だ! 早く逃げろ!」
「ありがとうございます。ですが……困っている方を放ってはおけません」
「……何だって?」
「ハッ! 誰かは知らないが……この私以前の時代の英霊が、このトート・タロットの力に敵うと思うなぁあああああ!!!」

アレイスターが魔力で形作られた光弾を飛ばす。
しかし、その光弾は一歩ずつゆっくりと歩む女性の英霊に届く前に、霧散するかのように消滅してしまった。
そしてそれだけではない。歩むその女性の持つ霊基数値が、アレイスターに匹敵するほどに────いや、それ以上に高くなっていくのを、首領たちは肌で感じていた。

「なるほど。美女な上に強いと来たか。嫌いではない。今すぐ跪くならば妾にしてやろうか」
「いいえ。……私は、誰かの妾になる様な価値のある人間ではありません」
「これは……なんだ? 怒り? 感情に応じて霊基数値が上がっているのか?」
「ふむ……。なるほど。これならいけるかもしれん。だが、良いのか? もしかすれば、我々と貴様は敵対関係…かもしれんぞ?」
「そうだとしても……そうですね。今は何か、あの方を見過ごす事が出来ないように……感じるんです。サーヴァントは助け合い……でしょう?」
「おっしゃる通りだ」

アナンシが笑いながら頷いた。
首領と晴明は再び立ち上がり、臨戦態勢を整える。
対するアレイスターは、苛立ちながらも虚勢を張るように高笑いをしながら再び"宇宙"のトート・タロットのマスカレイド・クラスカードを霊基に取り込んだ。


「良いだろう。そこまで苦しみたいというのならば────地獄を楽しむがいい」


◆  ◆  ◆


BATTLE 1/1

●編成固定
アンナ・シュプレンゲル【水着】、安倍晴明(剣)、アナンシ【水着】

●フレンド固定
????(Lv90,スキルオール10,宝具5)

●エネミー情報
アレイスター・クロウリー【水着】
・クラス:アーチャー
・レベル:80
・HP:135,640→109,850
・スキル「高速詠唱A」:チャージを1増やす。
・スキル「トート・タロットEX」:自身のアーツカード威力アップ(3T)+毎ターンチャージ増加状態を付与(3T)
・スキル「ファイナル・マギカレイドEX」:自身の宝具威力大アップ(1T)+自身の攻撃クラス相性を変更(3T)+無敵貫通状態付与(3T)
・宝具「新世界を綴れ二十一の断片」:敵全体のArtsカード耐性をダウン(1T)+敵全体に強力な攻撃[Lv]+確率で敵味方全体に宝具・スキル封印状態を付与【デメリット】

●NPCサーヴァント情報
????【真名隠匿】
・クラス:キャスター
・スキル「高速詠唱(■■)A」:自身のNPを増やす+自身の攻撃力をアップ(3T)+自身以外の攻撃力ダウン(3T)【デメリット】
・スキル「情報抹消(■)EX」:敵単体の強化状態を解除+宝具・クリティカル耐性ダウン状態を付与(3T)
・スキル「■■の語り手EX」:自身の宝具カードタイプを変更(3T)+自身に[終焉の語り手]状態(全クラスへの攻撃相性有利、全クラスからの被ダメージ2倍&タゲ集中)を付与(3T)
・宝具「■■■■■■■■」:【使用不可能*1

●バトル開始時、特殊勝利条件開示有
「フレンドサーヴァントの与えるダメージ2倍」


◆  ◆  ◆


「か────────はぁ!!? 何故だ……!?
 何故……我がトート・タロットの力が無効化される!? 何故!!?」
「概念的に否定している……のかな? なんだこれ? 僕の"全ての物語の王"と真っ向から反するみたいな力だ! 根っこが理解できない!」
「────しかし何だこの気配……。どこかで感じた気が……。ん? 1,2世紀ごろのローマの服装? まさか、御身……」
「首領殿、来るぞ。構えろ」

晴明がそう言うと、アレイスターが本気を出した。
全てのトート・タロットを懐から取り出し、そして空中へと放り投げた。

「やぶれかぶれか?」
「いや、確かにこいつは無鉄砲だが、動くときは策がある時だ。
 ────最も、調子に乗ってるときは穴を突かれやすいがな。それゆえに、カルデアに敗れたのだ」
「五月蠅い!! 黙れ黙れ黙れェ!! 私は負けたのではない!! ただ────風がカルデアに吹いただけの話だァアアアアアアアアアアアア!!!!」
≪愚者!魔術師!女教皇!女帝!皇帝!教皇!恋人!戦車!調整!隠者!運命!欲望!絞首人!死神!魔術!悪魔!塔!星!月!太陽!永劫!≫
≪終局式夢幻憑技(ファイナル・マギカレイド)!! "宇宙(ジ・ユニヴァース)"!!≫

