ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。




─────────────その報告、カルデアを震撼させるッ!!

『何?』

『何!?』

『何だと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????』

「はるあき五月蠅いで」

『鬼ヶ島復刻だとぉ!?』

「とうとうこの時が来たか!!!!!!!!!!!!!!!!!!
あの頼光とは!!!!!!!!!!!!!!もう一度!!!!!!!!!!!!
対面したかったのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
2mは在るかと言う大男、安倍晴明がどたどたとカルデアの廊下を走る。
「待て待て待てぇはるあきぃ。なんでアンタが此処にいるねん」
「千里眼で未来を予知し!!!!!!!!!!!!!!!!!!
徒歩で!!!!!!!!!!!来た!!!!!!!!!!!!!!!」
「ここ標高二千丈はあるで…………?その恰好で来たんか………?」
「無論だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
フハハハと晴明が高笑いをする。そのボリュームはカルデア中に響いてもまだ余るほどだ。
「む、ところで頼光めはどうした?ここにいるのではなかったか?」
「んあぁ、それがなぁ?うちも探してるけどいないねん
マスターも探してるんやけど…………何処行ってもうたんやろ…………」
ちびっ子陰陽師道満がポリポリ頭を掻きながら首をかしげる。
「ふむ、そうか…………。ならば我も探すのを手伝ってやろう。」
「ホンマか?アンタもたまには役に立つなぁ」
「”たまに”は余計だ。さて、千里眼で……………………って!!!
ここ千里眼が使えぬではないか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドン!と大男が壁を思いっきり殴りつける。下手な建物なら倒壊する衝撃がカルデアを走る。
「あぁ、魔術王の探知を避けてた奴が未だ機能しとるらしいよ?うちはよう分からへんけど」
「ったく!!!!!!!!!!!!!!!!!なら!!!!!!!!早く言え!!!!!!!!
一部屋一部屋しらみつぶしに探す!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あぁー、あんただけじゃ心配やからうちも行くわ」
「うむ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大男とちびっ子と言う対照的な2人の陰陽師がカルデアの廊下を走り始めた。





「ここか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?????????????????」
「なんだよ五月蠅いなぁ!」
開いてみるとそこには数人の歳の幼い少年少女がテーブルを囲んでお茶していた。
「はるあき、ここはアークエネミーっちゅうクラスの部屋やで」
「なんだ!!!!!!!!!!紛らわしい!!!!!!!!!!!」
「勝手に入って来てその言い草は酷いねぇ!
この部屋に無断で入って来て良いのはパカルただ一人だよ!?」
「いやボク等以外誰一人として許可してねぇよ!!」
宇宙からの滅亡の具現ニビルの言葉に、白痴の混沌の具現アザトースがツッコミを入れる。
「で、何の用ですか?私達今緊急の会議をしていて……………」
「ああ、すまんなぁ杞憂。えーっと、頼光見ぃひんかった?
あ、乳のでかい方じゃ無くて男の方」
「ああ…、頼光さんならカルデアスの方へ向かっていくのを見ましたよ?」
「というかうちのマスター丑御前の方引けてねぇんだし最初の注釈要らなくね?」
「こらユニコーン!今のはマスターの前で言うなよ!?メロンゼリーにされるぞ!」
「ん、分かった。ありがとうなぁ杞憂ー。」
そう言うと二人の陰陽師は大敵の集う部屋を後にした。
「──────で、やっぱフリーメイソンのトップはもう既に…………」
「いやそこは置いといて良い。問題は…………で、こう………」
「アレひょっとして私達結構シリアスしてます?」





「ここか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?????????????????」
「五月蠅いです!!!!!アンビバりすぎてます!!!!」
開いてみるとそこには数人の男女が長テーブルを囲んで話し合いをしていた。
「誰かと思えば月面で会った女ではないか!!!!!!!!!!!!!
頼光を知らぬか!!!!!!!!!??????????」
「頼光さんですか?ノワルナさん何か知ってます?」
「食堂で見かけたよ」
「良し!!!!!!!!!!!!我は食堂!!!!!!!!
お前はカルデアスだ道満!!!!!!!!!!!!!!!!」
そう言うと晴明の方は道満を置いて食堂へと向かって行ってしまった。
「ああちょっと!!ったく、面倒を起こさないようにウチがついてるのにアンタが一人で行ったら意味ないやん!
しょーがないから、アンタら二人アイツを見守ってやってくれへん?」
「良いですよ!!私たちも丁度お腹空いてたので!!
グッドタイミングです!!めっちゃアンビバってます!!」
「ボクそれほどでもないんだけど……………」
「まぁまぁ!行きますよ!!」
そう言って部屋にいた二人が晴明の後を付ける形で部屋を出て行った。





