ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

アイス〜アイスは要らんかね〜
老婆の装束に身を包み、屋台を曳き、アイスを売り歩くのは何を隠そうアメリカの誇る不沈空母エンタープライズ
…もっと誉めてもいいのよ?
などと心の中で思いつつ今日もアイスを売り歩く。
まぁ、何故わざわざ変装などするかと言えばここがかつての敵地日本だからである。

ハルゼーの親爺さん曰く、日本人は詐欺師とスリしかいねぇ!……これは親爺が若い頃日本で財布スられた私怨なので無視する。
個人的には別に気にしていないのだが、ミズーリからのアドバイスで余計なトラブルを避ける為に正体を隠している。
そこまでするなら日本で売らなきゃいいだろと言うごもっともな意見もあるが、個人的マーケティングの結果、現在市場が日本しかない。
地元アメリカはネバダに怒られるしヨーロッパは面倒事に巻き込まれるしアフリカには行ったことがない。
オーストラリア……? HAHAHA!あそこ有袋類と羊以外にいるの?
などとアメリカンジョークを飛ばすくらいに暇です!お客さん来ません!……場所変えようかなぁ

「お母さん、早く早く! アイスの出店だよ!」
といい加減一人芝居も限界に達した所で待望のお客さんが!
しかも、声からして親子連れ!これはチャンスよ!

「もう、双龍はせっかちねぇ……あの子も待って上げなさい」
うn?
よく見るとそこにいたのは妊婦姿の女性。

どう考えても双龍と鳳翔です。
…………って知り合いじゃない!
この間と言い、なんで毎回最初の客が知り合いなの!? 因果率歪んでるの!?

「あら?アイス屋さん、失礼ですが、もしかしたらどこかでお会いしませんでしたか?」
いえ!初対面です!気のせいです!
「……そうですか、変な事言ってごめんなさいね」
申し訳なさそうに頭を下げる鳳翔さん

いえ、お気にせずにどうぞ!
罪悪感を誤魔化すように思わず大きな声、これはトラブルを避けるために仕方ないのよ……必要な嘘なのよ……

「あ、お母さん! ここは私が出すからね!……どれにしようかなぁ」
屋台に乗せられたアイスのサンプルを見ながら双龍が目を輝かせながら見定めている

直接対面すると人を鬼か悪魔のような顔で見てくるのにここまで近くにいて気付かないなんて割と呑気なのね、双龍。

「抹茶アイス3つください!」
3つですか?
「ええ、この子の妹なんですが、後からもう一人来るんです」
私の疑問ににこやかに微笑みながら答えるといとおしそうに双龍を見る鳳翔さん
これが母性って奴なのね……

なるほど……そうだ、サービスで黒蜜をトッピング出来ますけど、黒蜜はかけますか?
「く、黒蜜!?……そう言うのもあるの!?」
驚きを隠せない様子の双龍。

ふっ、私と私の宝具をただアイスを出すだけと舐めて貰ったら困るわね!
長門との甘味対決などを経て日本通のミニッツ提督や31ノットバーグ(アメリカ海軍水雷戦隊指揮官アーレイバーグ)に相談し、研究を重ねた末に完成したのがこの抹茶アイス専用黒蜜!
もちろん黒蜜なしでもおいしく召し上がれます!

「私の物はそのままで大丈夫ですよ、双龍は……」
「抹茶アイスに黒蜜……! これは邪道では……でも絶対美味しいし……たまには道を外れる事も正解を見極めるためには必要なことよね……」
私と鳳翔さんが双龍の顔を見ると眉間に皺を寄せて、アイスに黒蜜をかけるか否か真剣に悩んでいた。

「よし、決めた! 私のは黒蜜かけてください!」
数分程悩んだ末に双龍はアイスに黒蜜をかける事に決めたようだ。

今の間でミッドウェーでの魔の五分間を思い出したが、口に出したらちょっと洒落にならないし、余計な事なので黙っておこう。

はい、分かりました。 黒蜜トッピング抹茶アイス一つに普通の抹茶アイス二つですね、ちょっと待ってください……はい、どうぞ!
最近この仕事に手慣れてきてアイス屋か空母か分からなくなって来ているのは内緒だ。

