最終更新:ID:eYA0whBsyA 2020年10月12日(月) 01:38:08履歴
――――――――――――――――――――――――聖杯戦争。
七人のマスターと、それに仕える七騎のサーヴァントによる、万能の願望器"聖杯"をめぐっての殺し合い。
かつては極東の一都市で行われていたその儀式は、ある時を境に世界中にその術式が流出。
不完全な亜種聖杯戦争の乱発を招いた。
そしてさらに時は流れ。亜種聖杯戦争はある程度の安定を見せていた。
不完全な亜種聖杯の術式を独自に改良する所謂天才たちの出現。そしてそれの模倣。
聖杯戦争は今や『ハイリスクではあるが、ハイリターンでもある』と認識され、
数は少なく、しかしその精度は高くなっていた。
――――――――呼ばれるサーヴァントの枠も、少し変わっていったようだが。
これはそのうちの一つ――――――――――――――――――――数えきれない運命の内の一つ。
語られるのは英雄譚か、それとも。
Fate/Split Sisters
(つまりざっくりいうと?
なんかの企画とかでもない勝手に作った聖杯戦争がいつ何個起こってもおかしくないよ〜な世界観です
apoっぽい(企画とは違います)亜種聖杯戦争勃発世界観で現代くらいの年代設定でまともに七騎揃います。やったね!
しかも英霊召喚システムをみんなでいじくったせいで格落とした神霊でも幻霊合体でも呼べちゃうゆるゆる状態!都合いい!
シェアワールドと呼べるほど設定固めるかは不定ですが自鯖をぶんどどしたい方はこんなんでよかったらご自由にお使いください)
**
「…これが、此度の聖杯ですか、マスター。」
「そうだ。…どう思う?セイバー。」
「…純粋に、驚きました。ここまで真っ当な形状をしていることに。…いままでマスターと見たものは、もっと。」
「そうだろうセイバー!いや、あいつらのようにはなりたくないと思ってな。まずは形から入ったのだ。
この戦争で勝利したなら。もっと美しいものを見せてやれる。」
「ありがとうございます。楽しみに、しています。あなたの剣として。あなたの願いとして。勝利をあなたに。」
突如。警報が鳴り響く。
「…ああ、なるほど。TypeC22号〜35号に告ぐ。逃げ出した。たかがホムンクルス一人だが、必ず捕まえろ。」
「マスター。なにが…」
「ああ心配ないよ、セイバー。何も間違ったことはしていない。どうなろうと、大勢には影響がない。一応必ず捕まえろ、といったまでだ。」
そう、大勢には影響はないだろう。捨てるのに困っていたホムンクルスが逃げ出しただけ。我が独自技術の結晶ではあるが…今はそれよりも素晴らしいものが目の前にある。
さあ。来い。残る六騎の贄たちよ。もちろんいくつかマスターをやらせる手駒は用意したが。あえて空席も"餌"として用意した。
自信満々の魔術師どもが、多様な触媒を持ち寄り、あらゆる英霊を従えて参戦するだろう。それらをすべてセイバーが下す。
終わりなき英雄譚の、始まりだ――――――――――――――――――
**
絶体絶命だった。"あの人"を見かけて。必死に追いかけて、見つからなくて。
気づけばよくわからない化け物が、周りを囲っていた。
なんとか僕の唯一使えるルーン、『アンサズ』でひるませ突破口を開き、屋上からは降りれたけれど。
(下の階段もすでに埋め尽くされてる、か…。)
一体相手でも勝てなさそうな、肉塊に巨大な目玉のついた化け物どもが、こちらを四方から見張っている。
包囲網を崩さないよう、ゆっくりと近づいてくる。
(やるしかない、か。)
実はこの状況に巻き込まれる理由には心当たりがある。"魔術師同士の殺し合い"と"数日前からわずかに右手に浮かんだ痣"。
ならやることは一つしかない。知識があったことに、感謝を。
近くの教室に飛び込み、彫刻刀でざっくりとやり。血液で魔方陣を描いていく。
迷う暇はない。こうしている間にも不気味な目玉が近づいてくる。
「あとは、詠唱だ。」
思い出せ。いつかのためにと覚えていたはずだ。思い出せ――――――――――――――――――――――――
**
私にはなぜ、意思があるのだろう。逃げられないようにされたまま、あの人はずっと、私をどうしたかったのだろう。
私に何を、求めていたのだろう。わからないから、逃げた。あの部屋から、逃げ出した。
小型の機械人形達が、私を追いかけている。きっとあの人の仕業なのだろう。
嫌だ。私は。何もないまま消えるなんて、嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
誰か、助けて――――――――――――――――
