最終更新: nevadakagemiya 2017年01月20日(金) 02:55:04履歴
「ああああまた! 謀ら!! れた!!!」
いつものように魔女が叫んでいる。本日もトロイの木馬を阻止できず逃したようだ。
――――人理修復に伴い閑散としたカルデア。調査団すら今日は見えぬ。
かような日は残ったサーヴァントにおける貴重な“休暇”であり、自由に羽を伸ばせる絶好の機会であった。
ゆえにみな、日を跨いだ直後に動き出す。一人無断で遊びに繰り出す者、主人(マスター)と過ごす為潰し合う者、
そして他者のスケジュールを考えずに拘束しようとする者。
「失敬ね。オデュッセウス君に外とのパイプがまだ出来ていないことくらい確認済みよ」
ぷんすか、といった表情。いつの間にか、キルケーが余の部屋に入り込んでいた。
それにしても、余はそこまで顔に出やす――いや、千里眼とやらであろうか? 乙女の内心を覗き読むとか友でもちょっと許されざると思う。
「今わたし機嫌悪いから遠慮なく言うわね? ――――もいで! から!! のたまえ!!!」
ぐしゃあ。魔女は珍しく声を張り上げ、その直後、余の股間から骨まで響く音がした。見れば細い足で蹴り上げられている。
膝が震え、体は今にも倒れかねん。……ふふふ、だがよいのか? 余に痛みを与えること其れ即ち――――
「ひやぁぁっ!? 生ぬる――――はっ。……うぅ、マルクスちゃんにすらハメられるなんてっ。恐ろしいわ被虐体質!」
女相手にそんな算段を付けて接することは無いのだが敢えて言うまい。
にしても、こやつの想い人。宝具にカルデアの魔力を容赦なく使う、というのは如何なものだろうか。
余的には主人に構ってもらう口実に出来そうゆえ魅力的なのだがそれはそれ。一応、限りあるものなのであろう?
「ええとね。噂では、オペレーターを口説いて誤魔化してる、とか、小アイアスを霊基変換して賄ってる、とか、
オギュギエ――――カリュプソちゃんの精神資源を魔力に換えている、とか聞くけれど」
下着を穿き替えながら聞く。余の言えることではないが、あの男女(おとこおんな)は鬼畜ではないだろうか。
「本当にね。こんなにわたしを焦らすなんて!」
そうではないのだが、いつもの病気なので余は着替えにのみ意識を向けることにした。
べたついた寝間着(現代のオシャレはよいものだ!)をこやつの下僕に受け渡し、それからやっと、はたと気付く。
なあ魔女よ、わざわざ余の個室に出向いて来たのはどういうわけなのだ?
「そうよ。それよ。やっと本題に入ってくれたわね」
余が悪し様に言われるのは釈然としない。だが抗議したところでかような時のこやつが聞き入れるはずもなし、
大人しく静聴してやろうではないか。
ふっ。余も丸くなったものだ。主人との絆がここまで余を育み
「回想しようとしないで頂戴」
ちっ。話を逸らせなんだか。
「……話を戻すけれど、ほら、わたし、不本意ながら今日も逃げられたじゃない」
そうだな。
「だからね、このおやすみの間、とってもフリーなの」
であろうな。
「それでね、マルクスちゃんにぃ、遊び相手になってほしいと思ったの」
なるほど、そう来たか。まあ、うむ、悪くはない。むしろよい。よいのだが――――
……今?
「ええ」
…………夜中ぞ?
「暇なの」
余は頭の中が寝るのでいっぱいになっていたのだが!
「あら、だからそんなにお淑やかだったの? もう、サーヴァントなら不要でしょうに」
睡眠も立派な快楽ゆえ、それはそれなのだっ。
「ええー、いいじゃなぁい。こんな賑やかなトコで一人ぼっちなんて耐えられないのー」
むうう鬱陶しい。ぼんやりした脳には特に鬱陶しい。悪女の代名詞ともされるだけあって鬱陶しい。余を超えるとか相当ぞ鬱陶しい。
不機嫌な表情をより深く。出て行けという意思を込めた上で物理的にもぐいぐいとその肩を押す。
ええい抵抗するな余と同じ筋Eだから埒が明かないであろう!
