最終更新:ID:mJKBooGHeg 2022年09月12日(月) 02:12:03履歴
「我が人生に意味はあったか、だと?……愚問だな。それを決めるためにこそ、今の私は此処に居る」
【元ネタ】古代叙事詩『ニーベルンゲンの歌』
【CLASS】ランサー
【マスター】
【真名】ブリュンヒルト
【性別】女性
【身長・体重】182cm・90kg
【肌色】健康的 【髪色】灰銀 【瞳色】深紅
【スリーサイズ】108/60/92
【外見・容姿】白と赤の鎧に身を包んだ屈強な女王
【地域】ドイツ、アイスランド
【属性】中立・中庸
【天地人属性】地
【その他属性】人型・
【ステータス】筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:A 魔力:C 幸運:D 宝具:B
使用Picrew:武天式(ツヨ)女メーカー
【CLASS】ランサー
【マスター】
【真名】ブリュンヒルト
【性別】女性
【身長・体重】182cm・90kg
【肌色】健康的 【髪色】灰銀 【瞳色】深紅
【スリーサイズ】108/60/92
【外見・容姿】白と赤の鎧に身を包んだ屈強な女王
【地域】ドイツ、アイスランド
【属性】中立・中庸
【天地人属性】地
【その他属性】人型・
【ステータス】筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:A 魔力:C 幸運:D 宝具:B
使用Picrew:武天式(ツヨ)女メーカー
生まれながらに生物として完全な肉体を持つ。
このスキルの所有者は、常に筋力のパラメーターがランクアップしているものとして扱われる。
さらに鍛えなくても筋肉ムキムキな上、どれだけカロリーを摂取しても体型が変化しない。
人間という種から発生した突然変異。純粋な人の身で魔に匹敵し、上回りすらし得る剛力無双。
ブリュンヒルトは人類のバグとでも言うべき存在であり、その肉体は人間でありながら人の限界を超越している。
魔物・魔獣のみが持つ『怪力』スキルの取得や、特定条件でしか傷つかないといった類の護りを貫通してダメージを与えることが可能。
正に規格外と称すべきその強さは、邪竜を打ち倒した英雄であり、かつ魔法の外套によって12人力となったジークフリートをも苦戦させたほど。
このスキルの所有者は、常に筋力のパラメーターがランクアップしているものとして扱われる。
さらに鍛えなくても筋肉ムキムキな上、どれだけカロリーを摂取しても体型が変化しない。
人間という種から発生した突然変異。純粋な人の身で魔に匹敵し、上回りすらし得る剛力無双。
ブリュンヒルトは人類のバグとでも言うべき存在であり、その肉体は人間でありながら人の限界を超越している。
魔物・魔獣のみが持つ『怪力』スキルの取得や、特定条件でしか傷つかないといった類の護りを貫通してダメージを与えることが可能。
正に規格外と称すべきその強さは、邪竜を打ち倒した英雄であり、かつ魔法の外套によって12人力となったジークフリートをも苦戦させたほど。
一時的に筋力パラメーターを1ランクアップさせる。持続時間はスキルのランクによる。
本来は魔物・魔獣のみが持つスキルだが、上述の通りブリュンヒルトはその制限を無視して保有している。
ランクも高く、全力を発揮した時の彼女のパワーは高位の竜種にすら匹敵する。
本来は魔物・魔獣のみが持つスキルだが、上述の通りブリュンヒルトはその制限を無視して保有している。
ランクも高く、全力を発揮した時の彼女のパワーは高位の竜種にすら匹敵する。
ブリュンヒルトを大力の女傑たらしめているもう1つの要因。
「善悪を問わず、自身に勝った者の夫になる」「代わりにどんな男にも負けない力を得る」という自戒系スキル。
この誓約がある限り、ブリュンヒルトの筋力・耐久・敏捷ステータスが常時1ランクアップする。
また、夫を選定するためのものであるからか、男性に対しては更に特攻・特防ボーナスを得る。
その誓約上、自らに勝った者には必ずその身を捧げねばならず、そうすることで誓約は終了しこのスキルは失われる。
しかし、生前のブリュンヒルトは誓約を終えたことでその力を失ったのではない。
ブリュンヒルトに勝ったのはグンター王ではなくジークフリートであり、しかし彼女はグンターと結婚してしまった。
知らずの内に誓約を破ってしまった彼女は、破戒の代償として生来持ち合わせていた力を失ってしまい、その精神も穢れてしまった。
───然して、女傑は悪女へと反転したのである。
「善悪を問わず、自身に勝った者の夫になる」「代わりにどんな男にも負けない力を得る」という自戒系スキル。
この誓約がある限り、ブリュンヒルトの筋力・耐久・敏捷ステータスが常時1ランクアップする。
また、夫を選定するためのものであるからか、男性に対しては更に特攻・特防ボーナスを得る。
その誓約上、自らに勝った者には必ずその身を捧げねばならず、そうすることで誓約は終了しこのスキルは失われる。
しかし、生前のブリュンヒルトは誓約を終えたことでその力を失ったのではない。
ブリュンヒルトに勝ったのはグンター王ではなくジークフリートであり、しかし彼女はグンターと結婚してしまった。
知らずの内に誓約を破ってしまった彼女は、破戒の代償として生来持ち合わせていた力を失ってしまい、その精神も穢れてしまった。
───然して、女傑は悪女へと反転したのである。
猛々しき女王の恋こそ、禍福を裏返す落陽の兆し。
ニーベルンゲンの歌において、ブリュンヒルトの心に芽生えた狂気の土台ともいえる。
ランサーのブリュンヒルトはこれを自らの歪みの象徴として、強い意志によって封じ込めている。
しかし『ブリュンヒルト』という英霊の根底に「女傑から悪女への反転」がある限り、この萌芽を完全に断つことはできない。
故にもしも、彼女の前に「英雄」が顕れたならば───。
ニーベルンゲンの歌において、ブリュンヒルトの心に芽生えた狂気の土台ともいえる。
ランサーのブリュンヒルトはこれを自らの歪みの象徴として、強い意志によって封じ込めている。
しかし『ブリュンヒルト』という英霊の根底に「女傑から悪女への反転」がある限り、この萌芽を完全に断つことはできない。
故にもしも、彼女の前に「英雄」が顕れたならば───。
