ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

前回のあらすじ

聖杯戦争に巻き込まれアーチャーキスキル&リラを召喚した少年、姫咲薫。

キャスターとの戦闘で窮地に立たされるも、和服のアサシンの助太刀で九死に一生を得る。

そのままアサシンの提案で、キャスターの本丸を追撃する一行。

キスキルが新たに習得した宝具、『崇高なる人の力は、雷をも手に入れたイコール・ケラウノス』で外側から工房を攻め。

"放出"を封じるアサシン、ツクヨミの宝具、『夜之食国よるのおすくに』によって魔術の類を封じる。

相手がたとえいくら優秀なキャスターと魔術師だとしても、これで完封できるはず、だったのだが。

キャスター、バルベロの宝具は。マスターをサーヴァントの域にまで"成れ果て"させる、特殊な宝具だった。

魔術を完封した程度で、この『私のための神話アイオーン・デバイス』が斃れるとは思うなと。

小さなキャスターは妖しく笑った。












                        Fate/Split Sisters








                           **

お互いに動かない。

力関係は不明瞭だ。どうする。マスターらしく、指示を出すべきなのか。いや、自分なんかが。しかしやるしかない。サーヴァントにいつまでも頼りっぱなしでは。

「…アサシン。あのマスターの相手をお願いしてもいいかな。」
作戦はできた。とりあえず、今の戦力でできる範囲。キスキルとリラにはすでに伝えた。
アサシンからの返答は、ただ一言。
「来るぞ。」
あちらから仕掛けてきた。


バルベロとしては当然の行動。考える暇などこちらにはいらない。選択肢は、一人ずつ潰すだけ。
極彩色の光剣を手にし、愛しのアイオーンが突撃する。狙いも不要。向こうから立ち向かってくるに決まっている。
光が動きを止める。相対するのはアサシンか。問題ない。こいつの宝具ほど厄介なものはない。
「ええ。そして当然、こちらに来ますよね。」
二人のアーチャーがこちらへ向かってくる。バルベロ本体は脆弱無比。アーチャー1人すら相手にはできない。
"でも、そんなの最初から分かっている。"
「恨みはまあそれなりにあるし!」「何よりこの場を切り抜けなきゃだし。」

「砕けろ!」「捻じれろ。」
二つの呪詛が飛ぶ。
その言霊が届いてしまえば、あっけなくバルベロは弾ける。だけど。
分かっているのに対処しないなんて、ありえない。
「言葉の扱いで私に勝とうなんて、甘いですよ。」その言葉を最後に、バルベロは八つ裂きになった。

…否。八つ裂きにするよう命じた。この場で最速かつ最強の力を持つ存在、アイオーンに。
アサシンですら容易には躱せない斬撃。それを地面に向けて振るい、大地の刃を飛ばした。
「こちらから目を離すとは、舐められたものだなーーーー!」
アサシンもその隙は許さない。バルベロの加護ごと、アイオーンの皮膚を斬る。十字に跡をつける。しかし。
塞がっていく。アイオーンとなったマスターはサーヴァントの特性を得ているに等しい。もはやその程度の傷では動じない。

そして、バルベロ。言霊が届くより先にバラバラになってしまえば、砕けることも捻じれることもかなわない。
八つ裂きにされたバルベロの肉片が蠢き出す。その姿は聖母からは程遠い醜い存在になってしまったが。心は未だ、聖母足りえる。
すなわちそれは永遠不滅。完全に消えさらない限り、バルベロはその身体を再編できる。
肉が集まる。まるで、救世主の復活のように。集い再び形を成す。まるで、原初の人が生まれたように。
おぞましい光景の末。ーーーーーーーバルベロは、何事もなかったかのようにそこに浮いていた。
「ええ。これだけであなた方の作戦擬きは御破算。」にこにこと。身を裂かれたばかりなのに。


                          **


間違っていなかったはずだ。アーチャーのマスター、姫咲薫はそう必死に再確認する。
あれが復活するのは知らなかったけど。それこそ、キスキルとリラの言霊が刺さる相手じゃないか。
原初の言葉は相手が脆弱であるほど効果を発揮する。当たれば復活なんてできなかったはずだ。
それに、アサシンとあのマスターを戦わせるのだって、それ以外の選択肢はない。
アーチャーではどう考えても劣勢になる。現に今だって、アサシンは互角に渡り合い続けている。

