ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

ふらり、ふらり。
ひたり、ひたり。
当てもなく、導もなく。つみびとは歩みを進める。
赦しを乞うべきゴルゴダの丘は、永久に続いていた。

ああ、誰もがぼくから立ち去っていく。
──真っ当なウィザードなら、明らかな異物エクストラに近寄りなどしなかった。
ええと、ぼくは何故歩いているのだっけ。
──真っ当な人間なら、明らかな例外エクストラだとそれを認識しただろう。
流れ出る取り止めのない思考。杜撰で歯抜けなモザイクドット。何も知らない無垢な子供。
どれをとっても、この"監獄"に相応しい/相応しくない。
その行く末を警戒するように、道は開かれ、閉じられ。人のいない方へと、つみびとは自然と誘導されていった。
この先にいけば、ぼくは生きられるのかな。
刻み込まれた最初の願い。生きたいという原初の叫び。
それが、彼を人たらしめ、罪たらしめていた。

「──つまり私の相手は、その子どもだと─」
「──ヴァーク・グレイグ。君がそれを理由に手を抜いたり、そういうことを恐れてるわけじゃない─」
あれ、ここはどこだろう。
「─念のため、というやつだ。私たちは協力関係──」
「いや、君は見通せているよ。『英雄』殿。私のような老いた眼より、ずっと──」
ひとが、いる。聞いてみよう。
"ぼくは、どこへ行けばいいのでしょうか。"
瞬間。幼子の表層から、極小霊子の形で思考が漏れ出す。
それは、人通りのないこの場にいた二人の人物へと伝達された。
一人は、少女。揺るぎない幹と今にも折れそうな根を併せ持つ『英雄』。この月の聖杯戦争の筆頭優勝候補。クリスティア・エクレール。
一人は、少年。朽ちた鋼。亡霊の残滓。亡き息子の殻に身を包む老兵。ヴァーク・グレイグ。
協力関係にある二人は、ヴァークの初戦の相手であるイレギュラー─"つみびと"のオズワルドについて軽い相談を行っていた。
まさか、当の本人が。何の理由もなく、この場に鉢合わせるとは思わずに。
否、幼子は常に一つの目的意識を持って歩き続けていた。
"生きたい。"ただ、それだけを求めて。

「! 君は…。」
しゃべっていたふたりがぼくの方を向いた。じゃまを、してしまったのでしょうか。
…でも、こちらに目を向けてくれたひとは、はじめてだった。
"だから、なのろう。"
「…こんにちは。えっと、ぼくの心は、きっときこえてしまいますよね。」
「ぼくはつみびと。オズワルド。そういうものと、しました。…すみません、お邪魔してしまい。」
ぺこり。頭を下げて、精一杯の礼儀を尽くす。
相対した二人は、自分よりも永くを生きているのだから。畏敬の念を込めて。

つみびとの外見の醜さは明らかだった。
つみびとの思考の拙さは明らかだった。
つみびとの存在の儚さは明らかだった。
多くの死を見届けたクリスティアとヴァークにとって、それが如何に番外エクストラな生命か、それまで得ていたどんな情報より一目で察することができた。
…だからこそ、対応をすこし躊躇った。
少年の姿をした者は、どうしても。それを無垢な子供として見てしまった。
少女の形をした者は、どうあがいても。そこに救うべき命を垣間見ずにはいられなかった。
訪れる静寂。おずおずと顔を上げた幼子は、困ったように二人を見やる。
その瞳は純粋で、然して虚無を抱えていた。

「あっ檀那!ここにいた!…っと。」
…声につられてぼくは振り返る。そこにいたのは、ぼくを助けてくれた憧れのひと。…そうか、ぼくは変なところを歩いてしまっていたのか。
「あ、ごめんなさい。見つけてくれてありがとう、セイバー!」
うれしくって、おもわず声を大きくする。セイバーに近づく。指に触れると、ぴくり。セイバーがこわばっていたのがわかった。
「安心して欲しい、セイバーのサーヴァントよ。彼には何もしていない。」
女の人が言う。そして気づいた。セイバーは、ぼくのことを心配して探しにきた。だから、ぼくが無事かどうかが心配だったんだ。さすが、サーヴァントだと思った。
歴史に名を残す英雄。それが再び現世に降り立ったカタチ。それがこの場所で僕たちと共に戦うサーヴァントであり、彼らはいずれも偉大な存在である…というのを、教わった。
危なかった。ぼくはセイバーの邪魔になるところだったかもしれない。ぼくをまもってくれる、たすけてくれる、すくってくれる人のそばを離れるなんて。
「…檀那におかしなところはない。まあこの月において、許しなしに戦闘行為はできないはずだ。信じてやろう。」
そうして、一触即発の空気は消えた。が。
「…私はヴァーク・グレイグ。君たちの対戦相手だ。…最初で最後の、な。」
男の人が、そう言った。"対戦相手"と。再び、セイバーに緊張が走る。ぼくにも、意味はわかった。
この場所は、1対1の殺し合いをするところ。
生き延びるためには、誰かを殺さなければならない。それは、誰しも同じ条件。
ぼくは生きたい。…そのためには、この人に勝って、ころさなければいけない。
それでも。"生きたい"。

─その言葉は、音無き残響を強く残した。
窮鼠なれど。そんなフレーズが、クリスティアの頭に浮かぶ。
このつみびとを名乗る幼子は、間違いなく最弱のマスターだ。心は剥き出し、体は継ぎ接ぎ。
しかし、その心の奥。剥き出しだからこその強さ。それを垣間見た気がした。

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