ランク:B++ 種別:対人宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:1人
ブリュンヒルトが求婚者たちを試すために課す3つの試練が宝具として昇華されたもの。
対象にランサーとの一対一を強制し、槍投げ・岩投げ・跳躍の3種目で競い合いを行う決闘宝具。
3種目のどれか1つでもランサーが勝利した場合は相手を強制的に死亡させるが、全敗した場合はランサーのマスター権が相手に移ってしまう。
また「求婚 してきた相手に課す試練」であるため、ランサーを敵と認識していない、戦意のない相手には使えない。
なお、婚姻を懸けた戦いの再現だが、敵が男性である必要はなく、女性や無性、そもそも人でないものに対しても問題なく使用できる。
これは『ニーベルンゲンの歌』でクリームヒルトが結婚したアッティラ王が実は女性だった、という前例から女同士での結婚が可能と判断されたため。
というのが本来の効果だったが、ランサーは生前の後悔からこの宝具をより直接的なものへと改めた。
競い合いなどという婉曲的な手段であったから、かつての自分はグンターの策を見破れなかった。
だが、正面からのぶつかり合いであれば、決してその力量を測り違えることは無い。
即ち───槍投げ、岩投げ、そして体当たり の3連撃を敵に叩き込む攻撃宝具である。
相手に一騎打ちを強制するところまでは同じだが、相手の速さに関係なくランサーが先手となり、槍投げ・岩投げ・突進の3連撃が放たれる。
かの大英雄ジークフリートですら苦戦するほどの剛力を誇るランサーの攻撃は、人の身によるものでありながら聖剣・魔剣に匹敵する。
これに対し相手は、競い合いの代演として、攻撃を受け止めた上で威力を高めてランサーに返さなければならない。
直接攻撃にしたことで即死効果は失われたが、完全に無くなった訳ではない。
受け切れなかった場合は勿論、回避したり返した攻撃がランサーの攻撃より強くなかった場合、回避不可の攻撃になって相手に戻りダメージを与える。
そして恐るべきことに、反撃に成功しても、ランサーはその攻撃を受け止め、更に威力を増して次の攻撃を放つ。
より強い攻撃で反撃しなければならないが、そうするほどに次撃が更に強力になり、反撃が難しくなっていく。
相手にもよるが、三撃目になればその破壊力は対城宝具クラスに達し、これを受け切るには余程強力な防御宝具があっても困難を極めるだろう。
なお、デメリットも変わらず残っており、全て反撃された場合はやはりランサーのマスター権が相手に移ってしまう。
ブリュンヒルトが求婚者たちを試すために課す3つの試練が宝具として昇華されたもの。
対象にランサーとの一対一を強制し、槍投げ・岩投げ・跳躍の3種目で競い合いを行う決闘宝具。
3種目のどれか1つでもランサーが勝利した場合は相手を強制的に死亡させるが、全敗した場合はランサーのマスター権が相手に移ってしまう。
また「
なお、婚姻を懸けた戦いの再現だが、敵が男性である必要はなく、女性や無性、そもそも人でないものに対しても問題なく使用できる。
これは『ニーベルンゲンの歌』でクリームヒルトが結婚したアッティラ王が実は女性だった、という前例から女同士での結婚が可能と判断されたため。
というのが本来の効果だったが、ランサーは生前の後悔からこの宝具をより直接的なものへと改めた。
競い合いなどという婉曲的な手段であったから、かつての自分はグンターの策を見破れなかった。
だが、正面からのぶつかり合いであれば、決してその力量を測り違えることは無い。
即ち───槍投げ、岩投げ、そして
相手に一騎打ちを強制するところまでは同じだが、相手の速さに関係なくランサーが先手となり、槍投げ・岩投げ・突進の3連撃が放たれる。
かの大英雄ジークフリートですら苦戦するほどの剛力を誇るランサーの攻撃は、人の身によるものでありながら聖剣・魔剣に匹敵する。
これに対し相手は、競い合いの代演として、攻撃を受け止めた上で威力を高めてランサーに返さなければならない。
直接攻撃にしたことで即死効果は失われたが、完全に無くなった訳ではない。
受け切れなかった場合は勿論、回避したり返した攻撃がランサーの攻撃より強くなかった場合、回避不可の攻撃になって相手に戻りダメージを与える。
そして恐るべきことに、反撃に成功しても、ランサーはその攻撃を受け止め、更に威力を増して次の攻撃を放つ。
より強い攻撃で反撃しなければならないが、そうするほどに次撃が更に強力になり、反撃が難しくなっていく。
相手にもよるが、三撃目になればその破壊力は対城宝具クラスに達し、これを受け切るには余程強力な防御宝具があっても困難を極めるだろう。
なお、デメリットも変わらず残っており、全て反撃された場合はやはりランサーのマスター権が相手に移ってしまう。
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
夫・グンター王との初夜の際、興奮する彼を彼を返り討ちにしてふん縛り天井からぶら下げたという逸話の再現。
男性から攻撃された時、その攻撃が命中するより先に、大幅な命中率・クリティカル率の補正がかかった反撃を行うカウンター宝具。
この反撃は相手のHPを0にできないが、相手の現在HPを超えるダメージを与えるかクリティカルが発生した場合、相手を行動不能にする。
第一宝具と異なり、こちらは初夜を由来とするため、男性に対してしか使用することができない。
逸話の再現により、第一宝具で敗北した際に相手が男性であれば、第一宝具の代償を含むあらゆる効果を無視して使用することが可能。
そしてこの攻撃で相手を行動不能にできた場合、例外的にマスター権が移譲するのを無効化できる。
ただし、この条件で使用すると反撃が終了するまで『破瓜なき操』の効果が失われる。
第一宝具の攻撃よりも必ず威力が下回り、ダメージ量による相手の行動不能化は非常に難しくなってしまう。
また、その条件で使用することは決闘の約束を破ることと同義であり、武人としての誇りを有するランサーにとってそれは度し難い行いである。
そのため、絶対に相手を受け入れられないか、誇りを捨てる程の理由でもなければ、ランサーがこの方法でこの宝具を使用することはない。
