ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。





『空想』


この言葉に、お前たちはどういった事を想う?
所詮は偽物と思うか? それとも楽しい事柄を思い浮かべるか?


俺は断然、後者だ。


空想は、楽しい。いや……? 違うな。楽しいから空想なんだ!
当然、その楽しい空想を肌で感じたくなるよな? もっと臨場感のある空想を味わいたくなるよな?
「でも所詮は偽物じゃねぇか」という、くだらねぇ理性を弾き飛ばすぐらいにリアルな空想、見てぇよなァ!?
────────だから、人類は空想をより間近に描く為に、技術を磨いた。

話を聞くに、今の空想を描く技術は、俺の時代と比べ、随分と様変わりしたそうじゃあないか!
実写と変わらない巨大な怪獣! 現実にあるかのように飛び出す怪物! 肌で危機を感じるかのような、臨場感溢れる音響!
ああすげぇ。どれもこれもすげぇよ。俺がいた時代に、是非ほしかった。そう言うのがあれば、俺も────────。


話しすぎたか。


言いたいのは、空想って言うのはすげぇ楽しいってことだ。
楽しいからこそ、それを人は追求する。追求した結果、それが発展して今に至る。そういうものだ。
多分、そういうサガなんだろう。少なくとも、表現者ならそうしたいと、追い求めちまうんだろうな。


だから俺は、今回素晴らしい"空想体験"を用意した。


ちょいとした拾いもんでな。これがまた、どの粘土や筆よりも手に馴染む。
必然、インスピレーションも膨らむ。"ちょっと未開拓なジャンルに手を出してみるか"…って思いたくなるぐらいにはな。
ああ……まさに、最高の舞台が完成した。この現代にある、どんな映像表現よりも最高の空想再現舞台だ。フルCG? 3D? MX4D? んなもん鼻で嗤わせてやるよ。


愉しんでくれ。俺の全霊を込めて作った、最高の"舞台"をよ。







ある日、カルデアが微小な特異点を観測した。
突然発生した聖杯を何者かが手に入れ、特異点を形成した……という、カルデアにとっては日常のような事件であった。
人理に対して大きな影響を及ぼすほどの存在ではないが、外から観測できるデータによると、長く存在できる程に強度が高いようだ。
このままでは何か悪影響を及ぼすようになるかもしれないと、カルデア現顧問であるダ・ヴィンチは、手の空いている英霊とマスターにレイシフト敢行を依頼した。

「ったく……。この当職われの至高なるおやつタイムに水を差すとは、良い度胸よな万能の天才」
「そうカッカするものじゃないよ"隠されし首領"。カルデアで手が空いている英霊が、僕ら3人ぐらいしかいない現状だからね」
「ばうわうーっ! 久しぶりのお散歩だーっ!」
「すまないハーシェル君、首領ちゃん。ガルムちゃん。他のみんなはてんてこまいでね。
 発生し続ける特異点の解決以外にも、爆破されたウィルマース財団の件とかの収集などをつけないといけないからね。
 まぁそんな大したものじゃない。もし危ないようならすぐに帰ってきてくれればいい。私も観測という方法でサポートするから」
「フン、必要ない。当職われは全ての神々の信仰を束ねる至高存在……。例え万能であれ、貴様の手など借りずとも特異点の1つや2つ、手ずから解決してやろう」
「とか言って、夏の頃は怪談話に涙目になっていた癖に」
「喧しいっ!!」

ウォッチャー、ウィリアム・ハーシェルの茶々が挟まれつつ、1人のマスターと3人のサーヴァントが特異点へレイシフトした。





レイシフトは無事完了した。
特異点の黒幕からの妨害などはなく、滞りなく特異点へと到着する4人。
だがしかし、何か妙な違和感を覚える事に通信を繋いだダ・ヴィンチは気付く……。

「こちらハーシェル。特異点内に無事転移できたよ。
 周囲に敵性存在などは見られず。風景は現代的な日本の街並みと言ったところ。どうぞ」
『オーケー。こちらも感度良好だ。通信妨害などは見受けられない。……んん? ちょっと待って君たち』

