ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。


このSSはFGO1.5部『英霊剣豪七番勝負』のネタバレを多分に含みます。
その点に関しては自己責任で閲覧をお願いいたします



もしもEoR第三章『英霊剣豪七番勝負』で
カルデアから平行世界に渡れたカルデアの英霊が
小太郎ではなく泥の頼光と道満だったら




バーサーカー・衆合地獄
「あっはっははははは!楽しいなぁ楽しいなぁ!
せっかくかき集めて作り直した大蛇やのに!」

「アレでも大江の神さんの眷属なんやけどなぁ!
こんなにあっさり斬ってまうなんて、ああ恐ろしい!」

「嗚呼、こんなに楽しいんは何時ぶりやろうなぁ」

武蔵
「こっちはちっとも楽しくなんかないわよー!!」

斬ッ!!と武蔵は衆合地獄へと切りかかる。
しかし、その攻撃を衆合地獄は軽い身のこなしで避ける。

バーサーカー・衆合地獄
「いけずやわぁ、そないにおしゃれな恰好してよう動きますわぁ」

「でも、そういうんもたまにはええかもなぁ、
滾るわぁ、内の中の血が滾って──────────」

「惚れて惚れて惚れこんで縊り殺してまいそうや!
あっははははははははははははぁ!おいしそうな首筋しとるもんなぁ!」

道満
「あー…………こっちの世界とあっちの世界は
違う言うたからもしやと思っとったけど」

「こっちも酒呑はこんな感じかぁー………」

ライダー・黒縄地獄
「もう、その辺りにしておきなさい。忌まわしき蟲」

互いに一触即発の雰囲気の中、一人の女性の声が凛と響く。
だが、声は美しくともそのまとう雰囲気は、魔力は邪悪そのものであった。

頼光
「────────────。」

ライダー・黒縄地獄
「遊びは仕舞いにしましょう。既に時刻は昼近い。
ならば約束の通りに立ち会うまでです。」

「誅戮します…………。嗚呼、誅戮とは聊か異なりますか。
少なくとも、我らに正義などあるはずもなし、」

「ならばこれは殺戮、虐殺、やはり鏖殺しにほかならず!!」

ゾン!!と全身の毛が逆立つほどの殺気が広がる。

ライダー・黒縄地獄
「どうせこの世が地獄なれば!
我らは鬼としてあるべくふるまうまでの事!!」

道満
「なんちゅう魔力………そして殺気や………!」

武蔵
「黒縄地獄だけじゃないわ!こっちの衆合地獄も同時よ!!」

段蔵
「……………ッ!!」

バーサーカー・衆合地獄
「あははははははははははははははははははははははははは!!!
思いっ切りやるさかい!振り落とされへんようになぁ!!」

「うちら不死にして不滅の英霊剣豪さかい!
痛みしらずの疲れしらず!ついてこれるかぁ!?」

藤丸
「御託は良い!ごまかして力押しなんかせずに子供たちを早く返せ!!」

バーサーカー・衆合地獄
「──────嗚呼、あの子らなぁ…………
ふふっ、残念やけど…………」

ライダー・黒縄地獄
「今しがた、殺しました」

藤丸
「なっ………ッ!!」

武蔵
「………ッ!!」

頼光
「──────────」

ライダー・黒縄地獄
「忘れたとは言わせませんよ。我ら英霊剣豪。
一切鏖殺の宿業を埋め込まれし不死の殺戮集団!」

バーサーカー・衆合地獄
「"るちふぇろ"なりしサタンの名の下に!目につく人間皆殺し!
人を屠る我ら無慈悲無情の絡繰りがごとし!」

「そんなうちらが!あんな子等を生かしておくわけあらへんやろぉ!」

頼光
「………………………」

嬉々として語る二人の英霊剣豪を前にして、男は一歩前に出る。

頼光
「───────私がここに呼ばれた理由が、ようやく分かりました。」

バーサーカー・衆合地獄
「……………ん?なんやアンタ…………」

ライダー・黒縄地獄
「先ほどもおりましたね………、見た所同時代を生きた英霊のようですが、
私の記憶の中であなたのような英霊は知りません。しかし、腕は立つ者と見て取れます」

