ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。





───────カルデアにて


カルデアの廊下にて、新しく召喚されたサーヴァントと、
既に召喚されていた一人のサーヴァントが会話をしている。
「そう…。人の深層意識の奥でそんなことが……、報告ありがとう、イリス」
「いえ、ヘラ様に仕える身として、この程度の報告は当然です。」
「ありがとう。」
報告を受けているサーヴァント……ヘラと呼ばれた少女が短く礼を言う。
「それにしても………いつもと違うヘラ様も素敵です〜」
「ありがとう。…とはいっても、私はヘラの力を借り受けてる身。
貴方が仕えている、本物の女神であるヘラとは違うわイリス」
「それでも!!可愛いから貴方はヘラ様です!!」
「ああ………そう………」
ヘラが若干苦笑い気味に返す。
「それにしても、女神が複数人も召喚されるとはねぇ」
召喚ルームの自動ドアが開き、万能の天才ダ・ヴィンチちゃんが出てくる。
「他の女神はどうか分かりませんが、私が来たのには理由があるんですよダ・ヴィンチ女史」
「ほう?それは一体」
新しくカルデアに召喚された女神………虹の女神イリスは、
彼女がかつてここに来る前に体験した、ある出来事を話した。
────────抑止をめぐる戦い、ガーディアン・オーダーについて…………。
「なるほど。」
「私も聞いた時は信じられなかったけど、
でもこの子が嘘をつくとは思えないし、多分真実ね」
「そこで対面したインベーダーの英霊、胡蝶は言っていました。
戦いはこれで終わりではないと。そこに危機感を覚えた私は、ここカルデアの召喚形式に目をつけ、
この少女の肉体を借り受ける形で英霊としての霊基を精製、召喚に応じたというわけです。」
「なるほど。しかし、人理の次は抑止と来たかぁ………。」
むむむ、とダ・ヴィンチは少し唸りながら考える。が…
「まぁ今考えても仕方がない。不確定材料が多すぎる。
ここは一つ、新しく来てもらったイリスちゃんにカルデアを知ってもらおう。」
「えぇ…楽観的ねぇ…。まぁ良いけれど…………。」
「そうね、私も来たばっかで分かんないし」
両女神がうんうんとうなずく。
「んじゃあというわけでヘラ君たのんだよ〜」
「え!?私!?」
「イリスと言えばヘラのお供だ。
こういうのは、生前一緒だった者に任せるのが私は良いと思うんだ」
「はぁ………、そうですか……」
「ご一緒しますヘラ様!」
「待って!抱き着こうとしないで!」





「ここが娯楽ルーム。サーヴァントたちが集まってなんかするところね」
「へぇー、カルデアって"人理保障機関"とか言っている割に自由なんですね」
「そりゃあね、今の所の問題なんて泥濘の新宿か解決した酒呑童子異変しかないし、
その新宿も黒幕は目星がついたみたいだし解決も時間の問題って所らしいわ」
「流石、ヘラ様はなんでも知っているのですね!」
「…………。な、なんか恥ずかしいなぁ……」
ヘラが少し頬を染めながら髪を片手で弄る。
彼女はヘラという格の高い女神……の力を借りた魔術師である。
それ故に、彼女に関わって来ようと近づくサーヴァントは少なかった。
その為、こうやって積極的にかかわって来るサーヴァントが非常に珍しいのだ。
こんな女神の力を普通に振るえる少女に、他に近付いてくる英霊など数えるほどで………

「やぁヘラ様。これから娯楽ルーム?それじゃあ一緒にマリカでも────」

このような、ギリシャ随一の軍師にして愛妻家だけど浮気する奴くらいなものである。
「ん?ま、まぁあんたがそう言うなら付き合ってあげても良いわよオデュ…」
「あれ?新しい子?やぁやぁ初めましてー!僕オデュ────」
「言っているそばからアンタはー!!」
バシュバシュバシュ!と血晶をヘラが飛ばす。
「痛い痛い痛い痛い!!ごめん!ごめんなさい!!」
「ったく………。ごめんなさいね、変なの見せちゃ………って………」
ヘラが呆れながらイリスの方へと振り向く。