『"いつの間にお色直しなんてしたんだい?"』

ダ・ヴィンチの指摘したように、特異点へとレイシフトした彼ら4人は、気付いたときには服装が変わっていたのだ。
マスターはあまり変化はなかったが、普通の街行く学生の纏うような服に。ハーシェルとガルムは、より現代的な服装に。
そして"隠されし首領"はというと、濃いブラウンにチェック柄のインバネスコートを羽織り、ディアストーカーハットを頭に被るという姿になっていた。
その恰好はまるで、いかにも『探偵』と呼ばれる存在を具象化したかのような服装であった。

「……なんだ、これは? 何故当職われはこのようなふざけた格好を……?」
「これが特異点の性質だろうか……? 僕らは着替えたような記憶はないし、何者かの介入が入る隙も無かった」
「うぅ〜? 胸元がきついよぅ…」
『ふぅむ。これは特異点そのものの性質……なのかな? 衣服を形成するのは魔力とかではないようだけれど……』
「でも皆似合ってるよ」
「ほう? そ、そうか。見る眼があるではないかマスター。
 この当職われは何を着ても似合ってしまう。そういう事か」

そういう事ならばこのままでいよう、と満足げに笑う首領。
彼女に先導されながら特異点を調べるカルデア組。どうもこの特異点は、基調は現代日本の街のようである。
だが明らかに年数が経過している古風や屋敷やホテル、どう見ても国が異なる景色が並ぶなど、何か不自然な街並みであった。

「まるで映画のセットみたいだ……。
 継ぎ接ぎだらけで様々な国や時代の景色が混ざり合っている……」
「わふー! はりうっど? って言うのかなこう言うの! なんだか楽しいね!」
「今度はビルが立ち並ぶ……オフィス街と言ったところか? まるで統一性のない風景が次々と……おや?」

高層ビル群の並ぶ通りへ差し掛かったところ、首領は人だかりが出来ているのを見つけた。
見ると警察が十数人集まり、パトカーや救急車もかけつけ、明らかに剣呑な雰囲気となっている。
駆け付けると、苦しむ1人の男性が担架に乗せられて運ばれて往くのを首領は目撃した。

「(………………今のは)」
『被害に遭ったのは、藤宮製菓のオフィスが存在したフロアのようです。
 重傷者1名、オブライエン氏。軽傷者は現在確認できるだけで5名います。ワイズ警部』
「んぁー……。中毒症状による気管支への障害……。だが毒ガスなどの毒成分は一切検出されなかった……。
 こりゃー、あれか……。また……"マスカレイダー"の仕業か」
「マスカレイダー……?」

気になる単語が出て、つい首を突っ込んでしまうカルデアの4人。
ここが特異点である以上、特異点たらしめている"通常はあり得ない概念"が存在する。
それがその『マスカレイダー』と呼ばれる存在の仕業であると考え、彼らはその存在がどういうものなのかを調べるために、事情を聴く事としたのだ。

『なんだ君たちは。捜査の邪魔だ』
「あー良いって良いって。この街で困ったら"探偵"の出番だからな。
 ん? お前さん見ない顔だな。新入りの探偵さんかい?」
「? 探偵と分かるのか? 探偵らしいのは格好だけで、ただ着こなしの良い美少女やもしれんぞ?」
「ははっ、俺ぐらいの警部になると、見るだけで分かるんだぜ? お前さんは探偵をやるような存在だってな!
 よし、詳しく話してやる。この街は探偵がいるから成り立っているからな。まぁ上がってくれや」
『警部! そんな自分の家みたいに!』
「……? この特異点は、そういう場所なのか……?」

ハーシェルが疑問に思う中、警察からある程度この特異点の奇妙な特性について知る事が出来た。
この特異点……彼らが住まうこの街は、"探偵"と呼ばれる職業の人間が大勢おり、その存在によって支えられるという。
故に探偵という職業のものなら、基本的に顔パスで様々な場所に世話になる事が出来るのだという。

そんな街に突如として出現するようになった、超常的な犯罪を巻き起こす"怪人"がいるという。
まるで仮面を被ったかのように本性を見せず、倒す手段がない特殊な能力を持っており、警察や一般人では手出しができないそうだ。
彼らは"マスカレイダー"と呼ばれ、この街の平和を脅かす犯罪者として恐れられているらしい。