頼光
「カルデアの数ある英霊の中で、私だけがこうして藤丸立華の下に馳せ参じた理由……」

「それは、貴女とこうして対峙するためだった…………姉上」

チキリ、と音を立てて男は己の剣を抜く。冷たき刃が紅き月光に照らされる。
英霊剣豪と、化け物殺しの剣豪。両者の視線が交差する。それは定められた対峙、逃れられぬ宿命。

ライダー・黒縄地獄
「──────私を姉と呼びますか………。生憎ですが貴方のような男は知りませんね」

「金時や綱でしたら母上と呼ばれる筋合いはあるでしょうが、
知らぬあなたに姉と呼ばれるのは不快この上ない。」

頼光
「ならばこう呼ぼう。いや………むしろ人の身外れ
殺戮を繰り返した貴女には、この呼び名こそが相応しいだろうか─────」

「──────────"丑御前"よ」

ライダー・黒縄地獄
「──────────────。」

「くっ!あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!
なるほどそう呼びますか!私のかつての忌み名であるその名を呼びますか!!」

「私がかつて丑御前であったことを知る者は、金時や綱など一部の私の仲間のみ………。
その事を知るものとは………、やはり只者ではありませんね、あなた?」

頼光
「もはや私が何者であるかなど、些細な事だ………。
もはやこの場に語り合いは不要。」

「目の前に化け物あれば唯殺すのみ。
それが、それこそが、──────────私の背負った"宿業"だ!!」

武蔵
「ええ、あなたの言う通りだわ!
連中にいくら問いかけても意味はない!これ以上の問答は無用!」

「連中は殺すつもりで仕掛けてくる!
連中は死ぬつもりで仕掛けて来ている!」

「私達を殺すか、己が死ぬまで決して戦いをためない!まさに文字通り地獄の化身だわ!」

「……………………そちらの剣豪は、そこの人の鬼に縁があるみたいだし、任せる!
私は…………この"生粋の鬼"の首をとる!!」

「いざ往かん大江に住まう大魔性!!
その災厄の象徴たる具現!空を以て返してくれん!!」

バーサーカー・衆合地獄
「嗚呼…………ええなぁその名乗り。その口上!
その意気や良し!いざ、いざ!!"るちふぇろ"なりしサタンの名の下に!」

ライダー・黒縄地獄
「出でよ、血華咲き誇る我らが極致!
敗北せし者の魂を取り込み喰らう、屍山血河の死合舞台!」

「我が刃の忌名、ライダー・黒縄地獄!
我が骸の真名、源頼光!否!我が骸の真名は丑御前なりや!!」

バーサーカー・衆合地獄
「我が刃の忌名、バーサーカー・衆合地獄!
我が骸の真名、酒呑童子!!」

ライダー・黒縄地獄
「いざ、いざ!いざ!!いざ覚悟召されよ名も無き剣士!
いざ尋常に!!」

黒縄地獄&衆合地獄
「「────────────────────勝負!!!」」


           七 英
           番 霊
           勝 剣
           負 豪
           
            勝
            負
            ・
            四五
            番
            目

   バ   \         /
 一 |  一 ラ       /
 切 サ  切 イ\     /
 溶 |  粛 ダ \   /
 融 カ  清 |  \ /  源   宮
   |    ・   vs       本
 酒 ・    黒  / \  頼   武
 呑 衆  丑 縄 /   \ 光   蔵
 童 合  御 地/     \
 子 地  前 獄       \
   獄   /         \


            い
            ざ

            尋
            常
            に
            |
            |
            |


       勝         負  !!