夫・グンター王との初夜の際、興奮する彼を彼を返り討ちにしてふん縛り天井からぶら下げたという逸話の再現。
男性から攻撃された時、その攻撃が命中するより先に、大幅な命中率・クリティカル率の補正がかかった反撃を行うカウンター宝具。
この反撃は相手のHPを0にできないが、相手の現在HPを超えるダメージを与えるかクリティカルが発生した場合、相手を行動不能にする。
第一宝具と異なり、こちらは初夜を由来とするため、男性に対してしか使用することができない。
逸話の再現により、第一宝具で敗北した際に相手が男性であれば、第一宝具の代償を含むあらゆる効果を無視して使用することが可能。
そしてこの攻撃で相手を行動不能にできた場合、例外的にマスター権が移譲するのを無効化できる。
ただし、この条件で使用すると反撃が終了するまで『破瓜なき操』の効果が失われる。
第一宝具の攻撃よりも必ず威力が下回り、ダメージ量による相手の行動不能化は非常に難しくなってしまう。
また、その条件で使用することは決闘の約束を破ることと同義であり、武人としての誇りを有するランサーにとってそれは度し難い行いである。
そのため、絶対に相手を受け入れられないか、誇りを捨てる程の理由でもなければ、ランサーがこの方法でこの宝具を使用することはない。
屈強な男が3人がかりでも運ぶのに苦労するほどに重く大きい剛槍。
長さは高身長なランサーの身の丈を超え、太さは筋骨隆々な男の太ももを上回る程で、槍というよりは破城槌と言うべき形状。
人が使う、人に使うの両方の意味での対人用の域を超えるこの武器を、ランサーは細枝を振るように軽々と持ち上げ振るう。
軽く薙ぎ払うだけで軍勢を吹き飛ばす風圧を起こし、投擲すればロケットランチャーやミサイルに匹敵する破壊を起こす。
銘有りの武器ではないものの、ランサーの剛力に耐え得る強度を誇るこの武器は、神話の聖剣や魔剣と打ち合うことを可能にする。
長さは高身長なランサーの身の丈を超え、太さは筋骨隆々な男の太ももを上回る程で、槍というよりは破城槌と言うべき形状。
人が使う、人に使うの両方の意味での対人用の域を超えるこの武器を、ランサーは細枝を振るように軽々と持ち上げ振るう。
軽く薙ぎ払うだけで軍勢を吹き飛ばす風圧を起こし、投擲すればロケットランチャーやミサイルに匹敵する破壊を起こす。
銘有りの武器ではないものの、ランサーの剛力に耐え得る強度を誇るこの武器は、神話の聖剣や魔剣と打ち合うことを可能にする。
ランサーが岩と称する、矛槍の先端のような形状をした投擲武器。
一応は岩のようだが、こちらもまたランサーの怪力に耐え得る強度を誇り、その投擲は戦艦の砲撃に匹敵する。
第一宝具で使用される他、ランサーはこれを牽制として投げる。敵陣からすれば、牽制どころか主砲としか思えない威力であるが。
一応は岩のようだが、こちらもまたランサーの怪力に耐え得る強度を誇り、その投擲は戦艦の砲撃に匹敵する。
第一宝具で使用される他、ランサーはこれを牽制として投げる。敵陣からすれば、牽制どころか主砲としか思えない威力であるが。
ニーベルンゲンの歌に於いて語られる美しき王妃。
竜殺しの英雄ジークフリートはブングルト国の王たるグンター、その妹であるクリームヒルトに恋をした。
国王の元へと参じ宣戦布告にも近い求婚を経た後、王は妹との結婚を認める代償として英雄にとある「協力」を申し出た。
聞けば国王も同じように恋をしており、その対象は隣国イースラントの女王であるという。
美しくも熾烈で、諸国にその武勲を轟かせる怪力無双の女傑。その名は────ブリュンヒルト。
ブリュンヒルトはグンターと婚約を行う条件として試練を架した。
それは武術競技で自分に勝てたなら婚約を認めよう、というもの。しかし単なる王に過ぎないグンターには勝てる見込みなど無い。
加えて敗北者には死を以て遇するという始末。悩んだ王は英雄に頼みこみ、不正をしてでも結ばれたいと言い放ったのである。
結果、ジークフリートはこれを了承。姿を隠す事の出来る隠れ蓑タルンカッペを着込み、競技に臨む王の補佐に回ることとなった。
二人がかりで勝利を収めるもブリュンヒルトは訝しみ、それでも結果は結果だとして婚約を受け入れる。
そうしてグンターとブリュンヒルト、ジークフリートとクリームヒルトは互いに結ばれ、婚約を果たすのであった。
しかしその初夜。グンター王に事の次第を問い詰めるもはぐらかすばかりの彼を疑ったブリュンヒルトは、力ずくで縛り上げて拘束。
何とか逃げ出した彼は再びジークフリートに泣き付き、今度は自分に変わってブリュンヒルトを思い知らせて欲しいと懇願。
これも了承してしまった英雄は、剛力無双の力を得るとされる外套を身に着けグンター王に変装。ブリュンヒルトとの“戦い”に挑む。
竜の血を浴び、十数人分の膂力を得たジークフリートですら圧されるような激戦の末……辛くも英雄が勝利。
その様子を見届けるとグンター王がこっそりと入れ替わり、ブリュンヒルトは相手が入れ替わっていたとも気づかずに恭順を宣言するのであった。
こうして純潔を失った女王はその怪力を失い……以降は一人の王妃として生きる事となる。
時を経て、ブリュンヒルトは義妹であるクリームヒルトと言い争っていた。
争点は夫の自慢話から始まる。方やクリームヒルトは「私の夫は竜殺しだから凄い」と、方やブリュンヒルトは「私の夫は私を力ずくで手籠にしたんだから凄い」と。
結論も出ず言い争いが加熱する最中、怒り心頭のクリームヒルトはつい口を滑らせてしまう。
「あなたを手籠にしたのは兄じゃなく、私の夫のジークフリートだ」……と。
その証拠としてジークフリートが持ち帰っていた指輪を見せつけたブリュンヒルトは愕然とする。
呆然自失のまま城へと逃げ帰り夫グンター王に泣き付き、怒りの冷めやらぬままクリームヒルトへ意趣を積もらせた。
そこでブリュンヒルトは夫へ囁く。
ジークフリートを殺せば、彼が手にした黄金も全て我々のものになるだろう、と。
結果としてグンター王が暗殺を決意したのは、彼女の言葉が原因ではなかった。
国内から高まるジークフリートへの非難、クリームヒルトの増長、それらを解消すべくジークフリート自らが命を差し出したのである。
王も臣下ハーゲンも躊躇いながらその判断を受け入れた。苦渋の決断が下される中で王妃は一人蚊帳の外、誰一人の真意も知ること無く浮かれていた。
