kagemiya@ふたば

夢を見た


水の中で、僕の体が漂っている。


僕が起きる気配はない。暖かい水の中で、まどろむ青い瞳は開かない。


起こそうとして、伸ばした手を止める。


目覚めさせてはいけない。



―――目覚めてはいけない

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これは夢か、現実か


不意に、そうした考えが頭をよぎる。


穏やかな時間の中、変わらない毎日の中。私はただ、何ともない平穏を謳歌する。


これは夢？


戦いが終わると共に、私達は消えるはずだった。しかし、私はそれを否定した。


私の望みは棄却された。そして私は今もなおこの地に、新たな主の下に留まっている。


これは現実？


―――何故、私は此処にいる。私の手は未だ血に汚れている。罪は未だにこの身にのしかかる。


なのに



私は―――何故、笑っている

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私は血の海に立っていた


鉄の匂いに顔を歪めて、私は女の前に立っていた。誰かを思い出すような、好ましくない笑顔の女。


剣を構え、踏み込み―――何かを踏んだ。



か細いうめき声が、聞こえた気がした。


やめろ


足元に、誰かが沈んでいる。


やめろ


一人だけじゃない。無数の屍が血の海に沈んでいる。


やめろ


足元の屍が、私を見上げた。


やめ―――



そして、彼女が嗤っていた

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いつか、こんな日が来ると思っていた


『は――――――はははははははははは！！！』

『これぞ聖杯の導き！！やっと！！やっと出会えましたね！！我が盟友よ！！許されざる裏切り者よ！！！』


『セ、イバー？―――あ、あぁ………！』


私は、その道を違えてしまったから


『最早、この地に価値はありません。私達が守らんとしていたものはとうに滅びました。ここにあるのは、その名残を奪い去った忌々しい歴史のみ……！』

『やろうと思えば本気でやれそうなのが面倒なところだねぇ。あの聖剣の力なら、本気でイギリスを灰にしかねない』


これが、私に課せられた罰というのなら


『ここに決闘を申し込みます。貴女の罪を、不浄を焼き尽くし、清廉なる魂を取り戻して見せましょう』


それが、私の宿命なら


『これで、私の罪は全て清算されます。来るべき時が来たのです。だから』

『さようなら。マスター』

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―――沈んでいく


『―――あ゛あ゛ぁ゛あァぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛！！！』


赤い海に、沈んでいく


『はは、ははははははは！！！なんと無様！！その傷はかくも貴様に相応しい！！彼女を歪めた罪人にはお似合いの刻印だ！！』


『傷に残った熱傷が回復を阻害してる。今のところ完治の見込みはないわ。いえ、それ以上に精神的な……』


消えていく。僕が、消えてしまう


『■■■■■■―――――！！！』『■■■■■■■■■■■■！！！』

『―――あぁ、そうか……はは。これなら……ははは、ふふふっあははははは……！！』


知りたくなんてなかった


『―――やめておけ、今なら引き返せる。このままでは、君は本当に―――』

『本当に、何？何も変わってなんかないよ。僕は、最初から化物じゃあないか』


意志を伴わない力は、そこにあるだけで災いを招く


『……いよいよ人の皮を捨てましたか。その醜悪な姿こそ貴様の本質……彼女を穢す邪竜は、ここで息の根を絶ちましょう』

『やってみろよ……！！ここで死ぬのは、お前の方だ……！！』


悪い竜は、英雄に殺されるために存在する



だったら、僕は最初から間違っていたんだ












































※台詞、内容、タイトル等は予告なく変更の可能性があります。
※一連ではなく断片の作品として作成する可能性があります。予めご了承ください。
※完成時期は未定です。