ライダー・黒縄地獄
「早々と勝利を決めましょう!『牛王招雷・天綱恢々』!!」

頼光
「───────やはりか」

頼光は4つに分かたれた黒縄地獄の攻撃を、その長刀で捌く

ライダー・黒縄地獄
「ほう、なかなかやりますねぇ!」

頼光
「やはり、あの時と同じだ」

ライダー・黒縄地獄
「…………?何を──────」

頼光
「その出生、その在り方、その持ちうる力の差………
全てが違えども…………我らの辿った道は同じ…………京の都の安寧の維持!」

「それはつまり……………このように、
"辿り着いた宝具"も同じという事だ………!」

そう言うと男は、一旦刀を収め黒縄地獄から距離をとる。

頼光
「来たれ……我が忠臣、我が手足、そして我が具足よ!」

ライダー・黒縄地獄
「…………ッ!その口上は─────!!」

頼光
「我が記憶の形を取りて………『四天招雷・天綱恢々』!!」

ゾン!!と4つの雷が降り立ち、そしてそれがやがて人の形をとる。
それは、かつてこの男が────ひいては、目の前に立つ女も──────
率いた伝説に謡われる四人の神秘殺し。その名は、頼光四天王だ。

ライダー・黒縄地獄
「何故……………ッ!?何故あなたが……!我が四天王を!!」

頼光
「言ったはずだ丑御前!!"我らの辿った道は同じ"と!
それでも─────それでもまだ分からぬか!!」

ギンッ!!と武器と武器が交差する音が4つ重なり合う。
黒縄地獄の生み出した己の分身、そして頼光の生み出した四天王の分身。
そのどちらも同じく魔力で編まれた影法師。ぶつかり合えば消えゆく定め也
スウーと8つの影は薄れゆき、残るは二人の剣豪のみとなる。

ライダー・黒縄地獄
「在り得ません……!在り得ません在り得ません!!
そんな……!何故我が愛する四天王たちが……!何故!?」

頼光
「あなた達の首魁たる、妖術師とやらは言ってはいませんでしたか………?
"剪定事象"、"数多なる世界"、"可能性の世界"………などと」

ライダー・黒縄地獄
「──────────────!!」

頼光
「世界に定まった形など無い。決められた道筋など無い。
この世界とは、可能性の数だけ世界がある。さながら大樹が空へ伸ばす枝の如く!!」

クンッ!と予備動作もなく頼光は抜刀し、黒縄地獄へと切りかかる。
しかし、黒縄地獄はそれに容易く反応し、己の刀でその攻撃を捌く。

頼光
「それは──────、それはつまる所、
"貴女が頼光とならなかった世界"もあるという事だ……丑御前……!!」

ライダー・黒縄地獄
「──────────────ふふっ」

「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!
なるほど!なるほどようやく理解致しました!!」

「そう言う事ですか………なるほど、
父上も…………源満仲も愚かな選択を成されたものです!」

「よもや"化け物を人にする"のではなく、
"人に私を殺させ、化け物を創る"道を選ぶなどとはねぇ!!」

頼光
「────────────ッッッ!!」

藤丸
「…………ふざけるな……!!」

その黒縄地獄の心無き言葉に激情を震わせたのは、他でもない
源頼光の過去をこの中で最も深く知る、藤丸立華………頼光のマスターであった。

藤丸
「頼光さんが………!どれほどの………!
どれほどの思いで!!化け物を殺してきたのか────────!!」

頼光
「……………良い、マスター」

藤丸
「────ッ!!でも……………!!」

頼光
「良いんだ」

そう言う頼光の眼は、まるで底の見えぬ洞窟の如く、虚空の黒であった。

ライダー・黒縄地獄
「なるほど!確かにあなたと私が得た物は同じであったでしょう!!
しかし!我ら宿業埋め込まれし英霊剣豪なれば!!魔力は無尽蔵故に
宝具など使い放題でありましょう!!」