「(そのマスカレイダーと呼ばれる存在が、この特異点の原因なのでしょうか?)」
「(話を聞く限りでは複数いるようだが、そのようだな。大方、英霊の力を悪用して犯罪に手を染めているという所だろう)」
『(現場に残されている魔力を解析したよ。うん。尋常じゃない魔力の痕跡があるけど、魔獣などとは一致しないね。
 多分だけれどサーヴァントか、埒外に凄まじい魔術師の可能性が高いよ)』
「(ならひとまず、そのマスカレイダーとやらを探すとしようか。幸い当職われは、この特異点で顔が効く"役割"を与えられたようだからな)」

首領は続ける。特異点に入った時点で自分たちはこの格好だった。
そしてその恰好から、自分は"探偵"と呼ばれる役割を当て嵌められた……と。
元々嘘から生み出されたような存在である彼女は、こういった虚構の概念を見破る洞察力に長けているようであった。

「なるほど。君が探偵に選ばれた理由が分かったような気がするよ」
「何よりこのマスカレイダーとやらは甘味を創り出す者たちを襲撃した。絶対に活かしてはおけぬ」
『そっちが本音かい』

理由はどうあれ、探偵としてやる気になった首領。
"探偵"という役割が重要になるこの特異点で、マスカレイダーと言う名の犯人捜しに彼らは乗り出すことになった。





『いやぁ、探偵が重要な役割を担う特異点とは。その場にいなかったのが実に悔やまれるな。
 どうだろうミス・シュプレンゲル。今からでもこの私と変わる気はないかな?』
「生憎だが、探偵というだけでちやほやされるのは気分がいい。このままいかせてもらう」
『ほーらホームズ勝手に抜け出して。君は別件の調査が溜まってるんだからあとあと!!』

通信の向こうでホームズがダ・ヴィンチに連れられて行った。
そんな通信の向こう側を気にせずに、マスカレイダーと呼ばれる謎の存在を探す一行。
手当たり次第に探していると突然、青年が首領に対して話しかけてきた。

「……すみません。探偵、ですよね」
「ん? そうだが、何だ? 何か事件でもあったのか?」
「その……数日前から、知人が行方不明になっていて。捜索依頼を出したいんです」
「……行方不明、ねぇ」

そんなの警察に頼ればいいだろう、と言い放つ首領。
だが、この街では事件があれば、基本的に警察よりもまずは探偵に依頼するのが当たり前だという。
青年の名はコーダ・ラインゴルト。立ち話ではあるがある程度話を聞くと、突如として同居人「慶田紗矢」が音信不通になったのだという。

「しかしなぁ……。今当職われちょっと別件の犯人を追っている最中だからなぁ」
「ところで……これは、いなくなった彼女の作ったマカロンなんですが。
 探偵の中には喰いタンなる人もいると聞きますし、もしかしたら何かのヒントになるかもと思って」
「ふむ。絶対に見つけ出してやるぞ(むぐむぐ)。旨いなコレ」

探偵というだけで様々な情報屋依頼が入ってくるという事を身をもって知ったカルデア。
特異点の性質を調査したところ、どうやらこの特異点には『役割』と呼ばれるものがあり、基本的にこの特異点に巻き込まれた人間はその『役割』に応じた動きをするというのだ。
"探偵"ならば事件を解決する、"警察"ならば探偵にヒントを与える、"依頼人"ならば探偵に事件解決を持ち込む……と言ったように。
それが、この特異点を形成する「ルール」であると、ダ・ヴィンチの解析結果がはじき出したようだ。

「なるほど……。まるで映画やドラマのようですね。与えられた役割に縛られるだなんて」
「そのおかげで当職われがスムーズに情報を集めることが出来ているのだ。どうやらこの特異点は、探偵という存在を中心に回るよう出来ているらしい」
『ちなみに首領ちゃん以外の3人は"探偵助手"という役割のようだよ? どうやらとことん、探偵を中心にまわる役割で固定しているようだね』
「ふむ……。聖杯戦争で英霊がクラス分けされるようなものと同じ理屈なのだろうか……?」
『そしてもう1つ面白い情報だ。多分その特異点、様々な世界から人間や英霊が集められているようだ。
 でも基本的に記憶などは一新され、その特異点内での役割に準ずる動きやムーブを遂行する役者……みたいな感じかな?』
「まるで映画撮影における、エキストラの募集だな。英霊だけでなく、現実世界の人間まで無造作に取り込むとは、何処までも貪欲な────」
「あ、あれ!!!」