そうしてハーゲンは妻より弱点である背中の事を聞き出し…………本人が自ら命を差し出した、という事実も知られぬままに暗殺は決行された。
嘆き悲しむクリームヒルト。その様を見て大いに喜ぶブリュンヒルト。こうして叙事詩の前半は幕を閉じ、血と復讐に塗れた狂女の物語が始まるのである。
ランサーの霊基で呼び出されるブリュンヒルトは、男を知らず誇り高き豪傑だった“女王としてのブリュンヒルト”である。
ジークフリート殺害に繋がる直接的な要因となる前、求婚してきたグンター王に試練を──────またの名を、命を懸けた「競い合い」を求めた女傑。
結果としてその行いは悲劇の連鎖を招き、彼女は誇りを失い悪女へと失墜した。此れこそ正しく栄枯盛衰。
ニーベルンゲンの歌という愛憎の物語に呪われた者として、ブリュンヒルトは“槍兵”のクラスを与えられた。
二面性がはっきりと分かれてるため、クラスによって性格や容姿も大きく異なる。
ランサーとしての彼女は『破瓜なき操』の誓いを守る、女傑としての側面が大きく取り沙汰された“女王”の姿で。
別のクラス、主にアサシンとしての彼女は悪女に墜ち、復讐の連鎖の始まりとなった謀略家たる“王妃”の姿で呼び出されるだろう。
互いに互いのことを忌み嫌っており、願う望みは唯一つ。「語られずに終わった物語を脚色し、もう一方の自分を否定する」事である。
竜殺しの英雄ジークフリートはブングルト国の王たるグンター、その妹であるクリームヒルトに恋をした。
国王の元へと参じ宣戦布告にも近い求婚を経た後、王は妹との結婚を認める代償として英雄にとある「協力」を申し出た。
聞けば国王も同じように恋をしており、その対象は隣国イースラントの女王であるという。
美しくも熾烈で、諸国にその武勲を轟かせる怪力無双の女傑。その名は────ブリュンヒルト。
ブリュンヒルトはグンターと婚約を行う条件として試練を架した。
それは武術競技で自分に勝てたなら婚約を認めよう、というもの。しかし単なる王に過ぎないグンターには勝てる見込みなど無い。
加えて敗北者には死を以て遇するという始末。悩んだ王は英雄に頼みこみ、不正をしてでも結ばれたいと言い放ったのである。
結果、ジークフリートはこれを了承。姿を隠す事の出来る隠れ蓑タルンカッペを着込み、競技に臨む王の補佐に回ることとなった。
二人がかりで勝利を収めるもブリュンヒルトは訝しみ、それでも結果は結果だとして婚約を受け入れる。
そうしてグンターとブリュンヒルト、ジークフリートとクリームヒルトは互いに結ばれ、婚約を果たすのであった。
しかしその初夜。グンター王に事の次第を問い詰めるもはぐらかすばかりの彼を疑ったブリュンヒルトは、力ずくで縛り上げて拘束。
何とか逃げ出した彼は再びジークフリートに泣き付き、今度は自分に変わってブリュンヒルトを思い知らせて欲しいと懇願。
これも了承してしまった英雄は、剛力無双の力を得るとされる外套を身に着けグンター王に変装。ブリュンヒルトとの“戦い”に挑む。
竜の血を浴び、十数人分の膂力を得たジークフリートですら圧されるような激戦の末……辛くも英雄が勝利。
その様子を見届けるとグンター王がこっそりと入れ替わり、ブリュンヒルトは相手が入れ替わっていたとも気づかずに恭順を宣言するのであった。
こうして純潔を失った女王はその怪力を失い……以降は一人の王妃として生きる事となる。
時を経て、ブリュンヒルトは義妹であるクリームヒルトと言い争っていた。
争点は夫の自慢話から始まる。方やクリームヒルトは「私の夫は竜殺しだから凄い」と、方やブリュンヒルトは「私の夫は私を力ずくで手籠にしたんだから凄い」と。
結論も出ず言い争いが加熱する最中、怒り心頭のクリームヒルトはつい口を滑らせてしまう。
「あなたを手籠にしたのは兄じゃなく、私の夫のジークフリートだ」……と。
その証拠としてジークフリートが持ち帰っていた指輪を見せつけたブリュンヒルトは愕然とする。
呆然自失のまま城へと逃げ帰り夫グンター王に泣き付き、怒りの冷めやらぬままクリームヒルトへ意趣を積もらせた。
そこでブリュンヒルトは夫へ囁く。
ジークフリートを殺せば、彼が手にした黄金も全て我々のものになるだろう、と。
結果としてグンター王が暗殺を決意したのは、彼女の言葉が原因ではなかった。
国内から高まるジークフリートへの非難、クリームヒルトの増長、それらを解消すべくジークフリート自らが命を差し出したのである。
王も臣下ハーゲンも躊躇いながらその判断を受け入れた。苦渋の決断が下される中で王妃は一人蚊帳の外、誰一人の真意も知ること無く浮かれていた。
そうしてハーゲンは妻より弱点である背中の事を聞き出し…………本人が自ら命を差し出した、という事実も知られぬままに暗殺は決行された。
嘆き悲しむクリームヒルト。その様を見て大いに喜ぶブリュンヒルト。こうして叙事詩の前半は幕を閉じ、血と復讐に塗れた狂女の物語が始まるのである。
ランサーの霊基で呼び出されるブリュンヒルトは、男を知らず誇り高き豪傑だった“女王としてのブリュンヒルト”である。
ジークフリート殺害に繋がる直接的な要因となる前、求婚してきたグンター王に試練を──────またの名を、命を懸けた「競い合い」を求めた女傑。
結果としてその行いは悲劇の連鎖を招き、彼女は誇りを失い悪女へと失墜した。此れこそ正しく栄枯盛衰。
ニーベルンゲンの歌という愛憎の物語に呪われた者として、ブリュンヒルトは“槍兵”のクラスを与えられた。
二面性がはっきりと分かれてるため、クラスによって性格や容姿も大きく異なる。
ランサーとしての彼女は『破瓜なき操』の誓いを守る、女傑としての側面が大きく取り沙汰された“女王”の姿で。
別のクラス、主にアサシンとしての彼女は悪女に墜ち、復讐の連鎖の始まりとなった謀略家たる“王妃”の姿で呼び出されるだろう。
互いに互いのことを忌み嫌っており、願う望みは唯一つ。「語られずに終わった物語を脚色し、もう一方の自分を否定する」事である。
良くも悪くも我の強い性格。
女王としての誇りを持ち、卑劣な行いを許さず、如何なる状況でも正々堂々とした振る舞いを崩さない。
自身が人の域から逸した強者であると自覚しており、他者に合わせずあるがまま、我がままに振る舞う。