するとそこには、まるで恋する乙女のようにときめいているイリスがいた。

「────────どうしたの、貴方」
「………へっ!?あ、はい!す、すいません!!
ヘラ様以外の女性に見とれるなんて……私従者失格です!!」
イリスが自分の両頬をバシバシと叩いて己を戒める。
「ちょ、ちょっと!別に良いわよそんなこと!」
「は、はい……。でもなんでこんな……私オデュッセウスなんて
会った事も聞いたことも無かったのに……えぇー、なんでこんな……」
「仕方ないよ。僕の可愛さは一目ぼれするには十分だからねぇ」
「どうやら私のさっきの折檻は十分じゃ無かったみたいね」
「わぁー!ごめんごめん!!」
瞬時に攻撃の構えに移ったヘラにオデュッセウスは全力で謝る。
その二人に対し、イリスは己の内に芽生えた感情を察知して、そして考察する。
「(……………明らかに、私は今この二人の関係に嫉妬している。
────────でも…………………"どっち"に?)」
イリスは知らない。彼女が依り代に選んだ少女が、以前このオデュッセウスに一目ぼれした少女だと。
ぶっちゃけ言うと、イリスはヘラに恋慕に似た感情を抱いている。おそらく"イリスとして見れば"、
この嫉妬の感情は間違いなく、ヘラと仲睦まじいオデュッセウスに向けられたものであろう。

……………だが、この肉体の持ち主たる、少女の視点から見れば、
その嫉妬は一体、どちらに向けられたものなのであろうか?

イリスがもやもやと自分の内の感情の真相に悩んでいる最中、
オデュッセウスとヘラが何やら三人で遊ぶ方向に決まったらしく、
3人で娯楽ルームの中へと歩を進めることになった





『だらぁ!!てめぇ俺を九州に閉じ込めんじゃねぇガキ!!』
『ばぁ〜か〜!!誘いに乗ってくる馬鹿が悪い〜!!一生そこで隔離されてなぁ!』
『おい!バイアクヘーカードとか無いのか!?』
『ねぇよそんなもん。これ桃鉄だぞTRPGじゃねぇんだぞ』
娯楽ルームでは、騒がしい男2人と幼女1人がテレビを前にエキサイティングしていた。
「おう、誰かと思えばオデュッセウスとヘラじゃねぇか。どうした」
「やぁタイタス。相変わらず元気に何をバカ騒ぎしているんだい?」
「見て分からねぇか!?俺とラバンの叔父貴でアザトースのガキをボコしてやってんだよ!」
「私には見るも無残に返り討ちにされているようにしか見えていないんだけど?」
「おのれぇぇぇぇえええええ!!!」
「あぁー楽しかった。」
そう言いながら少女がゲームのコントローラーを放り投げオデュッセウスへ手渡す。
「ごめんね?おじゃまむしたる僕と馬鹿二人は此処からどくから。
君はゆっくりと、彼女二人と仲良くゲームを楽しんでくれたまえ」
「えっ、あ、うん」
「だれがバカ二人がクソガキィ!!」
「テメェ今度こそニトロ振りかけてぶっ殺してやるァ!」
「いいよぉー。次は人生ゲームねぇ。負けたらクリスマスに付き合ってもらうよぉー」
「おうやってやろうじゃねぇか!負けたらサンタコスでもトナカイ役でもやってやるァ!!」
そういって馬鹿2人と幼女1人がずんずんと娯楽ルームの奥のほうへと消えていった。