**
「――――抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
完全かはわからないが、確かに覚えていた。何かはわからないが、手ごたえはあった。
人理に残る英霊、それをサーヴァントという枠に無理やり当てはめての召喚。それが『聖杯戦争』の参加条件。
腕の痣『令呪』が熱くなる。間違いなく召喚に成功した。…目を開くのが、怖いけど。
「―――――――――問おう。あなたが私のマスターか。」
「…なんちゃって!双子…とは厳密には違うけど、まあ通りがいいし開き直ろう!」
「「双子悪魔のキスキル&リラ、アーチャーのサーヴァントだよ。よろしく、ね?」」
ん?声に驚いてあっさり目を開いてしまった。そこにいたのは、悪魔の羽根と悪魔の尻尾。それになんだかアイドル衣装みたいなのを着た二人の女の子。
そう、二人。僕が呼んだサーヴァントは、二人一組、らしかった。
そして、驚く暇もなく。
「あなたの」「名前は」「なんてーの!」「マスター?」
とりあえず、問われたので、
「姫咲 、薫 。です。」
とりあえず、答えてしまった。
今思えば、もっとちゃんとした挨拶から入ってもよかったんじゃないか、なんて。
――――――これが、僕の運命の始まり。闘いの始まり。終わりの、始まり。
プロローグ:終
**
「ははは!呼んだな!助けを!その助けとなるのが俺、ランサーのサーヴァントだ!
こいつらだな!一撃のもとに薙ぎ払おう!穿て、『雷槍よ、我が敵を焼け 』!!」
私を、助ける人がいた。いままで、誰にも知られていなかった私を。
「むう…。魔力は潤沢だな。これでは接触を迫れない。とはいえ貴様は気に入った!喜べ!我がマスターよ!」
私を、ますたー?それは違う。否定しなくては。
「あの、申し訳ないのですが。私はますたー、という名ではなく。いえそもそも、名を持ちません。」
「ああそういうことではない。まあいい。…貴様は名を持たぬのか?」
「はい。主人たる人間にしか、名をつけることを赦されず。主人だった人からは今、逃げ出してきました。」
「なるほど。それでは神たる俺にも名づけは不可能だな。仕方あるまい。俺についてこい。」
「…?どこへ、いくのでしょう。」
「決まっている。我が権能を存分に使い、マスター殿の新たな主人探しと行こうではないか!」
よくわからないけれど、私を助けようとしてくれている。この人が優しいということは、わかった。
「よろしくお願いします。えっと、呼び名はランサーのサーヴァント、でよいのでしょうか。」
「短くランサーでいいぞ。もっと言うなら―――いや、もう少しもったいぶるか。そのほうが格好いい。」
「わかりました、ランサー。これからよろしくお願いします。」
**
「…どうしました。マスター。」
「…いやなに、予想外のことが起こった上に、監視が効かなくなった。あのランサーの仕業だな。
セイバー。最強の敵が出現したかも知らんぞ。もっとも、セイバーには遠く及ばないだろうが。」
「私は。あなたに勝利の栄光を授けられるなら。それ以上は何も望みません。」
「セイバー、勝利の栄光とは、敵が強ければ強いほど大きくなるものなのさ。
とはいえあのホムンクルスを残しておいたかいがあった。真の英雄と紛い物の英雄の差を見るいい機会だ。」
「さあ、座して七騎が揃うのを待とう。相当聖杯を捏ね繰り回したからな、何が出てもおかしくないぞ!」
マスターは、闘いを待ち望んでいる。楽しんでいる。それはきっと、あの頃のマスターとは違う。それでも私は。
「ええ、マスター。何が出ても負けることはありません。」
マスターは私にすべてを捧げているのだから。私はマスターのために生まれたのだから。それに応えなければ、いけない。
+α:終
七人のマスターと、それに仕える七騎のサーヴァントによる、万能の願望器"聖杯"をめぐっての殺し合い。
かつては極東の一都市で行われていたその儀式は、ある時を境に世界中にその術式が流出。
不完全な亜種聖杯戦争の乱発を招いた。
そしてさらに時は流れ。亜種聖杯戦争はある程度の安定を見せていた。
不完全な亜種聖杯の術式を独自に改良する所謂天才たちの出現。そしてそれの模倣。
聖杯戦争は今や『ハイリスクではあるが、ハイリターンでもある』と認識され、
数は少なく、しかしその精度は高くなっていた。
――――――――呼ばれるサーヴァントの枠も、少し変わっていったようだが。
これはそのうちの一つ――――――――――――――――――――数えきれない運命の内の一つ。
語られるのは英雄譚か、それとも。
Fate/Split Sisters
(つまりざっくりいうと?
