ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

「大西中将、お久しぶりでございます。…なーんて、私は初めましてだけどね。」
カルデアの廊下にて、泥新宿のシールダーが可愛らしく敬礼を取りながら挨拶をしている。
…相対しているアーチャー・大西瀧治郎はそれと相反するような真剣な表情をとっているが。
「貴様…いや、お前達は」
「はーい、日本を守るシールダー・神風ちゃんです、いぇい!」
「何のために俺に会いに来た。」
「そりゃあもちろん挨さ」
「貴様には聞いていない。…お前達は、何のために俺に会いに来た。」

神風特攻隊―――第二次世界大戦の末期に、戦況を打開する奇策として実用され、多くの命が散った。
そしてこの場にいるアーチャーは、その神風特攻隊の生みの親と言える人物である。

「そんな姿までになって俺と世間話をしに来たという訳でもないだろう、何を話しに来た。」
「あー、えー、うーん…私やっぱお邪魔?」
「…」
「…無言の圧力は辞めてほしいなー」
「…」
「…はいはい!分かってますー!でも私通訳みたいなものだからしょうがないじゃん!
だからそんな睨まないでほしいんですけどー!」

「…ハァ」
調子が狂う、とばかりにアーチャーはため息を零す。

彼の目前にいるのは魔都と化した新宿の街に現れたシールダーであり、『幻霊』。
幻霊とは英霊にまで至る格のない人物・伝承・伝説などが重なり合い、現界している存在である。
そして彼女が重なり合っているのは『神風』と『神風』。
…片方は、第二次世界大戦で散った特攻隊の英霊の集合体である。

「分かった、じゃあ貴様の口からでいいから語ってくれ。」
「ホッ良かったー!じゃあ色々聞いていくね!」


「中将は、何故召喚に応じたのですか」
「?それはどういう…」
「あ、ごめん。聞き方がちょっと悪かったね。まあダイレクトに聞くと
中将の聖杯に掛ける願いはなんですか?」

ある程度、聞いてくる内容は予想はしていた、だが予想の外の質問であった。
俺に対する恨み言ではないのか、特攻隊として命を散らしたことへの恨み言ではないのか、と。

「…大西さん?大西さーん?」
「…俺の願いか。…勝利、日本の勝利。」
「勝利?」
「ああそうだ、犠牲の果ての勝利だ。」

「それは、俺達への贖罪ですか。」
シールダーの声色が変わる。いつもの陽気な彼女のモノではなく、鋭いモノへと。

「贖罪、か」
考え込むように視点がシールダーから離れ、暫くするとまた向き直した。
「違う、とは言わない。」
「そうですか」
声は先ほどと同じ口調。表情は変わっておらず顔から感情は読み取れない。

「…こちらからも一つ質問してもいいか。」
「…どうぞ」
「お前達は、何を求めてシールダーとして現界したんだ。」
「…国を守るためですよ。」
「それはつまり
「ただ」
アーチャーの発言を遮るように言葉を繋げる。
「…ただ、恐らく中将と同じ意味の国ではない、と思います。
…私達は、日本を守るためだとか、そういうのじゃないんです。
本当は俺達の殆どは特攻なんてしたくなかった、死にたくなかった。それでも、それでもだ。
一日でも、一秒でも、故郷を、友人を、家族を守りたかった。脅威から遠ざけたかった。遠ざけたかったんだ!」
段々と口調が強くなる。
「そこまでして、それでも焼かれて、それでもそこから日本はまた成長した、
例え俺達の行動が無駄であったとしても、大きく見れば無意味な行動であったとしても、あの姿が俺達の守った故郷で、友人で、家族なんだ!
それが今!また踏みつぶされようとしている!だからそれを守るために俺達は現界したんだ!」
口調はかなり荒いものとなっている、アーチャーはそれを何も言わず、ただ静かに聞いている。
「…だから、恐らく中将の想う国と、私達の想う国は違います。」
「…そうか。」

少し悲しい目をしてアーチャーはシールダーに言葉を返す。
アーチャーの願いは過去の否定、シールダーの望みは現在の肯定。
それはつまりそれぞれが相いれないことを示しており、そしてアーチャーは願いを曲げるつもりはない。
だが
「だが、お前達と会話の機会を持てた事に感謝している。」
「感謝、ですか。」
「ああ、俺の願いが我欲であることを改めて知れた。それでも俺は曲げるつもりなど毛頭ない。
…そして、お前達の想いも知れた。」
「言っておきますけど、当然中将を恨んでいますし、許すつもりもありませんからね。」
「だろうな。」
「だろうなって…」
願いが相反するものであったとしても、この場では関係ない。
カルデアの場では人理の焼却を防ぐために共に立ち上がった戦友となる。
「今この場では、大西瀧治郎としてお前達と共に戦うことは許してくれるだろう?」
「…まあ、それを決める権利は私達にはないですよ。」


「…ところでシールダー、貴様は通訳であり外の人格だったのではないのか」
「あー、いやー…」
先ほどの鋭い口調とは打って変わって何処か間の抜けた口調にシールダーは変わっている。
「まあその、基本的には私が外に出てるんだけど、彼等もそのーなんていうか
別にややこしくなるから出てこないだけで普通にしっかり存在しているっていうか。
感情が昂って出てきたのをビックリして抑えられなかったっていうか」
「…ハァ」
「あっまたため息ついた!ため息をつくだけ幸せが逃げるんだよ?知ってた!」
「…ここにいたらまたため息が出そうだから部屋に戻る。」
「うっわーひっどい!」
わーわー騒ぐシールダーを冷たい目で見つつアーチャーはその場を離れ、シールダーだけが残された。

「あーあー行っちゃった。それで、会話は終わったけどいいたいこと言えた?」
(…そうか)
「ん?」
(あの人は、自分を未だに許せていないんだな)
「…それを直接言えばいいのに。許せないってのも本当なの?」
(それは本当だ、恨んでいるのも、許せないのも嘘偽りはない。だが、それとは別の話で
不器用な人だな、と)
「あー確かにね。」
一人残された廊下から帰ろうと踵を返すシールダー。
「まあでもそれはどっちもどっちかなあ。」
その独り言は誰にも聞かれることはない。

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