それなのに。徐々に押されているのが、わかる。戦場は堂々巡りを繰り返していた。
ただ違うのは、アサシンが徐々に後退していること。…僕の方向に。
僕が死ねば、3対1の構図は崩壊する。一番のお荷物だ。
アサシンはマスターでもない僕を護ってくれている。
アーチャーは従順に僕の作戦を繰り返す。マスターを護りたいはずなのに。
この状況を作ったのが僕なら、僕が変えるしかない。でもどうやって。

その時、キスキルとリラの声が頭に響いた。
「薫、よく聞いて!」「大事だから長々と伝える。」
「私たちはマスターだから従ってるわけじゃない!」「私たち、別にマスター要らないし。」
「単純な理由。目の前の人を助けたい!」「簡単な理由。薫のことが気にいってるから。」
「だから気負わないで!」「私たちを頼って。」
「あたしたちには可能性がある!」「そう、きっかけがあれば目覚める力がある。」
そう言いながら、徐々にこちらに近づいてくる。そうだった。二人のアーチャーは進化するアーチャー。
それなら今ある手札だけじゃない。可能性を新しい手札に!

バルベロからアーチャーが離れていった。それも。いつか想定していた。
3対1なら勝てるというのは幻想に過ぎないのに。連携ができるようには見えない。
私とアイオーンのように、真に繋がってもいないのに。
アーチャーとアサシンの挟み撃ち。それなら、バルベロに取れる答えは一つ。

アイオーンがはるか高くへまっすぐに跳躍する。それだけで挟み撃ちは崩れた。
(でも、アサシンがいる限り、第二宝具の真名解放は行えない。それができればまとめて屠れたのに。)
バルベロは少し歯噛みする。しかしすぐにアイオーンへと命令を告げた。
一体ずつやるしかない。決定打がないのはどちらも同じ。まずはやはり、アサシンとアイオーンの勝敗で決まる。
そのはずだった。

極彩色の光剣は、確かにアサシンに向かっていた。そこに割り込み立ち向かうは、二色の悪魔。
「残念!私たちが相手だよ!」「愉悦。予想外な行動を取れた。」
アーチャーが足止めしてきた。しかもその力は、明らかに増幅していた。
「…何故?」バルベロが狼狽する。サーヴァントが力を隠す理由も、理由なく力を増すこともないはず。
「それはもちろん!」「それは当然。」

「「貴方たちに負けるわけにはいかないから!」」

そう、それだけでよかった。なにか劇的な経験があれば。人の進化を見守るため。神の凋落を嘲笑うため。
キスキルとリラは変わりうる。成長する。それはまさに、二枚組のジョーカー。

バルベロには理解できない。そんな単純なお題目で、刹那的な目的で。
ここは願いのために戦う場なのに。定められた存在から進めない哀れなサーヴァントが、願いを叶えるための場なのに。
成長するサーヴァントなど。許されない。それが赦されるなら、私だって。

怒りをそのままアイオーンに命ずる。同時なら互角というのなら。片方ずつ叩き潰す。
剣と二人の手刀によるつばぜり合い。無感情にアイオーンは足を振るう。リラが吹っ飛ばされる。
そこから無慈悲に剣を振るう。それで終わるはずだったのに。こいつらに行動を止める力はない。時間稼ぎだけだ。
そう、前に立ち入るアサシンを振り払い、今度こそこの悪魔を殺さなければ。

「ーーーーーーー今だ。『夜之食国よるのおすくに』、解除。」
アイオーンの前に立ち入ったアサシンの言葉は、予想外のものだった。
そんなことをして、得するのはこちらだろうに。すぐさまアイオーンに、『この世すべての救済アンチ・クライスト』の解放をーーーーーーー
「キスキル!リラ!宝具、いけるよね?」
アーチャーのマスターが叫んだ。大した火力でもないだろうに。それを開帳するために、結界を開けさせたのか。
思考に邪魔が入りがちだ。あいつらは目障りだ。そう思った時には遅かった。雷霆が、アイオーンを確かに貫いた。