育ちは良く王族ということで礼節も弁えているが、その礼節は女王として、即ち『人の上に立つ者』としてのもの。
偽ることを嫌う彼女は、普通を演じることで人々と同じ世界に生きるのではなく、ありのままの己を示して人々に受け入れてもらうことを選んだ。
その在り方は死してサーヴァントとなった今も変わらず、どころか自身の末路を知ったことで、より頑ななものとなっている。
受け入れてもらうと言っても彼女が己を曲げることは無く、故にその手段が手荒なものになることも少なくない。
成果を出すことで異論を封殺する、力づくで相手を従わせることは日常茶飯事であり、相手が如何なる者であっても一歩も退かず相対する。
しかし全く融通が利かないという訳でもなく、あくまで普通や常識に従わないというだけで、他者に意見を仰ぐこと、相手の考えを理解することはできる。
彼女は超越者ではなく、人の域を超えた力を持つも、その上でなお“人”であるのだ。
別側面の自分と同じく、彼女も自身の結末……いずれ来る“終わり”を知らず、真実を知ることのなかった存在である。
しかし異常性の自覚という経験と、悪女へと堕落するという一種の結末を有しているためか、あちらの自分とは異なり他者の“真実 ”を見抜くことができる。
……ただしその唯我独尊な振る舞い故に、見抜いた上で無視することが殆どだが。
イメージカラー:紅く彩られた銀色
特技:戦闘行為
好きなもの:英雄、芯の通った・我の強い人間、生ハム
嫌いなもの:卑劣な行為、不貞、甘すぎるお菓子
天敵:ジークフリート、グンター王
願い:自分が悪女に墜ちない「物語の続き」を創る
【一人称】私 【二人称】お前、貴様 【三人称】あの者、あれ
女王としての誇りを持ち、卑劣な行いを許さず、如何なる状況でも正々堂々とした振る舞いを崩さない。
自身が人の域から逸した強者であると自覚しており、他者に合わせずあるがまま、我がままに振る舞う。
育ちは良く王族ということで礼節も弁えているが、その礼節は女王として、即ち『人の上に立つ者』としてのもの。
偽ることを嫌う彼女は、普通を演じることで人々と同じ世界に生きるのではなく、ありのままの己を示して人々に受け入れてもらうことを選んだ。
その在り方は死してサーヴァントとなった今も変わらず、どころか自身の末路を知ったことで、より頑ななものとなっている。
受け入れてもらうと言っても彼女が己を曲げることは無く、故にその手段が手荒なものになることも少なくない。
成果を出すことで異論を封殺する、力づくで相手を従わせることは日常茶飯事であり、相手が如何なる者であっても一歩も退かず相対する。
しかし全く融通が利かないという訳でもなく、あくまで普通や常識に従わないというだけで、他者に意見を仰ぐこと、相手の考えを理解することはできる。
彼女は超越者ではなく、人の域を超えた力を持つも、その上でなお“人”であるのだ。
別側面の自分と同じく、彼女も自身の結末……いずれ来る“終わり”を知らず、真実を知ることのなかった存在である。
しかし異常性の自覚という経験と、悪女へと堕落するという一種の結末を有しているためか、あちらの自分とは異なり他者の“
……ただしその唯我独尊な振る舞い故に、見抜いた上で無視することが殆どだが。
イメージカラー:紅く彩られた銀色
特技:戦闘行為
好きなもの:英雄、芯の通った・我の強い人間、生ハム
嫌いなもの:卑劣な行為、不貞、甘すぎるお菓子
天敵:ジークフリート、グンター王
願い:自分が悪女に墜ちない「物語の続き」を創る
【一人称】私 【二人称】お前、貴様 【三人称】あの者、あれ
ブリュンヒルト:もう一人の自分
直視し難い自分自身。軈て己が辿る結末の具現であり、何よりも相反する対極存在。
人格も思想も矜持も振る舞い方も、その体躯すら大きく異なる。真逆な二人を結びつけるものは……「互いを否定する」という願いのみ。
幼い自分 でも反転存在 でもなければ離反した自我 でもない。両者は明確に『ブリュンヒルト』という存在であり、取り沙汰された側面が異なるだけ。
故にブリュンヒルトはブリュンヒルトが気に入らない。盲目な女王へと失墜し、そんな自分を受け入れて前に進むその“強さ”が気に入らない。
実のところ、人としての強かさではあちらが上である。
ブリュンヒルトの願いは「自らの物語を納得のいく形にする」ことだが、ランサーとアサシンではその方向性が異なる。
ただ屈辱の結末を無かったことにしたいランサーに対し、アサシンは悪女に墜ちた自分を受け入れて、その先もそう在り続ける未来を求めている。
人間性という点において彼女は自分に勝っている。己の在り様から目を逸らすこと無く、確固たる自我を以て突き進む在り方が“受け入れられない”。
成長した自分を認めたくない……なんて程度ではない。「他人」にしたい程に憎い存在が、何よりも憧れ手に入れたいと願った生き様を貫いているのだから。
性能面でも性格面でも苦手な相手。アサシン側と違いランサーの抱く願いには「自らの運命に続きを作る」事の他に「納得のいかない続き の否定」も含まれるため、蛇蝎の如く嫌っている。
その為切羽詰まった環境、人理を修復するために同陣営になるようなことがあれば諍いを飲み込んで接する程度の分別はあるが、そうでなければ強く殺意を向け殺そうとする。
「……ちっ、まさか“あれ”まで此処に居るとはな。……誰のことか、などと聞いてくれるなよ。次に問えば……その命は無いと思え。
あぁ……貴様にも忠告してやろう、汚らしい蜥蜴娘。貴様は同一存在でも別側面でもない。くれぐれも、自らをブリュンヒルトなどと名乗らないことだな…………」
「…………理想に生きてはいられない、だと?よくもまあ貴様が言えたものだ。
末路が決まっている?私達 の運命は決定されているだと?……我が結末、我が運命を私以外の誰かが決めていい道理など無いだろう……!
私は決して認めない。認めるものか!例えそれがどれ程困難であろうと……過ぎた過去を、訪れる未来を、貴様を必ずや否定し……物語の「続き」を作り上げてみせる……!」
「はぁ、騒々しいと思えば……まさか貴様、その程度の事をわざわざ言いに来たのか?
気に食わないと言うのなら貴様自身の力で何とかすればいいだろう。その手や得物は飾りか?……まさか、同一存在だから自分 に頼ってる、などとは言うまいな……?