「ははははははははははは!!!『天翔鳳凰三輪車』ッ!!」
「くっ!!これがスピードヂュエルか!!」
「風です!風を掴むのです息子よ!!」
カルデアスへと向かう途中、三人のファラオが廊下で何かやってた。
「何やっとんねんアンタら」
「ん?誰かと思えば陰陽師のガキでは無いか!」
「この前才羽コーポレーションから発売されたスピードヂュエルを体感しているんだぜー!」
「はぁ…………アンタらには突っ込むのも疲れたわ…………。
まぁええか。一応聞いておくけど、頼光知らへんか?」
「知らん」
「知らないぜ」
「知りませんね」
「せやろな………。まぁええわ。遊びもほどほどになぁー」
「うむ!!さぁツタンカーメンよ!!この俺の渾身のフィールを受けてみろ!!」
「まだだぜっ!オジマンディアスを場外より参戦させる!」
「フハハハハハハハハハハ!!当然正位置でおなじみのこの我が参戦だッ!」
『乱入ペナルティ 2000ポイント』
「クッ!!ピラミッドと言えばオレなのにピラミッド投げつけてくるのは卑怯だぞ!!
この前この宝具直したばかりなのに!!」
「…………楽しそうやなホンマ。うちもやろうかな………?」





食堂では男ランスロットが首を絞められていた。
「何があった!!!!!!!?????????????」
「ああ、この穀潰しが平行世界の私をナンパしていたもので、ちょっと三倍の力を込めて折檻をば」
「い、いえ………気にしてないので大丈夫です。大丈夫です私」
「いえもっとやっちゃってくださいガウェインさん!!」
「これは修羅場ですね!!アンビバってませんよコレは!!
とりあえず頼光さんはいなさそうなので帰りましょう!!」
「あ、ああそうだな………。」
「とりあえず女性の方のランスロットも呼んでおくね」
「大人しそうな顔して余計に場を拗らせようとするんじゃあない!!!!!!!!!」
すると電話口のランスロット(女性)が
『ああ…………、頼光さんなら先ほどすれ違いましたよ?
なんでも……、ダヴィンチさんの工房に行かれると』
「よし工房だな!!!!!!!!!!!行くぞ安珍!!!!!!」
「アンビバレンスです!!!そんな寺の鐘で紅蓮の炎に包まれそうな名前やめてください!!」
「あ、ありがとうランスロット。とりあえず、お礼がしたいから食堂まで来てくれるかな?
うん、ボクも待ってる。」





「─────ここが私が沈んだ所です。はい。レイテと言います。
日本の空母が私含めて4つ失われた海戦でもあり、WW2でも指折りの激しさですね」
「ふむふむ」
「ほぉー」
カルデアスのところへと行くと、数人の女性が小柄な少年と爺を前にして何やら話している。
「何しとんねん軍艦らが頭揃えて」
「ああ、コンラ君が戦いの歴史が知りたいとおっしゃられたので…………。
それで教えてたら…………その、ハンニバルさんまで混ざって来て」
「スキピオに追いつかれたんだァ!!今度は負けねぇように2000年分先に行ってやる!!」
「凄い面白いです!ここまで戦いが進化するとは思いませんでした!」
「ああ、そう…………よかったなぁ…………
ってあれ?ここに頼光がいるって聞いてきたんやけど」
「あ、頼光さんならかなり前に出て行きましたよ?」
「嘘ォ!?ど、何処行ったか分かるか?」
「さぁ…………?」
「あぁー!!まさかの振りだしかいな!」
ぐあーと道満が頭を抱えながら盛大にのけぞる
「あ、でしたら雪風さん連れて行きます?きっと役に立ちますよ!」
「私電探代わりですか!?」
「お、ありがとう。じゃあ存分に連れまわさせてもらうでー!」
そう言うと道満は駆逐艦少女雪風を小脇に抱えてカルデアスを後にした。
「ちょ、ちょっと!!下ろして!下ろして下さい!!」