「……………なんか、嵐みたいな連中ね」
「神殺し名乗ってはいるけど、私達が人類の味方である限りは無害だから。
特に気にしないで良いわよ。…………あとさ、オデュッセウス?」
ポン……、とオデュッセウスの肩をヘラが優しく叩く。
「貴方、さっきアザトースに彼女"二人"って言われて否定しないのね」
「え?僕にとっては二人とも彼女みたいに大事にしているという意味で」
「どの口が言うかぁー!!」
バゴォ!!とヘラがオデュッセウスにラリアットを決める。
そこから狭い室内での女性英霊2人の軽い乱闘が始まる。
「……………………………………。」
その様をイリスは、半分羨ましそうに、
そしてもう半分は嫉妬の感情で染めた表情で眺める。
「んん?ひょっとして嫉妬してたりするのかい?」
そんなイリスに、アザトースがさっと横に座り話しかける。
「ひゃあっ!?じ、人生ゲームに行ったんじゃ!?」
「ああ、ワンターンキルしてきた」
「人生ゲームで!?」
「まぁそれはおいとくとして?」
よっこいしょ、とアザトースが座りなおしてイリスの顔を覗き込む。

「"どっち"が、君の気持ちなのかな?」

ニタァ、と非常に粘度の高い笑みであった。
「─────な…………、何の話よ?」
「とぼけるつもりかい?感受性で行ったら文字通り神レベルの僕にそれは辞めた方が良い。
君が彼女たち二人の関係に嫉妬しているのは目に見えてわかる。」
イリスは最初こそ目を逸らしたり、逃れようとはしたが、
やがて観念したかのようにハァとため息をついた。
「…………あ、そう。………それで?そんなこと聞いて、何が目的よ?」
「目的?特には無ぁいよ。まぁ強いて言うならば、君の本当の気持ちを知りたいだけだ。」
「本当の気持ち?」
「そう、君がどっちに嫉妬しているのか。
いやこれは副次的か。本命は、"どっちが好き"なのかだ。」
「…………………どっちが好き、かぁ…………」
ボソリ、とイリスは頬杖をつきながらけだるげにつぶやく。
「僕はね、一応こう見えても作家だから人の感情の機敏は仕草で分かる。
でも君の感情はどちらとも取れる動きをしている。まるで感情が2つあるかのように。
さてはて、一体君の感情はどっちが正しいのかな?是非とも、教えてほしい。」
アザトースはまるで芝居がかったように大仰な仕草と口調を取る。
「……………………そう言えば確か………。」
イリスはかつて、少女と出会った記憶を思い出す。
彼女が集合的無意識の奥底で、今の依り代となった少女との出会いを………


──────────貴方の体を貸してほしい

………………貴方は?

──────────私はイリス。虹の女神

──────────身勝手な願いとは承知している。

──────────でも、今は世界が危ないの

──────────貴方の体を、どうか………

………………良いわよ

………………私の体1つで、世界が救えるなんて素敵だし……

………………それに──────────

………………もし英霊になれたら、"あの人"に会えるかも

──────────ありがとう


「………………………」
イリスは思った。あの時の"あの人"って、きっとオデュッセウスの事だったんだ、と。
「(だとしたら………………この娘に悪い事しちゃったなぁ………)」
依り代となった少女の事を考え、イリスは胸がきゅぅと締まるような感覚を感じる。
この娘は、きっと何処までもオデュッセウスを探し求めていたんだ。そしてようやく会えた、
でも、今のこの肉体の主導権は、すべて自分たるイリスにある……。

───────それが、どれだけ残酷なことであろうか。イリスは悟った。

「………………ごめんね………。
ごめんね…………!刹那………っ」
ツゥー、とイリスの頬を涙が伝う。
「どうも、残酷なことを聞いてしまったようだね」
アザトースはぽりぽりとバツが悪そうに頭を掻いた後に、イリスの涙をふく。
「でも僕は邪神だ。異世界の根源、冒涜と白痴の神だ。故に自重はしない。
その少女の気持ち、恋慕、境遇を考えたうえで、己の気持ちと向き合うと良い。
そしてその上で、どちらを愛するかを決めるんだ。神とは言え、その肉体は一つなのだから」
アザトースはそう言うと表と椅子から飛び降りて、親指を立てて一つの方向を差す。
見るとそこには、ヘラからの折檻を受けて伸びているオデュッセウスがいた。
ヘラは折檻を終えて満足したのか、娯楽ルームからは既にさっていた。
「ふふん。隣、座れよ」
「え……でも………」
「いいからいいから!」
そうアザトースは強引に少女の背中を押して、娯楽ルームを後にする。
わわ、と少しバランスを崩しそうになりながらも、イリスはそのオデュッセウスの隣に座った。