「そっ、それにほら、もうフリザスちゃんたち呼んじゃったしぃ? お菓子も用意してるしー?」
…………む、むむむ。みなで騒ぎ明かすのは魅力的だが……。
「それにわたしが厳選した映画も――――」
余は力の全てを振り絞り、こやつを部屋から叩き出した。
いつものように魔女が叫んでいる。本日もトロイの木馬を阻止できず逃したようだ。
――――人理修復に伴い閑散としたカルデア。調査団すら今日は見えぬ。
かような日は残ったサーヴァントにおける貴重な“休暇”であり、自由に羽を伸ばせる絶好の機会であった。
ゆえにみな、日を跨いだ直後に動き出す。一人無断で遊びに繰り出す者、主人(マスター)と過ごす為潰し合う者、
そして他者のスケジュールを考えずに拘束しようとする者。
「失敬ね。オデュッセウス君に外とのパイプがまだ出来ていないことくらい確認済みよ」
ぷんすか、といった表情。いつの間にか、キルケーが余の部屋に入り込んでいた。
それにしても、余はそこまで顔に出やす――いや、千里眼とやらであろうか? 乙女の内心を覗き読むとか友でもちょっと許されざると思う。
「今わたし機嫌悪いから遠慮なく言うわね? ――――もいで! から!! のたまえ!!!」
ぐしゃあ。魔女は珍しく声を張り上げ、その直後、余の股間から骨まで響く音がした。見れば細い足で蹴り上げられている。
膝が震え、体は今にも倒れかねん。……ふふふ、だがよいのか? 余に痛みを与えること其れ即ち――――
「ひやぁぁっ!? 生ぬる――――はっ。……うぅ、マルクスちゃんにすらハメられるなんてっ。恐ろしいわ被虐体質!」
女相手にそんな算段を付けて接することは無いのだが敢えて言うまい。
にしても、こやつの想い人。宝具にカルデアの魔力を容赦なく使う、というのは如何なものだろうか。
余的には主人に構ってもらう口実に出来そうゆえ魅力的なのだがそれはそれ。一応、限りあるものなのであろう?
「ええとね。噂では、オペレーターを口説いて誤魔化してる、とか、小アイアスを霊基変換して賄ってる、とか、
オギュギエ――――カリュプソちゃんの精神資源を魔力に換えている、とか聞くけれど」
下着を穿き替えながら聞く。余の言えることではないが、あの男女(おとこおんな)は鬼畜ではないだろうか。
「本当にね。こんなにわたしを焦らすなんて!」
そうではないのだが、いつもの病気なので余は着替えにのみ意識を向けることにした。
べたついた寝間着(現代のオシャレはよいものだ!)をこやつの下僕に受け渡し、それからやっと、はたと気付く。
なあ魔女よ、わざわざ余の個室に出向いて来たのはどういうわけなのだ?
「そうよ。それよ。やっと本題に入ってくれたわね」
余が悪し様に言われるのは釈然としない。だが抗議したところでかような時のこやつが聞き入れるはずもなし、
大人しく静聴してやろうではないか。
ふっ。余も丸くなったものだ。主人との絆がここまで余を育み
「回想しようとしないで頂戴」
ちっ。話を逸らせなんだか。
「……話を戻すけれど、ほら、わたし、不本意ながら今日も逃げられたじゃない」
そうだな。
「だからね、このおやすみの間、とってもフリーなの」
であろうな。
「それでね、マルクスちゃんにぃ、遊び相手になってほしいと思ったの」
なるほど、そう来たか。まあ、うむ、悪くはない。むしろよい。よいのだが――――
……今?
「ええ」
…………夜中ぞ?
「暇なの」
余は頭の中が寝るのでいっぱいになっていたのだが!
「あら、だからそんなにお淑やかだったの? もう、サーヴァントなら不要でしょうに」
睡眠も立派な快楽ゆえ、それはそれなのだっ。
「ええー、いいじゃなぁい。こんな賑やかなトコで一人ぼっちなんて耐えられないのー」
むうう鬱陶しい。ぼんやりした脳には特に鬱陶しい。悪女の代名詞ともされるだけあって鬱陶しい。余を超えるとか相当ぞ鬱陶しい。
不機嫌な表情をより深く。出て行けという意思を込めた上で物理的にもぐいぐいとその肩を押す。
ええい抵抗するな余と同じ筋Eだから埒が明かないであろう!
「そっ、それにほら、もうフリザスちゃんたち呼んじゃったしぃ? お菓子も用意してるしー?」
…………む、むむむ。みなで騒ぎ明かすのは魅力的だが……。
「それにわたしが厳選した映画も――――」
余は力の全てを振り絞り、こやつを部屋から叩き出した。
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