「対してそちらは………魔力の消耗も些か激しい様子。
その分ではあと数度が限界、いえ一、二度と言ったところでしょうか?」

頼光
「ならば…………確かめてみるか?」

ライダー・黒縄地獄
「ええ!そうさせてもらいましょう。
ふふっ……、ははははは!矮小十把、塵芥に成るがいい!
『牛王招雷・天網恢々』!」

藤丸
「くっ………!!」

頼光
「マスター!宝具の為の魔力を!!」

藤丸
「でも………!!」

頼光
「はやく!!」

藤丸
「くっ…………!!(ギィン!!」

令呪が輝く。これで頼光は、宝具を使用する魔力を得た。

頼光
「何度やっても────────」

ライダー・黒縄地獄
「────────同じこと………、ですか?」

ギィン!キィン!カァン!!と、
武器が激しくぶつかり合う音が二重三重に響く。

ライダー・黒縄地獄
「はたしてそうでしょうか?」

ザンッ!!と斬撃が走る。
そう、最初の4つの分身はおとり。
本命は──────その合間を縫うように近づいた、黒縄地獄そのものであった。

頼光
「────────くっ!!!」

そのあまりにも突然の奇襲、頼光は刀を抜くこともできず、攻撃を直接喰らうかと思われた。
だが────────────────

頼光
「………!ぬぅあぁぁぁぁああああああ!!」

ザグンッ!!と刃が突き刺さる音がする。
頼光は、咄嗟の瞬間に身体をねじり、心の像をかばい左腕を盾とした。
強靭な筋肉で黒縄地獄の刃を阻み止め、見事彼は黒縄地獄の本命の一撃を止めたのだ。

頼光
「くっ………!がぁぁああ!!」

藤丸
「頼光!!」

───────だが、その代償はあまりにも大きい。
片腕はもはや使う事能わず。そしてその身動きすらも封じられた。
互いに持つ"無窮の武錬"。最強の証。その差が………埋め込まれし宿業という形でここに顕れた。

ライダー・黒縄地獄
「ふはははははははははは!取った!その左腕取りましたよ!」

頼光
「ふっ………!片腕無かろうとも貴女を殺すには十分だ…………!!」

ライダー・黒縄地獄
「──────────鬼を殺すには、」

頼光
「片腕あれば十二分…………!!」

ライダー・黒縄地獄
「なるほど、先の歩んだ道は同じという言葉、
どうやら妄言ではないようですね」

頼光
「そうだ。私はあの日から………貴女を殺したあの日から……!!
逃れられぬ宿業の下に生きてきた………!後悔の下に生き続けてきた!!」

「貴女に追いつくことだけを考えて生きてきた……!
人ならざる存在である貴女と同等の力を、それ以上の力を以て!
化け物を殺し平安の世を維持し続けるために─────」