「頼光はいるかぁ!!!!!!!!!!!???????????」
バァン!!と勢いよく晴明がダヴィンチちゃんの工房の扉を開く。
すると中には気だるげな神が一人、ダヴィンチの創った飛行機模型をいじって遊んでいた。
「おい何故貴様が此処にいる天津甕星。」
「えー?だーって久々にー、神殺しの探偵がー、帰って来たからー、はしゃいでたらぁー、
疲れちゃってー。ひひっ。ちょーっときゅーけー」
「此処にいたと言う頼光さんは何処にいかれました?」
「んあー?あー、あの神秘殺しー?
私が此処に入るなりー、『ここもダメか』って言ってぇー、出てったー。」
「『ここもダメ』………?とは一体」
「さぁな・奴の考える事は時折分からぬ。」
「えぇ?友達でしょう?」
「友だからこそ!!!!!!!分からん時があるのだ!!!!!!!!!!」
「うーっさいなぁー…………。神秘殺しならぁー。あっち行ったからー」
そう天津甕星が指を差した先は、外へと続くカルデアの出入り口だった。
「ん?もしや外…………?確かに今は晴れてますけど」
「ふむ、まぁ行くしか無かろう!!ついて来い安心院!!!!!」
「アンビバレンスです!!!!そんな合わせて1京2858兆519億6763万3865個
の宝具を持っているような名前で呼ばないで下さい!」
『おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!そこか天津甕星ィィィィィィィイイイイイイ!!!』
「あっ、ばれちゃった。アンタらのせいじゃーん。
まぁ?キヒッ!十分休んだから。キヒヒッ!!良イけどネぇ!!!」
その後カルデアの一部が盛大に崩壊し、修理費用は全てウィルマース財団宛に請求され
所長のアーサー・マイヤーの顔が青くなることとなる。





「ハァ…………、ハァ…………、ハァ…………、此処にいたんか…………。」
「探したぞ頼光…………。何故こんな所にいる?」
此処はカルデアの外に出て少し歩いた場所。そこで頼光は、一人の少女と一緒に座っていた。
「なんや、保昌も一緒やったんか」
「ヘヘヘ、誘われちまってなァ。」
「何故…………こんな一人になるような真似をした頼光?
これより始まるはかの妖魔蔓延る鬼ヶ島の特異点。貴様は恐らく誰よりも走る事になる。
そして何より────────────────」
「────姉上が、そこに待っている…………。だろう?」
「っ。……………………そうだ。」
自分の言おうとした言葉をそのまま返されて、一瞬息をのむ晴明。
「ああ分かっているさ。生来より神秘殺しとして産みだされた我が身。
先の羅生門とこれより往く鬼ヶ島は……………私が戦うと定められたと言っても過言では無い戦場だ。
そして…………そこに言った先に私は、姉上と対峙する事となるだろう。」
頼光はフゥ、と一息溜め息をつく。冷たい山頂と言う事もあり、その吐いた息は白く染まった。
「私は…………あの白面との決戦の際に一度彼女と出会った。
その時から…………その時には既に覚悟は出来ていたはずだったんだ。」
チキリ、と頼光は自身の腰に差した刀に手をかける。
それは、抜いた物を魔へと変える妖術の結晶。邪剣、童子切安納その物である。
「私はもう一度彼女を切る。それが…………覚悟は出来ているはずなのに、怖いのだ。
そしてその後、彼女はここカルデアに正式に来るであろう。…………その時に、顔を併せる資格があるのか…………」
「何を心配しておるか頼光!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バァン!!!!!!と思いっきり晴明が頼光の背中を引っ叩く。
「顔を合わせる資格だと!!!!!?????莫迦奴!!!!!!!!!!!!!
そんなもの!!!!!!!!!既に貴様は持っているであろうが!!!!!!!!!!」
「………………………晴明………………。」
「せやで頼光。晴明の言う通りや。あんさんはあんさんの思う程、ちっちゃい奴やないで。
立派な平安最強の神秘殺しや。胸張って、あの丑御前ぶった切ってそして手ぇ繋ぎ合え!」
「そうだぜ頼光よぉ。初めて俺に会った時みてぇに、情け容赦なくぶった切っち待って良いぜ
それくらいされた方が、化け物(たいじされるがわ)も気分が良いってもんだ!!ハッハッハ!!」
「貴様が言うと説得力が違うな疱瘡よ」
「んだとぉ晴明!?」
「……………………そうか、私は、もう………………。」
頼光は己の手の平を見ながら、思いをはせる。
かつて彼女を地下牢より連れ出した時に握っていた手の平を、
そして彼女が崖へと身投げした時に、握れなかったその手の平を。
「まぁ、丑御前が此処に来た時にゃ誰よりも先にあんさんにあわせるけどな!」
「そうだな!!!!!!!!!!それが良い!!!!!!!!!!!!!!!!」
「逃ぃげても無駄だぜェ?何せコイツラが今回見てぇに、俺らを見つけちまうもんナ!!」
「ハハッ!違いない…………。全く、我らはどれだけ離れても、出会う運命と言う訳か………。」
『ハッハッハッハッハッハッハッハ!!』
カルデアのある山頂の空に、4人の平安生きし英霊の笑い声が木霊した。


