ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。




「────────全員揃ったか………」


漆黒が支配する講堂にて、一人の男の声が木霊する。
その漆黒の中で、13の蝋燭だけがその講堂に立つ人々の輪郭を照らしていた。

「此度の計画は、我ら新世界秩序を望みし者たちが集って、
初めて"現代"に影響を及ぼす大きな作戦となる。心して欲しい。」

その言葉は冷たく、鋭利な刃の如き感触を覚える。その男は続けて、トントンと机を人差し指で叩く。
その指先には1枚の紙が置かれ、『プロジェクト=シュガール』、『プロジェクト=アトゥム』、
『プロジェクト=バアル』等と多数のプランの名前が記されては赤線が引かれている。
その中で一つだけ、大きく円で囲んであるプランがあった。

「まぁ失敗しても次のプランが、そしてその次があるが……それでもだ。
万が一の失敗、そして導き手の損失に備え、我らの内6名は待機とする。」
「言うではないか。計画の邪魔者を除けただけだろう?」

ヌハハ、と太い笑い声が響いた。
冷たい声はその言葉に答えず、言葉をつづけた。


「まぁ良い。これより、プロジェクト=フォルセティを開始する。」





────────カルデア


『本日、召喚施設点検中』と張り紙がされ閉ざされていた部屋があった。
曰く、新しく召喚が可能となった英霊のクラス、フォーリナーに不具合があったそうだ。
その扉の前に、一人の男が立っていた。その男は、カルデアのマスターの1人であった。
最初に収集された47名のマスターが1人。カルデアで英霊を召喚する魔術師である。

男の手には、1枚の紙が握られていた。
非常に古く、そのシミややけから数百年前の物と思われる。
カルデアの外にいる彼の身内から送られてきた、召喚の触媒だ。

「…………………………………。」

その紙を握り締めた男は、閉ざされた部屋のロックを、権限を用いて無理やり解除した。
そしてそのまま、無言でサーヴァントの召喚を行う部屋へと入り込んだ。

「…………………やるしか………無いのか………」

男の手はわずかに震え、冷や汗で湿っていた。
そして、もう後には戻れないといった後悔と決意に染まった表情をしていた。
そのまま男は、震える手で召喚装置にありったけの魔力結晶を注ぐ。

光の輪が数度輝き、サーヴァントが姿を顕す。
そのサーヴァントは、身体中に蛆虫を這わせ、髪と目は黒く、
そして浅黒い肌に貧弱な顎という、山羊を思わせる風貌をしていた。

「来たか……来てしまったか……。」
『おい!誰だ勝手に召喚をしているのは!!』

職員の、マスターではない魔術師の声が響いた。
召喚を行っていた男は「チッ!」と舌打ちを響かせると、
その召喚されたサーヴァントを連れて部屋から駆け出していった。

『あっ!おい!!』

男は職員など目に留めずに走り続ける。
走って、走って、そして辿り着いた先は、『娯楽室』と記された部屋であった。

「…………奴なら……ここにいる……」

ウィィィィン、と自動でサーヴァントたちの住まう扉が開く。
扉の向こうには、数人ほどのサーヴァントとマスターがいた。

「ん?ああなんだマスター・レイリーじゃないか
一体どうしたんだそんな息を切らせて」
「…………………。アザトースは何処だ?」

男は室内をきょろきょろと目を泳がせ、
何かを探すような仕草を取った後一人のサーヴァントの名を言った。

「ん?ああ奴ならいる。おーい!アザトース!!」
「それにしても誰だいそいつは?新入り?」
「あーいはーい、呼ばれて飛び出て僕参上!」

ぞろぞろとその部屋に居たサーヴァントたちが集ってくる中で、
ひときわ小さい少女が前に出る。

「ああ、アザトース。こいつがお前に用だって」
「ふぅんふん?どれど………お前……ッ!!
なんてもん召喚して─────うぐっ!?」

その男の横にいたサーヴァントを見て、少女は目を見開いて
凄まじい形相で叫ぼうとした。────────────しかし、
男が少女にそのサーヴァントを投げつけるように倒した為、遮られた。

「──────────────何を………ッ!?」
「第一の令呪を以て我が英霊に命ず!!我が主…Dr.ノンボーン殿の命令に全て従え!!」

男が突然、左腕に宿っている令呪を輝かせ、
倒れ込んでうめき声を上げるサーヴァントに命令を下す。

『おいあっちだ!!』
『見つけたぞ!』
「重ねて第二!第三の令呪を以て命ずる…………!!」

男を追う他マスターや職員の声が廊下に響く。
しかし男は間髪を入れずに礼呪を輝かせる。

「そのサーヴァント…アザトースと共に!
南緯47度9分 西経126度43分へと移動せよ!!」

カッ!とサーヴァントが光を発した。
そこにいたサーヴァントたちが一瞬眼を瞑る。
そして次に見た時には、その場から二人のサーヴァントは姿を消していた………。

『こいつ!!一体何をしやがった!!』
『えっ?ちょっと!なになに!?』

追いついた職員たちが男を複数人かがりで取り押さえる。
あまりに唐突に出来事が起こりすぎて、娯楽室にいた者たちは
サーヴァントを含めて事態を把握できず困惑している。