ライダー・黒縄地獄
「────────────────。」

頼光
「─────そして、これこそがその答えだ」

刹那、

頼光は片腕で黒縄地獄の刀を"縫い留め"たまま、己の左腰に差してある刀を右腕で抜刀する。
黒縄地獄が変化を悟り、退避の姿勢を取ったところでもう遅い。

相手が"化け物"である限り、神秘殺し源頼光が"それ"を抜刀した時点で勝負は決まっている。

かろうじて、黒縄地獄は距離を頼光より取るのが精一杯であった。

頼光
「─────終わりにしよう、姉上」

ビシ…………バキビキィ………ッ、と肉体が異形化する音が戦場に響く。

頼光
「抜刀───────『童子切安納』────────」

今ここに、彼の後悔が形となる。





頼光
「くっ………ガァッ!!」

ビシャッ!!と地面に血がまき散らされる。
頼光は全身がずたずたに切り裂かれ、今にも倒れそうといった風貌だ。

道満
「頼光!!」

武蔵
「大丈夫…………、これで、終わったわ」

ライダー・黒縄地獄
「────────────────。」

「嗚呼………、そう……、ですね………
これで……………良かったのです」

「悪い鬼が勝つ御伽噺なぞ……………
一体だれが、聞きたがると言うのでしょうね……………」

「胸が………、胸が痛みますね……………
────これほどまでに、胸が痛んだのは……何時ぶりでしょうか…………」

頼光
「………………………姉上……………」

バーサーカー・衆合地獄
「にしても、躱したはずの刃がこれほど痛むとはなぁ
それがそっちの切り札、明神切村正の力………いや、あんたの力かぁ、武蔵はん」

武蔵
「…………はい、今までは分かりませんでしたが、此度の決闘ではっきりと分かりました。
あなた達2人は、とても分かりやすかった」

「未熟な私でもはっきりと見てとれる"宿業"の淀み。
これが絶てないというのならば剣豪廃業です。」

「礼を言います。衆合地獄、そして黒縄地獄。
あなたたちのおかげで、宿業を断ち切る感覚をつかみました。」

ライダー・黒縄地獄
「─────皮肉極まる礼ですね。
そんなもの、あなたが勝手に気づき、開眼し、会得しただけの話です………。」

「……………、もう時間ももたない様ですね」

「藤丸立華、と申されましたか。
カルデアなる異邦より来たるものよ」

「どうかあの姉弟を頼みます。
ぬいと田助は、この先にある祠にいるはずです。」

「我々はあのように嘯きましたが、ご安心を。
傷一つもつけてはおりませぬ」

「私は…………、子を殺すことなぞ……、どうしても出来ず─────」

はらり、と黒縄地獄は………いや丑御前は、その瞳から雫をこぼす。

ライダー・黒縄地獄
「きっと私は、壊れているのでしょうね、初めから。
英霊剣豪として宿業を埋め込まれる以前から、とっくのとうに」

「私という人は壊れていた。
だから、正常にはどうやっても動かない」

「正道の全てを嗤う者が英霊剣豪であり、
悪逆の全てをただす者が英霊であるのならば」

「壊れた私は──────────どちらにもなる事は─────」

頼光
「そんなことはない!!!」

頼光は、血反吐を吐きそうなほどのダメージを受けながらも、その丑御前の言葉を否定するべく叫ぶ。
それを言われたら…………、それだけは否定しなくてはならない。頼光はそう感じた。
そう考えた故に、彼は声を張り上げてそれを否定する。

頼光
「姉上は…………、壊れてなど…………、いないっ!!」

藤丸
「…………頼光」

頼光
「確かに貴女は"人非人"だ………。丑御前という名の人外だ!
だが………だが貴女は………!決して壊れてなどいない!!何よりも強いお人だ!!」

ライダー・黒縄地獄
「────────────────。」

頼光
「現に…貴女は………!あなたの世界では………!
立派に貴女は京の都を守護した!"人として"英霊に昇華されるほど!
此度もそうだ………!貴女は宿業に囚われながらも………子等を守った……!!
それを………!!それを"壊れている"などという一言で………!!」