「あの、ワタシ達……………」
「帰っても良いでしょうか……………?」


ついでに、月の主催者と駆逐艦の疑問符も木霊した。





そして、次の日…………。


─────────女頼光[丑御前]、来ずッ!!!

この報せは、カルデア内を震撼させた!!!

『どうする?』
『いやどうするって言ってもさぁ…………』
小声でつぶやくサーヴァントたち。その眼の前には──────
「……………………。」
「……………………。」
無言で真っ白の灰となってうつむいているマスターと
同じく虚ろな眼をしてまるでこの世の終わりのような顔をしている頼光がいた。
「ま…………マスターよォ、それにぃ………頼光、大丈夫か?」
それに臆せず向かっていくは頼光の嘗ての友にして戦友、藤原保昌だ。
だがしかし流石の彼女もこんな頼光は見たことが無いらしく、少したじろいでいる。
「死にたい」
マスターが弱々しく呟く。
「………………。」
頼光に至っては言葉も返さない。
「……………私は少し…………外の空気を吸ってくる。」
「俺は…………部屋に…………戻る…………」
そう言うと二人は立ち上がり、ふらふらとおぼつかない足取りでカルデアの廊下を歩いていった。





「やっぱり此処に居たか」
ひょいと保昌が顔を出す。ここはカルデアの屋上。
サーヴァント達がたまに極寒の環境をトレーニング舞台とするために解放されている。
「…………何故分かった」
「お前は何か嫌な事があるといっつも空を見ていたからな。
だから今回もひょっとしたら…………って思ったら、案の定だったよ」
「…………保昌は何でも知っているな」
「そりゃあまぁ、カミサマなもんでね」
保昌は面を取り、キヒヒッと悪戯めいた笑みを創りながら笑う。
「……………………なぁ、保昌」
「ん?何だい?」
保昌が笑いながら頼光の横にチョコンと座り聞き返す。
「何故………………姉上は私の元へ来ないのだろうか…………?」
「………………………………。」
その疑問を聞き、保昌は真剣な顔つきへ表情を変える。
「何でそう思う?」
「何故も何も、あそこまで召喚を試みて姉上が来ないのには…………
何か、理由があると見て考えて良いだろう」
「理由なんかないと思うぜェ?カルデアの召喚方法はまさに運否天賦、アットランダムでござい。
今回の召喚であの船乗りの姉ちゃんが来たのも。理由なんかないのさ。それと一緒よ。」
「だが……………マスターは1度の召喚で姉上が来る確率は一分と言っていた。
それを四百六十六回試行し、それでも出てこないと言う事は………」
「お前さんも強情だねェ。」