アサシンの宝具は、すべての許可なき"放出"を制限する。それは味方も例外ではなかった。だから二人が攻めに転じた時点で、攻めに邪魔な要素を取っ払った。
相手の宝具があるだろうことは、それを喰らうことになるとしたら、間近にいる自分だろうことは、重々承知していた。それでも。
この場を切り抜ける可能性を、ジョーカーに賭けた。そして視界の端にキスキルを捉え、間違いでないと理解し退避した。キスキルの宝具の性質の一片は、もう知っていたから。

神速貫通。『崇高なる人の力は、雷をも手に入れたイコール・ケラウノス』!
雷霆が、アイオーンを貫いた。

                          **


何故だ。あの一撃以降、アイオーンが沈黙している。それほどの火力とは思えなかった。地面まで貫いたのは、肉体自体が貫かれたわけではない。

「あれは雷の権能。それの限定的な再現。まあ簡単に言うなら、麻痺。」
アーチャーの片割れが、ゆっくりこちらに近づいてくる。仕方ない。仕方ない。仕方ない。
愛しのアイオーンは殺されるわけない。逃げるしかない。結界は解かれたのだから。詰めが甘かったと思え。

「詰めるのは、私。絶対に逃れられないよ。」
馬鹿な。原初の言葉など、結界のない今なら逃げ放題だ。そう思った時、その手に炎が宿っていた。
炎は広がり、剣を形作った。まさか、宝具か。そんなものがあるなら初戦で使っていたはず。
「また、あなた方は。サーヴァントの軛を無視するんですね。」
「そうかもね。"目覚め"なんて、サーヴァントにはありえないかもね。例外は、存在するんだろうけど。」

殲滅神話。ここより逃れられるものはいない。焼き尽くすまで、焼こうか。
愚鈍なる神どもは、炎の中に焼かれたイコール・レーヴァテイン』。

その炎剣は大きく燃え広がり、投擲された。避けられない。全ては避けられない。
それでもバルベロは必死に逃げた。揺らめく炎を避けた。火の粉の一つに、当たった。
たった、一つ。それでよかった。徐々に火の粉は燃え広がる。
アーチャーの新たに習得した宝具。『愚鈍なる神どもは、炎の中に焼かれたイコール・レーヴァテイン』。
その力は単純明快。すべての生物を焼き尽くすまで止まらない。全生命への特攻宝具。その模倣。

私の身体は徐々に確実に燃えていく。なるほど。これなら私は復活できない。
最後に一言、喉が燃えてしまう前に。何か恨み言でも言ってやろう。
「…私の、マスターを。悪いひとでは…ないんです。命…だけでも、お願いします。」
それが私の、最期の言葉だった。アーチャーには、聞こえただろうか。

【リラが『神の凋落を嘲笑うもの』によって『愚鈍なる神どもは、炎の中に焼かれたイコール・レーヴァテイン』 を習得しました。】


                          **

闘いは、終わった。僕ができたのは、みんなを信じるだけだった。
全てこちらは生き残った。キスキルとリラはもちろん、ただ僕らを護るために戦ってくれたアサシンには感謝しきれない。
キャスターのマスターも、気を失っているけれど。起きたとして、全てが崩壊しサーヴァントもいないのだから、安全といえば、安全だろう。
だから。アサシンの言葉には、少しながら怯んだ。
さて。このマスターをとっとと始末しよう。それでとりあえずいったん解散としよう。なに、またマスターと掛け合って、同盟できないかは聞くとする。」
後半はあまり頭に入らなかった。そこで対抗意見が現れたから。
「私は反対。このマスターは殺させない。もう脅威とは思えない。」
リラが、強い意志でそう言った。

聖杯戦争は、殺し合いの場。それは自分も理解していた。だって僕の両親も、それで亡くなったから。
最後の戦いは、殺しの是非。僕も、答えを出さなきゃいけない。

コメントをかく


利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

【初めて来た人へ】

【TRPG】

【ボードゲーム】

【動画】

 

泥ガチャ
(現在カード18種)

Wiki内検索

News

泥HPATK計算機

レア度
クラス
ステータス傾向
筋力
魔力
敏捷
耐久

※小数点以下切り捨て
 HP
初期HP
最大HP

 物理タイプATK
初期ATK
最大ATK

 魔術タイプATK
初期ATK
最大ATK

DL版HPATK計算機
計算式ソース:
https://www9.atwiki.jp/f_go/pages/1341.html
Java Scriptソース:
http://www.hajimeteno.ne.jp/dhtml/dist/js06.html

どなたでも編集できます