なんかの企画とかでもない勝手に作った聖杯戦争がいつ何個起こってもおかしくないよ〜な世界観です
apoっぽい(企画とは違います)亜種聖杯戦争勃発世界観で現代くらいの年代設定でまともに七騎揃います。やったね!
しかも英霊召喚システムをみんなでいじくったせいで格落とした神霊でも幻霊合体でも呼べちゃうゆるゆる状態!都合いい!
シェアワールドと呼べるほど設定固めるかは不定ですが自鯖をぶんどどしたい方はこんなんでよかったらご自由にお使いください)
**
「…これが、此度の聖杯ですか、マスター。」
「そうだ。…どう思う?セイバー。」
「…純粋に、驚きました。ここまで真っ当な形状をしていることに。…いままでマスターと見たものは、もっと。」
「そうだろうセイバー!いや、あいつらのようにはなりたくないと思ってな。まずは形から入ったのだ。
この戦争で勝利したなら。もっと美しいものを見せてやれる。」
「ありがとうございます。楽しみに、しています。あなたの剣として。あなたの願いとして。勝利をあなたに。」
突如。警報が鳴り響く。
「…ああ、なるほど。TypeC22号〜35号に告ぐ。逃げ出した。たかがホムンクルス一人だが、必ず捕まえろ。」
「マスター。なにが…」
「ああ心配ないよ、セイバー。何も間違ったことはしていない。どうなろうと、大勢には影響がない。一応必ず捕まえろ、といったまでだ。」
そう、大勢には影響はないだろう。捨てるのに困っていたホムンクルスが逃げ出しただけ。我が独自技術の結晶ではあるが…今はそれよりも素晴らしいものが目の前にある。
さあ。来い。残る六騎の贄たちよ。もちろんいくつかマスターをやらせる手駒は用意したが。あえて空席も"餌"として用意した。
自信満々の魔術師どもが、多様な触媒を持ち寄り、あらゆる英霊を従えて参戦するだろう。それらをすべてセイバーが下す。
終わりなき英雄譚の、始まりだ――――――――――――――――――
**
絶体絶命だった。"あの人"を見かけて。必死に追いかけて、見つからなくて。
気づけばよくわからない化け物が、周りを囲っていた。
なんとか僕の唯一使えるルーン、『アンサズ』でひるませ突破口を開き、屋上からは降りれたけれど。
(下の階段もすでに埋め尽くされてる、か…。)
一体相手でも勝てなさそうな、肉塊に巨大な目玉のついた化け物どもが、こちらを四方から見張っている。
包囲網を崩さないよう、ゆっくりと近づいてくる。
(やるしかない、か。)
実はこの状況に巻き込まれる理由には心当たりがある。"魔術師同士の殺し合い"と"数日前からわずかに右手に浮かんだ痣"。
ならやることは一つしかない。知識があったことに、感謝を。
近くの教室に飛び込み、彫刻刀でざっくりとやり。血液で魔方陣を描いていく。
迷う暇はない。こうしている間にも不気味な目玉が近づいてくる。
「あとは、詠唱だ。」
思い出せ。いつかのためにと覚えていたはずだ。思い出せ――――――――――――――――――――――――
**
私にはなぜ、意思があるのだろう。逃げられないようにされたまま、あの人はずっと、私をどうしたかったのだろう。
私に何を、求めていたのだろう。わからないから、逃げた。あの部屋から、逃げ出した。
小型の機械人形達が、私を追いかけている。きっとあの人の仕業なのだろう。
嫌だ。私は。何もないまま消えるなんて、嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
誰か、助けて――――――――――――――――
**
「――――抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
