Belial Order / emanoN selecaFs
最終更新：ID:meaMeV8xnQ 2019年04月07日(日) 22:01:19履歴
「誰も、疑問に思わなかったか？」
「反聖杯なんて持ってる奴が、英霊なんて召喚できるのか？」
「反理の逆杯なんて代物を、抑止力が受け入れると思うのか？」
溢れ出ていく。
黒よりも黒く、闇よりも暗く、悍ましくも呪わしき虚無が、男の内から流れ出ていく。
目から、耳から、鼻から、口から。そして……胸にぽっかりと空いた孔から。
汚泥が抜け出ていく程に、男の体が白く染まっていく。
渇いていく。枯れていく。生命を失いつつあった彼の身体を生かす闇が、罅割れていく。
「前言を撤回しよう、我が協力者 ！」
「かつて俺様は、貴様を『物語を内側から導く狂言回し』だと称した！」
「物語の中心に立てど、決してスポットライトを浴びることはない存在だと！」
溢れ切った純黒の血が、暗黒の杯へと注がれていく。
並々と、この世を侵し冒して犯し尽くす無窮の闇が、満ちていく。
一杯になるまで注がれて、そして再び溢れ出し、地に染み渡る。
杯を根として、逆様の世界へと幹を織りなし、枝を伸ばし、実をつける。
光を覆う外殻、邪悪の理を蓄えし、十個の禁断の果実が。
「だが此度の歌劇においては違う！」
「エマノン・セレカフス！世界を滅す虚無の力を抱えし男よ！」
「黄昏の時は来た！この物語においては！貴様こそが！主役である！」
そして樹の中心に、最後の実が宿る。
無価値を司る悪魔の名を冠する、十一個目の殻。
無頼より生じ、虚無へと至りて、無限の闇へと流れ出でる、魔王の証が。
他のどの実よりも黒々としたその果実は、熟れて、腐り、膨らんで。
そして、弾けた。
エマノンさんが指名手配？そんな、どうしてあの人が……
───逃がし屋 影見ツクシ
何でも内乱罪らしい。今は天王寺だけやけど、じきに難波や梅田にも通達されるやろうな。
───ひとりぼっちの学芸員 御幣島亨
凶兆が、見えました。このままではあの方は……死んで、しまいます。
───日本最古の女王 卑弥呼
あれ、エマのん？髪の毛真っ白になってるやん、イメチェンしたんか？似合ってるでー！
───高気圧少女 日向ココノ
よう腐れ占い師。おっと話す事なんて何もないからさっさと死んで金になれ。
───呪言紡ぐ何でも屋 渦廻うねり
運命の頁は捲られていく。誰もが進むことを強いられる。
なに、この黒い奴ら……レムナントじゃない！？でも、あたしたちなら！
───灼け付く刃 乾柳ヒカリ
……その力、あの占い師めに感じた魔と似ているが。何にせよ、此方たちの敵ではないな！
───鴉羽纏いし剣士 小烏丸
どうやらあなたの炎が効くようですね。私に合わせなさい、アカネ。一気に片付けます。
───難波 の辻切り 鴈鉄アズキ
では援護射撃はこの自分にお任せを！ばっちり撃ち抜いてやるであります！
───難波 の猟犬 鷹山ミナミ
この俺のいる難波を攻めるとはいい度胸だ。アズキ、ミナミ、アカネ！準備はいいな、さっさと蹴散らすぞ！
───難波 の鬼 檜扇灰二
否応もなく渦中へと引きずり込まれていく。運命の糸に絡め捕られ、手繰り寄せられていく。
何故だ、占い師！そなたはその様なことをする者ではなかった筈だ！……やむを得ん、その過ちを余が正そう！
───王威を継ぐ者 アルス/XXXI
プロデューサー……いいえ、ベリアルオーダー！貴方が何を企んでいようとも、この聖槍で打ち砕いてあげましょう！
───聖槍を担いし赤騎士 パーシヴァル
お前さんの探しもんが、この梅田迷宮にあんのは知ってる。けどな、今のお前さんに此処を潜らせるわけにはいかへんのや。
───奈落組棟梁 刀根音子
……なぁ、何処にやったんや？うちには分かんねんで、あんたがあの逆杯を持ってへんことは！
───聖杯の寵児 鉢かづきの初瀬姫
此れは、黒？いいえ、そんな優しいものでは……虚無。光の届かぬ深い昏い闇が、あなたの運命を包んでいるようです。
───色彩を視る軍師 月島イブキ
混沌が世界を覆う。彼方と此方を分かつ境界が歪み、交わり、滅びの刻が近づいてく。
セフィロトの樹にはダアトという隠されたセフィラがあるように、クリフォトの樹にも十一個目のクリファがあるんです。
───語り屋 久本詩遠
その最後のクリファの名は、ベリアル。彼の異名は無価値の悪魔ではなく、それよりもっと恐ろしいものを指していた訳か。
───日本児童文学の父 小川未明
俺様は、あいつを倒すために抑止力によって召喚されたサーヴァントだ。まあ仕事は興味ないんで放棄したが……さて、貴様らはどうするんだ？
───楽劇王なりし指揮者 リヒャルト・ワーグナー
へぇ？面白そうなことになってるなぁ……あいつ、アレを奪ってやったらどんな反応するのかなぁ？
───賭け狂う外道 秋鷺柳
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいィ！？早く気づけ主様よォ、流石の吾様もあれは御免だぜェ！？
───第六天魔王波旬 マーラ
地の底に邪悪の樹が根付く。枝先に十の禁忌は実り、残る一つも程なく捧げられてしまうだろう。
あぁ、こんな奇跡を手放すわけにはいかない。兄さん……私が殺すのだから、死なせるわけにはいかない。
───狂愛を抱きし一の虚孔 逆�蛋鶲�
まぁあたしは戦えるのなら文句はないわ。悪魔がどれだけ強いのか、ちょっと楽しみね。
───呪難を背負いし戦狂の剣士 ベイリン
アオイと手を組むなんて反吐が出る程最悪……だけど、兄さんを助けるためだ。助けてやるから邪魔をするなよ！
───憤怒を抱きし十の虚孔 逆�端覯�
しょうがない、サーヴァントとしての務めは果たすさ。さぁて、俺たちの剣でどこまで吹っ飛ばせるかね。
───呪難を背負いし双剣の騎士 ベイリン
オーサーのぶんまでウチが……私が！マスターを助けて見せるから！応えて、『大神宣言』……！
───最新の戦乙女 騎行少女リット
斯くして、運命は紡がれる。其は黄昏の果て、黎明に至る英雄の物語＿＿＿＿＿ではない。
白を知り、黒を知り、その彼岸の彼方にある価値を目指して生きた、一人の人間の生涯である。
幕を下ろそう。喝采を響かせ彼の名を讃える声を高らかに。その長い旅路に花を添えよう。
鮮明に浮かぶ。彼らが描くであろう、眩い未来が。＿＿＿＿＿故に、お前たちはここで絶やす。その抗いは無価値であると知るがいい……！
───灰色を絶やす者 エマノン・セレカフス
Another Requiem 異聞
Belial Order / emanoN selecaFs
2119年4月より、執筆未定。
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