ガルムが指を差した先には、奇怪な姿をした怪人がいた。
まるで幼児向けの絵本か何かに出てくるような、カリカチュアライズされた存在がそこに立っていた。
漂う魔力は明らかにサーヴァントのそれであり、彼らは全員が揃って、それが"マスカレイダー"と呼ばれる存在であると察した。

「ダ・ヴィンチ。解析を頼む」
『言われずともやってるよ! ……なんだこれ? サーヴァント……なのか?』
「どうした?」
『魔力は申し分ないぐらいにサーヴァントなんだ。けど……霊基が安定していない。シャドウサーヴァント……?
 いやそれとも違う……なんだこれ!?  人間とサーヴァントが同時に存在している? とにかく、全てが未知数の相手だ!!』
「しかし、なんだあの存在……胸元にカードが張り付いている……? あれは……タロットだろうか?」
「まぁ戦えば力量は分かる事だろう。あちらも、やる気は満々のようだしな」

マスカレイダーと呼ばれる存在は、炎の鞭と毒ガスを使って彼らを攻撃してきた。
その攻撃方法から、こいつが先ほどの事件の犯人だと首領は推理。倒すために戦闘になる。
だが────────

「わふー!! 全然ダメージが通らないぃ〜!」
「こちらの攻撃は全て当てているはずだ!! 一体なぜ!?」

なんと、マスカレイダーはどれだけ攻撃をしても、全くダメージが通らない特殊な性能を持っているようであった。
その理由や、マスカレイダーの英霊としての真名は分からない。かろうじて分かるのは、胸部に張り付いている"節制"のタロットの図柄だけだった。
なぜ攻撃が効かないのか分からないまま、騒動を聞きつけて駆け付けた警察と、それを察知したマスカレイダーの逃走により戦闘は中断と相成る形となった。

「ハァ……ハァ……。い、一体何だったんだ……!?」
「分からない。だがどうやら……この特異点。ただマスカレイダーと呼ばれる謎の怪人たちを倒そうとするだけでは、解決はしないようだな」
『ふむ。探偵が物語の中心という事は……おそらくそれに関連した"何か"をしなくちゃ、マスカレイダーは倒せない……ってところかな?』
「ちょうど警察も来たところだ。今まででた情報と話を整理しながら、奴らの詳しい話を聞くとしよう……」

そうして彼らは傷ついた体を癒しつつ、駆け付けた警察から"マスカレイダー"とは何なのか、の詳細な話を聞くべく、署へと同行するのであった。





『では、現在分かっている情報を整理しようか』


『1つ。この特異点に訪れた者は、"探偵"や"探偵助手"、"依頼人"などと言った役割を与えられ、行動や立場を縛られる』
隠されし首領「まるで映画やドラマの世界のようだな」
ハーシェル「聖杯戦争で英霊がクラスに縛られるのに似ていますね」

『2つ。この特異点においては、探偵という存在が非常に重要な存在になっており、住民たちも彼らを頼る』
ホームズ「是非とも、私が出たい特異点だったよ」

『3つ。この特異点では、サーヴァントに近い超常存在"マスカレイダー"が犯罪行為を行っている』
ダ・ヴィンチ「彼らを討伐することが、この特異点解決の糸口になるのかな?」
ハーシェル「彼らの身体にはタロットカードのようなものが張り付いていた」

『4つ。マスカレイダーは、なぜかは知らないが戦闘を行ってもダメージが通らない』
ガルム「ばうわうー! どれだけ攻撃しても傷1つ付かないんだもん! ショック〜!」
『セイレムと似たような感じで、特異点そのものが何らかのルールを課しているのかもね』

『5つ。この特異点は、日本の街を基調として様々な時代・国の風景が継ぎ接ぎに入り混じっている』
隠されし首領「まるで映画のセットのようだな」
ガルム「知ってる知ってる! はりうっど、って言うんだよね!」

『6つ。この特異点は、英霊だけでなく一般の人間たちまでもが巻き込まれている。
 彼らは基本的に記憶を失い、特異点の一員として与えられた役割に準じている』
隠されし首領「まるで、映画のエキストラ役として招かれた人々のようだな」

『ふぅむ。総じて"フィクション"のような物語を再現しようとしている特異点……ってところかなぁ?
 一体全体この特異点ではどんな謎が待ち受けているのかな? それは次回のお楽しみ!』


「来週も、当職われの心理が、真理を拓く」

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