「否定しないでください………!姉上!!」

ポタリ、ポタリと、雫が地面に落ちた。
ツゥー………と、頼光の頬を、雫が伝っていた。

ライダー・黒縄地獄
「嗚呼……………貴方のような人に遭えて、本当に良かった………。」

「金時が何故ここにいないのかと、私はかつては考えておりましたが………」

「私を殺してくれたのが……………貴方で良かった…………」

頼光
「──────────────。」

ライダー・黒縄地獄
「……………あの姉弟に、言伝を一つ、よろしいでしょうか?」

千子村正
「ああ、」

ライダー・黒縄地獄
「では、その……………縄で乱暴に縛って悪かったと。
攫うような真似をして、申し訳ない……………と」

千子村正
「良いだろう、だが伝えるかどうかは……ぬい次第だ。
テメェがあのぬいにどうやって映ったか………それで決めてやるよ」

ライダー・黒縄地獄
「はい……………」

「では、どうか藤丸立華殿。
どうか…………この下総の地を、あの悪鬼羅刹たる妖術師より救ってください」

藤丸
「任せて。……………もし会えたら、また別の何処かで」

ライダー・黒縄地獄
「はい、その時には…………私とは別の私なのでしょうけど…………
そうですね、みんなでゆっくりとお茶などしたいものです……………」

「その時もまた、貴方と会えることを…………心待ちにしております」

「──────────我が愛しい、弟よ────────────。」

キンッ!と宿業を両断する音が響いた。

武蔵
「─────ライダー・黒縄地獄、バーサーカー・衆合地獄
─────共に、成敗」

道満
「ちょちょちょ、頼光ぅ!あんさんホンマ大丈夫かいなぁ!?」

頼光
「ああ…………大丈夫だ。この程度…………
それに、姉上たちももう無事に倒し────────」

???
「ンンン〜、実に!実に素晴らしい三文芝居でした……!!
いやはや傑作!まさしく喜劇という他にない!!」

武蔵
「ッ!だれだ!?」

???
「まさか、剪定事象の先の頼光がこのような場に来るとか………
いやはや世界という物は思った通りには行かぬもの。しかしそれゆえに面白い!!」

藤丸
「この声───、竹林で聞いた!!」

段蔵
「キャスター・リンボ!!くっ!妖術師の傍に控えているものとばかり…………!」

「お気をつけてください!奴の操る術は強力!
皆さまであろうと直撃すればただではすみませぬ!」

???
「ンンン〜、強力!その程度の認識とは片腹痛い!」

道満
「うっわぁ〜、ごっつぅ嫌な魔力やなぁこのあんちゃん。」

武蔵
「そうね………、嫌な気配、そして嫌な声。
言葉を使って人を傷つけてさんざんいたぶるのを好む声だわ」

「出てきなさいこのド変態!!どうせ醜悪な面に悍ましい身体してんでしょ!
そのブ男姿さらけ出してみろ!!」

???
「ふっふっふっふっふっふ」

暗闇の中に隠れていた男が、その姿を顕す

キャスター・リンボ
「では──────、お言葉に甘えるとしましょう。
まぁ、此処にいる半数とお会いするのは二度目ですがね
竹林の時以来でしょうか?」

道満
「うっわぁー…………、なんやアレぇ気っ色悪い。
誰やあの服装センス。うちやったら恥ずかしくて着てられへんわあんな服。」

武蔵
「(うっそー、すっごい美形じゃなーい!?
 いや、私の趣味じゃないけどー?)」

道満
「武蔵ぃ、あんさん今剣豪がしちゃいけへん顔しとるで?」

武蔵
「ハッ!?ううん大丈夫ですとも!
いやだなぁ!ただの条件反射ですよぉ!」

「……………とまぁ、話は一旦置いといて、出たわね悪党。
その見た目でありながら狡猾さに満ちた目、さながら美しき肉食獣って所かしらね」

キャスター・リンボ
「その正確な評価、誠に恐悦至極!
しかしいささか呼びにくい、……、そうですねぇ、
私の事はこうお呼び下さるようお願い申し上げる」

「────────────安倍晴明、と」

藤丸
「あ、安倍晴明!?
伝説の……、平安時代最強の陰陽師じゃないか!!」

道満
「は?」

頼光
「………………………。」

武蔵
「晴明?君が?」

「嫌っ、それは流石に…………
少しばかり冗談が過ぎるでしょう」

道満
「せやなぁー………うん。嫌、うん。言いたいこと分かるで武蔵ぃ、
だからうちの事見んといて、うん頼むから」

「せやなぁ、ツッコミ処ぎょうさんあるから…………えっと
顔!顔が晴明しとらん!うん!!」

武蔵
「そうね!晴明と言えばこっちの頼光さんと並ぶ京の都の守護者!
貴女は守護者っていうよりは悪人面してる!違う?」

キャスター・リンボ
「………フッ!フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ!!
ええ!ええ違いませんねぇ!!」

「しかし、そちらの小さき術師は情報になかった…………。
見た所キャスター、それも同じ時代を生きた物と見える…………。」

道満
「ん?うちか?」

キャスター・リンボ
「然りィ!」

「さてはて………平安の………それも京の都の服装。
これは実に妙だ…………ンンンー!!だがその珍妙さが面白い!!」

道満
「おい、こいつから殺して良いか」

藤丸
「キャスター、抑えて」

キャスター・リンボ
「だがまぁ、………今はまだ私が動く時ではない。
そちらもその男の頼光が負傷してることですし?連戦は避けたいでしょう」

頼光
「…………………」

キャスター・リンボ
「それに時が経てば……………より面白く残酷な結末を用意できることでしょう!!」

チラリ、と男は段蔵を見る

段蔵
「…………………ッ!」

キャスター・リンボ
「ではさらば……………厭離穢土城にてまたお会いしましょう……
ふふふふふ、ハーッハハハハハハハハハハハ!!」

そう不気味に笑うと、男は去っていった。

武蔵
「……ッ!待て!」

道満
「…………逃がしたか!」

千子村正
「深追いはよした方が良い。むしろ向こうから退いてくれて運が良かった。」

「それより、こいつを運ぶぞ。サーヴァントとはいえ、このままじゃまずいだろう」

武蔵
「ああ、うん」

こうして、英霊剣豪七番勝負、その四、五番目の勝負は、終わりを告げた。

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