「お前…、見た目によらず気配りの達人だな」
「今年の冬にはプレゼント配りの達人にもなるから、頼んだよ」
「マジかよ。アレ冗談じゃなかったの」


「ん?……やぁ、イリス様」
イリスが座った衝撃で、オデュッセウスが目を覚ます。
「あらどうも。随分とまぁやられたわね」
ふふ、とイリスが余裕そうな笑みを浮かべる。
しかし、内心は激しい鼓動が収まらない状況だ。
「そんなにヘラ様にお叱りを受けて……一体貴方何をしたの?」
「何もかれも無いよ〜。ちょっとあの子とは関係があってねぇー。
ああ、"あの子"とはヘラ様じゃなくて、その力を借り受けた魔術師の事なんだけど」
「……………………ふぅーん、そう。」
なるほど、この依り代の娘が……刹那が嫉妬していたのは"その子"か、とイリスは感じた。
最初は特に何も感じない、いつもと違うヘラ様も素敵!というイリス自身は感じていたが、
そこを考慮し思い出してみると、確かに何処か胸の奥に違和感と言うか、小さな嫌悪があったように思える。
「まったく…あいつも折檻が終わったらどっか行っちゃうし、変わってないなぁエリカは」
「……………エリカ、って言うの。あの子」
「うん。器量も魔術の腕前も高い。僕の自慢のお嫁さんさ」
「お嫁さんの事、覚えているのね………。」
カルデアの召喚方法は、非常にあいまいである。
前回の召喚の際のマスターや、かつての主従の記憶を覚えているサーヴァントもいれば、
一切のことを覚えていないサーヴァントもいる。これはマリスビリーが模倣した召喚が不完全だったという理由がある。
そもそもサーヴァントが座にまで記憶を持ち帰ること自体が稀なのだが…………。
「僕はね、今まで出会った女性で美しい子は誰一人として忘れない。
生前のペネロペ…キルケー…カリュプソ…ナウシカはもちろん、マスターもね」
「随分とまた…………関係が多いのね」
イリスはあきれ気味に言う。ヘラ様の気持ちを考えため息もつく。


「実はね、僕は君に会った事があるんだ」
唐突に、オデュッセウスが話を切り出す。
「?」
「どこか遠い記憶だけどね。君の……その依り代になった少女の記憶がある。
とても素敵な女性だったし、そして何より可愛かった。」
「………………………!」
イリスはその言葉に頬を染め、そして息を呑む。
「…………その子の事、…………どう思ってるの?」
「そうだね、………もし違った僕だったら、きっと添い遂げていた、と思うよ」
その言葉と、そして表情を見てイリスは感じた。嗚呼、この依り代の少女がときめくのも分かる、と。
初めてイリスは、己の上司たるヘラ以外の女性に対して、ときめいていた。

きっとこの少女は、こういったオデュッセウスに惚れたのだろうと感じた。
カルデアの召喚という、朧気な召喚での現界の中でもこうして覚えていてくれる。
そんな人だから、きっとこの少女は惚れたんだろう、とイリスは感じた。

────────────────────しかし

「………………ねぇ、オデュッセウス?」
イリスが、オデュッセウスに対して面と向かって言う。
「ん?何だい?」
「………………………………負けないから。」
そう一言だけ言うと、イリスは顔を真っ赤に染めて廊下に駆けていった。

────しかし、今の彼女はあくまでイリスだ。好きな女性は、あくまでヘラなのだ。
その為彼女は、オデュッセウスという少女に、ヘラへの恋愛競争に負けないという意味と同時に
己の依代のオデュッセウスへの恋慕感情に、負けないという己への決意も込めて、彼女はその一言を残したのだ。
「………………そっか」
オデュッセウスは、最初は呆然としていたが、
すぐに納得したようにうなずいた。

その後、顔を真っ赤にして走ってきたイリスとすれ違ったヘラが
オデュッセウスに何をしたのか拷問、間違えた尋問をしたという話は割愛させてもらう。

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