「ありがとう!」
あ、スプーンが付いてないですね……
と私は屋台の屋根側にあるスプーン入れに手を伸ばした。

「ヒッ…!」
「どうしたの!?」
小さな悲鳴ともに双龍が腰を抜かし、その場にへたれこんだ。

あ、これバレたかも……

「あのアイス屋さん、米帝の気配がする……」
双龍、あなたそれ戦時中なら兎も角、今ならヘイトスピーチよ……
震えながら人を指差す双龍を前に左手で頭巾を外した私は右手を差し出す。

「あーっ! エンタープライズじゃん!」
私の右手を掴み立ち上がった双龍は驚きながら後ろに飛び退いた。

「あら、やっぱり。 ところで塀戸スピーチ?というのは?」
鳳翔さんは我が意を得たりと言わんばかりに胸の前で両手を叩くと私の失言に首を傾げた。

あー……なんと言いますか、もうお気にせずに、はい……お忘れいただけると助かります……アイス多目に盛っておきましたのでご勘弁いただければ……

「お姉ちゃん! お母さん! もう、なんで先に行っちゃうのよ!」
しどろもどろになっている私の視界の端にどこかで見た事のある迷彩柄の和服を着た少女が映る。

その迷彩柄を、その少女を、私は知っている気がした。

あ、貴女は……!
にこやかに微笑んでいた少女の表情が一変する。
それは敵意のようであり、いたずらがバレた時の子供のような気まずさでもあった。

貴女、『私を』知っているの?……いえ、『私も』貴女を知っている……? そうか、思い出した、その迷彩! 貴女、まさか……
私の言葉に少女は覚悟を決めたかのように目を瞑った。
なら、間違いはない!

貴女、そのちんちくりんな体型、瑞鳳ね!
その瞬間、少女の顔面がひきつった。

流石にちんちくりんは言い過ぎたかしら? 幼児体型?

「なぜ、私が瑞鳳だと……?」
何故か顔を真っ赤にして俯いている。

だって、瑞鶴はそんな小柄じゃないし、千歳千代田もこう……ふくよかな感じだから、残るのは瑞鳳しかいないじゃない?
まぁ、正直瑞鶴もフラットなイメージだったから英霊としての姿見て、結構驚いたのよね……あいつ実は盛ってるんじゃないの?

「はぁー!? 瑞鶴は盛ったりしてないんですけど! あれが瑞鶴の真の姿で負け惜しみは止めて欲しいんですが!」
はぁー!? なに急にキレてんのよ! 負け惜しみ!? 冗談じゃないんだけど!11!1!!前回完全勝利したのは私で!1!1!一万回戦っても私が勝つし!1!!11!

「はい、はい、そこまで、そこまで! アイスが溶けるから帰るよ!瑞鳳!」
「エンタープライズさん? 貴方も大人なのですから子供の言うことに目くじら立てないで、ね?」
完全にヒートアップしていた私達の間に双龍と鳳翔さんが割って入る。

「アイスおまけしてくれてありがとね、エンタープライズ。 その内もう一度やり合いたいけど……まぁ、今日の所は帰るよ。 またね」
「お代はここに置いておきますね」
「お姉ちゃん引っ張らないで!今度こそあいつ倒してやるんだから!腰抜けー!かかってこーい!」
二人にずりずりと引き摺られて行く瑞鳳、此方とて応戦するのは吝かではないのだが、如何せん仕事中だ。
だから商売人の端くれとしてこう言って置こう。

毎度ありー!

後日、偶々出会った瑞鶴に双龍達がアイスを買いに来たことと瑞鳳に会った事を話したら、瑞鶴から凄まじい殺気と共に睨まれたが

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