ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

ここは泥濘の新宿。
化け物が闊歩し、時空が歪み、環境が変質した新宿。
しかし、そのような異常事態でも、私たち一般市民には生活がある。
食事をし、交流をし、トイレに行き、床に就き――生きていかなければならない。

そう、食事。このような異常事態でも営業している食事処を探し、私は友人と共にランチを取っていた。
他愛もない会話。いつも通りの味。
異常な新宿における、数少ない日常に、私は束の間の癒しを感じていた。

しかし、やはりこの新宿は異常なのだと、次の瞬間思い知ることになる。
いつものように談笑していた友達が、私の方に近づいてきた。
当然受け入れる。だって、友達なんだから。
近づいて、近づいて、近づいて。そして、何の前触れもなく。
何の予備動作もなく。何の殺気もなく。
友達は、私の喉にフォークを突き立てた。

「えっ――」

何をされたのか分からなかった。何が起きたのかわからなかった。どうしてそうなったのか分からなかった。
わけもわからず、意味も分からず、私は自分の五体がバラバラになるのを感じた。
フォーク一本でどうやって、などという疑問には気が回らなかった。
ついさっきまで楽しくお話してたのに、どうして、という気持ちと。
ああ、死ぬんだ――という気持ちが、泥のように混ざり合って、私の頭を支配していた。

そしてその気持ちも、泥のように消えていき。
そこで私は意識を手放した。
ここは泥濘の新宿。化け物が闊歩する町。この魔境において、あらゆるものは信用できない。
親しい友人でさえ、次の瞬間には殺人鬼に変貌しているかもしれないのだから。









――と。私は目の前に転がる自分自身のバラバラ死体を見ながら、そう想起した。
自分の死体など見たくもないし、ましてや自分が殺される光景など思い出したくもないのだが、
さて。目の前に転がる死体は私で、今それを見ている私も私で。どちらが本当の私だろう。
ああ、そういえば私は森にも迷い込んだ気がする。森に迷い込んで、自殺した気がする。
着物姿の少女に出会った気がする。少女だと安心していたら、乱暴を受けた様な気もする。
竜に襲われたような、サメに食われたような、眠らされたような、少女かと思ったら怪物に食われたような、
血を吸われたような、スライムに呑まれたような、バイク乗りに首を切られたような、冷たい怪物に食われたような、
マスクの女に襲われたような、動く東京タワーに襲われたような、毒虫たちに集られたような。
雷に打たれたような。

とにかくいろんな記憶があり、とにかくいろんな死に方をしていた気がするが。
さて、どれが本当の私なのか。それも本当の私なのか。そもそも本当の私など居るのか。

ここは泥濘の新宿。化け物が闊歩する町。この魔境において、あらゆるものは信用できない。
それは自分自身でも例外ではなく。ふとした瞬間に、ふと死んだ瞬間に。
私自身が私自身と全く同じ別の私と入れ替わっていることも、またあり得てしまう。
私は私か、私は誰か。どこまでが私で、どこからが他人か。
私は私で、私の名前は私自身で。
そして、私の真名は――スワンプマン。
何度死んでも発生する、もう一人の自分自身アルターエゴにして、私じゃない私自身フェイカー

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