「………………姉上は……………私の事を………恨んでいるのだろうか………?」

「────────────。」
その言葉を聞き保昌の眉がピクリと動く。
保昌はあの日、平安で起きた特異点で彼の過去を知った。
彼がかつて救おうとした者の事を。そして救おうとした結果、どのような結末を迎えたかを。
「私はあの日…………姉上を………救えなかった…………。
崖から落ちる姉上の手を…………握る事が出来なかった………ッ!
俺はァ!!あの日死する姉上を!!救えなかったァ!!」
頼光がガァン!!と屋上のコンクリートに拳を叩きつける。
「あの日の後悔が俺の脳裏にこびりついて離れない………ッ!!
姉上もそうなんだ………ッ!!きっと俺が救えなかったことを………ッ!!
恨んでいる……ッ!俺は………ッ!!俺はァ!!」
「莫迦っ!!」
バァン!と大きな音が標高6000mに響く。
保昌が頼光の背中を思いっきり引っ叩いた音だ。
「あ痛っ!!」
「あのなァ、妖怪はそんなちっちぇぇ事、一々気にしねぇもんだぜ?
俺達ぁ、魔力と懐のでかさが取り柄なんだからなぁ!」
「………そうなのか?」
「んまぁ、俺はあの丑御前ほど乳はでかくねぇけどなぁ!
アーッハッハッハッハァ!」
「………………………。」
笑っていいのか、笑ったら殺されるのか分かりづらい保昌の冗談に、頼光は苦笑いで返す。
「んまぁ、そう気にするほどじゃあねぇよ頼光
あっちの頼光も、ちょっと気が向いたらフラリと来てくれるよ」
「そういう…………ものなのか?」
「そうそう!ほら、あの平安でも弟って呼んでくれたじゃあねぇか!
ホントあいつぁ別嬪だねェ。俺ですらちょっと惚れちまうかと思ったくらいよ」
「なんだ、あの特異点の頃は随分とまた嫌っていたのに、変わったな。」
「えぁ………っ、そ、そりゃあ…………。」
もしかしたらあの女に頼光を取られちまうんじゃないか、などとは口が裂けても言えない保昌であった。
「な、なんか違うと思ったからだよ!
頼光が雷光を使えんのは……お、俺が教えたからだからな!」
「ああ…………そんな日もあったなぁ。」
頼光は感慨深いと言った目つきで保昌を見た後に、夕焼けに染まる空を見る。
その眼は過去を懐かしむと共に、何処か悲しげであった。何処か闇が差していた。
保昌は思う。彼は過去を見る時も未来を見る時も、必ずその陰に己が死なせた丑御前の影があると。
此度の機会はその影と対面できる数少ない機会であった。しかし、彼は合えなかった。
そのショックがどれほどの物かは、彼女には分からない。
────────────だが、
「………………な、なぁ頼光」
「?………………なんだ?」
「俺はァ、お前の強さを知っている。
化け物を殺す強さは勿論の事、その誰にも弱さを見せない強さもだ。
───────────でもな?」
保昌はニコリ、と微笑んで頼光の方へと寄りかかる。
それは先ほどまでの悪戯めいた笑みでは無く、まるで空を包み込む蜘蛛のように慈愛に満ちた笑みであった。
「悲しいときは、泣いても良いんだぜ?ほら、俺の胸は空いているぞ?」
「……………………………………………………………………。」
ポタリ、と雫が落ちた。それは頼光の頬を伝った雫であった。
「…………………………保昌……………。」
「遠慮すんなよ。そりゃあ俺じゃあ役不足かもしんねぇけどサ。」
「う…………っ!!うおぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」
その日、頼光は大人になり始めて、声を上げて泣いた。