今すぐその口を閉じて失せろ、アサシン。あれとの戦いは私の望むところではあるが、貴様の復讐を代行する気なぞ更々ないわ」
ジークフリート:宿命の相手
自分が悪女に墜ちる原因を作った存在だが、憎んではいない。
だが、二度も自分を打ち負かした勇士として、ブリュンヒルトは彼に並々ならぬ執着を抱いている。
グンター王に助力し、自分を騙したことに関しては思うところが無い訳ではない。自分に勝ったのにそれを誇らないことも不服ではある。
生前、クリームヒルトと言い争う前のブリュンヒルトは、彼の強さは認めていたものの、謙虚過ぎるその態度故に自分に相応しい男とは思っていなかった。
夫(になるかもしれない男)の臣下、即ち自身より下の者として関心を向けることはなかった。
そして競い合いの真相を知った後は、それを明かして自分を娶ることもせず、別の女と結婚したという事実に怒りを抱きさえした。
だが死後、自分が消えた後の物語を、『ニーベルンゲンの歌』の後半を知ったことで、ブリュンヒルトはジークフリートへの評価を改めた。
何故、普通の女であったはずのクリームヒルトが、二十年あまりもの年月を費やし、血縁さえも巻き込んでまで大復讐を成したのか。
彼女が復讐姫に成るほどの「何か」が、あの男にあったというのか。
もしも、そうだというのなら───素晴らしい。
やはりお前こそが私に相応しい。あの決闘で私に勝ったのだから、お前は私と結婚すべき定めなのだ。
勝利の責任を果たすべきだ。異議は認めん。拒否は認めん。それでも拒むというのなら、今度は私が挑むまで───!
戦士として、自身が敗れたことへの後悔と怒り、自身を負かした相手への尊敬の想い。
女として、強く逞しい男への憧れと、自分よりも別の女を選んだことへの嫉妬心。
それらが複雑に混ざり合ったものこそが、ブリュンヒルトがジークフリートへ向ける執着の正体である。
故に、もしも彼と再び出会うことがあれば、敵だろうと味方だろうと関係なく、主の命令や課せられた責務さえも無視して彼に戦いを挑むだろう。
その性格や信念が異なろうと、彼女は“ブリュンヒルト”、悪女として語られる女と同一の存在であり───威猛き女王の恋は、混沌と破滅を招く火種となる。
「ああ───待ち焦がれていた時が来た。待っていた、待っていたぞジークフリート!
邪竜ファヴニールを打倒せし大英雄……そして、この私に二度も打ち負かした、憎くも愛しき宿命の男よ!」
「逃げるな、逃がさぬ、逃がすものか。私を騙した罪を、私に勝った責任を、お前は果たさなくてはならないのだから!
俺にはもう妻がいる?……だからどうした、お前が私に勝ったのはあの女と結婚する前だ。ならば優先するべきは私だろう?
ああ、もうよい黙れ。下らぬ御託は聞き飽きた。男ならば、戦士ならば剣で語れ!
再戦だ。不正があった以上、あの競い合いはやり直さなければならない。なに、此度の種目は単純───私を正面から打ち倒せ。
勝てば我が身の全てをくれてやる。だが負ければお前の命を貰う。殺すという意味ではない……お前を私の物とする、ということだ」
「かつてお前が、そうであったように」
「英雄が人の願いを叶えるものだというのなら、私の想いにも応えてみせよ、ジークフリート……!」
クリームヒルト:好敵手
義妹であり、後に酷く罵り合うことになる相手だが、彼女のことも憎んではいない。
生前は単なる夫の妹としか見ておらず、夫の臣下の嫁と言うこともあってジークフリート共々興味を向けることは無かった。
見下しこそしていなかったが、少なくとも竜殺しを成したジークフリートの嫁には相応しくないとは思っていた。
故に、後の自分がそんなクリームヒルトの、自分の夫の方が素晴らしいという振る舞いに怒り、言い争った気持ちも理解できない訳ではない。
しかしそれは、純潔を失う前の姿であるこのブリュンヒルトにとってその一件は、体験の伴う記憶ではない。
よって「もしもそうなれば自分もそうするだろう」という共感に留まり、悪女に墜ちた自分のように彼女に心からの憎しみを向けることは無い。
むしろその逆……前述したように、自身が物語から消えた後の彼女の振る舞いを知ったことで、ブリュンヒルトはクリームヒルトを認めているのだ。
彼女は決してか弱い女ではない。どこにでもいるようなただの女ではなかった。
夫への強い愛故に、長い年月を費やし、血縁さえも巻き込んで復讐を成し遂げられる程の強い女であると。
ジークフリートが正しく益荒男であったと認めると共に、クリームヒルトもまた彼に相応しい妻なのだと評価を改めた。
ブリュンヒルトは、ジークフリートとクリームヒルトとの関係を、2人が互いにとって相応しい相手であることを認めた。
だがそれはそれとして、ジークフリートが自分と結婚するべきだと、自分に相応しい男だという考えは覆らない。
故に、ブリュンヒルトは彼女を好敵手と定めた。
女として、彼女からジークフリートを奪い取って見せるとブリュンヒルトは本気で考えている。
そのため彼女自身には自覚は無いが、悪女に墜ちたブリュンヒルトとは違う形で、クリームヒルトとは険悪な関係となるだろう。
「久しぶりだな、クリームヒルト。……なんだ、その呆けた顔は。どこかで会ったことがあるか、だと?
……ああそうか、この頃の私よりも後の私と関わった時間の方が長いからだな。
私はブリュンヒルトだ。ああそうだ、お前と互いの夫について言い争い、お前の愛するジークフリートが死した原因となった女だ」
「私の態度が意外か?……この私は、後の私との口論の件は知らぬからな。記録として知ってはいても、記憶としては持ち合わせていない。
故に慣れろ。何、この私はお前の知る私とは見た目も声も違うのだ。同姓同名の別人と捉えやすいだろう?」
「お前に挨拶しに来た理由だがな。単刀直入に言おう、私はお前からジークフリートを奪うつもりだ。
お前たちの関係の良さは私も認めるところだが、お前と結婚する前にあの男は私に勝ったのだ。ならば私と結婚するのが道理だろう?