「ふ……っ、ひっ!ヒヒ!!
ひゃーははははははははあははははあははっはははっはぁ!!!」

男は複数人に取り押さえられながら、
まるで狂ったかのように笑い始め、そして────

「新世界秩序に栄光あれェェェェェェェェェエエエエエ!!!!」

カチリ、と男の口の奥から音が響いた。
その後すぐに、男は口と目、耳からダバダバと血を垂れ流し、絶命した。

『チッ!!自決用の毒まで既に仕込んでやがったか!!』
『まずいぞ………。カルデアのサーヴァントが外部に!』
『すぐにダ・ヴィンチ女史に連絡を!』





「…………随分と、まずい事態になったね」
「申し訳ございません。我々の管理体制が甘かったせいです」

顎をさすりながら唸る女性に、職員数名が頭を下げる。
それに対し、女性は笑いながら手をヒラヒラさせて言う。

「いや、別に責めている訳ではない。
あの男が、外部の何らかの組織と通じていたのを見抜けなかった……
私の責任だ。君たちは悪くはない」
「しかし────!」

その時、バラバラバラ!!とヘリの舞う音が屋上に響いた。
屋上へと数人が出てみると、そこには『ウィルマース財団』と描かれた
巨大なヘリが一機、着陸をしようとしていた。

「降臨者の話は聞いた!!早速カルデアの召喚システムを調査させてもらう!
礼装開発部長も連れてきた!!召喚ルームは何処にある!?」

ヘリの出入り口が開き、中からズカズカと、
多数の礼装を身に纏った魔術師たちが現れる。

「………………それが………、すまない。」

女性は目を伏せながら、申し訳なさそうに言う。
その仕草に対し、ヘリから出てきた男はピクリと眉を動かし、
ふんふんと頷くような仕草を取る。

「ふむ………もう"事"が起きたという事か?いつ頃に?」
「つい、さっきの出来事だ。」
「ならば間に合う!」

ヘリから出た男はその彼女の様子から状況を察し、指を高らかに鳴らす。
すると、すぐさまに共にヘリから出てきた魔術師が隊形を整える。

「いつでも出れる態勢でヘリにて待機!!
エンジンは常にかけておけ!!」
『はい!!』

一糸乱れぬ声が揃い、まるで怒号のように極寒の雪山に響く。
そして次々にヘリの中へと戻っていき、あとはヘリから出てきた男たちのリーダー格、
……と思われる機械仕掛けの男と、その横に付き添っているマスクで顔を覆った男
だけがその場に残った。

「何か、連中が向かった場所のヒントは残されていないのか?」
「だれか!その場にいた者はいないかい!?」

女性が叫ぶ。その声に対し、一人の少年が手を挙げる。
少年の名は藤丸立華。ここカルデアのマスターの追加枠として選ばれた、一般人である。

「たしか……………なん……い?45だったか7………
そして………たしか、120……3?4?と……」
「なるほど。英霊百数名を従えていれば、自然と記憶力は向上する、
というわけですな?これは興味深い。」

フルフェイスマスクをかぶった男が顎を撫でながら少年をなでるように見る。
それに対し、機械仕掛けの男は思考力を全速回転させ、一つの結論を出した。

「まさか………!!」

男には、その緯度経度に覚えがあった。
しかし、答えをだす寸前に、通信音が響いて阻止された。

「なんだ?」

女性は一旦周囲の人々を連れて、通信ルームへと移動する。
するとそこには、一人の男の顔がモニターに映し出されていた。

『よぉ、ザルなカルデアの諸君、ご苦労様だな』
「………………何者だ?お前は…………!?」

男は人相を分かりづらくするためか、口元を布で覆っている。
場所を特定しようにも、背景は一面海であり、特定は困難であった。

「───────やはりか…………!」

だが一人、先ほどヘリからやってきた機械仕掛けの男だけは、
ハッと閃いたような仕草を取り、ヘリの元へと戻っていった。

「あっ!ちょっと!?」
「奴の居場所が分かった!!恐らくは南緯47度9分 西経126度43分!!
かつて俺たちが!深海にテクスチャの綻びを見つけた場所だ!!」

その叫びと共に、男は屋上へと消えていった。
対して映像の向こう側の男は、やや不機嫌そうに眉間にしわを寄せる。

『………ふん、財団か。いつも余計な手出しをする。
だがまぁ良いだろう。目的のサーヴァント2基は手に入った。』
「手に入った……だと……?お前たち……目的はなんだ!?
なんで!!何故このような事をする!」