宙へと放られた22枚のマスカレイド・クラスカードが、全て揃ってアレイスターの霊基と一体化する。
沸騰するかのような魔力がアレイスターの内側へと収束し、ビッグバンが起きたと見紛う程の錯覚が周囲を襲う。
だが、その衝撃波は即座に"無"へと帰される。


「────────無駄です!」

「あなたの道理は確かに通るでしょう。けれど────」

「私は、それを否定しなければならないんです!」


■■■■■■■■と、その場にいた全ての物の耳に、ノイズが走った。


「ぐ────ぐおぉぉお……っ!!
 ぐわああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


アレイスターの霊基を光が包む。その身体中に取り込んでいたマスカレイド・クラスカードが1枚、また1枚と排出されては砕かれていく。
22の象徴と照応する事で世界を創り出していたトート・タロットたちが次々と破壊され────否、違う。"否定されていく"。その1つ1つが消滅しているのだ。
何が起きているのか。いやそもそも、自分と対峙した存在は如何なるものなのか。何もかもが分からないままに、アレイスターはその持ち得るリソースの総てを破壊され……地面に倒れ伏した。





「終わったか……」
「ありがとう、名も知らぬ英霊。君がいなければあの魔術師に勝つことは出来なかっただろう」
「いえ、そんな……。私はただ、やらなければならないことをやっただけで……」
「ほう? 何故、やらねばならないという義務感を感じた?」
「それはもちろん……あれ……?……どうしてでしょう」
「けど君凄いね。何あれ? 全ての物語の王になった僕ですら正体を見抜けない戦い方だったんだけど……」

アレイスターを倒し、そんな取り留めもない会話をする首領、晴明、アナンシ。
そして────自分の真名を知らぬ1人の女性の英霊。彼女がいなければ、アレイスターを打倒は出来なかった。
彼女に対して3人が礼の言葉を話していると、突如としてその女性の英霊の姿が薄れ、そして光の粒子へと変わっていく。

「これ……は……」
「まぁ、あれほどの宝具を使った後だ。おそらくこれで、この特異点からいなくなるのだろう」
「そう……ですか……。短い間でしたが、良くしてくださってありがとうございました」
「またどこかで会おうね! 真名が分からないままなのはちょっと不満だけれど、また会った時に聞くとするよ!」
「問題はない。そしてその必要もまたないぞアナンシ。此奴の真名は、既に掴めた」

首領が笑いながらそう言った。首領は元々ルーラーであったその特性から、戦闘の最中に明かされたスキルから真名を推測したというのだ。
曰く、"隠されし首領"……即ち、多くの真実を知る上位存在という側面を持つ彼女の知識の中に、目の前にいる正体不明の少女の正体に繋がる情報があったというのだ。
ヒットした情報に加え、その少女の纏う服装が指し示すであろう時代と地域から、彼女は1つの真名に行きついていた。

「貴様の真名は────、恐らくではあるが……ヨハネ……であろう? 違うか?」
「ヨハネ……ヨハネ……。
 何でしょう。……その名前を聞くと、不思議と快い気持ちになります。」
「となると、十二使徒のヨハネ? 確か彼は男性だったと聞き及んでいるが……」
「ヨハネは複数人居るよ晴明? 例えば、最近の研究だと黙示録の作者と使徒のヨハネは別人じゃないかって言われてるみたいにね」
「まぁ、そんな事はどうでも良い事だ。重要なのは、このヨハネという真名の英霊が当職らを助けてくれた事だ」

そう言って、首領は消えゆくヨハネに対して微笑んだ。
その首領の笑顔に、ヨハネもまた笑顔で返す。またいずれ、すぐに近いうちに会えると言うかのように。

「ありがとうございました。またもし出会えたら……その時は、よろしくお願いいたしますねっ!」
「勿論だ。カルデアはいつでも、貴様が来るのを待ち望んでいるぞ」
「君が活躍する物語、楽しみにしているよ!」