……そう殺意を向けるな、滾るではないか。ああいいぞ、力の競い合いも1度してみたいと思ってたのでな。
いやはや全く、これがあの儚げなな女と同じ者とは思えんな。その剣を魔剣とし、更には振るうとは……相手として不足は無いッ!」
グンター王:夫
正確に言えば、夫になってしまった男。
純潔を失う前の姿で現界したブリュンヒルトは、決して彼を愛しておらず尊敬もなく、英雄などと思っていない。
生前は「本当にこの男が自分に勝ったのか」という疑念を抱いており、故に最初の夜に彼を酷く打ちのめしている。
そして英霊となり事の真相を知ったことで、その疑念は確信に至り殺意へと変わった。
凡庸で弱く、欺瞞に満ちた醜い男。そんな者が自身の夫となり、純潔を奪ったという事実にブリュンヒルトは憤怒を抱く。
よってもしも出会うことがあれば、妻として振る舞うことなどなく、躊躇いなくその槍で心臓を貫き、拳で頭蓋を砕こうとするだろう。
「疾く死ね、愚物。あの堕ちた女ならいざ知らず、“この私”が貴様の生存を許す訳がないだろう」
ハーゲン:家臣
ランサーのブリュンヒルトにとって彼は単なる家臣の1人でしかない。
彼女は後の復讐の連鎖を知っているが、それは「自身の記憶」ではなく「自身ではない自身の記録」である。
ハーゲンがブリュンヒルトの物語に関わってくるのは純潔を失った、つまりは「自身ではない自身」になった後。
そのため特に印象に残っておらず、ジークフリートの親友であることを知ったとしても関心を向けることはない。
「そういえば、そのような名の男もいた気がするが……特段語れることはない。単なる家臣を一々気にするのは女王のすべきことではない」
「私がクリームヒルトを認めたのは、あの女の在り方を気に入ったからだ。あの男に近しいというだけで興味を持つ訳では無いぞ、私は」
ブリュンヒルデ:同名の別人
似通った伝承で語られてはいるものの、辿った運命は大きく異なる。
大槍を振るい魔術にも優れるなど、自身と同等か上回る武勇を持った戦乙女として闘志を滾らせる。
……一方で、自分とは異なり正真正銘の非人間でありながら、人である英雄と深く結ばれたことに対し、心の奥底で羨望の想いを向けてもいる。
まるで、人ならざる力を持って生まれたが故に、普通の人らしい幸福を切り捨てた 自分の選択が間違っていたと突き付けられているようで。
そのため、戦場に立つ彼女はともかく、シグルドと共にいる、またはシグルドのことを語る彼女のことは密かに「苦手」としている。
直視し難い自分自身。軈て己が辿る結末の具現であり、何よりも相反する対極存在。
人格も思想も矜持も振る舞い方も、その体躯すら大きく異なる。真逆な二人を結びつけるものは……「互いを否定する」という願いのみ。
故にブリュンヒルトはブリュンヒルトが気に入らない。盲目な女王へと失墜し、そんな自分を受け入れて前に進むその“強さ”が気に入らない。
実のところ、人としての強かさではあちらが上である。
ブリュンヒルトの願いは「自らの物語を納得のいく形にする」ことだが、ランサーとアサシンではその方向性が異なる。
ただ屈辱の結末を無かったことにしたいランサーに対し、アサシンは悪女に墜ちた自分を受け入れて、その先もそう在り続ける未来を求めている。
人間性という点において彼女は自分に勝っている。己の在り様から目を逸らすこと無く、確固たる自我を以て突き進む在り方が“受け入れられない”。
成長した自分を認めたくない……なんて程度ではない。「他人」にしたい程に憎い存在が、何よりも憧れ手に入れたいと願った生き様を貫いているのだから。
性能面でも性格面でも苦手な相手。アサシン側と違いランサーの抱く願いには「自らの運命に続きを作る」事の他に「
その為切羽詰まった環境、人理を修復するために同陣営になるようなことがあれば諍いを飲み込んで接する程度の分別はあるが、そうでなければ強く殺意を向け殺そうとする。
「……ちっ、まさか“あれ”まで此処に居るとはな。……誰のことか、などと聞いてくれるなよ。次に問えば……その命は無いと思え。
あぁ……貴様にも忠告してやろう、汚らしい蜥蜴娘。貴様は同一存在でも別側面でもない。くれぐれも、自らをブリュンヒルトなどと名乗らないことだな…………」
「…………理想に生きてはいられない、だと?よくもまあ貴様が言えたものだ。
末路が決まっている?私
私は決して認めない。認めるものか!例えそれがどれ程困難であろうと……過ぎた過去を、訪れる未来を、貴様を必ずや否定し……物語の「続き」を作り上げてみせる……!」
「はぁ、騒々しいと思えば……まさか貴様、その程度の事をわざわざ言いに来たのか?
気に食わないと言うのなら貴様自身の力で何とかすればいいだろう。その手や得物は飾りか?……まさか、同一存在だから
今すぐその口を閉じて失せろ、アサシン。あれとの戦いは私の望むところではあるが、貴様の復讐を代行する気なぞ更々ないわ」
ジークフリート:宿命の相手
自分が悪女に墜ちる原因を作った存在だが、憎んではいない。
だが、二度も自分を打ち負かした勇士として、ブリュンヒルトは彼に並々ならぬ執着を抱いている。
グンター王に助力し、自分を騙したことに関しては思うところが無い訳ではない。自分に勝ったのにそれを誇らないことも不服ではある。
生前、クリームヒルトと言い争う前のブリュンヒルトは、彼の強さは認めていたものの、謙虚過ぎるその態度故に自分に相応しい男とは思っていなかった。
夫(になるかもしれない男)の臣下、即ち自身より下の者として関心を向けることはなかった。
そして競い合いの真相を知った後は、それを明かして自分を娶ることもせず、別の女と結婚したという事実に怒りを抱きさえした。
だが死後、自分が消えた後の物語を、『ニーベルンゲンの歌』の後半を知ったことで、ブリュンヒルトはジークフリートへの評価を改めた。
何故、普通の女であったはずのクリームヒルトが、二十年あまりもの年月を費やし、血縁さえも巻き込んでまで大復讐を成したのか。
彼女が復讐姫に成るほどの「何か」が、あの男にあったというのか。
もしも、そうだというのなら───素晴らしい。
やはりお前こそが私に相応しい。あの決闘で私に勝ったのだから、お前は私と結婚すべき定めなのだ。
勝利の責任を果たすべきだ。異議は認めん。拒否は認めん。それでも拒むというのなら、今度は私が挑むまで───!
戦士として、自身が敗れたことへの後悔と怒り、自身を負かした相手への尊敬の想い。
女として、強く逞しい男への憧れと、自分よりも別の女を選んだことへの嫉妬心。
それらが複雑に混ざり合ったものこそが、ブリュンヒルトがジークフリートへ向ける執着の正体である。
故に、もしも彼と再び出会うことがあれば、敵だろうと味方だろうと関係なく、主の命令や課せられた責務さえも無視して彼に戦いを挑むだろう。
その性格や信念が異なろうと、彼女は“ブリュンヒルト”、悪女として語られる女と同一の存在であり───威猛き女王の恋は、混沌と破滅を招く火種となる。
「ああ───待ち焦がれていた時が来た。待っていた、待っていたぞジークフリート!