先ほどの少年。藤丸立華が激昂して叫ぶ。
それに対し映像の向こう側の男は、ただ冷たい目で答えた。

『目的?新世界の構築だよ。ああ………、別に理解できなくて結構。
元よりそう言った連中を絶やし、落とし、剪定するための"導き手(おれたち)"だ……。』

ニィィ………ッ、と男は目を細めて笑う。

「新世界………!?」
「………先ほど、死んだマスターも同じようなことを言って死んでいった。
彼は、要するに君のお仲間という考えで良いのかい?」
『言葉を選べよ万能の天才……!』

バキィッ!と何かが壊れるような音がモニターの向こう側から響く。

『仲間じゃねぇ……、捨て石だ。あんな有耶無耶な物しか抱いてない愚図と、
俺たち"導き手"を一緒くたにするな……!!ゴミが……。』

男は若干、目を血走らせながら言う。
しかし、すぐに口調と雰囲気を元の物に戻して続ける。

『失敬………。謝罪として答えてやろう。俺たちは新世界秩序同盟、O-13。世界を変革する者。
これより、人理を保証するなどと妄言を掲げる諸君らに、要求をする。』
「──────────要求──────、だと……?」
『………まぁなんだ。要求というよりかは………』
『宣戦布告だ。俺たちを止めて見せろよ』

男は親指を立てた右腕を、挑発するように逆さに振り下ろした。

「………ッ!」
「具体的には?」
『場所は分かったのだろう?南緯47度9分 西経126度43分。
それが答えだ。来たければ来てみろ。止めたければ、見事止めて見せろよ。
───────人理(せいぎ)の保障者(みかた)とやらよ───。』

男がそう言うと、映像はブツリと切れた。
いや、正確には破壊されたというのが正しいか。
男は、まるで怒りに任せるかのように、映像を取っているカメラか、
はたまた送信用の宝石か何かを、粉々に"握りつぶした"。





───────────南緯47度9分 西経126度43分上、
超大型船の上にて…………………

「さて、準備は良いか?混沌の女神サマよ」

口元を隠した男が、砕いた機材の破片を払いながら振り向く。
そこには、少女が磔状態とされて置かれていた。

「………………どういう事だい?カルデアの英霊は数あれど、
こんな無力な僕を捕まえて……何を企んでいる?」
「震える拳は隠せよ子娘。"無力"?冗談を言っちゃならんよ」

グイ、と男は少女の胸倉を掴みながら睨みつける。

「"生きているだけで世界を滅ぼす怪物"が……
どの面下げてこの世界に存在し続けているんだ?なぁ?」
「……………………ッ!お見通しかよ……」

少女は吐き捨てるように言う。

「喜べガキ。お前のそんな苦しみももう終わる。
何故ならば、この世界はもう"生まれ変わる"んだからなぁ」
「……………………生まれ、変わる?」

そう男は言うと、コートのポケットからジャラジャラと何かを落とす。
見ると、それは無記名霊基と呼ばれる英霊の残滓であると、少女はすぐさまに看破した。
──────────その数、ざっと60個。

「………サーヴァント6基分の魔力源、か。一体何を……」
「お前を此処に連れてきたサーヴァントを入れて、合計7基だ。
そして、お前のことだから正体に目星はついているんだろう?
あのサーヴァントの……真名を………………」

ククッ、と男は喉を鳴らし、目を細める。

「ここまで分かるならば、言いたいことは分かるだろう?神様よォ」
「サーヴァントが七………ッ!…まさか……嘘だろ……!」

少女は眼を見開いて、涙を微かに浮かべながら驚愕する。
それを嘲笑うかの如く、男は笑みを浮かべる。

「喜べよ、お前が脳内に描いた暗黒神話が現実になるんだぜ」
「違う……!やめろ……!そんなこと……!!世界が………!!」

周囲に立つ人々は、その様からは目を逸らすかのように、
各々別の方向を見ている。だが一人、一人だけがその男に近づく。

「もうよせノンボーン。捕虜への辱めは人道に反する。」
「…………………ふん、貴様が止めるかガフ。まぁ良い。」

パチン!!と男は指を鳴らす。
すると数人の黒ずくめの男たちが現れて、少女を囲むように
先ほど男が出した宝石状の物体を配置し、目の前に異形のサーヴァントを立たせる。

「さぁ、異界の扉へと至る儀式をお見せしよう。」
「やめろ…!やめろ…!!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

少女が叫んだと共に、その船上に複数の影が出現する。
彼らは、先ほど少女たちがいたカルデアの英霊たち。
そして────────彼女を召喚した、マスターであった。

「俺のサーヴァントに!!手を出すなぁ!!!」
「ッ!!マスター!!」

そのマスターの背後に立つ、複数の英霊も続ける。

「ったく…なんで糞アマの為に俺まで」
「そう言うなタイタス。これも仕事という物だ」
「どいつから爆破すりゃあいい!?船か!船ごとかぁ!?」

その英霊たちを見て、口元を隠した男は眉間を顰めながら言う。

「しゃらくせぇ………!!小僧共………ッ!!」



今、暗黒の神眠る海底遺跡の上にて、正義(ちつじょ)と邪悪(こんとん)が激突する。

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