それぞれが別れの言葉を告げるとヨハネは光となって消えていった。
3人は言葉に出さずとも、いつか彼女とまた会えるだろうという確信が胸の中にあった。

「なんか……夏の映画って、次の作品の主要キャラがゲスト出演するよね。ああいう感じがした」
「どういう感覚だそれは。しかし……良くあの力の本質を理解できたな。俺ですら見ようと覗き込んで、"これをまともに見たらまずい"と直感したというのに」
「あー…………それはーーーーー、えーーーーとだな。うん。当職の妹だ。当職の妹に似ている奴がいただけの話よ。うん」
「ホントぉ〜〜〜? 首領兄妹いるの〜〜? どう見てもひとりっ子って性格でしょ〜〜?
 っていうかいても末っ子でしょぉ君はぁ〜〜〜〜??」
「はー? うっさいわアホー。当職だってお姉ちゃん出来ますぅー。
 弟妹たち全員に帰りにアイス奢るぐらいの甲斐性はありますぅ〜〜〜〜」
「どちらかというと、兄弟全員からアイスを強奪している姿が浮かびやすいがな」
「ぐ……ぐぐ……っ!」
「あ、アレイスター起きた」

ヨハネが消滅するとともに、彼女の手でとどめを刺されていたアレイスターが起き上がる。
既にその体力は満身創痍。一歩間違えればこの特異点からの消滅は免れないほどに、その体力は消耗されていた。

「ハ……ハハハ……!! 思わぬイレギュラーにしてやられたが、我がトート・タロットは不滅……!!
 我が霊基を分割してカード状にしているが故に、私が存在する限り何度でも蘇るのだァ……!」
「だが御身には抵抗する体力はもはや残っておるまい。当職と晴明……東西双方からの"縛り"を課させてもらう。御身のその術式は余りにも危険すぎるからな」
「全くだ。さて……かける縛りの内容は、"二度とトート・タロットを使用しない"……で良いか?」

クキリ、と首を鳴らしながら、首領はアレイスターを見下すように睨みつけた。
安倍晴明と"隠されし首領"、東洋最大の陰陽師と西洋神秘の具現が如き存在が並び立ち、同時に敵意を向ける。
アレイスター・クロウリー……20世記最大の魔術師が生み出したトート・タロットの力を封じるために、言葉という縛りを彼の霊基に課すために。

だが、"隠されし首領"が課そうとした縛りの内容は、晴明の想定とは大きく異なる物だった。

「いや、"カルデアの許可がある場合以外にトート・タロットを使用できない"……とする」
「────正気か? その言い方だと、こいつが作り出した特級の危険物すらも、カルデアは利用すると言っているように聞こえるが」
「当然だ。それぐらいしなくては、人理を保証するなどという大言壮語は吐けぬからなぁ?」
「…………まぁ、もっともな話か」

何処か諦観めいた笑みを浮かべ、晴明は首領と共にアレイスターの霊基に"縛り"を刻んだ。
これはトート・タロットを開発し自らの霊基と一体化させたアレイスターに対して直接刻んだものであり、彼が座へと帰還したとしても有効となる強力なものだ。
即ち"この"アレイスターがトート・タロットを使う限り、カルデアにとって不利益な行動には使えず、またカルデアの許可が下りない限りは使用も出来ないという縛りが成されたのだ。

「ク、クキ! クキカケカクキカケケケクキィ!! ああ、なるほど。こいつは愉快だ。
 善も悪も、清も濁も併せ呑むという事か。カルデアという存在は。全く以て、度し難い限りだ」
「それが人理というものだ。吐き気を催す邪悪もあれば、目を背けたくなるほどに清き人間もいる。度し難い、という点には同意するがね」
「さぁ、御身には存分に働いてもらうぞ。幸い、アーツ全体宝具だ。良かったなアナンシ。代替が見つかったぞ?」
「ほーら立った立った! 虫大丈夫? まぁ無理って言っても引きづっていくんだけどね! キャストリアが待ってるよ!」
「キキキキ!! まぁ良かろう。私は私の生み出せた理論を実証さえできればいいのだ。
 その結果がカルデアの為であろうが、周回だろうが関係ない。良いだろう連れていけ。
 次なる、私が必要とされるその場所へとなぁ!!」



────────こうして、"隠されし首領"最後の事件。探偵特異点の残滓は、幕を閉じた。
事件が終わり、カルデアに首輪を付けられた首謀者アレイスターは、なんだかんだ言って夏を満喫している。
ただ1つ、駆り出される周回の量が想定の10倍以上だったことに苦言を呈していたが、それは彼にとって良い罰になるだろうと、首領は笑っていた。





劇場版 Fate/Masquerade Mystery
「Universe 21〜運命のアポカリプス〜」


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