邪竜ファヴニールを打倒せし大英雄……そして、この私に二度も打ち負かした、憎くも愛しき宿命の男よ!」
「逃げるな、逃がさぬ、逃がすものか。私を騙した罪を、私に勝った責任を、お前は果たさなくてはならないのだから!
俺にはもう妻がいる?……だからどうした、お前が私に勝ったのはあの女と結婚する前だ。ならば優先するべきは私だろう?
ああ、もうよい黙れ。下らぬ御託は聞き飽きた。男ならば、戦士ならば剣で語れ!
再戦だ。不正があった以上、あの競い合いはやり直さなければならない。なに、此度の種目は単純───私を正面から打ち倒せ。
勝てば我が身の全てをくれてやる。だが負ければお前の命を貰う。殺すという意味ではない……お前を私の物とする、ということだ」
「かつてお前が、そうであったように」
「英雄が人の願いを叶えるものだというのなら、私の想いにも応えてみせよ、ジークフリート……!」
クリームヒルト:好敵手
義妹であり、後に酷く罵り合うことになる相手だが、彼女のことも憎んではいない。
生前は単なる夫の妹としか見ておらず、夫の臣下の嫁と言うこともあってジークフリート共々興味を向けることは無かった。
見下しこそしていなかったが、少なくとも竜殺しを成したジークフリートの嫁には相応しくないとは思っていた。
故に、後の自分がそんなクリームヒルトの、自分の夫の方が素晴らしいという振る舞いに怒り、言い争った気持ちも理解できない訳ではない。
しかしそれは、純潔を失う前の姿であるこのブリュンヒルトにとってその一件は、体験の伴う記憶ではない。
よって「もしもそうなれば自分もそうするだろう」という共感に留まり、悪女に墜ちた自分のように彼女に心からの憎しみを向けることは無い。
むしろその逆……前述したように、自身が物語から消えた後の彼女の振る舞いを知ったことで、ブリュンヒルトはクリームヒルトを認めているのだ。
彼女は決してか弱い女ではない。どこにでもいるようなただの女ではなかった。
夫への強い愛故に、長い年月を費やし、血縁さえも巻き込んで復讐を成し遂げられる程の強い女であると。
ジークフリートが正しく益荒男であったと認めると共に、クリームヒルトもまた彼に相応しい妻なのだと評価を改めた。
ブリュンヒルトは、ジークフリートとクリームヒルトとの関係を、2人が互いにとって相応しい相手であることを認めた。
だがそれはそれとして、ジークフリートが自分と結婚するべきだと、自分に相応しい男だという考えは覆らない。
故に、ブリュンヒルトは彼女を好敵手と定めた。
女として、彼女からジークフリートを奪い取って見せるとブリュンヒルトは本気で考えている。
そのため彼女自身には自覚は無いが、悪女に墜ちたブリュンヒルトとは違う形で、クリームヒルトとは険悪な関係となるだろう。
「久しぶりだな、クリームヒルト。……なんだ、その呆けた顔は。どこかで会ったことがあるか、だと?
……ああそうか、この頃の私よりも後の私と関わった時間の方が長いからだな。
私はブリュンヒルトだ。ああそうだ、お前と互いの夫について言い争い、お前の愛するジークフリートが死した原因となった女だ」
「私の態度が意外か?……この私は、後の私との口論の件は知らぬからな。記録として知ってはいても、記憶としては持ち合わせていない。
故に慣れろ。何、この私はお前の知る私とは見た目も声も違うのだ。同姓同名の別人と捉えやすいだろう?」
「お前に挨拶しに来た理由だがな。単刀直入に言おう、私はお前からジークフリートを奪うつもりだ。
お前たちの関係の良さは私も認めるところだが、お前と結婚する前にあの男は私に勝ったのだ。ならば私と結婚するのが道理だろう?
……そう殺意を向けるな、滾るではないか。ああいいぞ、力の競い合いも1度してみたいと思ってたのでな。
いやはや全く、これがあの儚げなな女と同じ者とは思えんな。その剣を魔剣とし、更には振るうとは……相手として不足は無いッ!」
グンター王:夫
正確に言えば、夫になってしまった男。
純潔を失う前の姿で現界したブリュンヒルトは、決して彼を愛しておらず尊敬もなく、英雄などと思っていない。
生前は「本当にこの男が自分に勝ったのか」という疑念を抱いており、故に最初の夜に彼を酷く打ちのめしている。
そして英霊となり事の真相を知ったことで、その疑念は確信に至り殺意へと変わった。
凡庸で弱く、欺瞞に満ちた醜い男。そんな者が自身の夫となり、純潔を奪ったという事実にブリュンヒルトは憤怒を抱く。
よってもしも出会うことがあれば、妻として振る舞うことなどなく、躊躇いなくその槍で心臓を貫き、拳で頭蓋を砕こうとするだろう。
「疾く死ね、愚物。あの堕ちた女ならいざ知らず、“この私”が貴様の生存を許す訳がないだろう」
ハーゲン:家臣
ランサーのブリュンヒルトにとって彼は単なる家臣の1人でしかない。
彼女は後の復讐の連鎖を知っているが、それは「自身の記憶」ではなく「自身ではない自身の記録」である。
ハーゲンがブリュンヒルトの物語に関わってくるのは純潔を失った、つまりは「自身ではない自身」になった後。
そのため特に印象に残っておらず、ジークフリートの親友であることを知ったとしても関心を向けることはない。
「そういえば、そのような名の男もいた気がするが……特段語れることはない。単なる家臣を一々気にするのは女王のすべきことではない」
「私がクリームヒルトを認めたのは、あの女の在り方を気に入ったからだ。あの男に近しいというだけで興味を持つ訳では無いぞ、私は」
ブリュンヒルデ:同名の別人
似通った伝承で語られてはいるものの、辿った運命は大きく異なる。
大槍を振るい魔術にも優れるなど、自身と同等か上回る武勇を持った戦乙女として闘志を滾らせる。
……一方で、自分とは異なり正真正銘の非人間でありながら、人である英雄と深く結ばれたことに対し、心の奥底で羨望の想いを向けてもいる。
まるで、人ならざる力を持って生まれたが故に、普通の人らしい幸福を
そのため、戦場に立つ彼女はともかく、シグルドと共にいる、またはシグルドのことを語る彼女のことは密かに「苦手」としている。
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