完全かはわからないが、確かに覚えていた。何かはわからないが、手ごたえはあった。
人理に残る英霊、それをサーヴァントという枠に無理やり当てはめての召喚。それが『聖杯戦争』の参加条件。
腕の痣『令呪』が熱くなる。間違いなく召喚に成功した。…目を開くのが、怖いけど。
「―――――――――問おう。あなたが私のマスターか。」
「…なんちゃって!双子…とは厳密には違うけど、まあ通りがいいし開き直ろう!」
「「双子悪魔のキスキル&リラ、アーチャーのサーヴァントだよ。よろしく、ね?」」
ん?声に驚いてあっさり目を開いてしまった。そこにいたのは、悪魔の羽根と悪魔の尻尾。それになんだかアイドル衣装みたいなのを着た二人の女の子。
そう、二人。僕が呼んだサーヴァントは、二人一組、らしかった。
そして、驚く暇もなく。
「あなたの」「名前は」「なんてーの!」「マスター?」
とりあえず、問われたので、
「
とりあえず、答えてしまった。
今思えば、もっとちゃんとした挨拶から入ってもよかったんじゃないか、なんて。
――――――これが、僕の運命の始まり。闘いの始まり。終わりの、始まり。
プロローグ:終
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「ははは!呼んだな!助けを!その助けとなるのが俺、ランサーのサーヴァントだ!
こいつらだな!一撃のもとに薙ぎ払おう!穿て、『
私を、助ける人がいた。いままで、誰にも知られていなかった私を。
「むう…。魔力は潤沢だな。これでは接触を迫れない。とはいえ貴様は気に入った!喜べ!我がマスターよ!」
私を、ますたー?それは違う。否定しなくては。
「あの、申し訳ないのですが。私はますたー、という名ではなく。いえそもそも、名を持ちません。」
「ああそういうことではない。まあいい。…貴様は名を持たぬのか?」
「はい。主人たる人間にしか、名をつけることを赦されず。主人だった人からは今、逃げ出してきました。」
「なるほど。それでは神たる俺にも名づけは不可能だな。仕方あるまい。俺についてこい。」
「…?どこへ、いくのでしょう。」
「決まっている。我が権能を存分に使い、マスター殿の新たな主人探しと行こうではないか!」
よくわからないけれど、私を助けようとしてくれている。この人が優しいということは、わかった。
「よろしくお願いします。えっと、呼び名はランサーのサーヴァント、でよいのでしょうか。」
「短くランサーでいいぞ。もっと言うなら―――いや、もう少しもったいぶるか。そのほうが格好いい。」
「わかりました、ランサー。これからよろしくお願いします。」
**
「…どうしました。マスター。」
「…いやなに、予想外のことが起こった上に、監視が効かなくなった。あのランサーの仕業だな。
セイバー。最強の敵が出現したかも知らんぞ。もっとも、セイバーには遠く及ばないだろうが。」
「私は。あなたに勝利の栄光を授けられるなら。それ以上は何も望みません。」
「セイバー、勝利の栄光とは、敵が強ければ強いほど大きくなるものなのさ。
とはいえあのホムンクルスを残しておいたかいがあった。真の英雄と紛い物の英雄の差を見るいい機会だ。」
「さあ、座して七騎が揃うのを待とう。相当聖杯を捏ね繰り回したからな、何が出てもおかしくないぞ!」
マスターは、闘いを待ち望んでいる。楽しんでいる。それはきっと、あの頃のマスターとは違う。それでも私は。
「ええ、マスター。何が出ても負けることはありません。」
マスターは私にすべてを捧げているのだから。私はマスターのために生まれたのだから。それに応えなければ、いけない。
+α:終
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