「失礼する。」
バッ!とマスターのマイルームのドアを開く頼光。
「うわぁ!?ど、どうしたのさ男頼光!?」
「いつまでも不貞腐れているわけにはいかないマスターよ。
我々は、我々の行くべき所があるはずだ。」
「え…………?い、行くべき所?」
「そう。」
頼光は先ほどまでとは打って変わった、真剣なる瞳で語る。
「鬼ヶ島です」
「鬼………?あ、ああ………そうか………これ復刻イベントだっけ………。」
「我が姉上が召喚出来なかったからと言って終わりでは無い!
石が無ければ呼符で呼び出せばいい!それもダメなら再度挑戦!
それでも来なければ!今度こそ私はすっぱり綺麗に諦めましょう!!」
「頼光………。」
「我々にとって最悪とは何か?会いたいサーヴァントに会えぬことか?
否、断じて否ッ!我々のすべきことは人理の修復!そして再編!!
いまここでつまずいて、人類の歴史をそのまま潰やしてしまう事こそが!我々の最悪!!
その一歩として!この目の前に現れし鬼ヶ島を屠る!それこそが我々の役目では無いのですかマスター!!」
喝ッッッ!!と頼光が力を込めてカルデアただ一人のマスターに語る。
「そうだ………。頼光の言う通りじゃないか………。」
スクッ、とマスターが立ち上がる。
「ありがとう頼光。俺間違っていたよ。
おかげで目が覚めた。ずっと不貞腐れてて礼装取り逃がしたとかなったら
それこそ本当にお笑い草だ!行こう!!鬼ヶ島!!」
「それで良い……。それでこそ、私のマスターです。」
ガシッ、と頼光とマスターは互いに強く互いの手を握り合った。
「…………ところで、何を読んでおられたのです?」
ひょいと頼光がマスターのベッドの枕元に転がっている本をのぞき込む。
「あっ!!いやっ………これは…………っ!!」
見るとその本には、彼頼光の姉であって彼ら二人が10万円かけても来なかった女頼光、
つまりは丑御前のあられも無い姿がえがかれていた。
「……………………………………マスター、これは」
「い、いやぁ?違うんだよ?頼光来ない〜来ない〜って不貞寝してたら黒髭がね?
『デュフフwwwwますたぁ濃いういう時は薄い本で一発抜くと楽ですぞwwww』とかね?
そんで何処から手に入れたのか分からないエロ同人を沢山ね?持ってきてくれてね?それで」
マスターが長々と言い訳をしているが、それに対して頼光は静かな眼でただその本を見ている。
「え、えーっと……………ごめんなさい!!殺さないで下さい!!
貴方の姉上をオカズにしていて!!勝手にママとか呼んでごめんなさい!!」
サッと素早くドゲザの体制へと移行するマスタ。しかし、それに対しての頼光の反応は意外な物であった。
「………………………………………………………………ふむ、興味深い。」
「へっ!?」
思わず間抜けな顔と声を上げるマスター。
「これは…………現代の春画という奴か?いやすまない。江戸辺りまでの文化は
分かってはいるんだが……………明治以降になると理解が難しくてなぁ………………。」
「あ、いえ………。良いんです。というか、怒らないんですか?」
「ん?まぁ確かになんで私の姉をこんな本に描いているかはあとであの海賊を捉えて聞くが、
それとこの現代の文化への興味は話が別だ。いや、別に………我が姉のこういった痴態を見たい訳では無い。」
「は…………………………………はぁ……………」
ゴホン、と咳払いを一回する頼光。少し頬が赤く染まっている。
「それはそうと、”ママ”とはなんだ?何らかの隠語か?」
「ああ、それ母親って意味です。何と言うか、丑御前さん母性に溢れているので………。」
頭を掻きながら懇切丁寧に現代の用語を平安最強の神秘殺しに教授するマスター。
「なるほど………。確かに大人になったあの姉上はそう言った包容力に優れているな。
まぁ、彼女が13の頃からあの片鱗は在ったぞ?私が地下牢へと入った時、最初は別人かと思ったほどだ。」
「へぇー、そうだったんですかぁー」
「ああそれと…………この…その、乳房で男性器を挟む……性行は…………なんだこれは?」
本のページの一ページを開いて指を差しながら、純粋な顔で頼光が問う。
「それは………パイズリって言います。まぁ、見た感じが気持ちよさそうなので良く使われますね」
「ここにある全ての本でやっているが、今はこう言うのが流行っているのか?」
「え、ええっとそれは…………」
ふぅむ、と頷いてペラペラとページをめくりながら、頼光が本の内容を頭に入れていく。
「まったく、姉上はこんなことはせん。人を甘やかせるようなこんな言葉も吐かん!
だが…………………ふむ…………………。」
「頼光さんも、お好きですか?」
「な、何を言っている!!」
「でも、やっぱり日本男子ならば大きい方が好きでしょう?」
マスターが両手で胸の前で大きな球体をイメージしたジェスチャーを取る。
「それは………………まぁ…………………うむ……………」
頼光は堪忍したかのように眼を閉じて、少し頬を染めながらうなずく。
「でっしょー!?………………………あっ」
「お〜〜ま〜〜え〜〜ら〜〜〜〜っ!!!」
マスターが顔を上げると、そこには怒りの形相100%の藤原保昌が仁王立ちをしていた。
仮面を被ってはいるが、その立ち上るオーラと面の裏から除く怒りの眼が彼女の怒りを物語っている
「ほ…………………疱瘡ちゃん……………」
「なーんかおっせぇから心配してこの俺が見に来りゃあ…………っ!!
男二人でデカ乳談義たぁ良い度胸だなぁ!えぇ!?」
「ま、まて!!違うんだ保昌!!これはぁ!!」
「問答無用ォォォォオオオオオオ!!『宵鶏鳴・禍祓竜咆』ェェェエエエ!!!」
「ま、待ってぇぇぇぇ!!それはまずいから!!マジでマズいからァァァァァアアアアア!!!」
「晴明!!晴明か!?大至急カルデアに来てくれ!!保昌が!
保昌ぎゃああああああああああああああああ!!!」
『どうした大将!?うわっ!?何してんだ保昌の旦那ァ!?』
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!男のほうの頼光がこんがりローストされてるぅぅぅぅぅ!?』
『誰かアスクレピオス呼んで来ぉい!!ジョン・ハンターでも良いぞぉー!!』


今日もカルデアは平和であった。
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